目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:阿部サダヲ, 出演:岡田健史, 出演:岩田剛典, 出演:宮﨑優, 出演:鈴木卓爾, Writer:高田亮, 監督:白石和彌
¥2,500 (2022/12/15 20:42時点 | Amazon調べ)
ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていくようだよ
この記事で伝えたいこと
「生きていくのに必要なもの」が「殺人」であるような人生を想像してみる
もちろん、法を犯したのなら罪を償わなければならないことは大前提だ
この記事の3つの要点
- 私たちはたまたま、「『生きてる実感』を得るための行為」が「社会通念を逸脱するようなもの」ではなかったに過ぎない
- 「優しさ」と「異常さ」を両立させる榛村大和の「狂気」を、阿部サダヲが天才的に演じ切る
- 主人公である雅也の、ある場面以降の「変化」に共感できる人はどのくらいいるのだろう?
とにかく、阿部サダヲの演技に凄まじい衝撃を受けた。彼の演技が成立させていると言っていい作品
自己紹介記事
あわせて読みたい
ルシルナの入り口的記事をまとめました(プロフィールやオススメの記事)
当ブログ「ルシルナ」では、本と映画の感想を書いています。そしてこの記事では、「管理者・犀川後藤のプロフィール」や「オススメの本・映画のまとめ記事」、あるいは「オススメ記事の紹介」などについてまとめました。ブログ内を周遊する参考にして下さい。
あわせて読みたい
【全作品読了・視聴済】私が「読んできた本」「観てきた映画」を色んな切り口で分類しました
この記事では、「今まで私が『読んできた本』『観てきた映画』を様々に分類した記事」を一覧にしてまとめました。私が面白いと感じた作品だけをリストアップしていますので、是非本・映画選びの参考にして下さい。
どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
「『生きていくのに必要なもの』は人によって違う」という事実をどう社会に組み込むべきか。映画『死刑にいたる病』を観て改めて考えさせられた
映画『死刑にいたる病』の感想は基本的に、「連続殺人鬼・榛村大和のサイコパスっぷりに衝撃を受けた」みたいな感じであるべきだろうなぁ思います。榛村大和というのはこの映画の主人公であり、判明しているだけでも24名もの高校生を残虐に殺害した人物です。逮捕され、裁判に掛けられますが、まったく反省した様子を見せないまま死刑判決が下りました。そんな「異常者」に恐怖するのが“正解”でしょう。
あわせて読みたい
【あらすじ】死刑囚を救い出す実話を基にした映画『黒い司法』が指摘する、死刑制度の問題と黒人差別の現実
アメリカで死刑囚の支援を行う団体を立ち上げた若者の実話を基にした映画『黒い司法 0%からの奇跡』は、「死刑制度」の存在価値について考えさせる。上映後のトークイベントで、アメリカにおける「死刑制度」と「黒人差別」の結びつきを知り、一層驚かされた
あんまり他人の感想とか読まないけど、大体そういう感想に落ち着くんだろうなぁって思う
榛村大和、なかなか強烈でぶっ飛んだキャラクターだからねぇ
しかし私は、どうしてもそういう感覚にはなりませんでした。それは決して、「榛村大和という人物に共感できてしまった」みたいな話ではありません。もちろん、犯罪行為を犯したのであれば処罰されなければならないし、何の罪もない者を無慈悲に殺害し続ける異常者は、残念ながら社会から退場してもらう必要があります。映画のそういう展開に対して違和感を覚えたみたいなことでもありません。
私がこの映画を観ながら考えていたのは、「生きていくのに必要なもの」のことです。コロナ禍になって以降、私はそれまで以上にこの点について頭を巡らせるようになりました。
好きっていうか、世の中の「マジョリティ」の人たちには伝わりにくい感覚のはずだから、繰り返し説明してるだけ
ただその話は、この記事では詳しく触れません。以下にリンクを貼った、『Ribbon』『ぼくのエリ』『人と仕事』の記事で詳しく書いているので、是非そちらを読んでみてください。
あわせて読みたい
【評価】のん(能年玲奈)の映画『Ribbon』が描く、コロナ禍において「生きる糧」が芸術であることの葛藤
のん(能年玲奈)脚本・監督・主演の映画『Ribbon』。とても好きな作品だった。単に女優・のんが素晴らしいというだけではなく、コロナ禍によって炙り出された「生きていくのに必要なもの」の違いに焦点を当て、「魂を生き延びさせる行為」が制約される現実を切り取る感じが見事
あわせて読みたい
【純愛】映画『ぼくのエリ』の衝撃。「生き延びるために必要なもの」を貪欲に求める狂気と悲哀、そして恋
名作と名高い映画『ぼくのエリ』は、「生き延びるために必要なもの」が「他者を滅ぼしてしまうこと」であるという絶望を抱えながら、それでも生きることを選ぶ者たちの葛藤が描かれる。「純愛」と呼んでいいのか悩んでしまう2人の関係性と、予想もつかない展開に、感動させられる
あわせて読みたい
【生きる】志尊淳・有村架純が聞き手の映画『人と仕事』から考える「生き延びるために必要なもの」の違い
撮影予定の映画が急遽中止になったことを受けて制作されたドキュメンタリー映画『人と仕事』は、コロナ禍でもリモートワークができない職種の人たちを取り上げ、その厳しい現状を映し出す。その過程で「生き延びるために必要なもの」の違いについて考えさせられた
要点だけざっくり書けば、「『生きていくのに必要なもの』は人によって違うのだから、その違いを社会がどう認め、どう共存していくべきか」となるでしょうか。コロナ禍では、多くの行動が「不要不急」として制約されましたが、その「不要不急」とされた行動が、人によっては「生きていくのに必要なもの」であるかもしれません。そういう想像力をもっと持つべきではないかと私は考えているのです。
もちろん大前提として、他人の権利を制約したり、生命や財産を奪ったりするような行動は許されないけどね
そしてだからこそ、「サイコパス・榛村大和」の存在がややこしくなってくる
それでは、「生きていくのに必要なもの」と絡めながら、「榛村大和」という人物について少し考えを進めていきたいと思います。
「生きていくのに必要なもの」が「殺人」である人生について考える
あわせて読みたい
【衝撃】『殺人犯はそこにいる』が実話だとは。真犯人・ルパンを野放しにした警察・司法を信じられるか?
