目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:リリー・フランキー, 出演:安藤サクラ, 出演:松岡茉優, 出演:樹木希林, 出演:城桧吏, 出演:佐々木みゆ, 出演:池松壮亮, 出演:高良健吾, 出演:池脇千鶴, 監督:是枝裕和, プロデュース:松崎薫, プロデュース:代情明彦, プロデュース:田口聖, Writer:是枝裕和
ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 日本の場合、「謝罪」は「もう追及しないで」という意味になる
- 本当に重要なのは、真相を究明し、再発防止を防ぐことだが、「謝ったからいい」という空気になりがち
- 善悪の判断を保留し、「0か100か」で物事を捉えない
「善悪」の境界を徹底的に曖昧にして描き出すことで、「善とは?」「悪とは?」を問い直す作品
自己紹介記事
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どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
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「謝罪」に意味があると、あなたは感じるだろうか?
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以前テレビで、外国のメディアに関わる人たちが日本のメディアのおかしな点を議論する、という内容の番組を見たことがある。そこで取り上げられた「疑問」はどれも、日本人の私にも「奇妙さ」が伝わるものだったが、その中で最も共感したのが「謝罪」に関するものだ。
その番組に出ていた、かつて日本の特派員を務めたというアメリカの記者が、諸外国での「謝罪」の線引きについて語っていた。政治家や企業トップ、著名人などが、「公に向けて謝罪するかどうか」の基準のことだ。その記者は、「被害者が誰なのかで決まる」と言っていた。
例えば、ドイツの自動車会社が行った不正は、「環境」や「不特定多数の人々」が被害者であり、だから当然、「公の謝罪は必要」という判断になる。つまり、「特定の個人」への影響のみなら「公の謝罪は不要」というわけだ。
しかし日本では、不倫の場合も「公の謝罪」を求められる。不倫は、被害者が「特定の個人」なのだから、世間ではなくその個人に謝れば充分だと、番組に出ていた他の外国人記者も皆口にしていた。
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私も、その意見に賛同だ。同じような感覚を抱く人はきっと多いだろう。不倫についての謝罪会見をテレビで見る度、一体これにどんな意味があるのだろうかと感じてしまう。
しかし、「不倫の場合も公の謝罪をするのが当たり前」の日本では、多数派の人たちがそれを望んでいる、ということなのだろうと思う。
その番組では、なるほどという指摘もなされていた。諸外国における「謝罪」は、「今後も追及を受けること」を意味するという。しかし日本の場合は、「今後は追及しないでくれ」という意味になるという指摘だ。となれば、「謝罪」を望んでいるのは世間ではなく、謝罪する本人なのだろうか。
しかし、仮に当事者が世間に対する謝罪を望んでいたとしても、世間がそんなものを望んでいなければ成立するはずがない。だから世間もやはり、謝罪を望んでいると考えるしかないのだろう。
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善悪は「国民の気分」次第
「謝罪」が持つ意味について、もう少し考えてみよう。
諸外国での「謝罪」は、「今後も追及を受けること」を意味すると先述した。つまりこれは、「『悪』であると確定させるプロセスが謝罪である」と捉えられるだろう。
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しかし日本の場合、なんとなくだが、「謝罪したんだからいいよね」という雰囲気が生まれやすい。謝罪が火に油を注ぎ炎上を引き起こすこともあるが、日本では「謝罪をしたという事実」を「善悪の判断」に含める傾向にあると思う。つまり、「確かに悪いが、謝ったんだからもういいじゃないか」と判断するという意味で、「『善』であると確定させるプロセスが謝罪である」と捉えてもいいのかもしれない。
そして私は、このような考え方をとても怖いと感じる。日本における「善悪」は、「国民が『謝罪』を受け入れるかどうかの気分」でその大部分が決まってしまうというわけだ。
不倫の話などどうでもいいが、この「『善』であると確定させるプロセスが謝罪である」という日本の雰囲気は、政治や企業の問題にも現れると私は思っている。
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本来であれば、原因を究明し、責任の所在をはっきりさせ、二度と同じことを起こさないための対策を行って初めて「善」と判断されるべきだろう。諸外国の「今後も追及を受けること」というスタンスはまさにそのような背景あってのことだと思う。
しかし日本では、「同じ過ちを繰り返さない」ための議論よりもまず「謝罪したかどうか」が問われ、さらに、「謝罪したという事実」によって、「同じ過ちを繰り返さない」ための議論が置き去りにされてしまうことになる。
つまり、「国民の気分」によって「善悪」が決することで問題が改善されないまま放置されてしまい、また同じことが繰り返される可能性が残り続けることになるのだ。
