目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
「人間の境界」公式HP
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
今どこで観れるのか?
公式HPの劇場情報をご覧下さい
この記事の3つの要点
- ポーランド政府が劇場での上映を妨害しようとしたほど、「政府がひた隠しにしたい現実」が描かれた作品
- ベラルーシからポーランドの国境を抜けてきた中東の難民を、ポーランドの国境警備隊がベラルーシに送り返すという凄まじい現実
- ポーランド政府による締めつけが厳しすぎ、望むような援助が行えない人道支援団体の葛藤
作品の舞台は2021年であり、このような現実が”今も”起こっているのだと思うと絶望的な気持ちにさせられてしまう
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記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
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凄まじい話だった。実話を元にしているとはとても信じがたい話である。というわけで、その「凄まじさ」を説明するためにまず、公式HPに書かれている「映画上映に際してのポーランド政府からの妨害」について触れておきたいと思う。
本作『人間の境界』は、「ポーランドが行っていたあまりにも酷すぎる行為」を暴き出した作品だ。そしてそれ故だろう、本作の上映にポーランド政府は激しく反応した。なんと、上映を予定している劇場に、「『この映画は事実と異なる』という政府制作のPR動画を上映前に流すように」と通達を出したのだそうだ。しかし、ほとんどの独立系映画館がその通達を無視、さらに国内外問わず多くの映画人が本作監督を支持した。こうして、映画界がポーランド政府と対立するという異例の状況になっているのだという。
正直なところ、「政府が異例の過剰反応を示した」という事実こそが、「描かれている内容が真実である」という傍証になっていると言えるわけで、私には明らかな愚策に思える。政府が無視していれば、もしかしたらさほど話題にもならなかったかもしれないし、こうして日本に住む私が本作を観る機会だってなかったかもしれない。権力を持つ人間というのは本当に、一般市民の感覚が全然理解できないのだなぁと改めて実感させられた。
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というわけで、「本作で描かれていることは概ね事実」だと私は考えている。しかし、決して擁護するつもりはないのだが、ポーランド政府だけが一方的に悪いわけではないように思う。というかむしろ、より本質的な問題はポーランドの隣国ベラルーシにあると認識すべきだろう。
まずはその辺りの事情について、本作での描かれ方を基に触れていこうと思う。
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本作で中心的に扱われるのは「中東からEUを目指す難民」の存在である。中東からの難民は、まずはEU入りを目指そうとするのだが、その玄関口となるのがポーランドなのだ。難民たちは、「ポーランドに入ってしまえさえすればなんとかなる」と考え、どうにかしてベラルーシからポーランドの国境を越えようとする。
しかし驚くべきことに、ポーランドの国境警備隊は、ベラルーシとの国境を抜けてきた難民を”違法に”ベラルーシへと送り返していたのだ。国境警備隊は難民を見つけると、無理やりトラックに載せ、ベラルーシ側に戻すのである。
ちなみに、「難民をベラルーシへと送り返す行為」を”違法”と表現していたのは、ポーランドの人道支援団体のメンバーだったはずだ。私はこの辺りの知識に明るくないが、恐らく、EU加盟国には「難民の受け入れ」が法律か何かで義務付けられており、それに反しているから”違法”ということなのだと思う。しかし、こちらも私の推測だが、国境警備隊は恐らく政府の指示の下に動いている。国の意向を受けて、難民を”違法に”ベラルーシ側へと送り返しているというわけだ。
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さて、この事実だけを捉えれば、「ポーランドは定められた役割を果たしていない」と映るし、ポーランドが悪く見えるだろう。しかし、あくまでも本作で描かれている事実を基にした判断に過ぎないが、私はそう単純ではないと感じた。
本作中には、国境警備隊のミーティングの様子を映す場面がある。そしてその中で、「ベラルーシ国境を抜けてポーランドへとやってくる難民」のことを、「ルカシェンコの生きた銃弾」と表現していたのだ。ルカシェンコというのは、ベラルーシの大統領である。
