目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:ソン・ガンホ, 出演:カン・ドンウォン, 出演:ぺ・ドゥナ, 出演:イ・ジウン, 出演:イ・ジュヨン, Writer:是枝裕和, 監督:是枝裕和
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この映画をガイドにしながら記事を書いていくようだよ
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この記事で伝えたいこと
出産にせよ中絶にせよ、「母親の意志」が最も尊重される社会であるべきだと私は思う
宗教やイデオロギーのために「中絶禁止」に動き始めたアメリカのようにはなってほしくない
この記事の3つの要点
- 「これが『正義』である」と押し付けられる状況に、私は苛立ちを抑えきれない
- 「赤ちゃんポスト」に対する韓国人の一般的な感覚は、「捨てるなら産むな」となるようだ
- どんな状況であれ、「最も弱い関係者」が真っ先に救われる社会であってほしいと思う
女刑事のスジンはメチャクチャ嫌いですが、スジンを演じたペ・ドゥナにはメチャクチャ惹かれました
自己紹介記事
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アジアヘイトとか黒人差別とか色んな問題があるとはいえ、「中絶禁止」を容認する州があるってのは何よりヤバいと思う
宗教や家族観など様々な要因が絡み合っている話だろうと思うので、各論に立ち入ってあーだこーだ言うつもりはないのですが、とにかく私は、「『中絶しないことこそが正義』という押し付け」に苛立ちを覚えてしまいます。どんな理由があろうと、「子どもを産むか否か」の判断において、母親(そして、その子の生物学的な父親)の意志が最優先されない状況は、イカれていると感じてしまうのです。
「子どもを産む」ということに関して、非常に印象的だったエピソードがあります。以前読んだ『ヤノマミ』(国分拓/新潮社)という本に書かれていたものです。
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ヤノマミ族には、「生まれたばかりの赤ちゃんは『精霊』でしかない」「母親が抱き上げることで初めて『人間』になる」という考え方があるのだそうです。これはつまり、「母親が抱き上げなければ、『精霊』のまま天に還っていく」ことを意味します。もっと直截に言えば、「母親は、我が子として迎え入れられないと判断した子どもは、そのまま殺してしまう」のです。
このエピソードには、NHKの取材班も「かなり衝撃を受けた」と書いていたよね
読んでても、「凄い世界の話だな」って感じたもんなぁ
「酷い」と感じる風習かもしれませんが、日本でもかつては「姥捨て」や「間引き(子どもを殺すこと)」などが行われていました。だから、単にその行為だけを摘み上げて批判しても意味がありません。ヤノマミ族は彼らなりの理屈や歴史を背景に、そのようなやり方を身に着けていったわけです。
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重要なのは、「『子どもを抱き上げるか否かの判断』は完全に母親1人に委ねられている」ということでしょう。父親も共同体も、母親の決定には関わらないし、異議を唱えることもないのです。これは、「母親の意志が最優先されている」という意味において、最も理想的な状況と言えるかもしれません。もちろん、同じやり方をそのまま日本に当てはめられはしませんが、私たちはヤノマミ族のような方向を目指すべきはなのではないかと感じました。
また、「正義の押し付け」という意味では、「被害を減らすために権利を制約する」というやり方にモヤモヤさせられることもあります。
例えば先日、「動物愛護法が改正されたことで、『保護できる動物の数』に制約が生まれてしまった」というニュースを目にしました。
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これも初め聞いた時は、「え? 何言ってるの?」って感じだった
行政としては「良かれと思っての法改正」なのに、それが逆効果になってるんだもんね
動物愛護法では、「1人が動物を何頭まで飼って良いか」が定められています。これは、ペットショップでもブリーダーでも保護施設でも条件は同じです。そして法改正によって、その基準がさらに厳しくなります。つまり、今までと同じ数の動物を飼育するためには、より多くの人手を集めなければならないことになくなったのです。
もちろん、人を増やせるなら問題ないのですが、そんな余裕があるところばかりではありません。なので、実際には、「飼育する動物を減らす」しかなくなってしまうのだそうです。確かに、「飼育しきれないほどの多頭飼い」が社会問題になるケースもあり、「動物虐待」と呼ぶべき状況になってしまったりもします。その対策としての法改正なのでしょう。しかし、「そのような『被害』を減らすために、元々あった『権利』を制約する」ことで、真っ当にやってきた人たちが適切な行動を取れなるという、本末転倒な状況になってしまっているのです。
