目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:ジェレミー・セオボルド, 出演:アレックス・ハウ, 出演:ルーシー・ラッセル, 出演:ジョン・ノーラン, 監督:クリストファー・ノーラン, Writer:クリストファー・ノーラン
¥2,750 (2024/09/07 20:35時点 | Amazon調べ)
ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 上映時間70分の内、最初の50分ぐらいは「ストーリーがさっぱり理解できない」と思いながら観ていた
- ある瞬間に突然、「なるほど、そういうことなのか!」と一気に状況が把握できたことに驚かされた
- 金も役者も時間も制約だらけだったにも拘らず、「脚本」を徹底的に突き詰めて傑作に仕立て上げた手腕に圧倒される
時代のトップランナーであるフィルムメイカーの圧倒的なデビュー作を是非堪能してほしい
自己紹介記事
あわせて読みたい
ルシルナの入り口的記事をまとめました(プロフィールやオススメの記事)
当ブログ「ルシルナ」では、本と映画の感想を書いています。そしてこの記事では、「管理者・犀川後藤のプロフィール」や「オススメの本・映画のまとめ記事」、あるいは「オススメ記事の紹介」などについてまとめました。ブログ内を周遊する参考にして下さい。
あわせて読みたい
【全作品読了・視聴済】私が「読んできた本」「観てきた映画」を色んな切り口で分類しました
この記事では、「今まで私が『読んできた本』『観てきた映画』を様々に分類した記事」を一覧にしてまとめました。私が面白いと感じた作品だけをリストアップしていますので、是非本・映画選びの参考にして下さい。
どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
クリストファー・ノーラン初監督映画『フォロウィング』は、圧倒されるほどの凄まじさと魅惑、そして企みに満ちた物語だった
あわせて読みたい
【解説】テネットの回転ドアの正体を分かりやすく考察。「時間逆行」ではなく「物質・反物質反転」装置…
クリストファー・ノーラン監督の映画『TENET/テネット』は、「陽電子」「反物質」など量子力学の知見が満載です。この記事では、映画の内容そのものではなく、時間反転装置として登場する「回転ドア」をメインにしつつ、時間逆行の仕組みなど映画全体の設定について科学的にわかりやすく解説していきます
とんでもない物語だった。これが最初に撮った映画だというのだから、クリストファー・ノーランはやはり別格の映画監督だなと思う。予算や役者などあらゆる要素に制約があっただろう条件下で、「脚本の面白さ」を突出させることによって類まれな傑作に仕上げた手腕に驚かされてしまった。
「『何が謎なのか』さえ分からない」という、凄まじい「分からなさ」
本作『フォロウィング』を観ながら私は、途中までずっと「ストーリーがまったく分からない」と感じており、まずそのことに驚かされてしまった。
あわせて読みたい
【あらすじ】アリ・アスター監督映画『ミッドサマー』は、気持ち悪さと怖さが詰まった超狂ホラーだった
「夏至の日に映画館で上映する」という企画でようやく観ることが叶った映画『ミッドサマー』は、「私がなんとなく想像していたのとはまるで異なる『ヤバさ』」に溢れる作品だった。いい知れぬ「狂気」が随所で描かれるが、同時に、「ある意味で合理的と言えなくもない」と感じさせられる怖さもある
さて、ここで言う「分からない」については、少し説明が必要だろう。
例えば一般的なミステリ作品の場合、「提示された謎自体は把握できたが、どう解決されるのかが理解できない」という状態であることが多いだろう。「謎」は分かるが、「解決」が分からないというわけだ。
しかし本作『フォロウィング』は違う。そもそもだが、「『何が謎なのか』さえ分からない」という感じだったのだ。いや、実はこれも正しい表現ではない。というのも、私は本作がどのようなジャンルの作品なのかを知らずに観たので、「そもそも『謎が存在するのかどうか』さえ分からない」という状態だったのだ。
あわせて読みたい
【中絶】望まない妊娠をした若い女性が直面する現実をリアルに描く映画。誰もが現状を知るべきだ:『17…