タイトルを伏せられた覆面本「文庫X」としても話題になった『殺人犯はそこにいる』。「北関東で起こったある事件の取材」が、「私たちが生きる社会の根底を揺るがす信じがたい事実」を焙り出すことになった衝撃の展開。まさか「司法が真犯人を野放しにする」なんてことが実際に起こるとは。大げさではなく、全国民必読の1冊だと思う
榛村大和にとって「殺人」は、彼自身が生きていくのに必要不可欠なものでした。それが分かる場面があります。裁判中、「もし逮捕されていないとしたら、今でも(殺人を)続けたいと思いますか?」と聞かれた榛村大和は、次のように答えるのです。
はい。僕にとっては必要なので。
彼の中では明確に、「殺人」は「生きていくのに必要なもの」と捉えられているというわけです。
さて、この話の中心には「殺人」という到底許容できない行為が存在するので、即座に「そんなことあり得ない」という反応が引き出されるだろうと思います。しかし、同一視するなと怒られるかもしれませんが、世の中には「自身の快楽が、他者の迷惑になる行為」はたくさんあるはずです。ざっと考えてみても、「喫煙」「公共空間でのスケートボード」「観光地での食べ歩きやポイ捨て」などいろいろ挙げられるでしょう。
あわせて読みたい
【あらすじ】映画『千年女優』(今敏)はシンプルな物語を驚愕の演出で味付けした天才的アニメ作品
今敏監督の映画『千年女優』は、ちょっとびっくりするほど凄まじく面白い作品だった。観ればスッと理解できるのに言葉で説明すると難解になってしまう「テクニカルな構成」に感心させられつつ、そんな構成に下支えされた「物語の感性的な部分」がストレートに胸を打つ、シンプルながら力強い作品だ
どれも「マナーの問題」って感じで、「犯罪」とは言えないものだよね
繰り返しますが、私はもちろん、それらと「殺人」とではまったく次元が違うことは理解しています。しかし、「『殺人』ほど影響力が低いから気にしなくていい」という主張もまた正しくないように感じられるのです。榛村大和はあまりに極端ですが、「自身の快楽が、他者の迷惑になる」という意味で「榛村大和的に振る舞ってしまっている人」は結構いるのではないかとも思っています。
あわせて読みたい
【矛盾】法律の”抜け穴”を衝く驚愕の小説。「ルールを通り抜けたものは善」という発想に潜む罠:『法廷…
完璧なルールは存在し得ない。だからこそ私たちは、矛盾を内包していると理解しながらルールを遵守する必要がある。「ルールを通り抜けたものは善」という”とりあえずの最善解”で社会を回している私たちに、『法廷遊戯』は「世界を支える土台の脆さ」を突きつける
一応、私のスタンスについても触れておきましょう。私は、どんな理由があるとしても、「法を犯したのであれば処罰されるべき」だと考えています。仮に、「明らかに法律がおかしい」と感じられる状況であったとしても、その法律が民主的なプロセスに則って成立しているのであれば、その法によって裁かれることを甘受しなければならないというわけです。なので、「殺人」を犯した榛村大和は、弁明の余地なく裁きを受けるべきだと思っています。
ただ、そういう現実的な話は一旦忘れて、榛村大和を「『生きてる実感』を得るために真っ直ぐ行動している人」と捉えてみましょう。「『生きてる実感』を得るための行為」は、「SNS」「本」「映画」「ギャンブル」「恋愛」「スポーツ」「アウトドア」など人によって様々でしょうが、榛村大和もそういう人たちと同じように、「『生きてる実感』を得るために真っ直ぐ行動している人」だと考えてみるのです。
あわせて読みたい
【実話】映画『月』(石井裕也)は、障害者施設での虐待事件から「見て見ぬふりする社会」を抉る(出演…
実際に起こった障害者施設殺傷事件を基にした映画『月』(石井裕也)は、観客を作中世界に引きずり込み、「これはお前たちの物語だぞ」と刃を突きつける圧巻の作品だ。「意思疎通が不可能なら殺していい」という主張には誰もが反対するはずだが、しかしその態度は、ブーメランのように私たちに戻ってくることになる
この場合、それが「殺人」であるという事実は、あまりにも辛い現実ではないでしょうか? 例えば、「旅行」や「フェス」を生きがいにしていた人にとって、コロナ禍は相当苦しい時期だろうと思うのですが、榛村大和を「そういう苦しさの中にいる人間」と捉えてみることも出来るのではないかと私は思っているのです。