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ホントに不思議なのは、どうして「マズイ状況を取り締まる」って方向に行かないのかってこと
まあ、「マズイ状況」であると認定するために、法改正が必要っていう理屈なんだろうけどなぁ
同じようなことは、「AV新法」に対しても感じました。これも、「被害を減らすために権利を制約する」というやり方と言っていいでしょう。しかしそのことによって、健全にやってきた人たちがまともに仕事が出来ない状況に置かれてしまっているそうです。どうして、「マズイ状況を取り締まる」という形に出来ないのかが、私には理解できません。
世の中のあらゆる場面で、「被害を減らすために権利を制約する」という振る舞いが、あたかも「正義」であるかのように扱われます。私はその風潮に、とても違和感を覚えてしまうのです。「被害を減らす」というのは、とても聞こえのいい言葉なので、誰からも反対されない主張だと言えるでしょう。そのため、「これに反対する奴はおかしい」みたいな理屈で物事を通そうとしているようにも感じられるのです。
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「被害ゼロこそが正義だ」という考えは、社会をとても窮屈にするでしょう。もちろん、被害は少なければ少ないほどいいですし、ゼロになるなら素晴らしいと思います。しかしそのために、「正しい行いが大幅に制約される」という状況は、果たして「正義」と言えるのでしょうか?
「被害の減少」と「正しい行いの制約」が良いバランスで成立してないとダメだと思うんだよなぁ
「被害がゼロ」だとしても、「正しい行いもゼロ」になっちゃうなら、マジで意味ないもんね
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映画『ベイビー・ブローカー』は、日本でも話題になったいわゆる「赤ちゃんポスト」を核に、「正義」について考えさせる物語です。果たして、「赤ちゃんポスト」は「正義」と言えるでしょうか?
「産んでから子どもを捨てるより、産む前に子どもを殺す方が罪が軽いって言うの?」に、あなたならどう答えるか?
『ベイビー・ブローカー』は、「『赤ちゃんポスト』に捨てられていた子どもを、勝手に売り捌こうとする」という展開の物語です。そして、この映画において「本質的に悪いと言える行為」は「人身売買」だけだと私は考えています。つまり、「赤ちゃんポスト」の存在もそれを利用する親も決して「悪ではない」という立場です。
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正直、「赤ちゃんポスト」の何がダメなのか、私には全然理解できないんだよなぁ
「法律が対応し切れない現実」をどうにか「現実解」に落とし込む、見事なやり方だって思うのにね
映画の舞台である韓国には、日本よりも「赤ちゃんポスト」がたくさんあるそうです。しかし、一般的に受け入れられているポピュラーな存在なのかと言えば、決してそうではありません。映画でも、「赤ちゃんポスト」に対する批判が、様々な形で示されます。
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それらを総合して要約すると、
「赤ちゃんポスト」なんてものがあるから母親が無責任になる
となるでしょう。
私には、ホントにこんな思考をする人間がいるのか疑問で仕方ありませんが、一応私なりに反論してみましょう。この意見はつまるところ、「『赤ちゃんポスト』があるから『妊娠しちゃっても大丈夫』という意識が芽生え、その意識が軽率な行動を引き起こす」という意味でしょう。しかし、本当にそんなことあるでしょうか? 私は男なので、「妊娠」に対する感覚が女性とは違うと思いますが、それでも、「『赤ちゃんポスト』があるから、妊娠しちゃっても大丈夫」なんて思考になるとは思えません。そもそも、「赤ちゃんポスト」があるかどうかに関係なく、様々な理由から「予期せぬ妊娠」は起こり得ます。そういう現実に対処するための「赤ちゃんポスト」が何故批判されるのか、私には不思議でなりません。
まあ中には、「私は望んでも子どもを授からなかったのに、妊娠したのに子どもを捨てるなんて」みたいな感情もあるのかもだけど
その辺りは、「正義」とか「善悪」とはまた違う話だから、難しいよなぁ
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このような批判に対して、「赤ちゃんポスト」を利用した母親は、非常にシンプルな言葉で反論します。
産んでから子どもを捨てるより、産む前に子どもを殺す方が罪が軽いって言うの?
