目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
「これは君の闘争だ」HP
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
今どこで観れるのか?
公式HPの劇場情報を御覧ください
この記事の3つの要点
- デモに関わった3人の当事者がフリートークのようにしてナレーションをつけていく構成が、ドキュメンタリー映画としてはかなり異例だと思う
- 私は基本的に暴力には反対だが、「暴力で訴える以外に方法は無い」という状況も存在すると考えている
- ブラジルの若者たちによる「楽しそうなデモ」の様子から、私たち日本人が学べることは多いのではないだろうか
テーマ的にはかなりハードな現実が描かれるが、ナレーションがとてもポップなので、ドキュメンタリーを観慣れない人でも楽しめる作品だと思う
自己紹介記事
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記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
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とても良い映画だった。本当、若い人ほど観た方がいい作品だと思う。
私は別に、「この映画に出てくる若者のように闘うべきだ」などと考えているわけではない。ただ本作は、「何に疑問を抱くべきなのか?」「抱いた疑問に対してどう行動すべきなのか?」について考えさせてくれるという意味で価値があると考えているのである。決して若者に限らないが、現代を生きる人の多くは、「現状に対する疑問」をはっきりとは認識していなかったり、それを認識していても特に何も行動しなかったりするように思う。年齢が上の世代ならある程度もう「人生を諦めるモード」にいるだろうから別にいいと思うが、若い世代はそんな風には思えないはずだ。
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だったら、やはり闘うしかない。
というか、実際に闘うかどうかは別として、疑問を抱いたり、どんな風に行動すべきかを考えたりする機会はやはりあってもいいんじゃないかと思う。本作は、そういう視点がかなり失われているだろう現代日本に生きる人々に、「考えるきっかけ」を与えてくれる作品と言えるだろう。
ドキュメンタリーを普段観ない人でも触れやすい、非常に珍しい構成の映画
本作はまず、その構成が非常に面白い。私は結構ドキュメンタリー映画を観る方だが、なかなかこのような作りの作品は観たことがないと思う。
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さて、本作で扱われているのは、「ブラジルの公立校に通う学生たちが抗議のために様々な活動をし、最終的に学校を占拠するに至る過程」である。デモや占拠の実際の映像、当時のニュース番組や政治家たちの発言など様々な映像が組み合わされ1本の映画に仕上がっているのだが、まあそれ自体はよくある構成だろう。
違うのは、ナレーションである。本作では、「3人の若者がお喋りをしているようなナレーション」がつけられているのだ。これが非常に斬新だった。
デモ活動時この3人は高校生であり、学生運動の中核に位置していた中心人物である。そしてこの3人によるナレーションは、普通にイメージするような感じではない。恐らく、ナレーション録りしている場で映画の実際の映像が流されているのだろう、それを観ながら3人がワイワイ喋っているみたいなナレーションなのだ。なんとなくだが、「最低限の台本しかない」みたいな印象だった。
ちゃんとイメージしてもらえているか分からないが、日本のバラエティでよくある、「衝撃映像を観ながら、ワイプに映っている芸能人がワチャワチャ喋っている」みたいな感じを想像してもらえればいいだろう。ドキュメンタリー映画としてはかなり珍しいタイプだと思うが、少なくとも私にはまったく違和感がなかった。それに、このようなナレーションになっているお陰で、普段ドキュメンタリー映画を観ない人にも観やすい作品に仕上がっているとも思う。
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まさに学生運動に関わっていた本人が、「うわー、あん時は大変だったなぁ」「ねぇ、ちょっとこっちの話を先にしてもいい?」「あの頃は髪型がフラフラ定まらなかった時期だー」などとかなり自由に喋りながら、時折きちんと「ブラジルの状況を詳しく知らないだろう人」向けに状況説明も入れるというスタイルである。状況説明だけはなんとなくの台本がありそうだが、それ以外はフリートークのように感じられた。これによって「堅苦しいドキュメンタリー映画」という印象がまったく無い作品に仕上がっており、「ドキュメンタリー映画なんて一度も観たことがない」みたいな人でも、結構チャレンジしやすいと思う。扱われているテーマはかなり厳しい現実だが、当事者たちがそれを楽しそうに話しているのを聴きながら観ると、悲壮感もあまり感じずに済むだろう。
