目次
はじめに
この記事で取り上げる本
著:マーカス・ラトレル, 著:パトリック・ロビンソン, 翻訳:高月園子
¥2,750 (2022/07/20 21:08時点 | Amazon調べ)
ポチップ
この本をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 「民間人だから」という理由で羊飼いを殺さなかったことで絶体絶命の状況に陥ってしまう
- 壮絶過ぎる戦闘で3人が命を落とし、著者1人が奇跡的過ぎる生還を果たす
- 「交戦規則(ROE)」に対する著者の憤りと問題提起
あまりイメージすることのない「戦場の現実」をリアルに感じさせてくれる衝撃的な実話
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凄まじい物語だった。本書を原作として、『ローン・サバイバー』という映画も制作されているのだが、もしフィクションだったら、小説でも映画でもとてもリアルには受け取れなかっただろう。
ポチップ
またこの作品では、普通に生きていればまず関わることがない「交戦規則(ROE)」についても触れられる。「『戦争』という現実が持つ『矛盾』」の多くがここに詰まっていると言ってもいいのではないかと感じさせるものだ。
ウクライナとロシアの戦争が続いている現在、そして北朝鮮や中国など近隣諸国との火種を抱えている日本においても、決して無視できる話ではない。「奇跡の実話」という面だけを楽しむことも出来る作品だが、広くは知られていないだろう「戦争のルール」についても理解できる作品だ。
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著者マーカス・ラトレルは、何故アフガニスタンへ行き、いかに奇跡の生還を果たしたのか
まずは、本書の大筋の流れに触れていこうと思う。
アメリカ海軍には、「世界最強」と評される<SEAL(シール)部隊>が存在する。そして彼らは、9.11テロを実行に移したタリバンを壊滅させるためにアフガニスタンに派遣された。仲間と4人で、必要な任務を遂行するために日々奮闘している。
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そんなある日、彼らを危機に陥れる出会いがあった。山中で羊飼いと遭遇したのだ。
武器を持っているわけではない羊飼いとの遭遇がなぜ危険なのか? それは、その羊飼いは当然、「あそこに米兵がいた」とタリバンに告げるはずと推測されるからだ。今ここでこの羊飼いを見逃せば、4人はしばらく後に窮地に陥ることが目に見えていた。命を懸ける兵士の通常の判断であれば、「羊飼いを殺す」という結論に達するはずだ。
この男たちを自由にするなんてことは、絶対にできない。だが困ったことに、おれにはもう一つの心があった。それはクリスチャンの心だ。そしてそれはおれを圧倒しようとしていた。心の裏側で、これらの非武装の男たちを平然と殺すのは間違っていると、何かがささやき続けていた。
しかし、ことはそう簡単ではない。後で詳しく触れるが、ここに「交戦規則(ROE)」が関わってくるのだ。その中には、簡単に言うと「民間人は殺してはならない」というルールが存在する。羊飼いは明らかに民間人だ。だから、兵士である自分たちがこの羊飼いを殺せば、「交戦規則」に違反してしまう。それは、「戦争」が明確なルールに則って行われるようになった現代において、非常に大きな問題だ。
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まっすぐにマイキーの目を見て、おれは言った。「こいつらを解放するしかない」 それはおれがこの世に生を受けて以来した、最も愚かで南部的で間抜けな決断だった。とても正気だったとは思えない。
最終的に彼らは、羊飼いを見逃す決断をした。そしてやはり予想した通り、彼らは絶望的な窮地に陥ることになる。周囲に遮蔽物の一切ない、戦闘にはおよそ不向きとしか言いようがない場所で、数百人のタリバン兵を相手に戦闘を行わなければならなくなったのだ。
その闘いは壮絶なものだった。
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本書の冒頭では、<SEAL部隊>がいかに尋常ではない訓練を行っているのかが描かれる。「世界最強」と謳われるのも当然だと感じるほどの凄まじさだ。しかし、そんな彼らであっても、数に押されたらひとたまりもない。タリバン兵も一定の訓練は受けているし、戦術に対する理解もある。4人で立ち向かえるような状況ではないのだ。
生還したマーカスは、その時の戦闘を描写する。親指を吹き飛ばされても、腹を撃たれても、何度崖から落ちても、彼らは闘うことを止めない。
世界中のどの三人の男をとっても、あの山岳地帯で、おれの仲間たちほど勇猛果敢に戦った者はいない。ほぼ完全包囲された状態にありながらも、おれたちはまだ最終的には敵に勝てると信じていた。まだ、弾はたっぷりあった。
撃っても撃っても、タリバン兵はうじゃうじゃと湧き出てくる。死を恐れずに突っ込んでくる、無限にも感じられる襲来は、彼らを絶望させただろう。どう考えても絶体絶命だ。しかも、彼らが闘っていた場所にはまともな遮蔽物がなかったことも、闘い方を一層困難にする。
