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本・映画の感想ブログ「ルシルナ」の中から、「読んでほしい記事」を一覧にしてまとめました。「ルシルナ」に初めて訪れてくれた方は、まずここから記事を選んでいただくのも良いでしょう。基本的には「オススメの本・映画」しか紹介していませんが、その中でも管理人が「記事内容もオススメ」と判断した記事をセレクトしています。
この記事で取り上げる映画
出演:小川淳也, 出演:平井卓也, 出演:町川順子, 監督:大島新, プロデュース:前田亜紀
¥500 (2022/12/30 15:31時点 | Amazon調べ)
ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
今どこで観れるのか?
劇場情報をご覧ください
この記事の3つの要点
- 政治家とは思えない、あまりに異質な「誠実さ」に驚かされる
- 小川淳也の周りに集まる人たちを見るだけで、小川淳也の人間性がよく分かる
- 「キレイゴト」が「本心」そのものであり、「本気で言っているのだ」と感じさせる力がある
こういう人を国会に送り込むことが、私たち市民の務めだろうと実感させられた
自己紹介記事
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どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
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映画『香川1区』は、映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』の続編という位置づけだ。しかし僕は、『なぜ君は総理大臣になれないのか』を観ていない。だからこの感想は、『香川1区』しか観ていない人間によるものである。
凄まじかった。選挙を扱ったドキュメンタリー映画で、これほど号泣することがあるとは、ちょっと想像もできなかった。これまで映画を観て一番泣いたのは恐らく『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』だと思うが、それに次ぐぐらい泣かされた。自分でも、驚くほどだ。
正直『香川1区』も、他に観たいと思う映画があれば観なかったかもしれない。私の中で、観る優先順位の低い映画だったのだ。『香川1区』は結果的に観たわけだが、同じ理由で、『なぜ君は総理大臣になれないのか』は劇場公開中に観なかった。『香川1区』を観て、どうして『なぜ君は総理大臣になれないのか』を観なかったのかと悔やんだ。もちろん、様々な配信で観ることはできるだろう。基本的に「映画は映画館で観る」と決めているので普段はやらないのだが、この映画は配信で観るかもしれない。
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『香川1区』は、本当に観て良かった。
政治や選挙にあまり興味を持てないという人も多いだろう。実は私もそうだ。どうにも、そこまで強く関心を持てずにいる。しかしこの映画で描かれるのは、「小川淳也という人間」、そして「小川淳也を応援する人間」だ。「人間」の物語なのである。そして「このような『人間』が、政治というあまりにも『誠実さ』とかけ離れているように感じられる世界にいる」という事実に、やはり感動させられてしまう。
ちなみに、これは書いておく必要があると思うが、私はいわゆる「無党派層」だ。特定の政党を支持したことはない。ただ、「自民党は嫌い」という感覚はある。とはいえ、そこまで強く関心を持っておらず、知識も十分ではないため、自民党政治の何が問題で、どう変わるべきなのか、などについて議論できるレベルにはない。とにかく、「生理的に嫌」というだけだ。
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なんとなくだが、私のようなレベル感の人間は世の中に結構たくさんいるのではないかと思う。そして、そういう人間がこの記事を書いているのだ、と理解してほしい。
小川淳也を応援する様々な声
小川淳也という政治家には、特筆すべき点が様々にある。いわゆる「地盤・看板・カバン」を持たない、一介の「パーマ屋のせがれ」から政治家を目指したこと、小選挙区「香川1区」のライバルは、香川のメディア王と呼ばれる一族の3世議員で、デジタル庁を創設した平井卓也であることなどだ。
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しかしそのような小川淳也の描写は一旦後回しにしよう。まずはこの映画の中に出てくる、小川淳也を応援する様々な声を拾うことにする。
この映画を観て、私が一番涙を抑えられなかった場面は、小川淳也の長女が支援者の前で話をする場面だ。小川淳也が小選挙区で平井卓也を破って勝利し、後援会事務所が歓喜に湧いている場面で、彼女はこんな風に言って涙する。
私と妹はたぶん同じことを考えてるんですけど、これまでお父さんが負ける度、「私たちは大人になったら、正直者がバカを見る世界に立ち向かわなければならないんだ」って思ってました。でも今回、正直者の言葉もいつかみんなに届くんだって感じられたんです。