他の様々な要素を一切排し、「望まぬ妊娠をした少女が中絶をする」というただ1点のみに全振りした映画『17歳の瞳に映る世界』は、説明もセリフも極端に削ぎ落としたチャレンジングな作品だ。主人公2人の沈黙が、彼女たちの置かれた現実を雄弁に物語っていく。
つまり、しばらくの間ずっと、「何を描こうとしているのか」がまるで理解できなかったのである。
本作の上映時間は70分だそうだ。だとすると私の体感的には、冒頭から50分間ぐらいはそのような「訳の分からない状態」が継続したように思う。もちろん、「各シーンで何が描かれているか」については把握できていたつもりだ。しかし本作は、時系列がとにかく凄まじくグチャグチャになっているので、シーン毎の状況が把握できても、全体像を捉えきれないのである。
しかも、これは私の記憶力の問題なのか、あるいは意図的な演出だったのか判断できないのだが、私は「ある登場人物」の認識がどうも上手く出来ておらず、そのせいで物語を捉えるのがさらに難しかったのだ。そしてそのような状態で50分間観続けたのである。正直、配信で観ていたら途中で消していたかもしれない。そう、「そういう判断が存在し得ない」という意味でも、私は映画館で映画を観るのが好きなのである。
あわせて読みたい
【斬新】映画『王国(あるいはその家について)』(草野なつか)を観よ。未経験の鑑賞体験を保証する
映画『王国(あるいはその家について)』は、まず経験できないだろう異様な鑑賞体験をもたらす特異な作品だった。「稽古場での台本読み」を映し出すパートが上映時間150分のほとんどを占め、同じやり取りをひたすら繰り返し見せ続ける本作は、「王国」をキーワードに様々な形の「狂気」を炙り出す異常な作品である
ある瞬間に、物語の全体像が一気に理解できた驚き
さて、凄いのはここからだ。世の中にはきっと、「最初から最後まで訳が分からなかった」みたいな物語もそれなりにはあるだろう。しかし本作はそうではない。「冒頭から50分間ぐらい、何を描こうとしているのかさっぱり理解できなかった」にも拘らず、ある場面で唐突に、「なるほど、そういうことか!」と一気に理解できたのである。
これには本当に驚かされた。その直前まで、「描かれてきた様々な断片がどう繋がって1つの物語になるのか」がまったく分かっていなかったのだ。しかしある瞬間に一気に晴れ渡り、物語全体を貫く1本の線が見えてきたのである。なかなかこんな経験をすることはないし、クリストファー・ノーランの脚本がとても緻密だったということなのだろうと思う。
あわせて読みたい
【あらすじ】原爆を作った人の後悔・葛藤を描く映画『オッペンハイマー』のための予習と評価(クリスト…
クリストファー・ノーラン監督作品『オッペンハイマー』は、原爆開発を主導した人物の葛藤・苦悩を複雑に描き出す作品だ。人間が持つ「多面性」を様々な方向から捉えようとする作品であり、受け取り方は人それぞれ異なるだろう。鑑賞前に知っておいた方がいい知識についてまとめたので、参考にしてほしい
しかし、「物語全体を貫く1本の線」を捉えられはしたたものの、細部に渡る検証が出来ているとは言えないだろう。先述した通り、時系列がかなりグチャグチャに入れ替えられているので、「作中で描かれるすべての要素を時系列で並べるとどのような見え方になるのか」みたいに理解することは難しい。実はどこかに、大きな齟齬があったりする可能性もあるだろう。しかしそれでも、本作における「核心的な部分」は正しく捉えられていると思う。
そんなわけで私の印象では、「『謎』と『解決』がほぼ同時に現れた」という感じだった。それまで「謎」さえ捉えられなかったにも拘らず、その「謎」が理解できたと同時に「解決」も提示されたという感じだったのだ。同じような感覚をもたらす作品はちょっと思いつけないぐらい、実に奇妙な鑑賞体験だった。
さて、この点に触れると若干ネタバレになってしまうかもしれないが、あまりにも複雑な物語であり、初見では混乱すると思うので、鑑賞の補助になることを期待して書いてしまおう。実は、「謎」と同時に理解できる「解決」はフェイクなのである。この構成もとても上手かったなと思う。そして、その「フェイクの解決」以降は、「この物語は一体どう閉じるのだろうか?」という興味で観ていたのだが、「まさかそんな着地になるとは」という展開になっていくのである。最後の最後まで脚本の力に圧倒されてしまった。
あわせて読みたい
【あらすじ】映画『レザボア・ドッグス』(タランティーノ監督)はとにかく驚異的に脚本が面白い!