私たちはたまたま幸運なことに、「『生きてる実感』を得るための行為」が「殺人」ではありません。榛村大和という存在を知ると、それはとても素敵なことだと感じられるのではないでしょうか。私は本当に、「それ無しでは生きていけないと感じられるもの」が、社会通念に反するようなものでなくて良かったと思っています。
そして一方で、「『社会通念に反するようなもの』でしか『生きてる実感』を得られない人」がいることも、私たちは理解しておくべきでしょう。「法律に違反するからダメ」と言ったところで何の意味もありません。彼らにとってその「社会通念に反するようなもの」は、「食べることが好きな人にとっての『食べること』」「旅行することが好きな人にとっての『旅行すること』」「音楽を聞くことが好きな人にとっての『音楽を聞くこと』」なのですから。
「人を殺した」って話と、「『生きてる実感』を得るために行動した」って話は分けて考えたいなって思う
なかなかこういう話、共感してくれる人は少ないと思うけどね
あわせて読みたい
【嫌悪】映画『ドライビング・バニー』が描く、人生やり直したい主人公(母親)のウザさと絶望
映画『ドライビング・バニー』は、主人公であるバニーのことが最後まで嫌いだったにも拘わらず、全体的にはとても素敵に感じられた珍しいタイプの作品だ。私は、「バニーのような人間が世の中に存在する」という事実に嫌悪感を抱いてしまうのだが、それでも、狂気的でぶっ飛んだラストシーンによって、作品全体の印象が大きく変わったと言える
「殺人という重罪を犯した」という事実を一旦無視し、「生きていくのにどうしても必要な行為を真っ直ぐ行った」と捉えた場合、榛村大和という人物がどう見えるのか。フィクションだからこそ、そんな想像も許されるでしょう。「榛村大和のサイコパスっぷりヤベェ」と捉えるだけではなく、また違った見方をしてみるのも面白いのではないかと思います。
映画『死刑にいたる病』の内容紹介
大学生の雅也は、実家の片付けの真っ最中。一緒に片付けをする母は、何にでも「これどうしたらいい?」と雅也の意見を求めてくる。「お母さん、決められないから」が口癖だ。母は強権的な父から「家政婦」のように扱われており、母自身も、「家政婦のように振る舞っていればいいのだ」と、そのような現状を受け入れてしまっている。雅也も、父の暴力に怯えながら育ったせいで自己肯定感が低く、普段から小声でおどおどしたようにしか振る舞えない。
そんなある日、雅也の元に榛村大和から手紙が届いた。彼は24件の殺人事件で起訴され、その内の9件で死刑判決を受けている。彼の手に掛かって亡くなった者は恐らくもっといるだろう。被害者は真面目な高校生。長い時間を掛けて信頼関係を築いてから犯行に及び、殺す前に爪を剥ぐなど残虐な拷問を加えるという極悪非道ぶりだった。その「処刑部屋」から被害者の1人が逃げ出したことから事件が発覚。榛村大和は逮捕されるに至った。
あわせて読みたい
【考察】生きづらい性格は変わらないから仮面を被るしかないし、仮面を被るとリア充だと思われる:『勝…
「リア充感」が滲み出ているのに「生きづらさ」を感じてしまう人に、私はこれまでたくさん会ってきた。見た目では「生きづらさ」は伝わらない。24年間「リアル彼氏」なし、「脳内彼氏」との妄想の中に生き続ける主人公を描く映画『勝手にふるえてろ』から「こじらせ」を知る
そんな男から、雅也はなぜ手紙を受け取ることになったのか。
雅也は、榛村大和が経営していたパン屋の常連客だった。父の暴力に恐怖する日々にあって、パン屋で過ごす時間だけが唯一安らぎを感じられる瞬間だったのだ。そんな雅也のことを榛村大和は覚えていたのである。
面会室で榛村大和が語った話に、雅也は驚かされた。彼は、事実認定され、死刑判決を受けた9件の内、9件目の殺人事件だけは自分の犯行ではないと主張したのだ。その事件は、被害者の年齢が26歳と他の事件とは食い違い、殺害の方法もまったく異なっていた。彼は、「自分が死刑になるのは当然だが、自分の犯行ではない事件が自分のものとされている状況には納得がいかない」と訴え、雅也に調査を頼んだのだ。雅也は別に、彼の話を信じたわけではなかった。ただ、鬱屈した日々を払拭できる興味深い話として、調査してみることにしたが……。
あわせて読みたい
【真実?】佐村河内守のゴーストライター騒動に森達也が斬り込んだ『FAKE』は我々に何を問うか?