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そんな状況でも彼らは、とにかく最後まで闘い抜く。その凄まじさに圧倒された。
最終的に、仲間の3人が命を落とす。著者は奇跡的に命拾いした。そこには、強靭な精神力も関係していたと思うが、やはり運の要素もかなり大きかっただろう。
ともあれ著者はどうにか生き延びた。
しかし著者にとっては、まさにここが困難の始まりだったと言っていいだろう。彼は全身撃たれ、あちこちの骨が折れ、体中に激痛が走る状態で、連絡手段を一切持たないままアフガンの荒野に取り残されたのだ。周囲にはまだ、タリバン兵が大勢残っている。彼らに見つかりでもしたら命はない。
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普通なら、ここから生還を果たすなどまず不可能に思えるだろう。しかし著者には、幸運に次ぐ幸運が舞い込んでくる。あり得ない奇跡が連続して起こったことで、彼は見事生還を果たすことができたのだ。
まず戦闘で生き残ったことが奇跡だし、ボロボロの身体でタリバン兵に見つからずにかなりの距離を移動できたことも大きかった。また、この記事では触れないが、その後に起こった展開もまさに奇跡と呼ぶしかないものだったのだ。
さらに彼の生還には、<SEAL部隊>のある教えも関係していた。
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アメリカ国内では、「<SEAL部隊>は全員死亡した」と報じられていたそうだ。当然だろう。状況から考えて、生存者がいるとは想像できない。
一方、<SEAL部隊>にはこんなモットーもあった。
死体が上るまでは決して潜水工作隊員の死を決めつけてはならない
このモットーに従ってアフガニスタンで作戦に従事していた者がいなければ、最終的に彼がアメリカへと帰還することはなかっただろう。「祈り」が届くなどと考えることはないのだが、やはり、祈らなければ叶わない奇跡も存在するのだと実感させられた。
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マーカスは帰還後、3人の仲間がいかに勇敢だったかを遺族に伝えてから本書を執筆、そして驚くべきことに、再び兵士としてアフガニスタンの戦場へと戻ったそうだ。
そんな「凄まじい」としか言いようがない経験をしたタフな男の、衝撃的過ぎる実話である。
「交戦規則(ROE)」に対する憤り
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本書では、<SEAL部隊>の凄まじい訓練や、アフガニスタンでの壮絶な戦闘など様々な話題について描かれるが、その中には、著者の「交戦規則(ROE)」に対する憤りも含まれている。
「交戦規則」というのは基本的に、「戦争におけるルールブック」だと思えばいい。どういう場合なら戦闘が許容されるのかが定められているのだ。国ごとに「交戦規則」の規定は異なると思うが、その中には大体、「民間人を殺してはいけない」という決まりがある。このルールは、それだけ聞けば「当然だ」と感じるようなものだろう。
しかし著者は、こんな言葉で「交戦規則」に対する憤りを示す。
けれども、レンジャー、シール、グリーンベレー、その他何であれ、そういった米軍戦闘兵士たちの観点からすれば、交戦規則は非常に深刻なジレンマを突きつける。おれたちもそれを守らなくてはならないことは理解している。なぜならば、それはおれたちが仕えると誓った国の法のもとに定められたルールだからだ。しかし、それはおれたちにとっては危険を意味する。世界的なテロとの実践場でのおれたちの自信の土台を揺るがす。さらに悪いのは、それはおれたちを不安にし、弱気にし、ときに及び腰にさせる。
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世界最強である彼らが、なぜ「弱気」「及び腰」になってしまうのか。その理由を端的に説明した、著者の仲間の言葉を引用しよう。
(羊飼いの)死体が見つかったら、タリバンのリーダーたちはアフガンのメディアに大喜びで報告するだろう。それを聞きつけた我が国のメディアは、野蛮な米軍についての記事を書き立てる。ほどなくおれたちは殺人罪で起訴される。罪なき非武装のアフガン農夫を殺したからだ。
羊飼いを殺さなければタリバン兵に襲われることは分かっている。しかしそれを阻止するために羊飼いを殺せば、彼らは殺人罪で起訴されてしまうかもしれないというわけだ。
私は決して、「民間人を殺してはいけない」というルールに異を唱えたいわけではない。やはり、そのルールは絶対的に必要だと考えている。しかし、そのようなルールが存在することで、兵士たちは本来の力を発揮できなくなってしまうのだ。
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そもそも敵もアメリカの交戦規則を理解しており、いかに利用するかを考えている。
アフガニスタンにおける交戦規則には、おれたちは非武装の一般市民を撃っても、殺しても、負傷させてもいけないと明記されている。しかし、その非武装の一般市民が、おれたちが取り除こうとしている違法部隊の熟達したスパイだった場合はどうだろう? または、一般市民を装ってはいるが、実は様々な形態をとって散らばる、きわめて強力な秘密の軍隊で、アフガニスタンの山岳地帯を這い回っているのだとしたら?
