目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
「テレビで会えない芸人」公式HP
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
今どこで観れるのか?
公式HPに自主上映会の案内があります
この記事の3つの要点
- 「お笑いスター誕生!!」でダウンタウンを抑えて優勝し、立川談志から激賞された「本物の芸人」
- 「『声を上げにくい人』の声」を拾いたいと考える、少数派に向けられた眼差し
- 永六輔から「憲法」を託され、20年以上「憲法」のネタをやり続けている理由
映画を観るまでまったく知らなかった存在ですが、「こんな凄い人がいたのか」と衝撃を受けた
自己紹介記事
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どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
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メチャクチャ面白い映画である。私はそもそも、「松元ヒロ」という芸人の存在を知らなかった。テレビには一切出ず、舞台だけで生計を成り立たせている人物だ。芸人以外の収入は恐らくないはずで、その上で結婚して子どもも育てている。吉本興業など大手の事務所に所属していれば、所有する劇場に出演できるのだろうが、松元ヒロは、様々な会場を借りて自前で公演を行うスタイルでやっているのだ。それでよくも生活を成り立たせるだけの収入が得られるものだと感心してしまった。
松元ヒロは、コンプライアンスの厳しいテレビではやれないネタばかりやるため、舞台に生きることに決める。しかし、上映中に観客が一番爆笑していたのは、テレビでも全然話せるようなものだ。つまり、話芸がもともと達者なのである。文字で書いても面白さは伝わりにくいかもしれないが、その話を紹介したいと思う。
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5つ年上の奥さんと電車に乗った時のこと。2人は、中学生ぐらいの女の子とその父親らしき人物が優先席に座っているのを見かける。さらに女の子は、恐らく母親だろう相手に電話を掛けていたという。それを見た妻は、「あんた、ここ優先席なんだから、電話切りなさいよ」と強い口調で指摘した。ざわつく車内。そこで松元ヒロが口を開く。
いやー、皆さん、今怖かったよねぇ。今のこの5分でもさ、十分怖かったじゃない。でも私は、一生この人の隣にいるの。
それを聞いた乗客は爆笑、車内の空気は一瞬で変わった。2人が電車を降りる際、松元ヒロが乗客に手を振ると、さらに爆笑が起こった、というエピソードである。
どれだけ面白さが伝わったか心許ないが、とにかく松元ヒロは、「不謹慎なことを言うから面白い」のではなく、優れた話芸を持つ人物なのだと感じた。あの立川談志も絶賛したというのだから、凄い実力者なのだろう。
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立川談志が激賞した芸人・松元ヒロの来歴
今でこそ、松元ヒロをテレビで観ることはないわけだが、彼は元々テレビを主戦場に大活躍をしていた人物だった。
そもそもデビューは「お笑いスター誕生!!」であり、そこでダウンタウンらを打ち破って優勝したというのだから、これだけでも相当なエピソードだろう。さらにその後、政治家や著名人などを風刺するネタを行うコント集団「ザ・ニュースペーパー」で大ブレイク、その当時のテレビの世界を席巻するほどの人気者になっていく。映画には当時の映像も流れるが、確かに、現代ではなかなかやれないかもしれない、政治家を揶揄して笑うみたいなブラックなネタをテレビでバンバンやっていた。
しかし、その後彼は「ザ・ニュースペーパー」を脱退する。そして、年間120公演をこなす「テレビで会えない芸人」になったというわけだ。
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映画には、「すわ親治」という人物も登場する。かつてコメディアンをしており、ドリフターズのコントに出演したこともあるそうだ。志村けんは兄弟子だという。松元ヒロはすわ親治のことを、「ドリフターズのコントにも出演している雲の上の人」だと思っていた。しかし、テレビで松元ヒロを見たというすわ親治から連絡があり、後に「ザ・ニュースペーパー」で一緒にコントをやる関係になったというのだから、人生何が起こるか分からない。実は2人は、鹿児島実業高校の同級生だったのだ。
