目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:マッツ・ブリュガー, 出演:ヨーラン・ビョークダール, 出演:キース・マクスウェル, 出演:アレクサンダー・ジョーンズ, 監督:マッツ・ブリュガー, プロデュース:マッツ・ブリュガー
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ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 今回の記事では、普段ならネタバレを避けるために書かない部分まですべて書く
- 国連事務総長として、植民地支配から独立したアフリカ諸国を守る決意を掲げていたハマーショルドが、飛行機事故により不審死を遂げた事件
- 墜落事故に関してはほとんど手がかりが得られない状態だったが、突如浮上した「サイマー」という謎の機関について調べを進めたことで、驚くべき事実を掘り起こしてしまう
ハマーショルドが誰なのかさえ知らずに観た私でも思わず惹きつけられてしまった、とんでもない衝撃作
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どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
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ハマーショルドについては後で触れるが、今の時点では、「暗殺が疑われる状況だった」という点だけ理解しておけば十分だろう。
映画を観る歳の、そしてこの記事を読む際の注意点について
さて内容に触れる前にまず、注意点を2つ書いておこうと思う。
まずは、映画『誰がハマーショルドを殺したか』を観る際のもの。本作については、「『実際の出来事をカメラに収めている』という意味では確かに『ドキュメンタリー』なのだが、『事実を明らかにする』という意味では『ドキュメンタリー』とは言えない」という点に注意が必要だと私は思っている。『誰がハマーショルドを殺したか』というタイトルから明らかなように、本作でメインとなる話は「ハマーショルドの暗殺事件」だ。しかし本作では、この点についてはっきりとしたことが明らかになるわけではないのである。
この事実に触れることを「ネタバレ」だと感じる人も恐らくいるだろう。しかし私は、「本作を適切に鑑賞する上で、この事実は知っておいた方がいい」と判断したので、こうして先に書いておくことにした。
本作では、監督自身が取材者となって、ハマーショルドの死の謎を追いかける。しかし、作中で監督自身が語っている通り、その取材によって明らかになった結論は、あくまでも「フィクションの域を出ない」ものだ。「事実」を追う場合はやはり、明確な証拠によって確証の度合いを高めていく必要があると思うのだが、本作の場合、それがかなり薄い。様々な証言をする者は出てくるが、その証言を客観的に証明する証拠は存在しないというわけだ。
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監督はもちろん、調べ上げ推測した「状況」が、実際に起こったことだという確証を抱いているからこそ、こうして映画として公開しているのだと思う。しかし、証拠などによってその確証度が高められているわけではないので、あくまでも「状況証拠からは、このような状況だと推察できる」と言っているに過ぎない。いずれ何らかの形で真相が明らかになる可能性ももちろんあるとは思うが、少なくとも本作単体でそれが実現されているわけではないというわけだ。
さてそうだとすると、「観る価値のある映画なのだろうか」と感じてしまう人もいるだろうとは思うが、その心配はない。とても面白い作品に仕上がっていると私は思う。ハマーショルドの事件は60年以上前の出来事であり、手がかりらしい手がかりなどほぼ存在しない。にも拘らず、6年以上を調査に費やした甲斐あって、思わぬ形ではあったものの「真相らしき状況」にたどり着き、さらに「それ以上の驚くべき事実」を掘り当ててもいるのだ。私はかなり衝撃を受けてしまった。
さて、触れておきたい2つ目の注意に、まさにその「それ以上の驚くべき事実」が関係している。「この記事ではその話にも触れるので、ネタバレを避けたい方は注意してほしい」というわけだ。
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私は普段、本でも映画でも、何らかの作品について言及する際には、「自分なりの『ネタバレ基準』に従う」ことにしている。「何を『ネタバレ』と感じるか」は人それぞれだと思うし、私とは感覚が合わないかもしれない。私はとにかく、あくまでも自分なりの判断基準に従っているだけなので、公式HPでは触れられていることを伏せたり、「それはちょっと書きすぎかも」というレベルまで踏み込んだりするというわけだ。
さて本作の場合、その「それ以上の驚くべき事実」に触れることは、私の中では明確に「ネタバレ」であり、普段なら絶対に書かない。ただ本作は、決して広く観られているわけではない割に、「世界が広く知っておくべき事実」が扱われている作品だと感じたので、「本来的には伏せておくべきだろう要素」についても触れようと思う。
記事の中で、「ネタバレを避けたい方はこれ以上読まないで下さい」のような表記をするので、知りたくないという方は読まないように注意してほしい。
ハマーショルドは何者で、彼に一体何が起こったのか?