「ルカシェンコの生きた銃弾」について詳しくは説明されないのだが、大体は理解できる。つまりこういうことだろう。ベラルーシはソ連崩壊に伴い独立した国であり、EU諸国とは対立関係にある。そしてそんなベラルーシがEU加盟国に打撃を与えるために、難民をポーランドに”送り込んでいる”というわけだ。EU加盟国が難民受け入れを標榜していることを理解した上で、「そんな難民を大量に送り込めば国の機能に問題が生じるだろう」という意図なのだと思う。まさに「銃弾」というわけだ。
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もちろん公式にベラルーシがそのように主張しているはずもなく、これはポーランド(あるいはEU)の捉え方なのだと思うが、少なくとも本作においては、上述のような状況を補足する場面が描かれていた。映画は、空港からベラルーシ・ポーランド国境へとやってきたある一家が国境を越える場面から始まる。私は初め本作の設定を理解していなかったため、国境に置かれた鉄条網の前にいた制服姿の男たちが誰なのか分からなかったのだが、状況を考えると、彼らはベラルーシの国境警備隊なのだと思う。そして、彼らが鉄条網を持ち上げて難民が国境を抜けやすいように手助けする場面が描かれるのだ。
また公式HPにも、「ベラルーシ国境警備隊が意図的に開けた抜け道を通っての非合法な越境」という表現が使われている。もちろん、ベラルーシがどんな意図で「難民の越境の手助け」を行っているのかについては憶測でしかないだろう。しかしいずれにせよ、「本来であれば国境間の人の移動を制約すべき国境警備隊が、難民を積極的にポーランド側に送り込んでいる」というのは事実であるようだ。
そして実は、さらに驚くべき状況が映し出されていた。先述の通り、ポーランドの国境警備隊は、難民を見つけ次第ベラルーシ側に送り返している。そして実は、ベラルーシの国境警備隊も同じこと、つまり、難民を見つけ次第ポーランド側に送り返しているのだ。両国の国境付近では、このようなやり取りがずっと行われているのである。作中に登場する難民は次のように嘆いていた。
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もう5~6回もサッカーボールみたいに行ったり来たりだ。
両国の国境警備隊が、難民を押し付け合っているという状況なのである。そしてこれはなかなかに難しい問題だ。
ベラルーシがポーランドに(あるいはEUに)打撃を与えようとしているのかはともかく、ポーランド側はそのように捉えているし、そうした観点からすれば、「『ベラルーシに押し付けられた難民』なんか受け入れてられるか」みたいな感覚になってしまうのも仕方ないかもしれない。もちろん人道的に許容できる話ではないのだが、少なくとも私には「ポーランド政府だけが悪い」みたいな捉え方は出来ないなと思う。
一方で、難民がEUを目指していることは確かであり、ベラルーシの手助けの有無に拘らず彼らはポーランドを目指すだろう。とすればやはり、ポーランドの対応には問題があるようにも感じられてしまう。実にややこしい問題だなと思う。
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さて、ここまで触れてこなかったが、本作の舞台は2021年10月である。つまり、つい最近の出来事というわけだ。ポーランド政府の難民に対するスタンスに変更があったのかは不明だが、「本作の上映を妨害した」という事実を踏まえれば、変わっていないと考えるのが妥当だろう。となれば、本作で描かれている状況は今もまだ継続していると考えていいはずだ。本当に悲惨なことが起こっているのだと実感させられた。
難民が置かれている、さらに厳しい現実
さて、ベラルーシ・ポーランド国境を抜けた難民にはまず、「国境警備隊に見つかったら、ベラルーシ側に押し返される」という危険が待っている。しかし実はそれだけではない。国境警備隊に見つからなかったとしても、彼ら難民はかなり厳しい状況に置かれてしまうのだ。
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本作では、国境を抜けてきた難民の手助けを行う人道支援団体の活動も描かれる。しかし、その活動にはかなりの制約があるようだ。まず、ポーランド政府が設定した「立ち入り禁止エリア」の問題がある。政府は国境付近(そのほとんどが森である)の大部分を「立ち入り禁止エリア」に設定し、一般市民のみならず、ジャーナリスト・医師・人道支援団体の立ち入りさえも禁止したのだ。そのため、仮に難民が「立ち入り禁止エリア」にいた場合、支援の手を差し伸べることが出来なくなる。その場合、「国境警備隊に見つかってベラルーシに送り返される」か「怪我や寒さなどによって命を落とす」かしかないというわけだ。
