【実話】人質はなぜ犯人に好意を抱くか?「ストックホルム症候群」の由来である銀行強盗を描く映画:『ストックホルムケース』

目次

はじめに

この記事で取り上げる映画

出演:イーサン・ホーク, 出演:ノオミ・ラパス, 出演:マーク・ストロング, 監督:ロバート・バドロー, Writer:ロバート・バドロー
¥400 (2021/08/23 06:14時点 | Amazon調べ)

この映画をガイドにしながら記事を書いていきます

今どこで観れるのか?

この記事の3つの要点

  • 「ストックホルム症候群」の名前の由来になった銀行強盗がモデルの映画
  • 映画を観れば、「犯人に好意・共感を抱く理由」が理解できるかも
  • どんな人間であっても「良いところ」はあるはずだ

人質とちょっとクセの強い犯人とが織りなす奇妙な関係性には、「確かにこんなこともあり得るかも」と思わされる

自己紹介記事

どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください

記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません

人間はなぜ「おかしな判断」をするのか?

「ストックホルム症候群」の衝撃

ストックホルム症候群」と呼ばれる状態をご存知だろうか? 人間の判断が、時に奇妙なものになる好例としてよく知られている。定義としてはこうだ。

精神医学用語の一つ。誘拐や監禁などにより拘束下にある被害者が、加害者と時間や場所を共有することによって、加害者に好意や共感、さらには信頼や結束の感情まで抱くようになる現象。

コトバンク

初めてこの存在を知った時、私はたぶん驚いたはずだ(ちゃんと覚えていないが)。なにせ、「自分に危害を加えている(あるいは加えようとしている)人物に好意・共感を抱く」というのだから。「そんなバカな」と感じる人も多いのではないかと思う。

しかし、何か事件が起こった際にこのような関係性が生じうることは知られており、我々も条件が揃えば同じ感情を抱くかもしれないのだ。

さて、「ストックホルム」というのはスウェーデンの首都である。なぜこのような名前がついているのか? それは、1973年にストックホルムの銀行で起こった強盗事件がきっかけで知られるようになったからだ。

そしてこの映画はまさに、この強盗事件をモデルにした作品なのである。

映画を観ると、「確かにな……」となるかもしれない

「ストックホルム症候群」は、説明の字面だけ見ていてもなかなか納得できるものではない。本当に、そんなこと起こりうるんだろうか? と感じてしまうだろう。

しかしこの映画を観ると、なるほど確かにありえなくもない、と感じるかもしれない。

映画の予告で流れるシーンに、こんな場面がある。説得を試みる警官は、犯人と直接ではなく、人質の一人を介してやりとりしている。警察と人質が電話でやり取りしている最中、警察が電話口の人質に、

犯人を信用できますか?

と聞く。これに対する人質の返答がなかなか奮っている。

警察よりはね

確かに、「警察を信用できるのか」という問題は常に存在する。日本の警察はそれなりに信頼できると思うが、しかしやはり失態や醜聞ももちろんある。外国の警察の場合、市民から賄賂を要求したり、自ら悪徳な行為を行っていたりすることもあるようだ。1973年当時のスウェーデンの警察が国民からどう思われていたのか知らないが、「人質が警察に好感を抱いていなかった」という可能性もあるかもしれない。

直接的に警察に不満があるというよりは、「公権力全般」への不信を抱いているなんてこともあり得る。政治への不満が警察不信として現れる、ということもあるだろう。

しかし、それらはあくまで可能性の話であり、この映画では「人質がことさらに警察に不信感を抱いている」という設定にはない。あくまでも焦点は、犯人と人質の関係性にある。

そして、「この人がしている行為は悪いことだけれど、決して悪い人間じゃない」と感じられる場合、犯人への共感が生まれる余地はあるだろう。ましてその犯人が、「民衆の不満を集めやすそうな組織(銀行も、金をたくさん保管しているという意味で、悪者扱いされがちな組織だろう)」を攻撃しているとすれば、なおさら加担したい気持ちが生まれるかもしれない。

人間をどう見るか?

