目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
監督:エドワード・ベルガー, Writer:ピーター・ストローハン, 出演:レイフ・ファインズ, 出演:スタンリー・トゥッチ, 出演:ジョン・リスゴー, 出演:イザベラ・ロッセリーニ
ポチップ
VIDEO
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
枢機卿を辞めようかとも考えている首席枢機卿ローレンスがコンクラーベを取り仕切り、さらに自身も被選挙人になるという設定が興味深い 「権力争い」が描かれているのだが、宗教がベースにあるが故に「権力にギラギラした者ばかりじゃない」という状況が必然的に生まれている点も面白い 「信仰・教会とはどうあるべきか」という深遠な問いにも踏み込んでいて、深く考えさせられる
荘厳なビジュアルや印象的な音楽も含め、あらゆる要素をひっくるめて凄く良かったなと思う
自己紹介記事
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どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
映画『教皇選挙』は、コンクラーベという馴染みのない異世界を描く、ミステリとしても社会派としてもメチャクチャ面白い作品である
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凄まじく面白い映画 だった。これはホントによく出来てる なぁ。
さて、まず私が書いておきたいのは、「劇場が満員で驚いた 」ということだ。私が本作『教皇選挙』を観たのはTOHOシネマズシャンテで、劇場はかなり広い 。そしてなんと、私が観た上映回は満員だった のだ。チケット売り場に「満員です」と貼り出されていたので間違いない。私はまず、そのことに驚かされてしまった のだ。
私の中で、本作を観る優先順位は決して高くなかった のだが、公開直後から凄まじく高い評判が目に付く ようになり、それで自分の中の優先順位を上げることにした 。そんなわけで、公開から数日経って観に行ったのだが、そしたら満員だった というわけだ。まだ公開して数日のタイミング である。にも拘らず、こんな広い劇場を満員にするだけの口コミが飛び交っているのか、と思うと驚きだった 。
何せ本作のテーマは「コンクラーベ」、つまり「教皇を選ぶ選挙」 である。本作の公開は3月だったが、その後4月にフランシスコ教皇が亡くなったことが発表され、2013年以来のコンクラーベが開かれることが決まった 。それを伝えるニュース番組の中で、実に絶妙なタイミングで公開された本作『教皇選挙』が紹介された こともあり、さらにそこからブーストが掛かっているのかもしれないが、私が観たのはそれよりも前 である。
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そもそもカトリックの信者は割合で言えば日本にはそう多くないだろう し、だから「コンクラーベ」に関心を持っている人も多くはないはず だ。そんな「一般の日本人にはどうでもいいこと」がテーマになっている作品を観ようと、これだけ多くの人が詰めかけている のだから、私にはちょっと異様な光景 に見えた。監督や役者が有名ならともかく(私は詳しくないので判断できないが)、この内容でこの集客力はちょっと異常 だなと思う。
ただ、観終えて「カトリックに興味がない人間をも惹き付ける要素が散りばめられている」という上手さは印象的 だった。「舞台装置の荘厳さ」みたいなものはちゃんと保ったまま、ストーリーを徹底的に「観る側」に寄せている 感じがあり、だから子どもはともかくとして、「誰が観ても面白いと思える作品」に仕上がっている なと思う。その辺りの作り方はとても上手い なと感じた。
というわけで、本作はある程度物語の説明をしておかないと内容の紹介が不可能 なので、まずはその辺りから始めたいと思う。
映画『教皇選挙』の内容紹介
ある夜のこと、心臓発作によりローマ教皇が逝去された 。教皇は体調の悪化をごく一部の人間にしか伝えていなかった ため、多くの人が「突然の死」として受け止め 、それは、首席枢機卿のローレンスも同様 である。彼はある場面で「教皇は長寿だと思っていた 」と発言していた。誰にとっても寝耳に水だった のだ。
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教皇が亡くなったため、次の教皇を選ぶ「コンクラーベ」の準備が必要になった 。それを仕切るのが、首席枢機卿のローレンス である。3週間後の開催に向けて、急ピッチで準備が始まった 。ちなみに、教皇選挙における被選挙人は世界中にいる枢機卿 であり、ローレンスは運営側でありながら同時に被選挙人でもあるという複雑な立場 にいる。
