目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
監督:内山拓也, プロデュース:吉岡宏城, プロデュース:佐藤雅彦, Writer:内山拓也, 出演:磯村勇斗, 出演:岸井ゆきの, 出演:福山翔大, 出演:染谷将太, 出演:霧島れいか, 出演:滝藤賢一, 出演:豊原功補, 出演:伊島空, 出演:長井短, 出演:東龍之介, 出演:松田航輝, 出演:尾上寛之, 出演:カトウシンスケ, 出演:ファビオ・ハラダ, 出演:大鷹明良
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ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 主人公・風間彩人は、どう考えても他者の手を借りるべき状況においてその選択を拒絶し、家族だけで乗り切ろうと奮闘する
- 本作で描かれるのは圧倒的な「不正解」なのだが、「そもそも『正解』など存在するのか」とも感じさせられてしまう
- 「人間の限界に肉薄する」くらい日常からかけ離れたキャラクターを、リアリティを感じさせる存在に見せる磯村勇斗の凄まじい演技
最後の最後まで辛く重苦しい映画でなかなか勧めにくいが、日常に何か影響を与えるような力強さがあると私は思う
自己紹介記事
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どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
映画『若き見知らぬ者たち』は、絶望を煮詰めたような最悪な現実を必死に生きる若者たちと、そのあまりの不毛さを描き出す作品だ
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主人公が置かれた、あまりにも絶望的な状況
観る人によっては、本作は「良い話」みたいに受け取られるかもしれない。主人公に対して、「辛い状況の中で必死に頑張っている」みたいなプラスの評価を与える人も中にはいるだろう。しかし個人的には、これが「良い話」なはずがないと思う。
風間彩人は、両親が念願叶えて開いた店を継ぎ、借金も返済、さらに、「前頭側頭葉変性症」という人格変化や行動障害を伴う病気を患う母親の看病もしている。いや、正直なところ、それは「看病」などと呼べるようなものではない。母親はもはや、自分が何をしているのかも把握出来ないのだろう。食べ物をそこら中に撒き散らし、それを止めようとすると大暴れするのだ。意思の疎通はかなり困難で、母親の好きなようにやらせる以外、成す術がない。彩人は総合格闘家の弟・壮平と暮らしており、さらに恋人の日向もよく家に来てくれるのだが、母親のそんな状態には、彩人だけではなく壮平や日向も疲弊していた。
しかし彩人は、ヘルパーを呼ぶとか施設に入れるといった選択肢を拒絶する。その頑なさは常軌を逸しており、明らかに日常生活が成り立っていないにも拘らず、彩人は何故か家族以外の手を借りようとしない。そしてどうやら、壮平も日向も、そんな彩人の想いをある程度までは理解しているようである。
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そんなわけで、風間家ではもう長いこと「全員が疲弊する」という状態が続いていた。彩人は、両親が残したスナックで毎晩酔客を相手にしている。日向は看護師であり、夜勤の続くシフトをこなす日々。そして壮平は、タイトル戦を間近に控えており、今まさに減量の真っ最中である。皆、自分がやるべきことでいっぱいいっぱいの中、さらに母親の行動に振り回され続けているというわけだ。
それでもどうにか騙し騙し日常を続けてきたのだが、ついに限界を迎えてしまう。日向は夜勤が続き、壮平は最後の追い込みのため、しばらくコーチの家に泊まり込むことが決まった。つまり、母親の面倒を看れるのは彩人だけということになる。
そしてそんなタイミングで、学生時代からの友人である大和の結婚を祝う同窓会のような集まりが開かれると決まった。生活のために店を休めない彩人は、その日は普段よりも早く店仕舞し、親友のお祝いに駆けつけるつもりだったのだが……。
なかなかに絶望的な状況と言えるだろう。中でもやはり、母親の存在がとにかくしんどい。
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例えば本作には、「彩人がスーパーの事務所で店長にお金を渡すシーン」が出てくる。初め私は、この描写の意味がまったく理解できなかった。「お金のやりくりが大変で、毎月ツケで買っているから、その返済をしている」のかと思っていたぐらいだ。
しかしそうではなかった。実はこのお金、「母親がスーパーで万引きしてしまう分の代金を先に支払っておく」という意味があるのだ。スーパーは普通こんな対応をしてくれないだろうが、恐らく、店長も「協力しよう」と考えるぐらい、彼の大変さが知られているということなのだと思う。
さて、この「万引き分を先払いする」という対応から、もう1つ分かることがある。それは、「彩人は決して、母親の行動を無理に止めさせようとはしていない」ということだ。ただ、「前頭側頭葉変性症」の患者に対する適切な振る舞いだからそうしているだけなのか、あるいは、彩人が母親に抱く親愛の情から来る行動なのか、それははっきりとは分からなかった。壮平や日向も同じような振る舞いをしていたのだが、「『彩人の母親に対する気持ち』を知っているから合わせている」という可能性もあるので、それだけでは判断できない。
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何にせよ、彩人たちが相当しんどい状況にいることだけは理解できるのではないかと思う。
本作では「不正解」が描かれている。では、「正解」は一体何なのだろうか?
