目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
「見はらし世代」公式HP
VIDEO
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
今どこで観れるのか?
公式HPの劇場情報 をご覧ください
この記事の3つの要点
黒崎煌代、木竜麻生の雰囲気が実に素敵で、加えて、遠藤憲一、井川遥が作品全体に重心を与えていたなと思う 「家族の物語」ではあるのだが、「家族家族していない雰囲気」が私にはとても素敵に感じられた 「思わず零れた笑み」や「電球のくだり」など、印象的なワンシーンが多い作品でもある
世界的に評価された弱冠26歳の新鋭監督・団塚唯我の今後が実に楽しみだなと思う
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どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
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とにかく役者が圧倒的に素晴らしかった
何が良かったのかはよく分からないものの、1つだけ明確に言える ことがある。それは「役者の演技がとにかく素晴らしかった 」ということだ。本作『見はらし世代』は、「家族」に焦点を当ててはいる ものの、正直これと言って大した物語性はない 。確かにところどころで「なるほど、そんな展開になるのか」と感じるような瞬間はある ものの、「ストーリーで惹きつけるタイプの映画」ではない と思う。はっきり言って、ストーリーはあってないようなもの だろう。
そしてだからこそ(と繋げるのが正しいのかはよく分からないが)、役者の演技が際立っていた なと思う。
主演の黒崎煌代は、今まで私が観てきた彼の雰囲気とはまた全然違う役回り だった。本作を観る少し前に、『アフター・ザ・クエイク 』や『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は 』などを観ており、彼はその中で「陽気で個性的なキャラ」を演じていた のだが、本作『見はらし世代』では全然違う 。笑顔などほぼ見せないようなキャラクター であり(だからこそ、後半のある場面における笑顔が印象的でもあったのだが)、その落差に驚かされてしまった 。とても良い雰囲気だった なと思う。
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また、高野蓮(黒崎煌代)の姉・恵美を演じたのは木竜麻生 なのだが、彼女もまた、本作を観る直前に鑑賞した映画『秒速5センチメートル』で実に良い存在感を放っていた 。「どこにでもいそうだけど、どこかズレている」みたいな振る舞いが凄く上手い人 だなぁと感じたし、本作でもそんな雰囲気が印象的だったなと思う。
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本作『見はらし世代』においては、とにかくこの2人の存在感が凄く素敵 で、そしてその上で、遠藤憲一や井川遥が作品全体に重心を与えている ような印象だった。私は基本的に「ストーリーさえ面白ければ、役者の演技がそこそこでも楽しめる」みたいな人間で、演技にそこまで重点を置いていない のだが、本作はまさに「演技ありきで成立している 」という感じがしたし、まずはその点が素晴らしかった なと思う。
「家族」の物語だが、「家族家族していない」のも凄く良かった
さて、そんな役者の演技が良い風に影響していた のが、本作に満ちていた「家族家族していない雰囲気 」だろう。先述した通り、本作は「家族の物語」がベース になっている。しかし、より正確に言うなら「壊れた家族の物語」 であり、さらに、これは書いてしまってもいいと思うのだが、「再生するわけじゃない家族の物語」でもある のだ。そして、そういう作品においては「家族家族していない雰囲気」はとても重要 だろうし、それが絶妙な感じで作品をまとめあげていた なとも思う。
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物語は一応、「家族に関わる状況」の積み重ねによって進行していく 。姉には結婚の予定 があり、そのことを直接伝えるべきかなと考えて弟のアパートを訪ねる (ただ、姉はある場面で、これから同棲しようとしている相手に躊躇を伝えたりもしていた )。また蓮には、両親の離婚以来長く会っていない父親と半分偶然みたいにして再会する なんてことも起こった。そんな「家族が関わる出来事」によって物語が動く というわけだ。