また本作には、人道支援団体のメンバーが難民に対して「今後の身の振り方」を説明する場面もあった。もちろんその中には「難民申請を出す」という選択肢も含まれるし、難民がそれを望むのであれば人道支援団体はサポートする用意がある。しかし彼らは、「難民申請は勧めない」と難民に伝えるのだ。
ポーランドでは難民申請を待つ間、劣悪な収容所で過ごさなければならない。そしてそこでの生活に耐えても、難民申請は通らないことの方が多いのだという。また、難民申請をする場合、国境警備隊に通知しなければならないとも定められている。人道支援団体は国境警備隊の酷さを知っているので、難民申請のためであっても国境警備隊とは関わるべきではないと考えているのだ。
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そしてこのような状況をすべて踏まえた上で、人道支援団体は「難民申請は勧めない」とアドバイスするのである。
では、他にどのような選択肢があるのだろうか? 実のところ、選択肢と呼べるほどのものはない。団体のメンバーは、「皆さんから難民申請が無い場合、私たちに出来ることはない」と伝えていた。人道支援団体としても苦渋の決断ではあるが、辛い境遇にいる難民を、森の中に残して去らざるを得ないのだ。そうしなければ、彼ら自身も危険な状況に追い込まれてしまうのである。
つまり、ベラルーシ・ポーランドの国境を抜けた難民が採りうる選択肢は3つということだ。「国境警備隊によってベラルーシに送り返される」か、「酷い環境に収容されながら可能性の低い難民申請を出す」か、「この森で生きていくか」である。人道支援団体としても、もっと何とかしてあげたい気持ちは当然持っている。しかし、彼らが法を犯し、警察などに付け入る隙を与えてしまえば、食料や衣服を渡す支援でさえ継続出来なくなってしまうのだ。彼らとしても、ギリギリの判断をしているのである。
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ベラルーシ・ポーランド国境ではこのようなことが行われていたのだ。ポーランド政府が「この映画は事実と異なる」というPR動画を流させようとしたのも分からないではないだろう。EU加盟国が行っているとは思えない、実に酷い出来事だ。
さて、公式HPには、監督が本作の制作を決断するに至った背景についても触れられている。監督は元々、友人のカメラマンと共に「国境の問題」を追っていたのだが、政府が国境を閉鎖したことで情報が途絶してしまう。しかし彼女は、『ソハの地下水道』『太陽と月に背いて』などの名作を送り出してきた映画監督だ。ドキュメンタリーが無理なら、映画を作ればいい。それは彼女にとって自然な発想だった。こうして、本作『人間の境界』の制作を決意したのだという。
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それ故、撮影の段階から「妨害」を警戒していたようで、撮影場所やスケジュールは極秘のまま撮影したそうだ。そして24日間という、長編映画としては超短期間での撮影を敢行し、「政府が圧力を掛けてまで隠蔽しようとした凄まじい現実」を炙り出す作品が生まれたのである。
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しかしながら、作品の設定について何も知らないままだと、映画が始まってからしばらくの間、何が起こっているのか状況を理解するのにかなり苦労するのではないかと思う。まさか「国境を挟んで両国が難民を押し付け合っている」なんて現実が存在するとは想像出来るはずがないからだ。しかし、そのような状況が理解できるようになると一転、映し出されている現実に圧倒されてしまうに違いない。
また、本作は全編モノクロで展開される作品なのだが、この演出は「血が通っていない現実」という要素を絶妙に表現しているように私には感じられた。そしてだからこそ、「そのような状況下でさえ人助けをしようとする者がいる」という状況をより鮮明に描けていたとも思えるのだ。
そんな凄まじい現実が描かれる作品である。
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最後に
本作のラストは、ある種皮肉的な描写で終わっていた。2022年に始まったウクライナ侵攻に際してのポーランド政府の対応が描かれているのだが、なんとポーランドは、隣国ウクライナから2週間で200万人もの難民を受け入れたというのである。明らかに、「中東の難民は受け入れないくせに」という皮肉が込められたシーンであるし、そのように捉えるべきだろう。
作中では、「2014年の難民危機以来、ヨーロッパの森や川では3万人もの難民が亡くなっている」と字幕で表示された。これは決してポーランドに限定したデータではないのだが、当然ポーランドもその一翼を担っているだろう。そしてその状況は、今も継続中なのだそうだ。