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もちろん、日本人は概ね真面目で、謝罪や国民の気分などには関係なく、問題をすぐに改善しようとする人の方が多いだろう。そういう国民性だからこそ、「謝罪」の持つ意味がおかしくても、社会はなんとなく成り立っていくのだと思う。しかしすべての人が誠実なわけではない。原理的には、「謝ればいいんだろ」と開き直ってしまえばなんだって押し通せてしまう仕組みなのだ。
真相究明を求める気分が薄い社会は、とても怖い。
私は、オウム真理教の事件をリアルタイムで経験した。しかもオウム真理教の拠点の1つだった上九一色村の結構近くに住んでいたことも無関係ではないだろう、あの当時の報道の異様さは今でも覚えている。それ以降では、9.11同時多発テロか東日本大震災ぐらいでしか感じたことがないくらい、連日マスコミのトップニュースで扱われる大事件だった。
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しかし結局、事件の詳細は不明なままだ。オウム真理教が何故あれほどの事件を計画・実行し、誰がどのような役割・指示で動いていたのかなど、詳しいことは明らかにされないまま、麻原彰晃とその幹部らが死刑に処されてしまった。
もちろん、麻原彰晃が何も語らなかったのだから、真相究明は不可能だったと言えばその通りである。しかし、上の記事を読んでもらえれば分かるが、麻原彰晃の裁判は「異常な形」で進行した。「真相究明」を望んでいるとはとても思えない裁判だったのだ。しかもその事実はマスコミでは報じられなかったので、そんな状態であることを私たちはまったく知らずにいる。「真相究明はともかく謝罪を、そして死刑を」という形での社会の「無関心」が背景にあるのだろうし、そのために真相究明に至らなかったと言っていいかもしれない。
「謝罪があればいい」という気分は、必然的に真相究明への意識を薄れさせるだろう。そして、そういう意識を普段から持たなくなることで、謝罪があるかどうかに関係なく、真相究明を望む雰囲気は消えていってしまう。
私はこんな風に、「国民の気分」が「善悪」を決する社会を”怖い”と感じるのだ。
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本来的には諸外国と同様、「謝罪」は「真相究明を目指すという決意表明」でなければならないと思う。しかし日本では、「真相究明はしないかもしれないけれど、謝るんだから許して」というメッセージとしてしか機能しない。そして、そんな状態のまま社会は進んでいくというわけだ。
そういう社会は、すこぶる気持ち悪いと感じてしまう。
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とりあえずここでは、「この”家族”は『法に抵触する行為』をしている」とだけ書いておこう。
さて、誤解されたくないので先に書いておくが、私は、どんな理由があるとしても、法を犯した者は法の定める通りに処罰されるべきだ、と考えている。これは善悪の判断とは関係がない。例えば、「人助けのためにやむを得ず法を犯した者」を私は「善」と判断するが、しかし一方で、処罰は受けなければならないとも考える。そうでなければ「法治国家」は成り立たないからだ。これが私の大前提である。
だから、この”家族”は処罰されなければならない。
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しかし同時に、「善」だとも思う。そう思いたい。彼らは、生きるために仕方なく、あるいは、誰かを助けるためにやむを得ず法を犯す。彼らは確かに法を破っているのだが、しかしその行為によって、確実に救われる人がいるというわけだ。
社会は、弱者には優しくない。そして、そんな優しくない社会でどうにか生き延びるために、日々ギリギリの決断を迫られる人がいるのである。
さて、そんな”家族”の振る舞いは、「国民の気分」によってどんな風に判断されてしまうのか。この点は映画の見どころの1つだ。
一方、この映画にはある”夫婦”が登場する。この”夫婦”についても詳しい記述は避けるが、観客目線は彼らは「悪」でしかない。しかしそれは世間には知られておらず、逆に世間はこの”夫婦”を「被害者」だと考えている。
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この”夫婦”の「悪」は恐らく、何らかの法に触れるものではない。しかしこの”夫婦”の振る舞いは自分勝手でしかなく、誰かを救うようなものではない。詳しく描かれないので憶測でしかないが、「生き延びるためのギリギリの判断」でもないだろう。
恐らくだが、この映画を観た者の多くは、法に触れている”家族”より、法に触れていない”夫婦”の方が「悪」だと判断するのではないかと思う。
しかし、この”家族”と”夫婦”を取り巻く状況を報道だけで知った場合、捉え方は一変するはずだ。間違いなく、”夫婦”より”家族”の方が「悪」だと判断される。もちろん法に触れているのだから、”家族”は処罰されなければならない。しかし、「善悪」を決めるとすれば、明らかに”夫婦”の方が「悪」のはずだ。
登場人物たちは、観客と同等の情報を得られない。だから仕方ないことだとはいえ、「国民の気分」が”家族”を判断する現実には憤りを感じてしまう。
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「善悪の判断を保留する勇気」を持つべき