本作において彩人はずっと、「ほとんど表情がない」みたいな佇まいで日々を生きている。恐らく、「表情を取り繕う余裕」などまったくないのだろう。まあ、そりゃあそうだろうと思う。「他者の助けを借りない」という選択の真意はよく分からないものの、たとえ借りたとしても大変であることに変わりないはずだし、そんな生活をずっと続けていれば表情も無くなっていくだろう。
そして本作では、そんな絶望的な状況が最後の最後まで続くのである。全然楽しい映画じゃないし、救いもない。
さて、そんな本作が描き出す現実を、私は「不正解」と捉えるべきだと考えている。本作が「良い話」なわけがないだろう。彩人は確かに頑張っているし、その努力が報われてほしいと願いもするが、しかしやはり、彩人の選択も行動も、すべて「間違い」だと思う。というか、「間違いであるべきだ」みたいな感覚だろうか。こんな世界が「正解」であっていいはずがない。
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しかしその一方で、「じゃあ一体何が『正解』なのだろう?」とも感じる。そして本作においては、この点こそが問題なのだと思う。私には、本作中で描かれる現実が「正解」に変わるような道筋がまるで見えない。ゲーム的に言えば、「どれだけ適切に選択肢を選び続けても、ハッピーエンドに辿り着かない」みたいな感じだろうか。仮にヘルパーを頼んだところで限定的だろうし、また、彩人の母親を受け入れてくれる施設は存在しないか、あっても希望者が多くて入居できないだろう。そしてそれら以外に、状況を好転させるような選択肢が存在するようには思えない。私には「正解」が見えないのだ。
さらに、『若き見知らぬ者たち』というタイトルもなかなかに示唆的である。恐らくここには、「彩人のような状況に置かれている人はどこにだっている」みたいな意味が含まれているのだと思う。幸いなことに、私はこんなしんどい状況に置かれてはいない。運が良いなと思う。そう、これは本当に「運」の問題でしかない。今風に言えば「親ガチャ」だろうか。病気や介護を「ガチャ」と表現するのは適切ではないかもしれないが、「そうとしか言いようがない」とも思う。子どもに、選択の余地はない。
フィクションであれドキュメンタリーであれ、書籍や映画でこのような「悲惨な現実」に触れる機会は多くある。そしてその度に、「すべての選択肢で最善の選択をしたら、『良い未来』に辿り着けたのだろうか?」みたいに感じられてしまうのだ。もし、「最善を選び続けたら『良い未来』に辿り着けた」ということであれば、「どこかで選択を間違えたこと」に対して自己責任的な要素が多少出てきたりもするだろう。しかし私にはどうしてもそんな風には思えない。存在するすべての選択肢が「クソみたいな未来」に繋がっているみたいにしか感じられないのだ。
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本作は、そんな「絶望」と呼ぶしかない日常をどうにか踏ん張って耐え忍んでいる者たちをリアルに描き出す、最後まで陰鬱とした雰囲気のまま展開される物語である。
印象的だったのは、彩人も日向も壮平も、「母親の悲惨な振る舞い」に対して感情を露わにしないこと。もう幾度となく同じ光景が繰り返されてきたのだろう。普通なら何らかの感情が発露されるだろう状況に対してさえ、何も感じられないのである。
同じような描写は、以前観た映画『ニトラム』にも存在した。絶望的な日常が長く続いたことにより、目の前で展開される「あまりにも酷い状況」に対して何も感じられなくなっているのだ。そんな描写によって、「これがうんざりするほどの長期間に渡り続いてきたのだろう」と実感させられるし、その絶望の深さを思い知らされもした。
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磯村勇斗の圧倒的な存在感と、ラストの圧巻の格闘技シーン
彩人を演じたのは磯村勇斗である。たまたまだが、割と近い期間の間に彼の出演作を立て続けに観る機会があった。『正欲』『月』、そして本作『若き見知らぬ者たち』である。彼はどの作品でも、「普通」とはかけ離れたような難しい役柄を演じていたように思う。もちろん「簡単な役」などないとは思うが、磯村勇斗が演じているのは「人間の境界を越えている、あるいは超えないように踏ん張っている人物」という印象が強かった。私たちが普段接する機会の少ない人間を演じていると言えるわけだが、にも拘らず磯村勇斗は「こういう人も実在するかもしれない」と思わせるようなリアルさを醸し出していたように思う。ここ最近、私の中で特に凄みを増しているような印象が強い役者だ。
