目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:Olga Baranova, 出演:David Isteev, 出演:Ramzan Kadyrov, 出演:Maxim Lupanov, 出演:Vladimir Putin, 監督:David France, プロデュース:Alice Henty, プロデュース:Joy A. Tomchin
ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 「LGBTQへの差別」ではなく、「権力が多様性を抑圧する現実」こそを描く映画だと受け取るべき
- 「チェチェンに同性愛者は存在しない」と言い切る独裁者カディロフと、家族に同性愛者を殺す権利が認められている国家
- 「命がけで国外脱出を支援する団体」と「勇敢な被害者」の壮絶な奮闘
「民族の浄化」という言葉で「ゲイ狩り」を正当化する考え方は、まさに「現代版ホロコースト」としか呼びようがない
自己紹介記事
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どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
壮絶な「ゲイ狩り」が続くチェチェン共和国の凄まじい現実と、支援者たちの命がけの奮闘を映し出す映画『チェチェンへようこそ』
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ロシア南部にあるチェチェン共和国は、プーチン大統領の信任を得て成立している独裁国家だ。そしてそんな国で起こっている、「ホロコースト」にも似た異常な状況を伝える映画が、ロシアによるウクライナ侵攻が続く最中に公開された。
ロシアの意向を強く反映する国で起こっている狂気の蛮行。LGBTQへの理解などまったくの皆無としか言いようがないその状況には、やはり、ロシアという国への恐ろしさや理解しえなさを強く感じてしまった。
チェチェン共和国で起こっている出来事を、「LGBTQの問題」と捉えるべきではないだろうだろう。何故ならこれは、「権力の濫用」の物語だからだ。映画に登場する同性愛者の家族の1人が、こんなことを言う場面がある。
どこの国でも起こり得ることよ。
人間は権力を持ち始めると、悪用する人も出てくる。
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アメリカでは、「中絶の権利」が奪われるかもしれない判断を裁判所が行った。日本でも未だに「夫婦別姓」が進まない。「多様性」こそが何よりも素晴らしいなどと言うつもりはないが、多くの状況において「多様であること」が価値を持つと思っているし、世界の流れは「多様性をいかに認めるか」という方向へと進んでいるはずだ。そういう情勢にあってなお、「多様性など認めない」という判断が当然のようになされることが、私にはとても恐ろしいことに感じられる。
私はLGBTQではないし、この記事を読んでいるあなたも違うかもしれない。それでも、「自分には関係ない」とは思わないでほしい。「権力が『多様性』をいとも簡単に奪い去る」という物語として受け取られるべきだと私は思う。
「チェチェンに同性愛者は存在しない」と断言する、独裁者・カディロフ
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チェチェンに同性愛者は存在しない。
もしいたら、カナダにでも連れて行ってくれ。
一国のトップが臆面もなく堂々とこんな主張をする国が、チェチェン共和国である。
チェチェン共和国は、イスラム教徒が大半を占めることもあり、独自の文化・言語を有する、かなり閉鎖的な国だという。そんな国において、「同性愛」は「不名誉なこと」として扱われる。なんと、家族の中に同性愛者がいると分かった場合には、「血によって償うべき」と考えるのが一般的なのだそうだ。つまり、「家族の恥を『殺す』ことで解決する」という意味である。
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映画の冒頭で映し出されるアーニャという女性は、助けを求めた支援団体のメンバー・デイヴィッドの電話で、「このままでは父親に殺される」と訴えていた。映画が始まってすぐの場面であり、観客はその切迫感をリアルには受け取りにくいのだが、「同性愛者だとバレたら家族に殺される」ことが当たり前の国だと知れば、アーニャの訴えの緊急性がよく理解できるだろう。
アーニャは、叔父に性的指向のことを知られてしまい、「自分と関係を持たないと、お前の父親にバラすぞ」と脅されている。デイヴィッドの見立てでは、アーニャが叔父と関係を持っても、父親に性的指向を知られても、彼女は家庭内で静かに抹殺されるだろうと予測していた。その判断には、アーニャの父親が政府高官であるという事実も多少なりとも関係しているのだが、そのような特殊な家庭環境でなくても状況に大差はないそうだ。
