目次
はじめに
この記事で取り上げる本
著:シェーン・バウアー, 翻訳:満園 真木
¥2,070 (2022/11/24 20:52時点 | Amazon調べ)
ポチップ
この本をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 時給9ドル、催涙スプレーも警棒も与えずに、規定人数より少ない人員で業務をさせる刑務所のリアル
- 囚人に対しとんでもない扱いをする刑務所での衝撃の実態を、著者は様々に目撃する
- アメリカでは歴史的に、「刑務所=利益を上げる場所」と捉えられてきた
本書の元になった記事を読んだ司法省から著者に連絡が来て、国が動いたほどの衝撃的な内容
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とんでもない本である。私はこれまでにも、刑務所や死刑制度に関するノンフィクション・ドキュメンタリーにそれなりには触れてきたのだが、まだまだ知らないことが山ほどあるものだと驚かされてしまった。本書はなんと、アメリカ司法省さえ動かすほどの非常に大きな影響力を与え、アメリカ国民にも大いに衝撃をもたらした作品だ。
アメリカにおける「囚人」の扱い方は、かなり特異な歴史を背景にしており、それ故、日本とはまったく異なる常識で刑務所が運営されている。その最も分かりやすい違いが「民間企業が刑務所を運営している」という点だろう。アメリカでは一体、どのような理屈から「民営刑務所」が生まれたのだろうか。
アメリカにおける「囚人」を取り巻く現状と、著者が刑務官として潜入取材を行った「民営刑務所」について
本書のテーマは「民営刑務所」だ。つまり、民間企業が運営する刑務所である。本書を読む以前から私は、アメリカにそのような刑務所があるという事実は知っていたのだが、さして詳しい知識を持ってはいなかった。
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日本にも民営刑務所は存在するのだろうかと調べてみたが、恐らく完全に民営というところはなさそうである。「PFI方式」という、公共施設等の建設・運営・維持管理を官民が協力して行う仕組みを使って運営がなされているところならあるようだ。実際のところ、「民間企業が刑務所を運営する」という発想は、日本ではなかなか生まれないように思う。
とはいえアメリカでも決して、「民営刑務所」が主流というわけではない。アメリカには、州刑務所・連邦刑務所に収容されている者が150万人ほどおり、その8%に当たる約13万人が民営刑務所にいるという。しかもこの150万人という数字には、郡や市が管理する刑務所・拘置所に収容されている人数(約70万人)は含まれていない。それを含めて考えると、民営刑務所に収容されているのは全体の6%ほどとなり、割合としては決して高いと言えないだろう。
ただし、アメリカにはそもそも囚人が物凄く多いという事実も考慮すべきポイントである。
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アメリカの人口は世界の総人口のおよそ5パーセントだが、囚人数では全世界の25パーセントを占めている。
全世界の囚人の1/4がアメリカの刑務所にいるというわけだ。そう考えると、アメリカ全体における割合が少なかったとしても、世界全体での割合はかなり高いと言えるだろう。また、日本の囚人の数は5万人ほどである。つまりアメリカでは、日本の全囚人の2倍以上が民営刑務所に収容されているというわけだ。こう考えると、かなりの数だと感じるのではないだろうか。
そして著者は、そんな民営刑務所の1つに潜入した。潜入といっても、ただ刑務官の求人に応募したにすぎない。時給はというと、スーパー大手のウォルマートと同じ9ドル。刑務官の仕事内容については後で触れるが、とても時給9ドルなんかではやってられないようなものだ。私は本書を読みながら、何度も「マジか」と呟いてしまった。とても現実とは思えない世界だからである。
著者はそんな環境で刑務官として4ヶ月間働き、自身が見聞きした実態を世間に公表した。その反響は凄まじいものがあったという。
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本書の内容は最初、マザー・ジョーンズ誌の特集記事として2016年に発表された。訳者あとがきには、その反響についてこんな風に書かれている。
知られざる民営刑務所の実態を白日のもとにさらしたこの記事は、全米から大反響をもって迎えられ、同誌創刊以来もっとも読まれた特集記事になるとともに、2017年の全米雑誌賞を受賞した。
この記述から、アメリカに住む者でさえ本書に書かれている実態を知らなかったことが分かる。まさかこんな世界が存在しているとは信じられなかっただろう。
