【実話】障害者との接し方を考えさせる映画『こんな夜更けにバナナかよ』から”対等な関係”の大事さを知る

目次

はじめに

この記事で取り上げる映画

出演:大泉洋, 出演:高畑充希, 出演:三浦春馬, 出演:萩原聖人, 出演:渡辺真起子, 出演:宇野祥平, 出演:韓英恵, 出演:竜雷太, 出演:綾戸智恵, 出演:佐藤浩市, 出演:原田美枝子, Writer:橋本裕志, 監督:前田哲
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いか

この映画をガイドにしながら記事を書いていくようだよ

今どこで観れるのか?

この記事で伝えたいこと

「ボランティアと立場は対等」というスタンスを貫き通した鹿野の生き様に感動させられる

犀川後藤

良い意味で「障害者」のイメージを打ち破ってくれる、破天荒な筋ジストロフィー患者

この記事の3つの要点

  • 私が「ハゲたくない」と感じる理由から、「障害者」の捉えられ方について考える
  • 延べ500人ものボランティアの手を借り、病院・親元から離れて暮らすという凄まじさ
  • 「手助け”してあげている”」「手助け”してもらっている”」という感覚を排除した関係性の奇跡
犀川後藤

大泉洋・高畑充希が実にハマリ役で、映画としてももの凄く素晴らしい作品です

自己紹介記事

いか

どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください

記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません

「障害者」ではなく「1人の人間」として当たり前に接することの難しさと、「命の責任」を取る覚悟の凄まじさ

私は「健康なまま死にたい」といつも考えています。長生きできる必要はありません。とにかく、どんな理由であれ「身体が痛い」「身体を動かせない」「身体を動かすのが難しい」という状態になりたくないですし、なんとかそうなる前に死ねないかなぁ、と考えています。

いか

神社でも毎回そんな感じのお願いしてるよね

犀川後藤

割と切実に考えてるんだよなぁ

誰だって病気や障害は嫌なものでしょうが、私は「身体がちゃんと動かなくなるくらいなら生きていたくないなぁ」と感じるくらい生きる気力に乏しいので、なおさらそういうものを避けたいと考えてしまいます。

だからこそ、この映画の主人公・鹿野靖明が陥る難病「筋ジストロフィー」は私にとって恐怖でしかないですし、そんな状況にあってもなお、凄まじい生き様を発揮した鹿野に感服させられてしまいました

「ハゲたくない」と考える理由

いきなり変な話を始めますが、私は「ハゲたくないなぁ」といつも思っています

いか

大体の男はそう思ってるんじゃない?

犀川後藤

そうなんだけど、その理由について説明したいのよ

それは、「かっこ悪いから」みたいな理由ではありません。もちろんそれも嫌だと感じますが、もっと強い理由があります。

それは、「ハゲている人は『腫れ物扱い』されるだろう」ということです。

外国ではどうなのか知りませんが、少なくとも日本では、ハゲている人に対して「ハゲていること」を話題にしてはいけない、みたいな風潮があると思います。触れてはいけない、気付いたとしても見て見ぬフリをしなければならない、みたいな雰囲気をどうしても感じてしまうのです。

私は、そんな風に見られることがとにかく嫌で仕方ありません

たとえハゲてしまったとしても、周りが「ハゲてきたね」「なんか良いハゲ方してるなぁ」みたいに普通に話題にしてくれるなら、別にそんなに嫌ではない気がします。ただ、絶対にそんな風にはならないでしょう。そしてそういう、「あなたのハゲには気付いていませんよ」「気付いてるけどなんとも思ってませんよ」みたいな空気を、どうしても感じたくないと考えてしまいます。

何故こんな話から始めたかと言えば、「障害者」に対しても同じような視線を向けがちだと感じるからです。

もちろんそれは私自身もたぶん同じでしょう。障害者に限らず、世の中の様々な人を出来るだけフラットに見ようと常に意識してはいますが、それでも、「腫れ物」的な視線を向けてしまうことはきっとあると思います。

いか

「気持ち」はフラットにと思ってても、そうは受け取られない「言動」をしてしまうこともあるし

犀川後藤

結局「言動」でしか判断されないから、「言動」が適切じゃないとその「フラットさ」も伝わらないからね

さらに難しいのは「世間の声」です。例えば、「フラットに扱ってほしいと考えている障害者」に対して、「普通なら『障害者』に対してするだろう配慮」をしない言動を取った場合、厳しい「世間の声」が飛んできてしまうかもしれません。「バラエティ番組で笑いを取りたいと思っているアイドル」を「貶したり酷い扱いをしたりして笑いにする芸人」が、アイドルのファンから叩かれてしまう構図に近いでしょうか。本人同士は何の問題もないと考えているのに、関係ない第三者が割り込んできて事態をややこしくすることがあるわけです

