目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:西島秀俊, 出演:三浦透子, 出演:岡田将生, 出演:霧島れいか, Writer:濱口竜介, 監督:濱口竜介
ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていくようだよ
この記事で伝えたいこと
「感情を排した言動」を冒頭から貫くことで、観客を催眠状態に陥らせる魔力
映画が3時間も掛けてゆったり進むのは、この催眠状態を生み出すためだと感じた
この記事の3つの要点
- 我々が生きる世界では「不自然」でしかない言動が、何故この映画では「自然」に映るのか
- 西島秀俊だからこそのはまり役
- 「自然な不自然さ」のお陰で、チェーホフの『ワーニャ伯父さん』の世界観が地続きとなる
様々な理由で「観ない」と決めていた映画なので、考えを変えて観に行って本当に良かった
自己紹介記事
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私はこの『ドライブ・マイ・カー』を観るつもりはありませんでした。理由はいくつかありますが、そもそも天の邪鬼なこともあり、「話題になっている映画は別に観なくていい」と考えてしまいます。また、「村上春樹の短編小説が原作の映画」という点も、どうにも触手が伸びないポイントでした。私は「ハルキスト」というほど熱狂的ではありませんが、村上春樹の小説は好きで結構読んでいます。ただ、その作品世界を上手く映像化できるとは思えなかったのです。これまでも、村上春樹の小説を原作とする映画は公開されてきましたが、その度に、「村上春樹原作だから観ないでおこう」と考えてしまいました。
「村上春樹原作の映画」で良い評判を聞くことって少ない気がするんだよなぁ
「村上春樹原作」ってところでハードルが上がるから、評価が辛くなるってのはあるだろうけどね
他にもあと1つ理由があるのですが、それについてはまた後ほど触れましょう。そしてそもそも私は、「濱口竜介」という監督の名前もそれまでまったく聞いたことがなく、監督名で「観よう」と思える作品でもなかったのです。
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そんなわけで、普通にしていたら絶対に観なかっただろう映画なのですが、徐々にその評判が滲み出てきました。普段そこまでネットを見るわけではない私の視界にも、『ドライブ・マイ・カー』を絶賛する声が目につくようになり、さすがに無視できないような気持ちになってきたのです。それが、2021年の年末頃のことでした。そこで、年末年始の休みに劇場公開をしている映画館を探して観に行くことにしたという流れです。
そんな風にして触れた『ドライブ・マイ・カー』は、もの凄く好きな映画で、とても驚かされました。前評判を知って私の中のハードルはかなり上がっていたのですが、そのハードルをあっさりと超えてきた作品です。本当に度肝を抜かれました。
私のように、天の邪鬼でこの作品を観ないことに決めている人も多いかもしれませんが、観ておいた方がいいと私はオススメしておきます。
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生身の人間が演じる「映画」で、「自然な不自然さ」が実現できるものなのかと驚愕させられた
私はそもそも、この映画の原作となった村上春樹の短編を読んでいません。調べてみると、『女のいない男たち』(文藝春秋)に収録されているようです。
著:村上春樹
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ポチップ
この50ページにも満たないらしい短編小説をベースに、179分に及ぶ長編映画を作り上げたのですから、まずその点にも驚かされてしまいました。
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以前、伊坂幸太郎の『フィッシュストーリー』っていう短編小説を長編映画にした作品を観たけど、超良かった
長編小説は映画化すると大幅に内容が削られるけど、短編小説なら監督らしさを付け足せるから別の形の面白さになりやすいのかもね
出演:伊藤淳史, 出演:高良健吾, 出演:多部未華子, 出演:濱田岳, 出演:森山未來, 出演:大森南朋, Writer:林民夫, 監督:中村義洋
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ポチップ
原作の『ドライブ・マイ・カー』こそ読んでいないものの、それなりに村上春樹作品を読んでいる私は、村上春樹の小説から「自然な不自然さ」を感じます。まずこの説明からしていくことにしましょう。
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村上春樹の小説は、設定も登場人物もセリフも展開も、どうにも現実味が薄いと感じます。ファンタジーというほどではないにせよ、小説内の世界がもし私たちの現実の中にそっくりそのまま存在した場合、「ちょっとあり得ない」「不自然極まりない」と感じてしまうでしょう。
