目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
「私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?」公式HP
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 公式HPには後半の展開についても書かれているのだが、この記事ではその点には触れないことにする
- 主演を務めたイザベル・ユペールが、非常に難しい役柄を見事に演じていた
- 作中で使われる「良き被害者」というフレーズが、本作の核となるテーマを表現していると思う
非常に普遍的なテーマが扱われており、個人的には広く観てもらいたいと思える作品だ
自己紹介記事
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これはちょっと凄まじい物語だった。前半と後半とでは「描かれていること」がまったく異なっており、前半の展開からはちょっと想像も出来ないような物語になっていく。公式HPでは後半の展開にも触れられているので、わざわざ伏せる必要はないのだろうが、この記事ではなるべくその点には触れないようにしようと思う。出来るだけ、後半の展開を知らずに本作を観てほしいと思っているからだ。
しかし、その点を伏せるとなると書けることに大分制約が生まれるので、自分の首を締めるだけなのだが。
ちなみに本作は、実話を基にしている。前半の展開だけでも十分に驚きだが、さらに後半の展開も事実なのだと考えると、ちょっと驚かされてしまうだろう。
映画『私はモーリーン・カーニー』の内容紹介
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物語は、非常に衝撃的なシーンから始まる。2012年12月17日、本作の主人公であるモーリーン・カーニーが、自宅の地下室で目隠しされた状態で発見されたのだ。両手両足は椅子に縛られており、腹にはナイフで「A」の文字が刻まれ、さらにナイフの柄の部分が膣に差し込まれた状態だった。
そしてここから、数ヶ月時間が遡る。
モーリーン・カーニーは、世界最大の原子力発電会社アレバの労働組合代表を務める人物だ。既に6期選出されているベテランだが、さすがにそれも今回で終わりにするつもりである。なにせ、5万人もの従業員の雇用を守らなければならないのだ。その重責はあまりに大きい。
そんなモーリーンの身辺に大きな変化がもたらされた。CEOであるアンヌが退任を決意し、副社長のウルセルのCEO就任が決まったのだ。女性同士ということもあり、アンヌとモーリーンは相性が良く、また労働組合員からの支持も篤かった。だからこの交代劇は従業員にとっては不穏なものと映る。ウルセルは、実に厄介な人物だからだ。モーリーンは新CEOとの対立を覚悟しつつも、それまでと変わらずに「権力に屈せず、従業員の利益を代表する」という立場を貫く決意を固める。
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さてそんなある日、彼女にある情報がもたらされた。フランス電力公社(EDF)に勤務する者からの内部情報提供である。その人物は、「EDFのCEOであるプログリオが、原子力発電に関して中国企業とハイリスクな技術移転契約を行い、それによってアレバの雇用が大幅に失われる」と訴えていた。もちろんこれは、アレバだけではなくフランスにとっても大きな問題である。そしてなんと、ウルセルがこの計画に関与しているというのだ。彼女はこのリーク情報を元に、ウルセル、そしてその背後にあるだろう巨大な陰謀と闘う決意をする。
彼女の動きが察知されたのだろう、モーリーンは強盗に遭ったり脅迫電話を受けたりと、見えない圧力の存在を感じ始めた。しかし彼女は怯むことなく、議員にこの問題の危険性を訴えたり、大統領との面会を取り付けたりと、成すべきことを進めていく。
そして、まさに大統領との面会当日である2012年12月17日に、彼女は何者かに自宅で襲撃されてしまう……。
イザベル・ユペールの演技がとにかく素晴らしい
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冒頭でも触れたが、本作は先の内容紹介からはちょっと想像できないような展開を見せる。物語の中盤ぐらいから唐突にギアが入れ替わるような印象があって、「こんな展開になるのか」と驚かされてしまった。そしてそこから、「一体何が真実なのか?」という視点で改めて物語が進んでいくみたいな感じになる。最後の最後までどう終わるのか全然予想がつかない物語だったのだ。
これが実話を基にしているというのだから、ちょっと驚かされてしまった。
さて、最後まで観れば納得してもらえると思うが、本作は、主人公であるモーリーン・カーニーを絶妙に演じなければまず成立しないと思う。物語をざっくり要約するなら、前半は「正義感」、そして後半は「真実性の曖昧さ」となるだろうか。そして、「前後半で全然違う雰囲気を醸し出さなければならない」「特に後半における佇まいがもの凄く難しい」などの要素を踏まえると、よほど上手く演じなければ「モーリーン・カーニー」という人物がリアルな存在には見えないはずだ。