めんどくさい世の中だなと思います。

少なくとも今の日本社会では、「ハゲている人」や「障害者」は「腫れ物」的な扱いを避けられないでしょう。

恐らく鹿野も、そういう扱われ方を嫌ったのだと思います

筋ジストロフィー患者が、病院・家族から離れて生活するという凄まじい決断

筋ジストロフィーは、前進の筋肉が徐々に弱くなり、いずれ身体のほとんどを動かせなくなってしまう難病です。もちろん普通は、病院や施設で24時間態勢の介護が必要になります。常識的に考えれば、病院や親元を離れて生活することなど不可能でしょう。

しかしそんな不可能を可能にしたのが鹿野靖明という男であり、この映画はそんな彼の人生を描く物語なのです。

小学6年生の時に筋ジストロフィーと診断された鹿野は、20歳まで生きられないだろうと言われましたが、この映画の舞台である1994年時点で34歳、医師の予想を遥かに越えて長生きしていました。しかしその時点で既に、動かせるのは指先と口ぐらいで、1人では何もできない状態だったのです。

しかし鹿野は、病院ではなく普通の生活がしたいと考え、まだ身体の機能がそこまで衰えていない時期に行動を起こします。車椅子に乗りながらたった1人で「自分を介助してくれるボランティア」を集め始めたのです。24時間常に誰かしらボランティアの手を借りながら、自宅で生活を送る態勢を整えました。

犀川後藤

正直、ホントにこんな生活が成り立ってたのか疑いたくなるくらいのボランティアの規模だよね

いか

延べ500人のボランティアが何らかの形で鹿野と関わっていたっていうんだから凄まじい

命の責任は自分で持ちます

そう言って、病院も親元も飛び出した鹿野ですが、口ばっかり達者で自分では何もできません。しかし彼は、卑屈に感じることもなく、「自分だって普通の生活を送っていいはずだ」と主張し、他人の迷惑を顧みずに自分の人生を楽しもうと日々奮闘します。

そのような鹿野のスタンスについては後で触れるとして、まず、鹿野がこのような”無謀な”生活を志向したその背景の1つについて触れましょう。

彼は、母親のことを考えていたのです。この点についてはあまり具体的には触れない方がいいと思うので、ちょっと別の話をしようと思います。

著者名もタイトルも伏せますが、ある小説のラストに「痴漢は死ね」という言葉が出てきます。なかなか物騒な響きですが、その作品においては実は涙の場面なのです。

犀川後藤

メチャクチャ良い場面だよね

いか

「痴漢は死ね」という手紙で泣くんだから相当だよね

その小説を読まなければ絶対に理解できないのですが、この「痴漢は死ね」という言葉は、「あなたのことを大切に感じている」というメッセージなのです。

では、映画の話に戻りましょう。

鹿野はある場面で、母親に「帰れ」と言います。これもまた、あまり良い響きには聞こえないでしょう。しかしやがて、この「帰れ」には、「あなたのことを大切に感じている」というメッセージが込められているのだ理解できるのです。

鹿野は「普通の生活がしたい」という動機を強く持っているし、それを原動力にして無謀な挑戦に足を踏み出したと言っていいでしょう。しかし実は「家族への想い」も見え隠れするというわけです。口うるさくてややこしい性格の鹿野ですが、それでも多くの人を惹きつけたのは、その芯にきちんと優しさがあると伝わるからだと思います。

「障害を持っていてもお前たちとは対等だ」という鹿野のメッセージはとても勇敢でカッコいい

鹿野という男は、文句を言うはやかましいは人使いが荒いはで、ボランティアさえイライラさせてしまうめんどくさい性格をしています。正直、「うわぁ厄介だなぁ」と感じてしまう場面も多々ありました。

ただ、そういう印象を抱いてしまうのは、私たちが「障害者」に対してある種の偏見を抱いているからだ、とも感じさせられたのです。

「24時間テレビ」などが分かりやすいと思いますが、「障害者」は「善人」「良い人」という形でしか切り取られないことが多いでしょう。障害者にだって様々なタイプの人がいるはずなのに、どうしても私たちは「障害者」を「良い人」と捉えてしまいがちだし、たぶん性格もいいんだろうと考えてしまうと思います。だから、鹿野のような振る舞いを「イメージを裏切られた」みたいに捉えてしまい、悪い印象が増してしまうなんてことになるのでしょう。

犀川後藤

そういう「善人」的な見られ方をされちゃうのは辛いよね

いか

「健常者からの施しをありがたく感じろよ」みたいな押し付けに映ってるかもね

傍若無人と判断されても仕方ない振る舞いは、鹿野にしてみればある意味で当然と言えるでしょう。命に期限があることが分かっているから躊躇なんかしている暇はないし、やりたいこと、思いついたことはすぐにでも実行したいと考えているからです。そもそも、筋ジストロフィーになったのは彼が悪いわけではありません。自分だって人生を楽しむ権利はあるはずだと考える鹿野の感覚は真っ当だと言えるでしょう

