目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ, 出演:ジュディ・デイヴィス, 出演:エッシー・デイヴィス, 出演:アンソニー・ラパリア, Writer:ショーン・グラント, 監督:ジャスティン・カーゼル
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ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- ニトラムが父親を殴り続け、その様子を母親が何もせずただ眺め続けるシーンに震撼させられた
- ニトラムのような「社会に順応できない人間」を、社会が適切に受け入れるような「正解」は、実際に存在し得るのだろうか?
- 無表情で一切の動揺を見せない母親の姿から、「息子に対して何か感情を抱く時期はとうに過ぎ去った」ことが恐ろしいまでに伝わってくる
ニトラムが事件を起こさずに済むよう、何かしてあげられることはあったかもしれないが、それが何なのかは未だに分からない
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とんでもない世界観だった。「どう展開するのか想像できない」という物語は映画でも小説でもある。しかし『ニトラム/NITRAM』ほど、「いつ何が起こってしまってもおかしくない」という凄まじい不穏さが最初から最後までつきまとう物語はなかなかないだろう。「物語の展開が予想できない作品」とは違い、むしろ「頼むから何も起こらないでくれ」と願ってしまいたくなるような作品なのである。
映画を観る前の時点で、「オーストラリア史上最悪と言われる『ポートアーサー銃乱射事件』の犯人を描く映画」だということは知っていたので、「主人公が最終的に事件を起こす」という結末は分かっていた。しかし、もしその事実を知らずに観たとしたら、この映画が放つ「不穏さ」にどう向き合ったらいいか分からなかっただろう。「最終的に史上最悪の銃乱射事件を起こす」と分かっているからこそまだ許容できたんじゃないかと思う。それぐらい、観ている間のざわざわとした感覚に驚かされた。
作中最も衝撃を受けた「父親を殴り続けるシーン」
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まず、映画『ニトラム/NITRAM』が発する「不穏さ」、「『何が起こってしまってもおかしくない』という雰囲気」を最も象徴する場面を紹介したいと思う。
主人公のニトラムは、「父親が会いたがっている」と言う母親に連れられるようにして家まで戻ってくる。父親は体調が悪いのが、ソファで横になっていた。そんな父親に彼は、心配するような気持ちで寄り添う。もちろん、ニトラムが何を考えていたかは分からない。ただ、一般的にその場面は、「体調の悪い父親を心配する息子」という状況に映るはずだ。しばらくの間、そのような穏やかな時間が流れていた。
しかしその後、ニトラムは唐突に父親を殴り始める。「父さん起きて、起きるんだよ」と心配そうな声を口にしながら、とても「叩く」なんて表現では足りないぐらいの強さでボコボコに殴るのだ。父親は耐えかね、「分かった、約束する、起きる、起きると約束するから殴るのを止めてくれ!」と叫ぶが、ニトラムの手は止まらない。父親はそのまま殴られ続けながらどうにか身体を起こし、「ドライブに行こう」とねだるニトラムに「分かった、ドライブに行こう」と返す。そしてその様子を母親は、最初から最後まで何をするでもなくただ眺めているのである。
このシーンはちょっと凄まじかった。物語の中で「狂気」が描かれることはよくあるが、物語である以上、「観客にもある程度理解の及ぶ『狂気』」に調整されていることも多いと思う。しかし『ニトラム/NITRAM』では、そんなことは一切ない。「理解不能な『狂気』」が、これでもかと放出されるのだ。
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ニトラムと父親の関係に触れておこう。ニトラムは子どもの頃から問題児だったが、そんな息子を父親は深い愛情で受け止めてきた。ニトラムも、感情や行動を制御できない自分を、母親よりも父親の方が深く愛してくれていると理解しており、母親の言うことは聞かないが、父親の話には耳を傾ける。
観客は、そんな2人の関係を理解しているからこそ、なおさらニトラムが父親を殴り続ける場面に衝撃を受けるのだ。
そして、このシーンで最も驚くべきは、父親にとっても母親にとっても、この状況は「何十年も繰り返されてきた日常の1コマ」に過ぎないという事実である。父親も母親も、実際のところどう感じているのかは分からない。ただ観客からは、「仕方ない」と諦めているように見える。殴られ続けた父親からも、それをただ眺めていた母親からも、「諦念」という感情が滲み出ていた。「こんなことが、これまでどれだけ繰り返されてきたことか」という心の声が聞こえてきそうな程だ。