それではここから内容に触れていくが、まずはやはりハマーショルドの基本情報と、彼が命を落とすまでの経緯について触れておくべきだろう。
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ハマーショルドは、当時の国連事務総長だった人物である。熱烈な理想主義者として知られており、当時彼は、「植民地支配から独立を成し遂げたアフリカ諸国を守ることが、国際社会の使命だ」と訴えていた。そんな彼の死は、世界中に衝撃を与えたそうだ。作中では、国連の場で「本当の意味で世に尽くした人」として追悼されている映像が挿入された。世界を変える力を持った人物だと評価されていたというわけだ。
さて、彼の主張から容易に想像できるだろうが、ハマーショルドはその素晴らしい人柄を称賛されると同時に、植民地支配を続けていた大国からは嫌われていた。大国は、自国の利益のために、アフリカからの搾取をまだまだ続けたいと考えていたからだ。そんな思惑を持つ大国からすれば、ハマーショルドはまさに「目の上のたんこぶ」と言ったところだろう。
そのような中、ハマーショルドが飛行機事故に遭うのである。
1961年9月17日、ハマーショルドはコンゴにいた。コンゴから独立し、コンゴとの紛争に突入していたカタンガの問題を解決するためだ。当時カタンガを掌握していたのはベルギーの鉱山会社で、彼らはモイーズ・チョンベという人物を担ぎ出し、カタンガのトップに据えていた。そしてハマーショルドは、このチョンべとの和平交渉を目論んでいたのである。
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ハマーショルドは紛争の解決のため国連軍を投入したのだが、カタンガの傭兵軍が思いの外強く、国連軍と一般市民に多数の死者を出してしまっていた。アメリカやイギリスが早急な問題の解決をハマーショルドに迫っていたこともあり、彼はチョンべと直接交渉する決断を下したというわけだ。
翌9月18日深夜未明のこと。ハマーショルドを乗せたチャーター機は、コンゴの小さな炭鉱町ンドラに墜落した。そしてこの”事故”は、ハマーショルドを含む乗客全員が死亡するという痛ましい結果に終わる。
さて、この”事故”の調査は、何故か詳しく行われなかった。「爆弾などによる暗殺の可能性がある」という報告書が提出されもしたが、「憶測に過ぎない」と扱われ、現在に至るまで「原因不明」とされている。この事件を報じたワシントン・ポスト紙は、「冷戦期最大の謎の1つ」と評していた。
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そして、この事件に興味を抱いたマッツ・ブリュガーが、手がかりらしい手がかりなどまったく無い中で調査を始め、その結果をまとめたのが本作『誰がハマーショルドを殺したか』なのである。
ハマーショルドの死の謎を調査し続ける
マッツ・ブリュガーは1人で調査を行っていたわけではない。ヨーラン・ビョークダールという調査仲間がいるのだ。彼がハマーショルド事件に関わるようになったきっかけは父にある。なんとビョークダールの父は、墜落したチャーター機の破片の一部である金属板を所有していたのだ。高齢になった父から初めてその話を聞いた彼は、それ以来7年もの年月をこの事件の調査に費やしているという。
そんなビョークダールは、非常に重要な仕事を行った。ンドラに住む者たちから当時の目撃証言を集めていたのだ。ただそもそも、「目撃証言の収集」は取材の基本なのだから、事故が起こった時点で記者なりが既にやり尽くしていてもおかしくないはずだ。しかし実は、そうはならなかった理由がある。というのも、当時アフリカはアパルトヘイトの真っ只中であり、「黒人の証言」はまったく重視されなかったのだ。そんなわけでビョークダールは、当時事故を目撃していた者たちの証言を集め、整理することにしたのである。
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彼らの証言は、明らかに「単なる事故ではない」ことを示唆していた。「墜落の直前、空港の灯りがすべて消えた」「墜落したのとは別の飛行機が銃撃した」など、事件性を疑わせる話が次々に飛び出したのである。
また彼らは、僅かながら残されていた記録の精査も行った。この記録もまた、非常に奇妙なものばかりなのである。