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この言葉には号泣させられた。
彼は2003年に、家族の猛反対を押し切って、何もないところから選挙に出馬する。それから2017年までの間に6回衆議院選挙が行われたが、平井卓也とは1勝5敗、2009年に民主党が政権を奪取した際に1度勝っただけで、後は毎回負けてしまっているのだ。
2005年の選挙以降は、毎回比例で復活しているが、小選挙区では勝てない。そしてそんな”勝てない父”を見て娘は、「今の世の中では、正直者がバカを見る」と感じていたというわけだ。
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字面だけ読むと、泣くほどの言葉ではないと感じるかもしれない。しかし観客は、そこに至るまで小川淳也の「誠実さ」を見ている。観客もまた、「どうしてこれほどの人物が、選挙に負けてしまうのか」と共感しているのだ。だからこそ、まさにその想いを凝縮したような娘の言葉にグッときてしまうのである。
あるいは、小川淳也の「誠実さ」を象徴するような、政策秘書の言葉も印象的だった。
彼は「死んでも死に切れません」って言うんですよ。それで私、「この人は大嘘つきだ」と思いました。だって、そんなわけないですもん。永田町に、本気でそんなこと思ってる人なんているわけないじゃないですか。
でも、何度か関わってる内に、「あれ? この人、本気で言ってる?」って感じるようになって。
「死んでも死にきれません」というこの言葉、政策秘書が直接小川淳也から聞いたのだと私は思っていたのが、後で調べてみると、『なぜ君は総理大臣になれないのか』の中に、そう言って家族を説得する場面があるようだ。政策秘書が言っているのは恐らくこのシーンのことだろう。
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確かに普通の感覚で言えば、「政治家になれなければ死んでも死にきれない」という言葉はとても嘘くさい。というか、嘘だろう。私もそんな言葉を耳にしたら、嘘だと判断すると思う。
しかし小川淳也は、信じがたいだろうが、嘘を口にするような人間ではない。もちろん私は小川淳也に会ったこともないし、どころか『香川1区』を観て初めてその存在を知ったにすぎないが、それでも私も同様に、「この人は口先だけの嘘はつかない、本気で言っている」と感じさせられてしまった。
映画を観ていると、多くの人が「小川淳也の『誠実さ』」を感じていることが実感できる。
小川淳也の選挙事務所を可愛らしく飾り付けしている女性たちは、「小川淳也を心の底から応援する会」(通称:オガココ)のメンバーであるらしい。自発的に集まり、小川淳也の信任を得て(と言っても、「何でも自由にやってください」という感じだったそうだが)、彼女たちなりに考えて小川淳也の選挙戦を盛り上げようとする。出陣式の司会を務めていたのも、このオガココのメンバーだった。
小選挙区「香川1区」は、高松市に加えて小豆島などの島しょ部も含み、島しょ部ほど自民党支持が強いとされている。そんな中、小豆島で商店を営む男性が電話でインタビューに応じ、「島の人間関係的に、表向き自民党支持を謳っているが、実際には小川先生を尊敬している」と語っていた。
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小川淳也は街頭演説で、自分だけ一方的に話をするスタイルを取らない。集まってくれた人にマイクを渡し、率直な意見を拾い上げようとするのだ。ある場面で、通りすがりの女子高生・男子高生がそれぞれマイクを受け取り、「応援しています」と声を掛けていた。私も、自分が住んでいる街で通りがかりに街頭演説を目にする機会はあるが、もちろん聴衆から意見を聞こうとする人はいないし、高校生や若い世代が立ち止まっている姿を見かけることも多くはない。なかなか稀有な光景だと感じた。
小川淳也の選挙事務所には、『なぜ君は総理大臣になれないのか』の映画の反響もあるだろう、日本全国からボランティアがやってくる。ちょっと自分ごととして考えてみてほしい。仮にドキュメンタリー映画を観て、「この人凄いな」と感じたとしても、静岡や栃木から香川まで選挙ボランティアとして参加しようと考えるだろうか? やはりそれは、ただ「凄い」ではなく、「凄すぎる!」「こんな人がいるんだ!」「自分も何かできることで応援したい!」という気持ちになるからこその行動であり、画面越しにでもそう感じさせるだけの強さがあるということだと思う。
小川淳也の周囲に集まる人の姿からだけでも、小川淳也という政治家の「誠実さ」が理解できるのである。
「キレイゴト」でしかないように思える言葉が「本心」なのだと理解できる
長女だったか次女だったか忘れてしまったが、選挙事務所で電話を掛ける場面が映し出された後、彼女がこんな風に語る場面がある。
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家族が(選挙運動に)出てくることに疑問を抱く人もいるし、映画(※『なぜ君は総理大臣になれないのか』のこと)があるってことに違和感を抱く人もいる。別に色んな考えがあっていいんだけど、1つ言えることは、そういう人たちの話でもお父さんは真摯に聞くってこと。アンチだからとか関係ない。
