目次
はじめに
この記事で取り上げる本
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ポチップ
この本をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 両親の逮捕時10歳だった彼は、何をしているのか理解できないまま「死体遺棄」に加担させられていた
- 番組へのクレームがきっかけで「ザ・ノンフィクション」でのインタビューが実現した
- 壮絶過ぎる、事件当時の記憶とその後の人生
あまりに辛い過去を背負って生きる彼が、それでも力強く「生きていく」と語る理由とは?
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「北九州連続監禁殺人事件」と、その犯人の息子として生を受けた男
『消された一家』(豊田正義/新潮社)という本がある。
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ポチップ
このノンフィクションは、「北九州連続監禁殺人事件」として知られる凶悪犯罪を取材した作品だ。
とんでもない事件である。今まで様々な事件ノンフィクションを読んできたが、その中でもまさに「鬼畜」としか言いようがない、人間の所業とは信じたくないと感じさせられる事件だ。
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あまりにも酷いその事件の詳細はここでは触れない。『消された一家』を読むか、ネットで調べるかしてほしい。警告しておくが、あまりに酷すぎる事件なので注意してほしい。その残虐さ故に、マスコミさえあまり報道しなかったほどだ。
この本で取り上げられるのは、そんな事件を起こした犯人の息子として生きる男である。
彼は、ただ単に「犯罪者の息子」というだけではない。それだけでもあまりに辛い境遇だが、さらに彼には「死体遺棄」の記憶がある。「北九州連続監禁殺人事件」は、見知らぬ者や家族同士を殺し合わせ、その死体を遺棄させるというとんでもない事件だったが、まだ幼かったこの息子も、その手伝いをさせられていたのだ。
両親の逮捕時10歳だった彼は、学校に通わせてもらっていなかった。それもあって、自分がやらされていたことが何なのか当時は理解できていなかったが、やがて事件について嫌でも耳にするようになると、「あの時自分が手伝わされたのは、死体遺棄だったのだ」と理解できてしまったという。今でも、当時の”異臭”と共に、その記憶が蘇る。
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10歳で世間に放り出されることになった彼は、小学3年生のクラスに入れられたが、彼はまだ「ひらがな」と「カタカナ」の存在しか知らなかった。「漢字」が何なのか理解できなかったし、「書き言葉」と「話し言葉」が同じものだという感覚もなかったという。「日本語を口から発することはできるが、自分が発している言葉の意味が分からない」という、私たちにはなかなかイメージしがたい状態にあったとも語っている。
あまりに凄まじい。
今でも、生活が順調とは言えない。夜家にいる時には明かりをつけない。ドアを開けると、自分でもおかしなことをしていると思いながら、どうしてもドアの裏側に人がいないか確認してしまう。
それでもなんとか生きている。いや、むしろこんな風にも言う。
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―これだけは言いたいことなど、何かありますか?
「恵まれない環境でも、両親が犯罪者でも、自分が犯罪者だったとしても……、俺は犯罪してないですけど、生きてます、生きていけます」
凄い言葉だ、と思う。
本書は、否応なしに強く生きざるを得なかった男の、奮闘と決意と魂の叫びの記録である。
彼が「ザ・ノンフィクション」の取材を受けた理由
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彼のインタビューは、「ザ・ノンフィクション」(フジテレビ系)という番組で流れた。顔出しこそしていないが、声は変えていない。「ザ・ノンフィクション」の歴史の中でも「インタビューのみで構成された回」は初めてであり、さらにこの回は異例の反響を集めたそうである。「ザ・ノンフィクション」は昼放送の関東ローカルの番組なのだが、そうとは信じられないほどのすさまじい反応だったのだ。
しかし、番組側から彼にアプローチをしたわけではない。最初のきっかけは、クレームだった。
彼との始まり……。
それは一本の電話であり、私がつくった番組に対する苦情だった。
「あなたはあの番組の責任者の方ですか? 俺は松永太と緒方純子の長男です」
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本書の著者は、「追跡!平成オンナの大事件」という番組を企画し、その中で「北九州連続監禁殺人事件」も取り上げたのだが、その番組へのクレームだった。確かにその電話はクレームであり、彼は「両親の事件を取り上げないでほしい」と伝えている。しかしそれだけではなく、著者に対してこんなことも言うのだ。
