目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:マーク・ラファロ, 出演:マイケル・キートン, 出演:レイチェル・マクアダムズ, 出演:スタンリー・トゥッチ, 出演:リーヴ・シュレイバー, 監督:トム・マッカーシー
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ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 「神にレイプされる」という衝撃を、私は本当の意味では理解できていないと思う
- 「教会による悪事」を認識しながら、「それでも教会は必要だ」と語る人が多い現実
- 葛藤し、悩みながらも、強大な権力に立ち向かう記者たちを描き出す
「調査報道」に対して私たちがもっと関心を向けないと、「権力の監視」は継続し続けられない
自己紹介記事
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どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
映画『スポットライト 世紀のスクープ』が描くのは、「神にレイプされる」という衝撃を隠蔽し続けた教会と、それを白日の下に晒した小さな新聞社の奮闘だ
この映画が描き出す「衝撃」を、本当には理解することができない
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私はキリスト教徒ではない。どんな宗教も信じていないし、宗教に限らず「信じる対象」を持たない生き方をしている。人によっては、「自分が推しているアイドル」や「占い師」の言動が、自分の中で絶対的な基準になっている人もいるだろう。そういう場合、その絶対的な存在は「宗教」的な意味を帯びるが、私にはそういう存在もないという意味だ。「科学」のことは信じているが、それは「科学的手法、科学的検証」を信じているのであり、「科学だから無条件に信じている」わけではない。
そんな「信じる対象」を持たない私には、この映画で描かれる「衝撃」はきっと正しくは理解できない。
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何故ならこの映画では、それがなんであれ、自分が「神」だと思う存在からレイプされるのだから。
神様に嫌と言えますか?
難しいだろうが、あなたが「神」だと捉えている存在からレイプされることを想像してみてほしい。男女は関係ない。この映画でも、「神父による男児への性的虐待」が描かれるのだ。
想像しきれないとは思うが、そのイメージで想起される絶望や苦痛こそが、この映画の中心に存在する。まして被害に遭うのは児童たちだ。どんな性的虐待も酷いと思うが、やはり、子どもへのそれは最低だと言っていいだろう。
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そんな最低の行為を長年続け、隠蔽してきた教会の暗部を地元の小さな新聞社が暴き出していく。その実話を元にした物語だ。
教会の悪事のことを、地元民はみんな知っていた
しかし、教会のスキャンダルは地元にとっては周知の事実だった。市民だけではない。警察も裁判所も弁護士も、当然新聞社も知っていた。もちろん枢機卿も知っており、その上で隠蔽工作を行っているのだ。
では何故、2002年に「ボストン・グローブ紙」が記事を掲載するまで、この事実は広く世間に知られなかったのか?
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そこには「教会の強大な権威」が関係している。
教会は何でもできる。何でも。
これが市民の認識だ。かつて被害に遭ったという人を取材する過程で、記者はこんな風にも言われる。
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教会は何世紀も存在している。
新聞社が勝てると?
奴は神父だ。従うしかない。
私にはなかなかイメージできないし、恐らく多くの日本人にとって想像が及ばないと思うが、「性的虐待を行っている」と知ってもその権威が凋落しないほど「教会」の力は絶大なのだ。
そこにはやはり「信仰」が大きく関わってくる。
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教会は人が作った組織だ。いずれ滅びる。
けど、信仰は永遠だ。
「教会がどうであれ『キリスト教への信仰』は残るのだし、『キリスト教徒への信仰』が残るなら『教会』は必要だ」という理屈になるようだ。それは、信仰を持たない私には凄まじい判断に感じられるが、それほどにアメリカ人にとってキリスト教は切り離せないものなのだろう。
また「教会」の存在は、「信仰」とは関係ない部分でも重要だ。
貧しい家の子には、教会は重要だ。
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実情に詳しいわけではないが、アメリカでは、「教会」がある種の「セーフティネット」として機能しているということなのだろう。だからこそ、こんなことを言う人物も登場する。
だが、人々に教会は必要だ。
少しの悪のために多くの善は捨てられない。
「子どもへの性的虐待」を「少しの悪」と呼んでいいとは私には思えない。しかしそう判断したくなるほどに「教会」の存在は信仰にとっても地域にとっても必要不可欠だということなのだろう。
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「誰にも知られていなかったことを『暴く』」のは、困難を伴うが不可能ではない。しかし、「誰にも知られていることを『暴く』」のは、言葉の使い方として矛盾しているほどあり得ない行為だ。しかし「ボストン・グローブ紙」は、まさにそんな矛盾をやってのけなければならなかったのだ。
「ボストン・グローブ紙」の奮闘
「誰にも知られていることを『暴く』」ために、「ボストン・グローブ紙」は奮闘する。しかしそれはあまりにも困難な道だった。
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そもそも「ボストン・グローブ紙」の読者の53%がカトリック信者であり、当然のことながら、記者の家族の中にも熱心に教会へと通っている者がいる。ボストンで最大部数を発行する新聞だそうだが、あくまでも「地方紙」でしかない。地元民の購読によって成り立っている新聞なのだ。そんな新聞紙上で、地元民が支持する「教会」を批判しようと言うのだから、相当の覚悟が必要だろう。
何も諦めてはいない。
私たちは、逃げない。
記者もまた、地元出身者が多い。この記事を載せれば、その後も地元に住み続ける記者たちにも何か影響があるかもしれない。
バロンは余所者だ。2年もすれば、他所へ行く。
でも、君はどこへ出て行く?
