目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:松岡茉優, 出演:渡辺大知, 出演:石橋杏奈, 出演:北村匠海, 出演:趣里, 出演:前野朋哉, 出演:古舘寛治, 出演:片桐はいり, 監督:大九明子, プロデュース:白石裕菜
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この映画をガイドにしながら記事を書いていくようだよ
この記事で伝えたいこと
「リア充として生きられそうなのに、生きるのが辛い系の人」は実はたくさんいる
見た目では気づかないから「ヨシカ」のような女性はリアルな存在には見えないかもしれない
この記事の3つの要点
- 「生きるのが辛い系の人」と結構関わる機会が多かった
- イメージで捉えられることで「辛さ」を表に出すことが難しくなる
- 「ヨシカのような女性がはたくさんいる」と認識することで、社会はもう少し穏やかになるはず
松岡茉優も、彼女が演じる江藤良香もどちらもとても好きなので、非常に楽しめる映画でした
自己紹介記事
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もの凄く良い映画でした。
私は、女優・松岡茉優も好きですし、彼女が演じる江藤良香というキャラクターもとても好きです。だから、この映画がとても良く感じられるのかもしれません。
普段から色んな映画を見ていますが、この映画を観た時のようなウキウキとテンションが上がる感覚は、なかなか感じられないと思います。
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リア充として生きられそうなのに、生きるのが辛い系の人
私はこれまで、「リア充として生きられそうなのに、生きるのが辛い系の人」に結構会ってきたと思います。
「好き」っていうとなんか聞こえが悪いけど、確かにそういう人とは話が合うし面白いって思う
そういう人は、パッと見の印象では、失礼ながら「人生楽しく生きられそうな人だな」と感じます。好かれそうな容姿で、周りの人と楽しそうに喋っていて、なんなら場の中心にいるとさえ感じる人です。深く関わることがなければ、そのまま「リア充」だと判断してしまうでしょう。
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しかし、そういう人が実は、生きづらさやしんどさを抱えていたりするのだと、様々な人と関わる中で理解するようになっていきました。
私は普段から、「どんな話をしてもらっても大丈夫」という雰囲気を出しているつもりです。だから、年下の女性から当然のように「生理」の話が出てきたりします。私の方から聞いているわけではなく、話の流れの中で普通に話題として出てくるのです。それは、私が意識して「どんな話をしてもらっても大丈夫」という雰囲気を出しているからだ、と自分では思っています。
そしてだからこそ、普段は仮面を被って世間と向き合っている人たちの本音を聞けることがあるのです。
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私が20代の頃に一緒に働いていた女性のことは、今でも印象的に覚えています。彼女はすごく「リア充」っぽい、日々楽しそうに生きている感じの女の子でしたが、話してみると、かなりマイナス思考で自己肯定感が低いのです。「毎日死にたいと思っている」と話していて、「遺書を書いたことがある」という点で私と共通するような感じでした。
ちょっと前に久々に連絡を取ってみたら、結構変わってたんだよね
「昔こんなこと言ってたよ」と伝えたら、「それ私の話ですか?」と疑われたぐらい
また、同じ頃出会った別の女性が、「異性から告白されたことがあるか?」という話題の際、非常に印象的なことを言っていたことを思い出します。彼女は、「私は自分のことが好きじゃないし、ろくでもない人間だ。そんなろくでもない人間を好きだと言ってくる奴は頭がおかしいんだから、そんな人のことを好きになれるはずがない」と言っていました。後にこういう感覚には「蛙化現象」という名前がついていることを知ったのですが、彼女の話を聞いた時には本当に驚きました。彼女もまた「リア充」側の人に見えたからです。
また別の機会に、その女性の「ろくでもない人間のことを好きだと言う人間はろくでもないから好きになれない」という話を別の女性にしてみたところ、彼女は「それは私が7年掛けてたどり着いた結論だ」と至極共感していました。
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この映画の主人公である江藤良香も、似たようなタイプの女性です。
私ごときが求め過ぎちゃダメなんですよね。手の届かないものばっかり欲しがって。本能のままに生きるなんて野蛮。
そう初めてあの時自分から話しかけちゃったんですよ。あぁ本能側の人間に成り下がっちゃったって。
