目次
はじめに
この記事で取り上げる映画

「シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録」公式HP
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
今どこで観れるのか?
公式HPの劇場情報をご覧ください
この記事の3つの要点
- 唐十郎や劇団員はとにかく酒ばかり飲んでいるのだが、その中で、監督の大島新が「やった!」と感じた”豹変”が見られた
- 「本作の0号試写で不機嫌になった唐十郎が、後に大島新をべた褒めしたエピソード」から伝わる彼の性格とは?
- 劇団員にも焦点が当てられ、続けるべきかどうかの葛藤や、演じることへの情熱などが映し出される
 上映後のトークイベントで「あんな変な大人はいない」と言い合うほどには奇妙な存在だったようである
自己紹介記事
			
				
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どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません
唐十郎主宰の劇団唐組を追ったドキュメンタリー映画『シアトリカル』には、様々な「狂気」が映し出されている。芝居に生きる者たちの”生き様”とは?
劇場での上映は17年ぶりになるのだそうだ。どうにか観ようと思い、仕事終わりにダッシュで向かったのだが、それでも、映画館の最寄り駅に着いたのが上映開始時間の2分前。どうにか滑り込んで鑑賞出来た。
しかしホントに凄い世界だなと思う。
			
				
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直前まで知らなかったが、私が観た日は、監督の大島新と、かつて劇団唐組に所属していた鳥山昌克のトークイベントが行われた。そしてその中で2人が、「あんな変な大人はもういないですよね」「っていうか、別に昔もいなかったですよ」みたいなやり取りをしていたのだ。本作を観れば、誰もが「確かにそうかもしれない」と感じるんじゃないかと思う。
 
本作『シアトリカル』で映し出される「劇団唐組」とは一体何なのか?
本作は2006年11月の、翌年春に行う新作公演の脚本が出来上がった日から始まる。1988年立ち上げの劇団唐組では、毎年4月に新作公演を行うと決まっているそうだ。今回のタイトルは『行商人ネモ』である。
というわけで、まずは撮影時の情報に触れておくと、劇団員は14名で、その平均年齢は30歳。そして14人の内の7人は、唐十郎が「当て書き」をする役者で、「あなたはこの役をやって下さい」と指定される。この7人は、固定給をもらえるのだそうだ。しかしそれ以外の劇団員は、公演ごとにギャラはもらえるがそれだけでは生活出来ないため、アルバイトも並行して行っている。
			
				
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劇団唐組には、劇団員以外のスタッフはいない。つまり、役者自ら制作や照明などの業務も行うのである。劇団唐組では、「唐十郎が書いた台本を手書きで清書する」のが伝統なのだそうで、それも劇団員の仕事のようだ。さらに、舞台装置も自ら作っていた。というか、この事実さえ知らずにを観たのだが、劇団唐組は「移動サーカス」のように自らテントを設営し、その中で演劇を行うスタイルなのだ。本作中で映し出される公演の起点は大阪なのだが、彼らは東京からテントや舞台装置一式をトラックに積み込んで移動していた。さらに劇団員の宿泊場所は、何か縁があったのだろう、提法寺というお寺なのである。劇団員が他の仕事も兼務するというのは他でもあるだろうが、テントを設営するというのはなかなかないんじゃないかと思う。実に気合いの入った劇団である。
そして本作では、そんな劇団唐組に密着しているわけだが、はっきり言って、「演劇をやっている場面」より「酒を飲んでいる場面」の方が多い。いや、多いかどうかは正確には分からないが、「『酒を飲んでいる場面』の方が印象に残る」ことは確かである。トークイベントで鳥山昌克は、「毎日飲み会があった」と話していた。「当て書き」の劇団員はともかく、アルバイトしなければならない面々はかなり苦労させられたんじゃないかと思うが、まあそれも含めて「劇団唐組」なのだろう。
ちなみに、どうでもいいことを書いておくが、私は「唐十郎」と「麿赤兒」をどうも混同していたようで(映画を観るならそれぐらい把握しておけよって感じだが)、「唐十郎って、大森立嗣とか大森南朋の父親だったよなぁ」なんて思いながら観ていた。全然違う。実際には、唐十郎というのは大鶴義丹の父親なのだそうだ。いや、それはそれでまた驚きではあるのだが。
			
				
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で、そんな唐十郎は、普段は「実に穏やかに話をする人」という印象なのだが、酒を飲むと何かのスイッチでも入ったかのように豹変する。劇団唐組の稽古場は唐家の自宅に隣接しているため、本作に映し出される宴席には唐十郎の娘と息子(この時映っていたのが大鶴義丹だったのかは不明)もいたのだが、その中で娘が父親について聞かれ、次のように答える場面があった。
お父さんは凄い人だと思うけど、お酒を飲んだ時だけは「???」って感じになっちゃう。
子どもの目から見てもやはりちょっとおかしかったのだろう。ただ、娘は続けて「まあ、酔ってああなっちゃうのは仕方ないと思うけど」みたいにも言っていたのだが。
さて、この点に関してはトークイベントの中で面白いやり取りがあった。鳥山昌克が監督の大島新に、「これは是非聞きたかった」と前置きして、「怖い父親の息子として生きるってのはどういう感じなのか?」と質問していたのだ。知っている人は知っているだろうが、大島新の父親は映画監督の大島渚である。そして私は全然知らなかったのだが、大島渚というのはとにかく「怖い人」として有名なのだそうだ。
			