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また、その記事を元にした本書も衝撃をもって迎えられた。同じく訳者あとがきには、
2018年のニューヨーク・タイムズ紙テン・ベスト・ブックスの一冊に選ばれたほか、バラク・オバマ前大統領も2018年のお気に入りの本のひとつに挙げるなど各方面で高く評価された。さらに、J・アンソニー・ルーカス図書賞、ヘレン・バーンスタイン・ジャーナリズム優秀図書賞、ロバート・F・ケネディ図書ジャーナリズム賞など数々の賞にも輝いた。
と書かれてもいる。とにかく凄まじい反響だったそうだ。
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しかし、もっと驚くべきことがあった。著者はこんな風に書いている。
もっとも驚いたのは、司法省の監察総監室から、僕がウィンで見たことについて話を聞かせてくれないかというメールが届いたことだろう。
なんと、刑務所を所管する司法省から直接連絡が来たというのだ。著者は求めに応じて、自身の体験を語った。すると2週間後、すぐに対応が取られたという。
アメリカ政府は民営刑務所との契約を取りやめると発表した。この決定は連邦刑務所のみに対するもので、ウィンのような州刑務所は含まれないが、それでも合わせて22000人以上を収監する13の刑務所が民営でなくなることを意味していた。
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著者の取材が国を動かしたのである。残念なことに、これはオバマ政権下での決定であり、トランプ大統領がそれを覆した。刑務所の運営を再び民間に委託すると決めたのである。不法移民の取り締まりを強化していたため、移民収容センターの増設が急務だったのだ。こうして振り出しに戻ってしまったわけだが、しかし著者が絶大な影響を与えたことは間違いない。
もちろんこれまでにも、様々な報道によって国が動いたことはあっただろう。著者の話もその1つと捉えるべきなのかもしれない。ただ、そう単純な話でもないだろう。本書冒頭に興味深いことが書かれていた。今アメリカでは、いわゆる「潜入取材」がやりにくくなっているというのだ。
きっかけは、1992年にABCニュースがあるスーパーマーケットチェーンの不正を暴いたことだった。記者が店員として潜入し、「傷んだ肉をパックし直す」という不正の実態を明らかにしたのだ。しかしその際記者は、応募書類に虚偽の記載を行った。まあ、それまでの潜入取材では常套手段だったのだろう。記者だとバレてしまえば「潜入取材」はオジャンだからだ。ただ、ABCニュースが不正を報じた後、なんと店側が記者を訴えたのだ。理由は「応募書類の虚偽記載」に加え、「業務として割り当てられた仕事を遂行しなかったこと」だった。そして裁判所が、店側の訴えを認めたのである。
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驚くべきは、「業務として割り当てられた仕事を遂行しなかったこと」が法律違反と認定されたことだろう。何故なら、その記者が「割り当てられた仕事」というのが、まさにその不正そのものである「傷んだ肉をパックし直すこと」だったからだ。つまり裁判所は、「それが倫理的に認められないことであれ、業務として命じられたことであれば遂行する義務がある」と認定したのである。このような判例が、「潜入取材」の足枷となることは容易に想像がつくだろう。
そこで『アメリカン・プリズン』の著者は、非営利団体が定める「潜入取材の倫理ガイド」をすべてクリアし、訴えられる可能性の一切を排除した上で「潜入取材」を行ったのである。当然、本名で応募したから、刑務所側が彼の名前でネットで検索すれば、著者が過去に書いた「刑務所に関する記事」がヒットしたはずだ。「刑務所側の緩さ」に助けられてこの「潜入取材」が実現したと言っていい。
このようにかなりの制約が課された状況下で、国を動かすような調査報道を成し遂げたことが何よりも素晴らしいと感じさせられた。
それでは、民営刑務所の実態を肌で感じた著者の凄まじい経験について触れていこうと思う。
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刑務官として民営刑務所に潜入した著者は、一体どんな「現実」を目にしたのか
著者が潜入したのは、ルイジアナ州ウィンフィールドにある、CCAという企業が運営するウィン矯正センター。著者が見たのはこの刑務所の実態だけだが、他の民営刑務所の状況も推して知るべしと言ったところだろう。
私が最も驚いたのは、本書の中程に掲載されている1枚の写真だ。そこには、囚人たちが日常を過ごす場所が映し出されているのだが、私たちが「刑務所」と聞いてイメージするような個室ではなく、なんと大部屋なのである。
