目次
はじめに
この記事で取り上げる本
著:宮下 洋一
¥913 (2021/10/05 08:55時点 | Amazon調べ)
ポチップ
この本をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 人間には「自然権」としての「死ぬ権利」があると私は思う
- なかなか知る機会のない「安楽死」の現実と死を望む人々
- 死について、もっとフラットに話せる社会の方が良い
安楽死という選択肢が存在する方が穏やかに生きられる社会になるのではないかと思う
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「人間は『死ぬ権利』を持っているか?」に対する私の考え方
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まず私は、人間には「死ぬ権利」があると考えている。そして、仮に人間に「死ぬ権利」があるならば、安楽死は合法化すべきだ、と思っている。これが基本的な私の主張だ。
「死ぬ権利」をもう少し具体的に定義しておくと、「自ら死を選択する権利」というようなイメージだ。
「人間に『死ぬ権利』がある」ならば「安楽死は合法化すべき」という理屈は、そこまで飛躍していないはずだ、という話をまずしよう。「病死」「事故死」「自殺」など、死に至る経緯は様々だが、「自殺」以外は自らの意思で死ぬわけではないので議論から除く。
「自殺」と「死ぬ権利」との関係には、2つ視点がある。1つは「自殺可能かどうか」だ。例えば、寝たきりの人は、自らの意思で「自殺」を選択することはほぼ不可能である。
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もう1つは、「綺麗に、お別れを言って自殺したい」という望みだ。別にやろうと思えば自らの意思で「自殺」できる。しかしその場合、死体が周囲を汚してしまうケースの方が多いだろう。また、きちんとお別れを言って死ぬことも叶わないだろう。
ここで私が言いたいことは、誰にでも「自殺」を選択する余地は概ねあるが、時と場合によっては「自殺できない/しにくい」という状況がある、ということだ。さてここで、人間には「死ぬ権利」があるとしよう。すると、「自殺できない/しにくい」人にも、「自ら死を選択する権利」が与えられるべきだ、ということになる。
というわけで、人間に「死ぬ権利」があるのなら、安楽死は合法化されるべきという考えはちゃんと理屈が通ると言えるだろう。だから問題になるのは、「人間には『死ぬ権利』があるのか?」である。
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「自然権としての『死ぬ権利』」について考える
この記事では、「人間には『死ぬ権利』がある」と結論づけたいわけではない。私が望んでいることは、安楽死について議論がもっと活発になされることであり、そのための前提を整理したいのだ。
「死ぬ権利」に限らず、人間が持つ「権利」について考える場合、「自然権」という視点は重要だろう。
「自然権」というのは、ざっくり言えば「神(God)が与えてくれた権利」ということだ。
社会には様々な法律があり、そこで様々な権利が規定される。例えば「知的財産権」によって、人間が生み出したアイデアや創作物は守られている。しかしこの「知的財産権」は、それを規定する法律が存在するから初めて権利として主張できるわけである。
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しかし「自然権」は違う。「自然権」は、根拠となる法律など存在せず、「God」が与えてくれたものだから「God」にしか奪えない、というような類のものだ。具体的に言うと、「生存権」「自由権」「幸福追求権」「財産権」などが挙げられる。そして憲法というのは、「Godが与えてくれた権利を、念の為に記述しておきましょう」という趣旨で作られたものなのだ。
「死ぬ権利」というのがあるとして、それは法律によって規定されるものだ、と考える人はいないだろう。つまり考えるべきは、「『死ぬ権利』は『自然権』か否か」ということだ。
この問いについてきちんと議論し答えを導き出さなければ、安楽死を合法化することは不可能だろうと私は考えている。
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実際、著者は本書でこう書いている。
ただし、安楽死を容認した国々には、それを認めるまでの歴史があることを知った。国民の長い議論と強い願いの末に制度化されたのだった。どう死ぬかを決めることは、どう生きるかを決めることにもつながる。死の自己決定は、人間の生まれ持っての権利の一つだというのが彼らの主張である。そうした考え自体は、欧米で二十五年超生活している私には、理解できた
安楽死が合法化された国では、「死の自己決定は、人間の生まれ持っての権利の一つ」という合意がなされた、ということだ。安楽死は時々話題に上るが、イマイチ議論が深まっていかない理由は、「死ぬ権利」について考える機運が存在しないからだと感じる。
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著者が関心を向ける先と、「功利主義/自由主義」の違い