なぜ、あなたは、番組であの事件を取り上げると決めたとき、息子である俺に取材しようと考えなかったのですか? それは、取材者の怠慢じゃないですか
実は著者はこの番組を作るに当たり、最後の最後まで子どもたちへの取材を行うか決めかねていたという。そして悩みに悩んだ末、信頼するディレクターに、子どもたちを取材するのは止めてくれ、と伝えたのだ。しかしなんと、その当の本人から、私のことを取材しないのは怠慢ではないか、という電話がきた。著者は驚いたことだろう。
そんな経緯があり、彼は「ザ・ノンフィクション」に出演することになったのである。番組の中で彼は、カメラの前でインタビューを受けることについて、こんな風に語った。
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常に俺の中にあるのは、申し訳ないな、ということです。理由はなんであれ。だからといって、どうすることもできんわけやし。それをこの十五年間、ずっと逃げて隠してごまかして、生きてきたんです。やりよることは両親と変わらんなって思って。
でも、逃げ続けてばかりいるのではなく、出ていくことで、俺はいまこうしているんですよっていうのを少しでも多くの人に知ってもらえると思うんですね。
ものすごくキツイ意見もあると思うんですよ。なんで生きているんだとか、人殺しの息子が! とか。なんと言われても、生きて誰かのために何かをするって。それを周りの人は偽善やって言うかもしれんけど、他の人にはできん経験をして、人の痛みが人よりわかる。
自分みたいな奴がこれからどうしていくんかってなったときに、もう生きて生きて、生き続けて、自分しかできんことを多くの人にしてあげる。そんな自分になっていくっていうのが、大げさですけど、生まれてきた意味じゃないんかなあって。
当たり前に仕事して、当たり前に生活して、ハイ終わりじゃない。たぶん俺にしかできないことがあると思うんです。いまでも答えは見つかってないんですけどね
あまりに特異な人生を歩んできた彼が、「自分の存在が少しでも何かの役に立つかもしれない」という思いで表に出てくる。なかなかできることではないと思うし、勇敢だと言っていいだろう。
インタビューを受ける彼の覚悟
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自ら「声は変えなくていい」と申し出た彼が、このインタビューに臨む覚悟は、並々ならぬものがある。
今回の件(※テレビで取り上げられること)に関して、ネットに何か書かれたり、世間の人からなんて言われても、なんとも思わないです。これまでは俺の知らないところで勝手にそういうことをされていて、それに付随して野次が飛んでくるような感じだったので、耐えられなかったんです。今回は自分から発言をしているんで。中途半端な気持ちでこういう風に話もしてないですから
確かに、本人は何もしていないのに、一方的に誹謗中傷されている状況に耐えかねる、という感覚は分からないでもない。しかしやはりリスクは大きすぎるように思う。だからこそ、次のような「誰かのため」という感覚も必要だったことだろう。
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たとえばこういうふうに俺が発言してるのをテレビで観たりして、何を偉そうに、何をいまさら、なんでお前が……っていう人たちもいると思うんですけど。そうではなく純粋に興味をもってくれる人、考え方が変わってくれる人、何かのきっかけになる人っていうのもいる気がするんですね。
それって他の人にはできないと思うんです。こういう経験をして、こういう生き方をしてきた俺にしかできんことだと思うんですよ。(こういう取材に答えるようなこともなく)このまんま当たり前にどこかで仕事をして、定年迎えて、年金もらって、死んでいくというのは、なんかちょっと違うなって思ったんです。
何かをやるためにたぶん生まれてきてると思うんで、俺にしか伝えられないことを俺なりのやり方で知ってもらおうかなあと
彼のような境遇を生きざるを得なかった人など、世の中にほとんどいないだろう。それほどに常軌を逸した環境の中にいた。そして、そんな自分だからこそ出来ることがあるのではないか、と彼は考えるのだ。誰よりも一番しんどいのは自分だろうに、逃げ回るのではなく、表に出ることによってどこかの誰かに何かを伝えようとする。なかなかできることじゃない。
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さらに彼は、この経験は自分にもプラスに働く、と考えているようだ。
嫌な意見のなかにも、ためになる意見ってたぶんあると思うんです。この人はなんでこういうふうに書いたんかなあとか、確かにそれは合ってるなとか。そういう大事な意見はしっかり読み取って吸い上げて、自分のものにして。それ以外の落ち込んだりっていう感情はスルーしようかなって。そういう心構えでインタビューに応じさせてもらいました
―ネットを覗かないっていう選択肢もあったと思うんですけど、やはり見てしまったのはどうしてなんですか?