こういったテロリスト/暴徒は、イラクでもそうだったが、おれたちの交戦規則のことを知っている。それはおれたちのルール、世界のより文明が開けた側である西側諸国のルールだ。そしてテロリストというテロリストが、このルールをどうすれば自分たちの味方につけられるかを知っている。でなければ、駱駝遣いたちは銃を持ち歩いているはずだ。
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タリバンがアメリカの交戦規則を利用するのは当然だろう。「勝つこと」がすべてに優先される「戦争」においては手段を選んでいられないし、まして「アメリカの交戦規則を利用する」のはルール違反ではないのだから、そこを衝いてくるのは当たり前の話だ。
そんなわけで、「アメリカの交戦規則を利用するタリバンは卑怯だ」みたいな主張を本に書いても意味はない。著者は本書を通じて、むしろアメリカ国内に向けてメッセージを発していると言っていい。それは次のようなものだ。
おれたちはそこに行く。一日中。毎日、しっかり任務をまっとうするか、あるいは途中で死んでしまうか――アメリカ合衆国のために。しかし、おれたちに誰を攻撃していいかを指図するのはやめてくれ。その決定はおれたちに、軍に、委ねられるべきなのだ。進歩的なメディアや政治家のグループがそれを受け入れられなければ、戦場では死ななくていい人間が死ぬ羽目になる。
シールは他のどんな敵にでも対処できる。ただし、それは合衆国におれたちを刑務所に入れたがっている人間がいなければ、の話だ。だからといって、相手が非武装のアフガン農民に分類される可能性があるというだけの理由で反撃することもできずに、喉を掻き切られるのをただ待って山の中をうろうろしているなんてことは絶対にごめんだ。
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著者は、もっと直接的にこうも書いている。
今のおれのこの姿を見てくれ。拷問され、撃たれ、爆破され、最高の仲間を全員失った、無力なこのおれを。すべては自国のリベラル派を恐れたからだ。民間の弁護士を恐れたからだ。
マーカス自身も恐らく、「交戦規則」そのものは必要不可欠だと理解していると思う。ただ、「弾力的な運用」を求めている。「民間人を殺してはいけない」というルールは正しいが、しかしそれはやはり、「自分の命が奪われない限りにおいて」であるべきだろう。もちろん、その証明は難しい。「羊飼いを見逃せば確実に自分たちは窮地に陥っていた」と示すことは困難だろう。しかしそれでも、そのような「弾力的な運用」の余地があるというだけで、彼らの行動・選択は変わるはずだ。
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また当然だが、そもそも「戦争」が起こらないことが一番望ましい。しかしそんなことは、一兵士が口にしたところでどうにかなるものではない。だから、どうしても「戦争」が世界から無くならないのだとして、彼は現実的な解を探るための提案をしていると捉えるべきだろう。
マーカスが直面した場面において、「羊飼いを殺す」という決断が「正解」だと思いたくはない。しかし結果として、3人の命が失われ、マーカスもギリギリのところで生還を果たすという苦難に直面した。それもまた「正解」とは思えない。
そもそも「戦争」が矛盾を孕むものであり、「戦争」自体にこそ問題が存在するわけだが、マーカスの指摘は、普段なかなかイメージすることのない「戦場の現実」について、多くの人が考えるきっかけを与えてくれるのではないかと思う。
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本書には1点、非常に残念な部分がある。それは、物語全体が基本的に「時系列順」に語られているという点だ。著者の生い立ちから、<SEAL部隊>での壮絶な訓練、アフガニスタン入りときて、それから「壮絶な戦闘」「奇跡の生還」が描かれる。
本書の肝は、「壮絶な戦闘」「奇跡の生還」にあるわけで、一部でもいいから冒頭でそれらに触れるべきだったと思う。全体的に非常に面白い興味深く読める作品だったが、構成がもう少し違っていたら、より多くの読者に受け入れられる作品になっていたと感じた。