なかなか珍しい「楽しく観られるドキュメンタリー映画」というわけだ。
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さて、映画の内容についてあれこれ書く前に、まず1つ触れておきたいことがある。私が「暴力」についてどのような考えを持っているかについてだ。映画では、高校生たちが「デモ」と称して、様々な場所を占拠したり、道路を強制的に封鎖したり、市議会の扉を壊そうとしたりする様子が映し出される。それらはもちろん、一般的に「暴力」と呼ばれるものだ。だから、「暴力」に対して私がどのように考えているのか説明しておく方がいいだろう。
基本的に私は暴力を肯定できない。しかし、「暴力に訴え出る以外に手段が無い」という状況も存在するはずだと思う。そして「暴力に訴え出る以外に手段が無い」と言えるのは、「立場の弱い者が、立場の強い者に闘いを挑む場合」だけだと考えている。
映画の中で誰かが、次のようなことを言う。
抵抗は、私たちの唯一の手段。
観れば、確かにそのことが実感できるだろう。学生運動に参加している公立校の学生たちは、ほとんど何も持っていないのだ。というわけでここで、彼らがどんな状況に置かれているのかについて少し触れておこうと思う。
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ブラジルでは、公立校に通うのは「貧困層」と決まっているのだそうだ。では「貧困層」はどのような生活をしているのか。親の給料は、最低賃金の月250ドル。その一方で、地下鉄の運賃は95セントもする。約1ドルだと考えると、月給の250分の1。月給25万円で換算すると、地下鉄の運賃が1000円ということになる。とてもじゃないが、通学で使えるような値段ではないだろう。またある学生は、「常に『家賃か食費か』の選択に迫られていた」と口にしていた。そもそもが「学校に通うかどうか」以前の問題というわけだ。
また貧困家庭にとって、学校給食は割と生命線と言えるはずだが、実際のところ中身はスカスカで、1食14セントしか掛けられていない。一方で、軍警察が学生運動を鎮圧するために打ち込む催涙弾は、1発で75ドルもする。たった1発で529食の給食が賄えるし、この映画で映し出される催涙弾だけでも、16399食分になるそうだ。ホントに、「そんなことに金を使うぐらいなら、給食をどうにかしてくれよ」と言いたくもなるだろう。
また教育内容についても公立校の学生には不利な点がある。ブラジルでは長く独裁政権が続いたこともあり、私立校ではどうか分からないが、少なくとも公立校では「デモ」「革命」「無政府主義」などについて学ぶ機会はないのだそうだ。いや、実はそんなレベルの話ではない。学校ではなんと、「議論や質問の仕方」さえ教えないのだという。教育の時点で既に、国による「弾圧」が始まっていると言っていいだろう。なかなかに酷い状況だ。
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そして、そんな公立校に通う若者が、「より良い教育」を求めて立ち上がったことがきっかけで大きなうねりが生み出されることになった。そんな学生運動を描くのが本作なのである。彼らは金が無く、真っ当な教育を受けていないため知識も不足しており、さらに「後ろ盾となる団体」も何も無いという状態で市・州・国に闘いを挑む。「学生という身分」だけを引っ提げて、身一つで抵抗を始めるのだ。
そして私は、そんな徒手空拳の彼らだからこそ「暴力」も許容され得ると考えている。もちろん、非暴力を貫いたというガンジーのようなスタンスも素晴らしい。しかしやはり、それは1つの理想でしかない。現実的には、何も持たない者が国家権力に立ち向かおうとすれば、どうしたって「暴力」を介在させるしかないだろう。「持たざる者」が立ち上がって団結した際、「主張するための手段」として「暴力」を選択すること自体は、許容するしかないだろうと私は考えているのである。
これが私の大前提だ。つまり、「学生たちの『暴力』は、行為としてはもちろん良くないが、彼らが置かれている酷い状況と目指すべき目的を踏まえると、仕方ないものとして許容されてもいい」という意味である。作中では、イギリス女性が参政権獲得のために行った「サフラジェット運動」に言及する者もいた。やはりその際も、死を覚悟して線路に寝転んだり、窓ガラスを割ったりと、かなり暴力的な行為が行われたそうだ。「状況を打破するには『暴力』に頼らざるを得ないこともある」という1つの事例と言っていいだろう。
さて、私が「暴力」についての話をしたので、「若者たちが酷い行為を繰り返して無理やり主張を通そうとする運動」と勘違いする人もいるかもしれない。しかし、映画を観る限りではそうではなそうだ。確かに彼らは、「暴力」に括られる行為を行う。しかしそれらはあくまでも「主張するための手段」であり、「最低限必要なレベル」と感じる人の方が多いのではないかと思う。「必要があってそうしている」のであって、「無闇に暴れている」なんてことではないのだ。