そしてようやく初日を迎えた 。コンクラーベでは、世界中の枢機卿がバチカンのシスティーナ礼拝堂に集められ、そこで外界との連絡を一切絶たれた状態で隔離される 。そしてその状態が、教皇が選出されるまで続く というわけだ。しかし初日の朝、隔離が行われる前に、ローレンスは「ウォズニアック枢機卿が話したいと言っている」と報告を受ける 。ローレンスは「隔離が始まったら会えなくなる」と言っており、何らかの理由でウォズニアック枢機卿が「被選挙人」ではないことが示唆されていた (「酒浸り 」という話が出たのでそのせいかもしれない)。ローレンスは一度は彼との面会を断ったのだが、やはり気になって隔離が始まる前に話を聞いてみることにした のである。
すると彼は、亡くなる直前の故教皇によってトランブレが枢機卿を辞任させられていた と言うのだ。もしもその話が本当であれば、トランブレは被選挙人として相応しくない ことになる。しかし隔離の時間は迫っているし、そんな短い時間で真偽の判断を下すのも難しい 。ローレンスは一旦この件を保留にせざるを得なかった 。
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さらにトラブルは続く 。名簿に名前が載っていない枢機卿が現れた というのだ。決して名簿の不備などではない 。その枢機卿は、存在を知られていなかった のである。どうやら去年、故教皇が秘密裏に任命した のだという。それが、メキシコ出身で、今はアフガニスタンのカブールで奉仕しているベニテス である。正式な委任状を持っていた こともあり、ローレンスは皆に、「新たな枢機卿であり、教皇選挙にも参加する」と紹介した 。このようなドタバタを乗り越え、どうにか準備を整える 。
こうして隔離が始まるとローレンスは、運営者としての動きとは別に、仲間内での「どうやってベリーニに票を集めるか」という作戦会議にも顔を出す 。今回、有力候補としてテデスコの名前が挙がっている のだが、ローレンスらは彼が教皇になることだけはどうしても避けたい と考えているのだ。
テデスコは常々、「ローマあっての伝統 」「過去40年間、イタリア出身の教皇が出ていない 」と主張しており、教会が60年来進めてきた「相対主義」を真っ向から批判する人物 である。「相対主義」については作中で詳しく触れられなかったが、恐らく「カトリック以外の宗教も許容しましょう」みたいな意味 だと思う。そしてテデスコはそんな「相対主義」を否定し、「カトリックこそ絶対」という価値観を推し進めようとしている というわけだ。
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テデスコは故教皇のことも生前から平然と批判 しており、そういう様々な要因を踏まえ、「テデスコは教皇として不適格」だとローレンスらは判断している 。そこで彼らは、「テデスコを阻止する」という目的で、本人は「教皇の椅子を望んでいない」と言っている仲間のベリーニに票を集めようと考えている のだ。
こうして、最初の投票 が始まった。ルールはシンプルだ 。100名を超える枢機卿 が一同に介し、「教皇に相応しいと思う者の名前」を紙に書いて壺に入れる 。そして、投票総数の2/3以上を獲得する候補者が出れば教皇選出 、出なければ時間を空けて同じ投票を何度も繰り返す のだ。最初の投票では決まらず 、そんな中で最も票を集めたのはナイジェリア教区に務めるアデイエミ だった。もしも彼が選出されれば、アフリカ系初の教皇 となる。
さらに何度目かの投票の最中、建物全体が揺れるアクシデント が起こった。コンクラーベ中は中の情報を外に出さないだけではなく、外の情報も中には入れないことになっている ため、枢機卿たちに事情は説明されなかったのだが、コンクラーベを取り仕切るローレンスには報告が入る 。なんと、近くにあるバルベリーニ広場で爆破事件が起こった というのだ。世情がどんどんと不安定になっている中でのコンクラーベ なのである。
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さて、投票の度にローレンスにもいくつか票が入った 。しかし彼自身は、「自分は教皇の器ではない 」と考えている。それどころか、コンクラーベを無事に終えたら枢機卿を辞任するつもり でいるのだ。コンクラーベの最中、そんなやり取りをベニテスとしていた 。ベニテスは、それまで存在さえ知られていなかったからだろう、誰とも利害関係がなく、選挙でもノーマーク 。だからローレンスは”本音”で話してもいいと思えた のだろう。彼はベニテスに「信仰に困難を感じている」と吐露していた 。別に「神に対して疑念を抱いている」という話ではない 。「教会に対しての疑念をどうしても拭えずにいる 」というのだ。故教皇が長生きしていれば、ローレンスは恐らくコンクラーベを取り仕切るなんて大役を果たさずに枢機卿を辞めていた のだろう。これもまた数奇な運命 である。
その後もローレンスは、投票の合間合間に様々な報告を受けた 。それらは、有力候補であるアデイエミやトランブレ、あるいは突然現れたベニテスに関するもの であり、そしてそれらの真偽が選挙の情勢を大きく左右するようなもの でもある。ローレンスは、コンクラーベを取り仕切る中立な立場として 、あるいは、ベリーニを当選させたい勢力として 、さらに、もう教会と関わりたくないという想いを抱える者として 、複雑な気持ちでそれらの事態に対処していく 。
そんな混迷を極めるコンクラーベでは、一体誰が教皇に選出されるのだろうか?