これもまた、小川淳也という人間の凄さと言っていいだろう。彼は、自分に批判的な人間の意見もきちんと聞くのである。何よりも凄いのは、「小川淳也は、自分に批判的な人間の意見もきちんと聞く」ということが、周囲に理解されている点だ。なかなか普通はできないことだからこそ、「そんな人が本当にいるのだろうか」と疑いたくなってしまうが、彼はそういう人間なのだときちんと認識されているのである。
またこの点は、彼の「理想とする民主主義」に対する想いでもあるのだ。古い言い方をすれば、「小川淳也にとっての一丁目一番地」と言ったところだろう。
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当選直後に小川淳也が支援者の前で挨拶をする場面でも、その想いが強く滲み出ていた。彼はこんな風に話をするのだ。
余計なことかもしれません。今こんな場面で言うことではないかもしれませんが、私が理想とする民主主義では、「勝った51」がいかにして「残りの49」を背負うかが大事だと思っています。なので、対立候補の皆さん、そして彼らを応援した支援者たちにもエールを送りましょう。
この話は、以前読んだ内田樹『サル化する社会』にも書かれていた。
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民主主義においては本来、「多数の人間に支持された側」が「すべての人間の代表」でなければならないはずだ。しかし今の政治は、「多数の人間に支持された側」が「自分を支持してくれた人の代表」としてしか振る舞わない。そんな政治では上手くいくはずもない、と内田樹は指摘している。
そして小川淳也は、まさにその「理想的な民主主義」を実現しようと考えているのだ。
しかしこの言葉も恐らく、字面だけ読めば、「キレイゴトなんか言っちゃって」と受け取られるだろう。この映画を観ていなければ私もきっと同じように感じる。そんなことを本気で言う人間がいるはずがない、という発想にどうしてもなってしまう。
しかし繰り返しになるが、この映画を観ていると、「小川淳也は本気で言っているんだ」と実感させられる。この点は、普通の政治家からはまず感じることのない、小川淳也が持つ「凄み」だと思う。
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小川淳也の言葉は「シンプルな理想」を語るものが多く、だからこそ「キレイゴト」に聞こえてしまいがちだ。しかし字面ではなく、小川淳也の言葉として触れれば、彼が本気でその理想を信じ、その実現に邁進しているのだと理解できるだろう。とはいえ、彼の両親でさえも「キレイゴト」という言葉を使い、息子のあり方を心配するのだから、度を越していると言っていい。
あいつはそれでもキレイゴトを通そうとする。確かにそういうやつもいないといけない。
でもあまりに幼いというか、キレイ過ぎるというか、真っ直ぐ過ぎる。
これは選挙直前に小川淳也が批判を浴びたある出来事に関連して出てきた言葉だ。どんな出来事だったのかは実際に映画を観てもらうとしよう。彼のその行動は、彼なりの「誠実さ」「純真さ」からのものだったが、世間にはその真意が伝わらず批判されてしまうことになる。そんな息子を心配しての言葉というわけだ。
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両親は決してそういう表現を口にしてはいないが、上述の言葉を要約すると、「もう少しズルくやればいいのに」となるだろう。「ズルをするな」と言うならともかく、親が息子に対して「ズルすればいいのに」と伝えることは、なかなかに異常事態であるように感じられる。
親の立場からもそんな風に言いたくなってしまうような存在なのだ。
普通「キレイゴト」というのは、何かの目的のために本心を押し隠そうとして発せられるはずだ。しかし小川淳也の場合、「キレイゴト」にしか思えない言葉が「本心」そのものであるのだと伝わる。特に政治の世界では、「すぐに嘘だと分かるキレイゴト」ばかりがまかり通っていると感じられるからこそ、「キレイゴトが本心だと伝わること」は凄まじいと感じさせられるし、驚かされてしまった。
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「生真面目さ」ゆえの「大爆笑」
映画を観ていて非常に印象的だったことがある。それは、様々な場面で小川淳也の周りに「爆笑」が起こる、ということだ。
これは決して、「小川淳也の周りでは笑顔が絶えない」という話ではない。確かにそれもその通りなのだが、私が驚かされたのは「『爆笑』が起こる」という点なのだ。映画の中だけではなく、映画館にいる観客も何度も「爆笑」させられた。
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その「爆笑」は大体、小川淳也の「生真面目さ」が浮き彫りになった時に起こる。
