目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
「ちひろさん」公式HP
この映画をガイドにしながら記事を書いていくようだよ
今どこで観れるのか?
Netflix
この記事で伝えたいこと
「同じ星の人」に出会えて、お互いにそうだと認め合えるのは、とても素敵なことだと思います
「同じ星の人」にはほとんど出会えないからこそ、その関係性はとても貴重です
この記事の3つの要点
- 私には「理想的」に感じられてしまう、ちひろさんの凄まじいまでの「フラットさ」
- ちひろさんが関心を抱く理由も、ちひろさんに関心を抱く理由もほとんど描かれないまま、作品としてはちゃんと成立している凄さ
- 「寂しさ」を抱えた者たちがちひろさんに寄っていく理由と、どこへも行き場のないちひろさんの「寂しさ」
「寂しい」という単語に含まれるすべての感情を凝縮して煮詰めたような作品で、とてもグッときました
自己紹介記事
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記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
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とても素晴らしい映画でした。私はまだ、今泉力哉監督作品を『ちひろさん』含めて2作しか観ていないのですが、「やっぱり好きだなぁ」と感じます。まあ、最初に観た『窓辺にて』があまりにも良すぎて、どうしてもそれは超えられないんですけど。
『窓辺にて』は自分と重なる部分がありまくりの物語で、ちょっと他人事とは思えない作品だったんだよなぁ
そういう意味で言うと、『ちひろさん』は他人事の作品なんだけどメチャクチャ面白いよね
『窓辺にて』も割とそうでしたが、『ちひろさん』はさらに輪を掛けて「何も起こらない作品」だと言えます。「物語が動く」みたいなポイントが全然ないのです。「起承転結」で言うなら「承」しかないという感じでしょうか。よくもまあそんな構成で、観客を惹きつける物語を作り出せるものだと感じます。とにかく面白くて仕方ありません。もちろん原作の力も大きいのでしょうが、今泉力哉監督の持ち味の影響もかなり強いんだろうと思います。
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「同じ星の人」という表現が強烈に響く
映画の中で一番響いたのが、「同じ星の人」という表現です。作中で、「人間は、『人間という箱に入った宇宙人』。みんな違う星から来てるんだから、分かり合えないのは当然だ」みたいな感じのセリフが出てきます。そしてそれを受けて、「同じ星の人」という感覚が出てくるのです。
私は最近、「同じ星の人」に近い感覚を覚えたことがありました。まずは少し、その出来事に触れたいと思います。
15年ぐらい前に付き合っていた元カノから、最近電話が来ました。別れた後もお互い時折連絡を取ることはありましたが、相手が結婚してからは基本的に僕の方から連絡を取ることはなくなり、たまに思い出したように向こうから電話が来てしばらく話すというような関係です。その日も結局、2時間半ぐらい話して電話を切ることになったんですが、私は最後に、「いやー、久しぶりに楽しい会話だったわ」と言いました。相手から「何で?」と聞かれたので、「自分の価値観とか感覚をフルパワーで喋れる相手って、ほとんどいないから」と伝えると、相手も「それは私も同じ」と返したのです。彼女は人生において、私を含めて2人(もう1人は旦那ではない)しかそういう人と会ったことがないと言っていました。
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この話は凄く、「同じ星の人」の話に近い感じがします。
ちひろさんも、「同じ星の人」とまだ2人しか出会えてなさそうだったから、元カノと同じだね
私はもう少し多いんだけど、2人しかいないのはちょっとキツいなぁって思う
私の場合は、10人弱ぐらいは「同じ星の人」と出会えている気でいます。「気でいます」と書いたのは、相手も同じように思ってくれているのか分からないからです。まあ何にせよ、私は私なりに「同じ星の人」と出会えるようにメチャクチャ頑張ってきたつもりだし、というか、「そういう人と出会って話をすること」以外になかなか興味が持てない人間だったりもするので、『ちひろさん』を観ながら、ちひろさんの生き方に心をぐーっと掴まれたような感覚になりました。
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こういう話をすると、「それは恋愛じゃないの?」とよく言われますが、そうではないんですよね。ちひろさんも、
男女って、恋愛の関係しかないの?
