目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:マイケル・B・ジョーダン, 出演:ジェイミー・フォックス, 出演:ブリー・ラーソン, Writer:デスティン・ダニエル・クレットン, Writer:アンドリュー・ランハム, 監督:デスティン・ダニエル・クレットン
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この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- アメリカでは、「黒人を力で抑圧するための手段」として「死刑制度」が使われてきた
- 「死刑存置州では殺人事件の発生率が上昇する」という驚くべきデータ
- 困難をなぎ倒しながら、「困っている人のための役に立ちたい」という信念を貫き通した若者の奮闘
「司法による人種差別」が全米で最も酷いとされるアラバマ州の現実には驚かされた
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どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
アメリカの「死刑制度」と「黒人差別」は繋がっている。死刑囚を救い出す団体の創設者の実話を基にした映画『黒い司法 0%からの奇跡』
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映画『黒い司法 0%からの奇跡』の主人公ブライアン・スティーブンソンは実在の人物であり、「EJI(Equal Justice Initiative)」という団体を立ち上げた人物だ。「EJI」は、「死刑囚の救済」に特化した団体である。死刑囚を弁護し冤罪を証明したり、出所した元囚人を支援したりするのは当然のこと、「死刑が求刑されるかもしれない事件を担当する弁護士のためのマニュアル作成」なども行っているという。現在でこそ、年間予算3700万ドル(約40億円)、150名以上のスタッフを擁する大所帯となっているが、当初はブライアンと死刑囚支援に熱心な白人女性の2人しかおらず、死刑囚の弁護を担当するだけでも一苦労だった。
そんなブライアンが、どのようにして死刑囚支援の道を志し、いかにして無実の死刑確定囚を獄中から救い出し、さらに「EJI」を設立するに至ったのか。その実話を基にした物語だ。
しかし、映画の内容に触れる前にまず、上映後に行われたトークイベントの内容に触れたいと思う。映画の内容を補完するものであり、アメリカにおける「死刑制度」が「黒人差別」と結びついていることを指摘する、非常に衝撃的な話だった。
アメリカでは、「死刑制度」と「黒人差別」は密接に結びついている
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私が映画『黒い司法 0%からの奇跡』を観たのは、ユーロスペースで行われた「第11回死刑映画週間」というイベントでのことだ。死刑に関する映画が上映された後で、関連するトークイベントが行われるという趣向で、『黒い司法』では庄司香氏が登壇した。学習院大学でアメリカ政治を研究している方だそうだ。
大学の授業で出てくるようなスライドを利用した、かなり本格的な「講義」といった雰囲気で、「映画の内容を補完する」という役割などなくても、それ単体で非常に面白い内容だった。調べてみると、そのトークイベントの動画がYouTubeにアップされていたので、興味がある方はそちらを見てほしい。
それでは、トークイベントで語られた内容に触れていこう。
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ご存知のようにアメリカでは、かつて黒人は奴隷として使役されていた。奴隷制度が撤廃され、「白人と黒人は同じ権利を有する」と定まってからも、当然だが、白人側の意識がすぐに変わったはずがない。そもそも当初は、「ジム・クロウ法」と呼ばれる、「あからさまに白人を優遇する法律」さえ存在していた。黒人には入ることが許されない施設が存在したり、公共バスでも前の方には白人しか座れないなど、白人優位の振る舞いが法律上も認められていたのだ。
とはいえ、白人優位の状況が当然のように実現したわけではない。奴隷でなくなった黒人は、同じ権利を持つはずの白人から虐げられ、不満を溜め込んでいく。そして、黒人の不満がいつ暴発するか分からないと白人は考える。そこで白人は、「暴力」や「恐怖」によって黒人を支配することにした。
