目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:ジョン・ボイエガ, 出演:ウィル・ポールター, 出演:ジャック・レイナー, 出演:アンソニー・マッキー, Writer:マーク・ボール, 監督:キャスリン・ビグロー
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ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
今どこで観れるのか?
この記事の3つの要点
- 「憲法は、国民が国家を制約するものなのだ」と、大人になってようやく理解した
- 職務を全うしなければならないという責任感が悪事を生む可能性もある
- 「銃の所持」も「権力による不正義」を引き起こしやすくする要因だろう
「Black Lives Matter」のことを考えれば、50年前の出来事だからといって安心はできない
自己紹介記事
ルシルナ
はじめまして | ルシルナ
ブログ「ルシルナ」の犀川後藤の自己紹介記事です。ここでは、「これまでのこと」「本のこと」「映画のこと」に分けて書いています。
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どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
権力を持つ者こそが”本当の悪”になれる。その現実に、私たちはどう立ち向かうべきだろうか?
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決して過去の話ではない。
映画の最後に、こんな内容の字幕が表示された。
この事件の真相は解明されないままだった。
この映画は、当時の記録と当事者の証言から作られている。
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つまり、この映画での描写が正しいかどうか分からない、ということだ。真相解明がなされなかったのだから仕方ないだろう。
途中経過がどうだったとしても、悲劇的な結末が変わるわけではない。実際に起こったかどうかよりも、この映画で描かれていることは「起こり得た」し「起こり得る」のだと捉えることに意味があると思う。
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権力が「正義」を蔑ろにしたら、誰も太刀打ちできない
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「憲法」とは、国民が国家を制約するものだ。学生時代にきっと習う知識なのだろうが、忘れていたか、特に重要だと思わずにいたのだろう。
「法律」は、国家が国民を制約するものだ。そして反対に「憲法」は、国民が国家を制約する。つまり「憲法」は、「国民が作り、国家に守らせるもの」というわけだ。そしてそれが「法律」よりも上位に存在する。これを「立憲主義」という。
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大人になってからこの事実を知った時には驚かされた。そうか、「憲法」はむしろ我々にとっての武器のだったのか、と。
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そして、確かにそうでなければならない、と映画を観て改めて感じた。
国家権力は、様々な形で国民を制約する。例えば国家は、国民から「暴力」を奪う。そしてその代わりに、警察権力が暴力に対抗したり、あるいは死刑という暴力によって犯罪者を処罰する。
立憲主義的には、「我々は国家権力に『憲法』という制約を課す。だから、我々の権利が制約されることも許容する」という理屈のはずだ。
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このようにして、「権力」の横暴を抑え込むのである。
そうしなければならない理由は明白だ。「権力」があまりにも強大な力を持つからである。「憲法」が課した制約を無視して権力が行使されるなら、国民は為す術もない。
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近畿財務局の職員だった赤木俊夫さんが自殺した事件の衝撃は今も残っている。先日、国が全額賠償金を支払うと決め、真相が解明されないまま裁判が終結してしまった。まさに、強大な「権力」が1人の人間をいともたやすく殺してしまった事件だ。
以前観た映画『東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート』では、東京オリンピック開催を名目に都営アパートの解体が決まり、住民が追い出される様が映し出された。権力が、その強大な力を行使して個人をなぎ倒すことは、身近にも起こりうる。
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そういう状況に置かれた時、私たちはどんな風に行動できるものだろうか?