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そして本作では、主演のイザベル・ユペールが、モーリーン・カーニーを実に見事に演じていると感じた。
イザベル・ユペールは、フランス映画を観ると良く出てくる女優だ。基本的に役者のことを記憶しない私でも、彼女のことはきちんと認識できる。私がこれまで観た作品だと『エル ELLE』『ハッピーエンド』『EO イーオー』に出演しているようだ。『EO イーオー』に出演していたことは気づかず、この記事を書くのに調べて初めて知ったが、『エル ELLE』『ハッピーエンド』ではちょっと凄まじいくらいの印象が残ったことを覚えている。
本作では、黒縁メガネに真紅の口紅、そしてホワイトヘアーと、見た目にかなりインパクトがある出で立ちだったこともあり、最初は「自分が知っている女優」とは認識できていなかった。しかししばらく観ていく内に、やはりその凄まじい存在感故だろう、かつて観た映画に出ていた人だと記憶が繋がったというわけだ。
彼女は本当に見事な演技をする女優だなと思う。本作に限らないが、イザベル・ユペールが演じる役は「無表情」なことが多い気がする(あくまでも私が観た映画の役柄に限るが)。そして本作における彼女の「無表情」は、「静かな怒り」「権力に立ち向かう不屈さ」「思いがけない戸惑い」など様々な感情を映し出すのだ。そのような演技から生み出される「存在感」が、「演じる人物のリアリティ」を高めているのだろう。これほどの雰囲気を醸し出せる役者はあまりいないように感じるし、本当に見事な演技だったなと思う。
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「良き被害者」というフレーズから考えさせられること
本作において非常に印象的な形で登場する言葉が「良き被害者」である。このフレーズについて観客に説明を促すようなシーンは特段存在しなかったので、恐らく、フランス(あるいは欧米)では一般的に使われる言葉なんだろうと思う。日本でも、この言葉が上手くハマってしまう状況は散見されるはずだが、同じ意味を持つ日本語の常套句は私にはちょっと思いつかない。
「良き被害者」というのは、字面の通りではあるのだが、「被害者として相応しい存在」ぐらいの意味で捉えればいいだろう。例えばだが、「幼い我が子を殺された母親」が「頻繁にパチンコに通っていた」と判明したとする。この場合恐らく、SNSなどを中心に、「母親がパチンコばっかりやっているんだから、子どもが殺されたって仕方ない」みたいな心無い批判が飛び交うのではないかと思う。私はまったくそうは思わないが、「『被害者として相応しくない』と見做されてしまう」ということだ。本作にはそのような意味の言葉として「良き被害者」という表現が出てくるのである。
日本では、何か「被害者として相応しくないと見做され得る瑕疵」があったとして、SNSなどでは批判されるだろうが、マスコミがそれを取り上げたり、「『良き被害者』ではなかった」みたいな表現を使ったりはしないように思う。とはいえ、週刊誌などをイメージすればなんとなく感覚的には理解できるはずだ。そしてこの話は、「事件の被害者」に限らず、あらゆる「弱者」にも当てはまると思う。分かりやすいのは「障害者なのに◯◯」のような捉え方だろう。障害者にだって色んな人がいるはずなのに、「社会が勝手に『良き弱者』像を設定し、それに合っていないと『障害者なのに◯◯』と批判する」みたいなことは起こり得る。「社会がイメージしやすい『ステレオタイプ』は受け入れるが、そこから外れたら『存在すべきではないもの』として排除する」みたいな振る舞いは、社会の中で散見されるだろうと思う。
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そして本作では、まさにそのような状況が中心に据えられているというわけだ。
私は普段から「普通」という言葉をとにかく可能な限り使わないように意識している。「私にとっての『普通』」が「誰かにとっての『異常』」である可能性は常に存在するからだ。しかし世の中には、躊躇せずに「普通」「当たり前」「当然」みたいな言葉を使えてしまう人もいる。もちろん、常に「マジョリティのど真ん中」みたいな場所に居続ける人からすれば、視界に入るほぼすべての人が「自分と似たような価値観」を持っているのだろうから、「自分が考えていることこそが『普通』であり、そこから外れるものはすべて『異常』」と認識したくなってしまうかもしれない。
しかし当然だが、「マジョリティのど真ん中」みたいな場所では生きていけない人だってたくさんいる。特に、「被害者」「弱者」のようなレッテルを貼られてしまう境遇にいる人ほど、そのようなタイプが多いと言えるだろう。だから、「”普通”に考えて、『良き被害者』『良き弱者』なんて言葉が成立するはずがない」のだ。「被害者」「弱者」などの人たちに「普通」を押し付ける方が間違っているのである。
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そのことを、「マジョリティのど真ん中」にいる人たちはまず認識すべきだと思う。