ですが、村上春樹が作り出す世界の中でなら、私はまったく不自然に感じません。もちろんこの感覚は人によるでしょうし、村上春樹の作品をただ「不自然」と感じる人もいるだろうと思います。しかし私には、我々が生きる世界で展開されれば不自然極まりない様々な事柄が、村上春樹の小説内では自然であるように感じられるのです。
そして、同じような「自然な不自然さ」を、映画『ドライブ・マイ・カー』からも感じました。そしてこの点が私にとってとても驚きだったのです。
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先述した通り、村上春樹作品で生み出される「自然な不自然さ」は、「私たちが生きる世界」では「単なる不自然さ」でしかありません。また映画は、フルCG作品でもない限り、「私たちが生きる世界」の中で、「生身の人間」が演じて作られるものです。普通に考えて、映画で「自然な不自然さ」を生み出すことは困難だろうと思います。『ドライブ・マイ・カー』にはそんな「自然な不自然さ」が内包されているという点が、私には驚きだったのです。
ただ、映画を観て「村上春樹っぽい」と感じたわけでもないんだよね
映画で醸し出される「自然な不自然さ」は、濱口竜介監督オリジナルなものって感じがする
映画の中で、その「自然な不自然さ」がどのように成立しているのか、私なりに考えてみました。重要なのは、映画の冒頭から「感情を排した演技・セリフ・振る舞い」を徹底していることだと思います。
主人公の家福悠介は舞台演出を手掛けており、チェーホフの『ワーニャ伯父さん』でその名が知られる人物です。彼は舞台稽古に入る前の本読みの場で、役者たちに「感情を無くしてセリフを言う」ように強制します。そこに家福のどんな演出意図があるのか、それは私にはなんとも分かりませんが、彼は少しでもセリフに感情が見えると注意を促すほど厳しく指導するのです。
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ちなみに、『ドライブ・マイ・カー』で初めて濱口竜介作品に触れた私はまったく知りませんでしたが、「感情を乗せずに本読みをさせる」というのは、濱口竜介監督が実際に行っている手法だといいます。『ドライブ・マイ・カー』以降、私は何作か濱口竜介作品を観たのですが、やはり役者たちは感情を極限まで抑えた演技をしていました。家福悠介のスタイルは、濱口竜介のスタイルと言っていいのだろうと思います。
また、家福悠介は自身も舞台役者であり、『ワーニャ伯父さん』のワーニャ役としても有名です。そんな家福は、運転中にテープを聴く習慣があります。そのテープは、ワーニャ以外のセリフを妻が喋っており、空白になっているワーニャのセリフを運転中の家福が喋って埋める、という形で使われるものです。運転中はいつもこのテープを聞いているわけですが、このテープに吹き込まれたセリフの言い回しも、まさに「棒読み」としか言いようがありません。そしてまた、テープの空白部分でセリフを口にする家福自身も、感情の無い言い方をするのです。
このように映画では、冒頭から「感情の無いセリフ」で埋め尽くされていきます。そしてそれはセリフだけに留まらず、表情や動きも同じと言えます。普通なら、声・表情・動きなどから感情が表出してしまうだろう場面でも、出てくる人たちは皆、何も感じていないかのような佇まいを見せるわけです。
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そしてそんな世界観に、観客がどんどん慣れていくことこそが、「自然な不自然さ」の秘密なのだろうと私は感じました。
映画の前半はある意味で、催眠術の準備段階みたいなものと捉えるのもアリかもしれない
実際のところ、冒頭からしばらくの間は、「どうして誰も彼も皆感情を無くしたような振る舞いをするのだろう」と違和感を覚えるのですが、映画の中では次第にそれが当たり前になっていきます。そして観客が、「そういうものなのだろう」と徐々に映画世界に慣れていくことで、「本来なら違和感を抱かなければならない事柄が自然なものに思える」という不思議な現象を生み出すのだと感じました。
映画では、家福悠介ともう1人、途中から登場する渡利みさきという女性ドライバーの2人がメインで描かれることになるのですが、とにかくこの2人は無表情で淡々と喋り、感情的な動きもほとんど見せません。確かに設定上、この2人は「感情を表に出せないとしても仕方ない」と感じさせる人物ではあるのですが、彼らの存在が映画の中で成立しているのは、設定の力というよりかは、冒頭から貫き続けるスタンスによるところが大きいと感じます。
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家福悠介と渡利みさきのやり取りは特に、村上春樹の登場人物を彷彿とさせる「不自然さ」が浮き出るのですが、しかしそれがおかしなものには見えません。映画の世界の中ではとても自然なものに感じられます。
まさにこれが「自然な不自然さ」の正体だと私は感じました。
俳優・西島秀俊のはまり役
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さて、冒頭で私は、「『ドライブ・マイ・カー』を観ないと決めていた理由がもう1つある」と書きましたが、それは主演が西島秀俊だということに関係があります。私はどうしても、西島秀俊の演技が好きになれないのです。