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それでもやると決めたのは、彼らなりの後悔があるからだ。
何かあると知りながら、何もしなかった。
それも、俺たちで終わりだ。
前述した通り、新聞社もまた、「教会の悪事」を知っていた。耳にしていながら、何もしなかったのだ。しかし、彼らは問う。権力を監視し、真実を伝えるべき自分たちがそれでいいのだろうか? 彼らは腰を上げると決め、取材に打ち込んだ。そしてその過程で、彼らでさえ知らなかった様々な闇があぶり出されたのである。
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「この文書を記事にした場合、誰が責任を取る?」
「じゃあ、記事にしなかった場合の責任は誰が取るんだ?」
しかし、決意だけでは重い扉は開かない。先ほど、「教会は何でもできる。何でも。」というセリフを引用したが、これは決して誇張ではない。教会は、警察・裁判所・弁護士に対して、自らに有利なように物事を動かすことができる。裁判所に提出された証拠さえ隠すことができるのだ。まさにやりたい放題と言っていいだろう。
かつて被害を受けた者たちには、教会から圧力が掛けられる。新聞社が取材しようとしても、口を閉ざす者ばかりだ。それどころか、放っておけと追い出されてしまうほどである。さらにこの取材中に、9.11同時多発テロが発生した。記者を教会取材ばかりに振り向けてはいられなくなり、「ボストン・グローブ紙」の報道を期待して待っていた人たちの心を荒立てることになってしまう。
しかし「ボストン・グローブ紙」は最終的に、公開情報を元にもの凄く地道な作業を繰り返し、否定できないほどの確実な証拠を掴み取る。
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被害者の苦悩と、変わらない教会
取材を通じて記者は、被害者の苦悩を様々に知ることになる。
ある神父は、「貧困・親がいない・家庭が崩壊している」子どもばかり狙っていた。教会にしか居場所がない子どもたちだ。「だから神父の行為を拒むことができなかった」と語る被害者もいた。
多くの人が、かつて神父から性的虐待を受けたという事実を隠して生きている。そして大人になった今も、その過去の記憶を消化できないまま苦しんでいるのだ。
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しかし、これは決して「最悪」ではない。
彼は幸運な方だ。まだ生きてる。
これ以上詳しくは描かれなかったが、神父による性的虐待を苦にして自殺してしまった者もいる、ということだ。それを知りながら教会は、事実を隠蔽するだけではなく、現在進行形で被害者を生み出し続けていることにも驚かされる。
「ボストン・グローブ紙」の調査により、ボストン教区内だけで249人の神父が性的虐待に関わり、その被害者は1000人を超えることが明らかになった。
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しかしこの調査報道は、結果的にはほとんど何も変えなかったのだろうと思う。この映画では、その後について詳しく描かれているわけではないが、映画の最後に、報道当時ボストン教区にいたロウ枢機卿のその後の動向には触れられていた。彼はヴァチカンのある教区に転属になったという。より高位の立場になったそうなので、いわゆる「栄転」である。
こんなことでいいのだろうか?
