目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:ジェームズ・ノートン, 出演:ヴァネッサ・カービー, 出演:ピーター・サースガード, Writer:アンドレア・チャルーパ, 監督:アグニェシュカ・ホランド
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ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
今どこで観れるのか?
この記事の3つの要点
- 「間違ったことをして評価される」より、「正しいことをして非難される」方がずっとマシだと思っている
- 誰もが発信者になれる時代に生きているからこそ、この映画が突きつける問いを私たちは真剣に受け止めるべき
- ジョージ・オーウェル『動物農場』の誕生秘話についても触れられている
この物語は「過去の出来事」などではなく、どんな時代を生きる者にも関わる普遍的なものだ
自己紹介記事
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どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
ソ連の「恐るべき秘密」を暴き出した名もなき記者の実話を基にした映画『赤い闇』は、決して他人事ではない
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私たちは、メディアを通じて世界を知る。しかし、そのメディア自身が歪みや不正を内包していれば、私たちは世界について何も知ることができなくなってしまう。その怖さは、現代を生きる私たちにも共通するものだ。
メディアはどうあるべきか、そして私たちはメディアとどう関わるべきか。この点について深く考えさせる物語である。
「間違ったことをして評価される」より、「正しいことをして非難される」方がずっとマシだと思う
早速映画の内容とは関係のない話から始めるが、どこか外国で市民によるデモが起こる度に、私はその制圧を行う警察官について考えてしまう。彼らは、一体どんな風に感じているのだろう、と。
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もちろん、生活するのに必要なお金を稼ぐための仕事は大事だ。別に、デモを制圧しようとする警察官を非難したいわけではない。ただ、「結局のところ彼らは、『間違ったことをして評価されること』を選んだのではないか」といつも感じてしまう。デモ隊に賛同する気持ちを抱いているとしても、彼らはそれを抑え込み、「デモ隊を制圧することは決して正しいことではない」と理解しながら、その行動を取っているのではないか。私は、そんな風に考えながらデモの映像を見ているのである。
私の想像が正しいとして、「そういう生き方はしたくない」と私は思ってしまう。人は様々な理由から、自身の信条とは異なる状況に直面せざるを得なくなってしまうだろう。そしてそういう時に私は、綺麗事に聞こえるかもしれないが、「正しいことをして非難される」ような選択の方がマシだと考えるはずだと思っている。
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映画の中ではこんな場面が描かれていた。ソ連の内情を探ろうとモスクワ入りしたジョーンズは、モスクワで既に取材を行っていた他の外国人記者から、こんな風に言われる。
君は知らんのだ。今モスクワで記者をすることの難しさが。
ジョーンズの目には、モスクワに常駐している記者たちが、記者らしい仕事をしているようには映らない。ジャーナリストならすべきことがあるはずだ、と感じているのだ。しかし、そういう非難の目を向けられた者たちは、「お前にはまだ現実が見えていないんだ」と諭そうとする。つまり、「ソ連が異常な国だから、記者としてまともに動けなくても仕方ない」と言い訳をしているのである。
まあ、実際にそうなのかもしれないとも思う。確かにこの映画を見れば、当時のソ連が「異常」だったことは明らかだし、そんな国でまともな取材なんか出来ないというのも確かなのだろう。
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しかし、「だったらお前たちは何のためにモスクワにいるんだ」という話にもなるはずだ。「ここでは何も出来ない」と考えているのであれば、「私には何も出来ませんでしたすみません」と言って自国に帰るなり、あるいは別の場所に移動して取材するなり、何かやれることはあるだろう。
しかし彼らは、それをしない。現状を嘆くだけで、何も行動に移さないのだ。この点にジョーンズは憤りを覚えてしまう。
また、こんなことを口にする者もいた。
大義を選ばなければならないこともあるのだ。
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これは要するに、「革命の途中なのだから、犠牲が出るのは仕方ない」という意味だ。映画の中では、「革命の途中なのだから仕方ない」という趣旨の発言が幾度も出てくるので、これは多くの人が賛同する共通理解だと言っていいのだろう。