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もちろん、「中東からの難民」と「隣国ウクライナからの難民」では扱いに差が出るのも仕方ないかもしれない。しかしそれにしたって、「難民の送り返し」と「2週間で200万人の受け入れ」では、あまりに差が大きすぎるとも言えるだろう。そして、こんな風に書いている私が住んでいる日本もまた「難民をほぼ受け入れない国」であり、ポーランドを責める資格などないという事実にも打ちのめされてしまう。本当に、嫌な現実を生きているものだなと思う。
そんなわけで、思いがけず凄まじい作品に出会えたという感じだった。ストーリーも人間ドラマも良かったし、映像の緊迫感も印象的である。また、政府を糾弾するような内容の映画が作られ、それに多くの人から支持が集まることは健全に感じられるし、本作が様々な賞を受賞しているという事実もとても良いことだと思う。152分と少し長い物語ではあるが(それをたった24日間で撮影したというのだから、改めてそのことにも驚かされる)、是非観てほしい作品だ。
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フランスのテレビ局が行った「現代版ミルグラム実験」の詳細が語られる『死のテレビ実験 人はそこまで服従するのか』は、「権威」を感じる対象から命じられれば誰もが残虐な行為をしてしまい得ることを示す。全人類必読の「過ちを事前に回避する」ための知見を学ぶ
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『スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか』では、自分が生徒に対して「権力」を持っているとは想像していなかったという教師が登場する。そしてこの「無自覚」は、学校以外の場でも起こりうる。特に男性は、読んで自分の振る舞いを見直すべきだ
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【絶望】「人生上手くいかない」と感じる時、彼を思い出してほしい。壮絶な過去を背負って生きる彼を:…
「北九州連続監禁殺人事件」という、マスコミも報道規制するほどの残虐事件。その「主犯の息子」として生きざるを得なかった男の壮絶な人生。「ザ・ノンフィクション」のプロデューサーが『人殺しの息子と呼ばれて』で改めて取り上げた「真摯な男」の生き様と覚悟
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東日本大震災発生直後からカメラを回し、被災地の現実を切り取ってきたテレビ岩手。「分かりやすさ」が優先されるテレビではなかなか放送できないだろう映像を含め、「分かりにくい現実」を切り取った映像で構成する映画『たゆたえども沈まず』は静かな衝撃をもたらす作品
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旅行者として東日本大震災で被災した小説家・彩瀬まるは、『暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出』でその体験を語る。「そんなこと、言わなければ分からない」と感じるような感情も包み隠さず記し、「絶望的な伝わらなさ」を感じながらも伝えようと奮闘する1冊
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私個人は、「ビジョンの達成」のためなら「ソフトな独裁」を許容する。しかし今の日本は、そもそも「ビジョン」などなく、「ソフトな独裁状態」だけが続いていると感じた。映画『新聞記者』をベースに、私たちがどれだけ絶望的な国に生きているのかを理解する
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【実話】「家族とうまくいかない現実」に正解はあるか?選択肢が無いと感じる時、何を”選ぶ”べきか?:…
「自分の子どもなんだから、どんな風に育てたって勝手でしょ」という親の意見が正しいはずはないが、この言葉に反論することは難しい。虐待しようが生活能力が無かろうが、親は親だからだ。映画『MOTHER マザー』から、不正解しかない人生を考える
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「ルールは守らなければならない」というのは大前提だが、常に例外は存在する。どれほど重度の自閉症患者でも断らない無許可の施設で、情熱を持って問題に対処する主人公を描く映画『スペシャルズ!』から、「ルールのあるべき姿」を考える
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どれだけ「天賦の才能」に恵まれていても「努力できる才能」が無ければどこにも辿り着けない。そして「努力できる才能」さえあれば、仮に絶望の淵に立たされることになっても、立ち上がる勇気に変えられる。映画『マイ・バッハ』で知る衝撃の実話