クエンティン・タランティーノ初の長編監督作『レザボア・ドッグス』は、のけぞるほど面白い映画だった。低予算という制約を逆手に取った「会話劇」の構成・展開があまりにも絶妙で、舞台がほぼ固定されているにも拘らずストーリーが面白すぎる。天才はやはり、デビュー作から天才だったのだなと実感させられた
先ほども書いた通り、細部を含めた全体像については把握できていない。恐らくだが、精緻に検証すれば、物語のどこかに矛盾があったりするんじゃないかとも思う。しかしそうだとしても、本作の面白さが失われるわけではない。本作はとにかく、「『何が描かれているのか分からない』という状態でも観客を惹きつける力が強い」「複雑な物語なのに、観客をギリギリ置き去りにしない構成になっている」という点が実に見事で、最後までまったく飽きずに観れてしまった。
「ほぼ脚本のみ」という制約の下で生まれた傑作
さて、冒頭で触れた通り、本作はクリストファー・ノーランの初監督作品だ。公式HPには次のように書かれている。
あわせて読みたい
【天才】映画『リバー、流れないでよ』は、ヨーロッパ企画・上田誠によるタイムループの新発明だ
ヨーロッパ企画の上田誠が生み出した、タイムループものの新機軸映画『リバー、流れないでよ』は、「同じ2分間が繰り返される」という斬新すぎる物語。その設定だけ聞くと、「どう物語を展開させるんだ?」と感じるかもしれないが、あらゆる「制約」を押しのけて、とんでもない傑作に仕上がっている
土曜日のみ撮影し、1年間で約4000ポンドを費やして『フォロウィング』を制作した。
https://www.following-2024.com/
本作が公開された1998年当時のレートは分からないが、私がこの記事を書いている時点では約80万円。『TENET』や『オッペンハイマー』などで数億ドルの制作費を使うクリストファー・ノーランとすれば、破格に安い予算と言えるだろう。
役者は大学時代の知り合いを起用したそうで、主要な役を演じた3人は皆「長編映画初出演」なのだそうだ。また、コップ役を演じた人物が映画に出演したのは本作のみとのことで、その後一般企業に就職したという。
あわせて読みたい
【感動】円井わん主演映画『MONDAYS』は、タイムループものの物語を革新する衝撃的に面白い作品だった
タイムループという古びた設定と、ほぼオフィスのみという舞台設定を駆使した、想像を遥かに超えて面白かった映画『MONDAYS』は、テンポよく進むドタバタコメディでありながら、同時に、思いがけず「感動」をも呼び起こす、竹林亮のフィクション初監督作品
さて、私が何を言いたいのか理解できるだろうか? つまり、「金も役者も満足出来るような状況ではなかった」というわけだ。役者の演技がダメだったとは感じなかったが、どうしたって経験の無さは付きまとうだろうし、モノクロで撮影したのももしかしたら、「演技の粗が目立たないように」みたいな意図だったのかもしれない。「土曜日のみ撮影」というのも、何らかの事情から生まれた制約なのだろう。つまり、「制約だらけだった」というわけだ。
となると、クリストファー・ノーランが制約なく自由に扱えた要素はやはり「脚本」しかなかったと考えていいだろう。そしてそのような状況でクリストファー・ノーランは、凄まじい脚本を仕上げ、世界を驚かせたのである。そう、本作は低予算のデビュー作にも拘らず、ロッテルダム映画祭を始め多くの賞を受賞しているのだ。天才はやはり最初から天才なのである。
さて、「脚本のみで魅力的な映画を作る」という意味で、本作を観ながら濱口竜介のことが浮かんだ。専門学校の企画で作られた映画『親密さ』が、本作『フォロウィング』と同様、ほぼ「脚本のみ」と言っていい作品なのである。その後世界的な映画監督になったという事実も含め、両者にはどことなく似たところがあるように思う。やはり私には、「圧倒的に魅力的な脚本を生み出せる」という点が何よりも凄いと感じられるのだ。
あわせて読みたい
【おすすめ】濱口竜介監督の映画『親密さ』は、「映像」よりも「言葉」が前面に来る衝撃の4時間だった
専門学校の卒業制作として濱口竜介が撮った映画『親密さ』は、2時間10分の劇中劇を組み込んだ意欲作。「映像」でありながら「言葉の力」が前面に押し出される作品で、映画や劇中劇の随所で放たれる「言葉」に圧倒される。4時間と非常に長いが、観て良かった
鑑賞前に理解しておいた方が良いかもしれないこと