それがいわゆる「リンチ」と呼ばれるものだ。日本語の「リンチ」は、「集団で個人に暴力を振るう」ぐらいの意味だろうが、アメリカでは明確に「白人が法的根拠なく黒人を暴力的に支配する行為」のことを指す言葉として使われる。アメリカではこれまで、様々な「リンチ事件」が発生し、白人の暴力によって多数の黒人の命が奪われてきた。
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しかし、あまりにも過激になっていった「リンチ」は、次第に白人の間でも問題視されるようになっていく。そのため、「リンチ」ではない別の手段が求められるようになっていった。そしてその手段こそが、なんと「死刑」だったのである。「リンチ」を行えなくなった白人が、黒人を逮捕・起訴し、死刑判決を下すことで、「リンチ」の代わりとして機能させるようになったのだ。
決してそれだけが理由ではないのだが、アメリカの刑務所にはとにかく黒人の囚人が多い。「アメリカに住む黒人男性の3人に1人が、生涯で少なくとも1度は刑務所に入る」というデータが存在するほどだ。確かにこの数字は白人と比べて圧倒的に高いが、しかし一方で、アメリカの白人にも囚人は多い。「白人男性の17人に1人は、生涯で少なくとも1度は刑務所に入る」とも言われている。1クラス35人の教室に、刑務所入りする者が2人もいると考えると、かなりの数だと感じるだろう。
そう、そもそもアメリカは囚人の数が多すぎるのだ。その数全米で220万人。日本の囚人は約5万人であり、日本よりアメリカの方が3倍ほど人口が多いとはいえ、220万人というのは異常な数字と言える。アメリカ人は、世界人口のたった5%に過ぎないが、世界中の囚人にアメリカ人が占める割合は25%にも上り、アメリカで刑務所に使われる予算は870億ドル(約10兆円)にも上るという。
このように「黒人の問題」に限らずとも、アメリカにはそもそも「囚人に関わる様々な問題」が存在するのである。
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さて、映画の舞台はアラバマ州なのだが、ここは全米の中でも、人口比で死刑執行率が最も高い州だという。さらに、司法における人種差別が激しいことでも知られている。全米で、最も司法制度に問題がある州だと言っていいだろう。囚人に関する様々な問題を抱えるアメリカという国において、その問題が凝縮されているのがアラバマ州だというわけだ。
ちなみに、州によって法律が異なるアメリカでは、死刑制度に対するスタンスも異なっている。全米で、23の州が死刑制度を廃止した。残りの27州の内、6州は死刑執行の停止(モラトリアム)を宣言、8州はモラトリアムの宣言こそしていないが近年死刑執行を行っていない。よって、今も定期的に死刑が執行されるのは、全米で13州に限られているのだという。
「死刑制度」には具体的なメリットは存在するのか?
州ごとに法律が異なるという点を利用して、「死刑制度」に関して次のような問いを投げかけることができる。「死刑制度は果たして、犯罪抑止に役立っているのか」だ。
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ここまで見てきた通り、アメリカにおいて「死刑制度」は、「黒人差別の新たな形」として利用されてきた経緯がある。しかし一般的には、「死刑制度」は「犯罪抑止」を期待して導入されるはずだ。日本も、先進国としては珍しく死刑存置国である。個々人は様々な価値観で「死刑制度」を捉えるだろうが、国家としては、やはり「死刑という最高刑が存在することで犯罪抑止に繋がっている」というのが建前だろう。
ではアメリカにおいてどのような結果になっているのだろうか。なんと、「死刑存置州の方が殺人事件の発生率が高い」ことが明らかになっているのだ。また、30年間に及ぶ様々な研究を総合してみても、「死刑には、社会の安全に対する抑止効果はない」と結論付けられているという。
こうなってくると、「死刑制度をリンチの代わりに利用しているアメリカ」だけではなく、死刑存置国である私たち日本にも関わる問題だと言えるだろう。「死刑に犯罪抑止効果がない」ならば、どのような理屈で死刑制度を継続し得るのか。私たち自身も考えなければならない。
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アメリカでは今、死刑判決も死刑執行も減少傾向にあるという。陪審員も検事も死刑を避けたいと思っているし、「仮釈放なしの終身刑」という選択肢が生まれたことで、益々その流れに拍車が掛かっているのである。死刑判決が下された者に対しても、その執行が先延ばしになっているのが現状だ。アメリカは少しずつ変わり始めているのかもしれない。