小川淳也は、政治評論家の田崎史郎と熱い”ケンカ”をするのだが、その後車での移動中に冷静になり、田崎史郎に謝りの電話を入れていた。この場面で「爆笑」が起こる。
あるいは、選挙運動最終日の演説での様子も印象的だった。詳しくは知らないが、「最終日は何時まで演説をしてもよい」という法律の規定が存在するようだ。そして、「あと1分ほどでマイクを置かなければなりません」と言ってからも演説を続けた後、「5,4,3……」とカウントダウンを始め、ピッタリの時間に演説途中でマイクを切った。この場面でも「爆笑」が起こる。
小川淳也の周りにいる人も観客も皆、「そんなに生真面目にならなくても」と感じているわけだ。しかし彼は杓子定規にその「生真面目さ」を通そうとする。だからこそ、「こんな人がいるんだ」と「爆笑」が生まれるのだ。確か妹の方だったと思うが、娘が父親を「ストイックの塊」と評する場面があり、まさにその通りだと感じさせられた。
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そして何度も書くが、彼の「生真面目さ」「誠実さ」がまったく嘘っぽくないことが凄い。
ここまで記事を読んでくれた方は何となく察するかもしれないが、私は他人の「善意」に「違和感」を覚えてしまうことが多い。というか基本的に「善意」を疑っている部分さえある。「キレイゴト」を言う人に対しては「何か目的があるんだろう」と感じてしまうし、無私の誠実さなんて世の中にはほとんど存在しないと考えている。
だから、どうして自分が小川淳也に「誠実さ」を感じるのか考えてみた。恐らくだが、自然と「マイナスの部分」も見えるからではないかと思う。
私は、「誠実さ」の話とはまた別に、そもそも「マイナスの部分」が見えない人を信頼できない。「パッと見で判断できる部分」がキレイに整いすぎている人は「取り繕ってる」としか感じられないし、どうしても胡散臭いと感じられてしまう。マイナスが見えれば誰でもいい、という話ではもちろんないが、そもそもマイナスの部分を隠そうという意識が感じられる場合、その人への信頼度は著しく下がってしまうのだ。
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小川淳也の場合、「私のどこを見てもらっても別に構いません」というスタンスが如実に伝わるので、ナチュラルに「マイナスの部分」も垣間見える。そしてそのようなマイナスを感じるからこそ、「この人は取り繕っていない」という感覚にも繋がり、それが「誠実さ」という判断をもたらしているのだと思う。
正直、小川淳也から垣間見える「マイナスの部分」は、取り上げるほど大したものではないのだが、私が映画を観ていて一番印象的だったのは、撮影スタッフとうどん屋で昼飯を食べている場面での発言だ。
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話の流れの中で、監督が小川淳也を「変わり者」と呼び、彼自身は「自分は常識人だと思っていた」と返すやり取りがある。その後で小川淳也がこんな風に発言するのだ。
(政界には)確かに(頭の)ヒューズが飛んでる人は多いけど、でもホントはヒューズを飛ばさなきゃいけない。
だって、(選挙期間中に)誰が自転車で走り回りたいと思う?
発言の意図は、「『変人であること』よりも『変人のスイッチを入れること』の方が大事だ」という内容だ。しかし私は、その発言意図よりも、「誰が自転車で走り回りたいと思う?」という言葉の方が気になった。
自分を「良い人」に見せようとして取り繕う人間は、こんな言い方はしないだろう。
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一般的に想定できる会話のやり取りを書けば、支援者から「暑い中自転車で回って大変でしょう」と声を掛けられた時に、「いやいや、皆さんと直接お話ができて楽しいですよ」と返す、みたいな感じではないかと思う。しかし小川淳也は、別に聞かれてもいないのに、「選挙活動で自転車に乗るなんて大変に決まってるじゃないですか」と口にするのだ。
決してこの発言だけからそう判断したわけではないが、小川淳也の様々な言動から、「この人は本当に、『自分を良く見せようとすること』に対して関心がないのだな」と実感させられるし、だからこそその言動すべてを丸ごと受け取っても大丈夫だと感じさせてくれる。なかなか稀有な才能だと思う。
「言葉を『言葉通り』に受け取っていい」と感じさせる凄まじい能力
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先ほども少し紹介したが、街頭演説の最中に小川淳也は聴衆からも意見を募る。市民が日々の生活の中で何を感じ、政治に対して何を望んでいるのかを真摯に受け止めようとするのだ。
そして、このやり取りを実現できることが凄まじいと私は感じた。何故なら普通、「政治家に対して人前で質問すること」はとてもハードルの高い行為だと認識されるはずだからだ。
自分ごととしてイメージしてみてほしい。政治家が自分の住む町で演説しており、その政治家から「皆さんの意見を聞きたいので率直に何でも話してください」と声を掛けられたとしよう。そんな場面でマイクを受け取り、自分の想いや政治への疑問などを意見することができるだろうか?