彼らのそんな「諦念」を目の当たりにしたことで、「3人の間に存在し続けてきた『絶望的な時間』の堆積」が押し寄せてくるようにも感じられた。映画においてはもちろん、ニトラム自身が発する「狂気」が最も異常で恐ろしいものに映るだろう。しかし実際には、「ニトラムの『狂気』が常態化したことで、父親も母親も、もはや心が動かない」という事実にこそ、最大の「恐怖」が隠れているのだと感じさせられた。
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社会に順応できない人間を、社会はどう受け入れるべきだろうか
ニトラムに限る話ではないが、彼のような「社会に順応できない人間」の存在を知る度に、「私たちが生きる社会はどんな『正解』を提示できるだろうか」と考えてしまう。
大前提として、「事件を起こしたニトラムが、強制的に社会から退場させられること(逮捕され、刑を受けること)」は当然だ。別にこの点について問題提起しようなどとは思っていない。また当然のことながら、「事件を起こす前のニトラムが、強制的に社会から退場させられること(施設などに隔離されること)」は誤りであるとも考えている。どんな人間であれ、この世に生を享けた以上、生きる権利が守られるべきだからだ。
ただ、ニトラムは明らかに「社会」に馴染めないでいた。別にそのこと自体は決して「悪」ではない。「社会」というのは結局、「多数派のルールを結集させた世界」でしかなく、「多数派のルール」に馴染めない少数派は常に一定数存在するはずだ。私も、ニトラムほどではないが、「社会への馴染めなさ」を感じる人間である。だから、「社会に馴染めないからダメ」とか「社会に馴染めない方が悪い」などと主張するつもりはない。
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しかし、善悪の判断はともかくとして、「社会に馴染めない」という事実は実際的な問題を引き起こす。ニトラムは、社会の「規律」とでも言うべきものに従えず、というか恐らくそれを的確に把握することも困難であり、それ故に結果として、「周囲に害を成す言動」を繰り返してしまう。人間が「社会」の中で生きる以上、「最低限のルール」は守らなければならないし、それが守れないのであれば「退場」もやむを得ない。しかし、「そもそも『最低限のルール』を理解できない、努力しても実行できない」みたいな人は必ず出てきてしまう。
このような場合、「法治国家」はどのような「正解」を用意しているのだろうか?
こんな風に問うてみる度に私は、「そんな『正解』など存在し得るだろうか?」という思いに駆られてしまう。ルールを逸脱すれば「退場」させられるが、ルールを逸脱する前に「退場」させることはできない。そしてその「ルールの逸脱」が、「大勢の命を奪うもの」であるならば、結局「大勢の人の命と引き換えに『退場』させるしかない」と結論せざるを得ないだろう。そんな結論が「正解」のはずはない。つまり、「法治国家」という枠組みの中で、論理的にたどり着ける「正解」は存在しないのだと思う。
「正解が存在しない」ということは、つまり、「大勢の人の命と引き換えに『退場』させるしかない」という判断を許容するということでもある。究極的には「自然災害のように捉えるしかない」というわけだ。「私たちはそんな社会に生きている」という「諦念」を誰もが持つことでしか「法治国家」は成り立たないのではないか。
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映画を観ながら、そんなことを考えさせられた。
映画『ニトラム/NITRAM』の内容紹介
内容に触れる前に1点書いておくことがある。
通常、実話を基にした映画の場合、映画の冒頭かエンドロールで「実話を基にしている」と表記されることが多い。私が観る映画は大体そうだった。しかし『ニトラム/NITRAM』にはそれがなかったと思う。
確かに映画を観ると、「ニトラム本人が語らない限り描けないだろう場面」が多くある。そして恐らく、ニトラムは事件後何も語っていない。Wikipediaには、「事件の動機は未だ不明」と書かれている。ニトラム本人の証言が無い中で、ニトラムを中心に物語を描くのだから、否応なしに「創作」が増えるだろう。私の勝手な想像だが、恐らくそんな理由もあって、「実話を基にしている」という類の表記がされなかったのではないかと思う。
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ニトラムは、近所に迷惑を掛ける存在として知られていた。毎日自宅の庭で爆音の花火を打ち上げるのだ。近所から怒鳴られるが、両親は何も言わない。言っても無駄だと分かっているからだ。
父親と母親では、ニトラムに対するスタンスが異なる。それが分かる場面が冒頭で描かれていた。これから食事という場面で、母親がニトラムに「汚いズボンを洗濯機に入れてきなさい」と命じる。父親はニトラムに「そのままでいい」と声を掛けた。しかし母親が再度スボンを脱ぐように促すと、父親は小さく「行け」と口にする。ニトラムは父親の言うことを聞き、食卓から一旦消えた。母親はすぐに「食べましょう」と言うが、父親は「いや、待とう」と口にしてニトラムの戻りを待つことにする。父親の方がニトラムに寛容であることが伝わってくる場面と言えるだろう。