「これは俺の個人的な考えなんですけど、いい意見を伝えてくれる人も、悪い意見を言ってくる人も、理由はなんであれ俺のために時間を使ってくれているという。いちばんはそこですよね。本当に俺に興味がなかったり、イライラしてしょうがないって人たちだったら、書き込みすらしないと思うんです。で、その悪いコメントのなかにも、やっぱり俺のためになるような意見があったり。あらためて考えさせられるようなきっかけになる内容も多かったんで……。見ないという選択肢を俺が選んだときには、いままでの自分と変わらないなってまた逃げるのかって。なので、あえて見ましたね」
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ネット上での誹謗中傷が、一部の有名人だけではなくどんな人にも影響する時代になった。すべての人が彼のように強くなければならないとはまったく思っていないが、こんな覚悟で世間の目と対峙しようと考えられれば誹謗中傷にも立ち向かえるかもしれない。
彼のような覚悟を持つ必要はないし、そんな覚悟を持つ必要なんかない社会である方が望ましいわけだが、彼の強さを参考に出来る部分はあるのではないかと思う。
事件当時の感覚と、辿ってきた人生
インタビューの中で彼は、事件当時のことや、現在に至るまでにどんな人生を歩んできたのかなど、問われるままに詳細に語っていく。それらはどれも「凄まじい」としか表現しようのない、現実から浮遊しているような話なのだが、中でも一番印象的だったのが、事件当時の状況について「おかしいとは思っていなかった」と語っていたことだ。
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―当時、それがおかしいことだとは?
「まったく。まったくなんとも思ってなかったですね」
だが、その当時の彼は、「親父の言うこと、やることに間違いはなく、正解なんだ」と考えていた。それが“彼にとっての常識”になっていたからだ
「北九州連続監禁殺人事件」では、「身体的な苦痛」によって隷属させられ、自分の意思とは無関係に残忍な行為をやらされていた。その壮絶な状況を体験したことがない者からすればどうしても、「なぜそんな命令に従ってしまうのか」と感じてしまう場面もある。拷問のような苦痛から逃れたい一心だったことはもちろん理解しているつもりだが、やはり教官の及ぶ領域ではないと思わされてしまう。
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しかし本書を読んで、「それが正しい行為だ」と思わされてしまう洗脳下にあったのだと改めて理解できた。もちろん彼の場合、父親と息子という関係もあるし、まったく外界との接点がなかったという特殊さもある。彼と他の被害者たちの感覚を同列に比べることはできないかもしれないが、なかなか理解し難い状況を捉える一助になるように感じた。
そしてまさにそれは、彼の父親のような凶悪な人物が身近にいれば、誰もが被害者にも”加害者”にもなり得る可能性がある、ということだ。他人事だと思っていては危険かもしれない。
事件発覚後に保護され、児童相談所で生活するようになって以降の人生は、彼のこんな言葉に集約されていると言えるだろう。
結局、何をやっても、そういう壁に当たるんですよね。親がいないから、身寄りがないからって。どんだけ頑張っても、結局、またこれかと思って。先のことになるけど、携帯を持つのも、免許を取るのも、働くのも、家を借りるのも、何するにしてもこれだけ不便なんやって。そういうことにぶち当たるたびに自信をなくすんです。これって俺がどうこうって問題じゃないよね、と
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ある意味、彼らは、犯罪者よりも冷遇されますから
日本以外の国の現状を知らないが、少なくとも日本では、「犯罪者の家族」の人生はかなり厳しいものになるだろう。私は、小説・ノンフィクション・映画などで見知っているだけであり、実際のところを知っているわけではないのだが、それでもその過酷さはなんとなくイメージできる。
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日本では、「こいつは貶めてもいい」という対象と判断されると容赦なく批判され、何をしても上手くいかないという状況に陥る。「犯罪者本人」は塀の向こうにいて叩けない、だったらその家族を叩こう。そんな感覚から、罪無き者が無用の苦労をさせられることになってしまう。
私の感覚からすれば、そういう振る舞いは、「みんなでちょっとずつ社会を窮屈にしているだけ」でしかなく、誰にとってもプラスにはならないと感じている。しかし中には、自分の行為をプラスと捉える輩もいるだろう。「こいつは貶めてもいい」と見定めたターゲットに対しては、恐らく、「こいつは貶められるべきだ」という感覚を抱くのだろうし、「俺がそれを実現させてやる」という私には理解できない”正義感”で行動しているつもりの人もいるはずだ。たちが悪い。
映画『MOTHER』のように、犯罪者の家族に問題があるケースも確かにある。
