目次
はじめに
この記事で取り上げる本
著:彩瀬まる
¥449 (2021/11/01 06:16時点 | Amazon調べ)
ポチップ
この本をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 死を覚悟した彼女が、被災地で見て感じたことは?
- 「自分の体験・感情がこれほどまでに伝わらないものか」という絶望的なもどかしさ
- 農家の方が善意でくれたじゃがいもを食べるか逡巡してしまう葛藤
東北にゆかりのある人物ではない著者が描くからこそ、より多くの人に響く震災記になっているのだと思う
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彩瀬まる『暗い夜、星を数えて』で綴られる、「現実を伝えること」へのもどかしさを抱きながら東日本大震災を描いた小説家の体験と想い
著者・彩瀬まるは、東北旅行中に東日本大震災を経験した
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小説家である彩瀬まるは、2011年3月11日、東北旅行の2日目で、あるきっかけで知り合った福島の友人と待ち合わせるために電車に乗っていた。
すると「線路沿いが燃えている」とアナウンスが流れ、車体が揺れる。横転するのではないかと思うほどの揺れだ。駅の看板には「新地」という見慣れない駅名が書かれていた。
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そこから「著者の東日本大震災」が始まる。電車から離れ、津波から逃げ、避難所へ向かい、その後縁あって個人宅で数日過ごさせてもらい、被災地を離れ自宅へと戻った。
私はこのとき確かに自分の死を思った。全身の血の気が引き、凍え、それなのに頭は痛いくらいに冴えていた。死ねない、死ねない、と鐘を打つように頭の中で繰り返して、死にものぐるいで坂の上の中学校に辿りついた。
彼女は明確に死を意識していたそうだ。
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なるべく人のいない方向へ向かった。暖房の入っていない渡り廊下へ出ると、さすがに誰も眠っていない。壁にもたれて、携帯を開いた。家族との最後のメールを眺め、「新規作成」の項目を押す。
がくがくと震える指で遺書のはじめの二行を綴り、私は携帯の画面を閉じた、書けなかった。いやだった。どうしても、どうしても。
そんな著者が、小説ではなく、自分が体験したことを綴った作品として出版したのが本書だ。
そこには、「伝わらない絶望」が詰まっている。
「伝えること」を生業とする小説家が抱いた「伝わらない絶望」
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言葉で何かを伝えることを生業としている彼女は、しかし、東日本大震災の経験を言葉にする過程で「伝わらない」という感覚を何度も抱くことになる。
本書は、その「伝わらなさ」に対する著者の葛藤の記録と言ってもいいだろう。そういう意味で、少し特異な震災の記録となっている。この作品では、「起こったことを正確に記録する」ということにももちろん焦点が当たるのだが、それ以上に、「起こった出来事を言葉にする際の限界」や「彼女が言葉にした現実が他の人に的確に伝わらないという事実」に対する著者の葛藤が強く浮かび上がるからだ。
非常に印象的な、こんな場面がある。本書の担当をしてくれたTさんという編集者とのエピソードだ。第3章ではTさんと共に福島入りした際の話が綴られるのだが、第1章「川と星」で書いたある場所へ向かった時に、彼女はこんな風に感じる。
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おそらくTさんは、日本で一番「川と星」に目を通してくれた人だろう。そんなTさんにすら、見たものを伝えられていない、書けていないのだと、その横顔を見ながら痛感した
同じように、Tさんと被災地を巡る中で、こんな思いを抱く場面もある。
衝撃を受けた様子で壊れた家々を見上げるTさんを見ながら、私は妙な歯がゆさを感じた。人の手で片付けられた後の風景を見て、ショックを受けないで欲しい。はじめの状態は、もっともっとひどかったんだ。そう思った後すぐに、私があまり手をつけられていない地区にボランティアに行ったことなんてほんの偶然じゃないか、と自省する。けれど、もっと、違うんだ、もっと、見えないものがあった、今見ているものよりも辛い状態だったんだ、と袖をつかみたくなる。もちろん、Tさんにはなんの落ち度もない。難癖をつけているのは私の方だ。混乱したまま、私は無口になった