映画『スポットライト 世紀のスクープ』の内容紹介
前局長が定年退職し、マーティ・バロンが「ボストン・グローブ紙」の新局長に就任した。彼は、かつて同紙が報じた「ゲーガン事件」に着目する。ゲーガン神父が子どもに性的虐待を行ったという事件だ。バロンは、この事件はまだきちんと掘り下げられていないと感じ、「スポットライト」の面々に取材を命じる。
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「スポットライト」は、「ボストン・グローブ紙」の歴史ある特集欄だ。ネタを決めたら2ヶ月掛けて取材し、それについて向こう1年間の長期連載を行うという、同紙伝統のコーナーである。
取材を始めた記者たちは、思っていた以上に教会の闇が深いことに気づく。教会はごく一部の神父だけが悪事を働くのだと思わせたがっているし、記者たちも当初はそうなのだろうと考えていた。しかし取材を進めるにつれて、ボストン教区内で性的虐待に手を染めたと思われる神父のリストはどんどんと膨れ上がっていく。
これは神父の問題ではなく、教会という組織の問題だ……。
映画『スポットライト 世紀のスクープ』の感想
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この映画の非常に良い点は、「新聞社が正義を振りかざしているように見えないこと」だ。
物語の中でなんらかの「マスコミ」が描かれる場合、「私たちは『正義を追求する側』です」のような錦の御旗を立てて、高圧的に取材を行う存在として登場することもある。もちろん、多少の強引さは、真実を引き出すために必要なのかもしれないが、個人的にはそういうやり方はあまり好きになれない。
実際の「ボストン・グローブ紙」の記者たちがどんな態度だったのか、それは分からないが、この映画での記者の描かれ方はとても良い。記者たちもまた、悩みながら前進しようとするのだ。
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彼らが「自分たちこそ正義だ」という雰囲気をまとわないのは、先述した通り、彼らにも罪悪感があるからだろうと思う。実情を正確に捉えていたわけではないとはいえ、「神父による性的虐待」を認識しながら、それをさらに深堀りしようとしなかったからだ。
特にその後悔を滲ませるのが、「スポットライト」のデスクであるロビーだ。
俺達はどうだ。
情報は集まっていた。けど、何もしなかった。
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ロビーは、自分たちにはもっと早くから出来ることがあったはずだ、という感覚を捨てきれずにいる。また、教会の取材はバロン局長の指示で始まったのだが、通常であれば「スポットライト」のテーマは記者が決める。局長がテーマをセレクトするというイレギュラーがなければ、「教会の悪事」を明らかにするのにもっと時間が掛かっただろうし、そうであれば被害者はもっと増えたはずだと後悔しているのだ。
だからこそロビーは、怯むことなく教会と闘う決意をする。既に「スクープ」と言えるほど情報が集まっていた段階でも、「神父個人ではなく、教会に責任がある問題だ」と突きつけるために、さらなる取材を続けることを決めるのだ。
「神を告発する」記者たちの奮闘が描かれる、骨太の物語である。
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出演:マーク・ラファロ, 出演:マイケル・キートン, 出演:レイチェル・マクアダムズ, 出演:スタンリー・トゥッチ, 出演:リーヴ・シュレイバー, 監督:トム・マッカーシー
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ゴジラ作品にも特撮映画にもほとんど触れてこなかったが、庵野秀明作品というだけで観に行った『シン・ゴジラ』はとんでもなく面白かった。「ゴジラ」の存在以外のありとあらゆるものを圧倒的なリアリティで描き出す。「本当にゴジラがいたらどうなるのか?」という”現実”の描写がとにかく素晴らしかった
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【驚愕】あるジャーナリストの衝撃の実話を描く映画『凶悪』。「死刑囚の告発」から「正義」を考える物語
獄中の死刑囚が警察に明かしていない事件を雑誌記者に告発し、「先生」と呼ばれる人物を追い詰めた実際の出来事を描くノンフィクションを原作にして、「ジャーナリズムとは?」「家族とは?」を問う映画『凶悪』は、原作とセットでとにかく凄まじい作品だ
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【驚異】信念を貫く勇敢さを、「銃を持たずに戦場に立つ」という形で示した実在の兵士の凄まじさ:映画…
第二次世界大戦で最も過酷な戦場の1つと言われた「前田高地(ハクソー・リッジ)」を、銃を持たずに駆け回り信じがたい功績を残した衛生兵がいた。実在の人物をモデルにした映画『ハクソー・リッジ』から、「戦争の悲惨さ」だけでなく、「信念を貫くことの大事さ」を学ぶ
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【差別】才ある者の能力を正しく引き出す者こそ最も有能であり、偏見から能力を評価できない者は無能だ…
「偏見・差別ゆえに、他人の能力を活かせない人間」を、私は無能だと感じる。そういう人は、現代社会の中にも結構いるでしょう。ソ連との有人宇宙飛行競争中のNASAで働く黒人女性を描く映画『ドリーム』から、偏見・差別のない社会への道筋を考える
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【正義】「正しさとは何か」を考えさせる映画『スリー・ビルボード』は、正しさの対立を絶妙に描く
「正しい」と主張するためには「正しさの基準」が必要だが、それでも「規制されていないことなら何でもしていいのか」は問題になる。3枚の立て看板というアナログなツールを使って現代のネット社会の現実をあぶり出す映画『スリー・ビルボード』から、「『正しさ』の難しさ」を考える