勝手な印象だが、世の中の多くの人は、「0か100か」「白か黒か」など物事の決着をはっきりと付けたがるように思う。そして、世の中の大体の事柄でその区別が容易にできると考えているようにも感じられる。例えば、何かの安全性について「100%安全だと言えるんですか?」と詰め寄る人を目にすると驚いてしまう。「100%安全」なんて状態、存在するはずがないのに、何を言っているのだろう、としか感じない。
私が怖いなと感じるのは、「100でないなら0」「白でないなら黒」みたいな判断だ。どうして、その中間は存在しないと考えるのだろう。「100ではない」としても、「40」や「90」かもしれない。しかし「100ではない」イコール「0」であるかのようなスタンスには驚かされてしまう。
善悪の判断にしても同じだ。
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この映画は、善悪の境界を徹底的に曖昧にする。「善でなければ悪」という判断しかできない人には、この作品の「善悪」の捉え方に悩むだろう。
この映画から、「報道で接すれば明らかに『悪』としか判断できない事柄も、『善』と判断しうる可能性」が示唆される。つまり、「私たちが普段報道などで知る『悪』にも、『善』的な傾向があるのかもしれない」という見方を獲得できるということだ。そんな視点を持つことで、「善悪の判断」の仕方は変わっていくだろう。
大事なことは、「善悪の判断を保留する勇気を持つこと」だと思う。
私たちは普段、条件反射的に善悪を判断してしまう。目立つ分かりやすい情報だけで、物事の善し悪しを捉えてしまう機会は多いはずだ。
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しかし『万引き家族』は、「悪」にしか見えないものが「善」でありうる可能性を示している。だからこそ私たちは、「判断を保留する勇気」を持たなければならないのだと思う。
どんな出来事にも、そういう事態に至った理由・理屈が存在する。そしてそれらは、簡単には理解できないものが多いはずだ。多くの人が「判断を保留する」ことで、見えにくいそれら理由・理屈が可視化されやすくなるかもしれないし、それらが見えることで法を犯す必然性に迫られる人が減るかもしれない。
そういう社会になってほしいと、私は願っている。
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映画『万引き家族』の内容紹介
”父”・治と”息子”・祥太はいつも、協力して万引きをしている。ある日いつもの”仕事”を終えて家路につく途中、団地の廊下で震えている女の子を発見した。「コロッケ食べる?」と尋ねてから、彼らはその子を家まで連れて帰る。”母”・信代に、「それ食べさせたら返してきなよ」と言われ、ゆりと名乗る5歳の少女を団地まで送り届けようとした。しかし、その子の家と思しき部屋から、「私だって産みたくて産んだんじゃない」と大喧嘩しているのが聞こえてきたのだ。
彼らはそのまま、ゆりを連れて帰った。
”祖母”・初枝は年金暮らしで、そんな初枝を慕っている”孫娘”の亜紀は風俗店で働いている。治は日雇いで建設現場の作業員として働き、信代は工場でアイロンがけの仕事をしてなんとか生計を立てていた。学校に通えない祥太と、あの日から一緒に暮らしているゆりは、日中はずっと外で遊んでいる。
彼らはこれからも、それまでと変わらない生活が続くと疑いもしていなかった。しかし、テレビであるニュースが流れることで状況が変わる。ゆりが行方不明だと報じられていたのだ。しかし、ゆりに「家に帰るか?」と聞いても、うんと言わない。そこで彼らはゆりの名前を「りん」に変え、髪を短く切って分からないようにした。
そうやって彼らは、穏やかな生活を続けていくはずだった……。
映画『万引き家族』の感想
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是枝裕和の作品は、好きだなと感じるものが多い。すべてを観ているわけではないが、ストーリーらしいストーリーがあるようには思えない、役者が演技をしているんだかしていないんだかよく分からない、どこかの誰かの日常をカメラで切り取っているかのような雰囲気が素敵だと感じる。
『万引き家族』も、冒頭でゆりを”誘拐”する場面を除けば、物語らしい展開はほとんどないと言っていい。それなのに、ずっと観させられてしまう作品だ。その理由はやはり、家族であって家族ではない、彼らの奇妙な関係性にあるのだろう。その関係性は物語の展開に合わせて少しずつ明らかになっていく。しかし状況が把握できない段階からもじわじわと違和感が染み出すので、「なんだか分からない雰囲気」と「圧倒的な日常感」のミスマッチに惹きつけられるのだろうと思う。
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もちろん冒頭で書いた通り、彼らは明らかに法を犯しているわけで、処罰は免れない。しかし、彼らはそんな風にしか生きられないのだ。さらに言えば、「そんな風にしか生きられない社会をみんなで作り出している」わけで、「法を犯しているから悪い」と一方的に断罪していいのかは疑問に感じる。
この映画を観て、それでもこの”家族”を「悪」だと断罪できるという人は、きっと幸せに生きてこられた人なのだろうと思う。その幸せを噛み締めつつ、辛く厳しい生き方しかできない人も出てきてしまう社会なのだという事実に、少し思いを馳せてくれたら嬉しい。