しかも、尋常ではない大部屋だ。最大44人が生活可能な区画が8つ、計352人分のスペースを1ユニットとして、5つのユニットが存在している。そしてなんと、その1ユニットに刑務官がたった2人しかいない時間帯もあるというのだ。刑務官は催涙スプレーも警棒も持たされていない。何故なら、囚人に奪われたらマズいからだ。理由を聞けばなるほどという感じもするが、結局のところ丸腰のまま最大352人の囚人に向き合わなければならない。無線だけは持たされており、困ったらそれで誰かを呼べということなのだが、慢性的に人員不足であるため、応援が来る保証はない。
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ルイジアナ州との契約では、36人が毎朝午前6時に出勤し、その内29人が12時間のシフトで常駐しなければならないことになっているという。しかし著者は、29人揃っていた日などほとんどないと書いている。大体の場合下回っており、24人しかいなかったこともあるそうだ。常に人員が足りないので、大運動場は何年も使われていない。大運動場で囚人を管理するだけの人手がないからだ。
またこんなこともあった。著者が研修を始めて2週間後に、なんと囚人が脱走を図ったのである。しかし、職員がその事実に気づいたのは、脱走から数時間後のこと。フェンスには誰かが触れた場合に警報が鳴る装置がついており、その警報は確かに鳴ったのだが、誰もカメラの映像を確認しなかった。またそもそも、囚人が脱走したルートは、監視塔にいる職員から丸見えだったはずのであるだ。ではなぜ脱走に気づかなかったのか。それは、経費削減のためにもう何年も監視塔に刑務官を配置しなくなっていたからなのだ。信じがたい話だろう。
こんな話はまだまだある。研修中、著者は「自らの意志で催涙ガスを浴びる」という書類にサインさせられた。どういう状況を想定しているか想像できるだろうか? 刑務所では、囚人は食堂で一斉に食事を摂ることになっている。その際、囚人が集団で暴動を起こしでもしたら、刑務官には止めようがない。そういう時は外から催涙ガスを投げ込んで鎮圧するからあらかじめ覚悟しておけ、というわけである。催涙ガスを浴びることをあらかじめ了承しなければ務まらないような職場環境なのだ。
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囚人の医療費は、運営会社であるCCAが負担することになっている。だから、囚人が病状を訴えても、刑務所は彼らに診療を受けさせない。ある囚人は、足の不調を何度も訴えたが病院に連れて行ってもらえず、最終的には、壊死した両足を切断せざるを得なくなってしまった。あまりに酷い。この囚人は刑務所を訴える裁判を起こし、CCAと和解している。
酷い話はまだまだ続く。管理が杜撰だからということもあり、刑務所内で殺傷事件が起こることもある。公営の刑務所であれば、囚人であっても通常と変わらぬ手続きで裁判が行われるが、ウィン矯正センターでは「所内法廷」が開かれるという。そして職員によるたった数分の審議を経て、96%の割合で囚人が有罪と決まり、独房に入れられる。これでおしまいだ。法治国家とは思えないシステムである。もちろん、こんな扱いは憲法違反だろう。
「所内法廷」で処理されたケースは他にもある。ある囚人が刑務所内で、薬を大量摂取した。医師は「自殺未遂」と判断したが、その後開かれた「所内法廷」において、その囚人の行為は「自傷行為」と断定されることになる。「自殺未遂」と「自傷行為」で何が違うのかと感じるだろうが、刑務所的にはかなり違う。「自殺未遂」の場合、その囚人を処罰することはできないが、「自傷行為」なら処罰できるのだ。そこで刑務所は、その囚人が「自傷行為」を行ったと認定し、「救急搬送に掛かった費用」を彼に請求したのである。まさにやりたい放題といったところだ。
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「自殺未遂」ではなく「自殺」が発覚した場合の対処も凄まじかった。CCAはなんと「自殺」の事実を報告しなかったのだ。彼らがそれを正当化した理屈が常軌を逸していた。その囚人が亡くなる前の「脳死状態」時に、刑務所は彼を「温情的措置により釈放する」と決めたというのである。つまり、「死亡した時点で既に囚人ではなかった」ことになり、「だから報告の義務はない」と主張するのだ。
ムチャクチャにも程があるだろう。とてもじゃないがまともとは言えないし、というか「狂気」そのものであるようにさえ感じられる。ある日、ウィン矯正センターに、公営刑務所の元所長がやってきたことがあるのだが、その人物は「ここはほとんど刑務所の体を成していない」と評したという。当然だろう。
