目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:佐村河内守, 出演:森達也, 監督:森達也, プロデュース:橋本佳子, クリエイター:「Fake」製作委員会
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この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 森達也のドキュメンタリーには常に「揺らぎ」が存在し、森達也は自覚的に「揺らぎ」を生み出している
- 「佐村河内守の耳は本当に聴こえないのか?」という批判は、聴覚障害者全般を傷つけた
- 「作曲」という行為の捉え方の難しさと、この映画で示される劇的な「答え」
もしかしたら、モンスターなのは新垣隆の方なのかもしれない、と思わされる映画だった
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佐村河内守という名前を覚えているだろうか。耳が聞こえない作曲家として一世を風靡したが、実は新垣隆というゴーストライターが作曲していたと報じられ、一時期メディアを騒がせた。
当時の報道を見ていた人のほとんどが、「新垣隆は普通の人、佐村河内守はモンスター」だと思っただろう。私もそう感じた。佐村河内守が嘘をついていたんだろう、と。
しかしこの映画を観て、その確信が揺らいだ。もしかしたら「佐村河内守は普通の人、新垣隆はモンスター」という可能性もあるのかもしれない。
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そう思わされる作品だ。
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どちらもオウム真理教をテーマに据えた作品であり、元々『A』という本と同名タイトルの映画から始まっているのだが、私はそれを観たことがない。なので、『FAKE』が、初めて触れる森達也の映画である。
映画を観るのは初めてだが、『A』『A3』という著作を読んで、「森達也のドキュメンタリーに対する考え方」や「彼が『真実』をどう捉えているか」などはなんとなく理解しているつもりだ。詳しくは上記の記事を読んでほしいが、ざっくり書くと、
森達也のドキュメンタリーには、常に「揺らぎ」が存在し、森達也はその「揺らぎ」に自覚的である
となるだろうか。
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ドキュメンタリーでもノンフィクションでもニュースでもなんでもそうだが、何らかの「事実」を扱うメディアは、「このような捉え方が正しい」という輪郭を無自覚に(あるいは自覚的に)押し付けたり、あるいは「これは正しい/間違っている」などの結論を決めつけたりすることがあると思う。
そこに私は、「『事実』というのは1つであり、揺るがない」という価値観を感じる。確かにそれも1つの捉え方だとは思う。しかし私は、どの方向、どういう切り口で見るかによって「事実」の捉え方は変わると思っているし、そういう感覚を持たずに「事実」を報じる状況を怖いと感じてしまうのだ。
『A』の中で森達也はこんな風に書いている。
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事実と報道が乖離するのは必然なのだ。今日この撮影だって、もし作品になったとしたら、事実とは違うと感じる人はたぶん何人も出てくる。表現とは本質的にそういうものだ。絶対的な客観性など存在しないのだから、人それぞれの思考や感受性が異なるように、事実も様々だ。その場にいる人間の数だけ事実が存在する。ただ少なくとも、表現に依拠する人間としては、自分が感知した事実には誠実でありたいと思う。事実が真実に昇華するのはたぶんそんな瞬間だ。
「A」(森達也/KADOKAWA)
ドキュメンタリーの仕事は、客観的な事実を事象から切り取ることではなく、主観的な真実を事象から抽出することだ。
「A」(森達也/KADOKAWA)
元々テレビの制作会社で働いていた森達也は、メディアのあり方に疑問を抱いていた。そして、『A』という作品で「オウム真理教の内部から社会を見る」という経験をしたことによって、「『事実』とは結局、主観的なものでしかありえない」という感覚に至ったのだろうと思う。
この映画で森達也は、佐村河内夫妻の生活に密着し続け、「観察者」として「佐村河内守の真実」を切り取っていく。そしてその過程で、いわゆる「ゴースト問題」(佐村河内守はこの表現を嫌がっていたが)における2つの大きな問題に、直接・間接に解答を与えるのだ。
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もちろんそれは、「森達也が主観的に切り取った事実」である。ここまでの説明で理解してもらえると思うが、それは決して「森達也が恣意的に情報を操作し事実を捻じ曲げた」ということではない。「森達也は、自分が切り取った『事実』が主観的なものであると自覚している」という意味だ。
だからこそ森達也のドキュメンタリーには、「これは事実なのか、そうではないのか」という「揺らぎ」が内在することとなる。そしてその「揺らぎ」こそが、逆説的な形で「真実性」を高めているように私には感じられるのだ。
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しかしそれも、受け取る人次第でしかない。そしてこの点に、森達也のドキュメンタリーの特徴があると私は思う。
佐村河内守は本当に耳が聞こえないのか?
