目次
はじめに
この記事で伝えたいこと
「常識的な考え方」に馴染めなくても、一歩ずつ前進していくことはできる
自分が間違ってる、劣ってるなんて思わずに生きていたいですよねぇ
この記事の3つの要点
- 「当たり前」に”合わせたくない”のではなく”合わせられない”
- コロナ禍で、誰もが「当たり前」から遠ざかった
- 「普通」に囚われず、かといって迎合もしないまま、進みたい方向に足を踏み出すために
私もまだまだ迷い中なので、大したことは言えませんけど
この記事で取り上げる本
著:花田菜々子
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はじめまして
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学校でも会社でも家庭でも、「こうするのが当然だよね」「こんな風にしないなんて考えられない」「あれ?◯◯しない人だっけ?」みたいな言い回しで、「普通」や「当たり前」が”強要”されます。非常に難しいと感じるのは、相手には「強要している」という意識はないということ。著者も本書で、そういう違和感をたびたび綴っています。
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まさかこちらが気分を害するとは思わず、何も考えずに、なんなら私が気づいていなかった危険点を教えてあげた、くらいの気持ちでいるのだろう。自分の方が世の中を知っていると思っているのだ
自分だってまさに出会い系サイトを使って著者と出会っているのにね
こういう人は、非常に不愉快ですが、どこにでもいます。
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肯定でも否定でもなく、色んな価値観が「存在する」って知ることはホント大事
とある出会い系サイトで本を勧めまくるまでの著者は、「ヴィレッジヴァンガード」という奇跡的な環境で穏やかに生きていられました。
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でも長年色んな人と関わってきて、多数派の人の多くにはこういう感覚は絶望的に伝わらないと感じてしまいます
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「当たり前」からの「ズレ」を誰もが意識させられるコロナ禍
著者は、夫との別居という環境の変化をきっかけに、自分がいかに特殊な環境にいたのかに気づき、何かを変えたいと思うようになります。しかし、
人生のほとんどをヴィレッジヴァンガードに捧げていて、もはや引き返し方もわからなくなっていた
というほど、「普通」から外れた環境で驚異的な適応をしてしまっているがために、どの方向に足を踏み出したらいいのか分かりません。
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ある意味では今、多くの人がこういう事態に直面していると言えるかもしれません。コロナウイルスの蔓延は、世界をあっという間に変えていきました。まさに緊急事態の中に我々は生きていますが、そういう時代においては、それまでの社会では許容されていただろう「余白」や「スキマ」や「余裕」みたいなものが失われてしまいます。
それはつまり、「普通」「当たり前」「常識」以外のものがさらりと打ち消されていく世の中でもある、と私は感じています。
「不要不急」って言葉は、結構いろんな行動を縛るしね
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前進のための一歩をどう踏み出すか
コロナウイルスがある程度収束してからでないと実践は難しいでしょうが、本書はまさに、その難しい一歩を後押しする本だと感じます。普通を遠ざけるでもなく、普通に迎合するでもなく、自分の中の「不要な思い込み」を崩して新しい価値観を取り込んでいく過程がとても丁寧に描かれていくからです。
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しかし、
みんなが不安定さを礼儀正しく交換し、少しだけ無防備になって寄り添ってるみたいな集まりだった
と表現する出会い系サイトでのやり取りを通じて、彼女はこんな風に変わります。
人の人生に一瞬でも関わって、その人の中に存在させてほしいとめちゃくちゃな強さで思うのかもしれない
他人事なんだけど、その変化に対して「良かったなぁ」と強く感じました
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出会い系サイトという、多種多様な人間と関われる空間に飛び込んでいき、それぞれの人の話を聞いて合う本を勧めるという変わった修行を続けた著者。相容れない価値観に出会った時や、この人にどんな本を勧めればいいのかと思案する時、それまで殊更に意識することがなかった自分の考えに触れることになり、著者は少しずつ変わっていきます。
著者と同じことをやれというのはほとんどの人にとって難しいでしょう。
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私もやったことがあるけど、即興で本を勧めるのはホント難しい
ただ、今自分がいる場所から、どの方向にどんな風に足を踏み出したらいいのかについては、読んで実感できるのではないかと思います。
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本の内容紹介
ここで改めて本の内容を紹介します。
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花田菜々子は彷徨っていた。夫との生活に限界を感じ、家を飛び出してきたからだ。深夜のファミレスや簡易宿泊所、スーパー銭湯、カプセルホテルと、様々な場所を転々とした。友人宅、という選択肢はなかった。「ヴィレッジヴァンガード」の店長をしていて休みは合わず、趣味が読書か書店巡りしかないこともあってそもそもよく会う友達がいないのだ。
放浪生活は長くは続かなかった。しかしその日々は彼女の何かを変えた。夫と話し合いをし、別々に住むことに決めた直後、彼女は「X」という出会い系サイトの存在を知る。「知らない人と30分だけ会って、話してみる」というサービスらしい。よく分からなかったがなんとなく登録をしてみた。
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そこで彼女は思いつく。そうか、この「X」で、あれをやってみたらいいんじゃないか。昔から漠然と頭の中にあったアイデアを、実行する時だ。