このようにアメリカでは、民間企業が運営する刑務所が存在し、とんでもない世界が繰り広げられている。しかしそもそもだが、何故「民間企業が経営する刑務所」などというものが存在し得るのだろうか? そこには、アメリカの長い歴史が関係している。
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日本の「刑務所」のイメージで捉えていると、「民間企業が運営に携わる動機」を想像しにくいだろう。もちろん刑務所内でも囚人に労働をさせているし(入試の試験問題が外部に流出しないように刑務所内で印刷しているという噂を聞いたことがある)、その労働によって利益を得られる可能性はあるかもしれないが、そう魅力的な商売になるとは思えない。国からの業務委託費のみで引き受けたいと思う人はそういないはずだ。
しかし、本書のとある記述を読むと、アメリカで何故「民営刑務所」が成立するのか理解できるのではないかと思う。これは、本書で私が最も驚いた記述である。
民営刑務所の契約のおよそ3分の2で、収容率保証―― 一定の受刑者を送りこめなかった場合は州が補償金を支払う――が条件に含まれている。CCAのルイジアナ州矯正局との契約のもとで、ウィン矯正センターは96%の収容率が保証されていた。
理解できるだろうか? つまり、「刑務所の収容人数が上限の96%を下回ったら、州が補償金を支払う」というわけだ。刑務所の最大収容人数が1000人だとして、959人以下になったら州が補償金を払わなければならないのである。
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そんなアホみたいな話があるだろうか?
普通に考えれば、「社会における囚人の数は少なければ少ないほど良い」はずだ。犯罪者を逮捕せず野放しにするのは言語道断だが、「犯罪が起こらない社会を実現することで、結果として囚人が減る」と多くの人が意識すればこそ、犯罪の起こりにくい社会が成り立つはずだと私は思う。しかし、「収容率保証」が存在する「民営刑務所」を抱えるアメリカでは、そのような力学は働かない。刑務所の運営を民間企業に委託する州は、常に一定数の囚人を確保し続けなければならないからだ。
どう考えても意味不明だ。日本人の感覚からすればまったく理解不能に思える。
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しかし、アメリカにおける「刑務所」の歴史を紐解けば、このような捻れた発想も少しは理解しやすくなるだろう。本書には、その歴史が詳述されるパートもあるのだが、その内容を一言で説明するなら、以下の引用で十分だと思う。
刑務所は大きな収益をあげている。
そう、アメリカにおいて「刑務所」はずっと「利益を上げる場所」だったのだ。だからこそ「民営刑務所」などという発想も生まれるのである。
では、どのような歴史的背景から「刑務所=利益を上げる場所」という発想に至ったのか、その歴史を紐解いていこう。
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時代は18世紀にまで遡る。
1718年、イギリスで「囚人移送法」が制定された。それまで犯罪者には「絞首刑」しか選択肢がなかったのだが、裁判所の判断により「最低7年間アメリカに移送する」ことも可能になったのである。当時は、銀のスプーン1本を盗んだだけでも死刑になることがあったほどで、それ故、囚人自ら「アメリカへの流刑」を望むこともあったという。
しかし当然だが、アメリカへ移送するにもお金が掛かる。そこでイギリス政府は、アメリカに移送された囚人たちの「所有権」を契約業者に与えることに決めた。そして業者は、彼らをタバコのプランテーション農園などに売るのである。奴隷よりも囚人の方が安いというだけでも農園主にとっては利点なのだが、それだけではなかった。囚人は期間が決まっていることも都合が良かったのだ。奴隷を買い取る場合、年を取って働けなくなってからも面倒を見なければならない。代わりに囚人を使えば、そんな面倒からも解放されるというわけだ。
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しかし、この動きに反対する者が出始めた。理由はこうだ。囚人たちは公の場で強制労働させられるのだが、それを見た市民が「労働=不名誉なこと」と受け取ることを恐れたのである。この理屈には説得力があった。何故なら、かつて黒人奴隷が労働を引き受けた際、白人が労働を拒絶したことがあったからだ。つまり、黒人奴隷(囚人)がしていることなどやりたくない、というわけである。