佐村河内守は自身の聴覚について、「感音性難聴」だと説明している。これは簡単に説明すると、「音は届くが、会話の内容が理解できるほどには聞こえない」という状態だそうだ。
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映画を観た私は基本的に、「佐村河内守が感音性難聴だと信じる」というスタンスを取る。つまり、当時マスコミが報じたように「耳が聞こえているのに聞こえていないフリをしている」と受け取るのではなく、「本当に聴覚に問題を抱えている」と捉えるということだ。
その理由は、この映画の撮影手法にある。
既に少し触れたが、この映画は、森達也が佐村河内夫妻の日常に密着する形で撮影された。「情熱大陸」(TBS系列)のようなイメージである。実際に映画として使われた場面は全体の一部だろうが、恐らくかなり長い時間に渡ってカメラを回し続けたことだろう。
そしてその長期間ずっと、「本当は耳が聞こえているのに聞こえていないフリをする」のは不可能だろう、というのが私の感触だ。
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佐村河内守は基本的に、奥さんに手話通訳してもらうことで他者との会話を成立させている。ゆっくり喋ってもらえれば、口の動きから発言が理解できることもあるようだが、通常は奥さんの手話なしには会話は成り立たない。そして、もしこれが「世間や森達也を欺くための偽装」だとした場合、長期間ボロを出さずに貫き通すことは不可能だろう、と思うのだ。
映画の中で佐村河内守は、
一連の報道によって、誰を一番傷つけたかって言うと、それは同じ聴覚の障害を持つ多くの人達です
「FAKE」(森達也)
と語っていた。確かに、佐村河内守が「感音性難聴」であるのだとして、彼が「聞こえないフリをしている嘘つきだ」と糾弾されている状況は、他の「感音性難聴」の人を傷つけていることになるだろう。
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記者会見の場でも「感音性難聴」に関する資料を配っていたのだが、メディアはその資料の中から、「佐村河内守の聴力には問題がない」と受け取れるような箇所だけを繋ぎ合わせて報道した、と憤っていた。自身の状況に対する怒りは当然として、佐村河内守は、聴覚障害者への無理解に対しても憤りを露わにしていたのだ。
映画には、自身も聴覚障害者であり、聴覚障害者へのトレーニングも行っている前川修寛という人物が登場する。そして映画の中で、森達也が前川氏に、次のように質問する場面が印象的だった。
聴覚障害者にとって……、いや前川さんにとってでいいです、前川さんにとって音楽は意味がありますか?
「FAKE」(森達也)
これは要するに、「佐村河内守が聴覚障害者であるとして、音楽を聴いたり作曲したりすることに意味があるのか」について、佐村河内守以外の人物の証言でも確認したい、という意図でなされたものだろう。
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この質問に対して前川氏は「はい」と答え、補聴器につけることでiPodなどの音楽を聴くことが可能なオプションを見せてくれもする。
前川氏は、こんな風に言っていた。流れてくる音楽のすべてが聴こえているわけではないと分かってはいるが、それが欠落した音楽だと認識した上で「音楽を聴く」という行為はする。音を口に出すことはできないものの、メロディは頭の中にあるのだ、と。
私自身あまり具体的にイメージしたことはなかったが、聴覚障害だが「音」を聴く力がゼロなわけではない「感音性難聴」の場合、音楽を聴く人もいると思う。だから、「聴覚に障害がある人間に音楽ができるはずがない」という主張は誤りだし、「感音性難聴の作曲家」も成立し得ると言えるだろう。
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もちろんだからと言って、「佐村河内守の主張が正しい」ということにはならないが、間接的な補強という意味では価値ある証言だと感じた。
佐村河内守の耳が本当に聴こえないとしたら、”モンスター”なのは新垣隆の方ではないか?