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本質は「権力争い」なのだが、「権力争いっぽくない要素」が散りばめられているために受け入れやすい
本作の提示の仕方としてまずとても上手いなと感じたのが、「カトリック云々ではなく、『権力を欲する者たちによる争い』というシンプルな物語に仕上げたこと」 である。物語全体が「カトリック」や「宗教」の話に寄りすぎていると、どうしても「カトリック教徒」以外の関心を集めにくくなる だろうが、本作『教皇選挙』は「あくまでも舞台がカトリックなだけ」であり、その本質は「権力争い」 なのだ。宗教の知識がゼロでいいということではないが、宗教に対する知識・関心を大して持っていなくても(私もそうである)面白く観られる作品に仕上がっている という点が、まずよく出来ているなと感じた。
そして、その中にエッセンスとして「宗教的な要素」が組み込まれる という構成によって、「単なる『権力争い』ではない」という見え方にもなる わけで、その点も凄く良かったなと思う。
一般的に「権力争い」と聞くと、「金・地位・名誉を欲するギラギラした者ばかりが出てくる」というイメージ になると思うが、本作の場合はそこに「私は神に仕える者である」という認識が加わることで、見え方が少し変わってくる ことになる。普通なら「権力争い」には「ギラギラした者」しか関われない わけだが、本作では「無欲な者が否応なしに『権力争い』に巻き込まれる」という状況が自然と設定されている というわけだ。
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これによって物語は一層複雑になっていく 。ただの「権力争い」なら、策略を駆使してどうにか状況を変えられるかもしれない 。しかしコンクラーベにおいては、「『神に仕える者』としての正しい振る舞い」みたいな行動原理も組み込まれる ことになる。そういう状況を策略だけでどうにか動かしていくのはなかなか難しい だろう。こんな風に「権力争いっぽくない要素」が「権力争い」の中に自然と組み込まれていくことで、物語が非常に面白くなっている というわけだ。そういう意味で、「『権力争い』としてコンクラーベを描く」という本作の設定は、実に絶妙だった なと思う。
そして本作においてはやはり、主人公のローレンスの存在が際立って興味深い と言っていいだろう。既に触れている通り、彼は「コンクラーベの仕切り人」でありながら、同時に「教皇選挙の被選挙人」でもある 。そして、この特殊な立ち位置が彼を複雑な状況に追い詰める のだ。
この点について、具体例を排して説明してみたい と思う。例えば、被選挙人である枢機卿が何らかの「不正」を働いていたことが明らかになったとしよう 。ローレンスは「神に仕える者」としての自覚を強く持つ真面目な人物 なので、シンプルに「不正を働くような不適格な人物が教皇に選ばれるべきではない」と考える 。しかし、だからと言ってその枢機卿をさっさと排除すればいいという話にはならない 。というのも、「ローレンス自身も被選挙人だから 」だ。つまり、「有力候補である枢機卿を排除すること」は、「ローレンスが票を集めること」に有利に働き得る のである。
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観客はきっと、「ローレンスは教皇になりたいなんて思っていないし、だから被選挙人としての適格判断も客観的に行うだろう」という理解で本作を観るはず だが、他の枢機卿視点ではそうではないだろう。ローレンスの内心など知る由もないのだから、「ローレンスもまた、虎視眈々と教皇の椅子を狙っている」という風に見ているはず だ。そういう中で「不正があったから排除します」などと言えばどう受け取られるか 。ローレンスはまず、こういうややこしさに苛まれる のである。
主人公ローレンスが直面する様々な問題とそれらに対する葛藤
さらにローレンスには別種の葛藤もあったはず だと思う。それは「自分だけで被選挙人の適格判断をしていいのだろうか? 」である。
本作の物語の大半はコンクラーベが始まって以降のもの であり、つまり隔離されているローレンス以外の枢機卿は基本的に、外部とのやり取りが一切出来ない 。首席枢機卿であり、コンクラーベを取り仕切っているローレンスだけが唯一外部と接触出来る というわけだ。
