目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:ペ・ドゥナ, 出演:キム・シウン, 出演:チョン・フェリン, 出演:カン・ヒョンオ, 出演:パク・ウヨン, 監督:チョン・ジュリ, プロデュース:キム・ドンハ, プロデュース:キム・ジヨン, Writer:チョン・ジュリ
ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- この映画は、単に「ブラック企業の酷さ」を描き出すだけの物語ではない
- 高校が「派遣会社」と化している現状と、その現実がもたらす悲惨な実態
- 韓国国内でもあまり知られていなかった事実を映画化した本作は、法改正を促すほどの影響力をもたらした
「調べても分からない空白部分を、敢えて創作によっては埋めない」という構成から、「真実を伝えたい」という制作側の強い想いを感じ取った
自己紹介記事
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韓国で実際に起こった事件を基にした映画『あしたの少女』は、「教育現場がブラック企業を生み出す構造」を炙り出した凄まじい作品
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衝撃的な作品だった。
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映画には、「実話を基にした作品である」のような表記はなかったと思う。恐らく実話ベースだろうと思いつつ、映画を観ている時にはその確信が持てなかった。調べてみると、やはり実話がベースの作品であるようだ。それを知ったことで、映画を観て感じたことがより一層重さを増したようにも感じられた。
あまりにも酷い現実である。
最近の話で言えば、自動車修理・中古車販売業「ビッグモーター社」の問題を思い出した。映画で描かれるのはコールセンターであり、自動車修理業とはかけ離れているが、本質的な部分は変わらない。つまり、「顧客の利益を毀損してでも、自社の利益を”強奪する”」というスタンスで企業活動を行っているのである。
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この「企業のスタンス」自体ももちろん大きな問題だ。もちろん、企業が存続するためには「キレイゴト」だけではどうにもならないと理解しているつもりだが、しかしやはり、「顧客の利益を毀損するやり方」は許されないだろう。
ただ重要なのは、「映画『あしたの少女』で描かれる現実は、単に一企業の問題に留まるものではない」という点だ。「何故そんな酷い経営が可能だったのか」という「構造的な問題」が指摘されているのである。そしてそこに、「いくらでも使い捨てが出来る」という「教育現場を含めた信じがたい仕組み」が見え隠れするというわけだ。
その仕組みを理解するために、まずは主人公キム・ソヒが何故コールセンターで働くことになったのか、その理由を見ていこう。
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愛玩動物管理科に通う高校生のソヒは、担任から実習先が指定された。それがコールセンターである。大手企業の下請けであるヒューマン&ネットでの仕事であり、教師は大いに喜んでいた。当校の実習先としては、これまでで最も大手の企業だからだ。ソヒは「やっとウチからも大手企業に人を送れる」「お前には期待してる」と言われ、ソヒ自身も「OLになるんだ」という期待で胸が膨らんでいた。
そして勤務初日を迎える。チーム長であるイ・ジュノはとても丁寧に仕事を教えてくれたのだが、渡されたマニュアルがとにかく酷かった。このコールセンターでは、サービスの解約を希望する客からの電話が掛かってくるのだが、マニュアルには、「様々な理由をつけて、いかに解約させずに電話を終わらせるか」についての手法が書かれていたのである。ソヒは、自分のやっている仕事に疑問を抱く。しかし、自分がここで頑張らなければ、学校に迷惑が掛かってしまう。自分は期待されている。とにかく頑張るしかないと、ソヒは目の前の仕事に必死に食らいついていく。
しかし、給料日になるとソヒは再び愕然とさせられる。教師からあらかじめ渡されていた「現場実習契約書」に記載されている金額通りには支払われなかったのだ。そのことを指摘すると、チーム長は「現場実習契約書」とは別の勤労契約書を提示し、そこに「状況によって賃金は変わる」と書かれていると説明した。それを聞いてソヒは引き下がる。しかし彼女の知るところではなかったが、「現場実習契約書」とは異なる契約を交わすことはもちろん法律違反だ。
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また、「解約阻止率などの実績を考慮し、インセンティブが支払われる」とも聞いていたソヒは、成績を上げているにも拘らずインセンティブがもらえない状況についても指摘した。すると、「すぐ辞められては困るので、実習生には1~2ヶ月先に支払うことにしている」とあしらわれてしまう。映画での描かれ方からするに、「本当はインセンティブなど支払うつもりなどなく、適当にごまかしているだけ」という感じがした。
そんなわけでソヒは、「実習」とは名ばかりの、社内の大人たちとまったく同じ仕事をさせられながら、高校生だという理由で低賃金で働かされている。高校生なのに、仕事が終わらないせいで20時前に帰れたことなどほとんどないのだが、その状況について後に指摘されると、会社は「インセンティブ目当てに自発的に残業する者がいる」などと実態とは異なる説明をしたりするのだ。
キム・ソヒは、このような状況にあった。これは決して、彼女に特有の事情ではない。韓国の高校生は皆、ほぼ同じような状況下に置かれているのだ。映画は、2016年から2017年に掛けてを舞台にしている。たかだか5年前の話なのだ。
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韓国の若者が置かれている状況について、なんとなく理解していただけただろうか?