凄まじいことに、チェチェン共和国では、同性愛者に対しての拘束・暴力は「罪に問われない」という。要するに、国を挙げて「家族内での”清算”」を推奨していると言っていいだろう。映画の中では防犯カメラ映像も流れ、性的マイノリティーの人たちが街中などで暴行を受けている様子が映し出される。その中では、多くの人が捕えられ、殴られ、髪を切られたりしていた。
中でも最も衝撃的だったのは、道路上で横たわる女性と思われる人物の顔めがけて、両手でなければ持ち上げられないほどの石を振り下ろとしている映像だ。映像は、振り下ろされる石が手から離れる前に終わったが、恐らく横たわっていた女性は亡くなってしまったと思われる。
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凄まじい状況だと言っていい。
外国メディアに対する取材の中でカディロフ大統領は、「民族の浄化のため」という表現を使っていた。まさにこれは、ナチスドイツのホロコーストを想起させる言葉だろう。デイヴィッドも、「スターリンやヒトラーの時代に戻ったようだ」という表現で、その異常さを言葉にしていた。中国のウイグル自治区で「教育」と称して拷問が行われているなどの疑惑も長く存在するが、そのような状況は、どんな理屈を捏ねくり回したところで、「現代版ホロコースト」と呼ばれて然るべき残酷なものだ。
そんなことが現代に起こっていることがやはり私には衝撃でしかない。
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先述した通り、カディロフが独裁を続けられる最大の理由は、プーチン大統領の後ろ盾があるからだ。チェチェン共和国における「性的マイノリティーへの迫害」は決して、プーチン大統領が主導しているわけではない。しかし、黙認していることもまた事実だ。デイヴィッドも、「プーチン大統領に責任があることは明白だ」と主張している。
というのも、「性的マイノリティーの拘束・拷問に対して抗議し、調査を依頼する嘆願書」の提出が阻まれてしまったからだ。支援者たちは、多数の署名を集め、モスクワに嘆願書を提出するつもりでいたのだが、その直前、「無許可で集会を行った」という理由で拘束されてしまう。ロシアには、チェチェン共和国の状況を改善する意志などがまったくないのである。
「ゲイ狩り」が始まったきっかけと、支援団体の奮闘
デイヴィッドは、「同じようなことがいつロシア全土で起こってもおかしくはない」と語っていた。というのも、チェチェン共和国で「ゲイ」を対象にした大規模な「粛清」が始まったのは、非常に些細なことがきっかけだったからだ。
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2017年冬、麻薬絡みの捜査の過程で押収された携帯電話から、かなり際どいゲイの写真が発見された。こんなことがきっかけなのである。それから、その写真の持ち主に「ゲイ仲間を暴露しろ」と迫り、名前が挙がった者を次々に拘束しては、さらに仲間の名前を吐かせるというやり方を続けたのだ。
このようにして、「ゲイ狩り」としか呼びようがない異常事態が進行することとなった。その「弾圧」は、あまりにも苛烈だ。支援団体のシェルターに匿われている者たちが、様々な証言をしている。
ある男性は、オンラインで気になる男性と知り合い、その人の家に行った。するとバスルームから警察が出てきたという。そのまま拘束され、刑務所に送られてしまったそうだ。別の男性も、知り合いをおびき出すようなことをやらされたと語っていた。
刑務所での様子も凄まじい。一番印象的だったのは、「ネズミを背中に乗せる」という拷問の話だ。背中にネズミを乗せ、さらにその上から鍋を被せる。そしてその状態で鍋を熱すると、熱さから逃れようとしてネズミが背中の皮膚を食い破ろうと暴れまわるのだそうだ。この拷問で命を落とした者もいるという。
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とにかく凄まじく酷い状況である。
映画では、支援団体が用意しているシェルター内での撮影も行われるが、場所についてはどの国にあるのかさえ明かしていない。とにかく何がなんでも、シェルターの居場所がチェチェン共和国側に伝わらないようにしなければ、安全を確保できないのだ。
そして、そういう事情があるが故の「異常な状況」が映し出される場面がある。シェルター入所者の1人が手首を切って自殺未遂した際、支援団体のメンバーの1人であるオリガが、まさに手首を切ったばかりの人物に対して、次のように大声を張り上げるのだ。
カナダでもどこでも行って!