本書の著者は、海外で安楽死を遂げた日本人の取材を行い、生や死について考える。しかし、本書を読む限り、著者の関心は「『死ぬ権利』があるか否か」には無さそうである。
本書の中で著者は、「その死が良かったかどうか」という話をよく持ち出す。安楽死であろうがなかろうが、「良い死」であれば良いし、「悪い死」であれば悪い、という立場のようだ。
良い悪いというのは個人的な感覚であり、著者の主張は、家族との関わりやまだ残されているはずの未来にできることなどを総合的に考えて、ということになるのだが、私にはこの「良い死かどうか」という観点は無意味に感じられる。そんなことが判断できるわけがない。というか、自らの意思で望んで安楽死に向かうのだから、本人の視点からすれば「良い死」以外の何物でもないはずだ。
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安楽死に限った話ではないが、良い・悪いを判断基準にする時、「功利主義」なのか「自由主義」なのかによって物事の捉え方が変わる。
両者の違いを、細部を取っ払って大雑把に説明すると、
「功利主義」=「自由よりも幸福が大事」=「仮に自由が制約されても、結果が幸福ならそれでいい」
「自由主義」=「幸福よりも自由が大事」=「仮に不幸になるとしても、自分で自由に選択・行動できるならそれでいい」
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例えば、こんな人物について考えてみよう。安楽死をすると決め、団体に申し込みをしていたが、親族から猛反発を食らい、結局取り止めなければならなかった。しかしその後、少しお金持ちになり豊かに暮らした。
この場合、この人物が「功利主義者」であれば「良かった」と判断するだろう。しかし「自由主義者」なら「悪かった」と判断するかもしれない。
このように良い・悪いで何かを決めると、判断基準を統一することが難しくなるし、そうなれば、安楽死の合法化はますます遠のくだろう。
著者が考える「良い死」「悪い死」について
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著者は、死というのは本人だけでははく、残される側の問題でもある、という立場を取る。残される側というのは、主に「家族」のことを指している。著者は、
肉体的な苦しみを味わわずとも、精神的な痛みを抱えたまま死にゆくことは、理想の逝き方と言えるだろうか。それとも、肉体的には苦しくとも、精神的な喜びを持って自然な眠りに就くことのほうが理想の逝き方なのか。
という言い方で、自身の問題を提起する。安楽死であれなんであれ、家族に受け入れられる死なら「良い死」だし、受け入れられに死なら「悪い死」ということになるようだ。
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私は、著者のこの考えがどの程度市民権を得るものなのか興味がある。そもそも著者は、安楽死に対して反対の立場を取っているのだが、それはともかくとして、「死とは残される側の問題でもある」という感覚が世間的にも強いのであれば、「死ぬ権利」など認められることはないだろう。
私は、「死」とは個人のものだと思う。そうであってほしい。「死」が個人のものでないのであれば、その人生がどれだけ豊かであっても、「生きている」のではなく「生かされている」としか思えない。「生きている」と感じるためには、「死」が自分の選択可能な範囲内に留まっている必要があると私は思うのだが、皆さんはどうだろうか?
「痛みのない最期」は決して安楽死に限らない
本書を読んで意外だったのが、「安楽死以外の選択肢」についてだ。
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「ホスピス」という存在は知っていた。しかし、あまり具体的なイメージは持っていなかった。また私はいずれにしても、病気であろうがなかろうが自分の意思で死ねる状態が望ましいと思っているので、やはり安楽死の合法化を望んでしまう。
ただ本書を読んで、ホスピスで行われるような緩和ケアが、日本と欧米では捉えられ方が異なるという事実を知った。
緩和ケア医の仕事について、日本では国民の理解が得られていない、というのが私の印象だった。この思いは吉田淳との会話の中でいっそう強いものとなった。
日本人にとって緩和ケア病棟は、「死ぬ前に入るところ」、緩和ケアとは「治療を諦めること」と誤解されているように思えた
よくよく考えたことはなかったが、確かに「緩和ケア」に対しては「治療を諦める」というマイナスイメージとセットになっていた。
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しかしどうやら、欧米ではそういうイメージを持たれていないようだ。それどころか、緩和ケア先進国であるイギリスは、安楽死が法制化されている国を「緩和ケア後進国」と呼んでさえいるという。欧米では、当たり前の選択肢として「緩和ケア」が存在するのだ。
では、何故日本では捉えられ方が異なるのか。本書に登場するある緩和ケア医はこう語る。
日本においては癌患者とエイズ患者だけが、保険上で緩和ケアの恩恵を受けられるから