「高校が企業に『実習』という名目で働き手を送り出す」という異様な構図
映画は冒頭からしばらくの間、「コールセンターで働くキム・ソヒ」を中心に展開する。そして後半から、「ペ・ドゥナ演じる女刑事が状況を捜査する」という物語が始まっていくのだが、そこで「韓国の教育現場の実情」が明らかになっていくのだ。
韓国の高校は実質的に、「安い労働力を企業に送り込む派遣会社」のような存在に成り下がっている。そう捉えると、キム・ソヒの状況を理解しやすいだろう。彼女は、自ら望んでコールセンターで働いているわけではない。「お前はここに行け」と、学校から「実習先」としてあてがわれているだけなのだ。
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この状況の困難さは、「『自分の意思で辞める』という選択肢がほぼ存在しない」という点にあると言っていいだろう。実習生は「学校の代表」であり、理由はどうあれ、「実習生が実習先の企業を辞めた」となれば、それは「学校のマイナス」と扱われてしまうのだ。生徒たちは、「期待している」などの言葉を教師から掛けられることで、そのような事情を理解する。だからこそ、送り込まれた先がどれほど酷かろうと、辞めずに頑張るしかなくなってしまうのだ。
映画の中である人物が、「実習先を辞めたいと学校に頼んだけど辞めさせてもらえなかったから、学校を辞めるしかなかった」みたいなことを口にする場面がある。あまりに酷すぎる状況だろう。しかし、映画の中ではさらっと描かれる場面でしかなく、だからこそ私は、「彼女のような状況は決してレアケースではないのだ」と受け取った。
これは相当に尋常ではない状況と考えていいのではないかと思う。
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さてそもそもだが、「愛玩動物管理科」に通っていたキム・ソヒが「コールセンター」で「実習」を行うというのはなかなかに意味不明だろう。せめて、動物と関わる実習先が用意されるべきではないのか。どうしてそのような状況になっているのか、その背景を知ろうと調べを進めた女刑事は、学校教育が置かれている状況を知ることになる。どの高校も、「生き残るのに必死」というわけだ。
映画で描かれているところによると、韓国の高校は、「新入生の入学率」と「実習生の就職率」の2点”のみ”で評価されるのだという。しかしそれは誰からの「評価」なのか。もちろん、「我が子をどの高校に入学させようかと考えている親」の目も意識しているとは思う。しかしそれだけではない。そもそも教育庁からの補助金が、「入学率」「就職率」の2点をベースに決められているのである。
だから、高校が生き残るためには、その2つの数字を高く維持し続けるしかない。そして、「就職率が下がるから」という理由で、高校は専攻に合った実習先を用意しないのだという。
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どういうことか。
生徒たちの専攻は、100%彼らの希望で決まるわけではない。というか、生徒が望むのとは異なる専攻になることが多いのだという。だから、専攻に合った実習先を選んでも、実習生が実習先でそのまま就職する可能性は低い。確かにキム・ソヒも、コールセンターでの実習が決まった時点では、「OLになれる」と喜んでいた。動物に関わる仕事に就きたかったわけでは恐らくないのだろう。
学校としては、「実習生の就職率」が下がるので、実習生が実習先でそのまま就職してくれないと困る。そこで、就職先として「生徒たちが希望しそうな一般企業」に頼んで実習生を受け入れてもらい、さらに生徒には「絶対に辞めるなよ」という”圧力”を掛けて送り出すというわけだ。
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そして当然のことながら企業側は、このような学校の事情をきちんと理解している。
状況を理解した上での「搾取」状態は、少しずつ変わり始めている
この状況を企業側から見れば、次のようになるだろう。高校の方から、「是非実習生を預かってほしい」とお願いに来るのだから、否もない。実習生の契約条件はあらかじめ決められるとはいえ、そんなものはどうとでもなる。安くこき使おうじゃないか。優秀な人間ならそのまま残ってもらえばいいし、無能なら使えるだけ使い倒して辞めてもらえばいい。「実習生の就職率」なんて知るか。都合の良い部分だけ利用させてもらおう。
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映画の中で、企業側のこのような思惑がはっきりと描かれるわけではなく、あくまでも私の勝手な想像に過ぎないが、しかし、映画で描かれるコールセンターの状況を見れば、大きくは捉え間違っていないはずだ。