まず、「ハマーショルドの遺体が発見されたのが墜落から15時間後」という記録がおかしい。墜落現場は空港からかなり近く、さらに、ある黒人の証言によれば「朝まで燃えていた」のだそうだ。つまり、墜落現場が判別できなかったはずがないのである。墜落現場が分かっていたのなら、発見に15時間も掛かるはずがない。しかも、ハマーショルド以外の15人の乗客の死体は焼け焦げ、バラバラになっていたにも拘わらず、ハマーショルドの死体だけは驚くほど無傷だったのも奇妙なポイントである。まるで「ハマーショルドの死」を明確にしたいという意思が介在しているかのようである。
また、発見時のハマーショルドの死体の写真は何故か残されていない。現存しているのは、ハマーショルドが担架に載せられている写真だけだ。そしてその写真の襟元には、謎のカードが写っている。ラストの方で明らかになるのだが、実はこのカード、事故ではなかったことを間接的に示唆する証拠だというのだ。
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彼らは他にも、死体の写真を撮影したという地元の写真家や、国家安全保障局の元職員などからも話を聞き、「ハマーショルドの死がただの事故であるはずがない」という印象を積み上げていくのである。
「サイマー」という謎の組織の存在が浮上する
さて実は、2013年9月に、ハマーショルドの事件に関して驚くべき調査報告が発表されていた。それは以下のような内容である。
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「南アフリカ海洋研究所」(通称:サイマー)と呼ばれる謎の機関が作成した文書が存在し、そこに「ハマーショルドの暗殺計画」についての記載があった。
さて、この話を知れば普通、「なんだ、それならもう事件は解決しているじゃないか」と感じるだろう。しかし、実際にはそのような展開にはなっていない。というのも、「『サイマー』という機関がかつて存在していた」などという事実は一切確認されていなかったからだ。2013年9月時点で「サイマー」に関して分かっていたことは、なんと、ハマーショルドの暗殺計画が記された文書だけ。それ以外に「サイマー」に関する情報は一切存在しなかったのである。このような状況では、とても「解決した」とは言えないだろう。「存在するのかどうかも判然としない謎の機関が事件に関わっていた」なんて話は、「何も分かっていない」のと大差ないからだ。
普通であれば、この調査報告を知った時点で、この件に関心のある者は「サイマー」について調べ始めるだろう。しかし実際にはそうはならなかった。というのも、「サイマー」に関する先の文書が出たのとほぼ同時期に、「『サイマー』はソ連による情報操作である」という噂も流れたからだ。今では、「真相を知られたくなかったCIA辺りが流した誤情報ではないか」と受け取られているようだが、事情はともかく、そのような状況だったこともあり、「サイマー」について調べる者はいなかったのだそうだ。
となればもちろん、マッツ・ブリュガーらは「サイマー」について調べるだろう。そもそもそんな機関が実在する(あるいは「実在した」)のか、そして存在するのなら、本当に「サイマー」がハマーショルドを殺したのか。あるいは、もし存在しない機関であるなら、ハマーショルドの暗殺について記された文書は一体何なのか。彼らはその辺りの情報を探ろうと奮闘するのだが、やはり「サイマー」に関する情報が少なすぎるため、調査はなかなか進展しない。
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一方彼らは、並行してより直接的な調査も行った。実は、墜落したチャーター機の残骸は墜落現場にそのまま埋められているのである。ならばそれを掘り返し、最新技術を使って調べ直せば何か分かるかもしれない。しかし残念ながら、そのような方向からの調査も、やはりなかなか進展しないのだ。
さて、ここまでで触れた内容が、私が思う「まだ映画を観ていない人に伝えても問題ないであろう情報」である。これ以降は、私の基準では「ネタバレ」になるので、知りたくないという方は読まないでほしい。
「サイマー」に関する衝撃の事実
さて、彼らが行う「サイマー」に関する調査は、実に思いがけない方向へと転がっていくのだが、その話をする前にまず、「サイマー」についてどのような事実が明らかになっていったのかに触れておこう。
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彼らはまず、創設者の名前に行き着く。マクスウェルという人物で、彼の写真も手に入れたのだが、既に他界していた。それから彼らは、「ハマーショルドの暗殺計画が書かれた文書」に名前が載っていた人物を特定する作業に移る。1人探し出しては話を聞きに行く、という地道なやり方を続けるのだが、とにかく皆口が重い。「『サイマー』など知らない」とはっきり否定する者もいたし、「このサインは私のもので間違いないが、何故私のサインがこの文書に記されているのかは分からない」と、はぐらかしているのか本当に知らないのかよく分からない人物もいた。このように、「ハマーショルドの事件への関与」以前に、「サイマー」という機関が存在していたのかについての確証がなかなか得られないというわけだ。
