目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:ジョン・ホークス, 監督:マーティン・マクドナー
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ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 「暗黙の了解」や「マナー」は「正しさの基準」とはいえない
- 「〇〇してはいけない」と規定されていないことは、何をやっても「正しい」と言えるか?
- 本質的な対立が存在しない場合でも、「代理戦争」によって対立が起こってしまう
「正しい」という言葉をどんな基準で使っているのか、改めて捉え直してみよう
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「正しい」という言葉は、日常の中でよく耳にする。特に意識することなく、当たり前のように使ってしまう言葉だろう。
しかし、「正しい」という状態が何を指すのか、きちんと考えてみることはあるだろうか? 「正しい」というのは当たり前の概念すぎて、なかなか深く考える機会はないだろうと思う。
以下の議論は、「数学」や「科学」における「正しさ」の話とはまた違う。それらについては別の記事で詳しく書いているので読んでほしい。
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この記事では、そういう学問的な話ではなく、普段の日常の中で使われる「正しい」について考えてみよう。
さて、「人を殺してはいけない」という主張は正しいだろうか? 恐らくだがほとんどの人が「正しい」と答えるだろう。ではなぜ正しいと感じるのか考えてみよう。「自分が殺されるのは嫌だから」「誰かが殺されるのは悲しいから」など色んな答えが想定できるが、恐らく多くの人は「法律で決まっているから」と答えるのではないかと思う。
これはつまり、「正しさ」の背後には常に「正しさの基準」が存在するということだ。別にその「正しさの基準」は、「法律」に限らない。ルール、規則、掟、試験の採点基準など様々なものが該当する。私が思う重要な点は、「あるコミュニティの中で、その『正しさの基準』を守るべきという共通認識が存在していること」だ。
だから、「暗黙の了解」「マナー」などは、私の考えでは「正しさの基準」に当てはまらない。それらは、「そのように行動すると『より良い』と評価されるが、しなくても『間違い』ではない」という種類のものだ。そういうものを、私は「正しさの基準」とは認めない。
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これが、私の前提だ。
さて、法律やルールのような「正しさの基準」が存在するからこそ、「正しい」という評価が成立し得る。そしてだからこそ、「人を殺してもいい」という主張もまた成り立つことになるのだ。
例えば、戦場では「人を殺してもいい」ことになっている。なぜそんなことが許されているのだろうか。
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それは「正しさの基準」があるからだ。戦争については様々な国際法が存在し、その国際法に違反していなければ、「国際法が認める戦争」と認定される。そして「国際法が認める戦争」においては、人を殺してもよいことになっているのだ。
一方世の中には、「正しさの基準」がそもそも存在していない世界で「正しさ」が対立する場面もある。現代では主にインターネット上でそのような対立を目にすることができるだろう。対立している双方が、「自分たちの主張の方が正しい」と言い合うのだが、しかしそもそも、「何をもって正しいとするのかという基準」が存在しないのだから、その対立は無意味でしかない。不毛な対立を止めるか、どうにかして「正しさの基準」を作るしかないだろう。
世の中には様々な価値観が存在し、また、日本を含め世界中の多くの国で「思想の自由」が認められているのだから、それが「法律」のような「正しさの基準」に抵触しない限り、どんな価値観も許容されるべきだ。もちろん、資本主義には「多数決」の論理が組み込まれているので、社会を正常に動かしていくために「多数派の主張をとりあえず正しいことにする」という暫定的な判断が行われる。しかしこの判断はあくまでも「社会を動かすための暫定的なもの」でしかなく、多数派の価値観だから正しいわけではない。
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私は「正しい」という言葉を使う時、このようなことを考える。そして、この辺りのことを勘違いして議論が展開されている様を見ると、なんだか疲れるし、絶対に巻き込まれたくないと感じてしまう。
さてそんなわけでここまで、「『正しさ』の判断のためには『正しさの基準』が必要だ」という話を書いてきた。しかしこの判断には、1つ注意しなければならない点がある。
そしてまさにこの映画は、この「注意点」を巧みに利用して物語を展開していくのだ。