と口にしているのですが、まさにその通り。というか、男女の関係を恋愛でしか捉えられない世界は、僕には少し寂しいものに感じられるのです。
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ちひろさんを見ていると、「こんな人と仲良くなりたい」という気持ちも湧いてくるのですが、同時に、「ちひろさんみたいに振る舞いたい」という気持ちにもなります。私も、割と全方位的にフラットに振る舞える人だと思っているのですが、「ホームレスのおじいさんを家まで連れていってお風呂に入れてあげる」なんてことは絶対に出来ません。『ちひろさん』を観て、「ちひろさんのような生き方が私の究極の理想形だなぁ」と改めて実感させられました。
特に、自分よりも年上の人に優しく出来ない自覚がメチャクチャある
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ちひろさんが持つ、凄まじいまでの「フラットさ」
ちひろさんは、「元風俗嬢」という過去を隠そうとせず、というかむしろ積極的に公言しさえして、海辺の町のお弁当屋さんで働いています。「弁当屋で働く若い女性は元風俗嬢」という噂は町中で結構広まっていて、まったく関わりのない高校生でさえ知っているほどです。もちろん、「元風俗嬢」ということで怪訝な反応をする人もいるでしょうが、映画ではそのような描写はあまりなく、ちひろさんは町で自然に受け入れられているという描かれ方になっています。
さてそんなちひろさんは、先程も書いた通りホームレスのおじいさんを自宅の風呂に入れてあげたり、あるいは腕にコンパスの針を刺してきた少年にお弁当を食べさせてあげたりするのです。ちひろさんが見ている世界の中で「人間」がどんな風に映っているのかは分かりません。しかしいずれにしても、ちひろさんは目の前のすべての人と恐ろしいほどフラットに関わっていくのです。ちひろさんの風俗嬢時代を知る人物は、
ツルツルと引っかかりがない、空っぽな女。
みたいな表現をするのですが、そんな性格であることがこの異様なまでのフラットさに繋がっているのだろうと感じました。
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私も、理想的にはホントに、これぐらいのフラットさで色んな人と関わりたいと思ってるんだけどなぁ
気持ちはそうでも、性格がちょっと向かなかったって感じだよね
ちひろさんは日常の中で、様々な人と関わっていきます。この映画は、ただひたすらにそれだけを描いている映画だと言っていいかもしれません。しかし、「ちひろさんが何故彼らと関わろうと考えたのか」についてはほぼ描かれません。だからほとんどの場合、ちひろさんの「動機」は不明です。唯一、「同じ星の人」との関わりについては、「『同じ星の人』だから関わりたいと思った」という形でその「動機」が描かれていると言えるでしょう。しかしそれ以外の関係性では「動機」に関する描写は皆無ですし、想像させるようなヒントもほとんどないように思います。
さらに、ちひろさんと関わろうとする側の「動機」もまた、ほとんど描かれることはありません。中でも最も謎なのは、「日常的にちひろさんを盗撮している女子高生」でしょう。彼女は、本名が「セオクニコ」なのに何故か「オカジ」と呼ばれており、しかもその理由は「話せば長くなる」と作中では説明されません。そして同じように、ちひろさんを追いかけている理由についても触れられないのです。
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他の人にしてもほとんど同じで、大体において「どうしてちひろさんと関わろうと思ったのか」みたいな描写はありません。まあ、皆それぞれ何らかの問題を抱えているして、そういう人たちが集まってくるわけだけど。この辺りのことはもう少し後で書きましょう。
凄いのが、ちひろさんに関心を抱く理由も、ちひろさんが関心を抱く理由もほとんど描かれないまま、作品としてはしっかり成立しているという点です。そしてそれは、ちひろさんが持つ類まれな雰囲気によるものだと感じました。
ちひろさんには特に意図はなかったかもしれませんが、私は、ちひろさんが「元風俗嬢」と公言しているのは上手いやり方だと思います。その事実を知って敬遠する人は、最初から近づいて来ないからです。「この人とどうしても関わりたい!」と思う人がいるなら良いやり方だとは言えないでしょう。しかし、ちひろさんにとってそう感じられる人がいないのであれば、「元風俗嬢」だと宣言してしまうことで、「自分に嫌悪感を与え得る人」との関わりを大幅に断ち切れるのです。
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映画の中ではなんとなくしか示唆されませんが、ちひろさんは恐らくそれまでに色々と痛い目を見てきたのだと思います。だから、「元風俗嬢だと公言する」みたいな、ちょっと過激とも言えるスタンスを取ることにしたのでしょう。そのことによって、「自分の周りに集まってくる人は不愉快な人間ではない」と感じられるし、そのお陰でよりフラットに関われるようになる、みたいな循環が生まれていたりもするのかもしれません。
ちひろさんの周りには「寂しさ」を抱えた人たちが集まってくる
映画の中で描かれる、ちひろさんの周りに集まってくる人たちは、だいたい皆「何か寂しさを抱えている」と言っていいでしょう。その「寂しさ」は多種多様で、見ていて分かりやすいものもあれば分かりにくいものもあり、また、その背景が具体的に描かれる人もいればほとんど説明されない人もいます。