私も、「マジョリティのど真ん中」にはいられないタイプの人間なので、本作中の「『良き被害者』の周囲にいる人たち」の振る舞いには苛立ちしか感じられなかった。もちろん彼らにも彼らなりの理屈があることは理解できる。また、社会におけるあらゆる問題には「どこかで線を引かなければならない」わけだから、「その境界線上付近で右往左往させられる人」をゼロにすることも出来ないことは分かっているつもりだ。しかし私は本作を観て、「たとえそうだとしても、やはりこの振る舞いはおかしいんじゃないか」と感じさせられてしまった。
「良き被害者」「良き弱者」のような視点を持ってしまってはいないか、本作を観て考え直してみるのも良いのではないかと思う。
良い映画だと思うのだが、「潜在的観客」に上手く届かなそうな作品でもある
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さて、そのような「本作の核たる要素」を踏まえた上で映画のメインビジュアルを見てみると、「ちょっと違うんじゃないか」という気分にさせられてしまう。このメインビジュアルには、映画冒頭のシーンが使われている。アレバ傘下の子会社であるハンガリーのパクシュ原発の女性従業員たちにモーリーンが「雇い主と雇用条件に関する交渉を行う」と伝える場面だ。
確かにこのシーンは、「モーリーン・カーニーという女性がどのような人物なのか」を端的に示すものであり、そういう意味では非常に効果的だと思う。しかし、映画全体で描こうとしているテーマが浮かび上がるようなものではない。そのため、「本作の核たる要素」にこそ関心を抱く「潜在的観客」を取りこぼしてしまうように思う。
私は普段から、「観るつもりの映画の内容をまったく知らずに鑑賞したい」と考えているので、私にとってはむしろ良かったと言える。しかし、本作は広く観られるべき作品だと私は思うので、そういう意味ではマイナスだと言えるだろう。なにせ冒頭でも触れた通り、公式HPでは、私がこの記事では伏せた「後半の展開」にも触れているのだ。であれば、もう少し「核たる要素」を彷彿とさせるような打ち出し方をしても良かったのではないかと感じてしまった。
また本作は、とにかく上映館が少なかった。私が鑑賞した時点で、全国でたった5館でしか上映していなかったのだ。私は公開直後に観に行ったので、あまりにも少なすぎると言えるだろう。公式HPには今後の公開予定も載っていたが、それらをすべてひっくるめても上映館がとても少ない。イザベル・ユペールはかなり有名な女優だと思うので、普通ならもっと広く上映されてもいいような気がする。となると、こんな邪推をしたくもなってしまう。
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原発を扱う作品だから、特に大手の映画館は扱いたくないのだろうか、と。
本作では、企業の役員や大臣などが実名で描かれ、しかも、原子力発電会社アレバの上層部は特に悪く映し出される。もしも「『原発という巨大な権力に楯突くような映画』と見做され、『関わらない方が無難』みたいな扱いになっている」のだとしたら、とても残念だなと思う。
本作は、確かに原発が扱われる作品なのだが、先述した通り「核たる要素」は他にある。だからこそ、もし仮に「原発を扱っていることが理由で上映館が少ない」のであれば、そういう意味でも本作は損していると感じた。社会に生きる者が皆考えるべき普遍的なテーマが扱われているにも拘らず、「舞台が原発」という点が足枷になっているとしたら、実に本末転倒である。
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繰り返すが、あくまでもこの疑念は私の勝手な「邪推」でしかない。しかし、仮にこの邪推が当たっているなら、主演がイザベル・ユペールだという点が唯一の救いと言っていいだろう。彼女の知名度のお陰で「観てみよう」と思う人が一定数出いるはずだからだ。
まあきっかけは何でもいいのだが、どうにか多くの人の目に触れてほしい作品である。
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そして本作は、そんな状況下で巨大権力と闘う女性の奮闘を描く物語なのである。さらに後半の思いがけない展開から、「良き被害者」という言葉の陰に隠された「狂気」をも実感させてくれるというわけだ。
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日本の「戦国時代」さながらの内戦状態にあるソマリア共和国内部に、十数年に渡り奇跡のように平和を維持している”未承認国家”が存在する。辺境作家・高野秀行の『謎の独立国家ソマリランド』から、「ソマリランド」の理解が難しい理由と、「奇跡のような民主主義」を知る
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【不正義】正しく行使されない権力こそ真の”悪”である。我々はその現実にどう立ち向かうべきだろうか:…
権力を持つ者のタガが外れてしまえば、市民は為す術がない。そんな状況に置かれた時、私たちにはどんな選択肢があるだろうか?白人警官が黒人を脅して殺害した、50年前の実際の事件をモチーフにした映画『デトロイト』から、「権力による不正義」の恐ろしさを知る