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だから本作にとっては、訓練の描写も重要であることは間違いない。しかしそうだとしても、本書の冒頭からしばらく訓練の話が長々と続く。もっと適切な構成があっただろうにと、その点だけは非常に残念に感じた。
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とにかく凄まじい作品で、「凄まじい」と繰り返す以外に何も言えなくなってしまうとんでもない実話である。
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【狂気】入管の収容所を隠し撮りした映画『牛久』は、日本の難民受け入れ問題を抉るドキュメンタリー
映画『牛久』は、記録装置の持ち込みが一切禁じられている入管の収容施設に無許可でカメラを持ち込み、そこに収容されている難民申請者の声を隠し撮りした映像で構成された作品だ。日本という国家が、国際標準と照らしていかに酷い振る舞いをしているのかが理解できる衝撃作である
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【絶望】映画『少年たちの時代革命』が描く、香港デモの最中に自殺者を救おうとした若者たちの奮闘
香港の民主化運動の陰で、自殺者を救出しようと立ち上がったボランティア捜索隊が人知れず存在していた。映画『少年たちの時代革命』はそんな実話を基にしており、若者の自殺が急増した香港に様々な葛藤を抱えながら暮らし続ける若者たちのリアルが切り取られる作品だ
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【驚愕】ベリングキャットの調査報道がプーチンを追い詰める。映画『ナワリヌイ』が示す暗殺未遂の真実
弁護士であり、登録者数640万人を超えるYouTuberでもあるアレクセイ・ナワリヌイは、プーチンに対抗して大統領選挙に出馬しようとしたせいで暗殺されかかった。その実行犯を特定する調査をベリングキャットと共に行った記録映画『ナワリヌイ』は、現実とは思えないあまりの衝撃に満ちている
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【驚愕】本屋大賞受賞作『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬)は凄まじい。戦場は人間を”怪物”にする
デビュー作で本屋大賞を受賞した『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬)は、デビュー作であることを抜きにしても凄まじすぎる、規格外の小説だった。ソ連に実在した「女性狙撃兵」の視点から「独ソ戦」を描く物語は、生死の境でギリギリの葛藤や決断に直面する女性たちのとんでもない生き様を活写する
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【信念】9.11後、「命の値段」を計算した男がいた。映画『WORTH』が描く、その凄絶な2年間(主演:マイ…
9.11テロの後、「被害者の『命の値段』を算出した男」がいたことをご存知だろうか?映画『WORTH』では、「被害者遺族のために貢献したい」と無償で難題と向き合うも、その信念が正しく理解されずに反発や対立を招いてしまった現実が描かれる。実話を基にしているとは思えない、凄まじい物語だ
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【デモ】クーデター後の軍事政権下のミャンマー。ドキュメンタリーさえ撮れない治安の中での映画制作:…
ベルリン国際映画祭でドキュメンタリー賞を受賞したミャンマー映画『ミャンマー・ダイアリーズ』はしかし、後半になればなるほどフィクショナルな映像が多くなる。クーデター後、映画制作が禁じられたミャンマーで、10人の”匿名”監督が死を賭して撮影した映像に込められた凄まじいリアルとは?