なにせ、キム・ソヒが働いていたコールセンターの実態が凄まじい。なんと「全員が実習生」、つまり「リーダー以外全員が高校生」なのである。この企業はコールセンターのチームを5つ持っており、その内の1つが「実習生しかいないチーム」というわけだ。そして、他の4つのチーム(当然、社会人が働いている)と競わせ、成績が悪いと「他のチームと比べて劣っている」とボロクソに言われるのである。
なかなかにイカれた環境と言っていいだろう。
そもそもこのコールセンター、後に女刑事が調べたところによると、全社員650名程度の会社なのだが、その内の629名が昨年退職し、617名を新たに採用したことが分かっている。つまり、従業員のほとんどが入れ替わっているというわけだ。そんな会社がまともなはずがない。
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本来であれば教師は、生徒を送り込む企業について調べ、実際に訪問し、労働環境などをチェックしなければならないと定められている。しかし学校としては、「大手企業(実際にはその下請けだが)に実習生を送った」という実績が欲しい。だから、「禄な調査もしないまま、実習先として選定している」というのが実状なのだ。
本当に、知れば知るほど信じがたい状況である。あまりにも酷い世界だと思う。
先程も触れた通り、映画で描かれているのは2017年頃の話である。しかしその当時、このような状況は韓国国内でもほとんど知られていなかった。本当であれば、その当時起こったある「事件」をきっかけにこのような実態が明るみになり、社会問題化してもおかしくなかったはずだ。しかし残念ながらそうはならなかった。「事件」そのものは報じられたが、その背景についてはほとんど深入りされなかったからだ。高校も企業も教育庁も、「臭いものに蓋をしたい」という動機で一致していたのだろう。公式HPによると、ある人権活動家の働きかけによって多少は報道されたそうだが、大きな問題としては扱われなかったという。
しかし、まさにこの『あしたの少女』という映画が公開されたことをきっかけにして、韓国国内で「現場実習生の保護」を求める声が高まっていったのだそうだ。これは私にはかなり凄まじい話に思える。そしてなんと、通称「次のソヒ防止法」と呼ばれる改正案が国会を通過したというのだ。この映画の原題を直訳すると「次のソヒ」となる。つまり、まさにこの映画が、社会を動かす大きなきっかけを作ったというわけだ。いち映画が与えた影響としてはかなり大きなものと言えると思う。
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さて、実話を基にした映画が作られる場合、一般的には状況が一通り落ち着いてからになることが多いだろう。「事件が解決した」とか「被害者への補償が決まった」などの状況を経ないと、「物語」としてのまとまりを保つのが難しくなるからだ。
そしてそういう意味で、この『あしたの少女』という映画は、非常にまとまりのない形で終わる。当然だろう。この映画を制作している時には、「現場実習生を保護する改正案」の話など、まったく存在していなかったのだから。そのため、物語としての「不完全燃焼感」は強いのだが、それはある意味では、「まさにこの映画が現実に影響を及ぼした証」とも捉えられるだろう。
別に私は、「映画」というメディアに対して常にそのような影響力を求めているつもりはない。しかし、「自分が作りたいと思う作品を完成させた」その結果として社会が正しい方向に動いてくれるというのは、とても素晴らしいことだろうと思う。
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ちなみに、「韓国は酷いことをしているなー」と対岸の火事のように感じている人は、少し足元を見たほうがいいかもしれない。日本も同じようなことをしているからだ。高校生にではなく、外国人労働者に対してだが。
映画の内容からは少しズレるので詳しくは触れないが、日本には「外国人技能実習制度」と呼ばれる仕組みがある。国が行っている、「表向き」の理由がちゃんと存在する制度なのだが、現実には「移民を受け入れずに外国人の労働力を確保するための仕組み」でしかない。そしてこの「外国人技能実習制度」について知れば知るほど、韓国の高校生が置かれているのと大差ない現実に驚かされることになるだろうと思う。
以前読んだ、『人生格差はこれで決まる 働き方の損益分岐点』(木暮太一)という本に、こんな文章がある。
しかし本来、資本主義経済のなかで働くということは、(法律の範囲内で)ギリギリまで働かされることを意味します。
程度の差はあれ、資本主義経済のなかで生きる企業は、みな元来「ブラック」なのです。
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「マルクスの『資本論』をベースに考えれば、企業はすべて『ブラック』になって当然だ」と主張しているのだ。だからこそ、企業を適正に縛り付ける「法律」が必要とされるのであり、その「法律」を正しく守らせなければならないのである。
