目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:フランソワ・クリュゼ, 出演:オマール・シー, 出演:アンヌ・ル・ニ, Writer:エリック・トレダノ, 監督:エリック・トレダノ
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ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていくようだよ
この記事で伝えたいこと
相手を「その人そのもの」として見る関係性が「当たり前」のものになってほしい
なんにせよ、この映画が「実話」を元にしているということが驚きです
この記事の3つの要点
- 無自覚に「レッテル」や「肩書き」で他人を判断してしまう人も多い
- 大富豪が「大富豪」としてしか見られないことの窮屈さ
- 相手がどうしてほしいと思っているか」など一切考えないデルの振る舞いの清々しさ
私も、同じような状況に立つことがあれば、デルのように振る舞いたいと思うし、出来ると思っています
自己紹介記事
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どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
映画『THE UPSIDE 最強のふたり』が描き出す、「肩書き」で相手と関わらない関係性こそ素晴らしいと思う
「レッテル」で見られるのは好きじゃない
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私は、私自身にとってはありがたいことに、大層なレッテルが貼られるような人間ではありません。大富豪でも芸能人でもないし、スポーツや趣味など何か狭い世界で名が知れているということもないです。また、「LGBT」「障害者」「シングルマザー」など、世間的に「レッテル」を貼られやすいと言える立ち位置にいるわけでもありません。
なので、日常生活の中で強く実感できているわけではありませんが、私はとにかく「『レッテル』で見られること」が嫌いです。極端な言い方をすれば、「男」「30代」「未婚」みたいな基本的な属性さえも外したいと考えてしまいます。
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昔からずっと、そういう「見られ方」には敏感だったよね
「肩書き」「レッテル」「イメージ」で関わろうとする人は、今でもメチャクチャ嫌い
世の中にはどうも、「お金持ち」「有名企業で働いてる」みたいな見られ方を嬉しく感じる人がいるようですが、私にはまったく理解できません。以前知り合いの女性が、「見た目を褒められても嬉しくない。持ってるものを褒めてもらえると、センスを認めてもらえたみたいで嬉しい」みたいなことを言っていましたが、これも似たような話でしょう。
この映画には、「大富豪かつ車椅子に乗る障害者」という人物が出てくるのですが、ある場面で付き添いの人物が、彼の指示で部屋中にある様々なものをぶっ壊します。その大富豪は、「障害者」という見られ方はもちろんですが、「大富豪」という見られ方にも辟易しており、だからそんな行動を取ってしまうのです。
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ある種の人にとっては、肩書きで判断されることは快感なのかもしれませんが、まったくそう感じられない人もいるます。そして何より問題なのは、「そう感じられない人もいる」という現実に想像が及ばないことでしょう。
だからこそ「レッテル」で人を判断しないように強く意識している
自分が「レッテル」で判断されることがとても嫌いなので、他人に対してもそうしないようにとにかく意識しています。
例えば、女性に対して「若いね」「可愛いね」と、褒め言葉のつもりで言う男性がいますが、私からすればその行為は、「私はあなたを『若い』『可愛い』というレッテルでしか見ていませんよ」という宣言にしか感じられません。それを嬉しく思う女性もいるかもしれませんが、大抵の場合は、表向き喜んだフリをしながら、陰でボロクソ言っていることでしょう。
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もちろん、「誰に言われるか」「どのように言われるか」によっても変わるだろうけど
上司から言われるのと、後輩から言われるのじゃ、意味は全然変わってくるからね
私がそうなのですが、「『レッテル』で見られること」が嫌いな人は、他人のそういう視線にかなり敏感だと思います。なんてことないつもりの言動でも、それが「レッテル」と受け取られてしまうことがあるのです。
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この映画の冒頭は、大富豪の障害者が、自分の介助人を探す面接を行う場面から始まります。その間、彼はずっと厳しい顔つきをしているのですが、それは当然と言えば当然と言えるでしょう。
なぜなら面接に来た誰もが、彼のことを「障害者」というレッテルで見ているからです。面接に来た人は、「障害を持っている人を献身的に支えたい」と心の底から考えているのでしょうが、大富豪からすればその考え自体をそもそも受け入れられません。
私は割と、一般的な感覚では「変だと受け取られる言動」を意識的にするようにしています。それによって、「私はあなたのことを『レッテル』では見ていません」と相手に伝わることを期待しているからです。特に初対面であればあるほど、少し大げさに打ち出さなければ、自分が「レッテル」で見ているわけじゃないと相手に伝わりません。
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それはこの映画を見ても実感できることでしょう。なんと大富豪が最終的に選んだ介助人は、元犯罪者なのですから。これまで関わったことがないような傍若無人さを面白がって彼を採用するのです。
そして何よりも驚かされるのは、この物語が「実話」に基づいて作られている、ということでしょう。映画の最後には、
フィリップとデルの友情は今も続いている
と字幕で表記されました。映画的な脚色ももちろんあるでしょうから、すべてが事実ではないのでしょうが、この映画の基本的な設定だけでも「実話」だと知ったら驚いてしまうようなすさまじいものだと感じます。
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映画『THE UPSIDE 最強のふたり』の内容紹介
たった一代で巨万の富を築いた実業家のフィリップ・ラカッセは、事故のせいで首から下が一切動かせない身体になってしまった。彼の側近を務めるイヴォンヌは介助人を随時募集しているのだが、フィリップは気に入らないとすぐにクビにしてしまうため長続きしない。
そんな何度も行われている介助人募集の面接に、元犯罪者のデル・スコットがやってきた。