ニトラムは、仕事らしい仕事をしていない。近所の家のドアを叩き、「芝刈りはどうですか?」と売り込んで小銭を稼ぐぐらいだ。あとは、学校の敷地のすぐ外で花火をして教師に怒られたり、革靴を履いたまま浜辺に立ってサーフィンをする集団を眺めたりして過ごしている。
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ある日、普段ほとんど成功しない「芝刈りの押し売り」に行った先で、思いがけず暖かく迎え入れられた。仕事を頼んだヘレンは、持参した芝刈り機が動かずに困っているニトラムに、「明日は犬の散歩をお願いできる?」と、別の仕事を用意したほどだ。ニトラムも、そんなヘレンの期待に応えようと一生懸命努力する。
やがてニトラムは実家を出て、ヘレンと共に暮らすことになるのだが……。
映画『ニトラム/NITRAM』の感想
冒頭でも書いた、「いつ何が起こってしまってもおかしくない」という感覚に支配される作品であり、その「不穏さ」に圧倒させられた。自分でも変な感覚だと分かって書くが、映画のラストに差し掛かると、「これで後は銃乱射事件が起こるだけだ」という、謎の安心感を抱いてしまったほどだ。それぐらい「何が起こるか分からない緊迫感」が充満しており、「ホラー」や「サスペンス」などとは違う「異様さ」が凄まじい作品だった。その「異様さ」が画面の外にまで染み出している感じもあり、客席に座る自分がその「異様さ」に絡め取られたかのような感覚にもなったほどだ。
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映画『ニトラム/NITRAM』は、特に母親の振る舞いが印象的だった。先述した通り、母親は深い「諦念」に支配されており、ニトラムがどれほど狂気的な振る舞いをしても、無表情のまま一切動揺を見せることがない。そして、表情も感情もまったく動かないからこそ、彼女が置かれている辛さ・過酷さがより一層際立つ感じがした。「ニトラムの振る舞いに対して何らかの感情が生まれる」という段階をとうに通り越してしまった状態で非情な現実と向き合い続けた彼女からは、残酷すぎるほどの「疲弊」が全身から滲み出ていたのである。ニトラム役の演技も凄かったが、母親役の演技も凄まじかったと思う。
ニトラムが「今の自分にうんざりしている」と語る場面がある。この告白はとても印象的だった。
私は、ある種の犯罪について、ほとんど「病気」のようなものだと捉えている。有名なのは、万引きを繰り返してしまう「クレプトマニア」だろう。他にも、一般的に「病気」とは考えられていないものでも、「病気」と捉えるのが自然であるような犯罪は多いはずだ。もちろん、さすがに「銃乱射事件」を「病気」と受け取るのは無理がある。しかし、ニトラムの言動の多くは、「そうしたいと思ってやっていること」というより、「そうせざるを得ないと感じてやっていること」だと言っていいように思う。
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だからこそ、ニトラムが自覚している「止めたいけれど自分ではどうにもならない」という感覚は切実だと感じた。「銃乱射事件を起こしたニトラム」に弁解の余地はない。しかし、「銃乱射事件に至るまでのニトラム」には、何かしてあげられることがあったのではないかと考えたい自分もいる。それが「病気」と判断されるべきものであるならば、「治療に相当する何か」もあるのではないか。もしかしたら、事件が起こらないような未来もあり得たのではないか。
そんな風に感じる自分がいる一方で、違うことも考える。起こってしまったことに対して後からウダウダ語ることの無意味さについてだ。
ニュース番組で「児童の虐待死」が報じられることがある。そしてそのような場合、「もっと早く手を差し伸べることは出来なかったのでしょうか」などと定型句のようにアナウンサーやコメンテーターが口にする。そしてそういう言葉を聞く度に私は、「現在目線で過去へダメ出しすることほど無意味な行為はない」と感じてしまう。もちろん、何か出来る余地はあっただろう。しかしその虐待事案は、事件になったから注目されたに過ぎない。そうなる前は「山ほどある同様の事例の1つ」でしかなかった。そして残念ながら、世の中で起こるすべての出来事に対して完璧で適切な対応をすることなど不可能だ。だからどうしたって「不幸な事案」は生まれてしまうことになる。
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明らかな人為的ミスが判明しているなら話は別だが、事件が浮き彫りになってから「何かやれることがあったのではないか」と言及することに私はどうしても意味を感じられない。