とにかく、ここでは死なないで!
いつでも死ねるんだから!
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この言葉だけ聞くと、「なんて酷いんだ」と感じるかもしれない。しかし、支援団体の最大の使命は、シェルターにいる者たち全員の命を守ることだ。だから、このシェルターでは何が起こっても救急車を呼ぶことはできない。シェルターの住所が明らかになってしまうからだ。「ここでは死なないで」という言葉にはそのような背景がある。そんな言い方をせざるを得ないほど壮絶な状況に置かれているということが理解できるのではないかと思う。
映画で描かれることはどれも驚きに満ちているが、中でも衝撃だったのが有名歌手の失踪だ。チェチェン共和国で人気を誇る歌手ゼリム・バカエフと、10日以上も連絡が取れないことを伝えるニュース映像が、映画の中で流れるのである。彼が性的マイノリティーだったかのどうか、確かな情報があるわけではないそうだが、実際にそういう噂は存在したという。デイヴィッドは、「性的指向が失踪の原因であることは間違いない」と断言する。また、映画の最後には、「ゼリム・バカエフの行方は今も分かっていない」と字幕が表示された。
これが、チェチェン共和国である。
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「グリシャ」が刑事告発に踏み切るまで
「グリシャ」とカッコ付きにしたのは、偽名だからだ。映画に登場する者はもちろん全員偽名だが、「グリシャ」だけはこの映画において特殊な存在なのである。映画『「チェチェンへようこそ』は、様々な人物や状況を取り上げ、複層的に現状を捉えようとする作品だが、後半に向かうにつれ、焦点が1つに絞られていく。それが「グリシャ」なのだ。
彼もまた、性的指向を理由に拘束・拷問を経験した人物である。死を覚悟したというが、理由も告げられずに解放された。そしてその後、支援団体のシェルターに避難する。
そもそも彼はチェチェン人ではない。正確には覚えていないが、確かロシア人であり、元々はイベントなどでロシア各地を転々としていたそうだ。その後、はちみつ関連のイベントでチェチェンを訪れ、そのまま滞在を続ける。彼は元々チェチェン人に対して「優しい」イメージを持っていたというが、
あんなに優しかったチェチェン人が、これほど暴力的で残虐になれるのかと感じた。
と、唐突に始まった「粛清」以降の変貌に驚かされたと語っていた。
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彼には、付き合って10年になる恋人がいる。幸い、拘束された時は恋人と一緒ではなかった。恐らくロシアのどこかにいたのだろう。「チェチェンに一緒に来なかったことが唯一の救い」だと彼は語っていた。そして、1年以上も会っていないその恋人を、支援団体のシェルターへと呼び寄せ共に暮らす決断をする。恋人の方は、「グリシャと共に生活する」という目的のために、家族を捨て、学位を取るという夢さえも捨ててシェルターまでやってきたのだ。
さて、映画の中では当初、「グリシャ」は散発的に描かれるに過ぎなかった。しかし次第に、物語の中心となっていく。
実は、「グリシャ」がチェチェン人でなかったことが、事態をより複雑にさせる要因となってしまった。チェチェン人ではないと気づかずに拘束・拷問した警察は、自身の失態に気づき、その上でとんでもない行動に出る。「グリシャ」の家族にまで脅しを掛けてきたのだ。この辺りの事情については詳しく説明されなかったが、要するに、「チェチェン人ではない者を拘束・拷問した事実を隠蔽するために、家族にも圧力を掛ける」という手段に打って出たということだろう。チェチェン人であれば、「同性愛者は家族内で殺す」という諒解がなされているのだから、警察が拘束・拷問したところで訴え出る者はいない。しかしチェチェン人以外の場合そうはいかないだろう。だったら先回りで口を封じておこう、というわけだ。性根から腐っているとしか言いようがない。
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支援団体は、「グリシャ」の家族全員の避難が必要だと判断する。グリシャの妹はそのせいで、夫と離婚せざるを得なかったそうだ。チェチェンにおける「粛清」は、多方面に悪影響を及ぼしているのである。
そんな「グリシャ」は、何故物語の中心になっていくのだろうか?