自分が置かれている役割に人格を寄せてしまう可能性
ねつ造疑惑が持ち上がっており、心理学実験としての真偽には疑問符が付くのだが、とにかく非常に有名な「スタンフォード監獄実験」をご存知だろうか。学生を「看守役」と「囚人役」に分けで演技をさせると、看守という役柄にひきずられ、「看守役」の性格がどんどん邪悪なものに変わっていく、というものだ。
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この実験の真偽はともかく、「自分の役割を全うしなければならないという気持ちから、悪逆な行為をしてしまう」という状態はあり得ると思っている。
実際のデモ映像や、過去に起こった革命を元にした映画を観る度に、「軍や警察側に立つ者の気持ち」について考えてしまう。例えば、「Black Lives Matter」を合言葉にアメリカでデモが広がった際にも、当然デモを鎮圧するために警察官が派遣される。しかしその警察官の中にも、デモ隊と心を同じくする者がいたのではないかと思う。それでも彼らは、「警察官」という職務を全うしなければならない。だとすれば、自分の行為を正当化するために「デモをする側が悪い」と意識的に考え、職務遂行への抵抗感を減らそうとする者もいるのではないかと思う。
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そしてこのように考えることで、「権力を持っているがゆえに、悪事を起こしてしまう」と捉えることも可能になる。何を「正義」と考えるかは人それぞれだが、権力側に立つと決めた者は、「権力側が考える正義」に従わなければならなくなってしまう。「権力側が考える正義」が自分の信じる「正義」と異なる場合、職務を全うするために仕方なく「権力側が考える正義」を優先しなければならないと考えるだろうし、その過程において、まったく望んでいない行動を取らざるを得ないこともあるだろう。
この映画に登場するクラウスという白人警官は、映画を観る限りにおいては「あまりに異常」であり、私がここまでで書いたような議論にそぐうような存在では決してない。しかし一方で、「クラウスは異常者だった」と捉えるだけでは、過去の教訓を活かす機会を失ってしまう。
「権力」を持てば誰もがクラウスのようになってしまい得る。そんな自覚を持って生きなければ、いずれ自分が「権力の行使によって誰かを傷つける側」になってしまうかもしれないというわけだ。
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映画の内容紹介
1967年7月23日、デトロイト市で史上稀に見る大規模な暴動が起こった。
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そのきっかけになったのは、警察による取り締まりだ。低所得者が住む地域にある違法酒場にデトロイト市警が踏み込み、経営者が酒取扱許可書を持っていなかったことを理由に検挙した。これに地域住民である黒人たちが一斉に反発。火炎瓶を投げたり略奪を繰り返すなどして、デトロイト市は壊滅的な状態に陥っていく。
暴動発生から3日目、アルジュ・モーテルで事件が起こる。その日モーテルには、黒人バンドグループのメンバーと2人の白人女性、そしてその白人女性がモーテルで知り合った黒人たちがいた。
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【衝撃】権力の濫用、政治腐敗を描く映画『コレクティブ』は他人事じゃない。「国家の嘘」を監視せよ
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黒人の1人が、未だ暴動を警戒して配備されている市警や州兵をちょっと驚かせてやろうと、陸上競技のスタート用のピストルを発砲した。本人としてはお遊びのつもりだったが、市警はすぐに反応しモーテルを取り囲んだ。そして銃を持って中へと突入し、逃げようとした黒人1人を射殺したのだ。
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【生還】内戦下のシリアでISISに拘束された男の実話を基にした映画『ある人質』が描く壮絶すぎる現実
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その後も市警の1人は、モーテル内にいた全員を壁に向かって立たせ、「銃の在り処を吐かなければ殺す」と脅しながら、白人女性を含めた面々を痛めつけていく。
そのモーテルの向かいには、警備の仕事に就いていた黒人のディスミュークスがいた。彼は、モーテルで何か騒ぎが起こっているようだと気付いて中に入り、デトロイト市警の横暴を目にする。しかし彼は、白人警官を敵に回せばこの街で生きてはいけないと嫌というほど理解していた。狂気渦巻くこのモーテルの状況を、なんとか最小限の被害で食い止める方法はないものか思案するが……。
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映画の感想
今の時代にこんなことは起こらない……と思いたいがそうもいかないだろう。「Black Lives Matter」のきっかけとなった、白人警官が黒人の首を押さえつけて窒息させる映像はあまりにも衝撃で、私には映画の世界との違いが分からない。カメラで撮影される状況だと分かっていてあの行為を行う白人警官が現在でもいるのだ。同じような事件は必ずまた起こるだろう。
映画を観ながら様々なことを考えたが、「あの場に自分がいたら、クラウスを止められただろうか?」という葛藤もその1つだ。
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ディスミュークスは立場の弱い「黒人」なので、クラウスを止められなかったのは仕方ないと思う。ではもし、自分がクラウスと同じ白人で、ディスミュークスのように外からその騒ぎを察知してモーテルの中に入った人物だとしたら、クラウスを止めることができるだろうか?