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ただ、映画を観ながら私は、「ちひろさんに惹かれるぐらい寂しい人なんだな」という風に感じました。
もちろんこれは、「元風俗嬢”なんかに”惹かれてしまうぐらい」という意味も少しは入っています。映画では決してその点が強調されるわけではありませんが、ちひろさんに関する情報が少ない内は、やはりどうしても「元風俗嬢」という捉え方が強くなってしまうでしょう。
ちょっと唐突だけど、他の作品を観ても時々、「『ポリティカル・コレクトネス』を考慮しなくていい社会だったらどんな描写になったんだろう」みたいに考えることがある
今は良かれ悪しかれ、多くのクリエイターが「ポリコレ」を無視して創作に携わるわけにはいかないからね
しかし決してそれだけではありません。というか、私はそもそもちひろさんに惹かれてしまうタイプの人間なので、「元風俗嬢”なんかに”惹かれてしまうぐらい」というのは全然私の感覚ではないのですが、とにかく、「ちひろさんに惹かれるぐらい寂しい」というのはもう少し違う意味もあります。
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映画の中で、オカジが友人のべっちんに向かって、
べっちんがいなかったら、私は溺れ死んでたかも。
と口にする場面がありました。これは要するに、「べっちんの近くにいたら息が吸える」みたいな感覚でしょう。そして、「同じような感覚を皆、ちひろさんに対して抱いているんじゃないか」というのが私の捉え方です。理由は分からないけれど、ちひろさんの周りは何故か酸素が濃くて、その濃い酸素を吸いに行かないと窒息してしまう、みたいに皆が感じているのではないか。そして、ちひろさんの近く以外に酸素が濃い場所を見つけられないわけで、私はそういう意味で「ちひろさんに惹かれるぐらい寂しい」と感じるのです。
さて、そんなちひろさんも「寂しい人」のはずなのですが、では、ちひろさんは「寂しさ」とどう向き合っているのでしょうか? その点についてもやはりほとんどわかりません。この映画は『ちひろさん』というタイトルですが、実際には「ちひろさんの周りの人たち」を描く物語であり、どれだけストーリーが展開しても、「『ちひろさん』という空白」は埋まらないと感じさせられるのです。
観れば観るほど、一番寂しいのはちひろさんなんだろうなぁって思うよね
「ちひろさんにとっての『濃い酸素』になれたらいいな」って感じるけど、実際はなかなか難しそうだよなぁ
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さて、「寂しさ」とは直接的に関係ないでしょうが、「ちひろさん」そのものがあまりにも描かれないからこそビックリさせられた展開があります。
ちひろさんの、生きていく上での不思議なスタンス
ちひろさんは突然「水の底に沈んでいる」みたいな状態になるのですが、私は「いつの間に?」と感じてしまいました。ちゃんと物語を追っていたはずなのに、激しく感情が落ち込んでしまうような「何か」が描かれている気がしなかったからです。「ちひろさんが大いに落ち込む」という事実を知った上で観直せばその「何か」に気づけるのかもしれませんが、少なくとも現時点ではその理由は私には上手く捉え切れていません。
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まあそもそも、「何か理由があるから落ち込む」って捉え方も狭いけどね
「なんとなく気分がダウナーになる」みたいなことは現実にはもちろんあるけど、物語においてはやっぱり何か理由を探しちゃうよなぁ
そうかと思えばちひろさんは、鳥の死骸を埋めたり、思いがけないタイミングでキスをしたりします。ちひろさんの思考や感覚はどうにも無秩序に展開されている感じがあって、とても不思議でした。特に、ちひろさん以外の人物が、「ステレオタイプ」とは言わないまでも、かなり「理解しやすい存在」として描かれていることもあって、一層ちひろさんの不可思議さが際立つことになるのです。
ちひろさんの不思議さはやっぱりとても「矛盾」していて、だからこそ魅力的なのだろうと思います。ちひろさんには「風を受けて進む帆船」のような主体性の無さがありながら、同時に、「自分が『道』だと認識したところしか進みません」みたいな力強さも持ち合わせているのです。そのあまりに相容れない矛盾こそが、ちひろさんの奇妙な存在感を際立たせているのだろうなと感じました。
避けてるだけじゃなくて、自発的に進んでる感じもあるんだよなぁ
そんなわけで、とにかく「ちひろさんの分からなさ」が際立つ映画なのですが、一方で、「ちひろさん以外の分かりやすさ」もまた興味深い作品と言っていいでしょう。特に私がグッと来たのは、やきそばが出てくるシーン。具体的には書きませんが、「『不幸』って口にしたら反感を買う」みたいな境遇にいる人物の号泣にはグッと来ました。わかる、それは泣いちゃうよなぁ。
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最後に