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この文章だけでも、本書が震災を描く他の作品とは違うのではないかとなんとなく伝わるだろう。
さらに著者には、「自分は被災地に住んでいるわけではなく、ただの旅行者でしかない」という、一種の”負い目”みたいなものもあると感じられる。「自分が体験したものはもっと凄まじいのだ」と思うのと同時に、「ただ通りかかっただけの人間が何か書いたところで説得力などあるだろうか?」という感覚もあったはずだ。
そういう中で、彼女はこの文章を書いた。「書かない」という選択もできたはずだ。書かないと自分の中で上手く消化できなかったのかもしれないし、あらゆる葛藤を乗り越えて「この体験・感情は記録として残すべきだ」という使命感に駆られたのかもしれない。その辺りは恐らく著者自身もはっきりとは分からないだろうが、彼女は勇気を持って「書く」という選択をした。
私としては、著者が「震災の体験」と「その体験を書くこと」に対して凄まじい葛藤を感じていたのだということを明確に理解して、彼女の記録に触れたいと思う。
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「当時の自分の気持ちを偽らない」という決断と覚悟
本書を読んでいると、「嘘をつかない」という著者の覚悟をありありと感じることができる。
彼女は被災地に数日留まり、なんとか自宅に戻って少し自分の心身が落ち着いた頃に、2泊3日のボランティアに参加することに決める。
出発前夜、支度を終えると少しずつ腹の底が冷たくなり、落ち着かない心地になっていった。
こわかった。二泊三日。また、なにかが起こるのではないか。家に帰って来れなくなるのではないか、ひどい目に遭うのではないか。根拠のない、条件反射のような不安感だ。これからたくさんの人が住み、日々生活している場所に行くというのに、なんて失礼な感覚なんだろう。頭ではわかっている。けれど、止まらない
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現場にたどり着き、作業を始めた著者はこんな風に考える。
車を降りたときから、私は防塵マスクをつけていた。うすぼんやりと、怖かったのだ。いくら線量が低くても、やろうと自分で決めたことでも、怖かった。二十七キロという数字がただ怖い。
無意識に息を細めてしまうことが申し訳なくて、やるせなかった。
正直、このような自分の感情は、書かなければ誰にもバレない。ボランティアに向かう前の不安も、現場についてからの葛藤も、「書かない」と決めてしまえば表向きには存在しないことになる。彼女にはそうすることだって十分できたはずだ。
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しかしそうはしなかった。本書を書く上で一番の動機がどこにあったのか、それは他人がとやかく推測することではないが、彼女は自分で「その時々の自分の感覚・感情を隠さない、偽らない」と決断してこの作品と向き合ったのだと思う。
ボランティアが終わった後、彼女は農家の方からタマネギをもらう。このタマネギに関する描写も、書くのに勇気が要っただろう。
笑ってお礼を言いながら、わたしは一つのことしか考えられなかった。原発三十キロ圏内のタマネギ。依頼主の男性には、善意しかなかった。全国から無償でやって来たボランティアに、自慢の野菜をせめて土産に持たせようとしてくれたのだろう。グループのメンバーは貰う人、貰わない人、半々だった
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ボランティアセンターへ戻り、解散した後も、私は手にしたタマネギのことで頭がいっぱいだった。正直なところ、原発三十キロ圏内で作業をしたこと、さらに線量が高いと言われる側溝の掃除を行ったことで、心がすでにすくんでいた。食べるか、食べないか、どうしよう。おそらくこのタマネギを食べたぐらいで私の人生に変化が起こることはない。それでも少し胸が濁る。
善意で野菜をくれた男性の「安全だよ」を信じきることが出来ない。つまり私は「出来る限り福島県の農家の方を支援したい」などと言ってきたにも拘わらず、「原発から五十キロ離れた農家の野菜は食べても、二十七キロの農家の野菜は食べたくない」と根拠のない差別を行なっているのだ
私はこのブログを匿名でやっている。だから、このブログ内では上述のような文章も書けるだろう。しかし著者は、「彩瀬まる」という名前はペンネームかもしれないが、それでも世間に存在を晒す形で文章を書いている人だ。