また、別の角度からの話として、1988年に南アフリカで発行された雑誌に関するものがある。そこにはデビーという女性のインタビューが載っているのだが、その中で彼女はなんと「『サイマー』で働いている」という話をしていたのだ。しかしその後、デビーの消息はまったく分からなくなってしまう。後で映画に登場する人物は、「デビーは既に亡くなっているだろう」と語っていた。
その後彼らは、「サイマー」の募集に応募した人物のリストを手に入れることが出来た。そこで再び、そのリストに書かれた人物を探し出して話を聞こうとするのだが、やはり皆、「サイマー」については何も話したがらない。
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そんな中彼らは、そのリストに名前が載っていたジョーンズという人物に行き着く。そして彼こそが、まさに探し求めていた答えを与えてくれる人物だったのだ。ジョーンズは身の危険も顧みず、「サイマー」に関して知っていることを顔出しで打ち明ける決断をしたのである。「何故危険だと分かっていて話すのか」と聞くと、彼は「終止符を打たなければならないからだ」と答えた。よほどの覚悟が必要な話と言えるだろう。
彼の口から語られた話は、あまりにも衝撃的なものだった。確かに、「サイマー」がこんなことをしていたのだとすれば、誰だって口を噤みたくもなるだろう。『誰がハマーショルドを殺したか』と銘打たれた映画はつまるところ、「『サイマー』というイカれた機関が何をしていたのか」という話に収斂するのである。
ジョーンズはまず、「サイマー」そのものについて説明した。「サイマー」は秘密の傭兵組織であり、目的は「敵国を揺るがすこと」だったという。5000人以上が働く巨大な組織であり、「英国機関の下部組織」だと彼は認識していた。この点に関しては、ジョーンズにも確証はなかったそうだが、いずれにせよ、「外国政府からの資金で成り立っていた」ことは間違いないという。
「サイマー」は様々な活動に関わっていたのだが、ジョーンズが語るその内の1つがあまりにも衝撃的だった。それは、「アフリカにHIV(エイズ)を蔓延させる」というミッションである。
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アパルトヘイトが行われ、白人至上主義に染められていたアフリカ大陸においては、白人はとにかく黒人の存在を”邪魔”に感じていた。そこで、黒人を絶滅させるために、エイズを蔓延させる計画が立てられたというのだ。その手段が恐ろしい。なんと、「ワクチン接種を装っていた」というのである。創設者のマクスウェルは、無料の診療所をアフリカ各地に作り、そこで「予防接種」と称してHIVウイルスを注射する計画を立てていたのだという。
さて、ジョーンズからこの話を聞き、マッツ・ブリュガーらが納得できたことがあった。彼らはたまたま、アフリカで流通していたある広告を発見したのだが、そこには「『サイマー』が、ダグマーという女性を暗殺してくれる殺し屋を探している」という内容が書かれていたのだ。彼らはこの広告についてもジョーンズに話を聞いていた。
ダグマーは「サイマー」では研究職に従事していたのだが、ある時殺されてしまう。ジョーンズは、「ダグマーが『サイマー』に殺されたことは誰もが知っていること」だと証言していた。彼女は、診療所で打つワクチンが汚染されていることに気づき、それを告発しようとしていたのだという。当時「サイマー」内では、「ダグマーが告発しようとしている」という噂が流れていたそうで、そのせいで殺されてしまったのだろうと彼は語っていた。
しかしそうだとして、何故「サイマー」は殺し屋の広告など出したのか。監督がジョーンズにその点を聞いてみると、「カムフラージュだろう」と答えていた。実際には「サイマー」が殺したのだが、そのような広告を出すことで、「自分たちでダグマーを殺したわけではない」という風に見せたかったのだろうというわけだ。
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なんとも凄まじい話である。作中では、マッツ・ブリュガーらのインタビューに答えた後、ジョーンズが国連の調査に協力することになったと触れられていた。その後どうなったのかは知らないが、「サイマー」に関する調査は進んだのだろうか?