そうでなければ、「企業」はいつでも「化け物」に変貌出来てしまうというわけだ。
映画『あしたの少女』の内容紹介
キム・ソヒは、通っている近所のダンスクラブで「一番上手い」と褒められるのだが、それでも夜、誰もいなくなった練習場で、スマホで自撮りしながら延々とダンスの練習を続けるような女の子だ。映画の冒頭は、このダンスのシーンから始まる。
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そんなソヒは高校の実習先が決まり、大手企業の下請けであるコールセンターで働くことになった。1つ上の先輩で、実習先が工場であるテジュンの元へ向かった彼女は、「明日からOLになる」と彼に伝える。同じダンスクラブに通っていた仲間であり、その嬉しさを伝えたかったのだ。彼女は期待を胸に、実習先であるコールセンターへと向かう。
しかし、その業務はかなり辛いものだった。解約を希望して電話をしてくる客を無理やりにでも引き留めることが求められていたからだ。「解約阻止率」が「成績」とみなされ、チーム内の成績が日々壁に張り出されていく。また、5つあるチーム同士でも競わされており、チーム全体の成績が下がっても上司からどやされてしまうのだ。ソヒは「今ならこんなキャンペーンをやっています」と望んでもないキャンペーンを勧めたり、「高額な違約金が掛かります」と脅したりするような仕事にどうにも馴染めず、チーム長から発破をかけられることも多かった。
仕事の辛さから「辞めたい」と感じることも増えてきたが、担任からは「絶対に辞めるなよ」と言われるし、良い会社で働いていると考えている両親にも話せないままだ。仕事の忙しさの合間を縫うようにして仲の良い友人と会う機会もあるのだが、仕事の疲れやイライラから些細なことで言い争い、険悪な雰囲気になってしまうこともあった。
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しかし給料の支払いに関してチーム長と揉めてしまい……。
その後、女刑事が「事件」の捜査に乗り出していく。
映画『あしたの少女』の感想
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また、先程も少し触れたが、他の作品と異なる特徴として、「様々な事柄が投げっぱなしのまま終わる」という点が挙げられる。というか、「分からない部分を想像では埋めなかった」と言った方が正確かもしれない。
一般的に「実話を基にした作品」を作る場合、普通はそこに「創作」が入り込むことになる。「物語的に改変した方が面白くなるから」という理由ももちろんあるだろうが、他にも「『調べても絶対に分からないこと』は創作によって埋めるしかない」という事情もあるだろう。例えば、その実話に関わる人物が既に亡くなっている場合、その人物が当時どのように感じていたのかや、記録が存在しない場所でどんな行動を取っていたのかなどは、やはりどれだけ調べようが空白として残ってしまう。そして、そういう部分を創作で埋めているからこそ、「実話を”基に”している」という表記になるわけだ。
しかし映画『あしたの少女』では、「分からない部分を『創作』で埋める」ことをせずに制作しようと努力したのではないかと感じた。公式HPによると、映画後半の女刑事視点の物語は監督による創作らしいが、わざわざそう記載するということは、前半のキム・ソヒの物語はかなり事実に忠実だと捉えてもいいのではないかと思う。確かに観ている限り、「客観的な事実の積み重ねで描写できそうなシーン」がほとんどであるように感じられた。
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そしてだからこそ、「『想像で埋めなければならないはずの空白』がそのまま残っている」という事実に、違和感を覚えたのかもしれない。というか、そういう構成だったからこそ、「実話を基にした物語」のような表記が映画冒頭になかったにも拘らず、「きっとこれは実話を基にしているのだろう」と感じられたのだと思う。
恐らくこのようなスタンスになったのも、「事件」が一段落ついたという状態に達していなかったが故だろう。一定の評価なり捉えられ方なりが定まった状況に対してであれば、改変や創作の余地もあるだろうと思う。しかしこの映画を制作した時点では、そもそも問題そのものが広く知られてさえいない状態だった。だから、「フィクション」という形を取りながら、出来るだけ「ドキュメンタリー」に近いような作品を目指し、「まずは事実を届かせる」という点に注力しようとしたのではないだろうか。
そのような思惑で映画を作ったのだとしたら、まさにそれは見事な形で実を結んだと言っていいと思う。また、なかなか感じられないような「不穏さ」を残した造りにしたことで、なんとも言い難い強い印象を残す作品に仕上がったと言ってもいいだろう。さらに、ペ・ドゥナが登場する後半は、「真相の解明」よりも「無力感の共有」に焦点が当てられているように思えるし、そこには「どうかこの事実が多くの人の目に触れてほしい」という監督の強い想いが込められているようにも感じられた。