そのような立場で、こういう文章を書くことに対しては、もの凄く怖さを感じるだろう。しかし確かに、多かれ少なかれ誰の心にも浮かんでしまうだろう感覚であり、この違和感を無視して自分の体験を記録することもまた彼女にはできなかったのだろう。
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この場面だけではない。著者は様々な形で「東日本大震災」というものに大きく囚われていく。
「東日本大震災」という刻印と後ろめたさ
震災後、関東に帰りついた私は日々重苦しい自責の念にとらわれることとなった。あんなに親切にして貰った人たちを置いてきてしまった、という罪悪感だ。自分だけ安全圏に逃げた、という後ろめたさもある。理性では、あそこに残っていてもなにもできない、そばにいる人の負担になるだけだ、とわかっている。けれど憂鬱は晴れず、罪悪感を払拭するように震災にまつわるルポを書き、募金のためにと仕事に打ち込んだ。
ひと月経ち、ふた月経つにつれて、今度はだんだん自分の意識が被災地から遠ざかっていく恐ろしさを感じるようになった。まるで薄皮のむこうの出来事のように、ニュースや新聞でいくら被災地の情報を目にしても、「大変そう」と平面的に思うばかりで、感情が伴わなくなって来たのだ。
この作品が多くの人に共感され得ると感じる一番の理由は、「著者は基本的に、被災地と強い関わり合いの無い人物である」という点にある。被災地に住んでいるわけでも、住んでいたわけでも、親族がいるわけでもなく、ただ旅行中に東日本大震災に遭遇した、という立場の人間だからこそ、彼女が感じることが、被災地と直接的な関係を持たない多くの人にも重なっていくのではないかと思う
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少しだけ、私自身の話を書こう。私は、東日本大震災が起こってから結構早い段階で「募金はしない」と決めた。
もし私が大金持ちで、自由に動かせるたくさんのお金を持っているならまた判断は変わっただろう。しかし私には大金はないし、仮に募金するとしても大した金額ではない。別に金額の多寡が問題ではないと理解してはいるが、私は募金してしまうことで「東日本大震災を忘れてしまうこと」が怖かった。
募金しないと決めることで、私はこれからずっと「東日本大震災の時には募金しなかったな」という思いを抱き続けることになるだろう。現に、そういう感覚を何度も抱いている。そして、どのみち大金を寄付できない私には、その違和感を抱き続ける選択の方が価値があるのではないか、と判断したのだ。
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そんな風に考えたのも、やはり、「これだけの災害でも、自分の記憶からは薄れてしまうだろう」という危機感を持っていたからである。だから著者の、「平面的に思うばかりで、感情が伴わなくなって来たのだ」という感覚は、理解できるように思う。
私の内側の、世界とはこういうものである、という認識の安定を司る部分がばらばらになってしまった気分だった
震災直後は、「被災地の人たちは今も大変な思いをしているのに、自分は平穏に本なんか読んでいていいんだろうか」みたいな思考が頭を過ることもあった。そんな気持ちははっきり言って、誰のためにもならないということは分かっている。論理的に考えれば、ちゃんと活動できる人間は日常を過ごして経済を回すべきだし、「被災地の人に申し訳ないから娯楽を止める」なんて決断をしたところで被災地の人に何かプラスになるわけでもない。しかし感情的にはどうしても、そういう感覚を回避できなかった。
ただ、東日本大震災から10年が経った今となっては、そのような感覚を抱く機会ももう無くなっている。震災当時と比べて、被災地の状況は改善してはいるだろうが、今も苦しい境遇にいることには変わりないだろう。しかし、被災地に住んでいたり直接関わっていたりするわけではない人間はやはり、同じようには気持ちを継続することができない。
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そして著者は、自分の内側にあるそんな複雑な感覚を、丁寧に言葉にしていく。同じような感覚を抱いていても、明確に言語化出来ない人も多く存在するだろう。彼女が「被災地から遠い存在として被災した者」の感覚を言葉にしてくれることで、実際に被災しなかった私たちの内側にも存在する「相似形の何か」が浮き彫りになるという感覚を抱くことも出来ると思う。
被災地のリアルな現実の描写
