目次
はじめに
著:二村ヒトシ
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ポチップ
この記事で伝えたいこと
究極的には、「自分のことをどうしたら自分で認められるのか」という話になっていきます
本書における「恋愛」や「セックス」の話は、「女性の人生の一部」ぐらいの要素だと思ってください
この記事の3つの要点
- 「あなたが悪いわけではない」と優しく寄り添ってくれる本
- 「『恋』と『愛』」の違い、そして「『ナルシシズム』と『自己肯定』」の違いから「心の穴」を説明していく
- 「『心の穴』は母親が開ける」という話は、親や子どもとの関係に悩んでいる人にも是非読んでほしい
「騙されたと思って読んでみてほしい」という”ありきたりな言葉”を使ってでも読んでほしいと思える作品です
この記事で取り上げる本
著:二村ヒトシ
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自己紹介記事
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また、知っている方もいるかもしれませんが、「二村ヒトシ」という著者、実はAV監督です。「AV監督が女性向けの生き方指南本を書いている」という時点で、「そんなんあり得ないわー」と手に取りたくなくなるかもしれませんが、是非、一旦その先入観は外してもらいたいと思います。
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本書の説明は多岐に渡りますが、まず何よりも、「言葉にするのが非常に難しそうな感覚を絶妙に言語化している」という点に驚かされるのではないかと思います。さらに、本書に書かれてているアドバイスが「すぐに実行できるくらい具体的」であることも特徴だと言っていいでしょう。世の中に存在するアドバイスの類には、「分かってるんだけれど、そんなこと簡単にはできない」と感じるものも多くあるだろうと思います。しかし本書のアドバイスは、「それなら出来るかもしれない」と感じさせるものではないかと感じるのです。
「著者がAV監督」という情報を知ってしまうと、読みたいという気分にはなかなかならないかもしれませんが、「騙されたと思って読んでみてほしい」という定型文でとりあえずオススメをしておこうと思います。
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著者は本書を誰に読んでほしいと考えているか
ではまず、ちょっと長いのですが、本書のまえがきに書かれている文章を引用してみましょう。これを読むと、「自分がこの本を読むべきかどうか」の判断の参考になるのではないかと思います。
あなたは「私のことを好きになってくれない人を、好きになっちゃう」とか「向こうから好きだって言ってくれる人は、なぜか、好きになれない」ことが多くありませんか?
「私は自分がキライ……。でも、そんな自分が大好き」って思うこと、ありませんか?
うまくいかない恋愛や、理想的な結婚ができないことや、そもそも出会いがないこと、そして自分を好きだったりキライだったりで心が不安定になることには、理由があります。
それは、あなたが「男運が悪いから」「性格が悪いから」では、ありません。「魅力がないから」でもありません。そういう単純な理由じゃないんです。
そして「あなただけのせい」でもありません。
(中略)
何年か前に、ある有名な女性誌のセックス特集で取材を受けました。内容は「男性を気持ちよくさせて女性も楽しめるテクニックを教えてほしい」というものでした。
とてもまじめに取材してくれて、僕が話したとおり文章にしてくれました。ところが、できあがって送られてきた雑誌を見た僕は「あれっ?なんか変だ」と感じたんです。
僕が話した言葉も含めて、そのセックス特集全体が「男性に飽きられないように、捨てられないために、セックスをがんばろう」という雰囲気になっていたからです。
それって「二人が愛しあって、セックスを楽しんでること」に、なるんでしょうか?