この動きをきっかけにして「監獄(jail)」ではなく「刑務所(penitentially)」が生まれた。この2つは明確に異なる。「監獄」は「刑の執行まで収容しておく施設」であり、一方の「刑務所」は「そこに収監することそのものが刑罰である施設」なのだ。この違いは、日本の死刑囚で考えると分かりやすいかもしれない。ご存知の方も多いだろうが、日本の死刑囚は「刑務所」ではなく「拘置所」に収容されている。死刑囚に対する「刑の執行」は「死刑」であり、それまでの期間は待機期間に過ぎない。だから「刑務所」ではなく「拘置所」に入れられているのである。
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しかしこの「刑務所」というシステム、市民にすぐ受け入れられたわけではない。むしろ、懐疑的な目で見られていたという。その理由は「独立戦争」にある。アメリカ人が「独立戦争」を闘ったのは、「アメリカの白人が奴隷状態から脱するため」だった。それなのに、いくら犯罪者であるとはいえ、「刑務所で労働を行わせること」は「強制労働」と同じではないかと受け取られたのだ。また、より現実的な指摘をする者もいた。犯罪者を一箇所に集めることで「犯罪の技法」が共有されてしまい、結果として新たな犯罪をが生まれやすくなるのではないかとも批判されたのだ。
このような批判が存在していたにも拘わらず、最終的に「刑務所」というシステムが生き延びたのは、皮肉なことに「奴隷制廃止の動き」と関係がある。白人は、奴隷が解放されることによって、「自由な黒人」が増えることを恐れた。そして、そんな「自由な黒人」を「服従させる施設」として「刑務所」が注目されるようになったのである。
とはいえ、実際のところ「刑務所の運営」はなかなか難しかった。「刑務所」では当初から、「囚人の労働によって何かを作り、その成果物を売ることで収益を上げる」ことが想定されていたのだが、目論見通りとはなかなかいかない。また、ニューヨーク州のオーバーン刑務所では、囚人の労働力を民間事業者に貸し出そうと考えたのだが、手を上げる事業者は決して多くなかった。刑務所での暴動やサボタージュが市民にも知られていたからだ。
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このような経緯から、「刑務所=利益を上げる場所」という発想が定着するようになっていったのである。
囚人を「労働力」として酷使してきた歴史と、刑務所の運営が民間に委託された経緯
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このような傾向は、しばらく続くことになった。当然と言えば当然だろう。自由労働者よりも安価で、どれだけ働かせても文句を聞く必要がなく、さらに死なせてしまっても罰則が無いのだ。そりゃあ囚人を重宝したくもなるだろう。
しかし囚人の側も、その状況にただ甘んじていたわけではない。暴動やストライキを起こし反発したのだ。彼らは確かに、武力では圧倒的に不利だった。しかしだとしても、彼らの抵抗に意味がなかったわけではない。何故なら、「囚人が反旗を翻すかもしれない」という事態に対処するために、様々なコストが嵩むようになっていったからだ。それにより、「囚人を労働力として利用することの経済合理性」が徐々に薄れていったのである。また、入札制度の変更もあって、囚人と自由労働者のコストにほとんど差がなくなり、次第に囚人の貸し出しは下火になっていった。
決定打となったのは、フロリダ州で起こったある事件だ。22歳白人男性の囚人が、看守の暴行を受け死亡したのである。この事件は全米で大問題となった。フロリダ産品の不買運動が起こり、観光産業にも大打撃を与えたのである。このことをきっかけに、ようやくアメリカから「囚人を労働力として貸し出す制度」が無くなった。
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とはいえ、囚人の待遇が良くなったのかと言えばそうではない。単に民間企業に貸し出されなくなっただけであり、強制労働そのものは無くならなかったのである。囚人が次に送り込まれたのは道路建設の現場だ。国家事業に駆り出されることになったのである。また、州刑務所が経営するプランテーションで収穫作業なども行わされた。
このように、囚人の貸し出し制度が無くなってから50年以上経過した1960年代においても、囚人が強制労働させられる状況に変化はなかったのである。この時点まではまだ、このやり方で収益を上げることが出来ていたが、やがてどの刑務所も赤字になっていった。大量の囚人を管理する経費ばかりが嵩み、経営として成り立たなくなったのである。
その状況に目をつけたのがCCAの創業者というわけだ。「刑務所の運営を民間に委譲すれば、州の支出を減らすことができる」と訴え、「刑務所運営の民間への業務委託モデル」を作り上げたのである。