そこまで彼の演技を観たことはないのですが、出演作の多い俳優であり、何かと目にする機会があります。そしてその度に、「上手いとは決して言えないよなぁ」と感じてしまうのです。演技などさっぱりできない私にはそもそも言う資格などありませんが、やはり他の様々な俳優と比較してしまうと、どうしても見劣りする感じがあります。
そんなわけで、「西島秀俊主演」という点もまた、私をこの作品から遠ざけていた理由なのです。
こういう話を他の人にもしてみると、割と賛同してもらえるんだよなぁ
ネットで調べても、そういう声は結構目につくから、そんな風に思っている人は一定数いるんだろうなって思う
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しかし、ここまで繰り返し書いてきたように、『ドライブ・マイ・カー』は「感情を乗せずに動き、喋ること」が作品の性質上とても重要になってきます。だからこそ、西島秀俊にとってはまり役だと感じたのです。
たまたまですが、この記事を書いている日、ネットニュースでこんな記事を目にしました。NHK連続テレビ小説『カムカムエブリバディ』で、安達祐実が「棒読みの演技に苦労した」という内容です。セリフに感情を乗せることが当たり前に出来る役者はむしろ、感情を込めずに言葉を発することが難しいのだと思います。
しかし、あくまで私の印象にすぎませんが、概ねいつも棒読みだと感じてしまう西島秀俊は、「感情を乗せずに喋る」ことにそこまで労を要しなかったのではないか、と思うのです。
そんなつもりはないんだけど、そう聞こえちゃうだろうなぁ
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少なくともこの『ドライブ・マイ・カー』という作品においては、西島秀俊の演技は絶妙にハマっていると感じるし、配役は大正解だったと言えると思います。家福悠介役を、別の有名な俳優でイメージしようとしても、なかなか上手くはまる人を思い浮かべられません。酷い言い方だとは思いますが、「私たちが生きる世界では不自然」な西島秀俊だからこそ、「『ドライブ・マイ・カー』の世界では自然」に見えるのかもしれません。
演出によって、これほど役者の見え方が変わるものなのかと非常に驚かされました。
「自然な不自然さ」が存在するからこそ成立する様々な事柄
ここまで私なりに、この映画にはぜ「自然な不自然さ」が存在するのかを考察してきましたが、ここからは、「自然な不自然さ」があるお陰で成立する状況について触れていくことにしましょう。
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先ほども少し触れましたが、この映画には『ワーニャ伯父さん』という演劇が組み込まれます。普通に考えれば、『ワーニャ伯父さん』の要素は映画の中の現実から浮き上がって見えるはずです。チェーホフという大昔の戯曲家の作品であり、状況設定やセリフはもちろん現代的ではないので、「映画の世界の中に、『ワーニャ伯父さん』の舞台が別個に存在する」という見え方になるのが普通でしょう。
しかしこの映画では、『ワーニャ伯父さん』の要素が作品世界に溶け込んでいます。これはまさに、「自然な不自然さ」の為せる技だと感じました。もちろん、「『ワーニャ伯父さん』という舞台の描写である」、あるいは「『ワーニャ伯父さん』の舞台のセリフを口にしている」ということは理解できます。しかしそれが、『ドライブ・マイ・カー』という映画の世界の中で地続きなものに感じられるのです。「映画の世界の中に、『ワーニャ伯父さん』の舞台が別個に存在する」のではなく、「映画の世界と『ワーニャ伯父さん』の舞台が同列に存在する」ということになります。
だからこそ、「舞台『ワーニャ伯父さん』に出演する役者が口にする、チェーホフが書いたセリフ」さえ、映画『ドライブ・マイ・カー』の世界に直接作用するのです。「家福悠介の言葉」と「ワーニャ役として家福悠介が口にするセリフ」が同列の存在感を持っていると感じられます。
思いついたとしても、普通はそれを成立させられないだろうし、よくもまあこんな世界観を作り上げたものだと思う
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これはやはり、「自然な不自然さ」のお陰だと言っていいでしょう。私たちが生きている世界では、「チェーホフの劇中のセリフ」は違和感を与えるものとしてしか存在し得ませんが、『ドライブ・マイ・カー』の世界が「自然な不自然さ」で彩られているために、チェーホフが日常に同化できることになるのです。
また、「自然な不自然さ」を長い時間掛けて観客に浸透させたことで成立する、後半のある場面も印象的でした。映画の中に「刑事」が登場する場面があるのですが、しかしそのシーンでさえ「『ドライブ・マイ・カー』の世界観」は崩れないのです。
「刑事」というのはある意味で、「現実感の権化」と言っていい存在ではないかと思います。どれだけ現実離れした世界観を作り上げても、「刑事」が登場するだけでその世界観が一気に崩壊してしまう感じがするのです。場合によっては、「現実離れした世界」を現実に引き戻す存在として使われることもあるでしょう。