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出演:リリー・フランキー, 出演:安藤サクラ, 出演:松岡茉優, 出演:樹木希林, 出演:城桧吏, 出演:佐々木みゆ, 出演:池松壮亮, 出演:高良健吾, 出演:池脇千鶴, 監督:是枝裕和, プロデュース:松崎薫, プロデュース:代情明彦, プロデュース:田口聖, Writer:是枝裕和
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映画『最悪な子どもたち』は、最後まで観てもフィクションなのかドキュメンタリーなのか確信が持てなかった、普段なかなか抱くことのない感覚がもたらされる作品だった。「演技未経験」の少年少女を集めての撮影はかなり実験的に感じられたし、「分からないこと」に惹かれる作品と言えるいだろうと思う
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米アカデミー賞で視覚効果賞を受賞した映画『ゴジラ-1.0』(山崎貴監督)は、もちろんそのVFXに圧倒される物語なのだが、「人間ドラマ」をきちんと描いていることも印象的だった。「終戦直後を舞台にする」という、ゴジラを描くには様々な意味でハードルのある設定を見事に活かした、とても見事な作品だ
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映画『悪は存在しない』(濱口竜介監督)は、観る者すべてを困惑に叩き落とす衝撃のラストに、鑑賞直後は迷子のような状態になってしまうだろう。しかし、作中で提示される様々な要素を紐解き、私なりの解釈に辿り着いた。全編に渡り『悪は存在しない』というタイトルを強く意識させられる、脚本・映像も見事な作品だ
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クリストファー・ノーラン監督作品『オッペンハイマー』は、原爆開発を主導した人物の葛藤・苦悩を複雑に描き出す作品だ。人間が持つ「多面性」を様々な方向から捉えようとする作品であり、受け取り方は人それぞれ異なるだろう。鑑賞前に知っておいた方がいい知識についてまとめたので、参考にしてほしい
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クエンティン・タランティーノ初の長編監督作『レザボア・ドッグス』は、のけぞるほど面白い映画だった。低予算という制約を逆手に取った「会話劇」の構成・展開があまりにも絶妙で、舞台がほぼ固定されているにも拘らずストーリーが面白すぎる。天才はやはり、デビュー作から天才だったのだなと実感させられた
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古川琴音主演映画『みなに幸あれ』は、”シュールさ”さえ感じさせる「異質なホラー映画」だ。「村の因習」というよくあるパターンをベースに据えつつ、そこで展開される異様な状況が、実は「私たちが生きる世界」に対応しているという構成になっている。「お前の物語だからな」と終始突きつけられ続ける作品だ
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モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』は、「10年以上拘束され続けた精神病院から脱走したアジア系女性が、特殊能力を使って大暴れする」というムチャクチャな設定の物語なのだが、全編に通底する「『善悪の判断基準』が歪んでいる」という要素がとても見事で、意味不明なのに最後まで惹きつけられてしまった
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「ゲイの男性が、拘置所から出所した20歳の男性と養子縁組し、親子関係になる」という現実を起点にしたドキュメンタリー映画『二十歳の息子』は、奇妙だが実に興味深い作品だ。しばらく何が描かれているのか分からない展開や、「ゲイであること」に焦点が当たらない構成など、随所で「不協和音」が鳴り響く1作
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「#MeToo」運動のきっかけとなった、ハリウッドの絶対権力者ハーヴェイ・ワインスタインを告発するニューヨーク・タイムズの記事。その取材を担った2人の女性記者の奮闘を描く映画『SHE SAID その名を暴け』は、ジャニー喜多川の性加害問題で揺れる今、絶対に観るべき映画だと思う
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「特撮の神さま」と評され、国内外で絶大な評価を得ている円谷英二。そんな彼が設立し、「ウルトラマン」というドル箱を生み出した円谷プロには現在、円谷一族は誰も関わっていない。『ウルトラマンが泣いている』は、そんな衝撃的な「追放の社史」を、円谷英二の孫であり6代目社長だった著者が描く1冊
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日本ではあまり知られていないが、熱狂的なファンを持つロックバンド「グレイトフル・デッド」。彼らは50年も前から、現代では当たり前となった手法を続け、今でも年間5000万ドルを稼いでいる。『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』で「ファンからの愛され方」を学ぶ