それから僕は、女性向けの「恋愛や結婚やセックスに関する記事」が、なんだか気になるようになりました。
よく読んでみると、そこにはかならず「愛されるファッション」とか「恋する女性は美しい」とか「モテの極意」とかは書いてあるんですが、恋愛の相手を「愛することができる女になろう」とは、どこにも書いていないんです。
(中略)
あなたが苦しいのは、あなたが悪いからではありません。
でも残念ながら、他の誰かが「なんとかしてくれる」わけでも、ありません。
この本では恋の苦しさの秘密をひとつひとつ解きあかして、あなたが幸せを感じられるようになるための手助けをしていきます。
「どうしたら幸せになれるのか」の秘密が、きっと、わかると思います。
いかがでしょうか? 「なんとなく漠然とイメージしていたような方向性」とは異なる印象なんじゃないかと思います。
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「ある意味で」ではあるんだけど、「AV監督が書いている」っていう情報が「意外」って感覚を生みもするって要素もあるよね
「AV監督」って肩書きは、本書を手に取るまでは”障害”だけど、手に取った後は逆に”プラスの情報”になる感じかな
ここで少し、私自身の話を書こうと思います。この記事を書いている人間がどういうスタンスなのかを理解することも、この記事全体の受け取り方に影響するだろうと考えているからです。
私は基本的に「女性の中にいる方が楽」と感じるタイプの人間です。LGBT的な部分は一切なく、「男性として女性が好き」な人間ですが、その一方で、「男の中にいるとどうもしっくりこない」とも感じます。女性と話している方が感覚的に合うという印象が強く、女性の側もそう思ってくれることが多いのか、女子会に呼ばれる(女性の中に男は私だけという場に声が掛かる)ことも結構あるという感じです。基本的に友人は女友達ばかりで、恋愛関係なく女性と2人で飲みに行きます。
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女性との会話の中で、「(自分が男であるという事実は一旦棚に上げて)男ってこういうところが変・おかしい・間違っている」みたいな話をすると、共感してもらえることが多いです。自分ではなんとなく、「感覚が女性寄りなのだ」と考えています。
もちろん、周りの女性がただ私に話を合わせてくれているだけという可能性はあるし、こういうエピソードをどれだけ積み重ねたところでなんの証明にもならないなんてことはわかっているつもりです。ただ、とりあえずこの記事では、「私も男ではあるけれども、男の感覚に違和感を覚えることが多いこともあり、『男ってダメだよね』というスタンスを貫く」と宣言しておきます。「なんだこいつキモッ」と思われた方はここで読むのを止めていただくと良いでしょう。
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ホントに、「普通の男性よりは『女性の感覚』が分かると思っている」という情報を自分の意図した通りに伝えるのは難しい
女性が男性のいないところで男の悪口をメチャクチャ言っているのも知ってるから、「自分も陰でボロクソ言われてるかも」って感覚はずっと抜けないしね
さて、本書は間違いなく女性向けの本ですが、「男性がこういう視点で読むのもアリ」という主旨の文章もあります。
この本は、恋愛やセックスに悩む女性のための本ですが、そんな女性のことを好きになってしまったマジメで不器用なモテない男性にも、そういう女性たちを苦しませながらセックスをしつづけてきて「そろそろ、そういうの卒業して大人にならないと、自分の人生もヤバい……」と思い始めている不マジメなのにモテる男性にも役立つ本です。
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本書は「男性が女性の気持ちを代弁した“つもり”の本」であり、そのことを頭の片隅に入れておく必要はありますが、それでも、「この本に書かれているような女性もいる」と理解して行動することは、男性にとってもプラスになるでしょう。「女性として生きることの困難さ」みたいなものを、男性はなかなか理解できません。私も、自分の周りにいる男性の言動から、「女性に対してその程度の認識・理解しか無いのか」と驚かされることはありますし、そう思う度に「女性が感じる息苦しさみたいなものはまだまだ無くならないのだろう」と実感させられます。
女性がどのような葛藤の中で生きているのか、そして、意識的にしろ無意識的にしろ、その葛藤に「男性性」はどう影響を与えてしまっているのか、そのようなことを理解するために、男性にも読んでほしいと感じました。
男ってホントに、「男として生きているだけで女性にある種の圧力を与えている」ってことに全然気づかないからね
それを理解せずに「男と女は対等」みたいな理屈で話を進める人もいるしなー
それでは内容に触れていきましょう。
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あなたの「恋」、こんな状態に陥っていませんか?