無理だろうな、と思う。私は、不合理や不正義に対しては非常に腹が立つので、クラウスのような存在をまったく許容できないし、怒りしか感じない。しかしそれでも、止められるかどうかとなると話は別だ。やはり、権力を持つ者のタガが外れてしまえば、市民には手の打ちようがないだろう。
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また、銃社会の恐ろしさを改めて実感させられもした。この映画では、銃を所持しているのは警察官だが、アメリカでは誰もが銃を所持できるのだから、警察官でなくても同じ状況を引き起こせてしまう。
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そんな可能性を想定しながら生きなければならない生活は、なかなか辛いだろう。
アメリカでは開拓時代から、「自分の身は自分で守る権利がある」「自分の身を守るために銃を持つ」という考えが当然のこととして捉えられている。もちろん、すべてのアメリカ国民が銃を許容しているわけではないだろう。学校での銃乱射事件など凶悪犯罪も定期的に起こるし、銃など無い社会の方がいいと考える人もきっと多いはずだ。
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この記事の内容に沿った主張をするなら、「銃を持つこと」はある種の「権力」だと言える。「自己防衛」のつもりで所持し始めても、他人の生殺与奪の権利を有しているという感覚は人間に「権力」的な思考を植え付けるだろうし、それは「権力による不正義」をより身近なものにすると言っていいと思う。
銃が規制されればすべて解決、なんてことはもちろんない。そもそもの問題は「人種差別」なのだし、異なる者同士がどのように共存していくかを考えなければ進展などしないはずだ。人種だけではなく、貧富や思想など様々な理由で「分断」が加速している現代だからこそ、改めて「共存」のための議論を進めなければならないと感じさせられた。
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出演:ジョン・ボイエガ, 出演:ウィル・ポールター, 出演:ジャック・レイナー, 出演:アンソニー・マッキー, Writer:マーク・ボール, 監督:キャスリン・ビグロー
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最後に
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「立憲主義」というのは、国家を制約するものとして「憲法」を据え、その「憲法」は我々国民が作るという仕組みのことを指す。我々には、国家権力が「憲法」を遵守しているのか監視する責務があるというわけだ。
我々自身が穏やかさを感じられる社会で生きるためにも、その「監視」を怠ってはいけないのだと感じさせられた。
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制御不能の飛行機をハドソン川に不時着させ、乗員乗客155名全員の命を救った英雄はその後、「わざと機体を沈め損害を与えたのではないか」と疑われてしまう。映画『ハドソン川の奇跡』から、「正しさ」の難しさと、「『正しさ』の枠組み」の重要性を知る
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【驚愕】あるジャーナリストの衝撃の実話を描く映画『凶悪』。「死刑囚の告発」から「正義」を考える物語
獄中の死刑囚が警察に明かしていない事件を雑誌記者に告発し、「先生」と呼ばれる人物を追い詰めた実際の出来事を描くノンフィクションを原作にして、「ジャーナリズムとは?」「家族とは?」を問う映画『凶悪』は、原作とセットでとにかく凄まじい作品だ
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【差別】才ある者の能力を正しく引き出す者こそ最も有能であり、偏見から能力を評価できない者は無能だ…
「偏見・差別ゆえに、他人の能力を活かせない人間」を、私は無能だと感じる。そういう人は、現代社会の中にも結構いるでしょう。ソ連との有人宇宙飛行競争中のNASAで働く黒人女性を描く映画『ドリーム』から、偏見・差別のない社会への道筋を考える
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【実話】権力の濫用を監視するマスコミが「教会の暗部」を暴く映画『スポットライト』が現代社会を斬る