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もちろん穿った見方をすれば、「映画ではそのような『穏やかな場面』が使われているだけで、実際にはもっと酷い行為をしていたこともある」と捉えることも可能だろう。しかし、これはあくまでも私の印象に過ぎないが、恐らくそうではないと思っている。彼らはきっと、他に手段があれば、真っ当なやり方で自らの主張を展開したはずだ。しかし、それが不可能だからやむを得ず「暴力」に訴え出ているのだという風に見えた。まあ、特に根拠はないのだが。
若者たちがデモを起こしたきっかけと、その後の経緯
それでは、彼らがいかにして立ち上がり、「学校の占拠」にまで至ったのかについて、時系列順に説明していくことにしよう。ちなみにだが、映画はまったく時系列順には進んでいかない。人によっては「捉えにくい」と感じるかもしれないが、私は「より興味を惹ける話題を優先して出している」と感じたので、とても良いやり方だと思っている。
学生たちが抗議の声を上げるきっかけとなったのが、2013年の「バス運賃値上げ問題」だった。サンパウロ市内のバス運賃は上がり続け、通学はもちろん通勤にも支障が出るような状況になっていたのである。お金に余裕がある世帯なら大きな痛手ではなかったかもしれないが、貧困層にとってバス運賃は死活問題だ。そこで、学生を中心に「バスの値上げをするな」という抗議の声が上がるようになる。
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しかし2015年、学生にとってより深刻な事態が持ち上がった。それが、「公立校の再編問題」だ。サンパウロ市が打ち出した計画はかなりの規模のもので、93の公立校を閉鎖し、30万人以上の学生を転校させようというものだった。比較になるか分からないが、私がネットで調べた限りでは、東京都の公立高校の数は186校である。サンパウロ市にいくつ公立校があるのか不明だが、恐らくかなりの割合で閉鎖が計画されていたと考えていいだろう。
当然、公立校に通う学生たちは猛反発した。そしてこれを機に、
知事よ、学校は我らのもの!
と叫ぶ抗議活動が積極的に展開されることになったのである。
しかし、どうして「93もの公立校の閉鎖」などという計画が打ち出されたのだろうか。学生たちはその理由を、「選挙が近いから、金を捻出したいのだろう」と推測していた。その推測が正しいのかは不明だが、もちろん市としては「表向きの理由」を発表している。それが、「公立校に通う学生が少なくなっている」というものだ。確かに、それを示すデータも存在する。1998年から2015年に掛けて、公立校に通う学生は20万人も減ったのだそうだ。
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だったら、再編案も妥当なのではないか。そう感じる人もいるだろう。しかしそうではない。何故なら「公立校に通う学生が減っている背景」には、深刻な問題があるからだ。
それが「囚人の数」である。なんと、サンパウロ市で収監されている囚人の数は、以前と比べて4倍になっているのだそうだ。また、ブラジルの囚人数は、世界で3番目に多く、逮捕されるのは黒人・貧困層・若者ばかりだという。
つまりこういうことだ。「貧困層の若者が通う公立校の学生が減っている」のは、裏返せば「彼らが逮捕されているから」であり、さらに学生たちは、「不当に逮捕される者が多い」と考えているのである。彼らのこの主張が正しいなら、確かに「公立校の学生が減っているから再編する」という話に納得できるはずもないだろう。公立校の学生を減らしているのは、不当な逮捕をしている国の方なのだから。映画には、このような状況を、
10年以内に、学校よりも刑務所の数の方が上回ってしまう。
と端的に表現する学生が出てきた。なるほど、これは深刻な問題と言っていいだろう。
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このような状況を打開すべく、学生たちは様々な運動を展開して抗議を続けるわけだが、どうにも事態が快方には向かわない。彼らはこのまま、座して「93校の閉校」を見守るしかないのだろうか。
そんな中で起こったのが、チリの学生による「ペンギン革命」である。チリの学生も彼らと同様「より良い教育」を求めており、なんと「学校の占拠」に踏み切ったのだ。このニュースを知り、サンパウロの学生たちも「これだ!」と感じたのである。
早速、サンパウロ市でも学校の占拠が始まった。先陣を切ったのはジアデマ高校。そしてそれに続き、名門として知られるフェルナォン高校でも占拠が始まったことで、世間は衝撃を受けた。その後様々な高校にも伝播し、実に200以上の学校で「生徒による占拠」が行われるまでになったのである。