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彼は別に、介助人になりたかったわけではない。保護観察官から、「職探しを行っていると証明するサインをもらってくるように」と命じられていただけなのだ。デルはいつも、適当に働いて責任者にサインをもらっていた。「働く意思がある」ということが証明できれば十分なのだ。「掃除人募集」という名目で行われていたフィリップの介助人募集の面接にも、サインがもらえればいいというぐらいの考えでやってきた。
しかし面接希望者が多く、並んでいる間に子どもを迎えにいかなくてはいけない時間が迫ってきてしまう。そこで彼は順番をすっ飛ばし、サインだけしてくれりゃいい、とばかりに車椅子のオッサン(もちろんフィリップのことだ)に頼んだ。しかし身体が動かないと分かるや、その妻(だとデルが勘違いしているイヴォンヌ)に目を向けるのだが、真面目なイヴォンヌはデルを追い出しにかかる。
しかし、今まで見たことのないほどの傍若無人さが気に入ったフィリップは、デルを雇うことに決めてしまったのだ。デルは、働きたいわけじゃない、サインがほしいだけなんだ、と渋るが、フィリップが、とにかく一晩考えてくれないか、と頼み込むので引き下がった。
その夜、家に帰ると、仕事もせずにフラフラしているからという理由で、妻から出ていけと怒鳴られてしまう。そんなわけでデルは、仕方なしにフィリップの介助人の仕事を引き受けることになった。
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障害者の介助など当然やったことのないデルは、トラブルばかり起こすのだが、一方のフィリップは、これまでの介助人とはまったく違う振る舞いにウキウキし始め……。
映画『THE UPSIDE 最強のふたり』の感想
物凄く面白い映画でした。たぶん、どんな立場の人が観ても楽しめる映画だし、それでいてただのエンタメ作品ではない深みもあるという、見ごたえのある作品だと思います。
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映画館で観ましたが、とにかく随所で笑いが起こる作品でした。「無神経な振る舞いをするデル」「堅物なイヴォンヌ」「面白がってるフィリップ」という3人の関係が絶妙で、全然噛み合っていないのだけれど結果的には上手くいっているという不思議な関係性が見事です。特に、デルとイヴォンヌの反りが合わなくて、でもフィリップは楽しんじゃってるから結局イヴォンヌが負けるしかない、みたいな展開には痛快ささえ感じます。
それにしても、これが「実話」だっていうのはホントに凄いよね
「当たり前じゃない関係性」だから映画になるわけなんだけど、これが「当たり前」になってほしいって思う
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冒頭でも書きましたが、フィリップはとにかく「大富豪・フィリップ」という見られ方を嫌います。フィリップの周りにいるのは、「フィリップに良い顔をして取り立ててもらおう」「持ち上げておけば何か良いことがあるかも」と考えているような、フィリップからすれば「どうでもいい連中」しかいません。だからフィリップは常にうんざりしています。
その最たるものが、誕生日会の場面です。詳しくは触れませんが、「フィリップだったらこういうことを喜ぶだろう」ではなく、「大富豪ならこういうことを喜ぶだろう」という発想が透けて見えるような”もてなし”をしてしまいます。周囲の人はあくまで善意のつもりなのでしょうが、フィリップからすれば苛立ちでしかないのです。
その点デルは、どんな形であれ相手の気持ちなど考えもしません。デルの行動原理は非常にシンプルで、「デル自身の価値観において正しいと思うこと」をフィリップに対しても行うのです。
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フィリップとデルとではこれまで生きてきた世界がまるで違うので、デルの行動原理はフィリップにはあまりに新鮮に映ります。デルが次にどんなことをするのか常に予測がつかないし、デルが先入観やレッテルをまったく持たないからこそ実現したこともあるのです。フィリップがデルを選んだことはフィリップにとって正解だと思うし、デルにとっても非常に良いことだと感じました。
もちろん、彼らの関係がずっと順調だったわけではありません。具体的には触れませんが、ある出来事をきっかけにしてフィリップとデルの関係は悪化してしまいます。映画を観れば、どちらの言い分も気持ちも理解できるでしょうし、どちらが悪いというわけではないというのも難しいところです。
色々あるわけですが、最終的には「デルの行動は正解と言っていいのではないか」という形で物語が閉じるので、良かったなと感じました。
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最後に
「レッテル」というのはなかなかに難しいものであり、本人は「相手を『レッテル』で見ている」という自覚を持てないことの方が多いかもしれません。自分にとってはあまりにも「当たり前」なことが、相手にとっては「レッテル」と感じられるわけで、その食い違いに気づくことは、人によってはとても難しいと言えるでしょう。
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フィリップとデルの物語は、両者の違いが物凄く大きいので、その「食い違い」が見えやすい、と言えるだろうと思います。「楽しいエンタメ作品」として観て十分楽しめる映画ですが、「レッテル」という観点から、自分の言動を振り返ってみるきっかけにもなる1本でもあるでしょう。
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専門学校の卒業制作として濱口竜介が撮った映画『親密さ』は、2時間10分の劇中劇を組み込んだ意欲作。「映像」でありながら「言葉の力」が前面に押し出される作品で、映画や劇中劇の随所で放たれる「言葉」に圧倒される。4時間と非常に長いが、観て良かった
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【感涙】衆議院議員・小川淳也の選挙戦に密着する映画から、「誠実さ」と「民主主義のあり方」を考える…
『衆議院議員・小川淳也が小選挙区で平井卓也と争う選挙戦を捉えた映画『香川1区』は、政治家とは思えない「誠実さ」を放つ”異端の議員”が、理想とする民主主義の実現のために徒手空拳で闘う様を描く。選挙のドキュメンタリー映画でこれほど号泣するとは自分でも信じられない
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【漫画原作】映画『殺さない彼と死なない彼女』は「ステレオタイプな人物像」の化学反応が最高に面白い
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孤独・寂しい・友達【本・映画の感想】 | ルシルナ
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