目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:ユ・アイン, 出演:ユ・ジェミョン, 出演:ムン・スンア, Writer:ホン・ウィジョン, 監督:ホン・ウィジョン, プロデュース:キム・テワン
¥550 (2022/09/09 23:21時点 | Amazon調べ)
ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていくようだよ
この記事で伝えたいこと
「誘拐犯」と「被害者」による「疑似家族」はなぜ成立したのか?
この記事の3つの要点
- 「本当の家族」では弟ばかりが愛され、誘拐された女の子はのけ者にされていただろうと想像させる設定
- 誘拐された女の子が、「疑似家族」で初めて「家族らしさ」を感じるという悲哀
- 「”誘拐犯”が喋れない」という設定も、2人の関係性を不自然に見せない見事な工夫になっている
「目に見えない部分」を深く想像させつつ、「目に見える部分」を楽しく哀しく描き出す見事な映画
自己紹介記事
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どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
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非常に奇妙な映画でした。何が奇妙なのかと言えば、映画を観終えた後で最も印象に残ったのが、「映画ではほぼ描かれなかった部分」だという点です。
その奇妙な雰囲気を、「誘拐された女の子」が絶妙に演じるんだよなぁ
「誘拐された女の子」はなぜ逃げなかったのか。その答えに通ずる「本当の家族」との関係
まずはざっくり、物語の設定を紹介しておきましょう。主人公である喋れない男が、予期せぬ理由から「誘拐された女の子」をしばらくの間預かるという物語です。誘拐してきたのは別の人物で、主人公は巻き込まれたに過ぎません。物語の始まり方は、どことなく映画『万引き家族』を彷彿とさせるでしょう。
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さて、映画『声もなく』でも、『万引き家族』とは違った形の「疑似家族」が描かれます。そして『万引き家族』と同様に、そんな「疑似家族」の姿を切り取っているように見せつつ、実はまったく違うものを映し出そうとしていた、というのが私の解釈です。
結局のところ、「なぜそんな『疑似家族』が成立しうるのか?」が常に問題になるわけだしね
この作品の場合、その点が明確には描かれず、観客の想像に任せられているっていうのが変わってる気がする
誘拐された女の子であるチョヒは、最初から従順でした。騒ぐでも泣くでも誰かに助けを求めるでもありません。そして、「私は殺されるの?」「お父さんはお金を払う?」など、現状を把握するための質問はしつつも、これから自分がどうなるのかという点については”達観している”という印象がとても強い女の子でした。
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もちろん、「チョヒは逃げるために冷静な判断をしていた」という解釈もできると思います。相手を油断させ、隙をついて逃げるチャンスを伺っており、従順なのはただのフリだという風に捉えることも可能でしょう。しかし映画を観ていると、やはりそうではないように感じられる場面も出てきます。印象的だったのは、チョヒが”誘拐犯”にスコップを渡す場面。このシーンについてこれ以上詳しくは触れませんが、やはり「従順なフリ」という説明では納得しにくい場面だと思います。
だからこそ、「何故チョヒは、そんなにもあっさりと現状を受け入れてしまっているのか?」という問いが成り立つわけです。
映画制作の順番からすれば、「チョヒと”誘拐犯”の関係をリアルに見せるために相応の設定を用意した」みたいなことかもだけど
その設定がちゃんとあるお陰で、実際にチョヒと”誘拐犯”の関係はリアルっぽくなってるよね
チョヒが達観していた理由が明確に描かれるわけではありませんが、その点について最も詳しく触れられたのが、チョヒのこのセリフでしょう。
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パパが嫌ってるから。弟がいれば十分みたい。
具体的な情報はほぼ存在しないため想像するしかありませんが、とにかくチョヒは、「本当の家族」の中では浮いた存在だったようです。