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これらの行動はすべて、各学校の生徒の判断に委ねられた。学校によっては、生徒たちの判断で「占拠は行わない」と決まったところもある。また占拠を実行に移した学校でも、その意思決定は非常に民主的に行われたという。例えば、普段学校では「掃除・料理は女性の仕事」とされているそうだが、占拠期間中は男も女も関係なくすべてを全員で分担したのである。ある女子学生は、
必然的に、男性優位の社会に反旗を翻す形になったのは良かった。
みたいなことを口にしていた。「彼らがいかに可能な限り平和裏に抗議活動を行おうとしていたか」が窺えるエピソードだと言っていいだろう。映画では、占拠中の内部の様子を撮影した映像も組み込みながら、占拠の様子が伝えられていく。
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しかし「生徒による占拠」は結果として、ブラジル国内ではあまり報道されなかったそうだ。その理由についてはあまり詳しく触れられていなかったが、恐らく多くの人が、「どうせ貧困層の問題だし、自分たちには関係ない」と考えていたのではないかと思う。作中ではある男性が、
こっちは税金を払ってるんだ。学校なんて知るか。
と、学生たちに声を荒らげる場面さえあった。これが、大方の市民に共通する感覚なのかもしれない。
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「占拠」という手段をもってしても世間の関心を集められなかった彼らは、やむを得ず「道路の封鎖」という実力行使に打って出る決断をする。車通りが少なくなった瞬間を狙って道路に飛び出し、そのまま学校から持ち出した椅子に座って通行を妨害し始めたのだ。
学校の占拠に対しては静観を続けていた軍警察も、道路の封鎖となればやはり対処せざるを得ない。しかし彼らは驚くべきことに、学生の排除のためだけに市街地で催涙弾を使用したのだ。これをきっかけに、学生と軍警察の衝突は激しさを増していく。もちろんマスコミでも報じられるようになり、それを受けて当時の大統領の支持率は急落、サンパウロ市は結局「学校再編を先延ばしにする」と発表するに至ったのである。
「これでめでたしめでたし」とは行かなかったのが残念なところだろう。「ここで終わればハッピーエンドだったんだけどな」とナレーションの1人が言っていたように、争いは終わらなかった。別の問題が発覚し、それに抗議するデモを行うことになったのだ。しかしその後、「すべての社会運動を潰す」と公言して就任したボルソナロ大統領の登場で、状況は一層悪くなってしまう。
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本作は、このような状況が扱われる映画なのである。
さて、映画の上映後には、監督からの日本人向けのメッセージ動画が流れた。その中では監督が、状況の厳しさについて語っている。
本作はボルソナロ大統領就任直前に完成し、就任の2ヶ月後に国内での上映が開始された。なかなか凄まじいタイミングだったと言えるだろう。現大統領を批判する内容を含む映画であり、監督は作中に登場する学生たちに何か危険が及ぶのではないかと、上映中止も検討したという。しかし学生たちと話すと、「今公開しなくてどうするんだ」という反応ばかりが返ってきたらしく、それで公開を決断したのだそうだ。本当に、ギリギリの状況だったことが伝わるエピソードだった。
良い意味でも悪い意味でも、日本ではこのようなデモは起こらないように思う
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色々と考えさせられる映画だったが、一番強く感じたのはやはり、「日本ではきっと、このような学生運動はもう起こらないだろうなぁ」ということだ。それは、ある面では良いことだろうし、ある面では悪いことだと思う。
良い面で言えば、「日本の学生が置かれている状況は、ブラジルほど酷くはないはず」という点が挙げられる。ブラジルでは「公立校に通うのは貧困層だけ」という状況になっているそうだが、日本の場合は、お金のある無しに関係なく、子どもを公立校に通わせる選択は全然あるだろう。学校個別に様々な問題を抱えていたりはするだろうし、私が知らないだけで「公立校全体に関わる問題」もあったりするのかもしれないが、少なくとも作中のブラジルのような酷い状況にはないはずだ。そういう意味で、こういうデモは起こらないだろうと考えている。
しかし一方で、もしも日本が本作で描かれるような状況に陥ってしまった場合、ブラジルの学生と同じように立ち上がれるのかというと、たぶんそうはならないと思う。これが悪い面である。「一昔前には日本でも学生運動が行われていた」という事実を教科書なんかで学んだりするが、既に40歳の私でさえ、「うーん、ピンと来ないなぁ」という感じである。もし私が学生だった頃に酷い状況に直面していたとしても、私や同世代の学生は抗議活動に踏み切らなかったのではないだろうか。
どうしてそう感じるのかの理由は色々とあるのだが、映画を観ながら感じた1つの大きな違いは「音楽」である。