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本作でも磯村勇斗は、「よく頑張った、もういいよ」と言いたくなるような役柄を演じている。日向も壮平も恐らくそんな風に感じているだろうし、もちろん観客は彩人にそう言ってやりたくて仕方なくなるだろう。ただ日向は、恋人という少し距離のある立場で風間家と関わっていることも関係しているのだと思うが、彩人にそんなことは言わない。また壮平も、普段はそんなこと言っていないのだろうと思う。作中では一度、彩人と壮平が対峙する場面が描かれており、そこで壮平は「無理するなよ」みたいなことを言っていた。しかしここでの壮平の雰囲気は、「普段から口酸っぱく言っていることを繰り返している」みたいな感じではなく、「ずっと言わずに抑え込んできたことを解き放った」というような雰囲気だったのだ。別の場面でも似たようなことを口にしていたのだが、いずれにしても観客は、「たぶん壮平も、普段はそんなことを言っていないのだろう」と感じるのではないかと思う。
普通に考えれば、「他者の助けを拒絶する」という選択を続ける風間彩人は「あり得ない存在」に見えるかもしれない。母親の発症からどれぐらい月日が経っているのか分からないが、恐らくかなり長い時間のはずだし、「そんな長期間に渡って、家族だけで母親の面倒を看る」なんてことは普通貫き通せないと思うのだ。
しかし磯村勇斗は、「彩人はそんな無理ゲーとどうにか闘い続けてきたのだろう」と感じさせるような雰囲気を放ちながら作品世界を生きている。その佇まいに驚かされてしまった。「彩人の存在にリアリティを感じる」というのは本作にとってかなり重要なポイントだと思うので、「磯村勇斗が本作を成立させている」と言ってもいいように思う。
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さて、驚かされたと言えば、ラストの総合格闘技のシーンも凄かった。というのも、壮平が控室を出てリングインしてから試合終了までをワンカットで撮っていたように見えたからだ。私の体感では、5分以上はカットが割られなかったように思う。
しかも、「ガチで試合をしているみたいな闘い方」だったので、なおさら驚かされた。もちろん、ある程度の動きの演出はあると思う。しかし、「あらかじめ決められた動きをなぞっている」みたいな感じだと、あのリアルさは醸し出せないような気がする。「大雑把な流れは決まっているが、細部は役者に託す」みたいな感じだったんじゃないだろうか。
しかし仮にそうだとすると、そんな2人の動きをカメラが追い続けられるのも凄いなと思う。「ある程度の予測不可能性がないと試合がリアルには見えない」というリアリティの話と、「予測不可能性が多いとカメラで追うのが困難になる」という撮影の話が真っ向からぶつかるわけで、これをどう成り立たせたのかは気になるところである。「上手くいくまで何度も撮り直した」という可能性もあるだろうが、このシーン、役者の体力の消耗は相当なものだと思うので、そう何回も繰り返すのは難しいだろう。本当に、どんな風に撮ったんだろうなと思う。
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ただ、そういう話とは別に、「この作品に、総合格闘技のシーンは必要だったのか?」とは感じはしたのだが。映像としては凄かったし、圧倒させられたが、「シーンとしての必然性」という意味でいうと、そこまで強くはなかった気がする。そこは少し気になってしまった。
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最後に
何度も繰り返していることだが、本作はとにかくひたすらに絶望的なシーンが続く作品であり、「面白いから観て」なんて形で人に勧めるのは結構難しい。ただ、観れば何かを感じるだろうし、「何かを受け取ってしまった」ような気分になり、その後の日常生活にも何らかの変化が生まれたりするかもしれないとも思う。そんな力強さを感じさせる作品だった。
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ルシルナ
逃げたい・諦める【本・映画の感想】 | ルシルナ
私は、大学を中退し、就職活動から逃げ、今も将来に期待せず生きています。誰もが、「人生疲れたな」「もう限界だな」「頑張りたくないな」と感じる瞬間はあるでしょう。誰…
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