「規制されていなければ何をやってもいい」という理屈
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法律でもルールでも、多くの場合「○○してはいけない」という形で示されるだろう。もちろん、「○○の場合は△△してよい」という表記も存在するが、これも結局は、「○○の場合以外は△△してはいけない」を言い換えたものに過ぎない。「正しさの基準」は、「何かを規制する」という形で存在すると考えていいだろう。
では、規制されていなければ何をやっても「正しい」と判断されるだろうか? これは案外難しい問題だと私は感じる。
つまりこれは、「間違ってはいない」と「正しい」を同一視するかどうか、という問いだとも言えるだろう。
私は、あくまでも”基本的に”ではあるが、こんな風に考えている。悪法も法であり、それが法である以上従わなければならないし、不満があるのなら法そのものを変える努力をしなければならない。世の中のありとあらゆる場面にこの考え方を適用するつもりはないが、原則的に私はそのような振る舞いが「相応しい」と考えている。
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さて、そんな原理原則を持っている私は、「規制されていないことはすべて『正しい』と判断する」と考えるべきだと思う。悪法も法だとするなら、法の抜け穴もまた法だろう。本来なら「悪」と判断されるべき事柄が法に不備があることで見逃されているのだとしても、「まずは法を変えるべき」というのが、原理原則に沿った主張だとは思う。
しかし、感覚的にはどうも首肯しにくい。「間違っていない」はあくまでも「間違っていない」に過ぎず、決して「正しい」と同一視はできない、というのが私の感覚的な意見だ。
「間違っていない」には、「正しいとは言い切れない」という留保が含まれているだろう。そして、その留保を無視してはいけないと感じるのだ。その留保に気づけば、「間違っていない」を「正しい」に変える努力なり手続きなりが必要だ、という認識も生まれ得る。しかし、「間違っていない」を「正しい」と同一視してしまえば、そんな視点もまず出てこないだろう。
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だから私は、自分の原理原則を無視してでも、「規制されていなければ何をやってもいい」という主張を受け入れたくないと感じる。
ただし、「強者による『規制されていなければ何をやってもいい』という主張」を受け入れたいとは思わない。それはさすがに傲慢だ。この主張は、弱い立場にいる者が口にする場合のみ許容したいと思う。
このように、スパッと結論を出せないという意味で、「規制されていなければ何をやってもいい」という主張をどう判断するかは難しい。
この映画では、ある行為が町をざわつかせるという展開が描かれる。その行為は、法律には違反しない。しかし、違反していないからと言って許容していいのか悩ましい行為なのだ。さらに、それを行ったのが、弱者と呼んでいいと”も”感じる人物であることが話をよりややこしくする。そもそもその人物を弱者と呼んでいいのかという問題も出てくるので、余計に複雑だ。
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普段当たり前のように「正しい」という言葉を使ってしまうが、自分がどういう意味で「正しい」という言葉を使っているのか、そしてどんな状況で「正しい」と感じるのかについて、改めて考えるきっかけになる作品ではないかと思う。
映画『スリー・ビルボード』の内容紹介
ミルドレッド・ヘイズは、ミズーリ州エビングという町に住んでいる。自宅までのほとんど車通りのない道沿いにある朽ち果てた3枚の立て看板に目を留めた彼女は、その看板を管理する会社へと話を聞きに行く。なんでも、最後に看板が設置されたのは1986年のことだそうだ。彼女は3枚分の料金を支払い、文字だけが書かれた巨大な看板を設置した。
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「なぜ、ウィロビー署長」
「犯人逮捕はまだ?」
「レイプされて死亡」
3枚の看板には、そう記載した。彼女の娘のことである。彼女の娘アンジェラはレイプ事件で死亡し、その犯人は未だ捕まっていないのだ。
設置された看板は、すぐさま町の噂となる。当然だろう。エビング署は看板の管理会社へと出向くが、法律に違反しているわけではないので撤去できないと突っぱねられる。そう言われれば、警察としては退くしかない。
ウィロビー署長はミルドレッドの家まで向かい、事情を説明する。決して職務怠慢なわけではない。実際に、手がかりがまったくない事件も存在するのだ。分かってくれ、と。
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さらに署長は彼女に、ガンを患い余命数ヶ月なのだとも告げた。つまり言外に、だからあの看板を外してもらえないか、と頼んでいるのだ。しかしミルドレッドは「知ってる」と答える。
死んだ後じゃ、意味ないでしょ?