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サンバのリズムがベースにあるのだろうブラジルでは、「みんなで一緒に歌う」みたいなことは割と当たり前の日常なのだと思う。そして、「その延長線上に『抗議活動』を置く」みたいなスタイルを取っているからこそ、抵抗感なくデモと接続できるのかもしれない。
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そして、この「楽しそう」という雰囲気こそが、デモに必要なものなんじゃないかと感じさせられた。
東京に住んでいると、渋谷などで時々、何かデモ行為を行っている集団を見かけることがある。ただ日本のそれは、正直あまり「楽しそう」には見えない。「楽しそうだから、自分もちょっと飛び入りで参加しちゃおう!」みたいな気分にはどうしてもならないのだ。たぶんだが、日本人は真面目だから、デモをやる側も、それを傍から見る側も、「ちゃんとしていないとダメ」みたいな考えに囚われてしまうのだと思う。しかしそれでは、主張も届かなければ、参加者も増えないだろう。
本作を観ながら、「日本にももっと、『楽しそうなデモ』が根付けばいいのにな」と感じさせられた。
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安倍元首相の国葬の1日を追ったドキュメンタリー映画『国葬の日』は、「国葬」をテーマにしながら、実は我々「国民」の方が深堀りされる作品だ。「安倍元首相の国葬」に対する、全国各地の様々な人たちの反応・価値観から、「『ソフトな独裁』を維持する”共犯者”なのではないか」という、我々自身の政治との向き合い方が問われているのである
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映画『グランツーリスモ』は、「ゲーマーをレーサーにする」という、実際に行われた無謀すぎるプロジェクトを基にした作品だ。登場人物は全員イカれていると感じたが、物語としてはシンプルかつ王道で、誰もが先の展開を予想出来るだろう。しかしそれでも、圧倒的に面白かった、ちょっと凄まじすぎる映画だった
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古川琴音主演映画『みなに幸あれ』は、”シュールさ”さえ感じさせる「異質なホラー映画」だ。「村の因習」というよくあるパターンをベースに据えつつ、そこで展開される異様な状況が、実は「私たちが生きる世界」に対応しているという構成になっている。「お前の物語だからな」と終始突きつけられ続ける作品だ
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実話を基にした映画『私はモーリーン・カーニー』は、前半の流れからはちょっと想像もつかないような展開を見せる物語だ。原発企業で従業員の雇用を守る労働組合の代表を務める主人公が、巨大権力に立ち向かった挙げ句に自宅で襲撃されてしまうという物語から、「良き被害者」という捉え方の”狂気”が浮かび上がる
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モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』は、「10年以上拘束され続けた精神病院から脱走したアジア系女性が、特殊能力を使って大暴れする」というムチャクチャな設定の物語なのだが、全編に通底する「『善悪の判断基準』が歪んでいる」という要素がとても見事で、意味不明なのに最後まで惹きつけられてしまった
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映画『ヤジと民主主義 劇場拡大版』が映し出すのは、「政治家にヤジを飛ばしただけで国家権力に制止させられた個人」を巡る凄まじい現実だ。「表現の自由」を威圧的に抑えつけようとする国家の横暴は、まさに「民主主義」の危機を象徴していると言えるだろう。全国民が知るべき、とんでもない事件である
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実際に起こった障害者施設殺傷事件を基にした映画『月』(石井裕也)は、観客を作中世界に引きずり込み、「これはお前たちの物語だぞ」と刃を突きつける圧巻の作品だ。「意思疎通が不可能なら殺していい」という主張には誰もが反対するはずだが、しかしその態度は、ブーメランのように私たちに戻ってくることになる
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ソ連生まれウクライナ育ちの映画監督セルゲイ・ロズニツァが、「過去映像」を繋ぎ合わせる形で作り上げた映画『バビ・ヤール』は、「単一のホロコーストで最大の犠牲者を出した」として知られる「バビ・ヤール大虐殺」を描き出す。ウクライナ市民も加担した、そのあまりに悲惨な歴史の真実とは?