映画には当然、新垣隆本人は出てこないが、「テレビでのインタビュー映像」などは映し出される。そしてその中で新垣隆は、「佐村河内守の耳が聴こえないと感じたことは一度もない」「耳が聴こえることは黙っておくように言われた」というような趣旨の発言をしていた。確かに私も、「ゴースト問題」がメディアで報じられていた際、そのような発言を耳にした記憶があるように思う。
しかし、事実として佐村河内守の聴覚に問題があるとするならば、一転、嘘をついているのは新垣隆の方だということになる。
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もちろん、新垣隆が嘘をついているかどうかはこの映画からは分からない。恐らく永遠に分からないだろう。
では佐村河内守は、新垣隆とどのようにやり取りしていたのだろうか。新垣隆は手話ができない。奥さんにも”共作”のことは黙っていたので、打ち合わせの場に奥さんが同席して手話で通訳をした、というわけでもない。
佐村河内守はある海外メディアのインタビューに答える形で、「新垣隆はほとんど喋らない人だった」「かなり以前であれば筆談もしてくれた」「新垣隆は『言われた通りやればいいんだろう』というスタンスだった(だからほとんどコミュニケーションの必要はなかった)」というような発言をしていた。
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これらの佐村河内守の発言が真実である保証ももちろんない。しかし、映画『FAKE』を観ていると、嘘をついているのは新垣隆の方なのではないか、と思えてくる。佐村河内守も、
なぜ彼がこんな嘘をつくのか、まったく分からない
「FAKE」(森達也)
というような発言をしていた。もし佐村河内守の主張が真実だとするなら、その実感はまったくその通りだろう。
新垣隆の主張と佐村河内守の主張は、真っ向から対立する。どちらも正しい、ということはあり得ない。そしてメディアは、新垣隆の主張を「事実」として報じた。
そうなったのも分からないではない。というのも新垣隆の主張は、「長年ゴーストを務めていたが、罪の意識から告発し謝罪した」という構図だからだ。それが本当なのかは不明だが、印象的に、「そういう立場からの主張の方がより『事実』らしい」という判断になるのも理解できるだろう。
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つまり重要なのは、「分かりやすいか否か」である。
「佐村河内守は、目立ちたいから嘘をついてきた。そして新垣隆は罪悪感から告発した」という構図は、それが事実であるかに関係なく分かりやすい。一方、「佐村河内守は嘘をついておらず、新垣隆が突然『佐村河内守は嘘つきだ』と嘘をついた」という話は、まったく分かりやすくない。意味不明だからだ。そして、分かりやすくないからこそ、「事実」としては採用されないということになる。
これは決して、佐村河内守の問題に限ったことではない。私たちは常に「分かりやすい物語」を求めており、それ故メディアも「分かりやすい物語」を提示しようとする。そしてそのために、「事実であるか否か」が軽視される可能性が常にある、というわけだ。
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繰り返すが、この記事では「新垣隆が嘘をついている」と主張しているわけではない。仮に「佐村河内守の耳が聴こえないことが事実である」とした場合に全体の構造がどう変わり得るのか、少し考えてみてはどうだろうかと提案したいのである。
佐村河内守は作曲をしているのか?