支援団体は行き詰まっていた。可能な限り救いの手を差し伸べ、多くの性的マイノリティーを避難させてはいるが、結局のところチェチェンで起こっている「ゲイ狩り」を止めさせなければ根本的な解決には至らない。そのためにはロシアを動かすしかないのだが、団体がロシアへ調査を要請しても、「被害者が存在しない」と聞く耳を持たないのだ。
とはいえ、「被害者が存在しない」というのは、ある意味で正しい。被害者は名乗り出ることが出来ないからだ。「チェチェン共和国で『ゲイ狩り』に遭った」などと証言することは死を意味する。仮にチェチェン共和国から脱出できていたとしても状況に大差はないだろう。顔と名前を晒して「自分は被害者である」と声を上げることは、命を危険に晒すほどのことなのだ。
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それでも支援団体は、「被害者が声を上げなければ事態の打開には繋がらない」と判断し、これまで救出してきた者たち1人1人と話し合ったという。その結果、様々な葛藤を抱きつつも、最終的に刑事告発に踏み切る決断をしたのが「グリシャ」なのである。
その後、「グリシャ」が世界中のメディアを前に記者会見を行う場が設けられ、そこで彼の本名が「マキシム・ラプノフ」だと明かされた。
勇気ある訴えを起こした後の顛末と、「デジタルマスク」の凄まじさ
グリシャ改めマキシムは、顔と名前を晒してモスクワの法廷に出廷し、自身が受けた被害について訴えた。支援団体は当然、証人保護プログラムを申請したわけだが、だとしてもマキシムが抱いた恐怖はいかばかりだっただろうと感じる。危険なチェチェン共和国から命からがら逃げ出し、支援団体が用意した安全な場所で生活をしていたのに、生まれ故郷であるロシアへと戻り、「チェチェン共和国の現状」について訴えるのだ。そんなロシアを怒らせかねない行動に打って出るのは、あまりにも怖かっただろう。彼自身、何度も「怖い」と口にしていた。当然だ。
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マキシムの勇敢な行動によりロシアは、「被害者は存在しない」と言って訴えを退けられなくなり、正式に裁判が開かれることになった。しかしその結末はあっけないものだった。ある日ロシアの裁判所は、「本件を棄却する」と簡易的に述べるだけの法廷を開いた。これで終わりである。マキシムは今、ヨーロッパ人権裁判所に改めて訴えを起こしているそうだ。
デイヴィッドは、
チェチェンの犯罪を立証することはできるが、どうやったらロシアがこの問題に目を向けるのか、それだけが分からない。
と語っていた。この映画は当然、ウクライナ侵攻以前に撮られたものだ。国際世論を無視してウクライナへの侵攻を強行したロシアが、聞く耳など持つはずもないだろう。なんとも恐ろしい世界である。
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さて最後に、「デジタルマスク」について言及しておこう。
先程、「登場人物は全員偽名」と書いた。身元が明らかになると、どんな不都合が生じるか分からないからだ。であれば当然、顔も隠さなければならないだろう。しかし映画では、登場人物の顔にモザイクはない。
映画の冒頭で、こんな表示が出る。
避難者の安全を守るために、彼らの顔にはデジタル処理が施されています。
映画を観始めてしばらくは、この意味が理解できなかった。とても「デジタル処理」などされているようには感じられなかったからだ。しかし次第に、若干の違和感を覚えるようになる。言われて初めて気づく程度に、人物の顔周辺の映像が微妙にぼやけたり不自然な感じになったりしているのだ。そういう場面を目にして冒頭の「デジタル処理」の表示を思い出し、「もしかして」と思うようになった。モザイクではなく、別人の顔がはめ込まれているのだろうか、と。
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そう予想してからも、しばらくの間は半信半疑だった。「デジタルマスク」という技術の存在を知らなかったので、「そんなこと、ホントに出来るのだろうか」と疑っていたのだ。多少不自然な感じになることもあるが、そうと言われなければきっと気づかなかっただろう違和感でしかないのである。元の人物の表情に合わせて、これほど精巧に別人の顔をはめ込むことが出来るものなのか、私には確証が持てなかった。
そういう状態のまま、「グリシャ」が記者会見を行う場面がやってくる。そして、本名が「マキシム・ラプノフ」であると明かされた瞬間、彼の顔から「デジタルマスク」が剥がれ落ちたのだ。ある程度予想していたこととは言え、なかなか衝撃的な光景だった。映画の中では、照明が暗かったり、タバコを吸っていたりと、顔周辺の映像に様々な変化が加わる場面もある。しかしそれでも、さほどの不自然さを感じさせずに別人の顔をはめ込めるというわけだ。そんな技術の進歩には驚かされた。