このように歴史を概観すると、「刑務所の民営化」も納得しやすいのではないかと思う。刑務所がずっと昔から「収益を上げる場所」と捉えられてきたこと、そして公的機関では上手く成り立たせられなくなったことを踏まえれば、それを民間に委託するのは自然だと感じられるからだ。しかしだからと言って、すんなり納得できる話でもない。著者が潜入したウィン矯正センターの実情を知れば知るほど、「民営刑務所」はやはり幻想でしかなく、成立するはずがないと思わされてしまうのである。
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【異次元】『ハイパーハードボイルドグルメリポート』は本も読め。衝撃すぎるドキュメンタリーだぞ
テレビ東京の上出遼平が作る、“異次元のグルメ番組”である「ハイパーハードボイルドグルメリポート」の書籍化。映像からも異様さが伝わる「激ヤバ地」に赴き、そこに住む者と同じモノを食べるという狂気が凄まじい。私がテレビで見た「ケニアのゴミ山の少年」の話は衝撃的だった
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【あらすじ】死刑囚を救い出す実話を基にした映画『黒い司法』が指摘する、死刑制度の問題と黒人差別の現実
アメリカで死刑囚の支援を行う団体を立ち上げた若者の実話を基にした映画『黒い司法 0%からの奇跡』は、「死刑制度」の存在価値について考えさせる。上映後のトークイベントで、アメリカにおける「死刑制度」と「黒人差別」の結びつきを知り、一層驚かされた
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【事件】デュポン社のテフロン加工が有害だと示した男の執念の実話を描く映画『ダーク・ウォーターズ』
世界的大企業デュポン社が、自社製品「テフロン」の危険性を40年以上前に把握しながら公表せず、莫大な利益を上げてきた事件の真相を暴き出した1人の弁護士がいる。映画『ダーク・ウォーターズ』は、大企業相手に闘いを挑み、住民と正義のために走り続けた実在の人物の勇敢さを描き出す
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【狂気】”友好”のために北朝鮮入りした監督が撮った映画『ザ・レッド・チャペル』が映す平壌の衝撃
倫理的な葛藤を物ともせず、好奇心だけで突き進んでいくドキュメンタリー監督マッツ・ブリュガーが北朝鮮から「出禁」を食らう結果となった『ザ・レッド・チャペル』は、「友好」を表看板に北朝鮮に潜入し、その「日常」と「非日常」を映し出した衝撃作
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【現実】権力を乱用する中国ナチスへの抵抗の最前線・香港の民主化デモを映す衝撃の映画『時代革命』
2019年に起こった、逃亡犯条例改正案への反対運動として始まった香港の民主化デモ。その最初期からデモ参加者たちの姿をカメラに収め続けた。映画『時代革命』は、最初から最後まで「衝撃映像」しかない凄まじい作品だ。この現実は決して、「対岸の火事」ではない
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【LGBT】映画『リトル・ガール』で映し出される、性別違和を抱える8歳の”女の子”のリアルと苦悩
映画撮影時8歳だった、身体は男の子、心は女の子のサシャは、スカートを履いての登校が許されず、好きなバッグもペンケースも使わせてもらえない。映画『リトル・ガール』が描く、「性別違和」に対する社会の不寛容と、自分を責め続けてしまう母親の苦悩
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【衝撃】権力の濫用、政治腐敗を描く映画『コレクティブ』は他人事じゃない。「国家の嘘」を監視せよ
火災で一命を取り留め入院していた患者が次々に死亡した原因が「表示の10倍に薄められた消毒液」だと暴き、国家の腐敗を追及した『ガゼタ』誌の奮闘を描く映画『コレクティブ 国家の嘘』は、「権力の監視」が機能しなくなった国家の成れの果てが映し出される衝撃作だ
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アフガニスタンを追われた家族4人が、ヨーロッパまで5600kmの逃避行を3台のスマホで撮影した映画『ミッドナイト・トラベラー』は、「『難民の厳しい現実』を切り取った作品」ではない。「家族アルバム」のような「笑顔溢れる日々」が難民にもあるのだと想像させてくれる
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【衝撃】『殺人犯はそこにいる』が実話だとは。真犯人・ルパンを野放しにした警察・司法を信じられるか?
