目次
はじめに
この記事で伝えたいこと
「ことば」でしか人生を支えられない人もいる
鳥居は、そんな人のために、ボロボロになりながら「ことば」を生み出していきます
この記事の3つの要点
- まともに義務教育を受けられず、ホームレスのような生活をしていた少女
- 「短歌」と出会ったことで、誰かを支える側に周りたいと決意する
- 過去の辛い経験を恨まず、相手の立場に立って考える
強靭な過去を持つ鳥居の言葉には、とても惹かれてしまいます
この記事で取り上げる本
著:岩岡 千景
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そして、眠る時には、“明日目が覚めたら何もかも元通りになっていて、お母さんが元気になっていますように”と祈りながら眠りました。眠りから覚めた時も、しばらく目を閉じたままでいて、“何事もない、すべてがいつも通りの日常にもどっていて、お母さんが「朝ごはん、できたよー」って呼びにきてくれる”よう祈っていました。目を開けて、昏睡状態の母と、その現実に向き合うのが怖かったんです
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鳥居の母親は自殺しました。そして、母親が死んでいく様を、彼女は為す術もなく見ていることしかできませんでした。「救急車を呼んだら怒られる」と思い、信頼できる大人も思い浮かばず、死に向かっていく昏睡状態の母親と、何日か共に過ごしました。
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理由なく殴られている理由なくトイレの床は硬く冷たい
彼女はその後、施設で過ごし、その施設でいじめに遭います。高熱が出た時に「他の人に移らないように」と何日も倉庫に閉じ込められたり、年上の女の子から熱湯をかけられたりしました。
つらい経験から、中学校は不登校となり、義務教育をきちんと受けることができませんでした。彼女は、拾った新聞で字を覚えました。未だに、「2割引」「10%オフ」の意味が分からないといいます。鳥居は、セーラー服を着て歌人としての活動を行ってますが、それは、小中学校の勉強をやり直す場がほしい、という気持ちを表明しているそうです。貧困など様々な理由から、きちんと学校に通えなかった子がいるのだと、世間に知ってもらうためでもあります。
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16歳からアルバイトをして生活をしていますが、その後も、親類から酷い嫌がらせを受けてDVシェルターに逃げ込んだり、里親から追い出されてホームレスになったりと、多くの人が経験しないだろう厳しい環境の中で生きてきました。
鳥居は、医者から就業を禁止されるほど重度のPTSDを患っています。過去を振り返ってみても、いつ死んでもおかしくはなかったでしょうし、お金の面でも心の面でも日々辛い生活を送っているのです。
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そんな中で彼女は、「短歌」と出会います。
蛇足だけど、私も一時期、趣味で短歌をやってたことがあります
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「ことば」が人生を支える
でも、どれも全部自分でも考えていたことばかりで、「将来どうするか」をいちばん不安に思っているのも自分でした。
「将来どうするのか、仕事にも就けず、社会でもやっていけないのなら、死ぬしかないのかな」と考えたことも、何度もありました。
未来は真っ暗で、何の夢も希望もないように思えていました。
このため諭されるたびに、「心が引き裂かれるようでつらかった」といいます
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鳥居と比べればまったく辛い人生ではなかった私ですが、彼女の感覚は少しは分かるつもりです。私も、「社会で上手くやっていけない」と未だに感じていますし、その度に、「生きていくのは無理かなー」という気分になります。昔ほど深刻にそう感じる機会は少なくなっていますが、「未来は真っ暗で、何の夢も希望もないように思えていました」という気持ちは、程度は全然違うでしょうけど、私の中にも常に巣食っています。
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そんな彼女にとって「短歌」は、特別な意味を持つものになります。
それらの短歌と出会って以来、鳥居にとって、短歌は“目の前の「生きづらい現実」を異なる視点でとらえ直すもの”になりました。
自分を否定しなくて済む「居場所」となったのです。
「人が生きていくには、現実以外の場所が必要。だからみんな、映画を見たり、ディズニーランドやユニバーサルスタジオに行ったりするんだと思うんです。私にとって生きていくのに必要な別の場所は、短歌や本の中にありました」
私自身は「短歌」にそこまでのものを感じませんでしたが、しかし、「ことば」に支えられてきたという意味では非常に共感できます。「短歌」という形ではありませんが、私も、自分の考えていることや感じていることを「ことば」に変換して表に出すことで、自分をなんとかこの世界に繋ぎ止めてきた感覚があるのです。
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本を読んだり、文章を書いたりする人生じゃなかったら、もっと早く詰んでた気がする
確かに、そういうこと何もしてない人生だったとして、あんたは何してただろうね? って感じるわ
心動かされる“短歌”と出会ってから、鳥居はその世界や技法を学ぶことに、少しずつのめりこんでいくことになります。
そしてその“学びたいという欲求”こそが、次第に、長らく暗闇にいた鳥居を導くかすかな光、生き抜いていくためのよすがとなっていくのです