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金正男が暗殺された事件は、世界中で驚きをもって報じられた。その実行犯である2人の女性は、「有名にならないか?」と声を掛けられて暗殺者に仕立て上げられてしまった普通の人だ。映画『わたしは金正男を殺していない』から、危険と隣り合わせの現状を知る
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「アイヌの町」として知られるアイヌコタンの住人は、「アイヌ語を勉強している」という。観光客のイメージに合わせるためだ。映画『アイヌモシリ』から、「伝統」や「文化」の継承者として生きるべきか、自らのアイデンティティを意識せず生きるべきかの葛藤を知る
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【課題】原子力発電の廃棄物はどこに捨てる?世界各国、全人類が直面する「核のゴミ」の現状:映画『地…
我々の日常生活は、原発が生み出す電気によって成り立っているが、核廃棄物の最終処分場は世界中で未だにどの国も決められていないのが現状だ。映画『地球で最も安全な場所を探して』をベースに、「核のゴミ」の問題の歴史と、それに立ち向かう人々の奮闘を知る
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【誠実】地下鉄サリン事件の被害者が荒木浩に密着。「贖罪」とは何かを考えさせる衝撃の映画:『AGANAI…
私には、「謝罪すること」が「誠実」だという感覚がない。むしろ映画『AGANAI 地下鉄サリン事件と私』では、「謝罪しない誠実さ」が描かれる。被害者側と加害者側の対話から、「謝罪」「贖罪」の意味と、信じているものを諦めさせることの難しさについて書く
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【危機】遺伝子組み換え作物の危険性を指摘。バイオ企業「モンサント社」の実態を暴く衝撃の映画:映画…
「遺伝子組み換え作物が危険かどうか」以上に注目すべきは、「モンサント社の除草剤を摂取して大丈夫か」である。種子を独占的に販売し、農家を借金まみれにし、世界中の作物の多様性を失わせようとしている現状を、映画「モンサントの不自然な食べもの」から知る
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【対話】刑務所内を撮影した衝撃の映画。「罰則」ではなく「更生」を目指す環境から罪と罰を学ぶ:映画…
2008年に開設された新たな刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」で行われる「TC」というプログラム。「罰則」ではなく「対話」によって「加害者であることを受け入れる」過程を、刑務所内にカメラを入れて撮影した『プリズン・サークル』で知る。
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オウム真理教の内部に潜入した、森達也のドキュメンタリー映画『A』は衝撃を与えた。しかしそれは、宗教団体ではなく、社会の方を切り取った作品だった。思考することを止めた社会の加虐性と、客観的な事実など切り取れないという現実について書く
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実際にチェコの警察を動かした衝撃のドキュメンタリー映画『SNS 少女たちの10日間』は、少女の「寂しさ」に付け込むおっさんどもの醜悪さに満ちあふれている。「WEBの利用制限」だけでは子どもを守りきれない現実を、リアルなものとして実感すべき
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私は、安楽死が合法化されてほしいと思っている。そのためには、人間には「死ぬ権利」があると合意されなければならないだろう。安楽死は時折話題になるが、なかなか議論が深まらない。『安楽死を遂げた日本人』をベースに、安楽死の現状を理解する
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三権分立の一翼を担う裁判所のことを、私たちはよく知らない。元エリート裁判官・瀬木比呂志と事件記者・清水潔の対談本『裁判所の正体』をベースに、「裁判所による統制」と「権力との癒着」について書く。「中世レベル」とさえ言われる日本の司法制度の現実は、「裁判になんか関わることない」という人も無視できないはずだ
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