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さて、1つだけ不満を挙げるとするなら、ペ・ドゥナ演じる女刑事の背景がもう少し伝わる何かがあればよかったと思う。今触れた通り、女刑事のパートは「無力感の共有」こそが目的だと思うので、だからこそ「何故彼女はこの『事件』に執着したのか」という描写がある方が良かった気がする。少なくとも私が観た限りにおいては、彼女がそのような強い動機を抱く背景を理解することは出来なかった。
作中では、「元々事務職として勤務していたが、最近異動で刑事課に移ってきた」「休暇が明けてすぐに担当した『事件』である」「休暇の理由には恐らく、彼女の母親が何らかの形で関係している」みたいなことは示唆される。しかしそれ以上には、彼女自身の背景は描かれない。それでいて彼女は、刑事課に移ってきたばかりにも拘らず、上司の反対を押し切ってまでこの「事件」の捜査にこだわるのだ。
138分というなかなかの長尺の作品であり、女刑事の背景を描く余裕はなかったのかもしれないが、気になる要素をいくつか置き去りにしたまま物語が閉じてしまったので、そこは少し気になった。キム・ソヒについては「空白を想像で埋める」ことを避ける意図があったと理解できるが、女刑事のパートはそもそもが創作なのだから、もう少し突っ込んだ描写があっても良かったように思う。
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さて最後に、本筋とはまったく関係のない、どうでもいい話をして終わりにしよう。
まず、私としては大変珍しいことなのだが、ペ・ドゥナの顔がとても好みだなと感じる。普段私は、異性かどうかに限らず、「顔が好みかどうか」みたいな判断をあまりしない。もちろん、「綺麗だ」「可愛い」みたいに思うことはいくらでもあるのだけれど、「顔が好みだ」と感じることはほとんどないのだ。私が今思い出せる範囲では、「顔が好み」と感じる相手は、ペ・ドゥナ、サリー・ホーキンス、そして古川琴音だけである。
ペ・ドゥナのことは、『ベイビー・ブローカー』で初めてちゃんとその存在を認識したように思う。そして、『ベイビー・ブローカー』でも本作『あしたの少女』でも同様なのだが、私はどうも「一切笑わない、疲れ切ったようなペ・ドゥナの顔」がとても好きみたいだ。ネットでペ・ドゥナが笑っている写真を調べたりもしたが、どうもピンと来ない。無表情で生気が無いみたいに思える彼女の顔がとても良いなと思う。まあ、実にどうでもいい話だが。
さてもう1つ気になったのは、「高校生なのに、キム・ソヒたちが普通に酒を飲んでいること」である。調べてみると、韓国では19歳から酒を飲んでいいそうだが、それだと計算が合わないように思う。高校3年生だとしても、18歳が普通だろう。
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しかしそう考えて、少し前に見たニュースのことを思い出した。韓国で、「年齢の数え方が変更された」というものだ。この映画は、年齢の数え方が変わる前の時代のことを描いているので、そう考えると辻褄が合う。
韓国での以前の年齢の数え方は、「生まれた年を1歳とし、1月1日になったら1歳年を取る」というものだった。例えば極端な話、12月31日に生まれた場合、生まれた瞬間に1歳、さらに翌日の1月1日に2歳になるという計算になる。生まれてからたった2日で2歳になってしまうのである。この場合、高校生で19歳になるという状況は自然なので、飲酒も可能なのだろう。
しかし最近韓国は、「現在の年度から出生年度を引いた数字を年齢とする」という、要するに日本と同じ年齢の数え方を採用した。私が見たニュースでは、「K-POPアイドルが2歳ぐらい若返る」みたいな話題として取り上げられていたはずだ。しかし、「酒が飲めるのは19歳から」というルールは変わらないらしいので、今後高校生の飲酒は認められなくなるのだろう。
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「新卒で一括採用し、社員のクビを簡単には切れず、終身雇用が当たり前」みたいな日本の雇用形態が「世界と比べておかしい」と批判されることがある。まあ、私もその捉え方に意義を唱えるつもりはない。しかし一方で、映画『あしたの少女』が示すように、雇用に関する制約を緩めれば緩めるほど、企業は法律の裏を掻い潜って自社の利益のために人間を酷使しようとすることもまた事実である。「競争原理を導入することで、優秀な人間が適切な労働環境で働けるようにする」という方向はもちろん間違っていないと思うが、やはり一定の制約は残しておかなければ、企業が「怪物」になるのを手助けするだけになってしまうだろう。