公式HPには、「この映画のために開発された技術ではない」と書かれている。しかし、従来の用途とはまったく異なる使い方であり、その点は非常に特異だとも説明されていた。モザイクがないと、人物の表情が分かるので、より被写体の状況を想像しやすい。ドキュメンタリー映画などで今後広く使われる技術になるのかもしれないと感じた。
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とにかく、どんな形であれ、辛い状況にいる人たちが1日でも早く穏やかな生活を取り戻せることを願うばかりである。
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【残念】日本の「難民受け入れ」の現実に衝撃。こんな「恥ずべき国」に生きているのだと絶望させられる…
日本の「難民認定率」が他の先進国と比べて異常に低いことは知っていた。しかし、日本の「難民」を取り巻く実状がこれほど酷いものだとはまったく知らなかった。日本で育った2人のクルド人難民に焦点を当てる映画『東京クルド』から、日本に住む「難民」の現実を知る
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【差別】才ある者の能力を正しく引き出す者こそ最も有能であり、偏見から能力を評価できない者は無能だ…
「偏見・差別ゆえに、他人の能力を活かせない人間」を、私は無能だと感じる。そういう人は、現代社会の中にも結構いるでしょう。ソ連との有人宇宙飛行競争中のNASAで働く黒人女性を描く映画『ドリーム』から、偏見・差別のない社会への道筋を考える
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【アート】「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」(森美術館)と「美術手帖 Chim↑Pom特集」の衝撃から「…
Chim↑Pomというアーティストについてさして詳しいことを知らずに観に行った、森美術館の「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」に、思考をドバドバと刺激されまくったので、Chim↑Pomが特集された「美術手帖」も慌てて買い、Chim↑Pomについてメッチャ考えてみた
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【実話】権力の濫用を監視するマスコミが「教会の暗部」を暴く映画『スポットライト』が現代社会を斬る
地方紙である「ボストン・グローブ紙」は、数多くの神父が長年に渡り子どもに対して性的虐待を行い、その事実を教会全体で隠蔽していたという衝撃の事実を明らかにした。彼らの奮闘の実話を映画化した『スポットライト』から、「権力の監視」の重要性を改めて理解する
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【実話】映画『イミテーションゲーム』が描くエニグマ解読のドラマと悲劇、天才チューリングの不遇の死
映画『イミテーションゲーム』が描く衝撃の実話。「解読不可能」とまで言われた最強の暗号機エニグマを打ち破ったのはなんと、コンピューターの基本原理を生み出した天才数学者アラン・チューリングだった。暗号解読を実現させた驚きのプロセスと、1400万人以上を救ったとされながら偏見により自殺した不遇の人生を知る
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【不正義】正しく行使されない権力こそ真の”悪”である。我々はその現実にどう立ち向かうべきだろうか:…
権力を持つ者のタガが外れてしまえば、市民は為す術がない。そんな状況に置かれた時、私たちにはどんな選択肢があるだろうか?白人警官が黒人を脅して殺害した、50年前の実際の事件をモチーフにした映画『デトロイト』から、「権力による不正義」の恐ろしさを知る
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【真実】ホロコーストが裁判で争われた衝撃の実話が映画化。”明らかな虚偽”にどう立ち向かうべきか:『…
「ホロコーストが起こったか否か」が、なんとイギリスの裁判で争われたことがある。その衝撃の実話を元にした『否定と肯定』では、「真実とは何か?」「情報をどう信じるべきか?」が問われる。「フェイクニュース」という言葉が当たり前に使われる世界に生きているからこそ知っておくべき事実