				
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それで、そんな風に聞かれた大島新は、「『唐十郎の子ども』として生きるより、『大島渚の子ども』として生きる方がまだマシかなって思った」と答えて会場を沸かせていた。まあ、別に沸かせるためにリップサービスをしたみたいなことではなくて、きっと本心なのだろうけど。「ややこしい父親を持つ子ども」目線でも、唐十郎というのは相当にややこしい人物に見えるということなのだろう。
そんなややこしい人物が主宰するのが劇団唐組であり、だからこそ「狂気」に満ちあふれているというわけだ。
 
監督・大島新が目撃した、唐十郎の「異様さ」と「分かりやすさ」
宴席で豹変する姿が映像に残っているのだから、当然、監督の大島新はその場に立ち会っている。彼はもちろん「怖い」と思ったそうだが、同時に「やった!」とも感じたそうだ。そこには、本作『シアトリカル』の撮影の裏話が関係している。
			
				
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実は大島新は、本作の撮影の1年ほど前に、『情熱大陸』の取材で唐十郎に密着していたのだという。しかしその時は「消化不良だった」という想いが強かったそうだ。もちろんそこには、「正味25分程度しかないテレビの尺では『唐十郎』という異端児を描くことなど出来ない」という感覚もあったわけだが、決してそれだけではなかった。大島新は密着している間じゅう、「唐十郎は『よそ行き』だ」と感じていたというのである。
大島新は大学時代から唐十郎の演劇を観ていたそうだ。だから彼の中には「唐十郎のイメージ」が明確に存在していたのだと思う。しかし、『情熱大陸』の密着の際には、どうも「お行儀が良い感じ」で面白くなかったのだろう。そして、そんなモヤモヤした気持ちを持っていたからこそ改めてドキュメンタリーの撮影を行ったのだし、そこで「豹変した姿」を目にすることが出来たから「やった!」という感覚になれたのだと思う。
さて、本作のタイトルである「シアトリカル」というのは、「劇っぽい/劇風の」みたいな意味なのだそうだ。では、どうして本作にそのようなタイトルが付けられているのだろうか? それは「唐十郎は、普段から『唐十郎』を演じているから」なのだそうだ。この点については、タイトルを付けた大島新だけではなく、唐十郎を長年間近で見続けてきた鳥山昌克も同じ印象を持っているという。また唐十郎本人も、「自分は多重人格だから」みたいな発言をしており、その認識は、周囲からのそんな印象を補強するようなものではないかと思う。
			
				
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実はこの点に関しても、トークイベントの中で面白い話に触れられていた。映画『シアトリカル』が完成した後行われた「0号試写」(関係者向けの試写会)の席でのことである。唐十郎は当初ウキウキしながら観ていたのだが、次第にうつむき加減になり、しまいには一度家に戻ってしまったという(恐らくだが、この時の0号試写は稽古場で行われたのだと思われる)。とにかく本人的には相当不満の残る映画だったようだ。大島新は、「0号試写の後の飲み会で唐十郎から、『俺はこう見えてもダンディで売ってるんだから、もう少し考えてくれよ』と言われた」という話を披瀝していた。鳥山昌克はこの話を初めて耳にしたそうだ。
さて、面白いのはここからである。その後、『シアトリカル』が劇場公開されると、雑誌『ぴあ』の満足度調査でなんと1位になったのだという(その時の2位は、織田裕二主演のリバイバル版『椿三十郎』)。そしてその評価を受けて、大島新に電話してきた唐十郎が映画をベタ褒めしたというのだ。なんとも分かりやすい人である。
そして、唐十郎のそんな反応から、大島新はある確信を抱いたそうだ。それが、「唐十郎は映画『シアトリカル』を自身の主演映画だと思っていた」である。
			
				
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ドキュメンタリー映画には、「被写体」はいるが「主演」はいない。ドキュメンタリーというのは「演技」ではなく「日常」を映し出すものだからだ。しかし唐十郎は、日常的に「唐十郎」を演じて生きている。だからこそ、それがドキュメンタリーであろうがなんだろうが、自身にカメラを向けられればそれは「主演映画」なのである。そしてそれ故に、「そんな主演映画を世間が評価してくれたこと」が嬉しかったのだと思う。つまりこの時の反応は、「唐十郎が普段から『唐十郎』を演じていること」の傍証だと言っていいだろう。
 