韓国の話ではないが、中国では若者の失業率がかなり高くなっており、先日見たテレビ番組では、16歳から24歳の失業率が50%に達しているのではないか、とも指摘されていた。「達しているのではないか」と何故断定できないのかと言えば、中国が失業率の公表を止めたからだ。都合の悪いことは隠したいのだろう。中国では「専業子ども」といって、「家事手伝いなどをすることで親から給料をもらう」みたいな形で「就職」する若者が増加しているという。中国に関しては「雇用の制約」ではなく「景気の問題」だと思うのでまた状況は異なるが、いずれにしても「失業率が高いこと」が国にとって喜ばしいことではないのは間違いないだろう。
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企業の成長も大事だが、私は個人的に、「国民全員にそれなりに働き場所がある」ということも大事だと思っているし、やはりそのことが一定程度実現されるように雇用のルールが定められているべきだとも考えている。今後日本は、人口減少に伴って働き手が減る一方で、AIの導入によって不要とされる仕事も増えていくという、なかなか舵取りの難しい時代に入っていくはずだ。そういう中で、企業の自主性だけに任せるような仕組みにしてしまえば、また別の形で『あしたの少女』で描かれるような問題が生まれ得るだろう。
そうならないためにも、「雇用に関する制約をどのように設けるか」については慎重に制度設計される必要があると改めて感じさせられた。
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実際に起こった衝撃的な事件に着想を得て作られた映画『ルーム』は、フィクションだが、観客に「あなたも同じ状況にいるのではないか?」と突きつける力強さを持っている。「普通」「当たり前」という感覚に囚われて苦しむすべての人に、「何に気づけばいいか」を気づかせてくれる作品
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【感想】映画『野火』は、戦争の”虚しさ”をリアルに映し出す、後世に受け継がれるべき作品だ
「戦争の悲惨さ」は様々な形で描かれ、受け継がれてきたが、「戦争の虚しさ」を知る機会はなかなかない。映画『野火』は、第二次世界大戦中のフィリピンを舞台に、「敵が存在しない戦場で”人間の形”を保つ困難さ」を描き出す、「虚しさ」だけで構成された作品だ
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【残念】日本の「難民受け入れ」の現実に衝撃。こんな「恥ずべき国」に生きているのだと絶望させられる…
日本の「難民認定率」が他の先進国と比べて異常に低いことは知っていた。しかし、日本の「難民」を取り巻く実状がこれほど酷いものだとはまったく知らなかった。日本で育った2人のクルド人難民に焦点を当てる映画『東京クルド』から、日本に住む「難民」の現実を知る
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【実話】権力の濫用を監視するマスコミが「教会の暗部」を暴く映画『スポットライト』が現代社会を斬る
地方紙である「ボストン・グローブ紙」は、数多くの神父が長年に渡り子どもに対して性的虐待を行い、その事実を教会全体で隠蔽していたという衝撃の事実を明らかにした。彼らの奮闘の実話を映画化した『スポットライト』から、「権力の監視」の重要性を改めて理解する
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【不正義】正しく行使されない権力こそ真の”悪”である。我々はその現実にどう立ち向かうべきだろうか:…
権力を持つ者のタガが外れてしまえば、市民は為す術がない。そんな状況に置かれた時、私たちにはどんな選択肢があるだろうか?白人警官が黒人を脅して殺害した、50年前の実際の事件をモチーフにした映画『デトロイト』から、「権力による不正義」の恐ろしさを知る
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【驚愕】正義は、人間の尊厳を奪わずに貫かれるべきだ。独裁政権を打倒した韓国の民衆の奮闘を描く映画…
たった30年前の韓国で、これほど恐ろしい出来事が起こっていたとは。「正義の実現」のために苛烈な「スパイ狩り」を行う秘密警察の横暴をきっかけに民主化運動が激化し、独裁政権が打倒された史実を描く『1987、ある闘いの真実』から、「正義」について考える
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【葛藤】子どもが抱く「家族を捨てたい気持ち」は、母親の「家族を守りたい気持ち」の終着点かもしれな…
家族のややこしさは、家族の数だけ存在する。そのややこしさを、「子どもを守るために母親が父親を殺す」という極限状況を設定することで包括的に描き出そうとする映画『ひとよ』。「暴力」と「殺人犯の子どもというレッテル」のどちらの方が耐え難いと感じるだろうか?