そんなすわ親治が、「ザ・ニュースペーパー」時代について語る場面がある。テレビだから、どうしてもスポンサーの存在は無視できない。だから、彼らのコントにもあれこれ注文がついたそうだ。「金丸を銀丸にしろ」とか「竹下を松下に変えろ」などだ。現在の感覚で言えば、「岸田を西田に変えろ」みたいな注文だと思えばいいだろう。そしてすわ親治は、「牙を抜かれたコブラみたいなもん」だと感じてしまう状況に嫌気が差し、辞めてしまったのだ。その話を受けて、松元ヒロがさらに自身のエピソードを語ることはなかったが、きっと彼も同じ想いだったのだと思う。別の場面での描写だが、「ザ・ニュースペーパー」の生みの親である松浦正士の死の報に際し、松元ヒロが「喧嘩別れのように辞めた」みたいに話していた。やはり、納得の行かないことがあったのだろう。
松元ヒロが、「ザ・ニュースペーパー」を脱退した理由について明確に語る場面もある。
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当時小学生だった息子に、妻が「テレビに出ている父親を見ないの?」みたいなことを聞いてみた。すると息子は、「いい、同じことやってるだけだもん」と答えたのだという。それを受けて松元ヒロは、
息子に胸を張れない仕事は良くないな、と。
と、自身の生き方について考え直したと言っていた。恐らくこれが、脱退の直接の理由なのだろう。しかしだとしても、テレビの仕事をスパッと辞め、成り立つかどうかも分からない「舞台だけでお金を稼ぐ芸人」として生きる決断をするのだから、それもまた凄まじい話だと思う。
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映画には、撮影当時39歳の、高校教師の職に就いた息子本人も出てくる。舞台が始まる前に楽屋で父親と話をする場面で、息子は、
父親の仕事の説明は難しいですよね。他に(こういうタイプの芸人が)いないから。ただ、そこらのお笑い芸人なんかよりも、全然誇れますよね。
と語っていた。彼の選択は正解だったと言っていいだろう。
さてそんな松元ヒロのエピソードで印象的だったのが、落語家・立川談志との関わりだ。ある日突然、松元ヒロの舞台終了直後に壇上へと上がり、観客に向かってこう言ったそうだ。
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あなたがたが松元ヒロという芸人を育ててくれたお陰で、彼はここまでの芸人になれました。皆様に変わって感謝申し上げます。
恐らくだが、立川談志はあちこちの芸人にこんなことを言ってまわっていたわけではないだろう。つまり松元ヒロは、その存在が別格に認められていたということになる。さらにその後、松元ヒロは立川談志からこんな言葉をもらったと語っていた。
俺はテレビに出てる芸人を「サラリーマン芸人」って呼んでるんだ。クビにならないように気をつけながら喋ってるだけ。
芸人は、他の奴が言えないようなことを口にするような人間のことを言うんだ。
俺はお前を、「芸人」と呼ぶ。
かなり痺れる、凄まじい称賛と言っていいだろう。松元ヒロも、「嬉しかった」と語っていた。このエピソードだけでも、なかなか興味深い芸人だということが伝わるのではないだろうか。
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「『声を上げにくい人』の声」を拾いたい
さてここからは、松元ヒロの話から少し離れ、爆笑問題の太田光の話をすることにしよう。
『日曜日の初耳学』(TBS系)の企画で以前、太田光が林修と対談していた。ご存知のように太田光も際どいネタで知られる芸人であり、爆笑問題もかつてテレビに出られなかった時期があるのだそうだ。そして彼らは、その名が広く知られるようになった現在でも、テレビで際どいネタをやる。そんなネタを何故今でも続けるのかという点について、太田光はざっくり次のようなことを語っていた。
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何か大きな出来事が起こった時に、僕たちがネタの中で触れなかったら、「爆笑問題でさえ触れられないほどヤバいのか」と思われてしまうかもしれない。そうはなりたくなくて、無理矢理にでも笑いに変えているんだ。
太田光は今でも「テレビで会える芸人」だが、コンプライアンスが一層厳しくなるテレビの世界において、「ギリギリ成立し得る最大限の際どさ」に常に挑戦しているというわけだ。