ナチュラルにこういうことを考えているのです。
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この映画には原作があり、江藤良香が原作でどのような設定になっているのか私は知りません。ただ、映画では松岡茉優が演じており、見た目だけで言えば否応なしに「リア充感」が溢れ出てしまいます。そしてそんな女性が自分を卑下するような言葉を口にするのです。
著:綿矢 りさ
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「リア充として生きられそうなのに、生きるのが辛い系の人」の存在を知らない人には嘘っぽく感じられる設定かもしれませんが、私は、江藤良香みたいな人いるよなぁ、ととてもリアルに感じさせられました。
っていうか、「生きてるのが辛い」みたいな部分が垣間見えないと、なかなか人間に興味が持てないのよ
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「リア充として生きられそうなのに、生きるのが辛い系の人」は外見では分からない
「リア充」に見えるのだから当然ですが、「リア充として生きられそうなのに、生きるのが辛い系の人」は、なかなか外から見ているだけではそうとは判断できません。
誰もが「他人からの見られ方のイメージに合わせた振る舞いをしてしまう」という経験があるのではないでしょうか。最近では、「男だから」「女だから」みたいなイメージからは大分解放されるようになったと思いますが、「優しそう」「モテそう」「お金持ってそう」みたいな見られ方に合わせた振る舞いをしてしまうことはあるのではないかと思います。
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突然話は変わりますが、私は黒髪の女性が好きです。で、ある女性に昔そういう話をした時に、彼女が「髪の毛を少し茶色にするのは、世間に馴染むためだ」みたいなことを言っていて面白いと感じたことがあります。黒髪のままだと、「頑固そう」「意思が強そう」と思われることが多く、そういうイメージを嫌う人は少し髪を明るくするのだ、とのことでした。
まあ私には、「頑固そう」「意思が強そう」っていう見え方に悪いイメージはないけどね
でも確かに黒髪だと、「キュート」より「クール」という評価になりそうな気はするかな
「リア充として生きられそうなのに、生きるのが辛い系の人」は、「リア充っぽい」と見られてしまうが故に、そのイメージから外れるような振る舞いをすると「違和感」を持たれてしまうでしょう。実際に女性からそういう話を聞いたこともあります。「髪を茶色にする」みたいに何らかの方法で「リア充感」を減らせればいいですが、それも難しいでしょう。
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だから、無理のない範囲でイメージに合わせた振る舞いをするしかありません。そして、そうであればあるほど「リア充感」は増すことになるので、やはりそのイメージから逃れられなくなります。
だから外から見るだけではなかなか判断ができません。
私は普段から、明るく元気に楽しそうに生きている人に対しても、「実は辛い部分を隠しているのではないか」という視点をできるだけ忘れないように意識しています。そういう「辛さ」を表に出せない人の方が、余計にしんどいだろうと思うからです。自分から根掘り葉掘り聞くようなことはしませんが、「誰かに話を聞いてもらいたい」という時に私がその選択肢になれるよう、自分の振る舞いを整えているつもりではいます。
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「江藤良香のような人は私たちの身近にたくさんいる」という認識がもっと広まれば、そういう人たちも「辛さ」を表に出しやすくなると思うし、みんなが少しずつ生きやすさを感じられるのではないでしょうか。
だから私は、「辛い」「苦しい」という話をしてもらえると「嬉しい」と感じるようになってしまった
そういう話が出てくると、「信頼されているのかも」って思えたりするしね
映画『勝手にふるえてろ』の内容紹介
24歳、経理として働くOLのヨシカは、人生で一度も彼氏がいたことはない。しかし、「イチ」と呼んでいる「脳内彼氏」がいる。「イチ」は中学時代の同級生であり、今でもその姿を脳内に呼び覚ましては様々な妄想に耽っているのだ。しかし中学の頃でさえ、「イチ」とさほど関わりがあったわけではない。彼女が編み出した「視野見」、つまり、視野の端で捉えるやり方で「イチ」をずっと見ていただけで、接点はほぼなかった。だからこそ、ごく稀に関わった記憶を何度も何度も思い返してはキュンキュンしているのである。