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本の感想
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著者もこんな風に書いています。
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凄く分かるなぁ、と思いました。男女だからという理由で、恋愛やセックスの方向にしか関係性が意識されないのはもったいないといつも感じています。
私の印象では、若い世代ほど「男女=恋愛」という感覚が薄れている感じがしていて、ある程度時間が経てばそういう時代が当たり前になってくるんじゃないかなと考えています。
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コミュ力モンスターへの変貌
著者は「X」と出会う以前こそ、
なんて狭い人生だろう。自分には何もないんだ
と考えていました。「ヴィレッジヴァンガード」という狭い世界だけで人生のほとんどが完結していて、友人も少なく、コミュニケーションに長けてもいませんでした。
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【不謹慎】コンプライアンス無視の『テレビで会えない芸人』松元ヒロを追う映画から芸と憲法を考える
かつてテレビの世界で大ブレイクを果たしながら、現在はテレビから完全に離れ、年間120もの公演を行う芸人・松元ヒロ。そんな知る人ぞ知る芸人を追った映画『テレビで会えない芸人』は、コンプライアンスに厳しく、少数派が蔑ろにされる社会へ一石を投じる、爆笑社会風刺である
しかし、「X」での武者修行を通じて、
だって無機質で居心地が悪いとしか思ってなかった街は、少し扉を開けたらこんなにも面白マッドシティだったのだ。なんて自由なんだろう。やりたいようにやればいいんだ。
と感じられるようになり、どんどんとレベルが上がっていきます。その過程も非常に面白いです。
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【漫画原作】映画『窮鼠はチーズの夢を見る』を異性愛者の男性(私)はこう観た。原作も読んでいます
私は「腐男子」というわけでは決してないのですが、周りにいる腐女子の方に教えを請いながら、多少BL作品に触れたことがあります。その中でもダントツに素晴らしかったのが、水城せとな『窮鼠はチーズの夢を見る』です。その映画と原作の感想を書きます
しかし一方で、こんな問題も起こります。著者が合コンに顔を出した時のことです。
正直「4対4で話すなんて、どんだけぬるいんだ」と思うくらい、人と会うことになったときの戦闘力が仕上がってしまっていた。「『学生時代の部活当てクイズ~』とかほんとどうでもいい! もっと斬り込みたい!」という気持ちでいっぱいになり、「これが1対1だったらこうやってこうやって斬り込めるのに……でも、この平和的空間を乱してはいけないんだろうな」と我慢し、ニコニコと話を聞いたり、ほどほどの平和なツッコミをして、合コンでの振る舞いを勉強して帰ることになった
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【言葉】「戸田真琴の生きづらさ」を起点に世の中を描く映画『永遠が通り過ぎていく』の”しんどい叫び”
『あなたの孤独は美しい』というエッセイでその存在を知ったAV女優・戸田真琴の初監督映画『永遠が通り過ぎていく』。トークショーで「自分が傷つけられた時の心象風景を映像にした」と語るのを聞いて、映画全体の捉え方が変わった。他者のために創作を続ける彼女からの「贈り物」
これも凄く分かるなぁ、と思いました。まあ著者とはちょっと違う理由なんですが。
私はそもそも、大人数での人間関係があまり得意ではありません。そういう理由もあって、学生時代はしんどかったのかなと思います。1対1で話す方が楽だと気づけるようになったのは、20代中盤ぐらいからだったでしょうか。1対1で話せば割とどんな相手でも結構深くまで斬り込んでいける、と分かってからは余計に、大人数での関わりへの苦手意識が強くなりました。
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【価値】どうせ世の中つまらない。「レンタルなんもしない人」の本でお金・仕事・人間関係でも考えよう…
「0円で何もしない」をコンセプトに始まった「レンタルなんもしない人」という活動は、それまで見えにくかった様々な価値観を炙り出した見事な社会実験だと思う。『<レンタルなんもしない人>というサービスをはじめます。』で本人が語る、お金・仕事・人間関係の新たな捉え方
というように、著者とはまったく違った生き方をしてきたはずなのに、感覚が非常に近いと感じます。ところどころ、私自身の話であるかのように感じる部分もあって、親近感を抱きました。
変な言い方だけど、こんな人でも生きていけるんだ、と思えて、多少の希望になります
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本書最大の特徴は、著者が作中で(実際には「X」で)実在の本を勧めていることでしょう。
ルシルナ
読書・本屋・図書館【本・映画の感想】 | ルシルナ
子どもの頃から現在までで4000冊以上の本を読んできましたが、本格的に読書を始めたのは20代前半からです。読む習慣をつけたり、どう本を選んでどう感想を文章にするのかに…
本の勧め方にもいろいろありますが、やはり一般的なのは、「この本は面白いから読んで」という本が主役になる紹介の仕方でしょう。しかし著者は、本ありきではなく、「この本は今のあなたに合うだろうから読んで」と勧める相手が主役の紹介をします。
もちろん、勧めた本がすべて相手にハマるわけではありませんし、ハマらなかった理由を分析しながら著者は少しずつ改善していくわけですが、やはりこの「相手に合わせて本を選ぶ」という特殊さは魅力ではないかと思います。
紹介されている本を読みたくなるでしょうし、また、自分でも本を勧めたくなるかもしれません。
河出書房新社
¥682 (2022/02/03 23:31時点 | Amazon調べ)
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最後に
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違和感を覚えてしまうような”強要”はさらりとかわしつつ、自分が良いと感じられる方向へと一歩踏み出すための勇気が手に入る作品だと思います。
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