一時期メディアを騒がせた、佐村河内守の「ゴースト問題」に、森達也が斬り込む。「耳は聴こえないのか?」「作曲はできるのか?」という疑惑を様々な角度から追及しつつ、森達也らしく「事実とは何か?」を問いかける『FAKE』から、「事実の捉え方」について考える
映画『死刑にいたる病』の感想
映画を観ながら、「『生きていくのに必要なもの』について考えた」と冒頭で書きましたが、映画を観ながらずっと感じていたのは、「阿部サダヲがヤバい」ということです。
あんまり「ヤバい」って表現を使わないようにしてるんだけどね
この映画の阿部サダヲには「ヤバい」が適切って感じよね
とにかくこの映画は、阿部サダヲの存在感で成立していると感じました。サイコパスである榛村大和は、あらゆる場面で「常軌を逸した言動」を取ります。普通に考えればそれは、許容することなど不可能だと感じるような類のものでしょう。だからこそ、「榛村大和」という実在感をできる限り高めなければ、作品としては成立しないのです。
あわせて読みたい
【性加害】映画『SHE SAID その名を暴け』を観てくれ。#MeToo運動を生んだ報道の舞台裏(出演:キャリ…
「#MeToo」運動のきっかけとなった、ハリウッドの絶対権力者ハーヴェイ・ワインスタインを告発するニューヨーク・タイムズの記事。その取材を担った2人の女性記者の奮闘を描く映画『SHE SAID その名を暴け』は、ジャニー喜多川の性加害問題で揺れる今、絶対に観るべき映画だと思う
そしてその難題を、阿部サダヲは軽々とクリアしているように感じられました。
照明や圧迫感のある空間などの効果ももちろんあるでしょうが、拘置所のシーンではやはり、阿部サダヲの「目に光を感じさせない演技」が、「榛村大和」を「イカれてはいるが、同時に、自分たちが生きるこの日常に地続きに存在しうる人物」に見せてくれると言っていいでしょう。榛村大和は常に、「何をしでかすかわからない」という雰囲気をなみなみと湛えています。しかもそのような雰囲気を、「雅也を気遣ったり心配したりする言動」によって醸し出すのです。シンプルに、「よくそんなことが可能だな」と感じるような凄まじい演技でした。
もちろん元から上手い役者さんだと思ってたけど、こんなに凄いのかって今回改めて思ったわ
阿部サダヲ以外に、同じ雰囲気を出せる役者さんっているのかなぁ
その一方で、「回想シーン中、パン屋で働く榛村大和」は、一転、「とても優しい人物」に見えるのです。もちろん、その回想シーンが流れる時点で既に、「榛村大和は連続殺人鬼であり、サイコパスである」ということが明らかになっています。その上で、「榛村大和は好人物である」という風に見えてしまうのです。そしてその雰囲気を、阿部サダヲが物凄く絶妙に演じていると感じました。
あわせて読みたい
【実話】ポートアーサー銃乱射事件を扱う映画『ニトラム』が示す、犯罪への傾倒に抗えない人生の不条理
オーストラリアで実際に起こった銃乱射事件の犯人の生い立ちを描く映画『ニトラム/NITRAM』は、「頼むから何も起こらないでくれ」と願ってしまうほどの異様な不穏さに満ちている。「社会に順応できない人間」を社会がどう受け入れるべきかについて改めて考えさせる作品だ
阿部サダヲの演技が見事だからこそ説得力が増したと思う場面もあります。
雅也は調査の一環として、かつて榛村大和が住んでいた家に無断侵入しようとするのですが、そこで近隣住民に声を掛けられました。そして、雅也が榛村大和について調べてると知ると、その住民がこんなことを口にするのです。
ただ、もし彼が警察署から抜け出して「匿ってくれ」って言われたら、匿っちゃうかもしれねぇなぁ。俺、嫌いじゃないんだよなぁ、あの人のこと。
あわせて読みたい
【違和感】映画『コントラ』は、「よく分かんない」が「よく分かんないけど面白い」に変わる不思議な作品
ほぼ内容を知らないまま観に行った映画『コントラ』は、最後の最後まで結局何も理解できなかったが、それでもとても面白い作品だった。「後ろ向きに歩く男」が放つ違和感を主人公・ソラの存在感が中和させており、奇妙なのに可能な限り「日常感」を失わせずに展開させる構成が見事だと思う
これに対して、雅也もまた「分かります」と返すのです。これはなかなか印象的な場面だと言えるでしょう。
やむにやまれぬ理由から犯罪に走った人を擁護する、っていうならまだ分かるけどね
榛村大和の行為は、普通に考えれば擁護する余地ゼロだからなぁ
榛村大和にはこのように、関わる者を好きにさせたり、時には操ったりする力があります。この点は、作品全体の展開において非常に重要な部分なので、説得力を持たせるべきポイントだと言えるでしょう。そして、阿部サダヲの凄まじい演技が「榛村大和という人物」をリアルに存在させたことによって、その説得力をが生み出されているように私には感じられたのです。
彼が高校生と関係を深める過程の描写を見て、「自分が相手からどう見られているか」という自己認識能力が物凄く高いのだろうと感じました。そして、相手からの見られ方に合わせて自身の言動を瞬時に調整することで、ついさっきまで「他人」だった人物に対する好感を抱かせることに成功しているのでしょう。榛村大和が何か口にすると、それが全部ホントのことであるような錯覚を抱かされるのですが、まさにそれは阿部サダヲの演技が裏打ちしているのであり、とにかく映画を観ている間中ずっと、阿部サダヲの凄まじさを実感させられていました。
あわせて読みたい
【感涙】映画『彼女が好きなものは』の衝撃。偏見・無関心・他人事の世界から”脱する勇気”をどう持つか
涙腺がぶっ壊れたのかと思ったほど泣かされた映画『彼女が好きなものは』について、作品の核となる「ある事実」に一切触れずに書いた「ネタバレなし」の感想です。「ただし摩擦はゼロとする」の世界で息苦しさを感じているすべての人に届く「普遍性」を体感してください
あんまり役者の演技に目が行くことってないから、そういう意味でも珍しいよね
単純に、演技の良し悪しとかよく分かんないってだけだけど
ストーリー的に興味深いと感じたのは、雅也が「榛村大和と想像もしなかったような関係があるかもしれない」と示唆されて以降の彼の変化です。この記事ではこの点について具体的には触れないので、とてもぼんやりとしたことを書くことになりますが、私にはなかなか想像しにくい変化であり、だからこそ逆に興味を惹かれました。雅也は「自己肯定感が低い」という設定なので、ある可能性を示唆されて以降の変化も理解できなくもありません。しかしやはり、「その可能性が、そんな変化をもたらすのか」という驚きの方が強く感じられました。この部分の描写、一般的にはどんな風に受け取られているのか、少し気になるところです。