また、コスト面からも死刑制度への疑問が突きつけられている。
日本ではどうか知らないが、アメリカでは「死刑は不可逆的なプロセスなので、誤りを排除するためにすべてのステップが慎重に進められるように設計されている」のだという。もちろん、この映画の舞台である1987年当時は違ったはずで、徐々にそういう仕組みが作られていったということだろう。そんなわけで「死刑裁判」は、期間は通常の4倍、費用は通常より1億円も多く必要になるそうだ。
死刑制度が存在しても殺人事件は減らず、税金はより多く使われる。果たして、そんな制度を維持する価値など本当に存在するのだろうか? アメリカでは既にそのような議論が生まれているそうだ。今後、死刑を存置している州でも何か動きがあるかもしれない。
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このようなアメリカの死刑制度に関する話が、上映後1時間近くに渡って説明された。映画を観ただけでは理解できない現実に触れられている非常に濃密な内容であり、私としては非常にためになる時間だった。
そしてこの映画は、そんなアメリカで死刑囚支援に全力を費やす若者の奮闘が描かれる物語である。
映画『黒い司法 0%からの奇跡』の内容紹介
映画が始まって、ものの1分もしない内に、ウォルター・マクシミリアン(通称ジョニー・D)は逮捕から死刑宣告までを経験する。まったく身に覚えのない、クリーニング店で18歳の少女ロンダが殺害された事件の犯人としてだ。この事件は、アラバマ州モンロー郡史上最も凶悪な事件の1つとして認識されており、住民を恐怖させていた。しかし、事件発生から1年が経っても、警察は容疑者を検挙できないでいたのだ。警察には恐らく、そんな焦りもあったのだろう。ジョニー・Dが犯人であることを示す物証など何もなかったが、警察は白人の重罪犯を脅して虚偽の証言をでっち上げ、黒人のジョニー・Dを逮捕したのである。それからは流れ作業のように、死刑判決まで一直線だ。
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もちろん彼は、判決が出てからも無実を訴えた。しかし、住民を恐怖させ続けた事件ということもあり、誰もこの件に関わりたがらない。住民としては、「ジョニー・Dが犯人だ」と考えて安心したいのである。それ故、彼を助けようという者はなかなか現れなかった。
そんな火中の栗を拾う決断をしたのがブライアンだ。ハーバード大学を卒業した秀才でありながら、「困っている人の役に立ちたい」と心の底から考える人物であり、わざわざ別の州からアラバマへと引っ越してまで、無実の死刑囚の支援を行うと決めた。
その決断の背景には、学生時代の経験も関係している。彼には、囚人弁護委員会の使いとして同い年の黒人死刑囚と話をした経験があった。そして、自分と同じような境遇で生まれ育った人物が、理不尽な形で囚われの身になっている現実をなんとかしたいと感じたのだ。
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ブライアンを支援してくれたのは、同じく死刑囚の救済活動を行っている白人女性だけだった。しかし彼らは、最初から躓いてしまう。彼女が2年間の賃貸契約を交わした物件の使用が突如拒否されたのだ。貸主は、「死刑囚の相談のためなんかに使われるなんて聞いてない」とご立腹だ。その後もブライアンは、「ジョニー・Dの件から手を引け」と脅迫を受けるなど、困難な状況下で支援を行わなければならなくなってしまう。
しかし、最大の問題はジョニー・D本人だった。ブライアンが差し出す支援の手を掴もうとしないのだ。しかしそれも無理はない。これまでも彼の元には、力になると言う弁護人がたくさんやってきた。しかし、どいつもこいつも何をするわけでもない。ブライアン、お前はあいつらと何が違うんだ? ジョニー・Dはそんな不信感にさいなまれていたのである。
そんな、まさに「孤軍奮闘」と言う他ない状況で、ブライアンはその第一歩を踏み出す。
まずはなんにせよ、「再審請求」を通さなければ話が始まらない。しかしなんと「警察の妨害」に遭ってしまう。「再審請求」に必要不可欠な証言を行えるはずの人物を、警察が「偽証罪」で逮捕したのだ……。
映画『黒い司法 0%からの奇跡』の感想
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映画のあらゆる描写に驚かされたが、やはり最も凄まじいと感じたのは、モンロー郡の人々の様々な言動だろう。