映画の舞台がいつの時代なのか明示されなかったと思いますが、スマートフォンではなくガラケーのような携帯電話を使っていたので、一昔前だと思います。そしてきっと、一昔前の韓国であれば、今以上に「男児の方が重要」という考え方が強かったのではないでしょうか。
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そういう環境の中で、長女であるチョヒはあからさまに父親から目を掛けてもらえていません。分かり易すぎるくらい、弟ばかりが愛されている想像できるのです。
確か、「本当は弟を誘拐するはずだったんだけど間違えた」みたいなことも言ってた気がする
これが、誘拐された時点における、チョヒが置かれていた状況です。そしてだからこそ、チョヒは揺れてしまいます。
私は「本当の家族」の元に帰るべきだろうか、と。
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「誘拐された女の子」が「帰るべきか悩む」という異常な物語
さて、「帰るべきかどうか」という問いに対しては、チョヒは「絶対に帰る」と決めていたはずです。自分の内側に様々な葛藤があっても、「誘拐された今の状態のままでいいはずがない」という気持ちは間違いなくあったと思います。普段のチョヒは、誘拐された状況に馴染んでいる風にしか見えませんが、随所で「絶対に帰る」という決意が見え隠れするからです。
だからチョヒが考えていたのは、「もう少しここにいてもいいんじゃないか」ということだったのだと思います。「ずっとはいられないけれど、少しの間この『家族』を楽しむのはアリなんじゃないか」というわけです。
いくら血が繋がってても、あからさまに弟ばかり可愛がられる環境に戻るのもキツイからね
「本当の家族」のことはほぼ描かれないのに、「チョヒは、誘拐されてる今の方がきっと楽しいだろうし、そのことはとても可哀想」って気分になる
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チョヒにそう思わせた最大の要因としては、”誘拐犯”の妹・ムンジュの存在が大きいでしょう。2人が住んでいるのは、農村にポツンと建つ小屋のようなボロい家で、トイレは敷地内の別の建物、部屋中には物が散乱しているという有り様です。ムンジュは、脱ぎ捨てられた洋服だらけの部屋でボサボサの髪のまま転がっており、チョヒは最初、ムンジュも自分と同じように誘拐された女の子だと思ったほどでした。
そんなムンジュにチョヒは、姉のように接し始めます。野生児のようなムンジュに、服の畳み方を教え、食事のルールを守らせ、一緒に洗濯をするのです。勉強も教え、時には遊び、すぐにムンジュはチョヒのことを「お姉ちゃん」と呼ぶようになります。本当の姉妹のようです。
チョヒにとってムンジュと関わる日々は、恐らく、「家族らしさ」を感じた初めての経験だったのではないかと思います。赤の他人との関係に「家族らしさ」を感じるという点でも、『万引き家族』を連想させるでしょう。
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このブログの色んな記事で書いてるけど、「血が繋がってるかどうか」なんてマジでどうでもいい話だからね
「血が繋がった気の合わない人」より「血が繋がっていない気が合う人」の方がどう考えても良いよなぁ
私にはチョヒが、「いつかは必ず家に戻るけれども、しばらくはここにいてもいいのではないか」みたいな葛藤をずっと抱え続けていたように感じられました。もちろん、「いつ安全にこの場を抜け出せるか」は分からないので、今しかないというタイミングは逃さないわけですが、逃げるのに適さない場面ではむしろ、その状況を少しでも楽しんでおこうという気持ちがあったのではないかと思います。
映画の最後でチョヒは、誰かに向かってお辞儀しました。誰にどんな理由でお辞儀をしたのかが描かれるわけではないのですが、観客はその相手や理由を想像できるはずです。そしてそのお辞儀は私にとって、「私はこっちの地獄を選んだ」というチョヒの覚悟の現れだったと感じられました。
「誘拐」という外的状況さえなければ、チョヒにとっては”誘拐犯”との「疑似家族」の方が心地よかったはずです。しかしやはり、それが「誘拐」である以上、今いる場所は地獄でしかありません。チョヒには「どちらの地獄を選ぶのか」という選択肢しかなかったわけで、そういう中で、最終的には「世間的に真っ当な選択肢」を選ぶしかなかったのでしょう。
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「誘拐されている」のに「帰りたくないかも」って感じるのなんて、よっぽどだもんね