しかしそんな物語において、「高野家」には「家族感」が全然ない 。そのことが「『家族に関わる出来事』によって動く物語」に良い感じに違和感を与えていた し、そして私にはそのことが心地良くも感じられた 。
私は元々、「家族家族した物語」があまり好きではない 。というか、はっきり言って嫌い である。私にとって「家族」という単位は「特に意味を持たない空集合」みたいな扱い なのだが、世間ではどうもそうではないらしく、「大事に扱うべき存在」として認識されている ようだ。私はどうしても、「良いもの」とされている「家族」を世間の人と同じようには扱えない こともあり、「家族」に焦点が当たる場面では違和感を覚えてしまう ことが多い。
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だから私は、本作『見はらし世代』の「家族家族していない雰囲気」が凄く良い なと感じたし、それが役者の絶妙な演技によって醸し出されているのも凄く良かった なと思う。
さて、そのような物語において、姉・恵美のスタンスはなかなか興味深く見えた 。彼女は「父親とは6~7年会ってない 」と言っていたし、結婚の予定についても特に報告するつもりはない ようだ。そしてそんな恵美には、「蓮は何かにつけて父親と関わろうとする」と感じられている (蓮にはそんな自覚はなさそうだが)。だからだろう、そんな弟に対して彼女は、「私は家族を元通りにしようなんて思ってないよ」と口にする のだ。「そんなことしようとしてるなら余計なお世話だよ 」という牽制なのだろう。
その一方で、恵美はこれから新しく家族を築こうと考えている 。まあ、本作の描写だけからでは正直、恵美がどの程度「結婚」に対しての意欲を持っているのかはよく分からない 。恋人であるアンドウとの会話を聞く限りは、「どちらともなく同棲の話が出て、そのまま何となく結婚という流れになりつつある 」みたいな感じのようだ。まあ、それぐらいは普通の話だろう。
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ただ彼女は事ここに至って、改めて「自分は本当に『家族』という単位にまとまりたいのか?」みたいに考えるようになったんじゃないか と私には感じられた。もちろんそれは、両親のことが頭にあるから だろう。恵美は父親に対して敵意 (ではないか。「圧倒的な無関心 」とでも表現すべきだろうか)を抱き ながら、同時に、かつて父親がぶち壊した (この認識はむしろ蓮の方が強そうだが)「家族」をまさに今築こうとしている 。そしてそのことが、彼女には「矛盾」に感じられているんじゃないだろうか 。
しかし同時に、「ここで退いたら、父親に負けたような気になる」みたいにも感じていたのかもしれない とも思う。「『結婚』に躊躇するのではなく向き合うことによって、本当の意味で父親と『無関係』でいられる 」なんて風に考えていたんじゃないだろうか。そして私には、そんな葛藤を木竜麻生が絶妙に演じていた ように感じられた。とても素敵な存在感 だったなと思う。
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恵美は、ヨガ教室(だと思う)で知り合った佐倉マキという女性と仲良くなる 。このシーンの時点で佐倉マキに関する情報はほとんど無い ので、観客は彼女の背景を想像で補うしかないのだが、恐らく彼女には離婚歴、あるいは「同棲を解消した経験」がある のだと思う。そしてそれを踏まえてのことだろう、教室からの帰り道で恵美が「同棲のアドバイスってありますか?」と質問し、それに対してマキが次のように返す 場面がある。
うーん……例えば、自分がコーヒーを淹れる時に、相手のもついでに淹れてあげる、みたいなことってよくあるじゃない。そういうことを出来るだけしない。
このセリフだけだとよく分からないだろう。ただ、それに続けて彼女は「そういうちょっとした優しさにつけこんで、男の人ってどうしようもなく偉そうになったりするの 」みたいに話しており、「なるほど、そういうことなら理解できるような気がするな 」という感じだった。私は別に同棲や結婚をしたことがないのであくまでも想像でしかないが、男は確かにそういう振る舞いになりがち な気がする。だからこのセリフは「他人と生活することのままならなさ」みたいなものを実に端的に表現している ように感じられた。
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そしてまさに本作の冒頭では、そんな「ままならなさ」が全開で描かれている と言っていいだろう。物語は、まだ幼かった蓮と恵美を連れて高野家が車で一軒家(宿泊施設か別荘だろう)にやってきたところから始まる 。これは「妻たっての希望」で実現した家族旅行 であり、彼女は前々から夫に「この3日間は家族のために空けてほしい」と念押し していた。しかし着いて早々、夫はコンペの事前準備のために東京に戻らなければならなくなり、それで夫婦は揉めてしまう のだ。