私は、一般市民に対しても違和感を抱いてしまったが、しかし仕方のない反応であるとも思う。犯人が捕まっていない状態は不安だし、犯人が捕まったとなれば安心できるという気持ちは当然の感覚だろう。住民からすれば、「警察が犯人だと言うなら犯人なのだろう」と考えるしかない。実際には、ジョニー・Dは犯人ではないので、彼を拘束したところで、クリーニング店の事件を起こした真犯人は野放しのままだ。ただ、一般市民の感覚としては理解できないでもない。
また、ブライアンが様々な人物に協力を求める中で、「遺族のためなら協力するが、死刑囚のためには何もしたくない」という反応が多数向けられる。この感覚も、仕方ないものかもしれないと思う。
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ただ、保安官や警察、検事はどんな風に感じているのだろうかと考えてしまった。彼らは、ジョニー・Dが犯人でないことをほぼ間違いなく知っている。「容疑者を逮捕できない無能な警察」という評価を回避するために、無実の人間を無理やり犯人に仕立て上げているからだ。
そのことに、彼らの良心は一切痛まないのだろうか? その辺りのことが、私には上手く想像できない。
ブライアンが面会した死刑囚たちは、自身に「死刑判決」を下した裁判について口々に語る。
「犯罪者は死刑でいい」と判事は笑っていた。
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「有罪かどうかは顔で分かる」(と言われた)
裁判はたった45分で終わった。
証言する機会も与えられなかった。
その中でも、最も凄まじいと感じたのがこの言葉だ。
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犯人はニガーだ。だから、お前が無実でも、ダチのために犠牲になれ。
こんなことがまかり通っていいはずがないだろう。
ほんの一瞬しか描かれなかったが、白人の中には良心に従った行動を取った者もいる。事件現場であるクリーニング店に最初に駆けつけた警察官は、後に「死体の状態について虚偽の証言をしろ」と命じられたそうだが、それを拒否した。素晴らしい。しかしその後彼は、警察を辞めさせられてしまった。
このような圧力の存在を知ってしまえば、良心に沿った行動を取ることも難しくなるだろう。改めて、アメリカ社会における差別の問題の根深さを実感させられた。
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【問題】映画『国葬の日』が切り取る、安倍元首相の”独裁”が生んだ「政治への関心の無さ」(監督:大島新)
安倍元首相の国葬の1日を追ったドキュメンタリー映画『国葬の日』は、「国葬」をテーマにしながら、実は我々「国民」の方が深堀りされる作品だ。「安倍元首相の国葬」に対する、全国各地の様々な人たちの反応・価値観から、「『ソフトな独裁』を維持する”共犯者”なのではないか」という、我々自身の政治との向き合い方が問われているのである
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【あらすじ】映画『戦場のピアニスト』(ロマン・ポランスキー)が描く、ユダヤ人迫害の衝撃の実話
映画『戦場のピアニスト』の4Kリマスター版を観に行ったところ、上映後のトークイベントに主人公の息子が登壇したので驚いた。何せ私は、本作が「実話を基にしている」ことさえ知らなかったのである。だからその驚きもひとしおだった。ホロコーストの生存者である主人公の壮絶な人生を描き出す、不朽の名作だ
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映画『グランツーリスモ』は、「ゲーマーをレーサーにする」という、実際に行われた無謀すぎるプロジェクトを基にした作品だ。登場人物は全員イカれていると感じたが、物語としてはシンプルかつ王道で、誰もが先の展開を予想出来るだろう。しかしそれでも、圧倒的に面白かった、ちょっと凄まじすぎる映画だった
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【驚愕】映画『リアリティ』の衝撃。FBIによる、機密情報をリークした女性の尋問音源を完全再現(リアリ…
映画『リアリティ』は、恐らく過去類を見ないだろう構成の作品だ。なんと、「FBI捜査官が録音していた実際の音声データのやり取りを一言一句完全に再現した映画」なのである。「第2のスノーデン」とも評される”普通の女性”は、一体何故、国家に反旗を翻す”反逆者”になったのだろうか?