ここからはもう「ストックホルム症候群」と直接的には関係がない話になるが、私は常に「他人の捉え方は自分次第だ」と考えている。当たり前のことを言っていると感じる方も多いかもしれないが、このような感覚を持たない人もいると思う。つまり、「自分が悪と感じることは、誰もが悪と感じるはずだ」という認識の人もいると思うのだ。

有名な話だが、瓶に半分ワインが入った状態を見て、「まだ半分も残っている」と考えるか「もう半分しかない」と考えるかは人によって違う。他人の捉え方も同じで、その人の言動を「良い」と感じる人もいれば「悪い」と感じる人もいる

しかし人によっては、「この瓶にはワインが半分しか残っていない」という見方しか許容しない人もいるし、誰かの言動を「悪い」と感じたら、他の人も同じように感じるべきだ、と考える人もいる。

映画の中で人質の一人が、

誰にだって良いところはあるものよ

と言う場面がある。確かにその通りだと私も思う。たとえ、今まさに銀行強盗を行っているとしても、その人のどこかに「良いところ」を探すことはできる

「銀行強盗」という行為は確かに悪いし許されるものではないが、「銀行強盗をする人はその人格すべてが悪だ」という主張に私は賛同できない。その銀行強盗は、誰かにとっての「優しいパパ」かもしれないし、銀行強盗に及んだ理由が「誰かを助けるため」だったとしたら同情の余地はある。

私自身、可能な限りという注釈付きではあるが、できるだけ他人の良い面探そうと意識してはいる。「ストックホルム症候群」はそういう、「相手を良い人間として捉えたい」という、個人差の大きいだろう感覚によって生み出されているのかもしれない、とも感じる。

映画の内容紹介

1973年、スウェーデン・ストックホルムにあるクレジット銀行に、アメリカ人の強盗が現れた。彼は、女性行員2名を残して、行内にいた人間を全員外に出し、そしてグンナー・ソレンソンを連れてこいと要求した。刑務所に収監されている、彼の仲間である。

強盗は行員たちとゲームをして時間を潰し、やがて釈放されたグンナーが銀行に連れてこられた。目的を達した強盗は脱出を試みるが、スウェーデンの首相が人質を連れての逃走を許可しないため、銀行内での籠城を決意する。

人質たちはこの状況に怯えているのだが、強盗と話をしている内にその振る舞いに優しさを見出し、次第に心を開いていく。それどころか彼女たちは、強盗の逃亡を手助けする作戦にも協力するようになるのだが……。

映画の感想

「ストックホルム症候群」のモデルとなった事件が存在することは知っていたが、具体的なことは知らなかったのでそういう点でも興味深かったし、単純に映画としても面白かった。実話の割には、事件そのものはあまり有名ではないと思うので、映画がどんな展開を見せるのかには触れないでおこう。強盗と人質の関係の変化がなかなか予測不能であるという点こそ、この映画の面白さのポイントの一つなので。

この映画は、なかなかキャラクターの魅力が強い作品だが(どの程度現実の事件に即しているのかは分からない)、中でも、女性行員であり人質になってしまったビアンカが非常に良い。予測不能な行動をする一方で、非常に理性的な人物でもあり、「相手は強盗犯なのに、そんな人間の逃亡を手助けしてしまっている」という、正義感との葛藤も浮き彫りにされる。夫も子どももいて、絶対に生きて帰らなければならないし、そのためには悪目立ちしない方がいいはずだ。しかしそれでも、何か信念があって自分なりの行動を貫いている姿がとてもいい

強盗犯は決して知的ではなく、粗暴でお調子者という、実際に目の前にいたら好きになれないタイプだ。しかしこの映画では、まったくタイプの違う犯人と人質が交錯することで奇妙な物語が展開していくわけで、そういう意味では主人公のこの造形も重要だと感じた

様々な要因が重なり合うことで、「犯人に協力する」という普通ではなかなかイメージでない状況が生まれるわけだが、そのことをあまり不自然さを感じさせずに見れるのは、この人質と強盗犯のちょっと変わったキャラクターによるところが大きいだろうと思う。

出演:イーサン・ホーク, 出演:ノオミ・ラパス, 出演:マーク・ストロング, 監督:ロバート・バドロー, Writer:ロバート・バドロー
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最後に

人間の心理には謎めいた部分も多くあり、その一端を垣間見せてくれる作品だ。どこまでが「実話」なのか定かではないが、「現実にこんなことが起こったのだ」という視点で観ると、人間の奥深さみたいなものを実感させてくれる作品ではないかと思う。

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