第1章は、「女性の恋愛はこういう状態に陥ってしまいがちではないか」という現状を整理する内容となります。著者が挙げる例をいくつかピックアップしてみると、
- 自分のことを愛してくれない人にばかり惹かれてしまう
- 自分にダメ出しをしてくる男性に「男らしさ」を感じて惹かれてしまう
- 相手に尽くしすぎて辛くなってしまう
- 「傷つけられる」という感覚にならなければ「恋愛の実感」を持てなくなってしまう
という感じです。「分かる」「自分もそうだ」と感じる方、いるのではないでしょうか。そして著者はこの状況を、「恋」と「愛」の違いを踏まえてこんな風に説明します。
自分のして欲しいことを要求したり、愛されるために無理して相手の要求をのんだりして、やがて傷ついていくのが恋です。
「私のやりたいことが、彼のして欲しいこと」に、「彼のやりたいことが、私のして欲しいこと」に、なっていくのが愛です。
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そして、先程挙げた「女性の恋愛における辛い状況」は「恋」のままで留まっているからこそであり、それは「愛」ではない、と主張するのです。
この「『恋』と『愛』の違いの説明」、結構好きなんだよなぁ
恋というものは、いつかかならず「終わる」のです。恋のままで一生つづくということは、ありません。
一緒にいると傷つくことの方が多い相手だとわかって「恋がやぶれる」か。
おたがいを肯定しあえて「恋が愛に変わる」か。どちらかです。
「愛」に辿り着くために「恋」を経なければならないわけですが、「恋」の段階で躓いていると「愛」にはたどり着けないわけです。だからこそ、「今の『恋』は『愛』に行き着くだろうか?」と考える必要があると著者は主張しています。
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どうしてそんな「恋」になってしまうのか?
それでは、「恋」が上手くいかない理由は何なのでしょうか。著者はそれを「ナルシシズム」と「自己肯定」という言葉で説明しています。
「ナルシシズム」も「自己肯定」も、大きく括れば「自分のことを好きになること」です。しかし違いもあります。そしてそんな異なる2つの折り合いを上手くつけられないからこそ、「恋」が上手くいかないのだと著者は語るのです。
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著者は、「ナルシシズムとは『自分に恋をしていること』」「自己肯定とは『自分を認めて愛してあげること』」だと説明します。
「私は自分が好きなのに、同時に、すごく自分がキライ」と思ったこと、ありませんか?
これは矛盾しているようですが(そしてあなたは「私って、なんて『あまのじゃく』なんだろう」と思いつづけてきたことでしょうが)じつは矛盾してないんです。
あなたが「自分を好き」なのはナルシシズムの意味で好きなのだし、
「自分を嫌い」なのは自己肯定できていないという意味で嫌いなのです。
「こういう感覚、分かる」という方、割といるのではないかと思います。
「自分に自信がないわけじゃないのに、なかなか自信が持てない」みたいな矛盾を抱えている人はいるよね
そしてその上で著者は、「恋」が上手くいかない理由を、
今の自分を認めていないのに、ナルシシズムが強すぎる。
からだと指摘するわけです。
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例えば、「好きな男性から好意を向けられると逃げたくなる」という感覚が理解できてしまう方もいると思いますが、これについて著者はこんな風に説明しています。
あなたが恋している男性は、彼が「あなたを愛さないでいる」かぎり、理想の男性であり続けるでしょう。
ところが、もし彼が「今のあなた」を愛し始めてしまったら?
たとえ、彼がどんなにイケメンで、お金持ちで、優しかったとしても、あなたが自分を愛せないでいるかぎり、やがて彼から逃げ出したくなってしまうはずです。
つまり、「『私自身が愛せていない私』を愛してもらうこと」への違和感に耐えられない、というわけです。ここには、「適切な形で自分を好きになれていない」という問題があることになります。
こういう話も、周りにいる女性から結構聞くことあるんだよなぁ
初めはまったく分からなかったけど、色んな話を聞く内に理解できたような気がしてる
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あなたが「今の自分」を好きになれなくて(自己肯定できなくて)、あなたに恋してくれる人を愛せないのは、なぜでしょう?
