目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
「PERFECT DAYS」公式HP
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
今どこで観れるのか?
公式HPの劇場情報を御覧ください
この記事の3つの要点
- 最初から最後までほぼ何も起こらない淡々とした物語にも拘らず、ずっと観ていられると感じる映画だった
- 役所広司でなければ成り立たなかっただろうと思わせる、「平山そのもの」を体現する見事な演技
- 平山の「沈黙」が、ままならない日常を生きる者たちにとってのある種の「癒やし」になっていく様が映し出される
「渋谷区のトイレをPRする」というプロジェクトがカンヌ国際映画祭まで辿り着いたという背景も含めて凄まじい作品だった
自己紹介記事
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どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
役所広司の演技が圧巻のカンヌ映画『PERFECT DAYS』は、「沈黙」が雄弁に語る様にとても惹き付けられる作品だ
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しかし正直なところ、本作『PERFECT DAYS』の何が良かったのかは、上手く捉えきれていない。映画の冒頭からラストまで「何も起こらない」と言っても決して言い過ぎではない作品だからだ。「初老に差し掛かった1人の男性が、渋谷区のトイレ掃除をしながら淡々と日々を過ごしていくだけの物語」でしかないのである。
しかし、これが実に良かった。心に染み入るような、とても豊かな物語なのである。何が起こるわけでもないのに、飽きずに最後まで観れてしまった。3時間で4時間でもずっと観ていられると感じたほどだ。
何よりもまず、役所広司が素晴らしかった
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何も起こらないのに惹き付けられてしまった最大の要因は、やはり主演を務めた役所広司にあるだろう。主人公の平山を演じたのが別の役者だったら、また違った印象になっていただろうと思う。
本作を観る前に、監督のヴィム・ヴェンダースが役所広司を次のように評したと取り上げるテレビ番組をたまたま目にした。
役者なら誰でも、平山を演じられたかもしれない。
しかし役所広司は、平山そのものだった。
映画を観終えて、この言葉ほどしっくりくるものはないと感じた。まさに役所広司は「平山そのもの」だったと思う。そして、理屈は上手く説明できないものの、やはり本作は役所広司でなければ成立しないように感じられた。
しかし、「役所広司の何が良かったのか」もまた難しい問題だ。上手く説明できる気がしない。ただ、まず言えることは、「トイレの清掃員に見える」という点が1つとても大きな要素だろうとは思う。
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本作には三浦友和も出演しているのだが、仮に三浦友和が平山を演じたとして、「トイレの清掃員」に見えるかというと、ちょっと難しい気がする。何がどう違うのか説明するのは難しいが、なんとなく分かってもらえるのではないだろうか。「ドラマや映画で主演を張るような役者」であればあるほど、「トイレの清掃員」にはなかなか見えないように思う。
また、平山はスカイツリー周辺、恐らく墨田区に住んでいるはずだし、銭湯や飲み屋などは、自転車で川を渡って浅草周辺で済ませている。つまり、生活圏がメチャクチャ下町なのだ。そして役所広司は、そういう下町の感じにも違和感なく馴染んでいると思う。仕事にしても生活にしても、「こういう人、実際にいそうだなぁ」と感じさせる雰囲気があり、それがそのまま「平山の実在感」に直結していると言っていいだろう。
そしてだからこそ、ほぼ口を開かない平山が主人公なのに、物語が「成立」しているのだ。
ほとんど喋らない平山が、物語を成り立たせている
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平山の「喋らない」という要素は、本作においては実はかなり重要だと言っていいだろう。