さて、ここまで書いてきた「チョヒの背景」は、ほぼすべて私の想像です。映画では、これらについて具体的に描かれることはありません。ただ、「”誘拐犯”との生活にチョヒが馴染んでいる」という事実から、「チョヒが置かれていた現実の辛さ」が想像させられます。まさに、「映画ではほとんど描かれていない部分」に目が行ってしまう映画なのです。
見える部分ももちろん面白いのですが、見えない部分に対する想像もまた興味深く、非常に奥深い作品だと感じました。
映画『声もなく』の内容紹介
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チャンボクは、普段は卵の移動販売の仕事をしており、テインもその仕事を手伝っている。テインにとってチャンボクは、幼い頃から育ててくれた親のような存在だ。
そんな2人は、裏の仕事も請け負っている。ヨンソクという男から、殺人と死体処理を任されているのだ。しかし2人は、連れてこられるのが誰で、何故殺されなければならないのか知らない。彼らは、連れてこられた者たちを殺し、その死体を処理するだけだ。
ある日チャンボクはヨンソクから、普段とは違う頼まれごとをされる。数日でいいから人を預かってほしいというのだ。人殺しが専門だから無理だと断ろうとしたのだが、どうにも断りきれず引き受けることになってしまった。ヨンソクからの依頼だから、手荒な人物を預かるに違いない。そこで、引き渡し場所として指定された部屋へと向かうテインにバットを持たせたのだが、そこにいたのはなんと、ウサギの仮面を被った女の子だった。
チャンボクはここでようやく事情を知る。身代金目的で誘拐してきたそうだが、本来弟を誘拐するはずだったのに、部下が間違えて姉のチョヒを誘拐してしまったというのだ。父親は、誘拐されたのが姉だと知ると身代金の支払いを渋り出し、話が進んでいない。だから、身代金の受け渡しが終わるまで預かっててくれ、というわけだ。
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チャンボクは、チョヒの世話を体よくテインに押し付けた。こうして、自分が誘拐してきたわけでもないのに”誘拐犯”になってしまったテインと、テインの妹と姉妹のように振る舞うチョヒの奇妙な同居生活がスタートする……。
映画『声もなく』の感想
「死体処理」や「誘拐」など、出てくる単語は物騒な映画なのですが、とにかく最初から最後までコミカルに展開される映画です。チョヒとの同居が始まるまでの冒頭部分はかなりポップな雰囲気で進んでいくし、「誘拐」がメインで描かれる後半に入っても、陰鬱さがないまま進んでいきます。死体処理の現場で床に血が滴っている様など、決して「綺麗」とは言えない場面も映しながら、見た目を含めた全体の雰囲気が醜くならないように工夫されている感じで、誰が観ても楽しめる作品だと感じました。
普通ならシリアスになるはずの場面も、思わず笑っちゃうような感じなんだよね
その辺りが、この映画の大きな魅力の1つと言っていいと思う
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そして、冒頭で書いたことを繰り返しますが、テインとチョヒの関係性が素晴らしい作品でもあります。
普通に考えて、”誘拐犯”とその被害者の同居が成り立つはずがないでしょう。テインはチョヒを監禁していません。というか、出来ませんでした。チャンボクから、「チョヒを閉じ込めて仕事に出てこい」と呼び出しが掛かった際も、「妹がいるから家に鍵を掛けられない」と押し問答の末、死体処理の現場にチョヒを連れていくという決断をします。そして、ムンジュの存在が大きかったとはいえ、閉じ込められているわけではないチョヒは基本的に逃げ出そうとしないのです。
誘拐犯と被害者のこんな関係は、リアリティを欠くと普通なら判断されるでしょうが、冒頭で書いた通り、「チョヒの本当の家族との関係性」という背景が存在するが故に、決して不自然なものに映りません。
映画を観た後、改めて思い返してみて驚かされるのが、この「不自然さを抱かせない」ってとこだよね
「そんな状況あり得ないだろ」って思考が浮かばず、2人の描写を素直に受け入れられるのがいい
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テイン・チョヒそれぞれを演じる役者の上手さもあると思いますが、「疑似家族」がナチュラルに成立しているように見える設定や展開がとても見事に組み込まれているというわけです。
また、「テインが喋れない」という要素も、不自然さを浮き彫りにしないことに貢献していると感じました。