「ゴースト問題」には、耳が聴こえるか否かだけではなく、「そもそも佐村河内守は作曲できるのか?」という問題もあった。そしてこの映画は、この問題に対して誰もが予想しなかっただろう解答を与える。
しかしこの点は映画のクライマックスでもあるので、伏せておくことにしよう。映画のこの場面を観れば、「佐村河内守は作曲できる」という点に疑いの余地など無いように感じられる。
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さて、作曲に関して別の話を取り上げよう。
作曲については、「作曲できるか否か」だけではなく、「佐村河内守の行為はそもそも『作曲』と呼べるのか」という問題もあった。どういうことか。
佐村河内守はこのように主張している。彼が「指示書」と呼ぶ、全体のストーリーを文章に落とし込んだり、構成を図におこしたりした設計図のようなものを新垣隆に渡しており、この「指示書の作成」こそが佐村河内守にとっての「作曲」なのだ、と。
佐村河内守は「ゴースト問題」という表現を好まないが、その理由は、「自分も作曲に深くコミットしていた」と考えているからだ。佐村河内守にとっては、「自分の『指示書』を元に新垣隆が作曲を行う」という形での「共作」なのである。そして、「『共作』だったと伏せていたこと」を自身では問題だと捉えており、そのことに対しては罪悪感を抱いているというわけだ。
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つまり佐村河内守にとって問題となるのは「作曲をすべて丸投げしていた」という「ゴースト問題」ではなく、「作曲を分担していたが、さも1人で行っていたかのように見せていたこと」だ、という理解である。
しかしメディアは、「『指示書の作成』は『作曲』と言えるのだろうか?」という形で問題を報じた。先に挙げた海外メディアの記者も、佐村河内守にこんな風に詰め寄っていた。
新垣隆さんが作曲できる証拠はいくらでもあります。でも、私はまだ佐村河内さんの音源をもらってもいないし、聞いてもいない。指示書や文章は見たけど、僕たちにはこれは読めない。このままだと多くの読者は、佐村河内さんが作曲の半分すら担っていないと思う可能性が高い
「FAKE」(森達也)
さて、この問題をどう捉えるかはなかなか難しい。それは「作曲とは何か?」を理解することであるし、もっと言えば「創作とは何か?」が問題になるということだからだ。
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しかしそれでも、マンガやライトノベルは「作家の作品」と受け取られる。そのような共通理解が社会に存在するからだ。
では、このような考え方を、佐村河内守と新垣隆の状況に当てはめてみるとどうなるだろうか?
正直なところ、佐村河内守が作る「指示書」が「作曲」においてどのような役割を担っているのかイメージしにくいため、同じようには比較しようがないという難しさはある。しかし、マンガやライトノベルのように、「編集者やアシスタントなど別の人間も関わるが、ベースとなる部分を考えた者が創作者である」と捉えるのならば、そして「『作曲』における『指示書』が、曲全体のベースとなる部分を定めるものである」のならば、「佐村河内守が創作者である」と主張することは不可能ではない、とも言えるだろう。
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この点に関しては、「『指示書』を使用した『作曲』の共作」の実例があまりないだろうから、ほとんど「どう解釈するか」の話に帰着してしまう。同じような創作スタイルを行う者が他にたくさん存在すれば、団体を作ったり協議したりすることで、「このような『作曲』における役割の明確化」などが規定されるだろう。しかし彼らのようなスタイルの「作曲」をする者が他にいないとすれば、受け取る側の価値観によって捉えられ方が左右されてしまうのは仕方ない。
しかし、「著作権」という権利を定めた法律が存在し、創作物のすべてはその規定に則って様々な事柄が判断されると決まっている。では「著作権法」的にこの事例はどう判断されるのだろうか?