いわゆる「仕事と家族、どっちが大事なの?」的な状況 なわけだが、本作では、冒頭で突きつけられたこの「息苦しさ」がそのまま最後まで貫かれている 感じがあった。そしてさらに言えば、そんな「息苦しさ」が「家族」という枠を超えてすべての「人と人との関わり」にまで滲み出ている ような気がして、そういう雰囲気も凄く良かった なと思う。
映画『見はらし世代』のその他感想
印象的なシーンは色々とあったが、個人的に一番グッときた のは、この記事の冒頭で少し触れた、ラスト付近の蓮の「笑顔」 である。ある人物が号泣し、それを蓮が遠目から見ている のだが、そこで蓮が零した(まさに「零した」という表現がピッタリだった)「笑い」がもの凄く良かった のだ。「思わず零れてしまった」みたいな笑い って時々あるものだけど、ただそれを演技で再現するのは凄く難しい 気がするし、黒崎煌代はそれをメチャクチャ自然な感じでやってたので、凄く素敵だった なと思う。その数秒の映像だけ保存していつでも見られるようにしておきたいぐらいだ。
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さて、物語的な点で言うなら、「電球のくだり」はメチャクチャ好き である。正直なところ、「あのシーン」に至るまでは「この電球の話は一体どう繋がるんだ?」と疑問でしかなかった のだが、「なるほど、このためだったのか! 」と納得させられた。
本作では後半、現実世界から少し外れたような展開になる のだが、でも何故かリアリティが大きく損なわれたみたいな感じにはならない 。そしてその雰囲気に一役買っているのが「電球」 なのである。具体的には説明したくないので上手くは表現できないが、「非論理的な状況を非論理的な状況を通じて接続させる」みたいな感じの場面 であり、普通なら「納得感」など生まれそうにない。にも拘らずこの場面では何故か、「なるほど、だからそうなったのか」みたいに思わされてしまった のだ。なんか不思議な魔法に掛けられたみたいな展開 で、とても印象に残っている。
さて一方で、私にはラストシーンの意味が分からず、観ている時には「???」という感じ だったし、「えっ? これ、今までの話と繋がってる? 」とさえ感じさせられた。ただ同時に、自分でも不思議なのだが、「本作はこれがラストでもまあいいか」という気分にもなった のである。自分でも凄く変だなと思うが、何故かそんな風に感じたのだ。それまでの流れからは「これがラストシーンなの???」としか思えないような映像 だったのだが、とはいえ「まあアリっちゃアリか」みたいにもなる 。意味が分からないし、とても不思議だった。
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ただ、このラストシーンを踏まえることで、作品の捉え方が少し変わった ようにも思う。そしてそう感じられた理由の1つである「遠景のショットが多い」という話 を少ししておこう。
本作『見はらし世代』では、人物や状況を遠景で捉えるような映像が多かった ように思う。寄りのショットももちろんある のだが、全体的には「遠目から撮ってるな」という印象が強かった 。観ている時には単に「映像としての美しさ」みたいな捉え方をしていた のだが、ラストシーンを踏まえると違った見方も出来る んじゃないかと思う。
それを言語化するなら、「本作の主人公は『人』ではなく『街』である 」となるだろうか。本作では「宮下公園(渋谷区)」が意味を持つ要素として登場する こともあり、「『街そのもの』をメインとして描いている」なんて見方もあり得る ように思う。
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本作には、「in memories of my mother and the city 」(だったと思う)というフレーズが表示される場面がある。で、「my mother」はもちろん理解できるが、ここに「the city」が含まれていたことに、この表示を目にした時には違和感を覚えた 。しかし、「主役は『街』である」という解釈を採用するなら、その違和感も無くなる だろう。
住む人が入れ替わろうが、ホームレスを排除した公園が生まれ変わろうが、「街」はそんな変化をものともせず「大して変化しないもの」として継続していく 。「人や状況の変化など、『街』という単位で捉えれば何ほどのこともない 」というわけだ。こう考えると本作からは、「だからこそ、『街』に呑み込まれてしまうような変化を大切にしながら生きていこう」みたいなメッセージも感じ取れる んじゃないかと思う。
そんな捉え方をしてみると、また違った何かが見えてくる んじゃないだろうか。