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【矛盾】その”誹謗中傷”は真っ当か?映画『万引き家族』から、日本社会の「善悪の判断基準」を考える
どんな理由があれ、法を犯した者は罰せられるべきだと思っている。しかしそれは、善悪の判断とは関係ない。映画『万引き家族』(是枝裕和監督)から、「国民の気分」によって「善悪」が決まる社会の是非と、「善悪の判断を保留する勇気」を持つ生き方について考える
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【実話】障害者との接し方を考えさせる映画『こんな夜更けにバナナかよ』から”対等な関係”の大事さを知る
「障害者だから◯◯だ」という決まりきった捉え方をどうしてもしてしまいがちですが、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』の主人公・鹿野靖明の生き様を知れば、少しは考え方が変わるかもしれません。筋ジストロフィーのまま病院・家族から離れて“自活”する決断をした驚異の人生
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【情熱】映画『パッドマン』から、女性への偏見が色濃く残る現実と、それを打ち破ったパワーを知る
「生理は語ることすらタブー」という、21世紀とは思えない偏見が残るインドで、灰や汚れた布を使って経血を処理する妻のために「安価な生理用ナプキン」の開発に挑んだ実在の人物をモデルにした映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』から、「どう生きたいか」を考える
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【無知】映画『生理ちゃん』で理解した気になってはいけないが、男(私)にも苦労が伝わるコメディだ
男である私にはどうしても理解が及ばない領域ではあるが、女友達から「生理」の話を聞く機会があったり、映画『生理ちゃん』で視覚的に「生理」の辛さが示されることで、ちょっとは分かったつもりになっている。しかし男が「生理」を理解するのはやっぱり難しい
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【勇敢】”報道”は被害者を生む。私たちも同罪だ。”批判”による”正義の実現”は正義だろうか?:『リチャ…
「爆弾事件の被害を最小限に食い止めた英雄」が、メディアの勇み足のせいで「爆弾事件の犯人」と報じられてしまった実話を元にした映画『リチャード・ジュエル』から、「他人を公然と批判する行為」の是非と、「再発防止という名の正義」のあり方について考える
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【見方】日本の子どもの貧困は深刻だ。努力ではどうにもならない「見えない貧困」の現実と対策:『増補…
具体的には知らなくても、「日本の子どもの貧困の現状は厳しい」というイメージを持っている人は多いだろう。だからこそこの記事では、朝日新聞の記事を再編集した『増補版 子どもと貧困』をベースに、「『貧困問題』とどう向き合うべきか」に焦点を当てた
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【壮絶】本当に「美人は得」か?「美しさ」という土俵を意識せざるを得ない少女・女性たちの現実:『自…
美醜で判断されがちな”ルッキズム”の世の中に刃を突きつける小説『自画像』。私自身は、「キレイな人もキレイな人なりの大変さを抱えている」と感じながら生きているつもりだが、やはりその辛さは理解されにくい。私も男性であり、ルッキズムに加担してないとはとても言えない
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【危機】教員のセクハラは何故無くならない?資質だけではない、学校の構造的な問題も指摘する:『スク…
『スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか』では、自分が生徒に対して「権力」を持っているとは想像していなかったという教師が登場する。そしてこの「無自覚」は、学校以外の場でも起こりうる。特に男性は、読んで自分の振る舞いを見直すべきだ
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【絶望】「人生上手くいかない」と感じる時、彼を思い出してほしい。壮絶な過去を背負って生きる彼を:…