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そのため当然、何か事態が起こった際の一報はローレンスへともたらされる 。普段であれば恐らく、様々な事態への対処は他の枢機卿と相談しながら決めていくはず だ。しかし、選挙に影響を与えるかもしれない情報は簡単には開示出来ない (そのため、広場での爆破事件についても他の枢機卿には伏せられたままだった)。さらに、「選挙に影響を与えるとしても報告すべき」だと判断される情報なのだとしても、100%の確証を得ない限り他の枢機卿には伝えられない のだ。
そしてコンクラーベ中にもたらされる情報のほとんどが「被選挙人に関係する真偽不明な過去についてのもの」 であり、つまりローレンスは「それらの情報をたった1人で精査し、『その被選挙人が教皇として適格か否か』を判断しなければならない」という状況に置かれていた のである。これはシンプルに、荷が重すぎる と言っていいだろう。
しかし決してそれだけではない 。繰り返しになるが、ローレンスには「神に仕える者」としての意識 が強くあり、それ故に「裁きを行うのは神であるべきだ」という感覚を持っている ようにも見える。通常であればそのような態度でも問題ない のだろうが、コンクラーベ中はそうはいかない 。ローレンス自身がある種「神」のように振る舞って裁きを与えなければならなかった わけで、そんな状況もまた、ローレンスには苦痛に感じられていた のではないかと思う。
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そしてローレンスは、さらに困難な立場に置かれる ことになる。これは後半の展開に関わってくるので具体的には書かないが、「テデスコの選出を阻止するために苦渋の決断を迫られる」という状況に陥ってしまう のだ。外部からもたらされる様々な情報によって投票の結果は毎回大きく変動する わけだが、その結果「このままではテデスコが選ばれる」という情勢 になってしまう。そしてそのせいでなんと、ローレンス自身が思いがけない状況に置かれてしまう のである。
そんなわけで、ローレンスは本当に忙しない 。「コンクラーベをつつがなく運営する」という責務 を負いながら、「テデスコを阻止する」という仲間内の対策 にも関わり、さらに「神への信仰」や「故教皇への信頼」など様々な感情を踏まえつつ自らの進退についても考えなければならない わけで、気が休まる時がない という感じなのだ。
そしてそんな紆余曲折を経て、ついに教皇が決まる 。この「誰が教皇になるのか?」という展開も実に興味深かった のだが、さらにその後の展開がとにかく見事だった のだ。本作のようなある程度の着地点が見えている物語(本作の場合は「教皇の選出」)の場合、「物語として全体をどう閉じるのか?」という関心を持って作品を鑑賞することになる と思うし、だからラストの展開に対するハードルもちょっと高くなる ように思う。しかし本作では、「そんな展開になるのか!」という着地を見せるので、結構高くなっていたハードルをあっさり飛び越えるようなインパクトがあった なという感じだった。実に素晴らしかった なと思う。
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「教会」や「信仰」に対するメッセージ性が含まれている点も興味深い
このように本作『教皇選挙』は「『権力争い』を魅力的に描いた物語 」であり、エンタメとしてシンプルに面白い作品 だ。そしてその上で、社会派的なメッセージが含まれている点も興味深い と思う。それは作中の様々な描写から滲み出る のだが、最も分かりやすい場面を取り上げるなら、ローレンスの演説 だろう。最初の投票前にコンクラーベの開会を宣言するかのように行った演説の内容が、まさに本作全体が伝えようとしているメッセージを凝縮したものであるように感じられた のだ。
それはざっくりと次のような内容だった と思う。
教会を、一個人や一派が支配するようなことがあってはいけない。今の時代は、多様性こそが教会に力を与えるのだ。 最近私には、強く恐れるようになった罪がある。それが「確信」だ。確信は寛容にとっての大敵であり、私はそれを強く罪だと感じるようになってきた。 信仰とは生き物です。そして信仰は、疑念と共にあるべきだと思う。確信だけを抱き疑念を持たないとしたら、信仰など消えてしまうでしょう。 だから今求められているのは、疑念を抱く教皇だ。
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本当はもう少し長い のだが、劇場でのメモ(私はメモを取りながら映画を観ている)が追いつかずに要点だけを捉えた引用 になっている。この演説には間違いなく、「相対主義」をはっきりと否定する立場を取るテデスコを牽制する意図が含まれている と言えるだろう。演説の後でローレンスは「今の演説が波紋を呼んでいます」と報告を受ける のだが、恐らく狙い通りだったんじゃないか と思う。さらにこの「多様性」の話は、ローレンスが教会に対して疑念を抱くきっかけでもあった ように思うし、それ故に彼は枢機卿を辞めてローマを離れようとしている のだと私には感じられた。