この映画には弁護士も登場する。森達也とのやり取りを私が上手く捉えきれなかったような気もするが、
著作権が佐村河内側にあるということが問題になることはない
「FAKE」(森達也)
というような趣旨の発言をしてたような気がする。
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しかし私は、弁護士の「問題になることはない」という言い回しが気になってしまう。具体的な説明はなかったが、私はこの発言を、「著作権に関して、新垣隆が問題提起することはない」という意味だと受け取った。つまり、「『曲の重要な部分を担ったのは佐村河内守だ』と新垣隆は認識している」ということを意味するのではないかと感じたのだ。
私は新垣隆について知っていることはほとんどないが、もし新垣隆が「ピアノを弾くのは得意だが、自ら曲を生み出すことは苦手だ」「佐村河内守の『指示書』が無ければ曲を生み出せなかった」と感じているとすれば、「佐村河内守が作曲した」という主張も成り立つだろうと思う。
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つまり、「『指示書』を使った『作曲』における佐村河内守の役割はどの程度重要なのか」というのは、あくまで佐村河内守と新垣隆の2人の間の共通理解の問題であり、外からとやかく言えるようなことではない、と私は理解するに至った。
そして先程も触れた通り、そんなすべての議論を吹き飛ばすようなクライマックスが描かれることもあり、「作曲」に関する疑惑は払拭されるのではないか、と感じた。
そんなわけでこの映画を観ると、メディアで報じられていた「ゴースト問題」とはまったく違う景色が見えてくるのである。
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森達也の作品らしく、「森達也」という観察者が対象に積極的に食い込み、「森達也」自身も画面に登場しながら、主観によって事実を切り出していく。そのスタイルは、一般的なドキュメンタリー映画とは趣が異なって面白い。ドキュメンタリーには客観性が不可欠だと感じる人には向かないだろうが、「事実なんてどのみち主観的にしか切り取れないのだ」というある種の開き直りを抱いて対象に肉薄していく様は、1つの「事実の捉え方」として興味深いと思う。
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「事実」とは、絶対的にそこにあるものではなく、選び取って信じるものだ。そんな森達也の”主張”も感じさせられる作品である。
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「偏見・差別ゆえに、他人の能力を活かせない人間」を、私は無能だと感じる。そういう人は、現代社会の中にも結構いるでしょう。ソ連との有人宇宙飛行競争中のNASAで働く黒人女性を描く映画『ドリーム』から、偏見・差別のない社会への道筋を考える
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【アート】「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」(森美術館)と「美術手帖 Chim↑Pom特集」の衝撃から「…
Chim↑Pomというアーティストについてさして詳しいことを知らずに観に行った、森美術館の「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」に、思考をドバドバと刺激されまくったので、Chim↑Pomが特集された「美術手帖」も慌てて買い、Chim↑Pomについてメッチャ考えてみた
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【実話】権力の濫用を監視するマスコミが「教会の暗部」を暴く映画『スポットライト』が現代社会を斬る
地方紙である「ボストン・グローブ紙」は、数多くの神父が長年に渡り子どもに対して性的虐待を行い、その事実を教会全体で隠蔽していたという衝撃の事実を明らかにした。彼らの奮闘の実話を映画化した『スポットライト』から、「権力の監視」の重要性を改めて理解する
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【考察】アニメ映画『虐殺器官』は、「便利さが無関心を生む現実」をリアルに描く”無関心ではいられない…
便利すぎる世の中に生きていると、「この便利さはどのように生み出されているのか」を想像しなくなる。そしてその「無関心」は、世界を確実に悪化させてしまう。伊藤計劃の小説を原作とするアニメ映画『虐殺器官』から、「無関心という残虐さ」と「想像することの大事さ」を知る
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【正義】「正しさとは何か」を考えさせる映画『スリー・ビルボード』は、正しさの対立を絶妙に描く
「正しい」と主張するためには「正しさの基準」が必要だが、それでも「規制されていないことなら何でもしていいのか」は問題になる。3枚の立て看板というアナログなツールを使って現代のネット社会の現実をあぶり出す映画『スリー・ビルボード』から、「『正しさ』の難しさ」を考える
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【書評】奇跡の”国家”「ソマリランド」に高野秀行が潜入。崩壊国家・ソマリア内で唯一平和を保つ衝撃の”…
日本の「戦国時代」さながらの内戦状態にあるソマリア共和国内部に、十数年に渡り奇跡のように平和を維持している”未承認国家”が存在する。辺境作家・高野秀行の『謎の独立国家ソマリランド』から、「ソマリランド」の理解が難しい理由と、「奇跡のような民主主義」を知る