この記事では内容の紹介はしない。しないというか、出来ないと言った方が正しいだろうか。時系列が複雑であることや、迂闊に書くとネタバレになりそうなことなどを考え合わせると、内容紹介は避けておいた方がいいように思う。
ただ、初見では面食らうと思うので、私が考える「鑑賞上の注意」をまとめておくことにしよう。鑑賞前に読んでおくと、あまり混乱せずに物語が把握できるのではないかと思う。
あわせて読みたい
【不穏】大友克洋の漫画『童夢』をモデルにした映画『イノセンツ』は、「無邪気な残酷さ」が恐ろしい
映画『イノセンツ』は、何がどう展開するのかまるで分からないまま進んでいく実に奇妙な物語だった。非現実的な設定で描かれるのだが、そのことによって子どもたちの「無邪気な残酷さ」が一層リアルに浮き彫りにされる物語であり、「意図的に大人が排除された構成」もその一助となっている
- メインの登場人物は3人で、それ以外の人物にはほぼ注目する必要がない
- 映し出される映像は基本的に、「ビルが刑事に話している証言内容」だと捉えておくと分かりやすいだろう。「ビルがその場にいないシーン」もあるが、それらについては、「ビルが誰かから聞いた話」か「ビルの想像」と解釈するのが良いと思う
- 時系列がグチャグチャなので、「提示された時点では意味が分からないシーン」が必然的に多くなる。なので、「理解できないシーン」があっても「後で分かるはず」と考え、あまり気にしすぎないようにするのが良いだろう
- 複雑な物語を追いやすくするためだろう、「断片同士の繋がりを示唆する要素」が作中で度々提示される。なので、それらを取りこぼさないように頑張れば、置いていかれることはないはずだ。よく分からなかった描写もあるが、大体分かりやすく提示してくれるので、観ていれば分かると思う
さて、本作を理解する上で最も障害になるのが、先程触れた「ビルがいないシーンは『伝聞』か『想像』」という点だろう。冒頭の時点で、「この物語は、ビルの証言内容を映像化している」と示唆されるのだが、観客に物語として提示するためには、どうしても「ビルの推測」みたいなものが混じることになる。ビルが関わらないシーンは決して多くはないものの、「ビルが知り得ない状況で何が行われていたのか」は全体を把握する上で非常に重要だ。そしてそれ故に、「結局真相は分からないまま」という感覚にもなってしまった。
ただしそれは、あくまでも「物語を厳密に捉えようとした場合」の話であり、普通に鑑賞する分には特に障害にはならないだろう。とはいえ、「映像で提示されたことが真実とは限らない」という要素が含まれることによって、真相の把握のために考えるべきことがさらに増えるわけで、考察しがいのある作品とも言えるのではないかと思う。
そんなわけで、とにかく「脚本」に圧倒させられる物語だった。
あわせて読みたい
【あらすじ】映画『悪は存在しない』(濱口竜介)の衝撃のラストの解釈と、タイトルが示唆する現実(主…
映画『悪は存在しない』(濱口竜介監督)は、観る者すべてを困惑に叩き落とす衝撃のラストに、鑑賞直後は迷子のような状態になってしまうだろう。しかし、作中で提示される様々な要素を紐解き、私なりの解釈に辿り着いた。全編に渡り『悪は存在しない』というタイトルを強く意識させられる、脚本・映像も見事な作品だ
出演:ジェレミー・セオボルド, 出演:アレックス・ハウ, 出演:ルーシー・ラッセル, 出演:ジョン・ノーラン, 監督:クリストファー・ノーラン, Writer:クリストファー・ノーラン
¥2,750 (2024/09/07 20:37時点 | Amazon調べ)
ポチップ
あわせて読みたい
【全作品視聴済】私が観てきた映画(フィクション)を色んな切り口で分類しました
この記事では、「今まで私が観てきた映画(フィクション)を様々に分類した記事」を一覧にしてまとめました。私が面白いと感じた作品だけをリストアップしていますので、是非映画選びの参考にして下さい。
最後に
クリストファー・ノーランのその後の活躍については私が書くまでもないだろう。しかし本作を観て、「CGを使わない」「高額な制作費を集める」といった特異さ以前に、「そもそも圧倒的な脚本力がある」ということがよく理解できたし、なるべくして映画監督になった人物なのだなと改めて感じさせられた。ホント天才だと思う、クリストファー・ノーラン。
あわせて読みたい
Kindle本出版しました!『天才・アインシュタインの生涯・功績をベースに、簡単過ぎない面白科学雑学を…