生活を手助けしてもらっていることに対する感謝はあれど、「みんなに迷惑を掛けているんだからちょっとは自重しなければ」なんて配慮は必要ないとも考えています。そもそもボランティアは鹿野自身が集めてきたのだし、鹿野からすれば「ボランティアしたくて来てるんだろ?」という感覚でしょう。確かに、鹿野の介助に限らない話ですが、ボランティアする側だって何かしら自分なりのプラスを感じているはずです。とすれば、鹿野がボランティアたちと対等な気持ちでいるのも真っ当だと言っていいと思います。

もちろん、そんな鹿野の態度は、すべての人に受け入れられるわけではありません。興味を持ってボランティアにやってきたのに、すぐ辞めてしまう人も当然いるわけです。中には、「本当に困っている人のためにボランティアをやりたいと思ってきたけれど、鹿野さんは人生を楽しんでいるから」という理由でボランティアを辞めていく人もいます。

そして鹿野は、それで別に問題ないと考えているのです。全員が自分を好きになってくれる必要はないし、ボランティアを通じて何かを得られると考える人だけが来ればいい。自分は言いたいことを言うし、やりたいことをやる。自分の責任なわけじゃない筋ジストロフィーのせいで、みんなより多くのことを諦めなきゃいけないのはおかしい。鹿野のそんなスタンスはとても真っ当に感じられますし、「障害を持つ人と対等に関わるというのはまさにこういうことなのだ」と実感させてくれもしました

「障害者」という枠組みに囚われることを拒否し、あり得ないやり方でそこから飛び出した、何も出来ないのに口だけは達者という人間が、結果として500人以上のボランティアと関わったという話は、どこからどう聞いても凄まじさしか感じられません。そしてさらに、「障害者」だけではなく、何らかの形で「マイノリティ」として生きざるを得ないすべての人を勇気づける話でもあると感じました。

映画の内容紹介

安堂美咲は、鹿野のボランティアなどするつもりはなかった

鹿野が住むマンションにやってきたのには、理由がある。最近付き合い始めた医大生の彼氏が、”ボランティア”を理由にあまり会ってくれないからだ。そんなのは嘘で、浮気でもしているのではないか……と心配して、偵察にやってきただけなのである。

そこでは、大勢の女性が1人の男性の身体を洗っていた。その男性が鹿野だ。筋ジストロフィーで身体をほとんど動かせないが、口は達者でメチャクチャ元気な鹿野に、美咲はなんだか気に入られてしまう。そして、彼氏の二股を疑っただけなのに、鹿野のボランティアのシフトに勝手に組み込まれてしまうのだ。彼氏にもボランティアへの協力を頼まれ、嫌々ながら鹿野と関わることになってしまった。

それにしても鹿野は最悪だ。図々しいし尊大だし、イライラさせることばかり口にする。ある時さすがに頭に来て、「二度とこんなとこ来ない」と啖呵を切って飛び出してしまった。

その後紆余曲折があり、なんと彼氏以上に鹿野のボランティアに力を入れるようになった美咲は、徐々に鹿野の不思議な魅力に気付いていく。それがなんなのか、上手く捉えきれないまま、美咲はボランティアの中心メンバーになっていき……。

出演:大泉洋, 出演:高畑充希, 出演:三浦春馬, 出演:萩原聖人, 出演:渡辺真起子, 出演:宇野祥平, 出演:韓英恵, 出演:竜雷太, 出演:綾戸智恵, 出演:佐藤浩市, 出演:原田美枝子, Writer:橋本裕志, 監督:前田哲
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最後に

とにかく凄まじく良い映画でした。鹿野靖明役の大泉洋も、安堂美咲役の高畑充希も、もの凄くハマリ役という感じで、ドキュメンタリーではないのに物凄くリアルな作品だと思います。鹿野も美咲も、現実には存在しなさそうなキャラクターなのに、大泉洋・高畑充希が演じることで驚くような説得力が生まれていると感じました。

こういう話に触れる度、毎回感じることですが、マイノリティである誰もが鹿野のように生きるべき、などとは思っていません。誰もが、自分が生きたいと思える人生を歩めることが大事なのです。

ただし、鹿野のような男がかつて存在していたのだと知ることは、マイノリティとして生きる上で新たな選択肢が生まれるきっかけになるとも言えるでしょう。

映画としても深い感動が押し寄せてくる素晴らしい作品ですが、鹿野という類まれな存在を知り、自分の人生に活かすという観点からも、見事な映画だと感じました。

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