「北九州連続監禁殺人事件」という、マスコミも報道規制するほどの残虐事件。その「主犯の息子」として生きざるを得なかった男の壮絶な人生。「ザ・ノンフィクション」のプロデューサーが『人殺しの息子と呼ばれて』で改めて取り上げた「真摯な男」の生き様と覚悟
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【助けて】息苦しい世の中に生きていて、人知れず「傷」を抱えていることを誰か知ってほしいのです:『…
元気で明るくて楽しそうな人ほど「傷」を抱えている。そんな人をたくさん見てきた。様々な理由から「傷」を表に出せない人がいる世の中で、『包帯クラブ』が提示する「見えない傷に包帯を巻く」という具体的な行動は、気休め以上の効果をもたらすかもしれない
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【理解】東田直樹の本は「自閉症の見方」を一変させた。自身も自閉症児を育てるプロデューサーが映画化…
東田直樹の著作を英訳し世界に広めた人物(自閉症児を育てている)も登場する映画『僕が跳びはねる理由』には、「東田直樹が語る自閉症の世界」を知ることで接し方や考え方が変わったという家族が登場する。「自閉症は知恵遅れではない」と示した東田直樹の多大な功績を実感できる
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【現実】生きる気力が持てない世の中で”働く”だけが人生か?「踊るホームレスたち」の物語:映画『ダン…
「ホームレスは怠けている」という見方は誤りだと思うし、「働かないことが悪」だとも私には思えない。振付師・アオキ裕キ主催のホームレスのダンスチームを追う映画『ダンシングホームレス』から、社会のレールを外れても許容される社会の在り方を希求する
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【改心】人生のリセットは困難だが不可能ではない。過去をやり直す強い意思をいかにして持つか:映画『S…
私は、「自分の正しさを疑わない人」が嫌いだ。そして、「正しさを他人に押し付ける人」が嫌いだ。「変わりたいと望む者の足を引っ張る人」が嫌いだ。全身刺青だらけのレイシストが人生をやり直す、実話を元にした映画『SKIN/スキン』から、再生について考える
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【正義】マイノリティはどう生き、どう扱われるべきかを描く映画。「ルールを守る」だけが正解か?:映…
社会的弱者が闘争の末に権利を勝ち取ってきた歴史を知った上で私は、闘わずとも権利が認められるべきだと思っている。そして、そういう社会でない以上、「正義のためにルールを破るしかない」状況もある。映画『パブリック』から、ルールと正義のバランスを考える
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【権利】「難民だから支援すべき」じゃない。誰でも最低限の安全が確保できる世界であるべきだ:映画『…
難民申請中の少年が、国籍だけを理由にチェスの大会への出場でが危ぶまれる。そんな実際に起こった出来事を基にした『ファヒム パリが見た奇跡』は実に素晴らしい映画だが、賞賛すべきではない。「才能が無くても安全は担保されるべき」と考えるきっかけになる映画
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【葛藤】「多様性を受け入れること」は難しい。映画『アイヌモシリ』で知る、アイデンティティの実際
「アイヌの町」として知られるアイヌコタンの住人は、「アイヌ語を勉強している」という。観光客のイメージに合わせるためだ。映画『アイヌモシリ』から、「伝統」や「文化」の継承者として生きるべきか、自らのアイデンティティを意識せず生きるべきかの葛藤を知る
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【排除】「分かり合えない相手」だけが「間違い」か?想像力の欠如が生む「無理解」と「対立」:映画『…
「共感」が強すぎる世の中では、自然と「想像力」が失われてしまう。そうならないようにと意識して踏ん張らなければ、他人の価値観を正しく認めることができない人間になってしまうだろう。映画『ミセス・ノイズィ』から、多様な価値観を排除しない生き方を考える
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【素顔】「ヨコハマメリー史」から「伊勢佐木町史」を知れる映画。謎の女性が町の歴史に刻んだものとは…