一方、松元ヒロが「テレビ」に対して次のような言及をする場面があった。松元ヒロに密着する撮影スタッフに対して彼は、「好きなように撮って、もし後で使えないものがあればうんぬんかんぬん」みたいなことを言う。つまり、「何を撮っても自由だよ。勝手にやって。そっちの都合で使えないものがあれば編集して」と許可を与えているのだ。それを受けて撮影スタッフが、「使っちゃダメな部分ってあると思いますか?」と質問する。編集作業を行う上で、あらかじめ確認しておきたかったのだろう。すると対して松元ヒロは、
それを考えながらテレビに出たくないんですよ。
と返すのである。
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質問と回答が合っていないが、つまりこの返答は、「あれこれ考えないと出られないテレビには興味がない。おたくらは映画だからテレビより自由にやれるんでしょ? 任せたよ」みたいな意味に受け取ればいいのだと思う。
この発言は、普通に受け取れば「テレビに対する諦め」でしかないが、しかし同時に、「テレビに対する誠実さ」だとも言えるだろう。どんな場でも、自分が一番面白いと思うものを見てもらいたい。現状ではそれが実現できないテレビに出るつもりはないが、「テレビだからダメ」と考えているわけでもない。松元ヒロはそのようなスタンスでいるのだと思う。彼なりに、「テレビ」というものに対して真摯なスタンスを持っているように感じられたし、そしてそれは、テレビ側にいる太田光のあり方とそう遠くはないとも感じさせられた。
さらに、太田光と松元ヒロに共通すると感じられたのが、「小さな声を拾いたい」というスタンスだ。
太田光は『日曜日の初耳学』の中で、ざっくり次のような話をしていた。
高校時代1人の友だちもできず、何か言いたいことがあっても言えなかった。だから、今こうやって自分が「発信する側」に立ってみて思うのは、昔の自分のような「何も喋れなかった奴」が救われるようなことを言いたいってこと。
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一方の松元ヒロも、似たようなことを言っていた。
多数派の人っていうのは、黙ってたって普通に生きてる。しわ寄せを食らうのはいつだって少数派ですよ。その人たちはどうなってもいいのかって言いたいよね。
(元号が平成から令和に変わったって)俺には関係ねぇよ、明日の仕事がねぇんだよ、みたいな人っていると思うんですよ。
だから誰かが水をささないといけないんです。
そんな騒ぐなよ、何も変わってないよ、って。
彼がテレビではできないネタをやるのは、それが「少数派の代弁」になると考えているからだ。ただ不謹慎なことを言って笑いを取ろうと思っているわけではない。そういうスタンスが明確に打ち出されているからこそ、彼は多くの支持を集めているのだと思う。
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映画の冒頭は非常に印象的だった。渋谷のスクランブル交差点でカメラに向かって喋っている最中、松元ヒロは突然「お手伝いしましょうか?」と言って、インタビューを中断し通行人に話しかけたのだ。白杖を持った視覚障害者が困っているのが視界に入ったのである。松元ヒロは最初彼女に、駅までの道順を伝えようとした。しかし、一緒に行った方が早いと判断したのだろう、そのまま女性と一緒に歩き始めたのだ。映画の撮影など二の次である。
しかも、ただ駅まで案内しただけではない。一緒に電車に乗り、彼女が目的地とする駅までついていったのだ。その道中、松元ヒロは気さくに話しかけ、「普段は付き添いの人がいるのだけれど、今日は自分が遅刻してしまったせいで合流できなかった」と、事情を聞き出したりもしていた。
映画の撮影のあるなしに関係なく、ここまでの対応が出来る人はそう多くないだろう。しかもそれを、まさに自身にカメラが密着し、インタビューを撮っている最中に行うのである。彼の振る舞いは、「普段からやり慣れている」ことが分かるような自然なもので、「カメラの前だからいきってやってみた」ということでもなさそうだ。
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それはつまり、「ナチュラルに、視線が『少数派』に向いている」ということなのだろう。「なんとかしたい」という気持ちをきちんと行動に移しているし、どんな場面でも常にニコニコしているし、周りにも感謝を伝えている。「ホントに良い人なんだろうなぁ」ということがビンビン伝わってくる人物だ。だからこそ、どれだけ過激なネタをやっても、許容されるのだろうと思う。
永六輔から託された「憲法」
松元ヒロには、20年以上も続けているネタがある。しかしその話をする前に、永六輔との関わりに触れておこう。