ウィロビー署長は町で「人格者」として知られている。そんな署長を悪く言うような看板を設置したことで、ミルドレッドの息子は学校で悪口を言われ、彼女も神父から”お叱り”を受けた。彼女を支持する声もあるにはあるが、やはり大多数は批判的な意見ばかりだ。
しかしそれでも、彼女は自分の信念を曲げはしない。批判を無視し、抵抗を跳ね除け、時には暴力的な手段に訴えてまで、娘が命を失った事件の捜査が進展することを願う……。
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映画『スリー・ビルボード』の感想
非常に面白い映画だった。この記事の冒頭でも書いたように、「正しさ」がいかにして対立しうるのかが、3枚の立て看板というアナログな存在を持ち出すことで見事に描かれていく点が素晴らしい。社会がどのように「正しさの基準」と向き合っていくべきかについて考えさせられる。
またこの映画では、ミルドレッドとウィロビー署長の関係も非常に見事だ。そしてこの2人の関係が、ネット社会の闇を想起させる点も興味深いと思う。
映画を観ないとなかなか実感できないと思うが、ミルドレッドとウィロビー署長は、実は心情的には対立していない。表向き、ミルドレッドはウィロビー署長を批判しているし、ウィロビー署長はそんなミルドレッドに苛立ちを覚えているように見えるが、そう単純な話ではないのだ。
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まずミルドレッドは、ウィロビー署長個人を責めているわけでは恐らくない。そう感じる理由は、エビング署の警察官から「ウィロビー署長の名前を出す必要があったのか?」と問われた際の、彼女の返答にある。
誰かが責任を取らないといけないから。
決してこの場面だけから判断したわけではないが、全体的にミルドレッドは、「エビング署の対応には不満だし、批判したいが、ウィロビー署長個人に恨みはない。ただ、誰かが責任を取る必要があるし、だとすればそれはウィロビー署長しかいない」という理屈で、看板に署長の名前を書いたのだと感じる。だからウィロビー署長個人に対する苛立ちはほとんどないと考えているのだ。
また署長も決してミルドレッドを悪く見ているわけではない。映画の後半では、そのことを直接的に示すセリフも出てくる。しかしそれ以前の段階でも、アンジェラの事件を本当に解決したいと思っていると伝わるし、彼女の言動に対しても、気持ちは分かるというスタンスを示す。
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つまり、一見対立の中心にいるように感じられるミルドレッドとウィロビー署長は、実はまったく対立していないのだ。
しかしエビングの町の住民は、「ミルドレッドとウィロビー署長が対立していること」を前提として行動する。だから話がややこしくなっていく。代理戦争の様相を呈するのに、対立しているはずの2人が本質的には対立していないのだから、なんの「代理」をしているのか分からなくなってくるのだ。
これはまさに、ネット社会で散見される状況ではないかと思う。
当人同士には対立も諍いもないのだが、それぞれの取り巻きやファンが「可哀想」「酷い」「あり得ない」と声を上げ、何もないはずの場所で炎上が起こってしまう。皆は「代理戦争」をしているつもりだが、実質的には誰も何の「代理」もしていない、という状況は、今の時代あちこちで起こっていることだろう。
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それを、立て看板というアナログなツールをメインに据えた物語で描き出している点が非常に巧いと感じた。
エビングの町の住民は、当人の意見などおかまいなしに、「こうであるはずだ」「それはおかしい」と喧しい。しかも、人格者として知られるウィロビー署長の支持が多いと見るや、多数派に乗っかろうとする輩も現れる。これもまたネット社会の有り様そのものであるように感じさせられた。
ミルドレッドの行動は、「規制されていないんだからやってもいい」というスタンスから生まれるものであり、先述した通り、この判断はなかなか難しい。また、ミルドレッドは「被害者アンジェラの母親」という意味では「弱者」と言っていいし、この事件に関しては町の住民からも同情を集めているのだが、看板の設置も含め「時に暴力的なやり方で公権力を動かそうとする」という意味ではなかなか「弱者」とは扱いにくい。
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こういう表現は好きではないが、ミルドレッドが「分かりやすい弱者」であれば、看板の設置も含めて、彼女の行動はすんなり受け容れられた可能性もある。しかしミルドレッドは決して「分かりやすい弱者」ではない。物語全体を客観的に捉えられる観客の立場からしても、なかなかに共感が難しい存在と言っていいだろう。そしてそんなシンプルではない人物の行動だからこそ、社会に一石を投じる物語に仕上がっていると言える。
ミルドレッドは、何を考えているのかも、何をしでかすのかも分からない、かなりややこしい人物なのだが、彼女には彼女なりの明確な信念がある。私はその信念を手放しでは称賛できないが、「正しさの基準」が存在しない領域の話なので「間違っている」とも言いがたい。暴力的な行為はともかくとして、彼女の価値観もまた許容されるべきだと思う。
私たちは、このような複雑さを社会でどう成立させていくかを考えなければならない。そのような問いを感じさせられる作品だった。
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最後に
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「良い/悪い」というのは「正しいかどうか」を判断していると言っていい。しかし世の中の多くの場面において「正しさの基準」は存在しないし、その基準が存在しない場面で「正しいかどうか」を議論しても無意味でしかない。
だからこそ、「好き/嫌い」で物事を語る方がいいと感じる。好きかどうか、嫌いかどうかは、「自分がどう感じるか」という基準以外存在しない。それが誰かを傷つけたり中傷するような内容でない限り、どんな意見を口にしようが自由だ。