さらに、ラスト付近の話なので状況を具体的に示しはしないが、ある人物が口にする「教会とは前進するものです」という言葉もとても良かった なと思う。
教会のような歴史ある存在ならなおさらだと思うが、多くの状況で「伝統」という言葉によって現状を覆い、「変化しないこと」を正当化しようとする力が働き得る 。もちろんそれが、「歌舞伎」のような芸能や「祭り」のような娯楽であれば別にいい だろう(歌舞伎や祭りが進化していない、という話ではない)。しかし「信仰」となるとやはり違ってくる んじゃないだろうか。私は宗教に親和性がない ので分からないが、「信仰」というのはやはり「生活・日常」に関わってくるものであり、だからこそ「人々や時代の変化」に並走しなければならない部分も出てくる はずだ。特に、「人々が抱え得る痛み・苦労」は時代と共に大きく変わっていくのだから、その受け皿となり得る「信仰」や「教会」も変化に躊躇している場合ではない と思う。
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本作でこの「教会とは前進するものです」というセリフが出てくるのは、ある衝撃的な出来事が起こってから である。そして、その出来事が起こったことによってより響きやすくなった とも言えるだろう。その出来事はとても「現代的」というか、「私たちが生きている世の中の雰囲気を反映したもの」 であり、その出来事を通じて「あまりにも古臭い世界」と「現代の世相」が繋がったような感じになるのも興味深いポイント だと思う。
ただ本作では、「時代の変化 」もちゃんと描かれていた。例えば、コンクラーベ自体はシスティーナ礼拝堂で行われるが、枢機卿が宿泊するのは(恐らく)システィーナ礼拝堂と直結する形で作られているホテル である。電子キーで扉が開くような現代的なホテル だ。またシスティーナ礼拝堂についても、「窓を振動させることで情報を内外に伝える」みたいな盗聴を阻止するため だろう、電波シールド云々みたいな対策 についても話し合われていた。これらは、否応無しに時代の変化に対応せざるを得なかった部分 と言えるだろう。
さらに「煙発生装置 」も興味深い。コンクラーベでは昔から、教皇の選出結果を煙突から出る煙で外部に知らせていた 。黒い煙なら未決 、白い煙なら教皇の選出 というわけだ。また作中では、「投票が終わると、全員の投票用紙に火をつけて燃やす」というシーン が出てくるので、恐らく大昔は、投票用紙を燃やした際の煙で選挙の結果を伝えていたんじゃないか と思う(どのようにして煙の白黒を切り替えていたのかは分からないが)。
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ただ現代では、投票用紙は確かに燃やすのだが、その後「煙発生装置」みたいなスイッチを押す シーンが映し出されていた。恐らくだが、「煙をそのまま放出するのは環境に悪い」みたいな理由 から、「投票用紙を燃やす(その煙は環境に配慮して処理される)」という伝統と「選挙結果を伝える煙を出す(環境に配慮した煙が放出される)」という手続きを切り分けた のだろう。このように、「伝統」と「テクノロジー」が融合された描写 がいくつかあって、それも面白かったなと思う。
そんなわけで、全体的にとても満足出来る非常に面白い作品 だった。
監督:エドワード・ベルガー, Writer:ピーター・ストローハン, 出演:レイフ・ファインズ, 出演:スタンリー・トゥッチ, 出演:ジョン・リスゴー, 出演:イザベラ・ロッセリーニ
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最後に
私は映画を観る際、普段は映像や音楽にあまり意識が向かない 。しかし本作では、システィーナ礼拝堂(で実際に撮影しているのかは知らないが)の壮大・荘厳なビジュアルは圧倒的だった し、さらに作中で流れる音楽も結構印象的 で、そういう部分にも惹きつけられた。いやホント、凄い世界が存在するものだ なと思う。
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ノルウェーの警察が、自国在住のユダヤ人をまとめて船に乗せアウシュビッツへと送った衝撃の実話を元にした映画『ホロコーストの罪人』では、「自分はそんな愚かではない」と楽観してはいられない現実が映し出される。このような悲劇は、現在に至るまで幾度も起こっているのだ