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ゴジラ作品にも特撮映画にもほとんど触れてこなかったが、庵野秀明作品というだけで観に行った『シン・ゴジラ』はとんでもなく面白かった。「ゴジラ」の存在以外のありとあらゆるものを圧倒的なリアリティで描き出す。「本当にゴジラがいたらどうなるのか?」という”現実”の描写がとにかく素晴らしかった
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制御不能の飛行機をハドソン川に不時着させ、乗員乗客155名全員の命を救った英雄はその後、「わざと機体を沈め損害を与えたのではないか」と疑われてしまう。映画『ハドソン川の奇跡』から、「正しさ」の難しさと、「『正しさ』の枠組み」の重要性を知る
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【死】映画『湯を沸かすほどの熱い愛』に号泣。「家族とは?」を問う物語と、タイトル通りのラストが見事
「死は特別なもの」と捉えてしまうが故に「日常感」が失われ、普段の生活から「排除」されているように感じてしまうのは私だけではないはずだ。『湯を沸かすほどの熱い愛』は、「死を日常に組み込む」ことを当たり前に許容する「家族」が、「家族」の枠組みを問い直す映画である
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「80人の命を救うために、1人の少女の命を奪わなければならない」としたら、あなたはその決断を下せるだろうか?会議室で展開される現代の戦争を描く映画『アイ・イン・ザ・スカイ』から、「誤った問い」に答えを出さなければならない極限状況での葛藤を理解する
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「偏見・差別ゆえに、他人の能力を活かせない人間」を、私は無能だと感じる。そういう人は、現代社会の中にも結構いるでしょう。ソ連との有人宇宙飛行競争中のNASAで働く黒人女性を描く映画『ドリーム』から、偏見・差別のない社会への道筋を考える
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Chim↑Pomというアーティストについてさして詳しいことを知らずに観に行った、森美術館の「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」に、思考をドバドバと刺激されまくったので、Chim↑Pomが特集された「美術手帖」も慌てて買い、Chim↑Pomについてメッチャ考えてみた
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【家族】映画『そして父になる』が問う「子どもの親である」、そして「親の子どもである」の意味とは?
「血の繋がり」だけが家族なのか?「将来の幸せ」を与えることが子育てなのか?実際に起こった「赤ちゃんの取り違え事件」に着想を得て、苦悩する家族を是枝裕和が描く映画『そして父になる』から、「家族とは何か?」「子育てや幸せとどう向き合うべきか?」を考える
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【実話】権力の濫用を監視するマスコミが「教会の暗部」を暴く映画『スポットライト』が現代社会を斬る
地方紙である「ボストン・グローブ紙」は、数多くの神父が長年に渡り子どもに対して性的虐待を行い、その事実を教会全体で隠蔽していたという衝撃の事実を明らかにした。彼らの奮闘の実話を映画化した『スポットライト』から、「権力の監視」の重要性を改めて理解する
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【考察】アニメ映画『虐殺器官』は、「便利さが無関心を生む現実」をリアルに描く”無関心ではいられない…
便利すぎる世の中に生きていると、「この便利さはどのように生み出されているのか」を想像しなくなる。そしてその「無関心」は、世界を確実に悪化させてしまう。伊藤計劃の小説を原作とするアニメ映画『虐殺器官』から、「無関心という残虐さ」と「想像することの大事さ」を知る
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【正義】「正しさとは何か」を考えさせる映画『スリー・ビルボード』は、正しさの対立を絶妙に描く
「正しい」と主張するためには「正しさの基準」が必要だが、それでも「規制されていないことなら何でもしていいのか」は問題になる。3枚の立て看板というアナログなツールを使って現代のネット社会の現実をあぶり出す映画『スリー・ビルボード』から、「『正しさ』の難しさ」を考える
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【幻想】日本での子育ては無理ゲーだ。現実解としての「夜間保育園」の実状と親の想いを描く映画:『夜…
映画『夜間もやってる保育園』によると、夜間保育も行う無認可の「ベビーホテル」は全国に1749ヶ所あるのに対し、「認可夜間保育園」は全国にたった80ヶ所しかないそうだ。また「保育園に預けるなんて可哀想」という「家族幻想」も、子育てする親を苦しめている現実を描く
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【不正義】正しく行使されない権力こそ真の”悪”である。我々はその現実にどう立ち向かうべきだろうか:…