映画の最後で指摘されるのだが、科学者の見解によれば、「ワクチン接種を装ってHIVを広めることは困難」なのだという。つまり、仮にこのような計画が実行に移されていたとしても(あるいは、実際に行われていたのだとしても)、狙ったような効果はなかったというわけだ。
しかし、科学的にはまったく無意味な行為だとしても、「『効果があるはずだ』と考えて、計画を主導した人物(組織)が存在した」という事実まで否定されるわけではない。
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私は普段、陰謀論的めいた話など信じないのだが、本作『誰がハマーショルドを殺したか』で扱われていた内容には、なんとなく凄まじい説得力を感じさせられたし、「本当にこんなことが起こっていたのかもしれない」と思わされてしまった。もし実際にこんな現実が存在していたのだとすれば、あまりにもおぞましい。「白人至上主義」の恐ろしさが如実に浮き彫りになった出来事だと言えるだろう。
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最後に
ジョーンズは最後、次のように語っていた。
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今アフリカは、大国に抵抗を示している。もしハマーショルドが生きていて、主義を貫き通していたとしたら、アフリカの抵抗は30年も40年も前に起こっただろう。アフリカは、様変わりしていたはずだ。
イギリスと南アフリカは、国連からの調査協力に未だに応じていないそうである。
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NSA(アメリカ国家安全保障局)の最高機密にまでアクセスできたエドワード・スノーデンは、その機密情報を持ち出し内部告発を行った。「アメリカは世界中の通信を傍受している」と。『シチズンフォー』と『スノーデン』の2作品から、彼の告発内容とその葛藤を知る
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【絶望】「人生上手くいかない」と感じる時、彼を思い出してほしい。壮絶な過去を背負って生きる彼を:…
「北九州連続監禁殺人事件」という、マスコミも報道規制するほどの残虐事件。その「主犯の息子」として生きざるを得なかった男の壮絶な人生。「ザ・ノンフィクション」のプロデューサーが『人殺しの息子と呼ばれて』で改めて取り上げた「真摯な男」の生き様と覚悟
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【称賛】生き様がかっこいい。ムンバイのホテルのテロ事件で宿泊客を守り抜いたスタッフたち:映画『ホ…
インドの高級ホテルで実際に起こったテロ事件を元にした映画『ホテル・ムンバイ』。恐ろしいほどの臨場感で、当時の恐怖を観客に体感させる映画であり、だからこそ余計に、「逃げる選択」もできたホテルスタッフたちが自らの意思で残り、宿泊を助けた事実に感銘を受ける
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【絶望】権力の濫用を止めるのは我々だ。映画『新聞記者』から「ソフトな独裁国家・日本」の今を知る
私個人は、「ビジョンの達成」のためなら「ソフトな独裁」を許容する。しかし今の日本は、そもそも「ビジョン」などなく、「ソフトな独裁状態」だけが続いていると感じた。映画『新聞記者』をベースに、私たちがどれだけ絶望的な国に生きているのかを理解する
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【勇敢】後悔しない生き方のために”間違い”を犯せるか?法に背いてでも正義を貫いた女性の生き様:映画…
国の諜報機関の職員でありながら、「イラク戦争を正当化する」という巨大な策略を知り、守秘義務違反をおかしてまで真実を明らかにしようとした実在の女性を描く映画『オフィシャル・シークレット』から、「法を守る」こと以上に重要な生き方の指針を学ぶ
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【驚愕】「金正男の殺人犯」は”あなた”だったかも。「人気者になりたい女性」が陥った巧妙な罠:映画『…
金正男が暗殺された事件は、世界中で驚きをもって報じられた。その実行犯である2人の女性は、「有名にならないか?」と声を掛けられて暗殺者に仕立て上げられてしまった普通の人だ。映画『わたしは金正男を殺していない』から、危険と隣り合わせの現状を知る
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【実話】人質はなぜ犯人に好意を抱くか?「ストックホルム症候群」の由来である銀行強盗を描く映画:『…
「強盗や立てこもり事件などにおいて、人質が犯人に好意・共感を抱いてしまう状態」を「ストックホルム症候群」と呼ぶのだが、実はそう名付けられる由来となった実際の事件が存在する。実話を基にした映画『ストックホルムケース』から、犯人に協力してしまう人間の不可思議な心理について知る