タイトルを伏せられた覆面本「文庫X」としても話題になった『殺人犯はそこにいる』。「北関東で起こったある事件の取材」が、「私たちが生きる社会の根底を揺るがす信じがたい事実」を焙り出すことになった衝撃の展開。まさか「司法が真犯人を野放しにする」なんてことが実際に起こるとは。大げさではなく、全国民必読の1冊だと思う
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【実話】「ホロコーストの映画」を観て改めて、「有事だから仕方ない」と言い訳しない人間でありたいと…
ノルウェーの警察が、自国在住のユダヤ人をまとめて船に乗せアウシュビッツへと送った衝撃の実話を元にした映画『ホロコーストの罪人』では、「自分はそんな愚かではない」と楽観してはいられない現実が映し出される。このような悲劇は、現在に至るまで幾度も起こっているのだ
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【実話】映画『アウシュビッツ・レポート』が描き出す驚愕の史実。世界はいかにホロコーストを知ったのか?
映画『アウシュヴィッツ・レポート』は、アウシュビッツ強制収容所から抜け出し、詳細な記録と共にホロコーストの実態を世界に明らかにした実話を基にした作品。2人が持ち出した「アウシュビッツ・レポート」こそが、ホロコーストについて世界が知るきっかけだったのであり、そんな史実をまったく知らなかったことにも驚かされた
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1964年の東京オリンピックを機に建設された「都営霞ケ丘アパート」は、東京オリンピック2020を理由に解体が決まり、長年住み続けた高齢の住民に退去が告げられた。「公共の利益」と「個人の権利」の狭間で翻弄される人々の姿を淡々と映し出し、静かに「社会の在り方」を問う映画
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在日コリアン4世の監督が、北朝鮮脱北者への取材を元に作り上げた壮絶なアニメ映画『トゥルーノース』は、私たちがあまりに恐ろしい世界と地続きに生きていることを思い知らせてくれる。最低最悪の絶望を前に、人間はどれだけ悪虐になれてしまうのか、そしていかに優しさを発揮できるのか。
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【実話】映画『ハドソン川の奇跡』の”糾弾された英雄”から、「正しさ」をどう「信じる」かを考える
制御不能の飛行機をハドソン川に不時着させ、乗員乗客155名全員の命を救った英雄はその後、「わざと機体を沈め損害を与えたのではないか」と疑われてしまう。映画『ハドソン川の奇跡』から、「正しさ」の難しさと、「『正しさ』の枠組み」の重要性を知る
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【残念】日本の「難民受け入れ」の現実に衝撃。こんな「恥ずべき国」に生きているのだと絶望させられる…
日本の「難民認定率」が他の先進国と比べて異常に低いことは知っていた。しかし、日本の「難民」を取り巻く実状がこれほど酷いものだとはまったく知らなかった。日本で育った2人のクルド人難民に焦点を当てる映画『東京クルド』から、日本に住む「難民」の現実を知る
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【驚異】信念を貫く勇敢さを、「銃を持たずに戦場に立つ」という形で示した実在の兵士の凄まじさ:映画…
第二次世界大戦で最も過酷な戦場の1つと言われた「前田高地(ハクソー・リッジ)」を、銃を持たずに駆け回り信じがたい功績を残した衛生兵がいた。実在の人物をモデルにした映画『ハクソー・リッジ』から、「戦争の悲惨さ」だけでなく、「信念を貫くことの大事さ」を学ぶ
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【実話】権力の濫用を監視するマスコミが「教会の暗部」を暴く映画『スポットライト』が現代社会を斬る
地方紙である「ボストン・グローブ紙」は、数多くの神父が長年に渡り子どもに対して性的虐待を行い、その事実を教会全体で隠蔽していたという衝撃の事実を明らかにした。彼らの奮闘の実話を映画化した『スポットライト』から、「権力の監視」の重要性を改めて理解する
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【実話】映画『イミテーションゲーム』が描くエニグマ解読のドラマと悲劇、天才チューリングの不遇の死
映画『イミテーションゲーム』が描く衝撃の実話。「解読不可能」とまで言われた最強の暗号機エニグマを打ち破ったのはなんと、コンピューターの基本原理を生み出した天才数学者アラン・チューリングだった。暗号解読を実現させた驚きのプロセスと、1400万人以上を救ったとされながら偏見により自殺した不遇の人生を知る
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権力を持つ者のタガが外れてしまえば、市民は為す術がない。そんな状況に置かれた時、私たちにはどんな選択肢があるだろうか?白人警官が黒人を脅して殺害した、50年前の実際の事件をモチーフにした映画『デトロイト』から、「権力による不正義」の恐ろしさを知る