ラストの「狂気の伝染」と呼ぶべき展開もなかなかの恐怖であり、想像の余地を残す終わり方なのも良かったと思います。私は観たことがないのですが、「獄中から人を操る」という意味で映画『ハンニバル』を連想しました。観てないので、共通項があるのか分かりませんけどね。
あわせて読みたい
【異様】西成のあいりん地区を舞台にした映画『解放区』は、リアルとフェイクの境界が歪んでいる
ドキュメンタリー映画だと思って観に行った『解放区』は、実際にはフィクションだったが、大阪市・西成区を舞台にしていることも相まって、ドキュメンタリー感がとても強い。作品から放たれる「異様さ」が凄まじく、「自分は何を観せられているんだろう」という感覚に襲われた
出演:アンソニー・ホプキンス, 出演:ジュリアン・ムーア, 出演:レイ・リオッタ, Writer:トマス・ハリス, Writer:デヴィッド・マメット, Writer:スティーヴン・ザイリアン, 監督:リドリー・スコット, プロデュース:ディノ・デ・ラウレンティス, プロデュース:マーサ・デ・ラウレンティス
¥1,019 (2022/10/16 19:51時点 | Amazon調べ)
ポチップ
あわせて読みたい
【芸術】実話を下敷きに描く映画『皮膚を売った男』は、「アートによる鮮やかな社会問題風刺」が見事
「シリア難民の背中にタトゥーを彫り芸術作品として展示する」と聞くと非常に不謹慎に感じられるだろうが、彫ったのが国家間の移動を自由にする「シェンゲンビザ」だという点が絶妙な皮肉。実話をベースにした映画『皮膚を売った男』の、アートによる社会問題提起の見事な鮮やかさ
出演:阿部サダヲ, 出演:岡田健史, 出演:岩田剛典, 出演:宮﨑優, 出演:鈴木卓爾, Writer:高田亮, 監督:白石和彌
¥2,500 (2023/09/22 22:50時点 | Amazon調べ)
ポチップ
あわせて読みたい
【全作品視聴済】私が観てきた映画(フィクション)を色んな切り口で分類しました
この記事では、「今まで私が観てきた映画(フィクション)を様々に分類した記事」を一覧にしてまとめました。私が面白いと感じた作品だけをリストアップしていますので、是非映画選びの参考にして下さい。
最後に
あわせて読みたい
【考察】ヨネダコウ『囀る鳥は羽ばたかない』は、BLの枠組みの中で「歪んだ人間」をリアルに描き出す
2巻までしか読んでいないが、ヨネダコウのマンガ『囀る鳥は羽ばたかない』は、「ヤクザ」「BL」という使い古されたフォーマットを使って、異次元の物語を紡ぎ出す作品だ。BLだが、BLという外枠を脇役にしてしまう矢代という歪んだ男の存在感が凄まじい。
日常の中で榛村大和ほどのサイコパスと関わる機会はなかなかないでしょうが、社会通念を超越した「狂気」をその裡に内包している人は、割と身近にいてもおかしくないと思っています。この映画で示唆されるような可能性が、私たちの日常とも決して無縁ではないと理解しておくことは大事だと感じました。
最後に。エンドロールを観ていて驚いたことがあります。「岩田剛典」「赤ペン瀧川」とクレジットされたのですが、どこに出てきたのか思い浮かばなかったのです。ネットで調べてみると、ちょい役とかでは全然なく、割とガッツリ画面に映る役でした。どちらの役も、演じているのが誰なのかまったく気づかなかったので、とても驚かされたというお話です。
あわせて読みたい
【絶望】杉咲花主演映画『市子』の衝撃。毎日がしんどい「どん底の人生」を生き延びるための壮絶な決断…
映画『市子』はまず何よりも主演を務めた杉咲花に圧倒させられる作品だ。そしてその上で、主人公・川辺市子を巡る物語にあれこれと考えさせられてしまった。「川辺市子」は決してフィクショナルな存在ではなく、現実に存在し得る。本作は、そのような存在をリアルに想像するきっかけにもなるだろう
次にオススメの記事
あわせて読みたい
【丁寧】筒井康隆『敵』を吉田大八が映画化!死を見定めた老紳士が囚われた狂気的日常を描く(主演:長…
映画『敵』(吉田大八監督)は、原作が筒井康隆だけのことはあり、物語はとにかく意味不明だった。しかしそれでも「面白い」と感じさせるのだから凄いものだと思う。前半では「イケオジのスローライフ」が丁寧に描かれ、そこから次第に、「元大学教授が狂気に飲み込まれていく様」が淡々と、しかし濃密に描かれていく
あわせて読みたい
【洗脳】激しく挑発的だった映画『クラブゼロ』が描く、「食べないこと」を「健康」と言い張る狂気(主…
映画『クラブゼロ』は、「健康的な食事」として「まったく食べないこと」を推奨する女性教師と、彼女に賛同し実践する高校生を描き出す物語。実に狂気的な設定ではあるが、しかし同時に、本作で描かれているのは「日々SNS上で繰り広げられていること」でもある。そんな「現代性」をSNSを登場させずに描き出す、挑発的な作品だ
あわせて読みたい
【尊厳】映画『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』は、安楽死をテーマに興味深い問いを突きつける(監督:ペ…
全然期待せずに観た映画『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』は、思いがけず面白い作品だった。「安楽死」をテーマにした、ティルダ・スウィントンとジュリアン・ムーアのほぼ2人芝居といったシンプルな作品だが、そこに通底する「死生観」や、「死生観」の違いによるすれ違いなどが実に見事に描かれていて、強く惹きつけられた
あわせて読みたい
【変態】映画『コンセント/同意』が描く50歳と14歳少女の”恋”は「キモっ!」では終われない
映画『コンセント/同意』は、50歳の著名小説家に恋をした14歳の少女が大人になってから出版した「告発本」をベースに作られた作品だ。もちろん実話を元にしており、その焦点はタイトルの通り「同意」にある。自ら望んで36歳年上の男性との恋に踏み出した少女は、いかにして「同意させられた」という状況に追い込まれたのか?