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鳥居は未だに「なぜ生きていないのか分からない」と語ります。そうでしょう。私も同じ感覚です。「生きなければならない」という切実さは、自分の内側からはどうしても出てきません。そういう中で、自分という命をどうやってこの世界と接続させておくかは、本当に難しい問題だといつも感じています。
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だから、鳥居が「短歌」と出会ってくれて良かったなと思うのです。
結局私は、38歳になっても、鳥居にとっての「短歌」のような切実さを感じられるものに出会えてないなぁ
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「ことば」で誰かを支えたい
そして、信じられないほど辛い経験をしてきた鳥居は、「短歌」と出会い、自身の経験を「ことば」で昇華できるようになったことで、別の誰かのためになれたらいい、と考えるようにもなります。
そして、そうした「境界を越える力」を持つほかの多くの芸術のように、自分が作る歌にも、人を惹きつけて、異なる世界を行き来できるような力を宿したいといいます。
なぜなら、「亡くなった母や友達、またかつての自分のように“自殺したいと思ってしまった人”を踏みとどまらせるには、力づくで生の側へ引きもどそうとするのではなく、その人を取り巻いている「死の世界」とでもいうべき場所にまで潜って行って、一緒にもどってくるという手つづきを踏えなければならないと思うから」です
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鳥居は凄いなぁ、と感じました。
私の中にも、「誰かにとって何か支えになれる存在になれたらいい」という気持ちはずっとあります。昔からずっと、自分の興味・関心のためにはなかなか努力ができないことが分かっていて、自分の時間や才能みたいなものを、自分以外の何かのために注力できたらいいなと、結構いつも真剣に考えています。
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でも、それはなかなか難しいものです。
結局、「自分一人のことでいっぱいいっぱいになっちゃう」んだよね
ボランティアとかを一過性ではなく継続的にきちんとやり続けられる人って、ホント凄いと思う
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以前友人の女性が、こんなことを言っていたことを思い出します。その人はBLのマンガが大好きなのですが、仮にBLのマンガが世の中から消えても、たぶん生きていけるそうです。けど例えば、バスに乗ってて窓から外を見た時に一瞬だけ捉えられるなんか凄くキレイだなって感じる瞬間(月に1回ぐらいあるらしい)がなかったら、たぶん生きていけないと思う、と言っていました。
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凄く印象的な言葉だったので覚えているのですが、鳥居が言っていることもこれに近いのかもしれません。人間が「あー、生きるか」と感じるのは、案外とても些細なことで、鳥居にとってそれは「短歌」でした。だから、「短歌」のような文学や芸術に触れることが、生きるための力になる人もいるだろうし、だったら自分が作る「短歌」もそういうものとしてこの世界に存在できるかもしれない、と彼女は考えるのです。
私も、この「ルシルナ」も含めて、これまで続けてきたブログは、「結果的に誰かのためになったらいいな」とは思ってるんだけどなぁ
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創作への恐怖
しかし鳥居にとって、「創作」というのは容易な行為ではありません。
「複雑性PTSD」という障害がある鳥居にとって、人と接すことはただでさえ怖いのですが、短歌を発表するということは、心の奥底をさらし、無防備に人の批判にさらされる危険と隣り合わせです
このため、創作を始めてからは怖さとの戦いの連続でもありました
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私は、ただでさえ辛い人生を歩んできたのだから、さらにそんな辛さを背負わなくてもいい、と正直感じてしまいます。しかし鳥居は、芸術を支えにしか生きられない自分のような人が世界の片隅で震えていることを知っているからこそ、辛い「創作」と向き合います。
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それは、「自身が創作すること」だけに留まりません。
そして、全国短歌大会で自作の短歌が入選した2012年の暮れ。鳥居は大阪・梅田の駅に立っていました。
手にしていたのは、ダンボール箱の切れはしに、「生きづらいなら短歌をよもう」と書いたプラカード。
それを掲げて「短歌、面白いですよ」と道ゆく人に話しかけました。引きこもりがちで人が苦手な鳥居にとって、それは「短歌を広めたい」一心でした必死の行動でした。
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目的に対して最短距離に見える道をまっすぐ進んでいく感じは、凄くいいよね
鳥居には、「ことば」を下支えする経験があり、「ことば」を生み出したいという欲求があり、さらに「ことば」で誰かを救いたいという願いがあります。
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だから、鳥居の「ことば」はとても強いのです。私は、鳥居の言葉に、強く惹かれてしまいます。
芸術の世界に身を置いていないと、芸術というのはどんどん「ビジネス的なもの」に見えてしまうだろうと思います。「表現したい」という欲求から芸術は生まれるものでしょうが、多くの場合、世間で大きく取り上げられる「芸術」は、その欲求よりも、「いくらで売れたか」という商業的な情報だったりするからです。