それは、あなたが「今より、もっと幸せになりたい」と願いつづけていることに原因がありそうです。
もちろん「幸せになろうとする」のは悪いことではありません。ただ、ここでちょっと考えてみてほしいのは、あなたが思う「もっと幸せ」が、いったいどんな幸せなのか、ということです。
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自分の気に入らない部分(容姿や性格や、現在の生活など)を受け入れられないあなたは「理想の彼の隣にいる、未来の自分」に、憧れているのではありませんか?
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ではどうすればいいのでしょうか?
「恋」では「心の穴」は埋まらない
第3章では、「心の穴」という言葉が出てきます。そしてこの「心の穴」という考え方で、「ナルシシズム」「自己肯定」をより深く解き明かしていこうと試みるのです。
まず著者は、「誰もが『心の穴』を抱えていて、それを埋めたいと考えている」と主張します。「心の穴」なんか無いという方もいるでしょうが、そういう人は本書や本記事を読もうと思わないはずです。なので、ここまでこの文章を読んでくれている方は皆、「心の穴」を持っていると考えていいでしょう。
著者は「心の穴」についてこんな風に説明しています。
自分の心のまんなか、あなた自身の中心に「ぽっかり、穴があいている」のをイメージしてみてください。
あなたの「生きづらさ」や「さみしさ」、劣等感、不安、嫉妬、憎しみ、罪悪感といった、自分ではコントロールすることができない感情や考えが、その穴から湧いて出てきているのを想像してみてください。
それが、あなたが埋めようとしている穴です。
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船の底に穴が空いていて、そこから水が染み出しているみたいなイメージをしてもらえたらいいと思います。とても「良い」とは言えない状態でしょう。しかしこの「心の穴」、決して悪いだけのものではありません。
心の穴から湧いてくるものは、ネガティブな感情だけではありません。他人から見たあなたの魅力も、やはり心の穴から生まれてきます。
確かに私は、その人が持つ「心の穴」に興味・関心を抱くことが多いから、凄く分かる
本人としては「埋めたい」と思うほど邪魔なものでしかないのですが、他人から見たらその「心の穴」こそが魅力の源泉だったりもするというわけです。もちろん、どうしてもそんな風には感じられないという気持ちは分かりますし、やはり「『心の穴』なんか塞いでしまいたい」と考えるのが自然でしょう。
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しかし著者は、「恋愛で『心の穴』を塞ぐことは不可能だ」と断言します。
心のどこかで、そう思いながら恋をしているとしたら、あなたは自分の心の穴を忘れたくて、恋の相手を穴の中に詰め込もうとしているのです。
でも、どんな相手であっても、現実に生きている一人の人間である以上、あなたの心の穴にピッタリはまって、ふさいでもらうのは不可能です。
恋愛することで「さみしさ」を感じなくなるのも、自分のネガティブな部分を忘れて「より良い自分」になれたと思えるのも、錯覚にすぎません。
むしろ、心の穴を埋めるために恋愛をしていると、かならず「しっぺがえし」をくらいます。
「心の穴を埋める」ということは、自分が自分を肯定していないのをごまかして、苦しみを相手のせいにすることだからです。
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確かに、あくまでも勝手な印象に過ぎないけど、「自己肯定感が低い人ほど、恋愛にのめり込んでしまう」ように見える
恋愛は「分かりやすく肯定される経験」ではあるけど、根本的な解決にはならないってことよね
「心の穴」の形は人それぞれ違うのだから、それを「恋愛相手」の存在で埋めるのは、よほど奇跡的な出会いでもない限り難しいというわけです。ではどうしたらいいのでしょうか?