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【不正義】正しく行使されない権力こそ真の”悪”である。我々はその現実にどう立ち向かうべきだろうか:…
権力を持つ者のタガが外れてしまえば、市民は為す術がない。そんな状況に置かれた時、私たちにはどんな選択肢があるだろうか?白人警官が黒人を脅して殺害した、50年前の実際の事件をモチーフにした映画『デトロイト』から、「権力による不正義」の恐ろしさを知る
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【真実】ホロコーストが裁判で争われた衝撃の実話が映画化。”明らかな虚偽”にどう立ち向かうべきか:『…
「ホロコーストが起こったか否か」が、なんとイギリスの裁判で争われたことがある。その衝撃の実話を元にした『否定と肯定』では、「真実とは何か?」「情報をどう信じるべきか?」が問われる。「フェイクニュース」という言葉が当たり前に使われる世界に生きているからこそ知っておくべき事実
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【想像力】「知らなかったから仕方ない」で済ませていいのか?第二の「光州事件」は今もどこかで起きて…
「心地いい情報」だけに浸り、「知るべきことを知らなくても恥ずかしくない世の中」を生きてしまっている私たちは、世界で何が起こっているのかあまりに知らない。「光州事件」を描く映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』から、世界の見方を考える
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【矛盾】その”誹謗中傷”は真っ当か?映画『万引き家族』から、日本社会の「善悪の判断基準」を考える
どんな理由があれ、法を犯した者は罰せられるべきだと思っている。しかしそれは、善悪の判断とは関係ない。映画『万引き家族』(是枝裕和監督)から、「国民の気分」によって「善悪」が決まる社会の是非と、「善悪の判断を保留する勇気」を持つ生き方について考える
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【驚愕】正義は、人間の尊厳を奪わずに貫かれるべきだ。独裁政権を打倒した韓国の民衆の奮闘を描く映画…
たった30年前の韓国で、これほど恐ろしい出来事が起こっていたとは。「正義の実現」のために苛烈な「スパイ狩り」を行う秘密警察の横暴をきっかけに民主化運動が激化し、独裁政権が打倒された史実を描く『1987、ある闘いの真実』から、「正義」について考える
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【矛盾】死刑囚を「教誨師」視点で描く映画。理解が及ばない”死刑という現実”が突きつけられる
先進国では数少なくなった「死刑存置国」である日本。社会が人間の命を奪うことを許容する制度は、果たして矛盾なく存在し得るのだろうか?死刑確定囚と対話する教誨師を主人公に、死刑制度の実状をあぶり出す映画『教誨師』から、死刑という現実を理解する
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【感涙】衆議院議員・小川淳也の選挙戦に密着する映画から、「誠実さ」と「民主主義のあり方」を考える…
『衆議院議員・小川淳也が小選挙区で平井卓也と争う選挙戦を捉えた映画『香川1区』は、政治家とは思えない「誠実さ」を放つ”異端の議員”が、理想とする民主主義の実現のために徒手空拳で闘う様を描く。選挙のドキュメンタリー映画でこれほど号泣するとは自分でも信じられない
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【興奮】飲茶氏の超面白い哲学小説。「正義とは?」の意味を問う”3人の女子高生”の主張とは?:『正義の…
なんて面白いんだろうか。哲学・科学を初心者にも分かりやすく伝える飲茶氏による『正義の教室』は、哲学書でありながら、3人の女子高生が登場する小説でもある。「直観主義」「功利主義」「自由主義」という「正義論」の主張を、「高校の問題について議論する生徒会の話し合い」から学ぶ
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ドキュメンタリーで定評のある東海テレビが、「東海テレビ」を被写体として撮ったドキュメンタリー映画『さよならテレビ』は、「メディアはどうあるべきか?」を問いかける。2011年の信じがたいミスを遠景にしつつ、メディア内部から「メディアの存在意義」を投げかける
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【勇敢】”報道”は被害者を生む。私たちも同罪だ。”批判”による”正義の実現”は正義だろうか?:『リチャ…
「爆弾事件の被害を最小限に食い止めた英雄」が、メディアの勇み足のせいで「爆弾事件の犯人」と報じられてしまった実話を元にした映画『リチャード・ジュエル』から、「他人を公然と批判する行為」の是非と、「再発防止という名の正義」のあり方について考える
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【権利】衝撃のドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』は、「異質さを排除する社会」と「生きる権利」を問う
「ヤクザ」が排除された現在でも、「ヤクザが担ってきた機能」が不要になるわけじゃない。ではそれを、公権力が代替するのだろうか?実際の組事務所(東組清勇会)にカメラを持ち込むドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』が映し出す川口和秀・松山尚人・河野裕之の姿から、「基本的人権」のあり方について考えさせられた
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【真実?】佐村河内守のゴーストライター騒動に森達也が斬り込んだ『FAKE』は我々に何を問うか?