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【想像力】「知らなかったから仕方ない」で済ませていいのか?第二の「光州事件」は今もどこかで起きて…
「心地いい情報」だけに浸り、「知るべきことを知らなくても恥ずかしくない世の中」を生きてしまっている私たちは、世界で何が起こっているのかあまりに知らない。「光州事件」を描く映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』から、世界の見方を考える
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【驚愕】正義は、人間の尊厳を奪わずに貫かれるべきだ。独裁政権を打倒した韓国の民衆の奮闘を描く映画…
たった30年前の韓国で、これほど恐ろしい出来事が起こっていたとは。「正義の実現」のために苛烈な「スパイ狩り」を行う秘密警察の横暴をきっかけに民主化運動が激化し、独裁政権が打倒された史実を描く『1987、ある闘いの真実』から、「正義」について考える
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【考察】映画『ジョーカー』で知る。孤立無援の環境にこそ”悪”は偏在すると。個人の問題ではない
「バットマン」シリーズを観たことがない人間が、予備知識ゼロで映画『ジョーカー』を鑑賞。「悪」は「環境」に偏在し、誰もが「悪」に足を踏み入れ得ると改めて実感させられた。「個人」を断罪するだけでは社会から「悪」を減らせない現実について改めて考える
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【感涙】衆議院議員・小川淳也の選挙戦に密着する映画から、「誠実さ」と「民主主義のあり方」を考える…
『衆議院議員・小川淳也が小選挙区で平井卓也と争う選挙戦を捉えた映画『香川1区』は、政治家とは思えない「誠実さ」を放つ”異端の議員”が、理想とする民主主義の実現のために徒手空拳で闘う様を描く。選挙のドキュメンタリー映画でこれほど号泣するとは自分でも信じられない
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【興奮】飲茶氏の超面白い哲学小説。「正義とは?」の意味を問う”3人の女子高生”の主張とは?:『正義の…
なんて面白いんだろうか。哲学・科学を初心者にも分かりやすく伝える飲茶氏による『正義の教室』は、哲学書でありながら、3人の女子高生が登場する小説でもある。「直観主義」「功利主義」「自由主義」という「正義論」の主張を、「高校の問題について議論する生徒会の話し合い」から学ぶ
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【勇敢】”報道”は被害者を生む。私たちも同罪だ。”批判”による”正義の実現”は正義だろうか?:『リチャ…
「爆弾事件の被害を最小限に食い止めた英雄」が、メディアの勇み足のせいで「爆弾事件の犯人」と報じられてしまった実話を元にした映画『リチャード・ジュエル』から、「他人を公然と批判する行為」の是非と、「再発防止という名の正義」のあり方について考える
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【権利】衝撃のドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』は、「異質さを排除する社会」と「生きる権利」を問う
「ヤクザ」が排除された現在でも、「ヤクザが担ってきた機能」が不要になるわけじゃない。ではそれを、公権力が代替するのだろうか?実際の組事務所(東組清勇会)にカメラを持ち込むドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』が映し出す川口和秀・松山尚人・河野裕之の姿から、「基本的人権」のあり方について考えさせられた
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【告発】アメリカに”監視”される社会を暴露したスノーデンの苦悩と決断を映し出す映画:『スノーデン』…
NSA(アメリカ国家安全保障局)の最高機密にまでアクセスできたエドワード・スノーデンは、その機密情報を持ち出し内部告発を行った。「アメリカは世界中の通信を傍受している」と。『シチズンフォー』と『スノーデン』の2作品から、彼の告発内容とその葛藤を知る
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【あらすじ】子どもは大人よりずっと大人だ。「子ども扱い」するから、「子どもの枠」から抜け出せない…
宮部みゆき『ソロモンの偽証』は、その分厚さ故になかなか手が伸びない作品だろうが、「長い」というだけの理由で手を出さないのはあまりにももったいない傑作だ。「中学生が自前で裁判を行う」という非現実的設定をリアルに描き出すものすごい作品