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【壮絶】アウシュヴィッツで”人体実験の神メンゲレ”から生き残り、ホロコーストから生還した男の人生:…
映画『メンゲレと私』は、タイトルと内容がそぐわないものの、とても興味深い作品だった。44ヶ月間の収容所生活を生き延び、ホロコーストから生還したダニエル・ハノッホが、少年とは思えない「思考力」を武器に、最低最悪な状況を生き延びた経験をカメラの前で語る。あまりにも壮絶な、信じがたい現実である
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【悲哀】2度の東京オリンピックに翻弄された都営アパートから「公共の利益」と「個人の権利」を考える:…
1964年の東京オリンピックを機に建設された「都営霞ケ丘アパート」は、東京オリンピック2020を理由に解体が決まり、長年住み続けた高齢の住民に退去が告げられた。「公共の利益」と「個人の権利」の狭間で翻弄される人々の姿を淡々と映し出し、静かに「社会の在り方」を問う映画
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【凄絶】北朝鮮の”真実”を描くアニメ映画。強制収容所から決死の脱出を試みた者が語る驚愕の実態:『ト…
在日コリアン4世の監督が、北朝鮮脱北者への取材を元に作り上げた壮絶なアニメ映画『トゥルーノース』は、私たちがあまりに恐ろしい世界と地続きに生きていることを思い知らせてくれる。最低最悪の絶望を前に、人間はどれだけ悪虐になれてしまうのか、そしていかに優しさを発揮できるのか。
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【弾圧】香港デモの象徴的存在デニス・ホーの奮闘の歴史。注目の女性活動家は周庭だけじゃない:映画『…
日本で香港民主化運動が報じられる際は周庭さんが取り上げられることが多いが、香港には彼女よりも前に民主化運動の象徴的存在として認められた人物がいる。映画『デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング』の主人公であるスター歌手の激動の人生を知る
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【民主主義】占領下の沖縄での衝撃の実話「サンマ裁判」で、魚売りのおばぁの訴えがアメリカをひっかき…
戦後の沖縄で、魚売りのおばぁが起こした「サンマ裁判」は、様々な人が絡む大きな流れを生み出し、最終的に沖縄返還のきっかけともなった。そんな「サンマ裁判」を描く映画『サンマデモクラシー』から、民主主義のあり方と、今も沖縄に残り続ける問題について考える
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【残念】日本の「難民受け入れ」の現実に衝撃。こんな「恥ずべき国」に生きているのだと絶望させられる…
日本の「難民認定率」が他の先進国と比べて異常に低いことは知っていた。しかし、日本の「難民」を取り巻く実状がこれほど酷いものだとはまったく知らなかった。日本で育った2人のクルド人難民に焦点を当てる映画『東京クルド』から、日本に住む「難民」の現実を知る
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【実話】権力の濫用を監視するマスコミが「教会の暗部」を暴く映画『スポットライト』が現代社会を斬る
地方紙である「ボストン・グローブ紙」は、数多くの神父が長年に渡り子どもに対して性的虐待を行い、その事実を教会全体で隠蔽していたという衝撃の事実を明らかにした。彼らの奮闘の実話を映画化した『スポットライト』から、「権力の監視」の重要性を改めて理解する
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【不正義】正しく行使されない権力こそ真の”悪”である。我々はその現実にどう立ち向かうべきだろうか:…
権力を持つ者のタガが外れてしまえば、市民は為す術がない。そんな状況に置かれた時、私たちにはどんな選択肢があるだろうか?白人警官が黒人を脅して殺害した、50年前の実際の事件をモチーフにした映画『デトロイト』から、「権力による不正義」の恐ろしさを知る
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【驚愕】正義は、人間の尊厳を奪わずに貫かれるべきだ。独裁政権を打倒した韓国の民衆の奮闘を描く映画…