Kindleで本を出版しました。タイトルは、『天才・アインシュタインの生涯・功績をベースに、簡単過ぎない面白科学雑学を分かりやすく書いた本:相対性理論も宇宙論も量子論も』です。科学や科学者に関する、文系の人でも読んでもらえる作品に仕上げました。そんな自著について紹介をしています。
次にオススメの記事
あわせて読みたい
【狂気】好きだけど詳しくはない『ヱヴァンゲリヲン新劇場版 序・破・Q』『シン・エヴァンゲリオン劇場…
2025年から26年に掛けての「月1エヴァ」という企画を1つの区切りとして、それまでに何度か観てきた新劇場版『序』『破』『Q』『シン・エヴァンゲリオン』などの感想についてまとめてみることにした。同時代にリアルタイムでこれほど弩級の物語に触れられたことはあまりに僥倖だし、本当に素晴らしい体験だったなと思う
あわせて読みたい
【あらすじ】映画『国宝』は圧巻だった!吉沢亮の女形のリアル、圧倒的な映像美、歌舞伎の芸道の狂気(…
映画『国宝』は、ちょっと圧倒的すぎる作品だった。原作・監督・役者すべての布陣が最強で、「そりゃ良い作品になるよね」という感じではあったが、そんな期待をあっさりと超えていくえげつない完成度は圧巻だ。あらゆる意味で「血」に翻弄される主人公・喜久雄の「狂気の生涯」を、常軌を逸したレベルで描き出す快作である
あわせて読みたい
【異例】東映京都撮影所が全面協力!自主制作の時代劇映画『侍タイムスリッパー』は第2の『カメ止め』だ…
映画『侍タイムスリッパー』は、「自主制作映画なのに時代劇」「撮影スタッフ10人なのに東映京都撮影所全面協力」「助監督役が実際の助監督も務めている」など、中身以外でも話題に事欠かない作品ですが、何もよりも物語が実に面白い!「幕末の侍が現代にタイムスリップ」というよくある設定からこれほど面白い物語が生まれるとは
あわせて読みたい
【感想】アニメ映画『パーフェクトブルー』(今敏監督)は、現実と妄想が混在する構成が少し怖い
本作で監督デビューを果たした今敏のアニメ映画『パーフェクトブルー』は、とにかくメチャクチャ面白かった。現実と虚構の境界を絶妙に壊しつつ、最終的にはリアリティのある着地を見せる展開で、25年以上も前の作品だなんて信じられない。今でも十分通用するだろうし、81分とは思えない濃密さに溢れた見事な作品である
あわせて読みたい
【映画】ウォン・カーウァイ4Kレストア版の衝撃!『恋する惑星』『天使の涙』は特にオススメ!
『恋する惑星』『天使の涙』で一躍その名を世界に知らしめた巨匠ウォン・カーウァイ作品の4Kレストア版5作品を劇場で一気見した。そして、監督の存在さえまったく知らずに観た『恋する惑星』に圧倒され、『天使の涙』に惹きつけられ、その世界観に驚かされたのである。1990年代の映画だが、現在でも通用する凄まじい魅力を放つ作品だ
あわせて読みたい
【怖い?】映画『アメリ』(オドレイ・トトゥ主演)はとても奇妙だが、なぜ人気かは分かる気がする
名作として知られているものの観る機会の無かった映画『アメリ』は、とても素敵な作品でした。「オシャレ映画」という印象を持っていて、それは確かにその通りなのですが、それ以上に私は「主人公・アメリの奇妙さ」に惹かれたのです。普通には成立しないだろう展開を「アメリだから」という謎の説得力でぶち抜く展開が素敵でした
あわせて読みたい
【評価】映画『ゴジラ-1.0』(山崎貴監督)は面白い!迫力満点の映像と絶妙な人間ドラマ(米アカデミー…
米アカデミー賞で視覚効果賞を受賞した映画『ゴジラ-1.0』(山崎貴監督)は、もちろんそのVFXに圧倒される物語なのだが、「人間ドラマ」をきちんと描いていることも印象的だった。「終戦直後を舞台にする」という、ゴジラを描くには様々な意味でハードルのある設定を見事に活かした、とても見事な作品だ
あわせて読みたい
【あらすじ】原爆を作った人の後悔・葛藤を描く映画『オッペンハイマー』のための予習と評価(クリスト…
クリストファー・ノーラン監督作品『オッペンハイマー』は、原爆開発を主導した人物の葛藤・苦悩を複雑に描き出す作品だ。人間が持つ「多面性」を様々な方向から捉えようとする作品であり、受け取り方は人それぞれ異なるだろう。鑑賞前に知っておいた方がいい知識についてまとめたので、参考にしてほしい
あわせて読みたい
【あらすじ】映画『レザボア・ドッグス』(タランティーノ監督)はとにかく驚異的に脚本が面白い!