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【真実】ホロコーストが裁判で争われた衝撃の実話が映画化。”明らかな虚偽”にどう立ち向かうべきか:『…
「ホロコーストが起こったか否か」が、なんとイギリスの裁判で争われたことがある。その衝撃の実話を元にした『否定と肯定』では、「真実とは何か?」「情報をどう信じるべきか?」が問われる。「フェイクニュース」という言葉が当たり前に使われる世界に生きているからこそ知っておくべき事実
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【想像力】「知らなかったから仕方ない」で済ませていいのか?第二の「光州事件」は今もどこかで起きて…
「心地いい情報」だけに浸り、「知るべきことを知らなくても恥ずかしくない世の中」を生きてしまっている私たちは、世界で何が起こっているのかあまりに知らない。「光州事件」を描く映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』から、世界の見方を考える
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【あらすじ】濱口竜介監督『偶然と想像』は、「脚本」と「役者」のみで成り立つ凄まじい映画。天才だと思う
「映画」というメディアを構成する要素は多々あるはずだが、濱口竜介監督作『偶然と想像』は、「脚本」と「役者」だけで狂気・感動・爆笑を生み出してしまう驚異の作品だ。まったく異なる3話オムニバス作品で、どの話も「ずっと観ていられる」と感じるほど素敵だった
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【傑作】濱口竜介監督の映画『ドライブ・マイ・カー』(原作:村上春樹)は「自然な不自然さ」が見事な作品
村上春樹の短編小説を原作にした映画『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)は、村上春樹の小説の雰囲気に似た「自然な不自然さ」を醸し出す。「不自然」でしかない世界をいかにして「自然」に見せているのか、そして「自然な不自然さ」は作品全体にどんな影響を与えているのか
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【矛盾】その”誹謗中傷”は真っ当か?映画『万引き家族』から、日本社会の「善悪の判断基準」を考える
どんな理由があれ、法を犯した者は罰せられるべきだと思っている。しかしそれは、善悪の判断とは関係ない。映画『万引き家族』(是枝裕和監督)から、「国民の気分」によって「善悪」が決まる社会の是非と、「善悪の判断を保留する勇気」を持つ生き方について考える
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【誤解】世界的大ベストセラー『ファクトフルネス』の要約。我々は「嘘の情報」を信じ込みやすい
世界の現状に関する13の質問に対して、ほとんどの人が同じ解答をする。最初の12問は不正解で、最後の1問だけ正答するのだ。世界的大ベストセラー『ファクトフルネス』から、「誤った世界の捉え方」を認識し、情報を受け取る際の「思い込み」を払拭する。「嘘の情報」に踊らされないために読んでおくべき1冊だ
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【矛盾】死刑囚を「教誨師」視点で描く映画。理解が及ばない”死刑という現実”が突きつけられる
先進国では数少なくなった「死刑存置国」である日本。社会が人間の命を奪うことを許容する制度は、果たして矛盾なく存在し得るのだろうか?死刑確定囚と対話する教誨師を主人公に、死刑制度の実状をあぶり出す映画『教誨師』から、死刑という現実を理解する
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【実話】障害者との接し方を考えさせる映画『こんな夜更けにバナナかよ』から”対等な関係”の大事さを知る
「障害者だから◯◯だ」という決まりきった捉え方をどうしてもしてしまいがちですが、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』の主人公・鹿野靖明の生き様を知れば、少しは考え方が変わるかもしれません。筋ジストロフィーのまま病院・家族から離れて“自活”する決断をした驚異の人生
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「バットマン」シリーズを観たことがない人間が、予備知識ゼロで映画『ジョーカー』を鑑賞。「悪」は「環境」に偏在し、誰もが「悪」に足を踏み入れ得ると改めて実感させられた。「個人」を断罪するだけでは社会から「悪」を減らせない現実について改めて考える
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【感涙】衆議院議員・小川淳也の選挙戦に密着する映画から、「誠実さ」と「民主主義のあり方」を考える…
『衆議院議員・小川淳也が小選挙区で平井卓也と争う選挙戦を捉えた映画『香川1区』は、政治家とは思えない「誠実さ」を放つ”異端の議員”が、理想とする民主主義の実現のために徒手空拳で闘う様を描く。選挙のドキュメンタリー映画でこれほど号泣するとは自分でも信じられない
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「朝三暮四」の故事成語を意識した「サル化」というキーワードは、現代性を映し出す「愚かさ」を象徴していると思う。内田樹『サル化する世界』から、日本の教育・政治の現状及び問題点をシンプルに把握し、現代社会を捉えるための新しい視点や価値観を学ぶ