この記事では、本作の特異な点である「伝わらなさ」に焦点を当てて本書を紹介してきたが、当然、被災当時や、その後ボランティアで訪れた際の「被災地のリアルな現実」も丁寧に描き出していく。
蠟燭の細い火は、余計に室内を暗く感じさせた
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「カタフチ家 築百年 長い間、お世話になりました」
別れの言葉のそばには、箒が三本、きちんと並べて立てかけられていた
捨てていいものだとは思えなかった。どうすればいいのか分からなくて、手に持ってしばらくうろついた後、ためらいを押し殺して燃えるゴミの袋にそっと入れた
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「小説家らしい」という表現が適切なのか分からないが、具体的な描写で、著者が見た「被災地のリアル」を切り取っていく。
著者が最も衝撃を受けたのが、しばらく自宅で面倒を見てくれたある一家のこんな言葉だ。
はじめは、なにも気づかなかった。景色を見ながら、弟さんが言った。
「本当は、ここから海は見えなかったんだ。防風林に完全に隠れていた。それに林の手前には、住宅地があった。もう、なんにもないな」
ぞっとした
著者は最初から「何もない光景」しか知らなかった。しかしそれは、震災前とは激変してしまった「まったく異なる光景」だった。「あり得ないはずの光景」を前にして、まったく違う感覚を抱くしかない2人の強烈な差異については、本書を読む人間にも突き刺さる。
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一方で著者は、被災地で受けた無数の善意についても記していく。中でも私が一番印象的だったのがこの言葉だ。
恩なんて考えないで、向こうに帰ったら、こっちのことはきれいさっぱり忘れていいよ。しんどい記憶ばかりで、思い出すのも辛いでしょう
そこに住み続ける決断をした者は、最も辛い現実を突きつけられているはずだが、そういう中でも他人に対して気遣いができる。その事実に凄まじさを感じるとともに、「今は他人のことなんかより、自分のことだけ考えていればいいと思います」という気持ちとが綯い交ぜになって、何を思えばいいのかよく分からなくなる。
自分が被災地に住み続ける側だとしたら、同じような言葉を掛けてあげられるか、自信はない。
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著:まる, 彩瀬
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著者は、様々な経験と思考の果てに、こんな風に思い至る。
私は逆に、無理なのだ、と思った。この、放射性物質という見えない恐怖に、国民全員が「理性的に、落ち着いて、差別が起こらないよう冷静な対応をすること」は、出来ないのだ。安全か、安全じゃないか、どこまで安全か、何年経っても安全か、その情報は、本当か。こんなグレーゾーンを抱え込み、それでも全員が理性的に振るまい、被災者と苦痛や不安を共有できるほど、きっと私たちの社会は成熟していないのだ。妄想がふくらみ、不信が起こり、その鬱憤がこうして、ただでさえ日々辛い思いをしている人へ向けられる
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悲しい結論ではあるが、東日本大震災以降も私たちは、様々な場面でこのような無力感を抱くことになる。まさに今、コロナウイルスに右往左往させられている状況でも、私たちは「理性的に、落ち着いて、差別が起こらないよう冷静な対応をすること」などできていない。
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「福島中央テレビ開局50周年記念作品」である映画『浜の朝日の嘘つきどもと』は、福島県に実在した映画館「朝日座」を舞台に、住民が抱く「希望(幻想)」が描かれる。震災・コロナによってありとあらゆるものが失われていく世の中で、私たちはどう生きるべきか
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【感想】映画『竜とそばかすの姫』が描く「あまりに批判が容易な世界」と「誰かを助けることの難しさ」
SNSの登場によって「批判が容易な社会」になったことで、批判を恐れてポジティブな言葉を口にしにくくなってしまった。そんな世の中で私は、「理想論だ」と言われても「誰かを助けたい」と発信する側の人間でいたいと、『竜とそばかすの姫』を観て改めて感じさせられた