欧米では、心不全や呼吸器疾患であっても緩和ケアのアプローチが取られるが、日本では、死に直結する病にしか活用されない仕組みになっているのだという。何故そうなっているのか理由はよく分からないが、死に直結するわけではない病で緩和ケアを許容することを、国家はある種の「安楽死」的なものとして捉えている、ということなのかもしれない。
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安楽死が合法化されるにはいくつもの高いハードルを越えなければならないだろうが、緩和ケアの適応範囲を今以上に広げるのはそう難しいことではないように思う。遠くない未来には、日本でも緩和ケアがもっと身近なものとして扱われるかもしれない。そうなれば、安楽死ではない現実的な選択肢が生まれることになる。それはそれで希望が持てる話だ、と感じる。
日本人特有の「迷惑を掛けてはいけない」という気持ちが強い問題
著者が安楽死に反対する理由の一つに、日本人ならではの問題を挙げている。それは、「迷惑を掛けてはならない」という気持ちの強さだ。
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日本人は、他の国の人と比べて、「介護などしてもらって申し訳ない」と感じることが多いようだ。確かにそれは、自分が介護される側だったら、と想像してみればなんとなく理解できる。
安楽死において最も重要なの点は、「自ら死を望んでいる」という点だ。この点は、明確に確認されなければならないと思う。そして、「介護で周りの人に迷惑を掛けている」という感覚が強ければ、「本当は死にたくはない。でも、自分が死んだ方が周りのためだ」という思考が生まれるかもしれない。
そういう状況で安楽死が法制化されていれば、本人が望んでいるわけではない死が実現してしまうかもしれない。著者はこの点を大きく問題視している。
死の意思を確認することは確かに難しい。何故なら、日本に限らないだろうが、死についての話は日常の中であまり気軽にできるものではないからだ。
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私は、昔こそ親と関わるのが難しかったが、最近は別に問題はない。母親と死について話した時、「葬式はしないでほしい、墓も要らない、散骨してほしい」みたいなことを言っていて、私とまったく同じ考えだと感じたことがある。ただ、事前にどれだけ口にしていても直前で気が変わるかもしれないし、そもそも様々な事情から本心を口にできない可能性もある。
安楽死うんぬんとは関係なしに、死の話題がもう少し日常的に行われる社会の方が、全体的に健全なのではないかと私は感じるのだが、どうだろうか。そしてそのことによって、「死の意思確認」の問題も解消されていくのではないかと考えている。
安楽死が「希望」を生むという逆説
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特筆すべきは、ディグニタスという安楽死団体から書類が届いただけで、死に一歩近づけたと喜び、「食欲や活力が湧いてきた」と付記していることだ。それを彼は、「不思議なもの」とも表現している。
安楽死を依頼する別の人物についても、こんな風に書かれている。
小島にとって最悪の事態は、早い段階で意思表示ができなくなり、スイスでの安楽死という選択肢が消えてしまうという恐怖だった。スイスに渡った今、その恐怖は消え、小島の表情からは安心のようなものが感じられるのだった
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これらは、「安楽死ができると確定することで、生きる希望が湧いてくる」という、非常に逆説的な状況を示している。
ただ、私はこの感覚を理解できるように思う。
少し違う話をするが、日本ではニュースなどで「老後に◯千万円必要」などと報じられる。政府が出した試算が話題になったのも記憶に新しい。そもそも、老後の資金に悩むのは、「自分が何歳まで生きるか分からないから」だ。
仮に自分の寿命がわかっていれば、その死ぬ日までお金がもてばいい、と考えられるだろう。しかしいつ死ぬか分からなければ、いつまでも不安のままだ。
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安楽死で生きる希望が湧くというのは、これと似たような感覚だと私は思う。安楽死ができると決まったということは、いつ死ぬかが確定した、ということだ。そしてそれによって、死ぬ日までの残りの日々を今までとは違う気持ちで充実させることができる。
いつ死ぬか分からずにずっと不安でいるよりも、いつ死ぬかはっきりすることで穏やかな日々を送れるようになる、というのは、シンプルに理解しやすいと感じる。
そして、安楽死が合法化されることの一番のメリットはここにあると考えている。「何かあっても最終的には安楽死がある」と思えれば、それによって不安を軽減できる人は多くいるだろう。
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日本人が今安楽死を望むとすれば外国に行くしかないが、外国での安楽死はかなりハードルが高い。何故なら、安楽死が認められるためには「やむを得ない事情が認められ」かつ「安楽死を行う国まで飛行機で行く」必要があるからだ。