松元ヒロは公演の前には必ず、渋谷にある理容室「ウッセロ」に行く。そこは、故・永六輔が通っていた理容室であり、公演への気合を入れるために必ず訪れることに決めているのだそうだ。松元ヒロは、テレビ創成期から活躍していた永六輔に見出され、番組に呼んでもらったりしたことがブレイクのきっかけにもなったそうで、今でも感謝し続けているという。
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そんな松元ヒロは、永六輔から「憲法」を託された。正確には理解できなかったが、恐らく「入院中の永六輔の代わりに、ラジオ番組のMCを引き受けた」ことがあったのだと思う。その際松元ヒロは、病室の永六輔から、「9条をよろしく」というメッセージをもらったのだ。もちろんこれは憲法9条のことであり、この点もまた、同じく憲法問題について自説を発している太田光との共通項を感じさせる部分でもある。
松元ヒロには、「憲法くん」というタイトルのネタがある。これは、「松元ヒロが『擬人化した憲法』になりきって、舞台上でその『憲法くん』を演じる」という演目だ。20年以上続けているのだから、近年の憲法改正の議論に合わせて始めたものではないということになる。そして恐らく、永六輔はこの「憲法くん」というネタのことを知っていたのだろう。「日本の平和のために憲法9条を守ってくれ」と松元ヒロに託したというわけだ。
映画では、「憲法くん」のネタの一部も流れるのだが、その中に「なるほど」と感じさせる箇所があった。それは次のような内容である。
そろそろ私はクビかもしれないんです。どうしてです? と聞いたら、現実に合わないからっていうんです。
でも、そもそも私って「理想」だったはずじゃないですか。普通は、理想と現実に差があったら、頑張って現実を理想の方に近づけると思うんです。
でも今の時代は、理想と現実に差がある場合、理想の方を現実に合うように下げていくんですね。
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これはとても分かりやすい説明であり、皮肉であると感じた。確かにその通りだ。憲法は「理想」として誕生したのだから、誰もがその「理想」に「現実」を合わせる努力をすべきだろう。しかし今は、「『理想』が『現実』に合わなくなったから『理想』の方を変えよう」という議論がなされているのである。
これは実に奇妙な話と言えるだろう。まさに、「憲法改正の議論のおかしさ」が一発で伝わる、見事な説明でもあると感じた。
もちろん、「憲法改正」に対しては人それぞれ様々な意見があり、私自身はその深い議論にあまりついていけてはいない。しかし、「物事を一度シンプルに捉えてみる」ことによって見え方も変わってくるだろうし、そういう意味で、松元ヒロのこの「単純化」は、非常に興味深いものだと感じさせられた。
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最後に
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さて、ここまで触れて来なかったが、この映画は鹿児島テレビが制作している。つまり、松元ヒロがカメラに向けて発する言葉はすべて、「テレビ」という存在に対して向けられたものであるとも言えるのだ。それを踏まえた上で、彼のこんな言葉を紹介して記事を終えようと思う。
空気を読むんじゃなくて、「何かおかしいんじゃないか」と言うべきなんじゃないでしょうかね。
(自分を撮ってる)このカメラだって、本当はそういうものを映し出すべきなんですよね。
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【権利】衝撃のドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』は、「異質さを排除する社会」と「生きる権利」を問う
「ヤクザ」が排除された現在でも、「ヤクザが担ってきた機能」が不要になるわけじゃない。ではそれを、公権力が代替するのだろうか?実際の組事務所(東組清勇会)にカメラを持ち込むドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』が映し出す川口和秀・松山尚人・河野裕之の姿から、「基本的人権」のあり方について考えさせられた
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【真実?】佐村河内守のゴーストライター騒動に森達也が斬り込んだ『FAKE』は我々に何を問うか?