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しかし基本的には、犯罪者の家族に責められる謂れなどまったくないだろう。インタビューを受けた彼だけではなく、世の中には、同じような苦しみを背負っている人が山ほどいるのだと思うと、自分が生きている社会にうんざりしてくる。
小学生の頃、獣医師になりたい気持ちがあったのにしても、動物は素直で「言葉の裏を読んだりする必要がない」というのが理由のひとつになっていた。(中略)
「で、人間と関わると、また失望するんです。嘘ついて、ごまかして、こんなに醜い生き物がおるんかな。人間って嫌やなって。でも、自分もその人間なんですよね」
否応なしに犯罪者の子どもとして生まれてきてしまった者と、罪無き者を貶める言動をする者。どちらに非があるかなど明らかだと思うが、後者のような人間がのさばる世の中が未だに続いている現状には、失望しかない。
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著:張江 泰之
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最後に
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最後に、「生まれ育った環境」に対する彼の考え方に触れてこの記事を終えようと思う。
グレたり荒れたりするのにしても、どういう家族環境で育ったかっていうのはたいした理由じゃないと思うんですよ。
だからもし、そういう人たちがいるんだったら、俺から言いたいのは……。偉そうに言うことでもないですけど、いつまでそうやってごまかして逃げていけるんかなっていうこと。どこかで気がつくんですよ。
そのタイミングって、早ければ早いほどいいと思うんですよね。自分の家族環境が複雑やから、恵まれてないから、周りの環境が悪いからっていっても、そこから先、自分で頑張って生きていく時間のほうが長いわけでしょ。たった……。たったって言い方は悪いですけど、人生を四分割で見たときに、四分の一程度の出来事で、残りの四分の三を損するようなことにしてほしくないなっていう。
そういう人たちともっと関わって、話もしてみたいですし。俺のことにしても、あ、こんな奴もいるんだなって思ってもらえるんやったらって。何かのきっかけにして、いままでとは違う生き方、学び方をしていってほしいなって思うんですよね。全然、上から目線とかじゃないんですけど
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【矛盾】その”誹謗中傷”は真っ当か?映画『万引き家族』から、日本社会の「善悪の判断基準」を考える
どんな理由があれ、法を犯した者は罰せられるべきだと思っている。しかしそれは、善悪の判断とは関係ない。映画『万引き家族』(是枝裕和監督)から、「国民の気分」によって「善悪」が決まる社会の是非と、「善悪の判断を保留する勇気」を持つ生き方について考える
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【矛盾】死刑囚を「教誨師」視点で描く映画。理解が及ばない”死刑という現実”が突きつけられる
先進国では数少なくなった「死刑存置国」である日本。社会が人間の命を奪うことを許容する制度は、果たして矛盾なく存在し得るのだろうか?死刑確定囚と対話する教誨師を主人公に、死刑制度の実状をあぶり出す映画『教誨師』から、死刑という現実を理解する
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【実話】障害者との接し方を考えさせる映画『こんな夜更けにバナナかよ』から”対等な関係”の大事さを知る
「障害者だから◯◯だ」という決まりきった捉え方をどうしてもしてしまいがちですが、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』の主人公・鹿野靖明の生き様を知れば、少しは考え方が変わるかもしれません。筋ジストロフィーのまま病院・家族から離れて“自活”する決断をした驚異の人生
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【考察】映画『ジョーカー』で知る。孤立無援の環境にこそ”悪”は偏在すると。個人の問題ではない
「バットマン」シリーズを観たことがない人間が、予備知識ゼロで映画『ジョーカー』を鑑賞。「悪」は「環境」に偏在し、誰もが「悪」に足を踏み入れ得ると改めて実感させられた。「個人」を断罪するだけでは社会から「悪」を減らせない現実について改めて考える
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【葛藤】子どもが抱く「家族を捨てたい気持ち」は、母親の「家族を守りたい気持ち」の終着点かもしれな…
家族のややこしさは、家族の数だけ存在する。そのややこしさを、「子どもを守るために母親が父親を殺す」という極限状況を設定することで包括的に描き出そうとする映画『ひとよ』。「暴力」と「殺人犯の子どもというレッテル」のどちらの方が耐え難いと感じるだろうか?