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魅力的な登場人物の多い作品で、ちひろさん以外でいうと、個人的にはオカジとべっちんがとにかく素敵でした。とても良い関係性だと思います。オカジとマコトのやり取りも楽しかったなぁ。あと、あの人物が若葉竜也だとは、エンドロールを観るまで正直気づきませんでした。
リリー・フランキーはさすがの存在感で、風吹ジュンもとても良かったです。有村架純と風吹ジュンのシーンは、全場面とても好きだなと思います。
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映画『街の上で』(今泉力哉監督)は、「映画・ドラマ的会話」ではない「自然な会話」を可能な限り目指すスタンスが見事だった。「会話の無駄」がとにかく随所に散りばめられていて、そのことが作品のリアリティを圧倒的に押し上げていると言える。ある男女の”恋愛未満”の会話もとても素晴らしかった
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両親の死をきっかけに、「見知らぬ弟」を引き取らなければならなくなった女性を描く映画『シスター 夏のわかれ道』は、中国の特異な状況を背景にしつつ、誰もが抱き得る普遍的な葛藤が切り取られていく。現状を打破するために北京の大学院を目指す主人公は、一体どんな決断を下すのか。
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「ゲイの男性が、拘置所から出所した20歳の男性と養子縁組し、親子関係になる」という現実を起点にしたドキュメンタリー映画『二十歳の息子』は、奇妙だが実に興味深い作品だ。しばらく何が描かれているのか分からない展開や、「ゲイであること」に焦点が当たらない構成など、随所で「不協和音」が鳴り響く1作
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ドキュメンタリー映画の傑作『A』(森達也)をようやく観られた。「オウム真理教は絶対悪だ」というメディアの報道が凄まじい中、オウム真理教をその内部からフラットに映し出した特異な作品は、公開当時は特に凄まじい衝撃をもたらしただろう。私たちの「当たり前」が解体されていく斬新な一作
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「#MeToo」運動のきっかけとなった、ハリウッドの絶対権力者ハーヴェイ・ワインスタインを告発するニューヨーク・タイムズの記事。その取材を担った2人の女性記者の奮闘を描く映画『SHE SAID その名を暴け』は、ジャニー喜多川の性加害問題で揺れる今、絶対に観るべき映画だと思う
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男性同士の恋愛が犯罪であり、ゲイの男性が刑法175条を理由に逮捕されてしまう時代のドイツを描いた映画『大いなる自由』は、確かに同性愛の物語なのだが、実はそこに本質はない。物語の本質は、まさにタイトルにある通り「自由」であり、ラストシーンで突きつけられるその深い問いかけには衝撃を受けるだろう
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のん(能年玲奈)が「おひとり様ライフ」を満喫する主人公を演じる映画『私をくいとめて』を観て、「孤独」について考えさせられた。「誰かと関わっていられれば孤独じゃない」という考えに私は賛同できないし、むしろ誰かと一緒にいる時の方がより強く孤独を感じることさえある
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【考察】ヨネダコウ『囀る鳥は羽ばたかない』は、BLの枠組みの中で「歪んだ人間」をリアルに描き出す
2巻までしか読んでいないが、ヨネダコウのマンガ『囀る鳥は羽ばたかない』は、「ヤクザ」「BL」という使い古されたフォーマットを使って、異次元の物語を紡ぎ出す作品だ。BLだが、BLという外枠を脇役にしてしまう矢代という歪んだ男の存在感が凄まじい。
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おげれつたなか『エスケープジャーニー』のあらすじ紹介とレビュー。とにかく、「BLでしか描けない関係性」が素晴らしかった。友達なら完璧だったのに、「恋人」ではまったく上手く行かなくなってしまった直人と太一の葛藤を通じて、「進んでも行き止まり」である関係にどう向き合うか考えさせられる
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映画『窓辺にて』(今泉力哉監督)は、稲垣吾郎演じる主人公・市川茂巳が素晴らしかった。一般的には、彼の葛藤はまったく共感されないし、私もそのことは理解している。ただ私は、とにかく市川茂巳にもの凄く共感してしまった。「誰かを好きになること」に迷うすべての人に観てほしい
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『あなたの孤独は美しい』というエッセイでその存在を知ったAV女優・戸田真琴の初監督映画『永遠が通り過ぎていく』。トークショーで「自分が傷つけられた時の心象風景を映像にした」と語るのを聞いて、映画全体の捉え方が変わった。他者のために創作を続ける彼女からの「贈り物」
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