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横浜港を取り仕切る藤木幸夫を追うドキュメンタリー映画『ハマのドン』は、盟友・菅義偉と対立してでもIR進出を防ごうとする91歳の決意が映し出される作品だ。高齢かつほとんど政治家のような立ち位置でありながら、「伝わる言葉」を発する非常に稀有な人物であり、とても興味深かった
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【映画】『戦場記者』須賀川拓が、ニュースに乗らない中東・ウクライナの現実と報道の限界を切り取る
TBS所属の特派員・須賀川拓は、ロンドンを拠点に各国の取材を行っている。映画『戦場記者』は、そんな彼が中東を取材した映像をまとめたドキュメンタリーだ。ハマスを巡って食い違うガザ地区とイスラエル、ウクライナ侵攻直後に現地入りした際の様子、アフガニスタンの壮絶な薬物中毒の現実を映し出す
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【天才】映画『Winny』(松本優作監督)で知った、金子勇の凄さと著作権法侵害事件の真相(ビットコイン…
稀代の天才プログラマー・金子勇が著作権法違反で逮捕・起訴された実話を描き出す映画『Winny』は、「警察の凄まじい横暴」「不用意な天才と、テック系知識に明るい弁護士のタッグ」「Winnyが明らかにしたとんでもない真実」など、見どころは多い。「金子勇=サトシ・ナカモト」説についても触れる
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【歴史】NIKEのエアジョーダン誕生秘話!映画『AIR/エア』が描くソニー・ヴァッカロの凄さ
ナイキがマイケル・ジョーダンと契約した時、ナイキは「バッシュ業界3位」であり、マイケル・ジョーダンも「ドラフト3位選手」だった。今からは信じられないだろう。映画『AIR/エア』は、「劣勢だったナイキが、いかにエアジョーダンを生み出したか」を描く、実話を基にした凄まじい物語だ
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【衝撃】これが実話とは。映画『ウーマン・トーキング』が描く、性被害を受けた女性たちの凄まじい決断
映画『ウーマン・トーキング』の驚くべき点は、実話を基にしているという点だ。しかもその事件が起こったのは2000年代に入ってから。とある宗教コミュニティ内で起こった連続レイプ事件を機に村の女性たちがある決断を下す物語であり、そこに至るまでの「ある種異様な話し合い」が丁寧に描かれていく
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【高卒】就職できる気がしない。韓国のブラック企業の実態をペ・ドゥナ主演『あしたの少女』が抉る
韓国で実際に起こった「事件」を基に作られた映画『あしたの少女』は、公開後に世論が動き、法律の改正案が国会を通過するほどの影響力を及ぼした。学校から実習先をあてがわれた1人の女子高生の運命を軸に描かれる凄まじい現実を、ペ・ドゥナ演じる女刑事が調べ尽くす
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2011年に韓国で実際に起こった「加湿器殺菌剤による殺人事件」をモデルにした映画『空気殺人』は、金儲け主義の醜悪さが詰まった作品だ。国がその安全を保証し、17年間も販売され続けた国民的ブランドは、「水俣病」にも匹敵する凄まじい健康被害をもたらした
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「フランスに最も愛された政治家」と評されるシモーヌ・ヴェイユ。映画『シモーヌ』は、そんな彼女が強制収容所を生き延び、後に旧弊な社会を変革したその凄まじい功績を描き出す作品だ。「強制収容所からの生還が失敗に思える」とさえ感じたという戦後のフランスの中で、彼女はいかに革新的な歩みを続けたのか
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「飛行中の機内で、致死性の高い自作のウイルスを蔓延させる」という、冒頭から絶体絶命としか言いようがない状況に突き落とされる映画『非常宣言』は、「どうにかなるはずがない」と感じさせる状況から物語を前進させていくえげつなさと、様々に描かれる人間ドラマが見事な作品だ
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【生還】内戦下のシリアでISISに拘束された男の実話を基にした映画『ある人質』が描く壮絶すぎる現実
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【衝撃】自ら立ち上げた「大分トリニータ」を放漫経営で潰したとされる溝畑宏の「真の実像」に迫る本:…
まったく何もないところからサッカーのクラブチーム「大分トリニータ」を立ち上げ、「県リーグから出発してチャンピオンになる」というJリーグ史上初の快挙を成し遂げた天才・溝畑宏を描く『爆走社長の天国と地獄』から、「正しく評価することの難しさ」について考える