結局のところ、「『心の穴』を埋める」という考えを捨てるしかないということになります。
あなたが「自己肯定できるようになるために、するべきこと」は、恋人の存在を使って心の穴をふさごうとすることではなくて、まず「自分の心の穴のかたちを、ちゃんと知ること」です。
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かたちが分かってくれば、やがて心の穴は、あなたを以前ほどには苦しめなくなっていくはずです。
それは「自己肯定できるようになっていく」ということなのです。
「心の穴」はそもそも「塞ぐ」「埋める」ものではなく、「それが何なのかを理解して共存する」ものだというわけです。
そしてさらにこんな風にも書いています。
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幸せそうな人には、心の穴がないように思えるかもしれませんが、そうではありません。自分を愛すること(肯定すること)ができてる「幸せそうな人」とは、自分の心の穴を塞いだり無理にコントロールしようとしたりせず、おりあいをつけている人なのです。
どんなに恵まれたように見える人にも、その人なりのコンプレックスは必ずあるものです。完璧な人はいませんし、「完璧に見える人」がいたとしても、外からはそう見えるというだけで、本人は「完璧」だなんてまったく思えていないなんてことは当たり前にあります。
パッと見では「リア充」みたいに思える人が、メチャクチャ生きづらさを抱えているみたいなのも周りで結構聞くし
失礼な言い方だけど、「この見た目なら、もっと自信満々で生きられるだろうに」みたいに感じちゃう人、いるよね
基本的には誰もが「心の穴」を持っているはずなので、幸せを感じられるかどうかは、「その『心の穴』とどう関わっているか」にかかっているというわけなのです。
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そして著者は、この「心の穴」という捉え方を使って「恋」を説明していきます。
あなたが「彼に恋をした」ということは、あなたが「彼にあいている心の穴に、反応した」ということです。
彼の特徴で、あなたが「気に入ってる」か「気になってた」ところは、あなたが自分で気づいていない「自分に『ない』と思ってる」ところか「自分と似た」ところです。
これはつまり、「自己肯定」のためだけではなく、「恋愛」的な観点からも、自分の「心の穴」の形を知ることは重要だ、という主張です。自分の「心の穴」の形によって、どんな人に惹かれるかも決まってくる、というのですから。そして結局、「心の穴」の形をちゃんと認識できずにいると、
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あなたが人から「恋されるけど(または、セックスは求められるけど)愛されない」としたら、あなたが「自分に恋していて、自分を愛せていない」からです。
「自分自身に恋しているけれど、自分自身を愛していない人」は、相手から恋」されますが愛されることはありません。
人間は、自分で自分をあつかっているようにしか、他人からあつかわれないのです。
という状態に陥ってしまうでしょう。自分を的確に認識し扱うことが、他人との関係性においても重要になってくると理解できるのではないかと思います。
「何かで塞いだりできない『心の穴』を恋愛で埋めようとするから上手くいかなくなる」って説明は分かりやすいよね
「そんな風に考えたことなんてなかった」って感じる人、結構いるんじゃないかなぁ
では、「心の穴」はどのようにして空いてしまうのでしょうか?
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本書で「心の穴」の要因として挙げられているのが「母親」です。この辺りからもはや、「恋愛」の話ではないと言っていいでしょう。そしてだからこそ、「母親との関係に悩んできた人」や「子育てに苦労している人」にも読んでほしいと感じます。女性が抱える「心の穴」は、母親からかけられたある種の「呪い」みたいなものであり、そう理解することで気持ちが軽くなると思うからです。
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そしてこう理解することによって、著者は、「一旦すべて親のせいにしよう」と提案します。「心の穴」と直接向き合うのは非常に難しいので、「自分じゃなくて親が悪いんだ」と考えることでその困難さを軽くしようというわけです。
親を疑ったことのない人も、親を憎み続けている人も、自己肯定できなくて恋愛で苦しんでいるとしたら「自分の心の穴のかたちが見えていない」という点では同じです。
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親を疑ったことのない人は「自分が自己肯定できない原因が、親にある」とは夢にも思っていませんから、ただただ「穴から出てくる劣等感・罪悪感・さみしさ・恋の相手への怒り」に苦しめられるだけで、そのみなもとの穴のかたちまでは気がつきにくいかもしれません。
しかし、あなたの親がどんなに「やさしい親」で「すてきな両親」だったとしても、たとえ「ものすごく苦労して、あなたを育ててくれた」のだとしても、親は、あなたの心にかならず穴をあけています。
親との関係が良好だとしても、結果として親に「心の穴」を開けられていることに変わりないというわけです。そのことを正しく認識することで、「問題をどう捉えるべきか」を把握しやすくなるだろうと思います。
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どうしたら「良いセックス」ができるのか?
