目次
はじめに
この記事で伝えたいこと
自閉症児に限らず、すべての子育てに応用できる教訓だと思います
専門家の常識を覆した母親のやり方は、これからの時代に必要な教育でもあるでしょう
この記事の3つの要点
- 字が読めるようにならないだろうと言われた重度の自閉症児
- 「できないことに焦点を当てる」専門家のやり方への違和感
- 息子だけでなく数多くの自閉症児を救った驚愕のプログラム
子どもの幸せを願う、パワフル母ちゃんの奮闘記、といった感じの軽い読み物ですよ
この記事で取り上げる本
著:クリスティン・バーネット, 著:永峯 涼
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はじめまして
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子育て全般に通じる話
この作品は、自閉症児を育てる母親の物語です。そう聞くと、自分の子どもは自閉症ではないからと関心を失うかもしれません。
しかし本書は、子育て全般に通じる話が書かれた作品だと思っています。私自身は子どもを育てた経験はないので説得力はないでしょうが、「靴紐も結べない」と言われた子どもが「9歳で大学に入学し、相対性理論の研究をする」までに変貌したのには、母親の観察と執念が実を結んだとある実践があったお陰です。そしてその実践は、自閉症児以外にも役立つものだと私は考えています。
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それは著者自身も同じで、あとがきで
わたしがこの本を書いたのは、ジェイクのストーリーはすべての子どもに当てはまる話だと考えるからです
と書いています。
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「好きなことに打ち込む時間」こそが大事
ジェイクの天才性と自閉症
本書に登場する自閉症児であるジェイクは、なかなかぶっ飛んだ天才です。なにせ、12歳にして論文が専門誌に掲載されました。
ジェイクは大学の物理学の研究者として、十二歳で初めて夏休みのアルバイトを経験しました。アルバイトをはじめて三週間目、彼は格子説におけるある未解決問題を解いてしまったのです。この解答はのちに、一流の専門誌に掲載されることになりました
IQを測ると189と出たそうですが、実はもっと高い可能性があります。「天井効果」と呼ばれるものが制約となり、実際には測定不能なのだそうです。
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また、ノーベル賞も夢ではないといいます。
そして息子の要望にしたがって、とある物理学者に連絡をとったのです。その学者はまだやりかけのジェイクの式を快く見てくれ、彼の理論は間違いなく彼独自のものであること、そしてもしこれが完成されれば、ノーベル賞候補にもなり得るだろう、と言ってくれました
他にも、ピアノを習わせたことなど一度もないのに、初めて聞いた曲をその場で弾けてしまいます。また、地図を見ただけでアメリカ中の主要道路をすべて暗記し、母親が運転する際には正確にナビゲートしてくれるとか。ちょっと信じがたいと感じてしまうほどです。
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しかし、ジェイクの将来がこうなることを予見できた人は誰もいませんでした。というのも、ジェイクが3歳の頃、母親は専門家からこう診断されてしまうのです。
彼が十六歳になったときに自分で靴ひもを結べるようになっていたらラッキーだ
ジェイクは重度の自閉症で、彼が字を読めるようになると考える人もいなかったそうです。そう考えると、9歳で大学に入学したというインパクトがさらに強くなるでしょう。
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アメリカの自閉症プログラムへの疑問
アメリカでは、自閉症児向けのプログラムが用意されています。もちろんこれは、専門家の研究や経験を元に、様々な検討を経て作られたものでしょう。自閉症児については、「5歳までの接し方で、その後の様子が大きく変わる」という研究結果が存在するようで、自閉症児の親は、専門家が組んだプログラムを毎日詰め込み、少しでもたくさんの訓練を受けさせるのに必死になります。
このプログラムは、著者の言い方を借りると、「できないことに焦点を当てるもの」です。
例えば自閉症児の中には、「じっと座っている」ことが苦手な子もいます。その場合、様々な訓練を施しながら「じっと座っている」状態を保てるように訓練を行うということです。
自閉症児向けのプログラムはこのように、「自閉症児が苦手とする『社会生活に必要な動作・行動』をできるようにする」ことが目的となっています。
ジェイクの母親も当然、このプログラムを受けさせます。しかし母親は、息子の様子を観察して、疑問を抱くのです。これが本当に正解なんだろうか? 専門家がそう言っているのだから正しいのでしょうが、しかし、このプログラムがジェイクのためになっている気がしない……。
彼女は、そんな葛藤を抱くようになります。
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母の決断
しかし彼女は、すぐに行動できたわけではありません。自分は自閉症児と接するのが初めてなのだし、プログラムを組んでいるのは専門家です。素人の自分が何を言ったところで、状況が好転するとは思えないでしょう。
また、彼女の夫も、知識のある専門家に任せるべきだ、という考えでした。当然の判断だと思います。私も、同じ状況にいたら、やはり同じことを言うでしょう。