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インドア派のヨシカは、博物館払い下げのアンモナイトの化石を買ってしまうほど絶滅した動物が好き。もちろん、周りと趣味が合うわけもなく、ひたすら職場と家を往復するだけの、特に何も起こらない日々を過ごしている。社内では、隣の机のクルミと仲が良く、日々くだらない話をしたり、相談し合ったりという関係だ。
そんなクルミからある日、営業と飲み会があると誘われた。しかしヨシカは全然乗り気になれない。パスしようと思ったのだが、クルミに押し切られる形で参加することになってしまった。案の定、飲み会の浮ついたノリについていけず、嫌悪感は増すばかり。
その飲み会で、普段仕事でちょいちょい関わりがある、彼女が「ニ」と呼んでいる男と連絡先を交換することになる。「ニ」はヨシカと積極的に関わろうとしてくるのだが、脳内彼氏との妄想に忙しいヨシカに相手をしている余裕はない。
しかしある日ヨシカは「ニ」から突然告白される。彼女は、脳内の「イチ」と現実の「ニ」のどちらかを選ばなければならなくなり……。
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映画『勝手にふるえてろ』の感想
冒頭でも書いた通り、私は松岡茉優も江藤良香(ヨシカ)も大好きなので、メチャクチャ楽しめました。さらに言えば、松岡茉優を好きになったのも元々、彼女が「リア充として生きられそうなのに、生きるのが辛い系の人」だと知ったからです。以前何かのテレビ番組で、「学生時代、あまりにも話し相手がいないので、ヘッドセットをつけてパソコンに向かって話をしていた」というエピソードを語っていて、かなり衝撃を受けました。それ以外のエピソードを知っているわけではないのですが、なんとなくヨシカを演じるのにピッタリという印象があります。
映画は全体的に「妄想」に彩られており、その構成も見事だと感じました。詳しくは触れませんが、「妄想」という要素を非常に効果的に使うことで、ヨシカという女性のパーソナリティを一層くっきりと描き出せていると思います。
「ある事実」が観客に明かされる前後での、ヨシカや映画全体のテンションの落差はなかなか凄まじいからね
なんとなく予想できる部分もあるけど、「うぉ、マジか!」って感じしたなぁ
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さらに物語が展開するにつれて、ヨシカの「狂気」も増していくのです。「ニ」がある場面でヨシカに「思考回路が悪魔的」と告げるのですが、そんな風に言いたくもなるよなと感じてしまうくらい、ヨシカの「ヤバさ」が徐々に露わになっていきます。後半でヨシカがダンボール箱にモノを詰めているシーンは、常軌を逸していると言っていいでしょう。それを松岡茉優がまた絶妙に演じるんだわ。
ともすれば「嫌悪感」を与えるだけにもなりかねない江藤良香という女性を、私たちが生きている世界のどこかに実在しそうなリアル感を漂わせる形で存在させたのは、まさに松岡茉優の功績と言っていいでしょう。
素晴らしい映画でした。
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出演:松岡茉優, 出演:渡辺大知, 出演:石橋杏奈, 出演:北村匠海, 出演:趣里, 出演:前野朋哉, 出演:古舘寛治, 出演:片桐はいり, 監督:大九明子, プロデュース:白石裕菜
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ヨシカのような女性は「こじらせ女子」というあまり良い意味で使われない呼称で呼ばれてしまうでしょう。しかし、この映画に共感する女性は多いだろうし、誰もがある程度「ヨシカ的な部分」を抱えて生きているとさえ思っています。
どれだけ「リア充」っぽくても「生きづらさ」を抱えてしまう人がいるのだとみんなが当たり前のように意識できるようになれば、もう少し世界は穏やかになるのになぁ、と改めて感じさせられました。
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実際に起こった衝撃的な事件に着想を得て作られた映画『ルーム』は、フィクションだが、観客に「あなたも同じ状況にいるのではないか?」と突きつける力強さを持っている。「普通」「当たり前」という感覚に囚われて苦しむすべての人に、「何に気づけばいいか」を気づかせてくれる作品
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専門学校の卒業制作として濱口竜介が撮った映画『親密さ』は、2時間10分の劇中劇を組み込んだ意欲作。「映像」でありながら「言葉の力」が前面に押し出される作品で、映画や劇中劇の随所で放たれる「言葉」に圧倒される。4時間と非常に長いが、観て良かった
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