クエンティン・タランティーノ初の長編監督作『レザボア・ドッグス』は、のけぞるほど面白い映画だった。低予算という制約を逆手に取った「会話劇」の構成・展開があまりにも絶妙で、舞台がほぼ固定されているにも拘らずストーリーが面白すぎる。天才はやはり、デビュー作から天才だったのだなと実感させられた
あわせて読みたい
【感想】映画『ローマの休日』はアン王女を演じるオードリー・ヘプバーンの美しさが際立つ名作
オードリー・ヘプバーン主演映画『ローマの休日』には驚かされた。現代の視点で観ても十分に通用する作品だからだ。まさに「不朽の名作」と言っていいだろう。シンプルな設定と王道の展開、そしてオードリー・ヘプバーンの時代を超える美しさが相まって、普通ならまずあり得ない見事なコラボレーションが見事に実現している
あわせて読みたい
【あらすじ】映画『千年女優』(今敏)はシンプルな物語を驚愕の演出で味付けした天才的アニメ作品
今敏監督の映画『千年女優』は、ちょっとびっくりするほど凄まじく面白い作品だった。観ればスッと理解できるのに言葉で説明すると難解になってしまう「テクニカルな構成」に感心させられつつ、そんな構成に下支えされた「物語の感性的な部分」がストレートに胸を打つ、シンプルながら力強い作品だ
あわせて読みたい
【歴史】NIKEのエアジョーダン誕生秘話!映画『AIR/エア』が描くソニー・ヴァッカロの凄さ
ナイキがマイケル・ジョーダンと契約した時、ナイキは「バッシュ業界3位」であり、マイケル・ジョーダンも「ドラフト3位選手」だった。今からは信じられないだろう。映画『AIR/エア』は、「劣勢だったナイキが、いかにエアジョーダンを生み出したか」を描く、実話を基にした凄まじい物語だ
あわせて読みたい
【あらすじ】映画『四畳半タイムマシンブルース』超面白い!森見登美彦も上田誠も超天才だな!
ヨーロッパ企画の演劇『サマータイムマシン・ブルース』の物語を、森見登美彦の『四畳半神話大系』の世界観で描いたアニメ映画『四畳半タイムマシンブルース』は、控えめに言って最高だった。ミニマム過ぎる設定・物語を突き詰め、さらにキャラクターが魅力的だと、これほど面白くなるのかというお手本のような傑作
あわせて読みたい
【感想】どんな話かわからない?難しい?ジブリ映画『君たちはどう生きるか』の考察・解説は必要?(監…
宮崎駿最新作であるジブリ映画『君たちはどう生きるか』は、宮崎アニメらしいファンタジックな要素を全開に詰め込みつつ、「生と死」「創造」についても考えさせる作品だ。さらに、「自分の頭の中から生み出されたものこそ『正解』」という、創造物と向き合う際の姿勢についても問うているように思う
あわせて読みたい
【感想】映画『すずめの戸締まり』(新海誠)は、東日本大震災後を生きる私達に「逃げ道」をくれる(松…
新海誠監督の『すずめの戸締まり』は、古代神話的な設定を現代のラブコメに組み込みながら、あまりに辛い現実を生きる人々に微かな「逃げ道」を指し示してくれる作品だと思う。テーマ自体は重いが、恋愛やコメディ要素とのバランスがとても良く、ロードムービー的な展開もとても魅力的
あわせて読みたい
【あらすじ】アリ・アスター監督映画『ミッドサマー』は、気持ち悪さと怖さが詰まった超狂ホラーだった
「夏至の日に映画館で上映する」という企画でようやく観ることが叶った映画『ミッドサマー』は、「私がなんとなく想像していたのとはまるで異なる『ヤバさ』」に溢れる作品だった。いい知れぬ「狂気」が随所で描かれるが、同時に、「ある意味で合理的と言えなくもない」と感じさせられる怖さもある
あわせて読みたい
【天才】映画『リバー、流れないでよ』は、ヨーロッパ企画・上田誠によるタイムループの新発明だ
ヨーロッパ企画の上田誠が生み出した、タイムループものの新機軸映画『リバー、流れないでよ』は、「同じ2分間が繰り返される」という斬新すぎる物語。その設定だけ聞くと、「どう物語を展開させるんだ?」と感じるかもしれないが、あらゆる「制約」を押しのけて、とんでもない傑作に仕上がっている
あわせて読みたい
【驚異】映画『RRR』『バーフバリ』は「観るエナジードリンク」だ!これ程の作品にはなかなか出会えないぞ
2022年に劇場公開されるや、そのあまりの面白さから爆発的人気を博し、現在に至るまでロングラン上映が続いている『RRR』と、同監督作の『バーフバリ』は、大げさではなく「全人類にオススメ」と言える超絶的な傑作だ。まだ観ていない人がいるなら、是非観てほしい!