要するに、「中絶はOKなのに、『赤ちゃんポスト』はNGなの?」ということです。確かに、この指摘は非常に本質的で、答えるのが難しいものだと感じました。いかがでしょうか? もしあなたが、「中絶は容認するが、『赤ちゃんポスト』には反対」という立場だとして、この母親の主張にどのように反論するでしょうか?
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また、同じ人物がこんな風に言う場面もあります。
父親にも言って。
これも確かにその通りだと感じました。「赤ちゃんポスト」に対する批判は、何故か「母親」にしか向けられません。当然のことながら妊娠は1人では出来ないので、「子どもを産むこと」に付随するあらゆる批判は、「父親」にも向けられるべきでしょう。
「妊娠」「中絶」「子育て」とか何でもいいけど、どうしても「母親幻想」が強くなる気がする
特に、一昔前の世代の人が、「母親幻想」を当然のものとして主張してくるイメージがあるなぁ
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「妊娠」「中絶」に限る話ではありませんが、「正義」は常に「最も弱い関係者が救われる」ことを指す言葉であってほしいと思っています。「妊娠」や「中絶」の場合には、「お腹の中の赤ちゃんこそ、『最も弱い関係者』だ」という主張も出てきそうで難しいですが、やはり私は、母親こそが最も救われるべきだと考えたいです。
少なくとも、宗教だのイデオロギーだのといったことのために「正義」を口にするような人間は、直ちに駆逐されてほしいと思っています。
映画『ベイビー・ブローカー』の内容紹介
大雨の夜、若い女性が教会に付随する「赤ちゃんポスト」の前に赤ん坊を置いて立ち去る。そしてそれを目にした女性刑事が、その赤ん坊をちゃんとポストに入れた。物語は、こんな風に始まっていく。
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教会でアルバイトをしているドンスと、クリーニング店の店主であるサンヒョンは、「赤ん坊のブローカー」をやっている。ドンスが働く教会の「赤ちゃんポスト」から勝手に赤ん坊を奪い、子どもを欲しがっている者に売り飛ばしているのだ。ドンスとサンヒョンは共に、家族との関わりで寂しさを抱えている。ドンスは、自身も捨て子として育ち、「子どもを捨てる母親」に対する怒りを抱え続けている青年だ。一方、借金を抱え、妻と別れているらしいサンヒョンは、一人娘と会う機会をなかなか持てずにいる。
さて、そんな2人はなんと、女刑事にマークされてしまっていた。赤ん坊をポストに入れた上司と、その部下である。彼女たちは、ドンスとサンヒョンが赤ん坊を売った瞬間に現行犯逮捕しようと尾行を続けているのだ。
さて、ドンスとサンヒョンはいつものように秘密裏に赤ん坊を盗み出したのだが、売り捌こうと動き始める直前、事態が錯綜していく。なんと、子どもを捨てた母親ソヨンが、教会に「『赤ちゃんポスト』に預けた赤ん坊」について問い合わせをしてきたのだ。2人は教会の記録に残らないように赤ん坊を盗み出しているため、教会は「ソヨンが預けたと主張する赤ん坊」の存在を知らない。このままでは、赤ん坊のブローカー業も危ないと踏んだドンスがソヨンに接触、サンヒョンと3人で話す場を設けることにした。2人は、「養父母探しをするだけだ」と言って丸め込もうとしたのだが、ソヨンは「要するにブローカーってことでしょ」と信じようとしない。しかしなんと驚くべきことに、ソヨンは2人の「売買」に同行すると言い出した。
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こうして彼らは、「実の母親を伴って、赤ん坊を高値で売り捌く旅」へと踏み出すことになる。
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映画『ベイビー・ブローカー』の感想
正直な感想を言えば、「良い映画だと思うけれど、予想以上ではない」という感じでした。別にこれは悪い評価ではありません。「是枝裕和」と「ソン・ガンホ」という名前はやはり大きな期待を抱かせるし、私が勝手に抱いていたその期待を超えなかったというだけで、作品としてはとても素晴らしかったと思います。