テインは、耳は聞こえますが、喋ることができません。筆談する場面も出てきませんでした。字が書けないのかもしれませんが、そもそもテインは、他人とコミュニケーションを取ろうとする意志が薄いのだと思います。手話を使うでもなく、テインはなんとなくの身振り手振りだけで、周囲の人に何かを伝えようとするのです。
この設定はとても重要だと感じました。
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もしテインが、筆談でも手話でもなんでもいいですが、「明確な言葉」で自分の意志を伝える人物だとしたら、テインとチョヒの関係が成立しているようにはきっと見えなかったでしょう。しかし、テインは「明確な言葉」を使わないので、「チョヒが高い理解力を示すことで、テインとの会話が成立しているように感じられる」という状況が生まれるのです。
この状況は、この映画においては「テインとチョヒが選択できる唯一のコミュニケーション手段」なのですが、一方でこの2人のやり取りは、「歳を重ねた老夫婦のような無言のやり取り」にも見えてきます。決して分かり合っているわけではないのですが、「2人が深いところで理解し合っている」と感じられるようなやり取りをすることで、”誘拐犯”と被害者の関係の不自然さが一層薄れているように感じられたというわけです。
そこまで考えてテインの設定を決めたのかは分からないけど
ただやっぱり、テインが何か「明確な言葉」を使ってたら、この物語は成立しなかっただろうなって気はする
もちろん、「2人が深いところで理解し合っている」みたいに感じてしまうのは錯覚です。錯覚であることがはっきりと突きつけられる場面も、ラスト付近に用意されています。
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ただ、ラストの展開で錯覚だと突きつけられるからといって、テインとチョヒが関わったすべての時間もそうだったと決まるわけではないはずです。もしかしたら、一瞬だったかもしれないけれど、2人は確かに心が通じたことがあるかもしれません。そのことを確かめる術はないのですが、なんとなく、そんな瞬間があったのだと信じたい気持ちになる物語だとも感じました。
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出演:ユ・アイン, 出演:ユ・ジェミョン, 出演:ムン・スンア, Writer:ホン・ウィジョン, 監督:ホン・ウィジョン, プロデュース:キム・テワン
¥400 (2023/09/23 19:55時点 | Amazon調べ)
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戦後最大の未解決事件である「グリコ・森永事件」では、脅迫に子どもの声が使われていた。私はその事実を、塩田武士『罪の声』という小説を読むまで知らなかった。では、続く疑問はこうだろう。その子どもたちは、今どこでどんな風に生きているのか?その疑問に答える、凄まじい小説だ。
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【違和感】映画『コントラ』は、「よく分かんない」が「よく分かんないけど面白い」に変わる不思議な作品
ほぼ内容を知らないまま観に行った映画『コントラ』は、最後の最後まで結局何も理解できなかったが、それでもとても面白い作品だった。「後ろ向きに歩く男」が放つ違和感を主人公・ソラの存在感が中和させており、奇妙なのに可能な限り「日常感」を失わせずに展開させる構成が見事だと思う
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【感想】実業之日本社『少女の友』をモデルに伊吹有喜『彼方の友へ』が描く、出版に懸ける戦時下の人々
実業之日本社の伝説の少女雑誌「少女の友」をモデルに、戦時下で出版に懸ける人々を描く『彼方の友へ』(伊吹有喜)。「戦争そのもの」を描くのではなく、「『日常』を喪失させるもの」として「戦争」を描く小説であり、どうしても遠い存在に感じてしまう「戦争」の捉え方が変わる1冊
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「こんな田舎にはもったいないほどのドM」と評された男が主人公の映画『夕方のおともだち』は、SM嬢と真性ドMの関わりを通じて、「宣言から始まる関係」の難しさを描き出す。「普通の世界」に息苦しさを感じ、どうしても馴染めないと思っている人に刺さるだろう作品