一時期メディアを騒がせた、佐村河内守の「ゴースト問題」に、森達也が斬り込む。「耳は聴こえないのか?」「作曲はできるのか?」という疑惑を様々な角度から追及しつつ、森達也らしく「事実とは何か?」を問いかける『FAKE』から、「事実の捉え方」について考える
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【告発】アメリカに”監視”される社会を暴露したスノーデンの苦悩と決断を映し出す映画:『スノーデン』…
NSA(アメリカ国家安全保障局)の最高機密にまでアクセスできたエドワード・スノーデンは、その機密情報を持ち出し内部告発を行った。「アメリカは世界中の通信を傍受している」と。『シチズンフォー』と『スノーデン』の2作品から、彼の告発内容とその葛藤を知る
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日光に限らず、ありとあらゆる「光」に肌が異常に反応してしまうため、ずっと真っ暗闇の中でしか生きられない女性が、その壮絶すぎる日常を綴った『まっくらやみで見えたもの 光アレルギーのわたしの奇妙な人生』から、それでも生きていく強さを感じ取る
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徳間書店から成り行きでジブリ入りすることになったプロデューサー・鈴木敏夫が、宮崎駿・高畑勲という2人の天才と共に作り上げたジブリ作品とその背景を語り尽くす『天才の思考 高畑勲と宮崎駿』。日本のアニメ界のトップランナーたちの軌跡の奇跡を知る
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教育現場では、「子どもたちが学びから逃走する」「学ばないことを誇らしく思う」という、それまでには考えられなかった振る舞いが目立っている。内田樹は『下流志向』の中で、その原因を「等価交換」だと指摘。「学ばないための努力をする」という発想の根幹にある理屈を解き明かす
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【書評】奇跡の”国家”「ソマリランド」に高野秀行が潜入。崩壊国家・ソマリア内で唯一平和を保つ衝撃の”…
日本の「戦国時代」さながらの内戦状態にあるソマリア共和国内部に、十数年に渡り奇跡のように平和を維持している”未承認国家”が存在する。辺境作家・高野秀行の『謎の独立国家ソマリランド』から、「ソマリランド」の理解が難しい理由と、「奇跡のような民主主義」を知る
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「北九州連続監禁殺人事件」という、マスコミも報道規制するほどの残虐事件。その「主犯の息子」として生きざるを得なかった男の壮絶な人生。「ザ・ノンフィクション」のプロデューサーが『人殺しの息子と呼ばれて』で改めて取り上げた「真摯な男」の生き様と覚悟
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映画『あゝ荒野』のスチール撮影の際に憧れの森山大道に初めて会ったという菅田将暉の声で始まる映画『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい』は、ちゃちなデジカメ1つでひたすら撮り続ける異端児の姿と、50年前の処女作復活物語が見事に交錯する
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過疎地域を「日本の未来の課題の最前線」と捉え、島根県の離島である「海士町」に移住した2人の若者の『僕たちは島で、未来を見ることにした』から、「これからの未来をどう生きたいか」で仕事を捉える思考と、「持続可能な社会」の実現のためのチャレンジを知る
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【逸脱】「仕事を辞めたい」という気持ちは抑えちゃダメ。アウェイな土俵で闘っても負けるだけだ:『ニ…
京都大学卒「日本一有名なニート」であるpha氏の『ニートの歩き方 お金がなくても楽しくクラスためのインターネット活用法』は、常識や当たり前に囚われず、「無理なものは無理」という自分の肌感覚に沿って生きていくことの重要性と、そのための考え方が満載の1冊
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勤務していた会社の都合で、町が1つ丸々無くなるという経験をし、住居を持たないノマド生活へと舵を切った女性を描く映画『ノマドランド』を通じて、人生の大きな変化に立ち向かう気力を持てるのか、我々はどう生きていくべきか、などについて考える
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「ホームレスは怠けている」という見方は誤りだと思うし、「働かないことが悪」だとも私には思えない。振付師・アオキ裕キ主催のホームレスのダンスチームを追う映画『ダンシングホームレス』から、社会のレールを外れても許容される社会の在り方を希求する
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私個人は、「ビジョンの達成」のためなら「ソフトな独裁」を許容する。しかし今の日本は、そもそも「ビジョン」などなく、「ソフトな独裁状態」だけが続いていると感じた。映画『新聞記者』をベースに、私たちがどれだけ絶望的な国に生きているのかを理解する