この点はまず、「平山は何故トイレ掃除の仕事をしているのか」という部分への説得力になっていると言える。ほとんど具体的には描かれないのではっきりとは分からないのだが、物語の途中で、「どうやら平山は、本人がそう望めば悠々自適の生活を送れる」という状況にいるらしいことが分かる。ただ、平山はその生活を捨てたようだ。何があったのかは分からない。しかし、平山は恐らく、「他人とほとんど関わらなくてもいい」という点に魅力を感じてトイレ掃除の仕事をしているはずなので、コミュニケーションで何か問題が生じた過去があったのだろうと想像できる。
また、「喋らないこと」が逆に人を惹きつける要素にもなっていると言えるだろう。
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その点をある意味で対比的に際立たせるために配されているのが、平山の後輩・タカシではないかと思う。仕事をサボリ気味のお調子者で、とにかくよく喋る男である。しかし、思いを寄せている人にはなかなか振り向いてはもらえない。もちろん、「喋りすぎ」だけが原因ではないが、少なくとも本作中においては、「喋ることで人が離れていく」みたいな象徴的存在として描かれているように思う。
一方平山は、質問にさえ答えないレベルで他人と会話をしないのだが、にも拘らず平山には色んな人が惹き付けられていく。音楽テープのやり取りをするアヤ、思いがけない関わりとなったニコ、平山が通う居酒屋のママなどが、無口な平山に近づいてくる。恐らく彼女たちは、平山の沈黙に「心地よさ」を感じるのではないかと思う。沈黙にも、緊張感を与えるものとそうでないものがあるが、平山のそれは後者と言えるだろう。
平山は「喋らないこと」でコミュニケーションを取っているのであり、彼に惹き付けられる者たちもそのことを理解しているからこそ、その関係性が成り立つというわけだ。
ニコにとって平山は、ある種の「逃げ場」でもある
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特にニコは、平山をとても重要な存在だと認識しただろうと思う。
ニコについてもその背景はほとんど描かれないため、具体的なことはよく分からない。しかし間違いなく彼女は、自身が置かれた境遇に「強い馴染めなさ」を抱いているはずである。だからちょっと逃げ出し、「あの人なら分かってくれるかもしれない」と考えて平山の元を訪れたのだと思う。
そしてニコは、平山の存在や生き方に穏やかさを感じたことだろう。もちろんそれは、単なる錯覚の可能性もある。自分の境遇とは何もかも違うから新鮮に映っただけで、平山のような生活がニコに穏やかさをもたらすのかは疑問だ。もちろん私も、ニコに平山のような生活を勧めようとは思わない。
ただ、若い頃に色んな大人の存在を知るのはとても良いことだとも考えている。恐らくだが、ニコの周りには平山のような人間はいないだろう。となると、彼女がもし平山の元へ”逃げて”来なければ、「平山のような生き方もある」という事実をずっと知らないままだったはずだ。
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あるいは、それは人との出会いに限るものではない。ニコは、平山の部屋にあった短編集のある一編に強く共感していた。正確には覚えていないのだが、確かパトリシア・ハイスミス『11の物語』の中の「すっぽん」という短編だと思う。この本もまた、ニコの生活圏では出会えなかったものだろう。平山が足繁く古本屋に通い、古典や名作を買っては日々読んでいるからこそニコの目に留まったのだ。ネットでざっくり「すっぽん」の内容を調べてみたが、その内容は確かにニコと重なり得るものだと感じた。こういう出会いもまた、ニコにとっては僥倖だったと言っていいだろう。
著:パトリシア ハイスミス, 翻訳:小倉 多加志
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人間は誰しも、何らかの「枠」に囚われたまま生きている。そして問題なのは、「『囚われている』という感覚を持つのが難しい」ということだ。ただ漫然と日々を過ごしているだけでは、自分が何らかの枠に囚われていることも、それがどんな枠なのかも、まったく分からない。
しかし、何かの拍子にぽーんと、その「枠」の外側に出られることがある。そしてその瞬間に初めて、「そうか、自分は囚われていたのか」と気づけるのだ。ニコにとって平山との出会いはまさにそのようなものだったはずである。そして同じように、アヤにとっても、そして平山が昼食を食べる時にいつも隣のベンチに座っているOLにとっても、そのような出会いだっただろうと思う。
そして私は、そんな存在になりたいといつも考えている。つまり、「私と関わることで『枠の外に出られた』と実感出来るような存在」ということだ。意識してはいるが、正直なかなか難しい。私にとって平山は、そういう意味でもある種理想的な存在なのだ。