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映画『スリー・ビルボード』の中にも、「良い/悪い」「正しい/間違っている」で判断したくなる事柄が多々出てくることだろう。しかし、そのような判断をぐっとこらえて、「好き」か「嫌い」かで考えてみるのがいいのではないか。
そのような、物事の捉え方の転換を促す作品だと言ってもいいと思う。
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私には、「謝罪すること」が「誠実」だという感覚がない。むしろ映画『AGANAI 地下鉄サリン事件と私』では、「謝罪しない誠実さ」が描かれる。被害者側と加害者側の対話から、「謝罪」「贖罪」の意味と、信じているものを諦めさせることの難しさについて書く
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【再生】ヤクザの現実を切り取る映画『ヤクザと家族』から、我々が生きる社会の”今”を知る
「ヤクザ」を排除するだけでは「アンダーグラウンドの世界」は無くならないし、恐らく状況はより悪化しただけのはずだ。映画『ヤクザと家族』から、「悪は徹底的に叩きのめす」「悪じゃなければ何をしてもいい」という社会の風潮について考える。
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【天才】『三島由紀夫vs東大全共闘』後に「伝説の討論」と呼ばれる天才のバトルを記録した驚異の映像
1969年5月13日、三島由紀夫と1000人の東大全共闘の討論が行われた。TBSだけが撮影していたフィルムを元に構成された映画「三島由紀夫vs東大全共闘」は、知的興奮に満ち溢れている。切腹の一年半前の討論から、三島由紀夫が考えていたことと、そのスタンスを学ぶ
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【デマ】情報を”選ぶ”時代に、メディアの情報の”正しさ”はどのように判断されるのか?:『ニューヨーク…
一昔前、我々は「正しい情報を欲していた」はずだ。しかしいつの間にか世の中は変わった。「欲しい情報を正しいと思う」ようになったのだ。この激変は、トランプ元大統領の台頭で一層明確になった。『ニューヨーク・タイムズを守った男』から、情報の受け取り方を問う
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【衝撃】森達也『A3』が指摘。地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教は社会を激変させた
「オウム真理教は特別だ、という理由で作られた”例外”が、いつの間にか社会の”前提”になっている」これが、森達也『A3』の主張の要点だ。異常な状態で続けられた麻原彰晃の裁判を傍聴したことをきっかけに、社会の”異様な”変質の正体を理解する。
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【無知】メディアの問題の本質は?「報道の限界」と「情報の受け取り方」を独裁政治の現実から知る:『…
メディアは確かに「事実」を報じている。しかし、報道に乗らない情報まで含めなければ、本当の意味で世の中を理解することは難しいと、『こうして世界は誤解する』は教えてくれる。アラブ諸国での取材の現実から、報道の「限界」と「受け取り方」を学ぶ
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【加虐】メディアの役割とは?森達也『A』が提示した「事実を報じる限界」と「思考停止社会」
オウム真理教の内部に潜入した、森達也のドキュメンタリー映画『A』は衝撃を与えた。しかしそれは、宗教団体ではなく、社会の方を切り取った作品だった。思考することを止めた社会の加虐性と、客観的な事実など切り取れないという現実について書く
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【衝撃】壮絶な戦争映画。最愛の娘を「産んで後悔している」と呟く母らは、正義のために戦場に留まる:…
こんな映画、二度と存在し得ないのではないかと感じるほど衝撃を受けた『娘は戦場で生まれた』。母であり革命家でもあるジャーナリストは、爆撃の続くシリアの街を記録し続け、同じ街で娘を産み育てた。「知らなかった」で済ませていい現実じゃない。
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【勇敢】日本を救った吉田昌郎と、福島第一原発事故に死を賭して立ち向かった者たちの極限を知る:『死…
日本は、死を覚悟して福島第一原発に残った「Fukushima50」に救われた。東京を含めた東日本が壊滅してもおかしくなかった大災害において、現場の人間が何を考えどう行動したのかを、『死の淵を見た男』をベースに書く。全日本人必読の書
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【驚愕】日本の司法は終わってる。「中世レベル」で「無罪判決が多いと出世に不利」な腐った現実:『裁…
三権分立の一翼を担う裁判所のことを、私たちはよく知らない。元エリート裁判官・瀬木比呂志と事件記者・清水潔の対談本『裁判所の正体』をベースに、「裁判所による統制」と「権力との癒着」について書く。「中世レベル」とさえ言われる日本の司法制度の現実は、「裁判になんか関わることない」という人も無視できないはずだ
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私たちがどのような社会で生きているのか理解することは重要でしょう。ニュースやネット記事などを総合して現実を理解することはなかなか難しいですが、政治や社会制度など…
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