さて、このような点を踏まえた上で、著者は「セックス」についても言及していきます。「セックスで満たされない」と感じている女性に向けて、その理由を説明していくのです。
そしてここにもやはり「心の穴」が関係してきます。
恋した相手と「セックスできた」のに、こんなふうに苦しんでいる女性が多いようです。それは、男に「相手を傷つけてしまう心の穴」があいているのと同時に、彼女が自分の体やセックスを「恋愛のエサ」にしていたからです。
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自分を肯定してくれるかどうかわからない相手に、肯定してもらう(愛してもらう)ためにエサとして体だけを毎回おそるおそる差し出していたら、それは精神的に不安定にもなるし、気持よくないにきまっています。
「エサ」という言葉は非常に直接的ですが、とても分かりやすいのではないかと思います。
この点に関しては、男である私にはとやかく言う権利はない感じがするかな
この背景には結局、「男がセックスばっかり求めている」っていう前提があるだろうからね
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先の説明は、「セックスで満たされない理由」ですが、著者はさらに「セックスで満たされた気になる危険性」についても触れています。
セックスというのは、ただ身体が接触するだけではなく「心の穴に触ってもらえて、それを一瞬ふさぐことができたような気がする」ことです。肯定しあえている相手と、おたがいの心のかたちを触りあい、おたがいの欲望を肯定しあうから、体だけじゃなく、心も気持ちいいんです。
忘れてはならないのは「セックスで心の穴がふさがったような気がする」のは、あくまでも「その瞬間、そんな気がする」だけだということです。
どんなに愛しあえて、理想的なセックスができて、その瞬間は満たされたとしても、それであなたの「劣等感」や「さみしさ」が永遠に消えるわけではありません。
だから「穴をセックスでふさごう」とは考えない方がいいのです。
「『心の穴』がふさがったような気になれる」というのは確かにその通りかもしれません。「相手の『心の穴』に反応する」から「恋」が始まるというのであれば、セックスによってお互いがお互いの「心の穴」に触れることで、「塞がった」という錯覚に繋がるというのは理解できる気がします。ただやはりそれは「錯覚」にすぎず、永遠には続かないわけです。
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「『心の穴』がふさがったような気がする」という「錯覚」を追い求めてセックスを繰り返してしまえば、結局のところ「セックスでは満たされない」という感覚に繋がってしまうことにもなるでしょう。
「『心の穴』を埋めるためにセックスをしている」のだとしたら、その内「セックスという行為」自体が虚しくなる気がする
そのまま、ある種の「依存症」みたいなことになっちゃうと、なかなか後戻りも出来なくなるだろうし
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セックスの醍醐味は「彼が、私の行為と私の体で、気持ちよくなったこと」が私に伝わることであり、「私が、彼の行為と体で、気持ちよくなったこと」が彼に伝わることです。
つまり結局のところ、「『心の穴』は埋まらない」と正しく認識できるかが重要なのであり、セックスも「『心の穴』を塞ぐためのもの」と捉えてはいけないというわけです。そしてそうあるためには、「いかにして『自己肯定』するかが大事」だということになります。これが本書の一貫した主張です。
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ルシルナ
苦しい・しんどい【本・映画の感想】 | ルシルナ
生きていると、しんどい・悲しいと感じることも多いでしょう。私も、世の中の「当たり前」に馴染めなかったり、みんなが普通にできることが上手くやれずに苦しい思いをする…
ルシルナ
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