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【異様】ジャーナリズムの役割って何だ?日本ではまだきちんと機能しているか?報道機関自らが問う映画…
ドキュメンタリーで定評のある東海テレビが、「東海テレビ」を被写体として撮ったドキュメンタリー映画『さよならテレビ』は、「メディアはどうあるべきか?」を問いかける。2011年の信じがたいミスを遠景にしつつ、メディア内部から「メディアの存在意義」を投げかける
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【勇敢】”報道”は被害者を生む。私たちも同罪だ。”批判”による”正義の実現”は正義だろうか?:『リチャ…
「爆弾事件の被害を最小限に食い止めた英雄」が、メディアの勇み足のせいで「爆弾事件の犯人」と報じられてしまった実話を元にした映画『リチャード・ジュエル』から、「他人を公然と批判する行為」の是非と、「再発防止という名の正義」のあり方について考える
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【権利】衝撃のドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』は、「異質さを排除する社会」と「生きる権利」を問う
「ヤクザ」が排除された現在でも、「ヤクザが担ってきた機能」が不要になるわけじゃない。ではそれを、公権力が代替するのだろうか?実際の組事務所(東組清勇会)にカメラを持ち込むドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』が映し出す川口和秀・松山尚人・河野裕之の姿から、「基本的人権」のあり方について考えさせられた
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【壮絶】本当に「美人は得」か?「美しさ」という土俵を意識せざるを得ない少女・女性たちの現実:『自…
美醜で判断されがちな”ルッキズム”の世の中に刃を突きつける小説『自画像』。私自身は、「キレイな人もキレイな人なりの大変さを抱えている」と感じながら生きているつもりだが、やはりその辛さは理解されにくい。私も男性であり、ルッキズムに加担してないとはとても言えない
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【実像】ベートーヴェンの「有名なエピソード」をほぼ一人で捏造・創作した天才プロデューサーの実像:…
ベートーヴェンと言えば、誰もが知っている「運命」を始め、天才音楽家として音楽史に名を刻む人物だが、彼について良く知られたエピソードのほとんどは実は捏造かもしれない。『ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく』が描く、シンドラーという”天才”の実像
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フランスのテレビ局が行った「現代版ミルグラム実験」の詳細が語られる『死のテレビ実験 人はそこまで服従するのか』は、「権威」を感じる対象から命じられれば誰もが残虐な行為をしてしまい得ることを示す。全人類必読の「過ちを事前に回避する」ための知見を学ぶ
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『スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか』では、自分が生徒に対して「権力」を持っているとは想像していなかったという教師が登場する。そしてこの「無自覚」は、学校以外の場でも起こりうる。特に男性は、読んで自分の振る舞いを見直すべきだ
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「北九州連続監禁殺人事件」という、マスコミも報道規制するほどの残虐事件。その「主犯の息子」として生きざるを得なかった男の壮絶な人生。「ザ・ノンフィクション」のプロデューサーが『人殺しの息子と呼ばれて』で改めて取り上げた「真摯な男」の生き様と覚悟
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戦争写真として最も有名なロバート・キャパの「崩れ落ちる兵士」には、「本当に銃撃された瞬間を撮影したものか?」という真贋問題が長く議論されてきた。『キャパの十字架』は、そんな有名な謎に沢木耕太郎が挑み、予想だにしなかった結論を導き出すノンフィクション。「思いがけない解釈」に驚かされるだろう
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旅行者として東日本大震災で被災した小説家・彩瀬まるは、『暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出』でその体験を語る。「そんなこと、言わなければ分からない」と感じるような感情も包み隠さず記し、「絶望的な伝わらなさ」を感じながらも伝えようと奮闘する1冊
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「ホームレスは怠けている」という見方は誤りだと思うし、「働かないことが悪」だとも私には思えない。振付師・アオキ裕キ主催のホームレスのダンスチームを追う映画『ダンシングホームレス』から、社会のレールを外れても許容される社会の在り方を希求する