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映画『ベイビー・ブローカー』は、是枝裕和作品らしい「『家族』のままならなさ」が描かれるし、ソン・ガンホ出演作らしい「悪事を働いているのに、楽しさが滲み出る感じ」もあって、それぞれが持つ個性が見事に出ていると思います。「赤ちゃんポスト」という、日本でも賛否両論巻き起こす存在を核に、「人身売買」という犯罪を描きながら、非常にユーモラスな展開を描き出すストーリーもとても素敵でした。
個人的にとても印象的だったのが、女刑事の上司スジンです。彼女に対しては、相反する2つの感情を抱かされました。
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まず、「スジンという役」について言えば、私はとても嫌いです。まさに彼女は、「『赤ちゃんポスト』に対する世間の批判を代表するような考え」を持っています。「捨てるなら産むな」というのが、「赤ちゃんポスト」に対して韓国人が抱く一般的な感覚らしいのですが、まさにその主張を体現するような言動で突き進むキャラクターで、メチャクチャ嫌いだなぁと感じました。
ただ、スジンを演じたペ・ドゥナという女優は素晴らしかったです。これまでに彼女の出演作を観たことがあるか覚えてはいませんが、『ベイビー・ブローカー』に出演する役者の中では最も気になる存在でした。
ただ、ペ・ドゥナという女優の何が凄くて、どこに惹かれたのか、イマイチ説明できません。全然説明できないのに、「圧倒的な存在感だった」と感じさせられてしまったのです。私としてはこれまでなかなか抱いたことのない不思議な感覚でしたし、「やっぱり凄い役者ってのは凄いんだなぁ」とバカみたいな感想を抱かされました。
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出演:ソン・ガンホ, 出演:カン・ドンウォン, 出演:ぺ・ドゥナ, 出演:イ・ジウン, 出演:イ・ジュヨン, Writer:是枝裕和, 監督:是枝裕和
¥407 (2023/09/22 22:52時点 | Amazon調べ)
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最後に
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最後に、映画全体とはあまり関係のない話を書いて終わろうと思います。
ソヨンは「赤ちゃんポスト」に捨てた子どもに、「迎えに来る」という内容の手紙を忍ばせていました。これについてサンヒョンが、「そういう手紙があると、養子縁組の候補から外され、100%養護施設行きだ」とソヨンに言う場面があります。この発言は、「自分たちはブローカーではなく、ただ養父母探しをしているだけだ」とソヨンを丸め込もうとしている場面で発せられたものなので、サンヒョンが咄嗟についた嘘という可能性もゼロではありませんが、事実なのだろうと私は感じました。
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いずれにしても、繰り返しにはなりますが、一番辛いだろう母親が最優先で救われ、その範囲内で赤ん坊が最大限幸せになれる選択肢が常に存在する社会であってほしいと、強く願ってしまいました。
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蓮佛美沙子が、スキャンダルで落ちぶれ再起を賭ける女優を演じる映画『女優は泣かない』は、ミニマムかつシンプルな構成ながら、笑いあり涙ありのハートフルコメディだった。「やりたくはないが、やらねばならぬ」とお互いが感じているドキュメンタリー撮影を軸に、家族の物語を織り込む展開が素敵
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映画『ドライビング・バニー』は、主人公であるバニーのことが最後まで嫌いだったにも拘わらず、全体的にはとても素敵に感じられた珍しいタイプの作品だ。私は、「バニーのような人間が世の中に存在する」という事実に嫌悪感を抱いてしまうのだが、それでも、狂気的でぶっ飛んだラストシーンによって、作品全体の印象が大きく変わったと言える
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両親の死をきっかけに、「見知らぬ弟」を引き取らなければならなくなった女性を描く映画『シスター 夏のわかれ道』は、中国の特異な状況を背景にしつつ、誰もが抱き得る普遍的な葛藤が切り取られていく。現状を打破するために北京の大学院を目指す主人公は、一体どんな決断を下すのか。