しかし母親は、考えを変えます。そのきっかけは、専門家のある態度でした。ジェイクは字を覚えられるはずがないと決めつけたのです。そこで母親は、専門家に任せることを止め、ジェイクへの教育をすべて自分で行う決断をしました。
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なかなかできることではないでしょう。彼女も、
崖から飛び降りるほどの勇気を必要とします
と表現しています。
結果的にはこの母親の決断がすべてを好転させたわけだけど、どうなるか分かんないから怖いよね
彼女がジェイクに対して行ったことは、専門家のプログラムとは真逆のこと、つまり「できることに焦点を当てるもの」でした。
この判断は、これまでの知見を否定するようなものでしょう。5歳までに、それまでできなかったことをどれだけ訓練するかで変わるという研究結果もあるわけで、それに真っ向から闘いを挑むようなものです。しかし結果的には、これが大正解でした。ジェイクは劇的な変化を見せることになります。
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しかも、これは決してジェイクだけに当てはまったわけではないのです。彼女は、同じプログラムを他の自閉症児に対しても行い、同様の成果を出しています。しかも、なんと”無償”でです。
彼女は、ジェイクに友だちができたらいいと思い、何人か自閉症児を集めるつもりで、オリジナルのプログラムを始めますと案内を出したのですが、数百のメールが返ってきました。彼女自身、自閉症児の子育てに思い悩んできたので、その苦労は分かります。そこで、希望者がいるなら誰も断らないと決め、さらにお金を一切取らずに行うのです。
まったく、凄い女性です。
母が行った「リトル・ライト」プログラムとその成果
そんなわけで、彼女が行ったプログラムがどんなものになったのか、抜き出してみることにします
ここで何に時間を割いているか知ったら、誰もが驚くにちがいありません!「ある子とは、一緒に美術館に行って、一枚の絵の前で六時間いっしょにいました。ある子にはガレージセールで手に入れた製図台をあげました。ある子といっしょに何百枚ものクッキーを焼いて、アイシング(砂糖衣)でアルファベットを書いて、読み書きをおぼえました。」
彼女のプログラムには、特定のやり方はありません。それぞれの子どもたちが興味・関心を抱くことを、ただひたすらに徹底的にやらせるのです。
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その成果は凄まじいものがありました。「16歳で靴紐も結べないかもしれない」と言われていたジェイクは、普通小学校に通えるようになったのです。ジェイクだけではなく、他の重度の自閉症児たちも、「リトル・ライト」を経て、小学校入学を果たします。
母親は、「リトル・ライト」のプログラムが上手くいった理由を、こう書いています。
ジェイクは本格的な天文学を学ぶ機会を与えられている限りは、学校でもきちんとした社会的行動がとれるのだと。保育所の健常児たちや「リトル・ライト」の自閉症児たち、そしてジェイクを見ていてもわかるように、子どもというのは好きなことに打ち込む時間さえ与えられれば、それ以外のスキルも自然と向上していくものだと
まさにこれこそ、自閉症児以外の子育てにも通用するのではないかと感じる、本書の核となる主張です。
「好きなことをやれるなら、苦手なことも我慢できる」って、当たり前っちゃ当たり前なんだよね
でも、「自閉症児は違う」っていう思い込みがずっとあったんだろうなぁ
私は子どもの頃、「勉強しろ」とは一切言われませんでした。基本的に「勉強が好き」だったので、私は勝手に勉強していたのです。もし「勉強しろ」と言われていたら、子どもの頃、あんなに勉強していなかっただろうと思います。「しろ」って言われると、途端にやる気がなくなりますよね。
また、時代の変化を考えてみても、やりたいと感じることを止めない教育の方がいい、と感じます。
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これから、AIが社会にどんどんと組み込まれていくだろうと思います。そういう時代には、「なんでもそこそこ器用にできる人」より、「大半のことは苦手だけど、メチャクチャ得意なことが一つでもある人」の方が、社会に求められるようになるでしょう。そういう意味でも、子ども時代の「やりたい!」という気持ちをいかに制約しないかが大事になってくるのではないかと感じます。
もし子どもを育てるような機会があったらそうしようと思ってる
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最後に
本書は、子どもをどう育てるかという観点からも非常に示唆の多い作品ですが、同時に、「専門家の言葉であっても決して鵜呑みにしてはいけない」という教訓を与える本でもあります。
私は元々理系の人間なので、基本的に科学を信頼していますし、研究の積み重ねによって蓄積されてきた知見を信じています。しかしそれでも、科学も専門家も完璧ではありません。「科学だからって信じるな」と言いたいわけではありません。基本的に、科学は信頼できるものだと思います。ただ、決して100%正しいわけじゃないぞ、と頭の片隅で考えておくことも大事だ、ということです。
自閉症の子どもを育てている方には直接的に役立つ本でしょうし、そうでなくて、子どもを育てる上で参考になる知見を感じ取れる作品だと思います。
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