確かに、「革命に犠牲は付き物」だとは思う。さらに「革命」は、ある程度時間が経たなければ評価が難しいものでもある。「革命」の最中に、その良し悪しを判断するなど、まず不可能だろう。だから、「革命の途中で出た犠牲」について評価する基準など存在しないと言っていいはずだ。とすれば、「革命の途中なのだから仕方ない」という発言にも、一定の説得力があると考えてもいいのだろうと思う。
しかし、この映画を見れば、そんな風にはとても考えられないだろう。それが数百万人の犠牲の上にしか成り立たない「革命」なのだとして、そんな「革命」を正当化できる理屈など、世の中には存在しないはずだ。
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そしてモスクワには、ソ連が覆い隠そうとする「真実」を知りながら、その隠蔽に加担するかのように「真実」とはかけ離れた記事を書き地位や名誉を維持しようとする外国人記者がいる。「フェイクニュース」で報道の賞を受賞したり、メディアが持つ力を己の欲望のために利用したりしているのだ。信じがたい話である。
人間は必ずミスを犯す。記者も同様だ。だから、「結果として誤った情報を伝えてしまった」というのであれば同情の余地もある。しかし、この映画で描かれるのはそんな話ではない。明らかに嘘だと分かっている情報を、己の名声や保身や欲望のために報じているのである。
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このような状況は異常事態であり、普通には起こり得ないと信じたいところだが、なかなかそうもいかない。というのも現代は、誰もが発信者になれる時代だからだ。情報を伝えるのは、記者やアナウンサーだけではない。YouTubeやSNSを通じて、誰もがその人なりの切り取り方で世界についての情報を発信できてしまう。「社会の公器」たるべきメディア人でさえ、誘惑に負けて犯してしまうのだ。であれば、名もなき個人が発した情報など一層気をつけて受け取らなければならないだろう。
そしてだからこそ、ジョーンズのような存在を、私たちはもっと知り、評価しなければならないのだとも思う。
映画の内容紹介
ジャーナリストであるガレス・ジョーンズは、外国人記者として初めてヒトラーを取材した人物として知られている。彼は、イギリスの政治家ロイド・ジョージの外交顧問としての役割も担っていたのだが、ジョージの下ではその情報分析能力を上手く活かせずにいた。ジョージの取り巻きが、ジョーンズの話に真剣に耳を傾けないからだ。
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そんな最中、経費削減の意味もあったのか、ジョーンズは外交顧問としての任を解雇されてしまう。最後に彼はジョージに推薦状を書いてもらい、その足でモスクワへと向かうことにした。スターリンにインタビューをしたいと考えたのだ。
ジョーンズは大いなる疑問を抱いていた。「ソ連は何故繁栄しているのか」についてだ。全世界的に恐慌の嵐が吹き荒れているにも拘わらず、ソ連だけが順調なのである。どう考えても予算の辻褄が合わない。スターリンには何か「金脈」があるはずだ。それを探りたいと考えていたのである。
そこでジョーンズはソ連のビザを取得し、さらにモスクワにいる記者仲間ポールに連絡を取り、取材の協力を依頼した。
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しかしジョーンズがモスクワに着くと、ポールが事故死したという衝撃の事実を知らされる。さらにジョーンズは、1週間のビザを取得したにも拘わらず、ホテルへの滞在が2泊しか許可されないのだという。彼はとりあえず、ニューヨーク・タイムズのモスクワ市局長であるデュランティに会うよう助言されるが、デュランティは美女たちとアヘンパーティーに興じている最中だった。スターリンを礼賛する記事を書き、報道最高峰の賞であるピュリッツァー賞を受賞した人物である。
デュランティら記者たちの話を総合し、ジョーンズは状況をざっと掴む。どうやら記者はモスクワの外へ出る許可が得られず、そもそもまともな取材など行われていないようなのだ。メディアとしての機能がまったく果たされていない。
その夜ジョーンズは、エイダという女性とたまたま知り合った。彼女はデュランティの下で働く記者であり、ポールのことも知っているという。ジョーンズは事故死だと聞いていたのだが、実際には背後から4発も銃弾を撃ち込まれていたことをエイダから聞いた。恐らくポールの取材が真実に迫っていたため消されてしまったのだろう。
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ジョーンズはポールの取材を引き継ぐ決意をする。彼は、ジョージが書いてくれた推薦状を一部書き換え、記者としてではなく、外交顧問としてウクライナまでの切符を手にすることに成功した。そこでジョーンズが見たものは……。
映画の感想
映画の焦点は「ソ連はどんな悪行を行っているのか」に当てられているのだが、それが明らかにされる過程において、「メディアの役割とは何か」という問いが突きつけられる物語だとも言っていいと思う。