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【狂気】映画『ニューオーダー』の衝撃。法という秩序を混沌で駆逐する”悪”に圧倒されっ放しの86分
映画『ニューオーダー』は、理解不能でノンストップな展開に誘われる問題作だ。「貧富の差」や「法の支配」など「現実に存在する秩序」がひっくり返され、対極に振り切った「新秩序」に乗っ取られた世界をリアルに描き出すことで、私たちが今進んでいる道筋に警鐘を鳴らす作品になっている
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【狂気】入管の収容所を隠し撮りした映画『牛久』は、日本の難民受け入れ問題を抉るドキュメンタリー
映画『牛久』は、記録装置の持ち込みが一切禁じられている入管の収容施設に無許可でカメラを持ち込み、そこに収容されている難民申請者の声を隠し撮りした映像で構成された作品だ。日本という国家が、国際標準と照らしていかに酷い振る舞いをしているのかが理解できる衝撃作である
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香港の民主化運動の陰で、自殺者を救出しようと立ち上がったボランティア捜索隊が人知れず存在していた。映画『少年たちの時代革命』はそんな実話を基にしており、若者の自殺が急増した香港に様々な葛藤を抱えながら暮らし続ける若者たちのリアルが切り取られる作品だ
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映画『街は誰のもの?』は、タイトルの通り「街(公共)は誰のものなのか?」を問う作品だ。そしてそのテーマの1つが、無許可で街中に絵を描く「グラフィティ」であることもまた面白い。想像もしなかった問いや価値観に直面させられる、とても興味深い作品である
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【驚愕】ベリングキャットの調査報道がプーチンを追い詰める。映画『ナワリヌイ』が示す暗殺未遂の真実
弁護士であり、登録者数640万人を超えるYouTuberでもあるアレクセイ・ナワリヌイは、プーチンに対抗して大統領選挙に出馬しようとしたせいで暗殺されかかった。その実行犯を特定する調査をベリングキャットと共に行った記録映画『ナワリヌイ』は、現実とは思えないあまりの衝撃に満ちている
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安倍政権下で突然発表された「放送法の解釈変更」が、2023年3月17日に正式に”撤回された”という事実をご存知だろうか?映画『テレビ、沈黙。 放送不可能。Ⅱ』は、その「撤回」に尽力した小西洋之議員に田原総一朗がインタビューする作品だ。多くの人が知るべき事実である
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ベルリン国際映画祭でドキュメンタリー賞を受賞したミャンマー映画『ミャンマー・ダイアリーズ』はしかし、後半になればなるほどフィクショナルな映像が多くなる。クーデター後、映画制作が禁じられたミャンマーで、10人の”匿名”監督が死を賭して撮影した映像に込められた凄まじいリアルとは?