地方紙である「ボストン・グローブ紙」は、数多くの神父が長年に渡り子どもに対して性的虐待を行い、その事実を教会全体で隠蔽していたという衝撃の事実を明らかにした。彼らの奮闘の実話を映画化した『スポットライト』から、「権力の監視」の重要性を改めて理解する
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【正義】「正しさとは何か」を考えさせる映画『スリー・ビルボード』は、正しさの対立を絶妙に描く
「正しい」と主張するためには「正しさの基準」が必要だが、それでも「規制されていないことなら何でもしていいのか」は問題になる。3枚の立て看板というアナログなツールを使って現代のネット社会の現実をあぶり出す映画『スリー・ビルボード』から、「『正しさ』の難しさ」を考える
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【書評】奇跡の”国家”「ソマリランド」に高野秀行が潜入。崩壊国家・ソマリア内で唯一平和を保つ衝撃の”…
日本の「戦国時代」さながらの内戦状態にあるソマリア共和国内部に、十数年に渡り奇跡のように平和を維持している”未承認国家”が存在する。辺境作家・高野秀行の『謎の独立国家ソマリランド』から、「ソマリランド」の理解が難しい理由と、「奇跡のような民主主義」を知る
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【真実】ホロコーストが裁判で争われた衝撃の実話が映画化。”明らかな虚偽”にどう立ち向かうべきか:『…
「ホロコーストが起こったか否か」が、なんとイギリスの裁判で争われたことがある。その衝撃の実話を元にした『否定と肯定』では、「真実とは何か?」「情報をどう信じるべきか?」が問われる。「フェイクニュース」という言葉が当たり前に使われる世界に生きているからこそ知っておくべき事実
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【想像力】「知らなかったから仕方ない」で済ませていいのか?第二の「光州事件」は今もどこかで起きて…
「心地いい情報」だけに浸り、「知るべきことを知らなくても恥ずかしくない世の中」を生きてしまっている私たちは、世界で何が起こっているのかあまりに知らない。「光州事件」を描く映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』から、世界の見方を考える
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【矛盾】その”誹謗中傷”は真っ当か?映画『万引き家族』から、日本社会の「善悪の判断基準」を考える
どんな理由があれ、法を犯した者は罰せられるべきだと思っている。しかしそれは、善悪の判断とは関係ない。映画『万引き家族』(是枝裕和監督)から、「国民の気分」によって「善悪」が決まる社会の是非と、「善悪の判断を保留する勇気」を持つ生き方について考える
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【驚愕】正義は、人間の尊厳を奪わずに貫かれるべきだ。独裁政権を打倒した韓国の民衆の奮闘を描く映画…
たった30年前の韓国で、これほど恐ろしい出来事が起こっていたとは。「正義の実現」のために苛烈な「スパイ狩り」を行う秘密警察の横暴をきっかけに民主化運動が激化し、独裁政権が打倒された史実を描く『1987、ある闘いの真実』から、「正義」について考える
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【考察】映画『ジョーカー』で知る。孤立無援の環境にこそ”悪”は偏在すると。個人の問題ではない
「バットマン」シリーズを観たことがない人間が、予備知識ゼロで映画『ジョーカー』を鑑賞。「悪」は「環境」に偏在し、誰もが「悪」に足を踏み入れ得ると改めて実感させられた。「個人」を断罪するだけでは社会から「悪」を減らせない現実について改めて考える
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【葛藤】子どもが抱く「家族を捨てたい気持ち」は、母親の「家族を守りたい気持ち」の終着点かもしれな…
家族のややこしさは、家族の数だけ存在する。そのややこしさを、「子どもを守るために母親が父親を殺す」という極限状況を設定することで包括的に描き出そうとする映画『ひとよ』。「暴力」と「殺人犯の子どもというレッテル」のどちらの方が耐え難いと感じるだろうか?