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【無謀】映画『ビヨンド・ユートピア 脱北』は、脱北ルートに撮影隊が同行する衝撃のドキュメンタリー
北朝鮮からの脱北者に同行し撮影を行う衝撃のドキュメンタリー映画『ビヨンド・ユートピア 脱北』は、再現映像を一切使用していない衝撃的な作品だ。危険と隣り合わせの脱北の道程にカメラもついて回り、北朝鮮の厳しい現状と共に、脱北者が置かれた凄まじい状況を映し出す内容に驚かされてしまった
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映画『JFK/新証言』は、「非公開とされてきた『ケネディ暗殺に関する資料』が公開されたことで明らかになった様々な事実を基に、ケネディ暗殺事件の違和感を積み上げていく作品だ。「明確な証拠によって仮説を検証していく」というスタイルが明快であり、信頼度の高い調査と言えるのではないかと思う
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500年前に亡くなった王・リチャード3世の遺骨を、一介の会社員女性が発見した。映画『ロスト・キング』は、そんな実話を基にした凄まじい物語である。「リチャード3世の悪評を覆したい!」という動機だけで遺骨探しに邁進する「最強の推し活」は、最終的に英国王室までをも動かした!
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国連事務総長だったハマーショルドが乗ったチャーター機が不審な墜落を遂げた事件を、ドキュメンタリー映画監督マッツ・ブリュガーが追う映画『誰がハマーショルドを殺したか』は、予想もつかない衝撃の展開を見せる作品だ。全世界を揺るがしかねない驚きの”真実”とは?
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弁護士であり、登録者数640万人を超えるYouTuberでもあるアレクセイ・ナワリヌイは、プーチンに対抗して大統領選挙に出馬しようとしたせいで暗殺されかかった。その実行犯を特定する調査をベリングキャットと共に行った記録映画『ナワリヌイ』は、現実とは思えないあまりの衝撃に満ちている
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田原総一朗が元総理・小泉純一郎にタブー無しで斬り込む映画『放送不可能。「原発、全部ウソだった」』は、「原発推進派だった自分は間違っていたし、騙されていた」と語る小泉純一郎の姿勢が印象的だった。脱原発に舵を切った小泉純一郎が、原発政策のウソに斬り込み、再生可能エネルギーの未来を語る
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東日本大震災において、児童74人、教職員10人死亡という甚大な津波被害を生んだ大川小学校。その被害者遺族が真相究明のために奮闘する姿を追うドキュメンタリー映画『生きる』では、学校の酷い対応、出来れば避けたかった訴訟、下された画期的判決などが描かれ、様々な問題が提起される
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重度の人たちも含め、障害者を最低賃金保証で雇用するというかなり無謀な挑戦を続ける夏目浩次を追う映画『チョコレートな人々』には衝撃を受けた。キレイゴトではなく、「障害者を真っ当に雇用したい」と考えて「久遠チョコレート」を軌道に乗せたとんでもない改革者の軌跡を追うドキュメンタリー
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TBS所属の特派員・須賀川拓は、ロンドンを拠点に各国の取材を行っている。映画『戦場記者』は、そんな彼が中東を取材した映像をまとめたドキュメンタリーだ。ハマスを巡って食い違うガザ地区とイスラエル、ウクライナ侵攻直後に現地入りした際の様子、アフガニスタンの壮絶な薬物中毒の現実を映し出す
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稀代の天才プログラマー・金子勇が著作権法違反で逮捕・起訴された実話を描き出す映画『Winny』は、「警察の凄まじい横暴」「不用意な天才と、テック系知識に明るい弁護士のタッグ」「Winnyが明らかにしたとんでもない真実」など、見どころは多い。「金子勇=サトシ・ナカモト」説についても触れる
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2019年に起こった、逃亡犯条例改正案への反対運動として始まった香港の民主化デモ。その最初期からデモ参加者たちの姿をカメラに収め続けた。映画『時代革命』は、最初から最後まで「衝撃映像」しかない凄まじい作品だ。この現実は決して、「対岸の火事」ではない