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26歳の新鋭監督・団塚唯我について
ここからは映画自体の話からは離れて、本作監督・団塚唯我について触れていく ことにしよう。公式HPでは次のように紹介されている。
今年5月、第78回カンヌ国際映画祭の監督週間に日本人史上最年少、26歳の監督作品が選出された。オリジナル脚本・初長編作品でその快挙を成し遂げたのは、短編『遠くへいきたいわ』(ndjc2021)で注目を集めた団塚唯我監督。
26歳という若さにも驚かされる が、個人的にはそれ以上に、「オリジナル脚本」「初長編作品」にも拘らず、これだけの役者を集めて映画が撮れたことにビックリさせられた 。公式HPに載っていた監督のインタビューにはキャスティングに関する言及もあり、その話もまた印象的だった ので紹介したいと思う。
キャスティングの作業って、最初に決めた方がスケジュール的にダメだったときのために、2番目の候補者を決めていてほしいとよく言われますが、今回は基本的に最初に声をかける人を一人だけ決めて、進めていきました。
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「この人に演じてほしい」と決め打ちで役者を選び、そして(恐らく)望んだ通りのキャスティングが出来た ということなのだろう。それもまた凄まじいこと だなと思う。冒頭で書いた通り「物語で惹きつけるような作品」ではない し、つまり「脚本を読んで惹かれた」みたいにはなりにくい と思うのだが、キャスト陣には26歳の新人の作品に出演しようと思える何かがあった ということなのだろう。そんなわけで、「どんな風に制作したんだろう?」みたいな部分も気になる ところである。
さて最後に。本作は音楽(劇伴)も結構印象的な作品 だった。音楽には全然詳しくないのだが、「ストーリー」や「映像そのもの」に対して強く「違和感」をもたらすような音楽 だと感じたし、「日常に溶け込まない雰囲気の音 」だったなとも思う。SF・ファンタジー作品で流れていそうな印象 で、そういう「音楽の異質さ」もまた、本作の特異的な雰囲気に寄与している ように感じられた。
全編を通じて色々と気になるところが多かった なと思う。
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最後に
「凄く良いものを観たな 」という印象がとても強かったし、大いに惹きつけられた 。弱冠26歳の新鋭がこれからどんな作品を生み出していくのかも楽しみ である。
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【美麗】映画『CLOSE/クロース』はあまりにも切ない。「誰かの当たり前」に飲み込まれてしまう悲劇
子どもの頃から兄弟のように育った幼馴染のレオとレミの関係の変化を丁寧に描き出す映画『CLOSE/クロース』は、「自分自身で『美しい世界』を毀損しているのかもしれない」という話でもある。”些細な”言動によって、確かに存在したあまりに「美しい世界」があっさりと壊されてしまう悲哀が描かれる
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【愛】ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の“衝撃の出世作”である映画『灼熱の魂』の凄さ。何も語りたくない
映画館で流れた予告映像だけで観ることを決め、他になんの情報も知らないまま鑑賞した映画『灼熱の魂』は、とんでもない映画だった。『DUNE/デューン 砂の惑星』『ブレードランナー 2049』など有名作を監督してきたドゥニ・ヴィルヌーヴの衝撃の出世作については、何も語りたくない
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【抵抗】西加奈子のおすすめ小説『円卓』。「当たり前」と折り合いをつけられない生きづらさに超共感
小学3年生のこっこは、「孤独」と「人と違うこと」を愛するちょっと変わった女の子。三つ子の美人な姉を「平凡」と呼んで馬鹿にし、「眼帯」や「クラス会の途中、不整脈で倒れること」に憧れる。西加奈子『円卓』は、そんなこっこの振る舞いを通して「当たり前」について考えさせる
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【あらすじ】映画『流浪の月』を観て感じた、「『見て分かること』にしか反応できない世界」への気持ち悪さ
私は「見て分かること」に”しか”反応できない世界に日々苛立ちを覚えている。そういう社会だからこそ、映画『流浪の月』で描かれる文と更紗の関係も「気持ち悪い」と断罪されるのだ。私はむしろ、どうしようもなく文と更紗の関係を「羨ましい」と感じてしまう。