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普通はなかなか出来ないはずだ。何かのイベントの後に設けられる質疑応答のコーナーでさえ手を挙げられないという方は多いだろう。そういうイベントは、自分の趣味に関わるものだと思うが、そういう状況でさえ質問は容易ではないのだ。だったら、政治や世の中に対してそこまで知識がないと思っている人が政治家に意見をぶつけることはさらに難しいとイメージできるのではないだろうか。
しかし小川淳也の街頭演説では、若い世代も含め、様々な人がマイクを受け取り発言する。もちろん、誰かが先陣を切って質問してくれると、それ以降の人のハードルが下がって意見しやすくなる、ということもあるだろうが、決してそれだけではないはずだ。
小川淳也の凄さは恐らく、「『皆さんの意見を聞きたいので率直に何でも話してください』という言葉を『言葉通り』に受け取ってもいいと感じさせる力」にあるのだと思う。
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私は人生において、この「言葉を『言葉通り』に受け取ってもらうこと」をかなり重視してきた。自分の実感としては、私はそれがある程度実現できていると思っている。そしてだからこそ、そのことの難しさも理解しているつもりだ。
政治家ではなく、例えば先輩や上司を思い浮かべてもらってもいい。そういう上の立場の人から、「不満や意見があれば何でも言ってほしい」と言われたところで、正直に話す人はまずいないだろう。「こんなことを言ったらバカだと思われるだろう」「こんなことをしたら批判されるんじゃないか」「後から報復されてしまうかもしれない」という不安が払拭されない限り、本心からの言動を引き出すことは難しいからだ。心理学の世界では、不安を感じずにいられることを「心理的安全性」と呼んでいる。
そして小川淳也はその「心理的安全性」を、それまで関係性があったわけではない初めて会う人に対しても感じさせるだけの力があるわけだ。これは本当に凄まじい能力だと感じる。「キレイゴト」にしか聞こえないような「本心」を真っ直ぐ口にした上で、「この人は本気で言っているんだ」と感じさせ、さらに相手から意見を引き出すのだから、なかなか普通にできることではない。さらにそれを、どうしても「胡散臭い」という印象がつきまとう「政治家」という立場の人間が実現しているのだから、奇跡的なことだとさえ感じさせられる。
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国会答弁でもテレビ番組のゲストでもなんでもいいが、国会議員の言葉を聞いて「この人の言っていることを『言葉通り』に受け取っていい」と感じさせる人がどれだけいるだろうか? もちろん、重い責任を持つ立場になるほど、「どうしても言えないこと」「本音とは違う決断をしなければならない場面」など出てくるだろし、「誠実さ」を持ちながらその板挟みの中で苦悩している「生真面目」な政治家もいると思っている。
さらに私は決して、政治家は清廉潔白でなければならないと考えているわけでもない。政治家は「法律を作れる立場」なので、「法律を守ってさえいれば何をしてもいい」とは思わないのだが、「倫理」や「社会通念」など「何となく国民の『空気感』が反映されたルール」に抵触しない範囲であれば、手段より結果が重視されるべきだと思っている。逆に言えば、小川淳也は「誠実さ」を貫くが故に「結果」をなかなか生み出せないでいると評価されるかもしれないし、この点は彼の弱点とも言えるだろう。
しかしそれでも、小川淳也のような人間が政治家になってほしいと感じてしまうし、彼のような「誠実さ」でしか変えられない何かがあるとも思っている。
もちろん、小川淳也も重い責任を持つ立場になれば、「誠実さ」だけでは進めない時が来るかもしれない。そしてそのような場面では、それまでこだわり続けてきた「誠実さ」を諦めて、彼が目指す「あるべき姿」が実現できる「手段」を取ってほしいと思う。
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だから小川淳也に対しても、「ずっとその『誠実さ』を保ち続けてほしい」と願っているわけではない。
しかし彼を見ていると、「否応なしに『誠実さ』から逃れられない人物」なのだと感じるので、仮に彼が「清廉潔白」とは言えない「手段」を取るとしても、それは悩みに悩み抜いた末のやむを得ない判断なのだと実感できるだろうと思っている。
そういう人間が国の舵取りをしてほしいと感じるし、そのためには、私たちが小川淳也のような政治家を国会に送り込まなければならないのだと改めて実感させられた。
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小川淳也の街頭演説で聴衆がこんな意見を言う場面があった。
今回「香川1区」は全国的に熱狂した小選挙区だったと思います。そして数年後には、日本全国が「香川1区」のようになっていることを望んでいます。