あわせて読みたい
【常識】群青いろ制作『彼女はなぜ、猿を逃したか?』は、凄まじく奇妙で、実に魅力的な映画だった(主…
映画『彼女はなぜ、猿を逃したか?』(群青いろ制作)は、「絶妙に奇妙な展開」と「爽快感のあるラスト」の対比が魅力的な作品。主なテーマとして扱われている「週刊誌報道からのネットの炎上」よりも、私は「週刊誌記者が無意識に抱いている思い込み」の方に興味があったし、それを受け流す女子高生の受け答えがとても素敵だった
あわせて読みたい
【狂気】群青いろ制作『雨降って、ジ・エンド。』は、主演の古川琴音が成立させている映画だ
映画『雨降って、ジ・エンド。』は、冒頭からしばらくの間「若い女性とオジサンのちょっと変わった関係」を描く物語なのですが、後半のある時点から「共感を一切排除する」かのごとき展開になる物語です。色んな意味で「普通なら成立し得ない物語」だと思うのですが、古川琴音の演技などのお陰で、絶妙な形で素敵な作品に仕上がっています
あわせて読みたい
【天才】映画『笑いのカイブツ』のモデル「伝説のハガキ職人ツチヤタカユキ」の狂気に共感させられた
『「伝説のハガキ職人」として知られるツチヤタカユキの自伝的小説を基にした映画『笑いのカイブツ』は、凄まじい狂気に彩られた作品だった。「お笑い」にすべてを捧げ、「お笑い」以外はどうでもいいと考えているツチヤタカユキが、「コミュ力」や「人間関係」で躓かされる”理不尽”な世の中に、色々と考えさせられる
あわせて読みたい
【絶望】杉咲花主演映画『市子』の衝撃。毎日がしんどい「どん底の人生」を生き延びるための壮絶な決断…
映画『市子』はまず何よりも主演を務めた杉咲花に圧倒させられる作品だ。そしてその上で、主人公・川辺市子を巡る物語にあれこれと考えさせられてしまった。「川辺市子」は決してフィクショナルな存在ではなく、現実に存在し得る。本作は、そのような存在をリアルに想像するきっかけにもなるだろう
あわせて読みたい
【嫌悪】映画『ドライビング・バニー』が描く、人生やり直したい主人公(母親)のウザさと絶望
映画『ドライビング・バニー』は、主人公であるバニーのことが最後まで嫌いだったにも拘わらず、全体的にはとても素敵に感じられた珍しいタイプの作品だ。私は、「バニーのような人間が世の中に存在する」という事実に嫌悪感を抱いてしまうのだが、それでも、狂気的でぶっ飛んだラストシーンによって、作品全体の印象が大きく変わったと言える
あわせて読みたい
【実話】アメリカの有名なシリアルキラーを基にした映画『グッド・ナース』の理解を拒む凄まじさ(主演…
実際に起こった連続殺人事件を基にした映画『グッド・ナース』は、「何が描かれているのか分からない」という不穏さがずっと付きまとう異様な作品だった。「事件そのもの」ではなく、ある2人の人物に焦点が当てられる展開から、人間のあまりに深淵な狂気と葛藤が抉り出されている
あわせて読みたい
【倫理】アート体験の行き着く未来は?映画『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』が描く狂気の世界(…
「『痛み』を失った世界」で「自然発生的に生まれる新たな『臓器』を除去するライブパフォーマンス」を行うソール・テンサーを主人公にした映画『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』は、すぐには答えの見出しにくい「境界線上にある事柄」を挑発的に描き出す、実に興味深い物語だ
あわせて読みたい
【驚嘆】映画『TAR/ター』のリディア・ターと、彼女を演じたケイト・ブランシェットの凄まじさ
天才女性指揮者リディア・ターを強烈に描き出す映画『TAR/ター』は、とんでもない作品だ。「縦軸」としてのターの存在感があまりにも強すぎるため「横軸」を上手く捉えきれず、結果「よく分からなかった」という感想で終わったが、それでも「観て良かった」と感じるほど、揺さぶられる作品だった
あわせて読みたい
【実話】「更生」とは何かを考えさせられる、演劇『ゴドーを待ちながら』を組み込んだ映画『アプローズ…
売れない舞台役者が、刑務所内で囚人に戯曲『ゴドーを待ちながら』の演技指導を行う映画『アプローズ、アプローズ!』は、その衝撃的なラストが実に印象的だ。しかもこのラストの展開は、実話を基にしている。喝采(アプローズ)を浴びる囚人たちの姿から、「更生」についても考えさせられる作品
あわせて読みたい
【実話】映画『グッドバイ、バッドマガジンズ』(杏花主演)が描く、もの作りの絶望(と楽しさ)
実在したエロ雑誌編集部を舞台に、タブーも忖度もなく業界の内実を描き切る映画『グッドバイ、バッドマガジンズ』は、「エロ雑誌」をテーマにしながら、「もの作りに懸ける想い」や「仕事への向き合い方」などがリアルに描かれる素敵な映画だった。とにかく、主役を演じた杏花が良い
あわせて読みたい
【実話】ポートアーサー銃乱射事件を扱う映画『ニトラム』が示す、犯罪への傾倒に抗えない人生の不条理
オーストラリアで実際に起こった銃乱射事件の犯人の生い立ちを描く映画『ニトラム/NITRAM』は、「頼むから何も起こらないでくれ」と願ってしまうほどの異様な不穏さに満ちている。「社会に順応できない人間」を社会がどう受け入れるべきかについて改めて考えさせる作品だ
あわせて読みたい
【考察】ヨネダコウ『囀る鳥は羽ばたかない』は、BLの枠組みの中で「歪んだ人間」をリアルに描き出す