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田原総一朗が元総理・小泉純一郎にタブー無しで斬り込む映画『放送不可能。「原発、全部ウソだった」』は、「原発推進派だった自分は間違っていたし、騙されていた」と語る小泉純一郎の姿勢が印象的だった。脱原発に舵を切った小泉純一郎が、原発政策のウソに斬り込み、再生可能エネルギーの未来を語る
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横浜港を取り仕切る藤木幸夫を追うドキュメンタリー映画『ハマのドン』は、盟友・菅義偉と対立してでもIR進出を防ごうとする91歳の決意が映し出される作品だ。高齢かつほとんど政治家のような立ち位置でありながら、「伝わる言葉」を発する非常に稀有な人物であり、とても興味深かった
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東日本大震災において、児童74人、教職員10人死亡という甚大な津波被害を生んだ大川小学校。その被害者遺族が真相究明のために奮闘する姿を追うドキュメンタリー映画『生きる』では、学校の酷い対応、出来れば避けたかった訴訟、下された画期的判決などが描かれ、様々な問題が提起される
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TBS所属の特派員・須賀川拓は、ロンドンを拠点に各国の取材を行っている。映画『戦場記者』は、そんな彼が中東を取材した映像をまとめたドキュメンタリーだ。ハマスを巡って食い違うガザ地区とイスラエル、ウクライナ侵攻直後に現地入りした際の様子、アフガニスタンの壮絶な薬物中毒の現実を映し出す
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東大中退ラッパー・ダースレイダーと新聞14紙購読の時事芸人・プチ鹿島が、選挙戦を縦横無尽に駆け回る様を映し出す映画『劇場版 センキョナンデス』は、なかなか関わろうとは思えない「選挙」の捉え方が変わる作品だ。「フェスのように選挙を楽しめばいい」というスタンスが明快な爆笑作
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2011年に韓国で実際に起こった「加湿器殺菌剤による殺人事件」をモデルにした映画『空気殺人』は、金儲け主義の醜悪さが詰まった作品だ。国がその安全を保証し、17年間も販売され続けた国民的ブランドは、「水俣病」にも匹敵する凄まじい健康被害をもたらした
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「#MeToo」運動のきっかけとなった、ハリウッドの絶対権力者ハーヴェイ・ワインスタインを告発するニューヨーク・タイムズの記事。その取材を担った2人の女性記者の奮闘を描く映画『SHE SAID その名を暴け』は、ジャニー喜多川の性加害問題で揺れる今、絶対に観るべき映画だと思う
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「フランスに最も愛された政治家」と評されるシモーヌ・ヴェイユ。映画『シモーヌ』は、そんな彼女が強制収容所を生き延び、後に旧弊な社会を変革したその凄まじい功績を描き出す作品だ。「強制収容所からの生還が失敗に思える」とさえ感じたという戦後のフランスの中で、彼女はいかに革新的な歩みを続けたのか
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1964年の東京オリンピックを機に建設された「都営霞ケ丘アパート」は、東京オリンピック2020を理由に解体が決まり、長年住み続けた高齢の住民に退去が告げられた。「公共の利益」と「個人の権利」の狭間で翻弄される人々の姿を淡々と映し出し、静かに「社会の在り方」を問う映画
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在日コリアン4世の監督が、北朝鮮脱北者への取材を元に作り上げた壮絶なアニメ映画『トゥルーノース』は、私たちがあまりに恐ろしい世界と地続きに生きていることを思い知らせてくれる。最低最悪の絶望を前に、人間はどれだけ悪虐になれてしまうのか、そしていかに優しさを発揮できるのか。
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【勇敢】ユダヤ人を救った杉原千畝を描く映画。日本政府の方針に反しながら信念を貫いた男の生き様
日本政府の方針に逆らってまでユダヤ人のためにビザを発給し続けた外交官を描く映画『杉原千畝』。日本を良くしたいと考えてモスクワを夢見た青年は、何故キャリアを捨てる覚悟で「命のビザ」を発給したのか。困難な状況を前に、いかに決断するかを考えさせられる
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戦後の沖縄で、魚売りのおばぁが起こした「サンマ裁判」は、様々な人が絡む大きな流れを生み出し、最終的に沖縄返還のきっかけともなった。そんな「サンマ裁判」を描く映画『サンマデモクラシー』から、民主主義のあり方と、今も沖縄に残り続ける問題について考える
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【実話】映画『ハドソン川の奇跡』の”糾弾された英雄”から、「正しさ」をどう「信じる」かを考える
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【残念】日本の「難民受け入れ」の現実に衝撃。こんな「恥ずべき国」に生きているのだと絶望させられる…