映画『香川1区』で描かれる小川淳也の選挙戦は「爽快さ」に溢れていたし、「こんな選挙運動なら参加してみたいかも」と思わされるものだった。全国からボランティアがやってくるのも納得という感じだ。そして、このような選挙運動が日本全国で広がるなら、日本の政治もまだまだ捨てたもんじゃないと感じられるかもしれない。
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さて、小川淳也について知りたいという方にとっては、これ以降の記述はすべて余談である。読む必要はない。ここからは、映画『香川1区』で描かれるもう1人の主人公である平井卓也と、彼が属する自民党について思うところを書いていきたい。
「ネガティブキャンペーンはしない」という小川淳也陣営のスタンス
平井卓也について書く前に触れておかなければならないことがある。恐らく小川淳也は、「小川淳也を応援する意図で平井卓也を批判すること」を望んではいないだろうということだ。それは、「勝った51」が「残りの49」を背負う、という先の発言からも理解できるが、より直接的に言及する場面も映画には出てきた。
小川淳也陣営は、「平井卓也へのネガティブキャンペーンはしない」と明言しているのだ。小川淳也の性格からすれば当然と言えるが、それをはっきりと宣言する場面が描かれていたのである。
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流れはこうだ。
映画の中で、平井卓也が街頭演説をしている場面も何度か映し出され、その中に、
今回の選挙はフェアじゃない。相手はPR映画で票を集めようとしている。本当に汗をかいて仕事をしているのが誰なのか、皆さん見極めて投票して下さい。
と発言をする場面もある。これは要するに、『なぜ君は総理大臣になれないのか』の映画の効果で小川淳也の人気が急上昇しているだけであり、そんな「PR映画」に乗せられて投票するのは止めましょう、というネガティブキャンペーンなのだ。この平井卓也の発言に対して、監督の大島新は怒りを覚え、直接彼に「PR映画って言い方はないんじゃないですか」と声を荒らげる場面もあった。
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その発言に続く形で、監督が小川淳也の選挙事務所のスタッフに「ネガティブキャンペーンはしないんですか?」と質問し、それを明確に否定する場面が描かれる、というわけだ。
自分の立場を明確にしておきたいだけなのだが、私は決して「小川淳也を応援する意図で平井卓也を批判する」わけではない。小川淳也のことは脇に置いた上で、平井卓也あるいは自民党のやり方に対して憤りを覚えるからこそ批判するのである。
あともう1つ、「この映画だけを観て平井卓也を評価するのはフェアではない」と理解していることも書いておこう。
映画である以上、当然編集されているわけで、邪推すれば、「平井卓也の良い部分を切り落とし、悪い部分だけをピックアップした」と考えることもできる。私はそんな風に思っているわけではないが、その可能性は決してゼロではないだろう。そういう意味で、この映画の描写だけから「平井卓也」という人を判断していいなどとは思っていない。
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ただ私は、仮に平井卓也の良い部分が切り落とされているのだとしても、この映画における平井卓也の描写は「絶対的な悪」だと感じてしまうし、そのような政治のあり方が根絶されてほしいとも思っている。だからフェアではないと認識しながら、この映画の描写だけから批判を展開することにする。
ちなみに、映画で描かれる問題が「平井卓也個人の非」なのか、あるいは「自民党の非」なのか私には判断できない。もしかしたら自民党という組織全体の問題かもしれないが、この記事ではとりあえず、平井卓也個人の問題だと考えて書いていこうと思う。
「投票の”強要”」と「政治資金パーティー」の問題
映画を観て最も驚かされたのは、「期日前投票所の近くに、『平井卓也に投票したことを報告する部屋』が用意されている」という描写だ。私には経験がないが、会社によっては従業員に「誰々に投票するように」と指示があるらしい。そしてその指示をちゃんと守って投票したことを報告するための部屋が用意されているというわけだ。
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撮影スタッフが、「上司に言われてやってきた状況をよく理解していない新人」のフリをして、その部屋から出てきた人たちに話を聞くのだが、やはり中では、「どこの誰が平井卓也に投票した」と記すことが行われているそうだ。さらにその部屋の持ち主を調べたところ、確か平井卓也の後援会の誰かだった、と判明したそうである。
なるほどこんなことが行われているのか、と感じさせられた。
もちろんこれは、投票行動の強要ではないのだろう。実際には小川淳也に投票したのに、報告部屋では平井卓也に投票したと嘘をつけるはずなので、いくらでも抜け道のある仕組みだとは思う。