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社会的弱者が闘争の末に権利を勝ち取ってきた歴史を知った上で私は、闘わずとも権利が認められるべきだと思っている。そして、そういう社会でない以上、「正義のためにルールを破るしかない」状況もある。映画『パブリック』から、ルールと正義のバランスを考える
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TVアニメは観ていない、というかその存在さえ知らず、物語や登場人物の設定も何も知らないまま観に行った映画『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 劇場版』に、私は大号泣した。「悪意のない物語」は基本的に好きではないが、この作品は驚くほど私に突き刺さった
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国の諜報機関の職員でありながら、「イラク戦争を正当化する」という巨大な策略を知り、守秘義務違反をおかしてまで真実を明らかにしようとした実在の女性を描く映画『オフィシャル・シークレット』から、「法を守る」こと以上に重要な生き方の指針を学ぶ
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「ルールは守らなければならない」というのは大前提だが、常に例外は存在する。どれほど重度の自閉症患者でも断らない無許可の施設で、情熱を持って問題に対処する主人公を描く映画『スペシャルズ!』から、「ルールのあるべき姿」を考える
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どれだけ「天賦の才能」に恵まれていても「努力できる才能」が無ければどこにも辿り着けない。そして「努力できる才能」さえあれば、仮に絶望の淵に立たされることになっても、立ち上がる勇気に変えられる。映画『マイ・バッハ』で知る衝撃の実話
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【誤り】「信じたいものを信じる」のは正しい?映画『星の子』から「信じること」の難しさを考える
どんな病気も治す「奇跡の水」の存在を私は信じないが、しかし何故「信じない」と言えるのか?「奇跡の水を信じる人」を軽々に非難すべきではないと私は考えているが、それは何故か?映画『星の子』から、「何かを信じること」の難しさについて知る
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世界最高峰の辞書である『オックスフォード英語大辞典』は、「学位を持たない独学者」と「殺人犯」のタッグが生みだした。出会うはずのない2人の「狂人」が邂逅したことで成し遂げられた偉業と、「狂気」からしか「偉業」が生まれない現実を、映画『博士と狂人』から学ぶ
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男性以上に危険で高度な技術を要するのに、男性優位な映画業界で低く評価されたままの女性スタントたちを描く映画『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』。女性スタントの圧倒的な努力・技術と、その奮闘の歴史を知る。
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「SNSなどでの炎上を回避する」という気持ちから「正論を言うに留めよう」という態度がナチュラルになりつつある社会には、全員が全員の首を締め付け合っているような窮屈さを感じてしまう。西川美和『すばらしき世界』から、善悪の境界の曖昧さを体感する
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【誠実】地下鉄サリン事件の被害者が荒木浩に密着。「贖罪」とは何かを考えさせる衝撃の映画:『AGANAI…
私には、「謝罪すること」が「誠実」だという感覚がない。むしろ映画『AGANAI 地下鉄サリン事件と私』では、「謝罪しない誠実さ」が描かれる。被害者側と加害者側の対話から、「謝罪」「贖罪」の意味と、信じているものを諦めさせることの難しさについて書く
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【危機】遺伝子組み換え作物の危険性を指摘。バイオ企業「モンサント社」の実態を暴く衝撃の映画:映画…
「遺伝子組み換え作物が危険かどうか」以上に注目すべきは、「モンサント社の除草剤を摂取して大丈夫か」である。種子を独占的に販売し、農家を借金まみれにし、世界中の作物の多様性を失わせようとしている現状を、映画「モンサントの不自然な食べもの」から知る
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【対話】刑務所内を撮影した衝撃の映画。「罰則」ではなく「更生」を目指す環境から罪と罰を学ぶ:映画…
2008年に開設された新たな刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」で行われる「TC」というプログラム。「罰則」ではなく「対話」によって「加害者であることを受け入れる」過程を、刑務所内にカメラを入れて撮影した『プリズン・サークル』で知る。