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だから、鳥居が持っているような「欲求」が芸術の背景にあると感じられる時、その芸術に強さを感じます。
同賞の選者である作家の星野智幸さんは、鳥居の作品の最後の一文を「凄絶な言葉」だとコメントしました。
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まあ、無い人の方が多いんじゃないかって気もするけどね
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過去の辛い経験を恨まない
鳥居の凄さは、辛かったはずの自分の経験を、決して悪く捉えていないということです。
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メディアでは、私の過去のつらいエピソードばかりもとめられがちですが、そこで話すことはほんの一面にすぎなくて、私のお母さんはとてもいいお母さんでした。本を読んでくれたり、お菓子をたくさん買ってきてくれたり。よく「今までたいへんだったね、これからは幸せになるよ」といわれるのですが、私は自分の人生が不幸だったとは思わないんです。母や、祖父母からたくさん、かけがえのない良い思い出を与えてもらいましたから
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確かに、「家族」というのはやはり特別な関係だろうし、客観的に捉えられる事実と、それぞれの内面に刻まれた感情にズレが生じることもあるだろうとも感じます。時間の経過とともに良かった記憶の方がさらに鮮明になるということもあるでしょうし、辛く当たられていたけれどずっと一緒にいた母親に対しての想いがプラスなものであるというのは、理解できる気もします。
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私も、子どもの頃は家族に対して様々にモヤモヤを抱えてたけれど、時間と共に薄れていったしね
しかし、こんなことも言っています。
私は自分が入っていた施設や、そこにいた先生、子供たちを誰ひとり恨んではいません。なぜなら、暴力やいじめをする子にも、そうした行動をとる何らかの理由があったんだろうと思うし、先生も朝の忙しい時間に一人で何十人もの子を世話しなきゃいけなかったりして、「虐待は子どもも大人も追いつめられていた結果」だと思うからです。人知れずそうした状況があり、今も苦しんでいる子がいるであろうことを、一人でも多くの人に知ってほしいと思います
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私は虐待やいじめを経験したことがないので分かりませんが、誰もがこんな風に捉えられるわけではないでしょう。やはり、恨んだり怒りに打ち震えたりすることの方が多いのではないかと感じます。
そういう環境でも、「そうした行動をとる何らかの理由があったんだろうと思う」と、相手の立場に立って自分の経験を受け止めることができるというのは、なかなかできることではないと感じました。
そういう点でも、鳥居という女性に対して凄みを感じさせられます。
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辛い経験は、無いに越したことはありません。しかし、そういう辛い境遇の中で生きざるを得ない人もたくさんいるでしょう。
誰かの人生に他人がとやかく言う権利があるとは思っていませんが、鳥居の人生を知ることで、自身の辛い経験を何かの形で昇華する生き方を視界に入れることができるのではないかと感じます。
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美醜で判断されがちな”ルッキズム”の世の中に刃を突きつける小説『自画像』。私自身は、「キレイな人もキレイな人なりの大変さを抱えている」と感じながら生きているつもりだが、やはりその辛さは理解されにくい。私も男性であり、ルッキズムに加担してないとはとても言えない
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「相談に乗る」とは、「自分の意見を言う行為」ではない。相談者が”本当に悩んでいること”を的確に捉えて、「回答を与えるべき問いは何か?」を見抜くことが本質だ。『哲学の先生と人生の話をしよう』から、「相談をすること/受けること」について考える
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「北九州連続監禁殺人事件」という、マスコミも報道規制するほどの残虐事件。その「主犯の息子」として生きざるを得なかった男の壮絶な人生。「ザ・ノンフィクション」のプロデューサーが『人殺しの息子と呼ばれて』で改めて取り上げた「真摯な男」の生き様と覚悟
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旅行者として東日本大震災で被災した小説家・彩瀬まるは、『暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出』でその体験を語る。「そんなこと、言わなければ分からない」と感じるような感情も包み隠さず記し、「絶望的な伝わらなさ」を感じながらも伝えようと奮闘する1冊
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ルシルナ
逃げたい・諦める【本・映画の感想】 | ルシルナ
私は、大学を中退し、就職活動から逃げ、今も将来に期待せず生きています。誰もが、「人生疲れたな」「もう限界だな」「頑張りたくないな」と感じる瞬間はあるでしょう。誰…
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