権力を持つ者のタガが外れてしまえば、市民は為す術がない。そんな状況に置かれた時、私たちにはどんな選択肢があるだろうか?白人警官が黒人を脅して殺害した、50年前の実際の事件をモチーフにした映画『デトロイト』から、「権力による不正義」の恐ろしさを知る
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【感想】池田晶子『14歳からの哲学』で思考・自由・孤独の大事さを知る。孤独を感じることって大事だ
「元々持ってた価値観とは違う考えに触れ、それを理解したいと思う場面」でしか「考える」という行為は発動しないと著者は言う。つまり我々は普段、まったく考えていないのだ。『14歳からの哲学』をベースに、「考えること」と自由・孤独・人生との関係を知る
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【想像力】「知らなかったから仕方ない」で済ませていいのか?第二の「光州事件」は今もどこかで起きて…
「心地いい情報」だけに浸り、「知るべきことを知らなくても恥ずかしくない世の中」を生きてしまっている私たちは、世界で何が起こっているのかあまりに知らない。「光州事件」を描く映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』から、世界の見方を考える
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【あらすじ】濱口竜介監督『偶然と想像』は、「脚本」と「役者」のみで成り立つ凄まじい映画。天才だと思う
「映画」というメディアを構成する要素は多々あるはずだが、濱口竜介監督作『偶然と想像』は、「脚本」と「役者」だけで狂気・感動・爆笑を生み出してしまう驚異の作品だ。まったく異なる3話オムニバス作品で、どの話も「ずっと観ていられる」と感じるほど素敵だった
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【傑作】濱口竜介監督の映画『ドライブ・マイ・カー』(原作:村上春樹)は「自然な不自然さ」が見事な作品
村上春樹の短編小説を原作にした映画『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)は、村上春樹の小説の雰囲気に似た「自然な不自然さ」を醸し出す。「不自然」でしかない世界をいかにして「自然」に見せているのか、そして「自然な不自然さ」は作品全体にどんな影響を与えているのか
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【矛盾】死刑囚を「教誨師」視点で描く映画。理解が及ばない”死刑という現実”が突きつけられる
先進国では数少なくなった「死刑存置国」である日本。社会が人間の命を奪うことを許容する制度は、果たして矛盾なく存在し得るのだろうか?死刑確定囚と対話する教誨師を主人公に、死刑制度の実状をあぶり出す映画『教誨師』から、死刑という現実を理解する
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「バットマン」シリーズを観たことがない人間が、予備知識ゼロで映画『ジョーカー』を鑑賞。「悪」は「環境」に偏在し、誰もが「悪」に足を踏み入れ得ると改めて実感させられた。「個人」を断罪するだけでは社会から「悪」を減らせない現実について改めて考える
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「強盗や立てこもり事件などにおいて、人質が犯人に好意・共感を抱いてしまう状態」を「ストックホルム症候群」と呼ぶのだが、実はそう名付けられる由来となった実際の事件が存在する。実話を基にした映画『ストックホルムケース』から、犯人に協力してしまう人間の不可思議な心理について知る
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【排除】「分かり合えない相手」だけが「間違い」か?想像力の欠如が生む「無理解」と「対立」:映画『…
「共感」が強すぎる世の中では、自然と「想像力」が失われてしまう。そうならないようにと意識して踏ん張らなければ、他人の価値観を正しく認めることができない人間になってしまうだろう。映画『ミセス・ノイズィ』から、多様な価値観を排除しない生き方を考える
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【素顔】「ヨコハマメリー史」から「伊勢佐木町史」を知れる映画。謎の女性が町の歴史に刻んだものとは…
横浜で長らく目撃されていた白塗りの女性は、ある時から姿を消した。彼女の存在を欠いた伊勢佐木町という街は、大きく変わってしまったと語る者もいる。映画『ヨコハマメリー』から、ある種のアイコンとして存在した女性の生き様や彼女と関わった者たちの歴史、そして彼女の”素顔”を知る
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【実話】正論を振りかざす人が”強い”社会は窮屈だ。映画『すばらしき世界』が描く「正解の曖昧さ」
「SNSなどでの炎上を回避する」という気持ちから「正論を言うに留めよう」という態度がナチュラルになりつつある社会には、全員が全員の首を締め付け合っているような窮屈さを感じてしまう。西川美和『すばらしき世界』から、善悪の境界の曖昧さを体感する