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ただ当然、無言の圧力としては機能しているだろう。あるいは、政治にさほど関心を持てない、いわゆる「無党派層」の票を確保していると捉えるべきかもしれない。いずれにしても、気に食わないやり方だと感じる。
また、法律的に問題があると感じるのは、「政治資金パーティー」への招待状だ。
モザイクをかけられた女性が、実物のコピーを持って撮影スタッフの前で話し始める。その招待状には奇妙な点があった。「1人2万円×10=20万円」と、10人分の金額を要求しながら、「実際にパーティーに参加するのは3人まででお願いします」と謎の制約が付けられているのだ。普通の感覚として「まともなじゃない」と感じるだろう。
映画に出てきた専門家は、「この招待状の記述から判断すれば、政治資金として処理できるのは3人までで、残りの7人分は寄付という形にしなければならない。もし残りの7人分も政治資金として報告しているのであれば、法的に問題がある」という趣旨の見解を示していた。
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政治とカネはいつの時代でも問題となるが、このような到底まともとは言えないやり方を押し通そうとするスタンスには、やはり苛立ちを覚えてしまう。
平井卓也の「周囲の人間」の振る舞いについて
さて次は、平井卓也ではなく、その周辺にいる人の話に触れよう。決して平井卓也本人の問題ではないとはいえ、「小川淳也の周りにいる人間から小川淳也の人柄が垣間見える」のと同様、やはりどんな人が周りにいるのかは、その人の人間性を如実に表すと私は思う。
先述の通り、映画では平井卓也の街頭演説の場面も何度か映し出されるが、撮影スタッフが平井卓也の街頭演説の撮影をしていたところ、警察沙汰に巻き込まれてしまう。聴衆の1人が「許可を取って撮影しているのか」と難癖をつけ、警察に通報したのだ。事情聴取を受けることになった映画プロデューサーは、警察から「選挙運動の撮影は何の問題もない」と説明され、それどころか、「何か圧力などを掛けられなかったか」と心配までされたという。
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警察に通報した聴衆(顔にはモザイクが掛けられていた)の態度は、非常に悪かった。もちろん彼にも言い分はあるだろう。恐らくそのカメラが『香川1区』撮影用のものだと分かったのだろうし(別の場面でのことだが、撮影スタッフは「映画 香川1区」と書かれた腕章のようなものをつけていた)、『なぜ君は総理大臣になれないのか』で平井卓也が良い描かれ方をしなかったことに腹を立てていたのだと思う。
しかしだからといって、高圧的に撮影を止めさせ、警察に通報までして妨害する権利な誰にもない。そしてそんな姿を見る側は、「こんな人間が平井卓也の支持者なのだ」と判断するしかないし、結果的にそれは平井卓也の評価を下げることになるだろう。
同じようなことは別の場面でも起こっていた。平井卓也の応援のために岸田総理が香川入りした時のこと。広い会場で集会が行われることが決まり、『香川1区』の撮影スタッフがメディア用の入り口から入ろうとしたのだが、「あなたたちはダメ」と受付の男性に止められてしまうのだ。
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このように、平井卓也の周囲の人間の良くない面が切り取られるのだが、「どんな人間が平井卓也の周囲にいるか」について示唆的だった発言があるので紹介したい。あまり具体的には紹介されなかったが、恐らく香川周辺で政治の取材をしているのだろうフリージャーナリストが映画に登場し、「平井卓也の街頭演説には動員された人ばかり」「小川淳也の街頭演説には自発的に集まった人が多い」という発言をしていた。彼が何を基にそう判断したのかまでは説明されなかったが、確かに映像を観ていてもそう感じる。
平井卓也の演説にはスーツ姿の年配男性ばかりが目立つのに対して、小川淳也の演説には普段着の老若男女が集まっていた。動員されたのか自発的にやってきたのかを見た目だけから正確に判断できないとはいえ、印象としてはまさにフリージャーナリストの言う通りだ。印象で物事を判断することの危険性は理解しているつもりだが、少なくとも平井卓也の演説の場面に対しては、「たまたま通りかかった人が立ち止まりにくいほどスーツの人が群がっている」ぐらいのことは言っていいだろう。そんな演説に果たして意味があるのだろうかと感じてしまうし、一般市民からの印象が良くなることはないだろう。
このように、外形的な部分では明らかに平井卓也を評価できない。それなのに何故支持を受けるのだろうか? もちろん、3世議員であり地元香川の「メディア王」でもあることは大きく影響していると思うが、「自民党」が持つ強さも関係しているだろう。次でその点について触れてみたい。
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何故「自民党」は支持されるのか?