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柚月裕子の小説『慈雨』は、「文庫X」として知られる『殺人犯はそこにいる』で扱われている事件を下敷きにしていると思われる。主人公の元刑事が「16年前に犯してしまったかもしれない過ち」について抱き続けている葛藤にいかに向き合い、どう決断し行動に移すのかの物語
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【実話】ソ連の衝撃の事実を隠蔽する記者と暴く記者。映画『赤い闇』が描くジャーナリズムの役割と実態
ソ連の「闇」を暴いた名もなき記者の実話を描いた映画『赤い闇』は、「メディアの存在意義」と「メディアとの接し方」を問いかける作品だ。「真実」を届ける「社会の公器」であるべきメディアは、容易に腐敗し得る。情報の受け手である私たちの意識も改めなければならない
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【衝撃】匿名監督によるドキュメンタリー映画『理大囲城』は、香港デモ最大の衝撃である籠城戦の内部を映す
香港民主化デモにおける最大の衝撃を内側から描く映画『理大囲城』は、とんでもないドキュメンタリー映画だった。香港理工大学での13日間に渡る籠城戦のリアルを、デモ隊と共に残って撮影し続けた匿名監督たちによる映像は、ギリギリの判断を迫られる若者たちの壮絶な現実を映し出す
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【あらすじ】映画『モーリタニアン 黒塗りの記録』で描かれる、グアンタナモ”刑務所”の衝撃の実話は必見
ベネディクト・カンバーバッチが制作を熱望した衝撃の映画『モーリタニアン 黒塗りの記録』は、アメリカの信じがたい実話を基にしている。「9.11の首謀者」として不当に拘束され続けた男を「救おうとする者」と「追い詰めようとする者」の奮闘が、「アメリカの闇」を暴き出す
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【執念】「桶川ストーカー事件」で警察とマスコミの怠慢を暴き、社会を動かした清水潔の凄まじい取材:…
『殺人犯はそこにいる』(文庫X)で凄まじい巨悪を暴いた清水潔は、それよりずっと以前、週刊誌記者時代にも「桶川ストーカー殺人事件」で壮絶な取材を行っていた。著者の奮闘を契機に「ストーカー規制法」が制定されたほどの事件は、何故起こり、どんな問題を喚起したのか
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【あらすじ】映画『1917』は、ワンカット風の凄まじい撮影手法が「戦場の壮絶な重圧」を見事に体感させる
映画『1917 命をかけた伝令』は、「全編ワンカット風」という凄まじい撮影手法で注目されたが、私は、その撮影手法が「戦場における緊迫感」を見事に増幅させているという点に驚かされた。「物語の中身」と「撮影手法」が素晴らしく合致したとんでもない作品だ
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【あらすじ】蝦夷地の歴史と英雄・阿弖流為を描く高橋克彦の超大作小説『火怨』は全人類必読の超傑作
大げさではなく、「死ぬまでに絶対に読んでほしい1冊」としてお勧めしたい高橋克彦『火怨』は凄まじい小説だ。歴史が苦手で嫌いな私でも、上下1000ページの物語を一気読みだった。人間が人間として生きていく上で大事なものが詰まった、矜持と信念に溢れた物語に酔いしれてほしい
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映画『オードリー・ヘプバーン』は、世界的大スターの知られざる素顔を切り取るドキュメンタリーだ。戦争による壮絶な飢え、父親の失踪、消えぬ孤独感、偶然がもたらした映画『ローマの休日』のオーディション、ユニセフでの活動など、様々な証言を元に稀代の天才を描き出す
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テレビ東京の上出遼平が作る、“異次元のグルメ番組”である「ハイパーハードボイルドグルメリポート」の書籍化。映像からも異様さが伝わる「激ヤバ地」に赴き、そこに住む者と同じモノを食べるという狂気が凄まじい。私がテレビで見た「ケニアのゴミ山の少年」の話は衝撃的だった
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かつてテレビの世界で大ブレイクを果たしながら、現在はテレビから完全に離れ、年間120もの公演を行う芸人・松元ヒロ。そんな知る人ぞ知る芸人を追った映画『テレビで会えない芸人』は、コンプライアンスに厳しく、少数派が蔑ろにされる社会へ一石を投じる、爆笑社会風刺である
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【対立】パレスチナとイスラエルの「音楽の架け橋」は実在する。映画『クレッシェンド』が描く奇跡の楽団
イスラエルとパレスチナの対立を背景に描く映画『クレッシェンド』は、ストーリーそのものは実話ではないものの、映画の中心となる「パレスチナ人・イスラエル人混合の管弦楽団」は実在する。私たちが生きる世界に残る様々な対立について、その「改善」の可能性を示唆する作品