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そしてだからこそ、メディアが「社会の公器」としての存在意義をどれだけ自覚しているかが非常に重要になる。「誰のために」あるいは「何のために」その事実を報じているのかを、報じる側として関わるすべての人間が明確に意識していなければ、「正しい報道」から外れてしまうだろう。そして、報道を受け取る私たちもまた、チェックするような気持ちで情報に接しなければならないとも改めて感じさせられた。
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特に日本は、「報道の自由度ランキング」でかなり低い順位に甘んじている。2022年の日本の順位は71位であり、ケニア、パプアニューギニア、ガーナ、トンガ、ボスニア・ヘルツェゴビナといった国よりも低い。もちろん、先進国と呼ばれる国の中では最下位だろう。私たちは「かなり歪んだ報道」に日常的に接している可能性があるというわけだ。
映画では、ジョーンズがその勇敢さを発揮し、見事にソ連の「闇」を暴き出す。恐らくだが、ジョーンズのような志を持つジャーナリストは、当時もいたはずだと思う。しかし、ジョーンズのように行動出来るかはまた別の話だ。ポールのように殺されてしまう可能性だってあるのだから、「勇敢さ」や「正義感」だけで突っ走るわけにはいかない。
またエイダのように、「ソ連が成そうとしている革命」を「信じたい」と考えてしまう場合もあるだろう。現代を生きる私たちは、ソ連による社会主義の革命が失敗に終わったことを知っているが、当時は資本主義よりも社会主義の方が優れていると考える者も多くいたし、エイダのようなスタンスは決して珍しくなかったはずだ。そして、エイダのようになってしまえば、やはり「闇を暴き出す」ことは難しくなってしまう。
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そのような様々な困難が渦巻く状況の中で、ジョーンズは「真実」にたどり着く。もちろん、運も良かったはずだ。しかしそれ以上に、「真実を知りたい」「知ってしまった真実を伝えたい」という強烈な気持ちが、このような不可能を成し遂げさせたのではないかと思う。
映画『赤い闇』には、ジョージ・オーウェルが意外な形で登場した。『動物農場』の執筆秘話について触れられるのだ。まさにジョーンズの取材こそが、『動物農場』誕生のきっかけになっているのである。ジョーンズの取材は、ソ連の「闇」を暴き出しただけではなく、世界的大ベストセラーを生み出す契機ともなっていたというわけだ。非常に興味深いエピソードだと感じさせられた。
著:ジョージ・オーウェル, イラスト:水戸部功, 翻訳:山形浩生
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最後に
映画の最後で少し触れられるが、ジョーンズは不遇な亡くなり方をしている。どんな人物も、素晴らしい功績を成したのなら生きている間に評価されてほしいものだが、それが叶わないのであれば、せめて死後に名誉が回復されるべきだと思う。そしてそれは、私たちの役割である。ジョーンズのような個人の存在を正しく理解し、後世に伝え、彼のように行動する人物を1人でも多く生み出せる社会に寄与すべきだと感じさせられた。
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【衝撃】『ゆきゆきて、神軍』はとんでもないドキュメンタリー映画だ。虚実が果てしなく入り混じる傑作
奥崎謙三という元兵士のアナーキストに密着する『ゆきゆきて、神軍』。ドキュメンタリー映画の名作として名前だけは知っていたが、まさかこんなとんでもない映画だったとはと驚かされた。トークショーで監督が「自分の意向を無視した編集だった」と語っていたのも印象的
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1964年の東京オリンピックを機に建設された「都営霞ケ丘アパート」は、東京オリンピック2020を理由に解体が決まり、長年住み続けた高齢の住民に退去が告げられた。「公共の利益」と「個人の権利」の狭間で翻弄される人々の姿を淡々と映し出し、静かに「社会の在り方」を問う映画
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在日コリアン4世の監督が、北朝鮮脱北者への取材を元に作り上げた壮絶なアニメ映画『トゥルーノース』は、私たちがあまりに恐ろしい世界と地続きに生きていることを思い知らせてくれる。最低最悪の絶望を前に、人間はどれだけ悪虐になれてしまうのか、そしていかに優しさを発揮できるのか。
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獄中の死刑囚が警察に明かしていない事件を雑誌記者に告発し、「先生」と呼ばれる人物を追い詰めた実際の出来事を描くノンフィクションを原作にして、「ジャーナリズムとは?」「家族とは?」を問う映画『凶悪』は、原作とセットでとにかく凄まじい作品だ
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「80人の命を救うために、1人の少女の命を奪わなければならない」としたら、あなたはその決断を下せるだろうか?会議室で展開される現代の戦争を描く映画『アイ・イン・ザ・スカイ』から、「誤った問い」に答えを出さなければならない極限状況での葛藤を理解する