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【勇敢】”報道”は被害者を生む。私たちも同罪だ。”批判”による”正義の実現”は正義だろうか?:『リチャ…
「爆弾事件の被害を最小限に食い止めた英雄」が、メディアの勇み足のせいで「爆弾事件の犯人」と報じられてしまった実話を元にした映画『リチャード・ジュエル』から、「他人を公然と批判する行為」の是非と、「再発防止という名の正義」のあり方について考える
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【真実?】佐村河内守のゴーストライター騒動に森達也が斬り込んだ『FAKE』は我々に何を問うか?
一時期メディアを騒がせた、佐村河内守の「ゴースト問題」に、森達也が斬り込む。「耳は聴こえないのか?」「作曲はできるのか?」という疑惑を様々な角度から追及しつつ、森達也らしく「事実とは何か?」を問いかける『FAKE』から、「事実の捉え方」について考える
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【告発】アメリカに”監視”される社会を暴露したスノーデンの苦悩と決断を映し出す映画:『スノーデン』…
NSA(アメリカ国家安全保障局)の最高機密にまでアクセスできたエドワード・スノーデンは、その機密情報を持ち出し内部告発を行った。「アメリカは世界中の通信を傍受している」と。『シチズンフォー』と『スノーデン』の2作品から、彼の告発内容とその葛藤を知る
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【危機】教員のセクハラは何故無くならない?資質だけではない、学校の構造的な問題も指摘する:『スク…
『スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか』では、自分が生徒に対して「権力」を持っているとは想像していなかったという教師が登場する。そしてこの「無自覚」は、学校以外の場でも起こりうる。特に男性は、読んで自分の振る舞いを見直すべきだ
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【絶望】「人生上手くいかない」と感じる時、彼を思い出してほしい。壮絶な過去を背負って生きる彼を:…
「北九州連続監禁殺人事件」という、マスコミも報道規制するほどの残虐事件。その「主犯の息子」として生きざるを得なかった男の壮絶な人生。「ザ・ノンフィクション」のプロデューサーが『人殺しの息子と呼ばれて』で改めて取り上げた「真摯な男」の生き様と覚悟
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【現実】東日本大震災発生時からの被災地の映像には、ニュースで見る「分かりやすさ」は微塵もない:『…
東日本大震災発生直後からカメラを回し、被災地の現実を切り取ってきたテレビ岩手。「分かりやすさ」が優先されるテレビではなかなか放送できないだろう映像を含め、「分かりにくい現実」を切り取った映像で構成する映画『たゆたえども沈まず』は静かな衝撃をもたらす作品
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【誠実】想像を超える辛い経験を言葉にするのは不可能だ。それを分かってなお筆を執った作家の震災記:…
旅行者として東日本大震災で被災した小説家・彩瀬まるは、『暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出』でその体験を語る。「そんなこと、言わなければ分からない」と感じるような感情も包み隠さず記し、「絶望的な伝わらなさ」を感じながらも伝えようと奮闘する1冊
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【称賛】生き様がかっこいい。ムンバイのホテルのテロ事件で宿泊客を守り抜いたスタッフたち:映画『ホ…
インドの高級ホテルで実際に起こったテロ事件を元にした映画『ホテル・ムンバイ』。恐ろしいほどの臨場感で、当時の恐怖を観客に体感させる映画であり、だからこそ余計に、「逃げる選択」もできたホテルスタッフたちが自らの意思で残り、宿泊を助けた事実に感銘を受ける
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【権利】「難民だから支援すべき」じゃない。誰でも最低限の安全が確保できる世界であるべきだ:映画『…
難民申請中の少年が、国籍だけを理由にチェスの大会への出場でが危ぶまれる。そんな実際に起こった出来事を基にした『ファヒム パリが見た奇跡』は実に素晴らしい映画だが、賞賛すべきではない。「才能が無くても安全は担保されるべき」と考えるきっかけになる映画