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ナチスドイツナンバー2だった宣伝大臣ゲッベルス。その秘書だったブルンヒルデ・ポムゼルが103歳の時にカメラの前で当時を語った映画『ゲッベルスと私』には、「愚かなことをしたが、避け難かった」という彼女の悔恨と教訓が含まれている。私たちは彼女の言葉を真摯に受け止めなければならない
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【事件】デュポン社のテフロン加工が有害だと示した男の執念の実話を描く映画『ダーク・ウォーターズ』
世界的大企業デュポン社が、自社製品「テフロン」の危険性を40年以上前に把握しながら公表せず、莫大な利益を上げてきた事件の真相を暴き出した1人の弁護士がいる。映画『ダーク・ウォーターズ』は、大企業相手に闘いを挑み、住民と正義のために走り続けた実在の人物の勇敢さを描き出す
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【狂気】”友好”のために北朝鮮入りした監督が撮った映画『ザ・レッド・チャペル』が映す平壌の衝撃
倫理的な葛藤を物ともせず、好奇心だけで突き進んでいくドキュメンタリー監督マッツ・ブリュガーが北朝鮮から「出禁」を食らう結果となった『ザ・レッド・チャペル』は、「友好」を表看板に北朝鮮に潜入し、その「日常」と「非日常」を映し出した衝撃作
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【現実】権力を乱用する中国ナチスへの抵抗の最前線・香港の民主化デモを映す衝撃の映画『時代革命』
2019年に起こった、逃亡犯条例改正案への反対運動として始まった香港の民主化デモ。その最初期からデモ参加者たちの姿をカメラに収め続けた。映画『時代革命』は、最初から最後まで「衝撃映像」しかない凄まじい作品だ。この現実は決して、「対岸の火事」ではない
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【衝撃】NHKがアマゾン奥地の先住民ヤノマミ族に長期密着。剥き出しの生と死、文明との共存の難しさ
NHKのディレクターでありノンフィクション作家でもある国分拓が、アマゾン奥地に住む先住民ヤノマミ族の集落で150日間の長期密着を行った。1万年の歴史を持つ彼らの生活を描き出す『ヤノマミ』は、「生と死の価値観の差異」や「先住民と文明との関係の難しさ」を突きつける
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文化大革命の最中、国交が成立していなかった中国から自力で帰国した中国残留孤児がいた。その娘である城戸久枝が著した『あの戦争から遠く離れて』は、父の特異な体験を起点に「中国残留孤児」の問題に分け入り、歴史の大きなうねりを個人史として体感させてくれる作品だ
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【不安】環境活動家グレタを追う映画。「たったひとりのストライキ」から国連スピーチまでの奮闘と激変…
環境活動家であるグレタのことを、私はずっと「怒りの人」「正義の人」だとばかり思っていた。しかしそうではない。彼女は「不安」から、いても立ってもいられずに行動を起こしただけなのだ。映画『グレタ ひとりぼっちの挑戦』から、グレタの実像とその強い想いを知る
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核戦争ギリギリまで進んだ「キューバ危機」。その陰で、世界を救った民間人がいたことをご存知だろうか?実話を元にした映画『クーリエ:最高機密の運び屋』は、ごく普通のセールスマンでありながら、ソ連の膨大な機密情報を盗み出した男の信じがたい奮闘を描き出す
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「マルタン・マルジェラ」というデザイナーもそのブランドのことも私は知らなかったが、そんなファッション音痴でも興味深く観ることができた映画『マルジェラが語る”マルタン・マルジェラ”』は、生涯顔出しせずにトップに上り詰めた天才の来歴と現在地が語られる
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【衝撃】『殺人犯はそこにいる』が実話だとは。真犯人・ルパンを野放しにした警察・司法を信じられるか?
タイトルを伏せられた覆面本「文庫X」としても話題になった『殺人犯はそこにいる』。「北関東で起こったある事件の取材」が、「私たちが生きる社会の根底を揺るがす信じがたい事実」を焙り出すことになった衝撃の展開。まさか「司法が真犯人を野放しにする」なんてことが実際に起こるとは。大げさではなく、全国民必読の1冊だと思う
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「500年に一度の天才」などと評され、一介のチェスプレーヤーでありながら世界的な名声を獲得するに至ったアメリカ人のボビー・フィッシャー。彼の生涯を描く映画『完全なるチェックメイト』から、今でも「伝説」と語り継がれる対局と、冷戦下ゆえの激動を知る
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