横浜で長らく目撃されていた白塗りの女性は、ある時から姿を消した。彼女の存在を欠いた伊勢佐木町という街は、大きく変わってしまったと語る者もいる。映画『ヨコハマメリー』から、ある種のアイコンとして存在した女性の生き様や彼女と関わった者たちの歴史、そして彼女の”素顔”を知る
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【差別】「女性の権利」とは闘争の歴史だ。ハリウッドを支えるスタントウーマンたちの苦悩と挑戦:『ス…
男性以上に危険で高度な技術を要するのに、男性優位な映画業界で低く評価されたままの女性スタントたちを描く映画『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』。女性スタントの圧倒的な努力・技術と、その奮闘の歴史を知る。
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【幻想】心の傷を癒やすことの”難しさ”、寄り添い続けるために必要な”弱さ”と”冷たさ”:映画『心の傷を…
「優しいかどうか」が重要な要素として語られる場面が多いと感じるが、私は「優しさ」そのものにはさしたる意味はないと考えている。映画『心の傷を癒すということ 劇場版』から、「献身」と「優しさ」の違いと、誰かに寄り添うために必要な「弱さ」を理解する
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【感想】映画『窮鼠はチーズの夢を見る』を異性愛者の男性(私)はこう観た。原作も読んだ上での考察
私は「腐男子」というわけでは決してないのですが、周りにいる腐女子の方に教えを請いながら、多少BL作品に触れたことがあります。その中でもダントツに素晴らしかったのが、水城せとな『窮鼠はチーズの夢を見る』です。その映画と原作の感想、そして私なりの考察について書いていきます
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【衝撃】森達也『A3』が指摘。地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教は社会を激変させた
「オウム真理教は特別だ、という理由で作られた”例外”が、いつの間にか社会の”前提”になっている」これが、森達也『A3』の主張の要点だ。異常な状態で続けられた麻原彰晃の裁判を傍聴したことをきっかけに、社会の”異様な”変質の正体を理解する。
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【感想】世の中と足並みがそろわないのは「正常が異常」だから?自分の「正常」を守るために:『コンビ…
30代になっても未婚でコンビニアルバイトの古倉さんは、普通から外れたおかしな人、と見られてしまいます。しかし、本当でしょうか?『コンビニ人間』をベースに、多数派の人たちの方が人生を自ら選択していないのではないかと指摘する。
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【恐怖】SNSの危険性と子供の守り方を、ドキュメンタリー映画『SNS 少女たちの10日間』で学ぶ
実際にチェコの警察を動かした衝撃のドキュメンタリー映画『SNS 少女たちの10日間』は、少女の「寂しさ」に付け込むおっさんどもの醜悪さに満ちあふれている。「WEBの利用制限」だけでは子どもを守りきれない現実を、リアルなものとして実感すべき
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【辛い】こじらせ女子必読!ややこしさと共に生きるしかない、自分のことで精一杯なすべての人に:『女…
「こじらせ」って感覚は、伝わらない人には全然伝わりません。だからこそ余計に、自分が感じている「生きづらさ」が理解されないことにもどかしさを覚えます。AVライターに行き着いた著者の『女子をこじらせて』をベースに、ややこしさを抱えた仲間の生き方を知る
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ルシルナ
ジェンダー・LGBT【本・映画の感想】 | ルシルナ
私はLGBTではありません。また、ジェンダーギャップは女性が辛さを感じることの方が多いでしょうが、私は男性です。なので、私自身がジェンダーやLGBTの問題を実感すること…
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