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【誠実】地下鉄サリン事件の被害者が荒木浩に密着。「贖罪」とは何かを考えさせる衝撃の映画:『AGANAI…
私には、「謝罪すること」が「誠実」だという感覚がない。むしろ映画『AGANAI 地下鉄サリン事件と私』では、「謝罪しない誠実さ」が描かれる。被害者側と加害者側の対話から、「謝罪」「贖罪」の意味と、信じているものを諦めさせることの難しさについて書く
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【再生】ヤクザの現実を切り取る映画『ヤクザと家族』から、我々が生きる社会の”今”を知る
「ヤクザ」を排除するだけでは「アンダーグラウンドの世界」は無くならないし、恐らく状況はより悪化しただけのはずだ。映画『ヤクザと家族』から、「悪は徹底的に叩きのめす」「悪じゃなければ何をしてもいい」という社会の風潮について考える。
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【現実】戦争のリアルを”閉じ込めた”映画。第一次世界大戦の英軍を収めたフィルムが描く衝撃:映画『彼…
第一次世界大戦でのイギリス兵を映した膨大な白黒フィルムをカラー化して編集した『彼らは生きていた』は、白黒の映像では実感しにくい「リアルさ」を強く感じられる。そして、「戦争は思ったよりも安易に起こる」「戦争はやはりどこまでも虚しい」と実感できる
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【対話】刑務所内を撮影した衝撃の映画。「罰則」ではなく「更生」を目指す環境から罪と罰を学ぶ:映画…
2008年に開設された新たな刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」で行われる「TC」というプログラム。「罰則」ではなく「対話」によって「加害者であることを受け入れる」過程を、刑務所内にカメラを入れて撮影した『プリズン・サークル』で知る。
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【救い】耐えられない辛さの中でどう生きるか。短歌で弱者の味方を志すホームレス少女の生き様:『セー…
死にゆく母を眺め、施設で暴力を振るわれ、拾った新聞で文字を覚えたという壮絶な過去を持つ鳥居。『セーラー服の歌人 鳥居』は、そんな辛い境遇を背景に、辛さに震えているだろう誰かを救うために短歌を生み出し続ける生き方を描き出す。凄い人がいるものだ
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【絶望】子供を犯罪者にしないために。「異常者」で片付けられない、希望を見いだせない若者の現実:『…
2人を殺し、7人に重傷を負わせた金川真大に同情の余地はない。しかし、この事件を取材した記者も、私も、彼が殺人に至った背景・動機については理解できてしまう部分がある。『死刑のための殺人』をベースに、「どうしようもないつまらなさ」と共に生きる現代を知る
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【爆笑】「だるい」「何もしたくない」なら、「自分は負け組」と納得して穏やかに生きよう:『負ける技…
勝利は敗北の始まり」という感覚は、多くの人が理解できると思います。日本では特に、目立てば目立つほど足を引っ張られてしまいます。だったら、そもそも「勝つ」ことに意味などないのでは?『負ける技術』をベースに、ほどほどの生き方を学びます
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【称賛?】日本社会は終わっているのか?日本在住20年以上のフランス人が本国との比較で日本を評価:『…
日本に住んでいると、日本の社会や政治に不満を抱くことも多い。しかし、日本在住20年以上の『理不尽な国ニッポン』のフランス人著者は、フランスと比べて日本は上手くやっていると語る。宗教や個人ではなく、唯一「社会」だけが善悪を決められる日本の特異性について書く
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【デマ】情報を”選ぶ”時代に、メディアの情報の”正しさ”はどのように判断されるのか?:『ニューヨーク…
一昔前、我々は「正しい情報を欲していた」はずだ。しかしいつの間にか世の中は変わった。「欲しい情報を正しいと思う」ようになったのだ。この激変は、トランプ元大統領の台頭で一層明確になった。『ニューヨーク・タイムズを守った男』から、情報の受け取り方を問う
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【衝撃】森達也『A3』が指摘。地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教は社会を激変させた
「オウム真理教は特別だ、という理由で作られた”例外”が、いつの間にか社会の”前提”になっている」これが、森達也『A3』の主張の要点だ。異常な状態で続けられた麻原彰晃の裁判を傍聴したことをきっかけに、社会の”異様な”変質の正体を理解する。
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【無知】メディアの問題の本質は?「報道の限界」と「情報の受け取り方」を独裁政治の現実から知る:『…