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【驚愕】「金正男の殺人犯」は”あなた”だったかも。「人気者になりたい女性」が陥った巧妙な罠:映画『…
金正男が暗殺された事件は、世界中で驚きをもって報じられた。その実行犯である2人の女性は、「有名にならないか?」と声を掛けられて暗殺者に仕立て上げられてしまった普通の人だ。映画『わたしは金正男を殺していない』から、危険と隣り合わせの現状を知る
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【誤り】「信じたいものを信じる」のは正しい?映画『星の子』から「信じること」の難しさを考える
どんな病気も治す「奇跡の水」の存在を私は信じないが、しかし何故「信じない」と言えるのか?「奇跡の水を信じる人」を軽々に非難すべきではないと私は考えているが、それは何故か?映画『星の子』から、「何かを信じること」の難しさについて知る
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【排除】「分かり合えない相手」だけが「間違い」か?想像力の欠如が生む「無理解」と「対立」:映画『…
「共感」が強すぎる世の中では、自然と「想像力」が失われてしまう。そうならないようにと意識して踏ん張らなければ、他人の価値観を正しく認めることができない人間になってしまうだろう。映画『ミセス・ノイズィ』から、多様な価値観を排除しない生き方を考える
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【危機】遺伝子組み換え作物の危険性を指摘。バイオ企業「モンサント社」の実態を暴く衝撃の映画:映画…
「遺伝子組み換え作物が危険かどうか」以上に注目すべきは、「モンサント社の除草剤を摂取して大丈夫か」である。種子を独占的に販売し、農家を借金まみれにし、世界中の作物の多様性を失わせようとしている現状を、映画「モンサントの不自然な食べもの」から知る
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【衝撃】森達也『A3』が指摘。地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教は社会を激変させた
「オウム真理教は特別だ、という理由で作られた”例外”が、いつの間にか社会の”前提”になっている」これが、森達也『A3』の主張の要点だ。異常な状態で続けられた麻原彰晃の裁判を傍聴したことをきっかけに、社会の”異様な”変質の正体を理解する。
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【加虐】メディアの役割とは?森達也『A』が提示した「事実を報じる限界」と「思考停止社会」
オウム真理教の内部に潜入した、森達也のドキュメンタリー映画『A』は衝撃を与えた。しかしそれは、宗教団体ではなく、社会の方を切り取った作品だった。思考することを止めた社会の加虐性と、客観的な事実など切り取れないという現実について書く
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【衝撃】壮絶な戦争映画。最愛の娘を「産んで後悔している」と呟く母らは、正義のために戦場に留まる:…
こんな映画、二度と存在し得ないのではないかと感じるほど衝撃を受けた『娘は戦場で生まれた』。母であり革命家でもあるジャーナリストは、爆撃の続くシリアの街を記録し続け、同じ街で娘を産み育てた。「知らなかった」で済ませていい現実じゃない。
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【勇敢】日本を救った吉田昌郎と、福島第一原発事故に死を賭して立ち向かった者たちの極限を知る:『死…
日本は、死を覚悟して福島第一原発に残った「Fukushima50」に救われた。東京を含めた東日本が壊滅してもおかしくなかった大災害において、現場の人間が何を考えどう行動したのかを、『死の淵を見た男』をベースに書く。全日本人必読の書
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三権分立の一翼を担う裁判所のことを、私たちはよく知らない。元エリート裁判官・瀬木比呂志と事件記者・清水潔の対談本『裁判所の正体』をベースに、「裁判所による統制」と「権力との癒着」について書く。「中世レベル」とさえ言われる日本の司法制度の現実は、「裁判になんか関わることない」という人も無視できないはずだ
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「理不尽だなー」と感じてしまうことはよくあります。クレームや怒りなど、悪意や無理解から責められることもあるでしょうし、多数派や常識的な考え方に合わせられないとい…
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