2巻までしか読んでいないが、ヨネダコウのマンガ『囀る鳥は羽ばたかない』は、「ヤクザ」「BL」という使い古されたフォーマットを使って、異次元の物語を紡ぎ出す作品だ。BLだが、BLという外枠を脇役にしてしまう矢代という歪んだ男の存在感が凄まじい。
あわせて読みたい
【純愛】映画『ぼくのエリ』の衝撃。「生き延びるために必要なもの」を貪欲に求める狂気と悲哀、そして恋
名作と名高い映画『ぼくのエリ』は、「生き延びるために必要なもの」が「他者を滅ぼしてしまうこと」であるという絶望を抱えながら、それでも生きることを選ぶ者たちの葛藤が描かれる。「純愛」と呼んでいいのか悩んでしまう2人の関係性と、予想もつかない展開に、感動させられる
あわせて読みたい
【感想】湯浅政明監督アニメ映画『犬王』は、実在した能楽師を”異形”として描くスペクタクル平家物語
観るつもりなし、期待値ゼロ、事前情報ほぼ皆無の状態で観た映画『犬王』(湯浅政明監督)はあまりにも凄まじく、私はこんなとんでもない傑作を見逃すところだったのかと驚愕させられた。原作の古川日出男が紡ぐ狂気の世界観に、リアルな「ライブ感」が加わった、素晴らしすぎる「音楽映画」
あわせて読みたい
【異次元】『ハイパーハードボイルドグルメリポート』は本も読め。衝撃すぎるドキュメンタリーだぞ
テレビ東京の上出遼平が作る、“異次元のグルメ番組”である「ハイパーハードボイルドグルメリポート」の書籍化。映像からも異様さが伝わる「激ヤバ地」に赴き、そこに住む者と同じモノを食べるという狂気が凄まじい。私がテレビで見た「ケニアのゴミ山の少年」の話は衝撃的だった
あわせて読みたい
【表現】映画『名付けようのない踊り』で初めて見た田中泯のダンス。「芸術以前」を志向する圧倒的パワー
映画『名付けようのない踊り』の中で田中泯は言う。「私」や「個性」を表現することには違和感がある、と。「踊りのために身体を作る」のではなく、「野良仕事で出来た身体で踊る」のだ、と。芸術になる前の踊りを探したい、と。「唯一無二の表現者」の生涯と現在地を映し出すドキュメンタリー
あわせて読みたい
【感涙】映画『彼女が好きなものは』の衝撃。偏見・無関心・他人事の世界から”脱する勇気”をどう持つか
涙腺がぶっ壊れたのかと思ったほど泣かされた映画『彼女が好きなものは』について、作品の核となる「ある事実」に一切触れずに書いた「ネタバレなし」の感想です。「ただし摩擦はゼロとする」の世界で息苦しさを感じているすべての人に届く「普遍性」を体感してください
あわせて読みたい
【衝撃】映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』凄い。ラストの衝撃、ビョークの演技、”愛”とは呼びたくな…
言わずとしれた名作映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を、ほぼ予備知識ゼロのまま劇場で観た。とんでもない映画だった。苦手なミュージカルシーンが効果的だと感じられたこと、「最低最悪のラストは回避できたはずだ」という想い、そして「セルマのような人こそ報われてほしい」という祈り
あわせて読みたい
【貢献】社会問題を解決する2人の「社会起業家」の生き方。「豊かさ」「生きがい」に必要なものは?:『…
「ヤクの毛」を使ったファッションブランド「SHOKAY」を立ち上げ、チベットの遊牧民と中国・崇明島に住む女性の貧困問題を解決した2人の若き社会起業家の奮闘を描く『世界を変えるオシゴト』は、「仕事の意義」や「『お金』だけではない人生の豊かさ」について考えさせてくれる
あわせて読みたい
【衝撃】洗脳を自ら脱した著者の『カルト脱出記』から、「社会・集団の洗脳」を避ける生き方を知る
「聖書研究に熱心な日本人証人」として「エホバの証人」で活動しながら、その聖書研究をきっかけに自ら「洗脳」を脱した著者の体験を著した『カルト脱出記』。広い意味での「洗脳」は社会のそこかしこに蔓延っているからこそ、著者の体験を「他人事」だと無視することはできない
あわせて読みたい
【革命】電子音楽誕生の陰に女性あり。楽器ではなく機械での作曲に挑んだ者たちを描く映画:『ショック…
現代では当たり前の「電子音楽」。その黎明期には、既存の音楽界から排除されていた女性が多く活躍した。1978年、パリに住む1人の女性が「電子音楽」の革命の扉をまさに開こうとしている、その1日を追う映画『ショック・ド・フューチャー』が描き出す「創作の熱狂」
あわせて読みたい
【あらすじ】映画『流浪の月』を観て感じた、「『見て分かること』にしか反応できない世界」への気持ち悪さ
私は「見て分かること」に”しか”反応できない世界に日々苛立ちを覚えている。そういう社会だからこそ、映画『流浪の月』で描かれる文と更紗の関係も「気持ち悪い」と断罪されるのだ。私はむしろ、どうしようもなく文と更紗の関係を「羨ましい」と感じてしまう。
あわせて読みたい
【狂気】バケモン・鶴瓶を映し出す映画。「おもしろいオッチャン」に潜む「異常さ」と「芸への情熱」:…
「俺が死ぬまで公開するな」という条件で撮影が許可された映画『バケモン』。コロナ禍で映画館が苦境に立たされなければ、公開はずっと先だっただろう。テレビで見るのとは違う「芸人・笑福亭鶴瓶」の凄みを、古典落語の名作と名高い「らくだ」の変遷と共に切り取る
あわせて読みたい
【アート】「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」(森美術館)と「美術手帖 Chim↑Pom特集」の衝撃から「…