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【感涙】衆議院議員・小川淳也の選挙戦に密着する映画から、「誠実さ」と「民主主義のあり方」を考える…
『衆議院議員・小川淳也が小選挙区で平井卓也と争う選挙戦を捉えた映画『香川1区』は、政治家とは思えない「誠実さ」を放つ”異端の議員”が、理想とする民主主義の実現のために徒手空拳で闘う様を描く。選挙のドキュメンタリー映画でこれほど号泣するとは自分でも信じられない
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パッと見の印象は「よくある学園モノ」でしかなかったので、『殺さない彼と死なない彼女』を観て驚かされた。ステレオタイプで記号的なキャラクターが、感情が無いとしか思えないロボット的な言動をする物語なのに、メチャクチャ面白かった。設定も展開も斬新で面白い
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ドキュメンタリーで定評のある東海テレビが、「東海テレビ」を被写体として撮ったドキュメンタリー映画『さよならテレビ』は、「メディアはどうあるべきか?」を問いかける。2011年の信じがたいミスを遠景にしつつ、メディア内部から「メディアの存在意義」を投げかける
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「統合失調症だからといって病気だとは捉えず、ただの個性だと思う」と話す松本キックは、相方・ハウス加賀谷とどう接したか。そしてハウス加賀谷は、いかにして病気と向き合ったか。『統合失調症がやってきた』『相方は、統合失調症』から、普遍的な「人間関係の極意」を学ぶ
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私は、それがポジティブなものであれ、「レッテル」で見られることは嫌いです。主人公の1人、障害を持つ大富豪もまたそんなタイプ。傍若無人な元犯罪者デルとの出会いでフィリップが変わっていく『THE UPSIDE 最強のふたり』からコミュニケーションを学ぶ
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「ヤクザ」が排除された現在でも、「ヤクザが担ってきた機能」が不要になるわけじゃない。ではそれを、公権力が代替するのだろうか?実際の組事務所(東組清勇会)にカメラを持ち込むドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』が映し出す川口和秀・松山尚人・河野裕之の姿から、「基本的人権」のあり方について考えさせられた
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「爆弾事件の被害を最小限に食い止めた英雄」が、メディアの勇み足のせいで「爆弾事件の犯人」と報じられてしまった実話を元にした映画『リチャード・ジュエル』から、「他人を公然と批判する行為」の是非と、「再発防止という名の正義」のあり方について考える
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「近隣の村から『姥捨て』と非難される理想郷」を描き出す『でんでら国』は、「死ぬ直前まで、コミュニティの中で役割が存在する」という世界で展開される物語。「お金があっても決して豊かとは言えない」という感覚が少しずつ広まる中で、「本当の豊かさ」とは何かを考える
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一時期メディアを騒がせた、佐村河内守の「ゴースト問題」に、森達也が斬り込む。「耳は聴こえないのか?」「作曲はできるのか?」という疑惑を様々な角度から追及しつつ、森達也らしく「事実とは何か?」を問いかける『FAKE』から、「事実の捉え方」について考える
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ルシルナ
事件・事故・犯罪・裁判【本・映画の感想】 | ルシルナ
私は、ノンフィクションやドキュメンタリーに多く触れますが、やはりテーマとして、トラブルなどが扱われることが多いです。単純にそれらに興味があるということもあります…
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