あわせて読みたい
【純愛】映画『ぼくのエリ』の衝撃。「生き延びるために必要なもの」を貪欲に求める狂気と悲哀、そして恋
名作と名高い映画『ぼくのエリ』は、「生き延びるために必要なもの」が「他者を滅ぼしてしまうこと」であるという絶望を抱えながら、それでも生きることを選ぶ者たちの葛藤が描かれる。「純愛」と呼んでいいのか悩んでしまう2人の関係性と、予想もつかない展開に、感動させられる
あわせて読みたい
【感想】湯浅政明監督アニメ映画『犬王』は、実在した能楽師を”異形”として描くスペクタクル平家物語
観るつもりなし、期待値ゼロ、事前情報ほぼ皆無の状態で観た映画『犬王』(湯浅政明監督)はあまりにも凄まじく、私はこんなとんでもない傑作を見逃すところだったのかと驚愕させられた。原作の古川日出男が紡ぐ狂気の世界観に、リアルな「ライブ感」が加わった、素晴らしすぎる「音楽映画」
あわせて読みたい
【衝撃】映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』凄い。ラストの衝撃、ビョークの演技、”愛”とは呼びたくな…
言わずとしれた名作映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を、ほぼ予備知識ゼロのまま劇場で観た。とんでもない映画だった。苦手なミュージカルシーンが効果的だと感じられたこと、「最低最悪のラストは回避できたはずだ」という想い、そして「セルマのような人こそ報われてほしい」という祈り
あわせて読みたい
【愛】ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の“衝撃の出世作”である映画『灼熱の魂』の凄さ。何も語りたくない
映画館で流れた予告映像だけで観ることを決め、他になんの情報も知らないまま鑑賞した映画『灼熱の魂』は、とんでもない映画だった。『DUNE/デューン 砂の惑星』『ブレードランナー 2049』など有名作を監督してきたドゥニ・ヴィルヌーヴの衝撃の出世作については、何も語りたくない
あわせて読みたい
【感想】映画『竜とそばかすの姫』が描く「あまりに批判が容易な世界」と「誰かを助けることの難しさ」
SNSの登場によって「批判が容易な社会」になったことで、批判を恐れてポジティブな言葉を口にしにくくなってしまった。そんな世の中で私は、「理想論だ」と言われても「誰かを助けたい」と発信する側の人間でいたいと、『竜とそばかすの姫』を観て改めて感じさせられた
あわせて読みたい
【感想】才能の開花には”極限の環境”が必要か?映画『セッション』が描く世界を私は否定したい
「追い込む指導者」が作り出す”極限の環境”だからこそ、才能が開花する可能性もあるとは思う。しかし、そのような環境はどうしても必要だろうか?最高峰の音楽院での壮絶な”指導”を描く映画『セッション』から、私たちの生活を豊かにしてくれるものの背後にある「死者」を想像する
あわせて読みたい
【認識】「固定観念」「思い込み」の外側に出るのは難しい。自分はどんな「へや」に囚われているのか:…
実際に起こった衝撃的な事件に着想を得て作られた映画『ルーム』は、フィクションだが、観客に「あなたも同じ状況にいるのではないか?」と突きつける力強さを持っている。「普通」「当たり前」という感覚に囚われて苦しむすべての人に、「何に気づけばいいか」を気づかせてくれる作品
あわせて読みたい
【評価】映画『シン・ゴジラ』は、「もしゴジラが実際に現れたら」という”現実”を徹底的にリアルに描く
ゴジラ作品にも特撮映画にもほとんど触れてこなかったが、庵野秀明作品というだけで観に行った『シン・ゴジラ』はとんでもなく面白かった。「ゴジラ」の存在以外のありとあらゆるものを圧倒的なリアリティで描き出す。「本当にゴジラがいたらどうなるのか?」という”現実”の描写がとにかく素晴らしかった
あわせて読みたい
【世界観】映画『夜は短し歩けよ乙女』の”黒髪の乙女”は素敵だなぁ。ニヤニヤが止まらない素晴らしいアニメ
森見登美彦の原作も大好きな映画『夜は短し歩けよ乙女』は、「リアル」と「ファンタジー」の境界を絶妙に漂う世界観がとても好き。「黒髪の乙女」は、こんな人がいたら好きになっちゃうよなぁ、と感じる存在です。ずっとニヤニヤしながら観ていた、とても大好きな映画
あわせて読みたい
【あらすじ】濱口竜介監督『偶然と想像』は、「脚本」と「役者」のみで成り立つ凄まじい映画。天才だと思う
「映画」というメディアを構成する要素は多々あるはずだが、濱口竜介監督作『偶然と想像』は、「脚本」と「役者」だけで狂気・感動・爆笑を生み出してしまう驚異の作品だ。まったく異なる3話オムニバス作品で、どの話も「ずっと観ていられる」と感じるほど素敵だった