一時期メディアを騒がせた、佐村河内守の「ゴースト問題」に、森達也が斬り込む。「耳は聴こえないのか?」「作曲はできるのか?」という疑惑を様々な角度から追及しつつ、森達也らしく「事実とは何か?」を問いかける『FAKE』から、「事実の捉え方」について考える
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【告発】アメリカに”監視”される社会を暴露したスノーデンの苦悩と決断を映し出す映画:『スノーデン』…
NSA(アメリカ国家安全保障局)の最高機密にまでアクセスできたエドワード・スノーデンは、その機密情報を持ち出し内部告発を行った。「アメリカは世界中の通信を傍受している」と。『シチズンフォー』と『スノーデン』の2作品から、彼の告発内容とその葛藤を知る
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フランスのテレビ局が行った「現代版ミルグラム実験」の詳細が語られる『死のテレビ実験 人はそこまで服従するのか』は、「権威」を感じる対象から命じられれば誰もが残虐な行為をしてしまい得ることを示す。全人類必読の「過ちを事前に回避する」ための知見を学ぶ
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【危機】教員のセクハラは何故無くならない?資質だけではない、学校の構造的な問題も指摘する:『スク…
『スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか』では、自分が生徒に対して「権力」を持っているとは想像していなかったという教師が登場する。そしてこの「無自覚」は、学校以外の場でも起こりうる。特に男性は、読んで自分の振る舞いを見直すべきだ
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「北九州連続監禁殺人事件」という、マスコミも報道規制するほどの残虐事件。その「主犯の息子」として生きざるを得なかった男の壮絶な人生。「ザ・ノンフィクション」のプロデューサーが『人殺しの息子と呼ばれて』で改めて取り上げた「真摯な男」の生き様と覚悟
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【絶望】権力の濫用を止めるのは我々だ。映画『新聞記者』から「ソフトな独裁国家・日本」の今を知る
私個人は、「ビジョンの達成」のためなら「ソフトな独裁」を許容する。しかし今の日本は、そもそも「ビジョン」などなく、「ソフトな独裁状態」だけが続いていると感じた。映画『新聞記者』をベースに、私たちがどれだけ絶望的な国に生きているのかを理解する
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【正義】マイノリティはどう生き、どう扱われるべきかを描く映画。「ルールを守る」だけが正解か?:映…
社会的弱者が闘争の末に権利を勝ち取ってきた歴史を知った上で私は、闘わずとも権利が認められるべきだと思っている。そして、そういう社会でない以上、「正義のためにルールを破るしかない」状況もある。映画『パブリック』から、ルールと正義のバランスを考える
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「ルールは守らなければならない」というのは大前提だが、常に例外は存在する。どれほど重度の自閉症患者でも断らない無許可の施設で、情熱を持って問題に対処する主人公を描く映画『スペシャルズ!』から、「ルールのあるべき姿」を考える
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【驚愕】「金正男の殺人犯」は”あなた”だったかも。「人気者になりたい女性」が陥った巧妙な罠:映画『…
金正男が暗殺された事件は、世界中で驚きをもって報じられた。その実行犯である2人の女性は、「有名にならないか?」と声を掛けられて暗殺者に仕立て上げられてしまった普通の人だ。映画『わたしは金正男を殺していない』から、危険と隣り合わせの現状を知る
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【実話】正論を振りかざす人が”強い”社会は窮屈だ。映画『すばらしき世界』が描く「正解の曖昧さ」
「SNSなどでの炎上を回避する」という気持ちから「正論を言うに留めよう」という態度がナチュラルになりつつある社会には、全員が全員の首を締め付け合っているような窮屈さを感じてしまう。西川美和『すばらしき世界』から、善悪の境界の曖昧さを体感する
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【誠実】地下鉄サリン事件の被害者が荒木浩に密着。「贖罪」とは何かを考えさせる衝撃の映画:『AGANAI…