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【興奮】飲茶氏の超面白い哲学小説。「正義とは?」の意味を問う”3人の女子高生”の主張とは?:『正義の…
なんて面白いんだろうか。哲学・科学を初心者にも分かりやすく伝える飲茶氏による『正義の教室』は、哲学書でありながら、3人の女子高生が登場する小説でもある。「直観主義」「功利主義」「自由主義」という「正義論」の主張を、「高校の問題について議論する生徒会の話し合い」から学ぶ
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【異様】ジャーナリズムの役割って何だ?日本ではまだきちんと機能しているか?報道機関自らが問う映画…
ドキュメンタリーで定評のある東海テレビが、「東海テレビ」を被写体として撮ったドキュメンタリー映画『さよならテレビ』は、「メディアはどうあるべきか?」を問いかける。2011年の信じがたいミスを遠景にしつつ、メディア内部から「メディアの存在意義」を投げかける
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【勇敢】”報道”は被害者を生む。私たちも同罪だ。”批判”による”正義の実現”は正義だろうか?:『リチャ…
「爆弾事件の被害を最小限に食い止めた英雄」が、メディアの勇み足のせいで「爆弾事件の犯人」と報じられてしまった実話を元にした映画『リチャード・ジュエル』から、「他人を公然と批判する行為」の是非と、「再発防止という名の正義」のあり方について考える
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【権利】衝撃のドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』は、「異質さを排除する社会」と「生きる権利」を問う
仮に「ヤクザ」を排除したところで、「ヤクザが担ってきた機能」が不要になるわけじゃない。ではそれを、公権力が代替するのだろうか?実際の組事務所にカメラを持ち込むドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』が、「基本的人権」のあり方について考えさせる
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NSA(アメリカ国家安全保障局)の最高機密にまでアクセスできたエドワード・スノーデンは、その機密情報を持ち出し内部告発を行った。「アメリカは世界中の通信を傍受している」と。『シチズンフォー』と『スノーデン』の2作品から、彼の告発内容とその葛藤を知る
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フランスのテレビ局が行った「現代版ミルグラム実験」の詳細が語られる『死のテレビ実験 人はそこまで服従するのか』は、「権威」を感じる対象から命じられれば誰もが残虐な行為をしてしまい得ることを示す。全人類必読の「過ちを事前に回避する」ための知見を学ぶ
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【史実】太平洋戦争末期に原爆を落としたアメリカは、なぜ終戦後比較的穏やかな占領政策を取ったか?:…
『八月十五日に吹く風』は小説だが、史実を基にした作品だ。本作では、「終戦直前に原爆を落としながら、なぜ比較的平穏な占領政策を行ったか?」の疑問が解き明かされる。『源氏物語』との出会いで日本を愛するようになった「ロナルド・リーン(仮名)」の知られざる奮闘を知る
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「北九州連続監禁殺人事件」という、マスコミも報道規制するほどの残虐事件。その「主犯の息子」として生きざるを得なかった男の壮絶な人生。「ザ・ノンフィクション」のプロデューサーが『人殺しの息子と呼ばれて』で改めて取り上げた「真摯な男」の生き様と覚悟
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旅行者として東日本大震災で被災した小説家・彩瀬まるは、『暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出』でその体験を語る。「そんなこと、言わなければ分からない」と感じるような感情も包み隠さず記し、「絶望的な伝わらなさ」を感じながらも伝えようと奮闘する1冊
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「ホームレスは怠けている」という見方は誤りだと思うし、「働かないことが悪」だとも私には思えない。振付師・アオキ裕キ主催のホームレスのダンスチームを追う映画『ダンシングホームレス』から、社会のレールを外れても許容される社会の在り方を希求する
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インドの高級ホテルで実際に起こったテロ事件を元にした映画『ホテル・ムンバイ』。恐ろしいほどの臨場感で、当時の恐怖を観客に体感させる映画であり、だからこそ余計に、「逃げる選択」もできたホテルスタッフたちが自らの意思で残り、宿泊を助けた事実に感銘を受ける
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【絶望】権力の濫用を止めるのは我々だ。映画『新聞記者』から「ソフトな独裁国家・日本」の今を知る
私個人は、「ビジョンの達成」のためなら「ソフトな独裁」を許容する。しかし今の日本は、そもそも「ビジョン」などなく、「ソフトな独裁状態」だけが続いていると感じた。映画『新聞記者』をベースに、私たちがどれだけ絶望的な国に生きているのかを理解する
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社会的弱者が闘争の末に権利を勝ち取ってきた歴史を知った上で私は、闘わずとも権利が認められるべきだと思っている。そして、そういう社会でない以上、「正義のためにルールを破るしかない」状況もある。映画『パブリック』から、ルールと正義のバランスを考える
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【意外】東京裁判の真実を記録した映画。敗戦国での裁判が実に”フェア”に行われたことに驚いた:『東京…