あわせて読みたい
【傑作】濱口竜介監督の映画『ドライブ・マイ・カー』(原作:村上春樹)は「自然な不自然さ」が見事な作品
村上春樹の短編小説を原作にした映画『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)は、村上春樹の小説の雰囲気に似た「自然な不自然さ」を醸し出す。「不自然」でしかない世界をいかにして「自然」に見せているのか、そして「自然な不自然さ」は作品全体にどんな影響を与えているのか
あわせて読みたい
【矛盾】その”誹謗中傷”は真っ当か?映画『万引き家族』から、日本社会の「善悪の判断基準」を考える
どんな理由があれ、法を犯した者は罰せられるべきだと思っている。しかしそれは、善悪の判断とは関係ない。映画『万引き家族』(是枝裕和監督)から、「国民の気分」によって「善悪」が決まる社会の是非と、「善悪の判断を保留する勇気」を持つ生き方について考える
あわせて読みたい
【考察】映画『ジョーカー』で知る。孤立無援の環境にこそ”悪”は偏在すると。個人の問題ではない
「バットマン」シリーズを観たことがない人間が、予備知識ゼロで映画『ジョーカー』を鑑賞。「悪」は「環境」に偏在し、誰もが「悪」に足を踏み入れ得ると改めて実感させられた。「個人」を断罪するだけでは社会から「悪」を減らせない現実について改めて考える
あわせて読みたい
【映画】『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 劇場版』で号泣し続けた私はTVアニメを観ていない
TVアニメは観ていない、というかその存在さえ知らず、物語や登場人物の設定も何も知らないまま観に行った映画『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 劇場版』に、私は大号泣した。「悪意のない物語」は基本的に好きではないが、この作品は驚くほど私に突き刺さった
あわせて読みたい
【難しい】映画『鳩の撃退法』をネタバレ全開で考察。よくわからない物語を超詳細に徹底解説していく
とても難しくわかりにくい映画『鳩の撃退法』についての考察をまとめていたら、1万7000字を超えてしまった。「東京編で起こったことはすべて事実」「富山編はすべてフィクションかもしれない」という前提に立ち、「津田伸一がこの小説を書いた動機」まで掘り下げて、実際に何が起こっていたのかを解説する(ちなみに、「実話」ではないよ)
あわせて読みたい
【解説】「小説のお約束」を悉く無視する『鳩の撃退法』を読む者は、「読者の椅子」を下りるしかない
佐藤正午『鳩の撃退法』は、小説家である主人公・津田が、”事実”をベースに、起こったかどうか分からない事柄を作家的想像力で埋める物語であり、「小説のお約束を逸脱しています」というアナウンスが作品内部から発せられるが故に、読者は「読者の椅子」を下りざるを得ない
あわせて読みたい
【感想】映画『窮鼠はチーズの夢を見る』を異性愛者の男性(私)はこう観た。原作も読んだ上での考察
私は「腐男子」というわけでは決してないのですが、周りにいる腐女子の方に教えを請いながら、多少BL作品に触れたことがあります。その中でもダントツに素晴らしかったのが、水城せとな『窮鼠はチーズの夢を見る』です。その映画と原作の感想、そして私なりの考察について書いていきます
あわせて読みたい
【解説】テネットの回転ドアの正体を分かりやすく考察。「時間逆行」ではなく「物質・反物質反転」装置…
クリストファー・ノーラン監督の映画『TENET/テネット』は、「陽電子」「反物質」など量子力学の知見が満載です。この記事では、映画の内容そのものではなく、時間反転装置として登場する「回転ドア」をメインにしつつ、時間逆行の仕組みなど映画全体の設定について科学的にわかりやすく解説していきます
この記事を読んでくれた方にオススメのタグページ
ルシルナ | 映画と本の感想ブログ
おすすめの映画(フィクション)【映画の感想】 | ルシルナ | 映画と本の感想ブログ
このブログは、本と映画をベースに考えたことを綴っていますが、ここでは記事の中で取り上げた映画(フィクション)についてまとめています。
タグ一覧ページへのリンクも貼っておきます
ルシルナ | 映画と本の感想ブログ
記事検索(カテゴリー・タグ一覧) | ルシルナ | 映画と本の感想ブログ
ルシルナは、4000冊以上の本と500本以上の映画をベースに、生き方や教養について書いていきます。ルシルナでは36個のタグを用意しており、興味・関心から記事を選びやすく…
コメント