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【誠実】地下鉄サリン事件の被害者が荒木浩に密着。「贖罪」とは何かを考えさせる衝撃の映画:『AGANAI…
私には、「謝罪すること」が「誠実」だという感覚がない。むしろ映画『AGANAI 地下鉄サリン事件と私』では、「謝罪しない誠実さ」が描かれる。被害者側と加害者側の対話から、「謝罪」「贖罪」の意味と、信じているものを諦めさせることの難しさについて書く
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【絶望】子供を犯罪者にしないために。「異常者」で片付けられない、希望を見いだせない若者の現実:『…
2人を殺し、7人に重傷を負わせた金川真大に同情の余地はない。しかし、この事件を取材した記者も、私も、彼が殺人に至った背景・動機については理解できてしまう部分がある。『死刑のための殺人』をベースに、「どうしようもないつまらなさ」と共に生きる現代を知る
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【デマ】情報を”選ぶ”時代に、メディアの情報の”正しさ”はどのように判断されるのか?:『ニューヨーク…
一昔前、我々は「正しい情報を欲していた」はずだ。しかしいつの間にか世の中は変わった。「欲しい情報を正しいと思う」ようになったのだ。この激変は、トランプ元大統領の台頭で一層明確になった。『ニューヨーク・タイムズを守った男』から、情報の受け取り方を問う
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【衝撃】森達也『A3』が指摘。地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教は社会を激変させた
「オウム真理教は特別だ、という理由で作られた”例外”が、いつの間にか社会の”前提”になっている」これが、森達也『A3』の主張の要点だ。異常な状態で続けられた麻原彰晃の裁判を傍聴したことをきっかけに、社会の”異様な”変質の正体を理解する。
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【加虐】メディアの役割とは?森達也『A』が提示した「事実を報じる限界」と「思考停止社会」
オウム真理教の内部に潜入した、森達也のドキュメンタリー映画『A』は衝撃を与えた。しかしそれは、宗教団体ではなく、社会の方を切り取った作品だった。思考することを止めた社会の加虐性と、客観的な事実など切り取れないという現実について書く
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【恐怖】SNSの危険性と子供の守り方を、ドキュメンタリー映画『SNS 少女たちの10日間』で学ぶ
実際にチェコの警察を動かした衝撃のドキュメンタリー映画『SNS 少女たちの10日間』は、少女の「寂しさ」に付け込むおっさんどもの醜悪さに満ちあふれている。「WEBの利用制限」だけでは子どもを守りきれない現実を、リアルなものとして実感すべき
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【衝撃】壮絶な戦争映画。最愛の娘を「産んで後悔している」と呟く母らは、正義のために戦場に留まる:…
こんな映画、二度と存在し得ないのではないかと感じるほど衝撃を受けた『娘は戦場で生まれた』。母であり革命家でもあるジャーナリストは、爆撃の続くシリアの街を記録し続け、同じ街で娘を産み育てた。「知らなかった」で済ませていい現実じゃない。
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【勇敢】日本を救った吉田昌郎と、福島第一原発事故に死を賭して立ち向かった者たちの極限を知る:『死…
日本は、死を覚悟して福島第一原発に残った「Fukushima50」に救われた。東京を含めた東日本が壊滅してもおかしくなかった大災害において、現場の人間が何を考えどう行動したのかを、『死の淵を見た男』をベースに書く。全日本人必読の書
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【不満】この閉塞感は打破すべきか?自由意志が駆逐された社会と、不幸になる自由について:『巡査長 真…
自由に選択し、自由に行動し、自由に生きているつもりでも、現代社会においては既に「自由意志」は失われてしまっている。しかし、そんな世の中を生きることは果たして不幸だろうか?異色警察小説『巡査長 真行寺弘道』をベースに「不幸になる自由」について語る
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日本に生きているとなかなか実感できませんが、常に世界のどこかで戦争が起こっており、なくなることはありません。また、テロや独裁政権など、世界を取り巻く情勢は様々で…
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