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私個人は、「ビジョンの達成」のためなら「ソフトな独裁」を許容する。しかし今の日本は、そもそも「ビジョン」などなく、「ソフトな独裁状態」だけが続いていると感じた。映画『新聞記者』をベースに、私たちがどれだけ絶望的な国に生きているのかを理解する
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歴史に詳しくない私は、「東京裁判では、戦勝国が理不尽な裁きを行ったのだろう」という漠然としたイメージを抱いていた。しかし、その印象はまったくの誤りだった。映画『東京裁判 4Kリマスター版』から東京裁判が、いかに公正に行われたのかを知る
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国の諜報機関の職員でありながら、「イラク戦争を正当化する」という巨大な策略を知り、守秘義務違反をおかしてまで真実を明らかにしようとした実在の女性を描く映画『オフィシャル・シークレット』から、「法を守る」こと以上に重要な生き方の指針を学ぶ
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金正男が暗殺された事件は、世界中で驚きをもって報じられた。その実行犯である2人の女性は、「有名にならないか?」と声を掛けられて暗殺者に仕立て上げられてしまった普通の人だ。映画『わたしは金正男を殺していない』から、危険と隣り合わせの現状を知る
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【誤り】「信じたいものを信じる」のは正しい?映画『星の子』から「信じること」の難しさを考える
どんな病気も治す「奇跡の水」の存在を私は信じないが、しかし何故「信じない」と言えるのか?「奇跡の水を信じる人」を軽々に非難すべきではないと私は考えているが、それは何故か?映画『星の子』から、「何かを信じること」の難しさについて知る
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【素顔】「ヨコハマメリー史」から「伊勢佐木町史」を知れる映画。謎の女性が町の歴史に刻んだものとは…
横浜で長らく目撃されていた白塗りの女性は、ある時から姿を消した。彼女の存在を欠いた伊勢佐木町という街は、大きく変わってしまったと語る者もいる。映画『ヨコハマメリー』から、ある種のアイコンとして存在した女性の生き様や彼女と関わった者たちの歴史、そして彼女の”素顔”を知る
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【実話】正論を振りかざす人が”強い”社会は窮屈だ。映画『すばらしき世界』が描く「正解の曖昧さ」
「SNSなどでの炎上を回避する」という気持ちから「正論を言うに留めよう」という態度がナチュラルになりつつある社会には、全員が全員の首を締め付け合っているような窮屈さを感じてしまう。西川美和『すばらしき世界』から、善悪の境界の曖昧さを体感する
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私には、「謝罪すること」が「誠実」だという感覚がない。むしろ映画『AGANAI 地下鉄サリン事件と私』では、「謝罪しない誠実さ」が描かれる。被害者側と加害者側の対話から、「謝罪」「贖罪」の意味と、信じているものを諦めさせることの難しさについて書く
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【再生】ヤクザの現実を切り取る映画『ヤクザと家族』から、我々が生きる社会の”今”を知る
「ヤクザ」を排除するだけでは「アンダーグラウンドの世界」は無くならないし、恐らく状況はより悪化しただけのはずだ。映画『ヤクザと家族』から、「悪は徹底的に叩きのめす」「悪じゃなければ何をしてもいい」という社会の風潮について考える。
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「遺伝子組み換え作物が危険かどうか」以上に注目すべきは、「モンサント社の除草剤を摂取して大丈夫か」である。種子を独占的に販売し、農家を借金まみれにし、世界中の作物の多様性を失わせようとしている現状を、映画「モンサントの不自然な食べもの」から知る
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2008年に開設された新たな刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」で行われる「TC」というプログラム。「罰則」ではなく「対話」によって「加害者であることを受け入れる」過程を、刑務所内にカメラを入れて撮影した『プリズン・サークル』で知る。
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2人を殺し、7人に重傷を負わせた金川真大に同情の余地はない。しかし、この事件を取材した記者も、私も、彼が殺人に至った背景・動機については理解できてしまう部分がある。『死刑のための殺人』をベースに、「どうしようもないつまらなさ」と共に生きる現代を知る
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一昔前、我々は「正しい情報を欲していた」はずだ。しかしいつの間にか世の中は変わった。「欲しい情報を正しいと思う」ようになったのだ。この激変は、トランプ元大統領の台頭で一層明確になった。『ニューヨーク・タイムズを守った男』から、情報の受け取り方を問う
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