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【天才】『三島由紀夫vs東大全共闘』後に「伝説の討論」と呼ばれる天才のバトルを記録した驚異の映像
1969年5月13日、三島由紀夫と1000人の東大全共闘の討論が行われた。TBSだけが撮影していたフィルムを元に構成された映画「三島由紀夫vs東大全共闘」は、知的興奮に満ち溢れている。切腹の一年半前の討論から、三島由紀夫が考えていたことと、そのスタンスを学ぶ
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【挑戦】東日本大震災における奇跡。日本の出版を支える日本製紙石巻工場のありえない復活劇:『紙つな…
本を読む人も書く人も作る人も、出版で使われる紙がどこで作られているのか知らない。その多くは、東日本大震災で甚大な被害を受けた日本製紙石巻工場で作られていた。『紙つなげ』をベースに、誰もが不可能だと思った早期復旧の舞台裏を知る
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【デマ】情報を”選ぶ”時代に、メディアの情報の”正しさ”はどのように判断されるのか?:『ニューヨーク…
一昔前、我々は「正しい情報を欲していた」はずだ。しかしいつの間にか世の中は変わった。「欲しい情報を正しいと思う」ようになったのだ。この激変は、トランプ元大統領の台頭で一層明確になった。『ニューヨーク・タイムズを守った男』から、情報の受け取り方を問う
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「オウム真理教は特別だ、という理由で作られた”例外”が、いつの間にか社会の”前提”になっている」これが、森達也『A3』の主張の要点だ。異常な状態で続けられた麻原彰晃の裁判を傍聴したことをきっかけに、社会の”異様な”変質の正体を理解する。
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【無知】メディアの問題の本質は?「報道の限界」と「情報の受け取り方」を独裁政治の現実から知る:『…
メディアは確かに「事実」を報じている。しかし、報道に乗らない情報まで含めなければ、本当の意味で世の中を理解することは難しいと、『こうして世界は誤解する』は教えてくれる。アラブ諸国での取材の現実から、報道の「限界」と「受け取り方」を学ぶ
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30代になっても未婚でコンビニアルバイトの古倉さんは、普通から外れたおかしな人、と見られてしまいます。しかし、本当でしょうか?『コンビニ人間』をベースに、多数派の人たちの方が人生を自ら選択していないのではないかと指摘する。
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【天職】頑張っても報われない方へ。「自分で選び取る」のとは違う、正しい未来の進み方:『そのうちな…
一般的に自己啓発本は、「今、そしてこれからどうしたらいいか」が具体的に語られるでしょう。しかし『そのうちなんとかなるだろう』では、決断・選択をするべきではないと主張されます。「選ばない」ことで相応しい未来を進む生き方について学ぶ
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【加虐】メディアの役割とは?森達也『A』が提示した「事実を報じる限界」と「思考停止社会」
オウム真理教の内部に潜入した、森達也のドキュメンタリー映画『A』は衝撃を与えた。しかしそれは、宗教団体ではなく、社会の方を切り取った作品だった。思考することを止めた社会の加虐性と、客観的な事実など切り取れないという現実について書く
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実際にチェコの警察を動かした衝撃のドキュメンタリー映画『SNS 少女たちの10日間』は、少女の「寂しさ」に付け込むおっさんどもの醜悪さに満ちあふれている。「WEBの利用制限」だけでは子どもを守りきれない現実を、リアルなものとして実感すべき
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埼玉県春日部市に実在する中学校の2年6組の生徒35人。14歳の彼らに50日間密着した『14歳の栞』が凄かった。カメラが存在しないかのように自然に振る舞い、内心をさらけ出す彼らの姿から、「中学生の今」を知る
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生きていると、「常識的な考え方」に囚われたり、「普通」「当たり前」を無自覚で強要してくる人に出会ったりします。そういう価値観に合わせられない時、自分が間違っている、劣っていると感じがちですが、そういう中で一歩踏み出す勇気を得るための考え方です
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私は、子どもの頃から周囲と馴染めなかったり、当たり前の感覚に違和感を覚えることが多かったこともあり、ダイバーシティが社会環境に実装されることを常に望んでいます。…
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