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【日常】「何もかも虚しい」という心のスキマを「異性」や「お金」で安易に埋めてしまうのは危険だ:映…
「どこにでもいる普通の女性」が「横領」に手を染める映画『紙の月』は、「日常の積み重ねが非日常に接続している」ことを否応なしに実感させる。「主人公の女性は自分とは違う」と考えたい観客の「祈り」は通じない。「梅澤梨花の物語」は「私たちの物語」でもあるのだ
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【死】映画『湯を沸かすほどの熱い愛』に号泣。「家族とは?」を問う物語と、タイトル通りのラストが見事
「死は特別なもの」と捉えてしまうが故に「日常感」が失われ、普段の生活から「排除」されているように感じてしまうのは私だけではないはずだ。『湯を沸かすほどの熱い愛』は、「死を日常に組み込む」ことを当たり前に許容する「家族」が、「家族」の枠組みを問い直す映画である
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【家族】映画『そして父になる』が問う「子どもの親である」、そして「親の子どもである」の意味とは?
「血の繋がり」だけが家族なのか?「将来の幸せ」を与えることが子育てなのか?実際に起こった「赤ちゃんの取り違え事件」に着想を得て、苦悩する家族を是枝裕和が描く映画『そして父になる』から、「家族とは何か?」「子育てや幸せとどう向き合うべきか?」を考える
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【あらすじ】濱口竜介監督『偶然と想像』は、「脚本」と「役者」のみで成り立つ凄まじい映画。天才だと思う
「映画」というメディアを構成する要素は多々あるはずだが、濱口竜介監督作『偶然と想像』は、「脚本」と「役者」だけで狂気・感動・爆笑を生み出してしまう驚異の作品だ。まったく異なる3話オムニバス作品で、どの話も「ずっと観ていられる」と感じるほど素敵だった
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【傑作】濱口竜介監督の映画『ドライブ・マイ・カー』(原作:村上春樹)は「自然な不自然さ」が見事な作品
村上春樹の短編小説を原作にした映画『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)は、村上春樹の小説の雰囲気に似た「自然な不自然さ」を醸し出す。「不自然」でしかない世界をいかにして「自然」に見せているのか、そして「自然な不自然さ」は作品全体にどんな影響を与えているのか
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【矛盾】その”誹謗中傷”は真っ当か?映画『万引き家族』から、日本社会の「善悪の判断基準」を考える
どんな理由があれ、法を犯した者は罰せられるべきだと思っている。しかしそれは、善悪の判断とは関係ない。映画『万引き家族』(是枝裕和監督)から、「国民の気分」によって「善悪」が決まる社会の是非と、「善悪の判断を保留する勇気」を持つ生き方について考える
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【葛藤】子どもが抱く「家族を捨てたい気持ち」は、母親の「家族を守りたい気持ち」の終着点かもしれな…
家族のややこしさは、家族の数だけ存在する。そのややこしさを、「子どもを守るために母親が父親を殺す」という極限状況を設定することで包括的に描き出そうとする映画『ひとよ』。「暴力」と「殺人犯の子どもというレッテル」のどちらの方が耐え難いと感じるだろうか?
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「自分の子どもなんだから、どんな風に育てたって勝手でしょ」という親の意見が正しいはずはないが、この言葉に反論することは難しい。虐待しようが生活能力が無かろうが、親は親だからだ。映画『MOTHER マザー』から、不正解しかない人生を考える
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「共感」が強すぎる世の中では、自然と「想像力」が失われてしまう。そうならないようにと意識して踏ん張らなければ、他人の価値観を正しく認めることができない人間になってしまうだろう。映画『ミセス・ノイズィ』から、多様な価値観を排除しない生き方を考える
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