たった30年前の韓国で、これほど恐ろしい出来事が起こっていたとは。「正義の実現」のために苛烈な「スパイ狩り」を行う秘密警察の横暴をきっかけに民主化運動が激化し、独裁政権が打倒された史実を描く『1987、ある闘いの真実』から、「正義」について考える
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【異様】ジャーナリズムの役割って何だ?日本ではまだきちんと機能しているか?報道機関自らが問う映画…
ドキュメンタリーで定評のある東海テレビが、「東海テレビ」を被写体として撮ったドキュメンタリー映画『さよならテレビ』は、「メディアはどうあるべきか?」を問いかける。2011年の信じがたいミスを遠景にしつつ、メディア内部から「メディアの存在意義」を投げかける
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【勇敢】”報道”は被害者を生む。私たちも同罪だ。”批判”による”正義の実現”は正義だろうか?:『リチャ…
「爆弾事件の被害を最小限に食い止めた英雄」が、メディアの勇み足のせいで「爆弾事件の犯人」と報じられてしまった実話を元にした映画『リチャード・ジュエル』から、「他人を公然と批判する行為」の是非と、「再発防止という名の正義」のあり方について考える
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【権利】衝撃のドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』は、「異質さを排除する社会」と「生きる権利」を問う
「ヤクザ」が排除された現在でも、「ヤクザが担ってきた機能」が不要になるわけじゃない。ではそれを、公権力が代替するのだろうか?実際の組事務所(東組清勇会)にカメラを持ち込むドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』が映し出す川口和秀・松山尚人・河野裕之の姿から、「基本的人権」のあり方について考えさせられた
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【真実?】佐村河内守のゴーストライター騒動に森達也が斬り込んだ『FAKE』は我々に何を問うか?
一時期メディアを騒がせた、佐村河内守の「ゴースト問題」に、森達也が斬り込む。「耳は聴こえないのか?」「作曲はできるのか?」という疑惑を様々な角度から追及しつつ、森達也らしく「事実とは何か?」を問いかける『FAKE』から、「事実の捉え方」について考える
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【告発】アメリカに”監視”される社会を暴露したスノーデンの苦悩と決断を映し出す映画:『スノーデン』…
NSA(アメリカ国家安全保障局)の最高機密にまでアクセスできたエドワード・スノーデンは、その機密情報を持ち出し内部告発を行った。「アメリカは世界中の通信を傍受している」と。『シチズンフォー』と『スノーデン』の2作品から、彼の告発内容とその葛藤を知る
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『スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか』では、自分が生徒に対して「権力」を持っているとは想像していなかったという教師が登場する。そしてこの「無自覚」は、学校以外の場でも起こりうる。特に男性は、読んで自分の振る舞いを見直すべきだ
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【絶望】「人生上手くいかない」と感じる時、彼を思い出してほしい。壮絶な過去を背負って生きる彼を:…
「北九州連続監禁殺人事件」という、マスコミも報道規制するほどの残虐事件。その「主犯の息子」として生きざるを得なかった男の壮絶な人生。「ザ・ノンフィクション」のプロデューサーが『人殺しの息子と呼ばれて』で改めて取り上げた「真摯な男」の生き様と覚悟
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社会的弱者が闘争の末に権利を勝ち取ってきた歴史を知った上で私は、闘わずとも権利が認められるべきだと思っている。そして、そういう社会でない以上、「正義のためにルールを破るしかない」状況もある。映画『パブリック』から、ルールと正義のバランスを考える