治らない進行性の病気などに冒されていることは「やむを得ない事情」となるが、病状がそこまで進んでいなければ許可が下りず、しかし進みすぎてしまえば今度は飛行機での移動が困難になる。タイミングを上手く図らなければならないのだ。
日本で安楽死ができるとなれば、その不安から解放される。そして、「もしもの時には安楽死がある」と感じられれば、安楽死が認められていない世界で生きるよりも少しは不安が和らぐ可能性があるのではないかと思う。
そういう意味でも私は、安楽死が日本でも認められるようになってほしいと願っている。
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本書『安楽死を遂げた日本人』の内容紹介
ざっとだが、本書に登場する人物や団体について触れておこう。
本書では、安楽死を行っているスイスの「ライフサークル」という団体が取り上げられる。著者は前著でもこの団体を取材しており、代表の女性医師とも親密な関係だ。「ライフサークル」では日本人の安楽死は行われてこなかったが、初めてそれを希望する日本人が現れる。
著者は、映画化もされた『1リットルの涙』の主人公と同じ多系統萎縮症に冒されている小島ミナという日本人女性とやり取りを続けることになる。これは、身体機能が徐々に衰えていくが、生命機能は比較的長く維持されるという病気だ。彼女は、著者の前著を読んで連絡し、それからやり取りが続くことになる。
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小島ミナとの関わりをきっかけに、著者は「日本人と安楽死」というテーマで取材を始めることになる。その過程で、安楽死を望む別の人物や、若くしてガンを患い安楽死の法制化を目指す活動に従事する者と関わっていく。著者は長年欧米諸国で生活をし、日本人の死生観の現状から遠ざかっていたこともあり、様々な日本人との出会いや死に関わる制度への理解を通じて、安楽死の問題をさらに深めていくことになる。
本書『安楽死を遂げた日本人』の感想
先述した通り、著者のスタンスにはそこまで共感できなかったものの、安楽死を取材する中で様々な死や死生観と向き合いながら、難しい問いについて思考を巡らせる過程は良いと思った。漠然とした理解で語ることの浅はかさも理解したつもりだし、しかしそれでもなお安楽死を望む気持ちは変わらないと思った。
そして、繰り返しになるが、本書を読んで改めて感じたことは、死についてフラットに語る場がもっとあってもいいのではないか、ということだ。死の話題は、なんとなく「タブー感」が強く、気軽に持ち出せない。お互いがそんな躊躇をしてしまうから、余計ややこしい。
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比較的最近、父親が結構若くして亡くなった。そして、話の流れの中で、父親が死んだことを口にするのは、ちょっとだけ勇気が要る。私としては、その話題を出したことで、場が暗くなったり、「ご愁傷様です」みたいな反応をしてほしくない。
しかし、その辺りの感覚は人によって違うので望んでいない反応になることもある。これも、死について語る場が少ないせいだと私は考えている。死について語ることが「不謹慎だ」と受け取られないような世の中であればいいと思う。
あと、まさに安楽死を望み行動を起こしている人物の、客観的で冷静な思考を垣間見ることができることも非常に大きいと思う。小島ミナは長年ブログで文章を書いているのだが、それを読んだ著者は、
彼女は生きることを諦めて安楽死を選んだのではない。様々な苦痛を抱えつつも生きることと向き合った上で、その意味を見いだせなかったと述べている。この二つには大きな違いがあるように思えた
と書いている。小島は、「末期がんだったら安楽死を選んでいないと思う」とも発言している。これらから、小島という女性が、死というものを強く望んでいるのではなく、それ以外の様々な選択肢を検討した結果「安楽死」しかないと結論づけたのだ、ということが伝わってくるだろう。
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小島自身は、こんな風にも語っている。
お金がかかる、時間がかかる、そして自分の死期を早めている。悪い点だけです。でも、日本で安楽死を考える際の一つの懸案事項としてもらいたいから、私が今回、挑んでいるんです。スイスに行けば安楽死ができるから万歳と、そこまで単純ではないんです。どちらかというと、日本でできないからわざわざスイスまで来るという、一つの悪い例として分かってもらいたいんです
自分のことを「悪い例」と捉えてほしいという希望には、強さと切なさを感じてしまう。私は、人間らしく死を迎えるために「安楽死」という選択肢が手の届く範囲にあってほしいと望むが、今そう感じていない人でも、それについて考える一冊になるのではないかと思う。
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【誠実】映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』で長期密着した政治家・小川淳也の情熱と信念が凄まじい
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