さて、この「自身の主演映画だと思っていた」という話に絡めて、トークイベントの中で鳥山昌克が話していたことにも触れておこうと思う。
そして本作では、「たたき場」と呼ばれる「舞台装置を作るために借りている倉庫のような場所」で開かれていた飲み会の様子も映し出される。そしてその飲み会に唐十郎はおらず、だからこそ劇団員はとてものびのびとした笑顔を見せていた。このシーンについて鳥山昌克は「本作の見所の1つですね」と言うのだが、それを受けて大島新が、「唐さんがこれを見たらマズいことにならないんですかね?」と質問したのだ。
			
				
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これに対して鳥山昌克が、「いや、別に見てないでしょ」と返していたのが面白かった。つまり、「自分が出てこないシーンなどどうでもいい」というわけだ。あくまでも鳥山昌克の予想でしかないが、「確かにそうかもしれない」と思わせるような説得力がある話だなと感じた。
作中で取り上げられる劇団員について
本作『シアトリカル』は当然唐十郎を中心に展開されるわけだが、その一方で、長年劇団を支えてきた劇団員にも焦点が当てられる。鳥山昌克もそんな1人で、彼はなんと、唐十郎が劇団唐組を立ち上げた頃から所属している最古参だという。トークイベントで彼は、「飲み会では、僕が一番酒を飲んでいなかったと思う」と言っていたのだが、その理由が「『終わりにしましょう』って僕が言わないと飲み会が終わらないから」だそうだ。しかし、「飲んでいないこと」がバレるとマズいからだろう、「ずっと酔ったフリをしていた」とも言っていた。大島新の、「劇団唐組では常に芝居をしていないといけないってことですね」という返しはなかなか上手かったなと思う。
さて、そんな劇団員の描写で興味深かったのが、「劇団員を続けるか悩んでいる赤松由美」と、「長いこと劇団唐組の主演女優を任されてきた藤井由紀」の2人である。再上映に際して作られた公式HPでは上映後のトークイベントの登壇者が予告されていて、その中にこの2人の名前もあった。藤井由紀は今も劇団唐組の劇団員のようだが、赤松由美の紹介は「俳優・コニエレニ主宰」となっていたので、どこかのタイミングで劇団唐組を辞めたのだろう。しかしやはり、演じることからは離れられなかったようである。
			
				
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赤松由美については作中で、「八丈島でタクシー会社を営む実家が火事になり、営業車も燃えてしまった」という、実にハイカロリーな紹介がなされていた。そしてそんな状況でも、家族からは「好きなことを続けろ」と応援してもらっているようだ。しかし彼女自身はやはり、「実家がこんな状況なのに演劇なんか続けてていいんだろうか?」みたいに悩んでいた。
そして、居酒屋で彼女からそんな話を聞かされていたのが藤井由紀である(同じ席に、5年目22歳の多田亜由美もいた)。彼女はそこで、自身の経験や想いを赤松由美に語っていた。
藤井由紀は主演女優であり、そして制作チームのリーダーでもある。シンプルに、メチャクチャ大変だろうなと思う。ただ、彼女は「中学3年生の時に『劇団員になる』と親に伝えて怒られた」みたいに言っていたのだが、どうやらその時の情熱が今も絶えないままであるようだ。監督から「将来の夢は?」と聞かれた彼女は、「今のまま演劇を続けられて、楽しく暮らせればいい」みたいに答えていた。本当に演じることが大好きなようで、彼女のこんな言葉も印象的である。
			
				
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同級生には、バリバリ働いていたりとか、結婚して子どもがいたりするのもいるけど、「ああ、良い演技が出来た」みたいな実感は私しか得られないって思ってる。
これほどまでに「好き」を全力で追求出来る人生は素敵だなと思う。そこまで熱中出来るものに結局出会えなかった私には、羨ましささえ感じられるほどだ。もちろん、大変な人生だろうなとは思うけれども。
			
				
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最後に
 
トークイベントの中で鳥山昌克は、「久々に唐さんの目を見たけど、力があって凄くいいですね」という主旨の発言を2度もしていた。よほど印象的だったのだろう。さらに、鳥山昌克も大島新も、唐十郎に対して「怖いし魅力的」という表現を使っていた。私は画面を通じて観ているに過ぎないが、それでも確かに「得体の知れない圧倒的な何か」を感じさせられた気がする。だから、間近にいたら「怖いし魅力的」みたいな感想にもなるだろうなと思う。
			
				
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では最後に。この記事では、先入観を持たずに本作『シアトリカル』を鑑賞してもらうためにある事実を伏せた。その事実は映画のラストで明かされる。ドキュメンタリー映画としてはかなり異例と言っていいだろう。字幕で、「7割は◯◯、2割は◯◯、残り1割は◯◯」と表記されるのだが、それでようやく「あー、なるほど、そうだよなぁ」という感じになれた。観ていない人には何を言っているか分からないだろうが、「そうじゃなきゃ、あまりにもあまりにもだよなぁ」というシーンがあるのだ。全部で4ヶ所あるという。ただ、「これが俳優だよ」と「こんなところ撮るなよ」は間違いなくそうだと思うのだけど、あと2ヶ所はどれか分からないままである。
そんなわけで、なかなか興味深い作品だった。
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