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【想像力】「知らなかったから仕方ない」で済ませていいのか?第二の「光州事件」は今もどこかで起きて…
「心地いい情報」だけに浸り、「知るべきことを知らなくても恥ずかしくない世の中」を生きてしまっている私たちは、世界で何が起こっているのかあまりに知らない。「光州事件」を描く映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』から、世界の見方を考える
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【矛盾】その”誹謗中傷”は真っ当か?映画『万引き家族』から、日本社会の「善悪の判断基準」を考える
どんな理由があれ、法を犯した者は罰せられるべきだと思っている。しかしそれは、善悪の判断とは関係ない。映画『万引き家族』(是枝裕和監督)から、「国民の気分」によって「善悪」が決まる社会の是非と、「善悪の判断を保留する勇気」を持つ生き方について考える
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【実話】障害者との接し方を考えさせる映画『こんな夜更けにバナナかよ』から”対等な関係”の大事さを知る
「障害者だから◯◯だ」という決まりきった捉え方をどうしてもしてしまいがちですが、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』の主人公・鹿野靖明の生き様を知れば、少しは考え方が変わるかもしれません。筋ジストロフィーのまま病院・家族から離れて“自活”する決断をした驚異の人生
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【情熱】映画『パッドマン』から、女性への偏見が色濃く残る現実と、それを打ち破ったパワーを知る
「生理は語ることすらタブー」という、21世紀とは思えない偏見が残るインドで、灰や汚れた布を使って経血を処理する妻のために「安価な生理用ナプキン」の開発に挑んだ実在の人物をモデルにした映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』から、「どう生きたいか」を考える
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【勇敢】”報道”は被害者を生む。私たちも同罪だ。”批判”による”正義の実現”は正義だろうか?:『リチャ…
「爆弾事件の被害を最小限に食い止めた英雄」が、メディアの勇み足のせいで「爆弾事件の犯人」と報じられてしまった実話を元にした映画『リチャード・ジュエル』から、「他人を公然と批判する行為」の是非と、「再発防止という名の正義」のあり方について考える
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【告発】アメリカに”監視”される社会を暴露したスノーデンの苦悩と決断を映し出す映画:『スノーデン』…
NSA(アメリカ国家安全保障局)の最高機密にまでアクセスできたエドワード・スノーデンは、その機密情報を持ち出し内部告発を行った。「アメリカは世界中の通信を傍受している」と。『シチズンフォー』と『スノーデン』の2作品から、彼の告発内容とその葛藤を知る
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【絶望】光過敏症の女性の、真っ暗な部屋で光という光をすべて遮断しなければ生きられない壮絶な日常:…
日光に限らず、ありとあらゆる「光」に肌が異常に反応してしまうため、ずっと真っ暗闇の中でしか生きられない女性が、その壮絶すぎる日常を綴った『まっくらやみで見えたもの 光アレルギーのわたしの奇妙な人生』から、それでも生きていく強さを感じ取る
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【絶望】「人生上手くいかない」と感じる時、彼を思い出してほしい。壮絶な過去を背負って生きる彼を:…
「北九州連続監禁殺人事件」という、マスコミも報道規制するほどの残虐事件。その「主犯の息子」として生きざるを得なかった男の壮絶な人生。「ザ・ノンフィクション」のプロデューサーが『人殺しの息子と呼ばれて』で改めて取り上げた「真摯な男」の生き様と覚悟