ただ、少なくともニトラムに関しては、何らかの公的支援を受けていることが伝わる描写はなかったと思う。母親が、「新しい診断書がないと援助金を受け取れない」と語る場面があったぐらいだ。もしニトラムが、公的支援と無縁だったのならば、支援に繋がる道が示される必要があるだろうし、その点には改善の余地があるかもしれないと思う。
とにかく、「『社会からどうしても外れてしまう人』を社会がどう扱うべきか」について、改めて考えさせられる映画だった。
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最後に
映画の最後で、「ポートアーサー銃乱射事件」の被害とその後についても触れられた。死者35人、負傷者15人(映画では「負傷者23人」と表記されたが、公式HPとウィキペディアには15人と書かれている)という大惨事である。事件後、オーストラリアでは銃規制の機運が高まり、事件から僅か12日後に銃規制法が成立、国内に存在するすべての銃を国が買い上げることになったという。
しかし、この対策はまったく意味を成さなかった。というのも、ポートアーサー銃乱射事件が起こった1996年の時点よりも遥かに多い銃器が、現在オーストラリアに存在するからだ。現実はかくも厳しい。
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何にせよ、放たれる圧力が凄まじい映画だった。
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「ヤクザ」が排除された現在でも、「ヤクザが担ってきた機能」が不要になるわけじゃない。ではそれを、公権力が代替するのだろうか?実際の組事務所(東組清勇会)にカメラを持ち込むドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』が映し出す川口和秀・松山尚人・河野裕之の姿から、「基本的人権」のあり方について考えさせられた
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【真実?】佐村河内守のゴーストライター騒動に森達也が斬り込んだ『FAKE』は我々に何を問うか?
一時期メディアを騒がせた、佐村河内守の「ゴースト問題」に、森達也が斬り込む。「耳は聴こえないのか?」「作曲はできるのか?」という疑惑を様々な角度から追及しつつ、森達也らしく「事実とは何か?」を問いかける『FAKE』から、「事実の捉え方」について考える
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「常識的な捉え方」から逸脱し、世の中をまったく異なる視点から見る坂口恭平は、「より生きやすい社会にしたい」という強い思いから走り続ける。「どう生きたいか」から人生を考え直すスタンスと、「やりたいことをやるべきじゃない理由」を『独立国家のつくりかた』から学ぶ
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「北九州連続監禁殺人事件」という、マスコミも報道規制するほどの残虐事件。その「主犯の息子」として生きざるを得なかった男の壮絶な人生。「ザ・ノンフィクション」のプロデューサーが『人殺しの息子と呼ばれて』で改めて取り上げた「真摯な男」の生き様と覚悟
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インドの高級ホテルで実際に起こったテロ事件を元にした映画『ホテル・ムンバイ』。恐ろしいほどの臨場感で、当時の恐怖を観客に体感させる映画であり、だからこそ余計に、「逃げる選択」もできたホテルスタッフたちが自らの意思で残り、宿泊を助けた事実に感銘を受ける
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「自分の子どもなんだから、どんな風に育てたって勝手でしょ」という親の意見が正しいはずはないが、この言葉に反論することは難しい。虐待しようが生活能力が無かろうが、親は親だからだ。映画『MOTHER マザー』から、不正解しかない人生を考える
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【感想】「献身」こそがしんどくてつらい。映画『劇場』(又吉直樹原作)が抉る「信頼されること」の甘…
自信が持てない時、たった1人でも自分を肯定してくれる人がいてくれるだけで前に進めることがある。しかしその一方で、揺るぎない信頼に追い詰められてしまうこともある。映画『劇場』から、信じてくれる人に辛く当たってしまう歪んだ心の動きを知る
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【正義】マイノリティはどう生き、どう扱われるべきかを描く映画。「ルールを守る」だけが正解か?:映…
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金正男が暗殺された事件は、世界中で驚きをもって報じられた。その実行犯である2人の女性は、「有名にならないか?」と声を掛けられて暗殺者に仕立て上げられてしまった普通の人だ。映画『わたしは金正男を殺していない』から、危険と隣り合わせの現状を知る