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【誠実】想像を超える辛い経験を言葉にするのは不可能だ。それを分かってなお筆を執った作家の震災記:…
旅行者として東日本大震災で被災した小説家・彩瀬まるは、『暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出』でその体験を語る。「そんなこと、言わなければ分からない」と感じるような感情も包み隠さず記し、「絶望的な伝わらなさ」を感じながらも伝えようと奮闘する1冊
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【称賛】生き様がかっこいい。ムンバイのホテルのテロ事件で宿泊客を守り抜いたスタッフたち:映画『ホ…
インドの高級ホテルで実際に起こったテロ事件を元にした映画『ホテル・ムンバイ』。恐ろしいほどの臨場感で、当時の恐怖を観客に体感させる映画であり、だからこそ余計に、「逃げる選択」もできたホテルスタッフたちが自らの意思で残り、宿泊を助けた事実に感銘を受ける
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【リアル】社会の分断の仕組みを”ゾンビ”で学ぶ。「社会派ゾンビ映画」が対立の根源を抉り出す:映画『C…
まさか「ゾンビ映画」が、私たちが生きている現実をここまで活写するとは驚きだった。映画『CURED キュアード』をベースに、「見えない事実」がもたらす恐怖と、立場ごとに正しい主張をしながらも否応なしに「分断」が生まれてしまう状況について知る
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【絶望】権力の濫用を止めるのは我々だ。映画『新聞記者』から「ソフトな独裁国家・日本」の今を知る
私個人は、「ビジョンの達成」のためなら「ソフトな独裁」を許容する。しかし今の日本は、そもそも「ビジョン」などなく、「ソフトな独裁状態」だけが続いていると感じた。映画『新聞記者』をベースに、私たちがどれだけ絶望的な国に生きているのかを理解する
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【意外】東京裁判の真実を記録した映画。敗戦国での裁判が実に”フェア”に行われたことに驚いた:『東京…
歴史に詳しくない私は、「東京裁判では、戦勝国が理不尽な裁きを行ったのだろう」という漠然としたイメージを抱いていた。しかし、その印象はまったくの誤りだった。映画『東京裁判 4Kリマスター版』から東京裁判が、いかに公正に行われたのかを知る
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【勇敢】後悔しない生き方のために”間違い”を犯せるか?法に背いてでも正義を貫いた女性の生き様:映画…
国の諜報機関の職員でありながら、「イラク戦争を正当化する」という巨大な策略を知り、守秘義務違反をおかしてまで真実を明らかにしようとした実在の女性を描く映画『オフィシャル・シークレット』から、「法を守る」こと以上に重要な生き方の指針を学ぶ
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【情熱】「ルール」は守るため”だけ”に存在するのか?正義を実現するための「ルール」のあり方は?:映…
「ルールは守らなければならない」というのは大前提だが、常に例外は存在する。どれほど重度の自閉症患者でも断らない無許可の施設で、情熱を持って問題に対処する主人公を描く映画『スペシャルズ!』から、「ルールのあるべき姿」を考える
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【驚愕】「金正男の殺人犯」は”あなた”だったかも。「人気者になりたい女性」が陥った巧妙な罠:映画『…
金正男が暗殺された事件は、世界中で驚きをもって報じられた。その実行犯である2人の女性は、「有名にならないか?」と声を掛けられて暗殺者に仕立て上げられてしまった普通の人だ。映画『わたしは金正男を殺していない』から、危険と隣り合わせの現状を知る
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【課題】原子力発電の廃棄物はどこに捨てる?世界各国、全人類が直面する「核のゴミ」の現状:映画『地…
我々の日常生活は、原発が生み出す電気によって成り立っているが、核廃棄物の最終処分場は世界中で未だにどの国も決められていないのが現状だ。映画『地球で最も安全な場所を探して』をベースに、「核のゴミ」の問題の歴史と、それに立ち向かう人々の奮闘を知る
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【誠実】地下鉄サリン事件の被害者が荒木浩に密着。「贖罪」とは何かを考えさせる衝撃の映画:『AGANAI…
私には、「謝罪すること」が「誠実」だという感覚がない。むしろ映画『AGANAI 地下鉄サリン事件と私』では、「謝罪しない誠実さ」が描かれる。被害者側と加害者側の対話から、「謝罪」「贖罪」の意味と、信じているものを諦めさせることの難しさについて書く