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たった30年前の韓国で、これほど恐ろしい出来事が起こっていたとは。「正義の実現」のために苛烈な「スパイ狩り」を行う秘密警察の横暴をきっかけに民主化運動が激化し、独裁政権が打倒された史実を描く『1987、ある闘いの真実』から、「正義」について考える
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【勇敢】”報道”は被害者を生む。私たちも同罪だ。”批判”による”正義の実現”は正義だろうか?:『リチャ…
「爆弾事件の被害を最小限に食い止めた英雄」が、メディアの勇み足のせいで「爆弾事件の犯人」と報じられてしまった実話を元にした映画『リチャード・ジュエル』から、「他人を公然と批判する行為」の是非と、「再発防止という名の正義」のあり方について考える
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【権利】衝撃のドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』は、「異質さを排除する社会」と「生きる権利」を問う
「ヤクザ」が排除された現在でも、「ヤクザが担ってきた機能」が不要になるわけじゃない。ではそれを、公権力が代替するのだろうか?実際の組事務所(東組清勇会)にカメラを持ち込むドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』が映し出す川口和秀・松山尚人・河野裕之の姿から、「基本的人権」のあり方について考えさせられた
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【告発】アメリカに”監視”される社会を暴露したスノーデンの苦悩と決断を映し出す映画:『スノーデン』…
NSA(アメリカ国家安全保障局)の最高機密にまでアクセスできたエドワード・スノーデンは、その機密情報を持ち出し内部告発を行った。「アメリカは世界中の通信を傍受している」と。『シチズンフォー』と『スノーデン』の2作品から、彼の告発内容とその葛藤を知る
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『スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか』では、自分が生徒に対して「権力」を持っているとは想像していなかったという教師が登場する。そしてこの「無自覚」は、学校以外の場でも起こりうる。特に男性は、読んで自分の振る舞いを見直すべきだ
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「北九州連続監禁殺人事件」という、マスコミも報道規制するほどの残虐事件。その「主犯の息子」として生きざるを得なかった男の壮絶な人生。「ザ・ノンフィクション」のプロデューサーが『人殺しの息子と呼ばれて』で改めて取り上げた「真摯な男」の生き様と覚悟
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東日本大震災発生直後からカメラを回し、被災地の現実を切り取ってきたテレビ岩手。「分かりやすさ」が優先されるテレビではなかなか放送できないだろう映像を含め、「分かりにくい現実」を切り取った映像で構成する映画『たゆたえども沈まず』は静かな衝撃をもたらす作品
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旅行者として東日本大震災で被災した小説家・彩瀬まるは、『暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出』でその体験を語る。「そんなこと、言わなければ分からない」と感じるような感情も包み隠さず記し、「絶望的な伝わらなさ」を感じながらも伝えようと奮闘する1冊
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「ホームレスは怠けている」という見方は誤りだと思うし、「働かないことが悪」だとも私には思えない。振付師・アオキ裕キ主催のホームレスのダンスチームを追う映画『ダンシングホームレス』から、社会のレールを外れても許容される社会の在り方を希求する
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インドの高級ホテルで実際に起こったテロ事件を元にした映画『ホテル・ムンバイ』。恐ろしいほどの臨場感で、当時の恐怖を観客に体感させる映画であり、だからこそ余計に、「逃げる選択」もできたホテルスタッフたちが自らの意思で残り、宿泊を助けた事実に感銘を受ける
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日本は、死を覚悟して福島第一原発に残った「Fukushima50」に救われた。東京を含めた東日本が壊滅してもおかしくなかった大災害において、現場の人間が何を考えどう行動したのかを、『死の淵を見た男』をベースに書く。全日本人必読の書
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三権分立の一翼を担う裁判所のことを、私たちはよく知らない。元エリート裁判官・瀬木比呂志と事件記者・清水潔の対談本『裁判所の正体』をベースに、「裁判所による統制」と「権力との癒着」について書く。「中世レベル」とさえ言われる日本の司法制度の現実は、「裁判になんか関わることない」という人も無視できないはずだ
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