私には、「謝罪すること」が「誠実」だという感覚がない。むしろ映画『AGANAI 地下鉄サリン事件と私』では、「謝罪しない誠実さ」が描かれる。被害者側と加害者側の対話から、「謝罪」「贖罪」の意味と、信じているものを諦めさせることの難しさについて書く
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【再生】ヤクザの現実を切り取る映画『ヤクザと家族』から、我々が生きる社会の”今”を知る
「ヤクザ」を排除するだけでは「アンダーグラウンドの世界」は無くならないし、恐らく状況はより悪化しただけのはずだ。映画『ヤクザと家族』から、「悪は徹底的に叩きのめす」「悪じゃなければ何をしてもいい」という社会の風潮について考える。
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【対話】刑務所内を撮影した衝撃の映画。「罰則」ではなく「更生」を目指す環境から罪と罰を学ぶ:映画…
2008年に開設された新たな刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」で行われる「TC」というプログラム。「罰則」ではなく「対話」によって「加害者であることを受け入れる」過程を、刑務所内にカメラを入れて撮影した『プリズン・サークル』で知る。
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【デマ】情報を”選ぶ”時代に、メディアの情報の”正しさ”はどのように判断されるのか?:『ニューヨーク…
一昔前、我々は「正しい情報を欲していた」はずだ。しかしいつの間にか世の中は変わった。「欲しい情報を正しいと思う」ようになったのだ。この激変は、トランプ元大統領の台頭で一層明確になった。『ニューヨーク・タイムズを守った男』から、情報の受け取り方を問う
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「オウム真理教は特別だ、という理由で作られた”例外”が、いつの間にか社会の”前提”になっている」これが、森達也『A3』の主張の要点だ。異常な状態で続けられた麻原彰晃の裁判を傍聴したことをきっかけに、社会の”異様な”変質の正体を理解する。
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【無知】メディアの問題の本質は?「報道の限界」と「情報の受け取り方」を独裁政治の現実から知る:『…
メディアは確かに「事実」を報じている。しかし、報道に乗らない情報まで含めなければ、本当の意味で世の中を理解することは難しいと、『こうして世界は誤解する』は教えてくれる。アラブ諸国での取材の現実から、報道の「限界」と「受け取り方」を学ぶ
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【加虐】メディアの役割とは?森達也『A』が提示した「事実を報じる限界」と「思考停止社会」
オウム真理教の内部に潜入した、森達也のドキュメンタリー映画『A』は衝撃を与えた。しかしそれは、宗教団体ではなく、社会の方を切り取った作品だった。思考することを止めた社会の加虐性と、客観的な事実など切り取れないという現実について書く
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こんな映画、二度と存在し得ないのではないかと感じるほど衝撃を受けた『娘は戦場で生まれた』。母であり革命家でもあるジャーナリストは、爆撃の続くシリアの街を記録し続け、同じ街で娘を産み育てた。「知らなかった」で済ませていい現実じゃない。
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日本は、死を覚悟して福島第一原発に残った「Fukushima50」に救われた。東京を含めた東日本が壊滅してもおかしくなかった大災害において、現場の人間が何を考えどう行動したのかを、『死の淵を見た男』をベースに書く。全日本人必読の書
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三権分立の一翼を担う裁判所のことを、私たちはよく知らない。元エリート裁判官・瀬木比呂志と事件記者・清水潔の対談本『裁判所の正体』をベースに、「裁判所による統制」と「権力との癒着」について書く。「中世レベル」とさえ言われる日本の司法制度の現実は、「裁判になんか関わることない」という人も無視できないはずだ
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