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香港の民主化運動の陰で、自殺者を救出しようと立ち上がったボランティア捜索隊が人知れず存在していた。映画『少年たちの時代革命』はそんな実話を基にしており、若者の自殺が急増した香港に様々な葛藤を抱えながら暮らし続ける若者たちのリアルが切り取られる作品だ
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「特別養子縁組」を軸に人々の葛藤を描く映画『朝が来る』は、決して「特別養子縁組」の話ではない。「『起こるだろうが、起こるはずがない』と思っていた状況」に直面せざるを得ない人々が、「すべての選択肢が不正解」という中でどんな決断を下すのかが問われる、非常に示唆に富む作品だ
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映画『1917 命をかけた伝令』は、「全編ワンカット風」という凄まじい撮影手法で注目されたが、私は、その撮影手法が「戦場における緊迫感」を見事に増幅させているという点に驚かされた。「物語の中身」と「撮影手法」が素晴らしく合致したとんでもない作品だ
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2巻までしか読んでいないが、ヨネダコウのマンガ『囀る鳥は羽ばたかない』は、「ヤクザ」「BL」という使い古されたフォーマットを使って、異次元の物語を紡ぎ出す作品だ。BLだが、BLという外枠を脇役にしてしまう矢代という歪んだ男の存在感が凄まじい。
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サイコパスの連続殺人鬼・榛村大和を阿部サダヲが演じる映画『死刑にいたる病』は、「生きていくのに必要なもの」について考えさせる映画でもある。目に光を感じさせない阿部サダヲの演技が、リアリティを感じにくい「榛村大和」という人物を見事に屹立させる素晴らしい映画
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世界的大企業デュポン社が、自社製品「テフロン」の危険性を40年以上前に把握しながら公表せず、莫大な利益を上げてきた事件の真相を暴き出した1人の弁護士がいる。映画『ダーク・ウォーターズ』は、大企業相手に闘いを挑み、住民と正義のために走り続けた実在の人物の勇敢さを描き出す
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2019年に起こった、逃亡犯条例改正案への反対運動として始まった香港の民主化デモ。その最初期からデモ参加者たちの姿をカメラに収め続けた。映画『時代革命』は、最初から最後まで「衝撃映像」しかない凄まじい作品だ。この現実は決して、「対岸の火事」ではない
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例えば、「1万円札」というただの紙切れに「価値を感じる」のは、社会の構成員が同じ「共同幻想」の中に生きているからだ。リドリー・スコット監督の映画『最後の決闘裁判』は、「強姦では妊娠しない」「裁判の勝者を決闘で決する」という社会通念と、現代にも通じる「共同幻想」の強さを描き出す
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火災で一命を取り留め入院していた患者が次々に死亡した原因が「表示の10倍に薄められた消毒液」だと暴き、国家の腐敗を追及した『ガゼタ』誌の奮闘を描く映画『コレクティブ 国家の嘘』は、「権力の監視」が機能しなくなった国家の成れの果てが映し出される衝撃作だ
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私はその存在をまったく知らなかったが、「水俣病」を「世界中が知る公害」にした報道写真家がいる。映画『MINAMATA―ミナマタ―』は、水俣病の真実を世界に伝えたユージン・スミスの知られざる生涯と、理不尽に立ち向かう多くの人々の奮闘を描き出す
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【衝撃】『殺人犯はそこにいる』が実話だとは。真犯人・ルパンを野放しにした警察・司法を信じられるか?