映画の中で、ジャーナリストの星浩がこんな風に言う場面がある。
色んな意見はあるだろうけど、話を聞いてみると、自民党支持者も様々な理由から自民党を支持していることが分かる。
先ほど例に出したように、「投票行動の確認部屋」のような形で無言の圧力を掛けて投票行動を制約している面もあるのだろうが、決してそれだけではないということだ。例えば星浩は自民党の凄さを、「様々な人の声を拾い上げるシステム」と表現していた。長い時間を掛けて構築してきたそのシステムの中に、野党が割って入っていくことができないから、自民党支持を打ち崩せないのだ、と。
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確かにそういう側面はあるだろうと思う。
一方で、小豆島をまわる小川淳也の妻がこんな発言をする場面がある。
自民党を支持してないと「なんで?」ってなっちゃうみたいなことがある。仲良くやっていこうと思っているのに波風は立てられないと感じる人はやっぱりいる。
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島しょ部ほど自民党支持が強いという話は既に書いたが、それは、「自民党支持でなければムラ社会で生き残れない」という意味でもあるというわけだ。
そして私は、そんな形での「自民党支持」に意味があるのだろうかと感じてしまう。
もちろん、私にしたところで「なんとなく自民党は嫌い」と思っているわけで、「同調圧力で自民党を支持している人」と大差ないかもしれない。しかしやはり、「自民党がどんな政党であれ、同調圧力によって自民党が支持される」という状態が正しいとは思いたくはない。
街頭演説で高校生から応援を受けた小川淳也は、彼らに向けて言葉を掛ける。「今の世の中は、様々な問題を君たちの代に先送りしようとしている。それは自分たち大人の責任だ」と、現状の政治の根本的な問題について若い世代に非を認めるのだ。そんな中で、同調圧力によって自民党が支持され、自民党が与党として君臨している状況には違和感を抱かざるを得ない。
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別の街頭演説の場面で、子育て世代だという女性が小川淳也にこんな意見を投げかける場面があった。
左とか右とか、リベラルとか保守とか、私は本当にそんなことどうでもいいんです。日本には問題がたくさんあります。とにかく、与党と野党が手を組んで、そういう問題を解決してほしい。
確かにその通りだろう。結局のところ、相手を批判しているだけでは何も生まれない。野党は、もちろん政権交代も目指しながら、現状の仕組みの中でいかにして問題解決に動くかという視点も持ち合わせる必要があると感じさせられた。
また、この女性の意見に対して、小川淳也が口にしたイギリスの議会の話も印象的だった。イギリスでは、会派などが力を持つことはできず、国会議員一人ひとりが自分の責任で提案や決断をするのであり、それこそが自分が理想とする民主主義である、と彼は語るのだ。民主主義が成熟していないとも言われる日本ではなかなか難しい部分もあるだろうが、一人でもそんな理想を目指そうとする挑戦者がいてもいいのではないかと思うし、彼のような人間を応援する人が増えれば何かが変わっていくのではないかとも感じさせられた。
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出演:小川淳也, 出演:平井卓也, 出演:町川順子, 監督:大島新, プロデュース:前田亜紀
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一時期メディアを騒がせた、佐村河内守の「ゴースト問題」に、森達也が斬り込む。「耳は聴こえないのか?」「作曲はできるのか?」という疑惑を様々な角度から追及しつつ、森達也らしく「事実とは何か?」を問いかける『FAKE』から、「事実の捉え方」について考える
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生きることがしんどくて、自殺してしまいたくなる気持ちを、私はとても理解できます。しかし世の中的には、「死にたい」と口にすることはなかなか憚られるでしょう。「自殺を決して悪いと思わない」という著者が、「死」をもっと気楽に話せるようにと贈る、「笑える自殺本」
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自由に選択し、自由に行動し、自由に生きているつもりでも、現代社会においては既に「自由意志」は失われてしまっている。しかし、そんな世の中を生きることは果たして不幸だろうか?異色警察小説『巡査長 真行寺弘道』をベースに「不幸になる自由」について語る
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三権分立の一翼を担う裁判所のことを、私たちはよく知らない。元エリート裁判官・瀬木比呂志と事件記者・清水潔の対談本『裁判所の正体』をベースに、「裁判所による統制」と「権力との癒着」について書く。「中世レベル」とさえ言われる日本の司法制度の現実は、「裁判になんか関わることない」という人も無視できないはずだ
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