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【天才】『三島由紀夫vs東大全共闘』後に「伝説の討論」と呼ばれる天才のバトルを記録した驚異の映像
1969年5月13日、三島由紀夫と1000人の東大全共闘の討論が行われた。TBSだけが撮影していたフィルムを元に構成された映画「三島由紀夫vs東大全共闘」は、知的興奮に満ち溢れている。切腹の一年半前の討論から、三島由紀夫が考えていたことと、そのスタンスを学ぶ
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【デマ】情報を”選ぶ”時代に、メディアの情報の”正しさ”はどのように判断されるのか?:『ニューヨーク…
一昔前、我々は「正しい情報を欲していた」はずだ。しかしいつの間にか世の中は変わった。「欲しい情報を正しいと思う」ようになったのだ。この激変は、トランプ元大統領の台頭で一層明確になった。『ニューヨーク・タイムズを守った男』から、情報の受け取り方を問う
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【衝撃】森達也『A3』が指摘。地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教は社会を激変させた
「オウム真理教は特別だ、という理由で作られた”例外”が、いつの間にか社会の”前提”になっている」これが、森達也『A3』の主張の要点だ。異常な状態で続けられた麻原彰晃の裁判を傍聴したことをきっかけに、社会の”異様な”変質の正体を理解する。
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【加虐】メディアの役割とは?森達也『A』が提示した「事実を報じる限界」と「思考停止社会」
オウム真理教の内部に潜入した、森達也のドキュメンタリー映画『A』は衝撃を与えた。しかしそれは、宗教団体ではなく、社会の方を切り取った作品だった。思考することを止めた社会の加虐性と、客観的な事実など切り取れないという現実について書く
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【恐怖】SNSの危険性と子供の守り方を、ドキュメンタリー映画『SNS 少女たちの10日間』で学ぶ
実際にチェコの警察を動かした衝撃のドキュメンタリー映画『SNS 少女たちの10日間』は、少女の「寂しさ」に付け込むおっさんどもの醜悪さに満ちあふれている。「WEBの利用制限」だけでは子どもを守りきれない現実を、リアルなものとして実感すべき
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【衝撃】壮絶な戦争映画。最愛の娘を「産んで後悔している」と呟く母らは、正義のために戦場に留まる:…
こんな映画、二度と存在し得ないのではないかと感じるほど衝撃を受けた『娘は戦場で生まれた』。母であり革命家でもあるジャーナリストは、爆撃の続くシリアの街を記録し続け、同じ街で娘を産み育てた。「知らなかった」で済ませていい現実じゃない。
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【勇敢】日本を救った吉田昌郎と、福島第一原発事故に死を賭して立ち向かった者たちの極限を知る:『死…
日本は、死を覚悟して福島第一原発に残った「Fukushima50」に救われた。東京を含めた東日本が壊滅してもおかしくなかった大災害において、現場の人間が何を考えどう行動したのかを、『死の淵を見た男』をベースに書く。全日本人必読の書
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【不満】この閉塞感は打破すべきか?自由意志が駆逐された社会と、不幸になる自由について:『巡査長 真…
自由に選択し、自由に行動し、自由に生きているつもりでも、現代社会においては既に「自由意志」は失われてしまっている。しかし、そんな世の中を生きることは果たして不幸だろうか?異色警察小説『巡査長 真行寺弘道』をベースに「不幸になる自由」について語る
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三権分立の一翼を担う裁判所のことを、私たちはよく知らない。元エリート裁判官・瀬木比呂志と事件記者・清水潔の対談本『裁判所の正体』をベースに、「裁判所による統制」と「権力との癒着」について書く。「中世レベル」とさえ言われる日本の司法制度の現実は、「裁判になんか関わることない」という人も無視できないはずだ
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「理不尽だなー」と感じてしまうことはよくあります。クレームや怒りなど、悪意や無理解から責められることもあるでしょうし、多数派や常識的な考え方に合わせられないとい…
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