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しかし『ドライブ・マイ・カー』では、そんな「現実感の権化」が出てきても、その独特な雰囲気が雲散霧消することがありません。まさにこれは、冒頭から観客を催眠状態に陥らせてきたからでしょうし、観客に「自然な不自然さ」が充分に浸透した状態だったからこそだと感じました。
「刑事」が登場したことで逆に、「自分は催眠を掛けられていたのか」と気づく感じさえあったかも
「催眠に掛けられている」と気づいたのに、それが解けない、という不思議さもあるよね
凄い世界を現出させる、魔法のような作品だと思います。
「何も説明せず、何を描くわけでもない余白」が心地よい
映画に限りませんが、現代では様々なもので「テンポ」が優先されるように感じます。Youtubeでは会話の間が編集されますし、音楽のイントロが無くなってすぐに歌が始まるという変化も、そのような印象を後押しするでしょう。
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そんな時代にあってこの映画は、とにかくゆったりと進んでいきます。普通の映像作品なら削られてしまうに違いない、何かを描いているようにはあまり感じられない場面が多々あるのです。しかしそのような場面が退屈なんてことはなく、むしろ心地よさに繋がるような印象さえあります。
そもそも、登場人物が喋ったり動いたりしたところで、そこに感情らしい感情が見えない作品なのだから、黙っていても止まっていても大差はないと言えます。だから、音も動きもほとんど無いような場面も、そうではない場面とシームレスに繋がっていくような印象を受けるのかもしれません。
そういう「余白」としか表現しようのないシーンが随所に挟み込まれており、映画全体の雰囲気に強く影響しています。
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【矛盾】その”誹謗中傷”は真っ当か?映画『万引き家族』から、日本社会の「善悪の判断基準」を考える
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また、そんな「余白」の多い物語だからこそ、その中で「敢えて語られること、描かれること」の比重は非常に大きくなるとも言えるでしょう。
映画の中で非常に印象的だったのは、ある人物が「前世がヤツメウナギだった女子高生」という物語の続きを語る場面です。「その人物がその物語の続きを話せること」にはストーリー上の大きな意味があることは確かなのですが、それ以上に、本来的には意味を持たないはずの「話の内容そのもの」が特別な質量を持つかのような印象に驚かされました。
3時間という時間の中では様々なことが描けるはずなのに、その中で「前世がヤツメウナギだった女子高生」の話が長々と語られることで、その内容自体に何らかの意味を感じてしまうことになるのです。
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この場面は長回しのワンカットで、淡々とながら異様な雰囲気を醸し出しつつ喋ってるのが印象的だった
どことなく狂気が染み出す感じがあって、全体的に感情が希薄な映画だからこそ印象に残るってのもあるよね
またこの映画には、「手話で演技する女優」も登場するのですが、喋ることができない彼女の存在もまた、ある意味で「余白」を感じさせるものだと思います。そんな風に様々な形で「余白」を生み出し、そのことに意味があるように感じさせる構成は見事だと感じました。
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ポチップ
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最後に
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ほとんど物語自体には触れませんでしたが、正直、ストーリーらしいストーリーに支配されているわけではない映画だと思います。しかし、随所で奇妙な成り行きが物語を動かしていく様はとても上手いと感じました。また、家福と妻の会話や、渡利みさきが「運転が上手い理由」を語る場面など、言葉が状況を支配するシーンも結構あり、「映像的なもの」よりも「言葉」に惹かれる私には興味深かったです。
本当に観て良かったと思います。たまにこういうことがあるから、先入観を排して物事に触れないといけないなと改めて感じました。
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『あなたの孤独は美しい』というエッセイでその存在を知ったAV女優・戸田真琴の初監督映画『永遠が通り過ぎていく』。トークショーで「自分が傷つけられた時の心象風景を映像にした」と語るのを聞いて、映画全体の捉え方が変わった。他者のために創作を続ける彼女からの「贈り物」
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