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【意外】東京裁判の真実を記録した映画。敗戦国での裁判が実に”フェア”に行われたことに驚いた:『東京…
歴史に詳しくない私は、「東京裁判では、戦勝国が理不尽な裁きを行ったのだろう」という漠然としたイメージを抱いていた。しかし、その印象はまったくの誤りだった。映画『東京裁判 4Kリマスター版』から東京裁判が、いかに公正に行われたのかを知る
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【勇敢】後悔しない生き方のために”間違い”を犯せるか?法に背いてでも正義を貫いた女性の生き様:映画…
国の諜報機関の職員でありながら、「イラク戦争を正当化する」という巨大な策略を知り、守秘義務違反をおかしてまで真実を明らかにしようとした実在の女性を描く映画『オフィシャル・シークレット』から、「法を守る」こと以上に重要な生き方の指針を学ぶ
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「ルールは守らなければならない」というのは大前提だが、常に例外は存在する。どれほど重度の自閉症患者でも断らない無許可の施設で、情熱を持って問題に対処する主人公を描く映画『スペシャルズ!』から、「ルールのあるべき姿」を考える
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【驚愕】「金正男の殺人犯」は”あなた”だったかも。「人気者になりたい女性」が陥った巧妙な罠:映画『…
金正男が暗殺された事件は、世界中で驚きをもって報じられた。その実行犯である2人の女性は、「有名にならないか?」と声を掛けられて暗殺者に仕立て上げられてしまった普通の人だ。映画『わたしは金正男を殺していない』から、危険と隣り合わせの現状を知る
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【天才】『三島由紀夫vs東大全共闘』後に「伝説の討論」と呼ばれる天才のバトルを記録した驚異の映像
1969年5月13日、三島由紀夫と1000人の東大全共闘の討論が行われた。TBSだけが撮影していたフィルムを元に構成された映画「三島由紀夫vs東大全共闘」は、知的興奮に満ち溢れている。切腹の一年半前の討論から、三島由紀夫が考えていたことと、そのスタンスを学ぶ
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【デマ】情報を”選ぶ”時代に、メディアの情報の”正しさ”はどのように判断されるのか?:『ニューヨーク…
一昔前、我々は「正しい情報を欲していた」はずだ。しかしいつの間にか世の中は変わった。「欲しい情報を正しいと思う」ようになったのだ。この激変は、トランプ元大統領の台頭で一層明確になった。『ニューヨーク・タイムズを守った男』から、情報の受け取り方を問う
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【勇敢】日本を救った吉田昌郎と、福島第一原発事故に死を賭して立ち向かった者たちの極限を知る:『死…
日本は、死を覚悟して福島第一原発に残った「Fukushima50」に救われた。東京を含めた東日本が壊滅してもおかしくなかった大災害において、現場の人間が何を考えどう行動したのかを、『死の淵を見た男』をベースに書く。全日本人必読の書
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【不満】この閉塞感は打破すべきか?自由意志が駆逐された社会と、不幸になる自由について:『巡査長 真…
自由に選択し、自由に行動し、自由に生きているつもりでも、現代社会においては既に「自由意志」は失われてしまっている。しかし、そんな世の中を生きることは果たして不幸だろうか?異色警察小説『巡査長 真行寺弘道』をベースに「不幸になる自由」について語る
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【驚愕】日本の司法は終わってる。「中世レベル」で「無罪判決が多いと出世に不利」な腐った現実:『裁…
三権分立の一翼を担う裁判所のことを、私たちはよく知らない。元エリート裁判官・瀬木比呂志と事件記者・清水潔の対談本『裁判所の正体』をベースに、「裁判所による統制」と「権力との癒着」について書く。「中世レベル」とさえ言われる日本の司法制度の現実は、「裁判になんか関わることない」という人も無視できないはずだ
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