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【誤り】「信じたいものを信じる」のは正しい?映画『星の子』から「信じること」の難しさを考える
どんな病気も治す「奇跡の水」の存在を私は信じないが、しかし何故「信じない」と言えるのか?「奇跡の水を信じる人」を軽々に非難すべきではないと私は考えているが、それは何故か?映画『星の子』から、「何かを信じること」の難しさについて知る
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世界最高峰の辞書である『オックスフォード英語大辞典』は、「学位を持たない独学者」と「殺人犯」のタッグが生みだした。出会うはずのない2人の「狂人」が邂逅したことで成し遂げられた偉業と、「狂気」からしか「偉業」が生まれない現実を、映画『博士と狂人』から学ぶ
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「共感」が強すぎる世の中では、自然と「想像力」が失われてしまう。そうならないようにと意識して踏ん張らなければ、他人の価値観を正しく認めることができない人間になってしまうだろう。映画『ミセス・ノイズィ』から、多様な価値観を排除しない生き方を考える
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【素顔】「ヨコハマメリー史」から「伊勢佐木町史」を知れる映画。謎の女性が町の歴史に刻んだものとは…
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「無声映画」から始まった映画業界で、音楽の重要性はいかに認識されたのか?『JAWS』の印象的な音楽を生み出した天才は、映画音楽に何をもたらしたのか?様々な映画の実際の映像を組み込みながら、「映画音楽」の世界を深堀りする映画『すばらしき映画音楽たち』で、異才たちの「創作」に触れる
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「ヤクザ」を排除するだけでは「アンダーグラウンドの世界」は無くならないし、恐らく状況はより悪化しただけのはずだ。映画『ヤクザと家族』から、「悪は徹底的に叩きのめす」「悪じゃなければ何をしてもいい」という社会の風潮について考える。
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死にゆく母を眺め、施設で暴力を振るわれ、拾った新聞で文字を覚えたという壮絶な過去を持つ鳥居。『セーラー服の歌人 鳥居』は、そんな辛い境遇を背景に、辛さに震えているだろう誰かを救うために短歌を生み出し続ける生き方を描き出す。凄い人がいるものだ
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2人を殺し、7人に重傷を負わせた金川真大に同情の余地はない。しかし、この事件を取材した記者も、私も、彼が殺人に至った背景・動機については理解できてしまう部分がある。『死刑のための殺人』をベースに、「どうしようもないつまらなさ」と共に生きる現代を知る
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オウム真理教の内部に潜入した、森達也のドキュメンタリー映画『A』は衝撃を与えた。しかしそれは、宗教団体ではなく、社会の方を切り取った作品だった。思考することを止めた社会の加虐性と、客観的な事実など切り取れないという現実について書く
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実際にチェコの警察を動かした衝撃のドキュメンタリー映画『SNS 少女たちの10日間』は、少女の「寂しさ」に付け込むおっさんどもの醜悪さに満ちあふれている。「WEBの利用制限」だけでは子どもを守りきれない現実を、リアルなものとして実感すべき
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「みんなと同じ」に馴染めないと「社会不適合」と判断され、排除されてしまうことが多いでしょう。しかし『非属の才能』では、「どこにも属せない感覚」にこそ才能の源泉があると主張します。常識に違和感を覚えてしまう人を救う本から、同調圧力に屈しない生き方を学ぶ
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逃げたい・諦める【本・映画の感想】 | ルシルナ
私は、大学を中退し、就職活動から逃げ、今も将来に期待せず生きています。誰もが、「人生疲れたな」「もう限界だな」「頑張りたくないな」と感じる瞬間はあるでしょう。誰…
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