メディアは確かに「事実」を報じている。しかし、報道に乗らない情報まで含めなければ、本当の意味で世の中を理解することは難しいと、『こうして世界は誤解する』は教えてくれる。アラブ諸国での取材の現実から、報道の「限界」と「受け取り方」を学ぶ
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【感想】世の中と足並みがそろわないのは「正常が異常」だから?自分の「正常」を守るために:『コンビ…
30代になっても未婚でコンビニアルバイトの古倉さんは、普通から外れたおかしな人、と見られてしまいます。しかし、本当でしょうか?『コンビニ人間』をベースに、多数派の人たちの方が人生を自ら選択していないのではないかと指摘する。
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【加虐】メディアの役割とは?森達也『A』が提示した「事実を報じる限界」と「思考停止社会」
オウム真理教の内部に潜入した、森達也のドキュメンタリー映画『A』は衝撃を与えた。しかしそれは、宗教団体ではなく、社会の方を切り取った作品だった。思考することを止めた社会の加虐性と、客観的な事実など切り取れないという現実について書く
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【衝撃】壮絶な戦争映画。最愛の娘を「産んで後悔している」と呟く母らは、正義のために戦場に留まる:…
こんな映画、二度と存在し得ないのではないかと感じるほど衝撃を受けた『娘は戦場で生まれた』。母であり革命家でもあるジャーナリストは、爆撃の続くシリアの街を記録し続け、同じ街で娘を産み育てた。「知らなかった」で済ませていい現実じゃない。
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【考察】世の中は理不尽だ。平凡な奴らがのさばる中で、”特別な私の美しい世界”を守る生き方:『オーダ…
自分以外は凡人、と考える主人公の少女はとてもイタい。しかし、世間の価値観と折り合わないなら、自分の美しい世界を守るために闘うしかない。中二病の少女が奮闘する『オーダーメイド殺人クラブ』をベースに、理解されない世界をどう生きるかについて考察する
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【異常】「助けて」と言えない。自己責任社会のしんどさと、我が子がホームレスである可能性:『助けて…
39歳で餓死した男性は、何故誰にも助けを求めなかったのか?異常な視聴率を叩き出した、NHK「クローズアップ現代」の特集を元に書かれた『助けてと言えない』をベースに、「自己責任社会」の厳しさと、若者が置かれている現実について書く。
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【救い】自殺を否定しない「笑える自殺本」。「自殺したい」ってもっと気軽に言える社会がいい:『自殺…
生きることがしんどくて、自殺してしまいたくなる気持ちを、私はとても理解できます。しかし世の中的には、「死にたい」と口にすることはなかなか憚られるでしょう。「自殺を決して悪いと思わない」という著者が、「死」をもっと気楽に話せるようにと贈る、「笑える自殺本」
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【勇敢】日本を救った吉田昌郎と、福島第一原発事故に死を賭して立ち向かった者たちの極限を知る:『死…
日本は、死を覚悟して福島第一原発に残った「Fukushima50」に救われた。東京を含めた東日本が壊滅してもおかしくなかった大災害において、現場の人間が何を考えどう行動したのかを、『死の淵を見た男』をベースに書く。全日本人必読の書
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【不満】この閉塞感は打破すべきか?自由意志が駆逐された社会と、不幸になる自由について:『巡査長 真…
自由に選択し、自由に行動し、自由に生きているつもりでも、現代社会においては既に「自由意志」は失われてしまっている。しかし、そんな世の中を生きることは果たして不幸だろうか?異色警察小説『巡査長 真行寺弘道』をベースに「不幸になる自由」について語る
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【議論】安楽死のできない日本は「死ぬ権利」を奪っていると思う(合法化を希望している):『安楽死を…
私は、安楽死が合法化されてほしいと思っている。そのためには、人間には「死ぬ権利」があると合意されなければならないだろう。安楽死は時折話題になるが、なかなか議論が深まらない。『安楽死を遂げた日本人』をベースに、安楽死の現状を理解する
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三権分立の一翼を担う裁判所のことを、私たちはよく知らない。元エリート裁判官・瀬木比呂志と事件記者・清水潔の対談本『裁判所の正体』をベースに、「裁判所による統制」と「権力との癒着」について書く。「中世レベル」とさえ言われる日本の司法制度の現実は、「裁判になんか関わることない」という人も無視できないはずだ
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