日本の「難民認定率」が他の先進国と比べて異常に低いことは知っていた。しかし、日本の「難民」を取り巻く実状がこれほど酷いものだとはまったく知らなかった。日本で育った2人のクルド人難民に焦点を当てる映画『東京クルド』から、日本に住む「難民」の現実を知る
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【危機】シードバンクを設立し世界の農業を変革した伝説の植物学者・スコウマンの生涯と作物の多様性:…
グローバル化した世界で「農業」がどんなリスクを負うのかを正しく予測し、その対策として「ジーンバンク」を設立した伝説の植物学者スコウマンの生涯を描く『地球最後の日のための種子』から、我々がいかに脆弱な世界に生きているのか、そして「世界の食」がどう守られているのかを知る
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【実話】権力の濫用を監視するマスコミが「教会の暗部」を暴く映画『スポットライト』が現代社会を斬る
地方紙である「ボストン・グローブ紙」は、数多くの神父が長年に渡り子どもに対して性的虐待を行い、その事実を教会全体で隠蔽していたという衝撃の事実を明らかにした。彼らの奮闘の実話を映画化した『スポットライト』から、「権力の監視」の重要性を改めて理解する
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【実話】映画『イミテーションゲーム』が描くエニグマ解読のドラマと悲劇、天才チューリングの不遇の死
映画『イミテーションゲーム』が描く衝撃の実話。「解読不可能」とまで言われた最強の暗号機エニグマを打ち破ったのはなんと、コンピューターの基本原理を生み出した天才数学者アラン・チューリングだった。暗号解読を実現させた驚きのプロセスと、1400万人以上を救ったとされながら偏見により自殺した不遇の人生を知る
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【正義】「正しさとは何か」を考えさせる映画『スリー・ビルボード』は、正しさの対立を絶妙に描く
「正しい」と主張するためには「正しさの基準」が必要だが、それでも「規制されていないことなら何でもしていいのか」は問題になる。3枚の立て看板というアナログなツールを使って現代のネット社会の現実をあぶり出す映画『スリー・ビルボード』から、「『正しさ』の難しさ」を考える
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【驚愕】正義は、人間の尊厳を奪わずに貫かれるべきだ。独裁政権を打倒した韓国の民衆の奮闘を描く映画…
たった30年前の韓国で、これほど恐ろしい出来事が起こっていたとは。「正義の実現」のために苛烈な「スパイ狩り」を行う秘密警察の横暴をきっかけに民主化運動が激化し、独裁政権が打倒された史実を描く『1987、ある闘いの真実』から、「正義」について考える
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【感涙】衆議院議員・小川淳也の選挙戦に密着する映画から、「誠実さ」と「民主主義のあり方」を考える…
『衆議院議員・小川淳也が小選挙区で平井卓也と争う選挙戦を捉えた映画『香川1区』は、政治家とは思えない「誠実さ」を放つ”異端の議員”が、理想とする民主主義の実現のために徒手空拳で闘う様を描く。選挙のドキュメンタリー映画でこれほど号泣するとは自分でも信じられない
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『スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか』では、自分が生徒に対して「権力」を持っているとは想像していなかったという教師が登場する。そしてこの「無自覚」は、学校以外の場でも起こりうる。特に男性は、読んで自分の振る舞いを見直すべきだ
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国の諜報機関の職員でありながら、「イラク戦争を正当化する」という巨大な策略を知り、守秘義務違反をおかしてまで真実を明らかにしようとした実在の女性を描く映画『オフィシャル・シークレット』から、「法を守る」こと以上に重要な生き方の指針を学ぶ
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金正男が暗殺された事件は、世界中で驚きをもって報じられた。その実行犯である2人の女性は、「有名にならないか?」と声を掛けられて暗殺者に仕立て上げられてしまった普通の人だ。映画『わたしは金正男を殺していない』から、危険と隣り合わせの現状を知る
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1969年5月13日、三島由紀夫と1000人の東大全共闘の討論が行われた。TBSだけが撮影していたフィルムを元に構成された映画「三島由紀夫vs東大全共闘」は、知的興奮に満ち溢れている。切腹の一年半前の討論から、三島由紀夫が考えていたことと、そのスタンスを学ぶ
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三権分立の一翼を担う裁判所のことを、私たちはよく知らない。元エリート裁判官・瀬木比呂志と事件記者・清水潔の対談本『裁判所の正体』をベースに、「裁判所による統制」と「権力との癒着」について書く。「中世レベル」とさえ言われる日本の司法制度の現実は、「裁判になんか関わることない」という人も無視できないはずだ
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