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【感想】映画『朝が来る』が描く、「我が子を返して欲しい気持ち」を消せない特別養子縁組のリアル
「特別養子縁組」を軸に人々の葛藤を描く映画『朝が来る』は、決して「特別養子縁組」の話ではない。「『起こるだろうが、起こるはずがない』と思っていた状況」に直面せざるを得ない人々が、「すべての選択肢が不正解」という中でどんな決断を下すのかが問われる、非常に示唆に富む作品だ
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【感想】のん主演映画『私をくいとめて』から考える、「誰かと一緒にいられれば孤独じゃないのか」問題
のん(能年玲奈)が「おひとり様ライフ」を満喫する主人公を演じる映画『私をくいとめて』を観て、「孤独」について考えさせられた。「誰かと関わっていられれば孤独じゃない」という考えに私は賛同できないし、むしろ誰かと一緒にいる時の方がより強く孤独を感じることさえある
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【考察】ヨネダコウ『囀る鳥は羽ばたかない』は、BLの枠組みの中で「歪んだ人間」をリアルに描き出す
2巻までしか読んでいないが、ヨネダコウのマンガ『囀る鳥は羽ばたかない』は、「ヤクザ」「BL」という使い古されたフォーマットを使って、異次元の物語を紡ぎ出す作品だ。BLだが、BLという外枠を脇役にしてしまう矢代という歪んだ男の存在感が凄まじい。
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【感想】おげれつたなか『エスケープジャーニー』は、BLでしか描けない”行き止まりの関係”が絶妙
おげれつたなか『エスケープジャーニー』のあらすじ紹介とレビュー。とにかく、「BLでしか描けない関係性」が素晴らしかった。友達なら完璧だったのに、「恋人」ではまったく上手く行かなくなってしまった直人と太一の葛藤を通じて、「進んでも行き止まり」である関係にどう向き合うか考えさせられる
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【あらすじ】ムロツヨシ主演映画『神は見返りを求める』の、”善意”が”悪意”に豹変するリアルが凄まじい
ムロツヨシ演じる田母神が「お人好し」から「復讐の権化」に豹変する映画『神は見返りを求める』。「こういう状況は、実際に世界中で起こっているだろう」と感じさせるリアリティが見事な作品だった。「善意」があっさりと踏みにじられる世界を、私たちは受け容れるべきだろうか?
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【純愛】映画『ぼくのエリ』の衝撃。「生き延びるために必要なもの」を貪欲に求める狂気と悲哀、そして恋
名作と名高い映画『ぼくのエリ』は、「生き延びるために必要なもの」が「他者を滅ぼしてしまうこと」であるという絶望を抱えながら、それでも生きることを選ぶ者たちの葛藤が描かれる。「純愛」と呼んでいいのか悩んでしまう2人の関係性と、予想もつかない展開に、感動させられる
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「0円で何もしない」をコンセプトに始まった「レンタルなんもしない人」という活動は、それまで見えにくかった様々な価値観を炙り出した見事な社会実験だと思う。『<レンタルなんもしない人>というサービスをはじめます。』で本人が語る、お金・仕事・人間関係の新たな捉え方
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映画『先生、私の隣に座っていただけませんか?』は、「マンガ家夫婦の不倫」という設定を非常に上手く活かしながら、「何がホントで何かウソなのかはっきりしないドキドキ感」を味わわせてくれる作品だ。黒木華・柄本佑の演技も絶妙で、良い映画を観たなぁと感じました
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私は「見て分かること」に”しか”反応できない世界に日々苛立ちを覚えている。そういう社会だからこそ、映画『流浪の月』で描かれる文と更紗の関係も「気持ち悪い」と断罪されるのだ。私はむしろ、どうしようもなく文と更紗の関係を「羨ましい」と感じてしまう。
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