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日本の「難民認定率」が他の先進国と比べて異常に低いことは知っていた。しかし、日本の「難民」を取り巻く実状がこれほど酷いものだとはまったく知らなかった。日本で育った2人のクルド人難民に焦点を当てる映画『東京クルド』から、日本に住む「難民」の現実を知る
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地方紙である「ボストン・グローブ紙」は、数多くの神父が長年に渡り子どもに対して性的虐待を行い、その事実を教会全体で隠蔽していたという衝撃の事実を明らかにした。彼らの奮闘の実話を映画化した『スポットライト』から、「権力の監視」の重要性を改めて理解する
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【実話】暗号機エニグマ解読のドラマと悲劇を映画化。天才チューリングはなぜ不遇の死を遂げたのか:『…
「解読不可能」とまで言われた最強の暗号機エニグマを打ち破ったのは、コンピューターの基本原理を生み出した天才数学者アラン・チューリングだった。映画『イミテーションゲーム』から、1400万人以上を救ったとされながら、偏見により自殺した不遇の人生を知る
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権力を持つ者のタガが外れてしまえば、市民は為す術がない。そんな状況に置かれた時、私たちにはどんな選択肢があるだろうか?白人警官が黒人を脅して殺害した、50年前の実際の事件をモチーフにした映画『デトロイト』から、「権力による不正義」の恐ろしさを知る
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【真実】ホロコーストが裁判で争われた衝撃の実話が映画化。”明らかな虚偽”にどう立ち向かうべきか:『…
「ホロコーストが起こったか否か」が、なんとイギリスの裁判で争われたことがある。その衝撃の実話を元にした『否定と肯定』では、「真実とは何か?」「情報をどう信じるべきか?」が問われる。「フェイクニュース」という言葉が当たり前に使われる世界に生きているからこそ知っておくべき事実
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金正男が暗殺された事件は、世界中で驚きをもって報じられた。その実行犯である2人の女性は、「有名にならないか?」と声を掛けられて暗殺者に仕立て上げられてしまった普通の人だ。映画『わたしは金正男を殺していない』から、危険と隣り合わせの現状を知る
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私には、「謝罪すること」が「誠実」だという感覚がない。むしろ映画『AGANAI 地下鉄サリン事件と私』では、「謝罪しない誠実さ」が描かれる。被害者側と加害者側の対話から、「謝罪」「贖罪」の意味と、信じているものを諦めさせることの難しさについて書く
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2人を殺し、7人に重傷を負わせた金川真大に同情の余地はない。しかし、この事件を取材した記者も、私も、彼が殺人に至った背景・動機については理解できてしまう部分がある。『死刑のための殺人』をベースに、「どうしようもないつまらなさ」と共に生きる現代を知る
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オウム真理教の内部に潜入した、森達也のドキュメンタリー映画『A』は衝撃を与えた。しかしそれは、宗教団体ではなく、社会の方を切り取った作品だった。思考することを止めた社会の加虐性と、客観的な事実など切り取れないという現実について書く
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39歳で餓死した男性は、何故誰にも助けを求めなかったのか?異常な視聴率を叩き出した、NHK「クローズアップ現代」の特集を元に書かれた『助けてと言えない』をベースに、「自己責任社会」の厳しさと、若者が置かれている現実について書く。
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日本は、死を覚悟して福島第一原発に残った「Fukushima50」に救われた。東京を含めた東日本が壊滅してもおかしくなかった大災害において、現場の人間が何を考えどう行動したのかを、『死の淵を見た男』をベースに書く。全日本人必読の書
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三権分立の一翼を担う裁判所のことを、私たちはよく知らない。元エリート裁判官と事件記者の対談本『裁判所の正体』をベースに、「裁判所による統制」と「権力との癒着」について書く。裁判なんか関わることない、という人も無視できない現実。
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