タイトルを伏せられた覆面本「文庫X」としても話題になった『殺人犯はそこにいる』。「北関東で起こったある事件の取材」が、「私たちが生きる社会の根底を揺るがす信じがたい事実」を焙り出すことになった衝撃の展開。まさか「司法が真犯人を野放しにする」なんてことが実際に起こるとは。大げさではなく、全国民必読の1冊だと思う
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【矛盾】法律の”抜け穴”を衝く驚愕の小説。「ルールを通り抜けたものは善」という発想に潜む罠:『法廷…
完璧なルールは存在し得ない。だからこそ私たちは、矛盾を内包していると理解しながらルールを遵守する必要がある。「ルールを通り抜けたものは善」という”とりあえずの最善解”で社会を回している私たちに、『法廷遊戯』は「世界を支える土台の脆さ」を突きつける
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私は基本的に「復讐」を許容できないが、『プロミシング・ヤング・ウーマン』の主人公キャシーの行動は正当化したい。法を犯す明らかにイカれた言動なのだが、その動機は一考の余地がある。何も考えずキャシーを非難していると、矢が自分の方に飛んでくる、恐ろしい作品
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1964年の東京オリンピックを機に建設された「都営霞ケ丘アパート」は、東京オリンピック2020を理由に解体が決まり、長年住み続けた高齢の住民に退去が告げられた。「公共の利益」と「個人の権利」の狭間で翻弄される人々の姿を淡々と映し出し、静かに「社会の在り方」を問う映画
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「80人の命を救うために、1人の少女の命を奪わなければならない」としたら、あなたはその決断を下せるだろうか?会議室で展開される現代の戦争を描く映画『アイ・イン・ザ・スカイ』から、「誤った問い」に答えを出さなければならない極限状況での葛藤を理解する
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地方紙である「ボストン・グローブ紙」は、数多くの神父が長年に渡り子どもに対して性的虐待を行い、その事実を教会全体で隠蔽していたという衝撃の事実を明らかにした。彼らの奮闘の実話を映画化した『スポットライト』から、「権力の監視」の重要性を改めて理解する
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映画『イミテーションゲーム』が描く衝撃の実話。「解読不可能」とまで言われた最強の暗号機エニグマを打ち破ったのはなんと、コンピューターの基本原理を生み出した天才数学者アラン・チューリングだった。暗号解読を実現させた驚きのプロセスと、1400万人以上を救ったとされながら偏見により自殺した不遇の人生を知る
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「正しい」と主張するためには「正しさの基準」が必要だが、それでも「規制されていないことなら何でもしていいのか」は問題になる。3枚の立て看板というアナログなツールを使って現代のネット社会の現実をあぶり出す映画『スリー・ビルボード』から、「『正しさ』の難しさ」を考える
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ドキュメンタリーで定評のある東海テレビが、「東海テレビ」を被写体として撮ったドキュメンタリー映画『さよならテレビ』は、「メディアはどうあるべきか?」を問いかける。2011年の信じがたいミスを遠景にしつつ、メディア内部から「メディアの存在意義」を投げかける
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三権分立の一翼を担う裁判所のことを、私たちはよく知らない。元エリート裁判官・瀬木比呂志と事件記者・清水潔の対談本『裁判所の正体』をベースに、「裁判所による統制」と「権力との癒着」について書く。「中世レベル」とさえ言われる日本の司法制度の現実は、「裁判になんか関わることない」という人も無視できないはずだ
ルシルナ
家族・夫婦【本・映画の感想】 | ルシルナ
子どもの頃から、家族との関わりには色々と苦労してきました。別に辛い扱いを受けていたわけではありませんが、「家族だから」という理由で様々な「当たり前」がまかり通っ…
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ルシルナは、4000冊以上の本と500本以上の映画をベースに、生き方や教養について書いていきます。ルシルナでは36個のタグを用意しており、興味・関心から記事を選びやすく…
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