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東日本大震災発生直後からカメラを回し、被災地の現実を切り取ってきたテレビ岩手。「分かりやすさ」が優先されるテレビではなかなか放送できないだろう映像を含め、「分かりにくい現実」を切り取った映像で構成する映画『たゆたえども沈まず』は静かな衝撃をもたらす作品
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元気で明るくて楽しそうな人ほど「傷」を抱えている。そんな人をたくさん見てきた。様々な理由から「傷」を表に出せない人がいる世の中で、『包帯クラブ』が提示する「見えない傷に包帯を巻く」という具体的な行動は、気休め以上の効果をもたらすかもしれない
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【現実】生きる気力が持てない世の中で”働く”だけが人生か?「踊るホームレスたち」の物語:映画『ダン…
「ホームレスは怠けている」という見方は誤りだと思うし、「働かないことが悪」だとも私には思えない。振付師・アオキ裕キ主催のホームレスのダンスチームを追う映画『ダンシングホームレス』から、社会のレールを外れても許容される社会の在り方を希求する
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【称賛】生き様がかっこいい。ムンバイのホテルのテロ事件で宿泊客を守り抜いたスタッフたち:映画『ホ…
インドの高級ホテルで実際に起こったテロ事件を元にした映画『ホテル・ムンバイ』。恐ろしいほどの臨場感で、当時の恐怖を観客に体感させる映画であり、だからこそ余計に、「逃げる選択」もできたホテルスタッフたちが自らの意思で残り、宿泊を助けた事実に感銘を受ける
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【権利】「難民だから支援すべき」じゃない。誰でも最低限の安全が確保できる世界であるべきだ:映画『…
難民申請中の少年が、国籍だけを理由にチェスの大会への出場でが危ぶまれる。そんな実際に起こった出来事を基にした『ファヒム パリが見た奇跡』は実に素晴らしい映画だが、賞賛すべきではない。「才能が無くても安全は担保されるべき」と考えるきっかけになる映画
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金正男が暗殺された事件は、世界中で驚きをもって報じられた。その実行犯である2人の女性は、「有名にならないか?」と声を掛けられて暗殺者に仕立て上げられてしまった普通の人だ。映画『わたしは金正男を殺していない』から、危険と隣り合わせの現状を知る
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【幻想】心の傷を癒やすことの”難しさ”、寄り添い続けるために必要な”弱さ”と”冷たさ”:映画『心の傷を…
「優しいかどうか」が重要な要素として語られる場面が多いと感じるが、私は「優しさ」そのものにはさしたる意味はないと考えている。映画『心の傷を癒すということ 劇場版』から、「献身」と「優しさ」の違いと、誰かに寄り添うために必要な「弱さ」を理解する
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【誠実】地下鉄サリン事件の被害者が荒木浩に密着。「贖罪」とは何かを考えさせる衝撃の映画:『AGANAI…
私には、「謝罪すること」が「誠実」だという感覚がない。むしろ映画『AGANAI 地下鉄サリン事件と私』では、「謝罪しない誠実さ」が描かれる。被害者側と加害者側の対話から、「謝罪」「贖罪」の意味と、信じているものを諦めさせることの難しさについて書く
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本を読む人も書く人も作る人も、出版で使われる紙がどこで作られているのか知らない。その多くは、東日本大震災で甚大な被害を受けた日本製紙石巻工場で作られていた。『紙つなげ』をベースに、誰もが不可能だと思った早期復旧の舞台裏を知る
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39歳で餓死した男性は、何故誰にも助けを求めなかったのか?異常な視聴率を叩き出した、NHK「クローズアップ現代」の特集を元に書かれた『助けてと言えない』をベースに、「自己責任社会」の厳しさと、若者が置かれている現実について書く。
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