歴史に詳しくない私は、「東京裁判では、戦勝国が理不尽な裁きを行ったのだろう」という漠然としたイメージを抱いていた。しかし、その印象はまったくの誤りだった。映画『東京裁判 4Kリマスター版』から東京裁判が、いかに公正に行われたのかを知る
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難民申請中の少年が、国籍だけを理由にチェスの大会への出場でが危ぶまれる。そんな実際に起こった出来事を基にした『ファヒム パリが見た奇跡』は実に素晴らしい映画だが、賞賛すべきではない。「才能が無くても安全は担保されるべき」と考えるきっかけになる映画
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国の諜報機関の職員でありながら、「イラク戦争を正当化する」という巨大な策略を知り、守秘義務違反をおかしてまで真実を明らかにしようとした実在の女性を描く映画『オフィシャル・シークレット』から、「法を守る」こと以上に重要な生き方の指針を学ぶ
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「ルールは守らなければならない」というのは大前提だが、常に例外は存在する。どれほど重度の自閉症患者でも断らない無許可の施設で、情熱を持って問題に対処する主人公を描く映画『スペシャルズ!』から、「ルールのあるべき姿」を考える
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金正男が暗殺された事件は、世界中で驚きをもって報じられた。その実行犯である2人の女性は、「有名にならないか?」と声を掛けられて暗殺者に仕立て上げられてしまった普通の人だ。映画『わたしは金正男を殺していない』から、危険と隣り合わせの現状を知る
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「SNSなどでの炎上を回避する」という気持ちから「正論を言うに留めよう」という態度がナチュラルになりつつある社会には、全員が全員の首を締め付け合っているような窮屈さを感じてしまう。西川美和『すばらしき世界』から、善悪の境界の曖昧さを体感する
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私には、「謝罪すること」が「誠実」だという感覚がない。むしろ映画『AGANAI 地下鉄サリン事件と私』では、「謝罪しない誠実さ」が描かれる。被害者側と加害者側の対話から、「謝罪」「贖罪」の意味と、信じているものを諦めさせることの難しさについて書く
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【再生】ヤクザの現実を切り取る映画。『ヤクザと家族』から、我々が生きる社会の”今”を知る
「ヤクザ」を排除するだけでは「アンダーグラウンドの世界」は無くならないし、恐らく状況はより悪化しただけのはずだ。映画『ヤクザと家族』から、「悪は徹底的に叩きのめす」「悪じゃなければ何をしてもいい」という社会の風潮について考える。
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2008年に開設された新たな刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」で行われる「TC」というプログラム。「罰則」ではなく「対話」によって「加害者であることを受け入れる」過程を、刑務所内にカメラを入れて撮影した『プリズン・サークル』で知る。
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一昔前、我々は「正しい情報を欲していた」はずだ。しかしいつの間にか世の中は変わった。「欲しい情報を正しいと思う」ようになったのだ。この激変は、トランプ元大統領の台頭で一層明確になった。『ニューヨーク・タイムズを守った男』から、情報の受け取り方を問う
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オウム真理教の内部に潜入した、森達也のドキュメンタリー映画『A』は衝撃を与えた。しかしそれは、宗教団体ではなく、社会の方を切り取った作品だった。思考することを止めた社会の加虐性と、客観的な事実など切り取れないという現実について書く
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実際にチェコの警察を動かした衝撃のドキュメンタリー映画『SNS 少女たちの10日間』は、少女の「寂しさ」に付け込むおっさんどもの醜悪さに満ちあふれている。「WEBの利用制限」だけでは子どもを守りきれない現実を、リアルなものとして実感すべき
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こんな映画、二度と存在し得ないのではないかと感じるほど衝撃を受けた『娘は戦場で生まれた』。母であり革命家でもあるジャーナリストは、爆撃の続くシリアの街を記録し続け、同じ街で娘を産み育てた。「知らなかった」で済ませていい現実じゃない。
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39歳で餓死した男性は、何故誰にも助けを求めなかったのか?異常な視聴率を叩き出した、NHK「クローズアップ現代」の特集を元に書かれた『助けてと言えない』をベースに、「自己責任社会」の厳しさと、若者が置かれている現実について書く。
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日本は、死を覚悟して福島第一原発に残った「Fukushima50」に救われた。東京を含めた東日本が壊滅してもおかしくなかった大災害において、現場の人間が何を考えどう行動したのかを、『死の淵を見た男』をベースに書く。全日本人必読の書
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三権分立の一翼を担う裁判所のことを、私たちはよく知らない。元エリート裁判官と事件記者の対談本『裁判所の正体』をベースに、「裁判所による統制」と「権力との癒着」について書く。裁判なんか関わることない、という人も無視できない現実。
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国家・政治・制度・地方【本・映画の感想】 | ルシルナ
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