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平山がそんな存在でいられる理由ははっきりしている。「喋らない」だけではなく、あらゆる意味で「世間」と接触しないのだ。ガラケーこそ持ってはいるがスマホは所有しておらず、家にはパソコンもテレビも無い。写真を撮る際はフィルムカメラを使い、車で聞く音楽はカセットテープ、そして家ではずっと本を読んでいる。ニコの口から出た「Spotify」を「音楽メディアを販売するショップの名前」と勘違いしたほど、世間と接触する機会がないのだ。
世間には、「私たちを『一定の枠の中』に押し留めようとする言説」が蔓延っている。流行や危険などを煽ることで、何かを買わせようとしたり、皆に同じ行動をさせようとしたりするのだ。しかし、世間と関わらない平山は、そのような「言説」と触れる機会がない。だからこそ、「平山と”喋る”」という体験は、ある種の「デトックス」的な効果をもたらすのだと思う。まあ、平山は黙っているだけなので「喋る」と表現するのは正しくないかもしれないが。
平山やホームレスの男性がちゃんと生きていける世の中であることが望ましい
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本作にはホームレスの男性が登場する。初めは分からなかったが、しばらくして「田中泯」だと気づいた。非常に有名な「踊りの人」である。
このホームレス男性についても特段掘り下げられることはないのだが、全体の雰囲気からすれば、「平山は彼に親近感を抱いている」という風に捉えられるだろう。そしてその親近感はある意味で、「『枠の外』にはみ出した者同士の連帯感」みたいなものではないかと思う。その印象は、ホームレス男性を演じている「田中泯」からも滲み出るものであり、配役が非常に絶妙だなと感じた。
予告でも使われていると思うが、平山が次のようなことを口にするシーンがある。
この世界は、色んなところで繋がっているようで、実は繋がっていない世界もあるんだ。
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その通りだなと思う。そして、平山にこう言わせているということは、「世間の人は、この事実を理解していない」というメッセージが込められていると考えていいはずだ。私の印象でも、世の中の多くの人は、「この事実に単に気づいていない」か、あるいは「『繋がっていない世界のことは攻撃しても良い』と考えている」のどちらかではないかと私は思う。
「気づいていないだけ」であれば大した問題ではないが、「『繋がっていない世界は攻撃してもいい』と考えている」となると話は変わってくる。大いに問題だ。平山やホームレス男性の日常は、「世間一般」とは繋がっていない。平山の場合は、ギリギリ「トイレ掃除」という接点が存在するが、ホームレス男性の場合はそれさえもないのだ。完全に隔絶していると言っていいだろう。
そして私には、多くの人がそういう「隔絶された人」を非難しても良いと考えているように感じられる。私にはなかなか理解しにくいのだが、子どもが昆虫の脚を引き抜いたりするみたいなものだろうか。「別の種」だと思っているからこそ発揮できる残虐性みたいなものを強く抱かされることが多い。
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平山もホームレスの男性も、別にそのままのあり方で世界に存在していいはずだ。「繋がらないこと」を最上に考えて、努力の末にたどり着いた生活なのだから、邪魔されず穏やかに過ごしてほしいと思う。何よりも私は、「彼らのような存在が当たり前のように許容される世の中」こそ「豊か」だと言えるのではないかと割と本気で考えているのである。
平山もホームレスの男性も、そのままでいいのである。
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とにかく、とても素敵な作品だった。鑑賞後に知ったことだが、本作は元々、渋谷区による「公共トイレをPRする動画を制作する」という企画から始まったのだそうだ。そんな作品が、カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を獲ってしまったのである。そういう背景的な知識も含めて、ちょっと凄まじい作品だなと思う。
実に素晴らしい作品だった。
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