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私はその存在をまったく知らなかったが、「水俣病」を「世界中が知る公害」にした報道写真家がいる。映画『MINAMATA―ミナマタ―』は、水俣病の真実を世界に伝えたユージン・スミスの知られざる生涯と、理不尽に立ち向かう多くの人々の奮闘を描き出す
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アフガニスタンを追われた家族4人が、ヨーロッパまで5600kmの逃避行を3台のスマホで撮影した映画『ミッドナイト・トラベラー』は、「『難民の厳しい現実』を切り取った作品」ではない。「家族アルバム」のような「笑顔溢れる日々」が難民にもあるのだと想像させてくれる
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タイトルを伏せられた覆面本「文庫X」としても話題になった『殺人犯はそこにいる』。「北関東で起こったある事件の取材」が、「私たちが生きる社会の根底を揺るがす信じがたい事実」を焙り出すことになった衝撃の展開。まさか「司法が真犯人を野放しにする」なんてことが実際に起こるとは。大げさではなく、全国民必読の1冊だと思う
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ノルウェーの警察が、自国在住のユダヤ人をまとめて船に乗せアウシュビッツへと送った衝撃の実話を元にした映画『ホロコーストの罪人』では、「自分はそんな愚かではない」と楽観してはいられない現実が映し出される。このような悲劇は、現在に至るまで幾度も起こっているのだ
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映画『アウシュヴィッツ・レポート』は、アウシュビッツ強制収容所から抜け出し、詳細な記録と共にホロコーストの実態を世界に明らかにした実話を基にした作品。2人が持ち出した「アウシュビッツ・レポート」こそが、ホロコーストについて世界が知るきっかけだったのであり、そんな史実をまったく知らなかったことにも驚かされた
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Chim↑Pomというアーティストについてさして詳しいことを知らずに観に行った、森美術館の「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」に、思考をドバドバと刺激されまくったので、Chim↑Pomが特集された「美術手帖」も慌てて買い、Chim↑Pomについてメッチャ考えてみた
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地方紙である「ボストン・グローブ紙」は、数多くの神父が長年に渡り子どもに対して性的虐待を行い、その事実を教会全体で隠蔽していたという衝撃の事実を明らかにした。彼らの奮闘の実話を映画化した『スポットライト』から、「権力の監視」の重要性を改めて理解する
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日本の「戦国時代」さながらの内戦状態にあるソマリア共和国内部に、十数年に渡り奇跡のように平和を維持している”未承認国家”が存在する。辺境作家・高野秀行の『謎の独立国家ソマリランド』から、「ソマリランド」の理解が難しい理由と、「奇跡のような民主主義」を知る
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権力を持つ者のタガが外れてしまえば、市民は為す術がない。そんな状況に置かれた時、私たちにはどんな選択肢があるだろうか?白人警官が黒人を脅して殺害した、50年前の実際の事件をモチーフにした映画『デトロイト』から、「権力による不正義」の恐ろしさを知る
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「ホロコーストが起こったか否か」が、なんとイギリスの裁判で争われたことがある。その衝撃の実話を元にした『否定と肯定』では、「真実とは何か?」「情報をどう信じるべきか?」が問われる。「フェイクニュース」という言葉が当たり前に使われる世界に生きているからこそ知っておくべき事実
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どんな理由があれ、法を犯した者は罰せられるべきだと思っている。しかしそれは、善悪の判断とは関係ない。映画『万引き家族』(是枝裕和監督)から、「国民の気分」によって「善悪」が決まる社会の是非と、「善悪の判断を保留する勇気」を持つ生き方について考える