Chim↑Pomというアーティストについてさして詳しいことを知らずに観に行った、森美術館の「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」に、思考をドバドバと刺激されまくったので、Chim↑Pomが特集された「美術手帖」も慌てて買い、Chim↑Pomについてメッチャ考えてみた
あわせて読みたい
【考察】アニメ映画『虐殺器官』は、「便利さが無関心を生む現実」をリアルに描く”無関心ではいられない…
便利すぎる世の中に生きていると、「この便利さはどのように生み出されているのか」を想像しなくなる。そしてその「無関心」は、世界を確実に悪化させてしまう。伊藤計劃の小説を原作とするアニメ映画『虐殺器官』から、「無関心という残虐さ」と「想像することの大事さ」を知る
あわせて読みたい
【矛盾】その”誹謗中傷”は真っ当か?映画『万引き家族』から、日本社会の「善悪の判断基準」を考える
どんな理由があれ、法を犯した者は罰せられるべきだと思っている。しかしそれは、善悪の判断とは関係ない。映画『万引き家族』(是枝裕和監督)から、「国民の気分」によって「善悪」が決まる社会の是非と、「善悪の判断を保留する勇気」を持つ生き方について考える
あわせて読みたい
【実話】障害者との接し方を考えさせる映画『こんな夜更けにバナナかよ』から”対等な関係”の大事さを知る
「障害者だから◯◯だ」という決まりきった捉え方をどうしてもしてしまいがちですが、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』の主人公・鹿野靖明の生き様を知れば、少しは考え方が変わるかもしれません。筋ジストロフィーのまま病院・家族から離れて“自活”する決断をした驚異の人生
あわせて読みたい
【情熱】映画『パッドマン』から、女性への偏見が色濃く残る現実と、それを打ち破ったパワーを知る
「生理は語ることすらタブー」という、21世紀とは思えない偏見が残るインドで、灰や汚れた布を使って経血を処理する妻のために「安価な生理用ナプキン」の開発に挑んだ実在の人物をモデルにした映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』から、「どう生きたいか」を考える
あわせて読みたい
【考察】映画『ジョーカー』で知る。孤立無援の環境にこそ”悪”は偏在すると。個人の問題ではない
「バットマン」シリーズを観たことがない人間が、予備知識ゼロで映画『ジョーカー』を鑑賞。「悪」は「環境」に偏在し、誰もが「悪」に足を踏み入れ得ると改めて実感させられた。「個人」を断罪するだけでは社会から「悪」を減らせない現実について改めて考える
あわせて読みたい
【逃避】つまらない世の中で生きる毎日を押し流す”何か”を求める気持ちに強烈に共感する:映画『サクリ…
子どもの頃「台風」にワクワクしたように、未だに、「自分のつまらない日常を押し流してくれる『何か』」の存在を待ちわびてしまう。立教大学の学生が撮った映画『サクリファイス』は、そんな「何か」として「東日本大震災」を描き出す、チャレンジングな作品だ
あわせて読みたい
【誤り】「信じたいものを信じる」のは正しい?映画『星の子』から「信じること」の難しさを考える
どんな病気も治す「奇跡の水」の存在を私は信じないが、しかし何故「信じない」と言えるのか?「奇跡の水を信じる人」を軽々に非難すべきではないと私は考えているが、それは何故か?映画『星の子』から、「何かを信じること」の難しさについて知る
あわせて読みたい
【情熱】常識を疑え。人間の”狂気”こそが、想像し得ない偉業を成し遂げるための原動力だ:映画『博士と…
世界最高峰の辞書である『オックスフォード英語大辞典』は、「学位を持たない独学者」と「殺人犯」のタッグが生みだした。出会うはずのない2人の「狂人」が邂逅したことで成し遂げられた偉業と、「狂気」からしか「偉業」が生まれない現実を、映画『博士と狂人』から学ぶ
あわせて読みたい
【素顔】「ヨコハマメリー史」から「伊勢佐木町史」を知れる映画。謎の女性が町の歴史に刻んだものとは…
横浜で長らく目撃されていた白塗りの女性は、ある時から姿を消した。彼女の存在を欠いた伊勢佐木町という街は、大きく変わってしまったと語る者もいる。映画『ヨコハマメリー』から、ある種のアイコンとして存在した女性の生き様や彼女と関わった者たちの歴史、そして彼女の”素顔”を知る
あわせて読みたい
【考察】世の中は理不尽だ。平凡な奴らがのさばる中で、”特別な私の美しい世界”を守る生き方:『オーダ…
自分以外は凡人、と考える主人公の少女はとてもイタい。しかし、世間の価値観と折り合わないなら、自分の美しい世界を守るために闘うしかない。中二病の少女が奮闘する『オーダーメイド殺人クラブ』をベースに、理解されない世界をどう生きるかについて考察する
ルシルナ | 映画と本の感想ブログ
どう生きるべきか・どうしたらいい【本・映画の感想】 | ルシルナ | 映画と本の感想ブログ
どんな人生を歩みたいか、多くの人が考えながら生きていると思います。私は自分自身も穏やかに、そして周囲の人や社会にとっても何か貢献できたらいいなと、思っています。…
ルシルナ | 映画と本の感想ブログ
記事検索(カテゴリー・タグ一覧) | ルシルナ | 映画と本の感想ブログ
ルシルナは、4000冊以上の本と500本以上の映画をベースに、生き方や教養について書いていきます。ルシルナでは36個のタグを用意しており、興味・関心から記事を選びやすく…
コメント