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【誤解】世界的大ベストセラー『ファクトフルネス』の要約。我々は「嘘の情報」を信じ込みやすい
世界の現状に関する13の質問に対して、ほとんどの人が同じ解答をする。最初の12問は不正解で、最後の1問だけ正答するのだ。世界的大ベストセラー『ファクトフルネス』から、「誤った世界の捉え方」を認識し、情報を受け取る際の「思い込み」を払拭する。「嘘の情報」に踊らされないために読んでおくべき1冊だ
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「生理は語ることすらタブー」という、21世紀とは思えない偏見が残るインドで、灰や汚れた布を使って経血を処理する妻のために「安価な生理用ナプキン」の開発に挑んだ実在の人物をモデルにした映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』から、「どう生きたいか」を考える
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「爆弾事件の被害を最小限に食い止めた英雄」が、メディアの勇み足のせいで「爆弾事件の犯人」と報じられてしまった実話を元にした映画『リチャード・ジュエル』から、「他人を公然と批判する行為」の是非と、「再発防止という名の正義」のあり方について考える
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【権利】衝撃のドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』は、「異質さを排除する社会」と「生きる権利」を問う
「ヤクザ」が排除された現在でも、「ヤクザが担ってきた機能」が不要になるわけじゃない。ではそれを、公権力が代替するのだろうか?実際の組事務所(東組清勇会)にカメラを持ち込むドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』が映し出す川口和秀・松山尚人・河野裕之の姿から、「基本的人権」のあり方について考えさせられた
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【真実?】佐村河内守のゴーストライター騒動に森達也が斬り込んだ『FAKE』は我々に何を問うか?
一時期メディアを騒がせた、佐村河内守の「ゴースト問題」に、森達也が斬り込む。「耳は聴こえないのか?」「作曲はできるのか?」という疑惑を様々な角度から追及しつつ、森達也らしく「事実とは何か?」を問いかける『FAKE』から、「事実の捉え方」について考える
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NSA(アメリカ国家安全保障局)の最高機密にまでアクセスできたエドワード・スノーデンは、その機密情報を持ち出し内部告発を行った。「アメリカは世界中の通信を傍受している」と。『シチズンフォー』と『スノーデン』の2作品から、彼の告発内容とその葛藤を知る
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フランスのテレビ局が行った「現代版ミルグラム実験」の詳細が語られる『死のテレビ実験 人はそこまで服従するのか』は、「権威」を感じる対象から命じられれば誰もが残虐な行為をしてしまい得ることを示す。全人類必読の「過ちを事前に回避する」ための知見を学ぶ
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『スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか』では、自分が生徒に対して「権力」を持っているとは想像していなかったという教師が登場する。そしてこの「無自覚」は、学校以外の場でも起こりうる。特に男性は、読んで自分の振る舞いを見直すべきだ
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「ホームレスは怠けている」という見方は誤りだと思うし、「働かないことが悪」だとも私には思えない。振付師・アオキ裕キ主催のホームレスのダンスチームを追う映画『ダンシングホームレス』から、社会のレールを外れても許容される社会の在り方を希求する
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私たちがどのような社会で生きているのか理解することは重要でしょう。ニュースやネット記事などを総合して現実を理解することはなかなか難しいですが、政治や社会制度など…
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