目次
はじめに
この記事で取り上げる本
著:飲茶
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ポチップ
この本をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 西洋哲学が理解できないのは、「何故その考え方が生まれたのか?」という背景を知らないから
- 哲学入門書に足りないのは『グラップラー刃牙』成分だ
- 古代から現代に至るまで、「真理」の探求はどのようになされたのか?
「『既存の考え』を打ち倒すために『新たな考え』が生まれる」という流れが恐ろしいほど分かりやすい超絶入門書
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私は「哲学」が好きで、本もそれなりに読んできた。ただ、いわゆる「原著」には手を出したことがない。ニーチェの『ツァラトゥストラ』、ウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』、ハイデガーの『存在と時間』など、「いつか読んでみたい」と思う本は色々あるが、今の私が読んでもとても理解できないだろうからだ。
そんなわけで、その解説本に手を出してみるのだが、それでもまったく理解できない。書いてあることが難しすぎて、何を言っているのかさっぱり分からないのだ。
その理由の一端は、本書を読んで理解することができた。それは、「そのような考えがなぜ生まれたのかを知らない」からなのだ。
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少し哲学の話から外れよう。私は、実話を元にした映画を観るとこんなふうに感じることがある。「元になった実話は、この映画が制作された国では有名だろうから、映画の中ではその詳細が描かれない。だから、その国以外の人が観たらよく分からなくなってしまうのだろう」と。
例えば、日本で「東日本大震災」に関する映画を作るとする。この場合、「誰もが知っているような基本的な事実」については省略される可能性が高いだろう。そんなことを説明しなくても、日本人はみんな知っているからだ。
しかし、日本以外の国の人が同じだけの情報を持っているとは限らない。もしかしたらその映画を外国人が観たら、「説明が足りなくてよく分からない」と感じるかもしれない。
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「哲学」にも、同じことが言える。どんな哲学的な主張にも、「その主張が生まれるに至った背景」が存在するはずである。「哲学」の場合は、「それまでの考えを打ち破る概念」として登場することが多い。
だからこそ、「哲学」を知るためにはまず、「それまでの考え」を理解していなければならない。しかし当然だが、その「それまでの考え」にしても、「さらにそれ以前の考え」を打ち破るために出てきたものなのだ。
このように、特に西洋哲学は、「既存の考えを打ち倒すために新しい考え方が登場する」という繰り返しによって発展してきたのである。
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さて、話は突然変わるが、本書『史上最強の哲学入門』の表紙の絵は、『グラップラー刃牙』シリーズの板垣恵介が手掛けている。その理由は本書を読めば分かるが、この「既存の考えを打ち倒す」という西洋哲学の歴史を、「史上最強を決める闘い」という『グラップラー刃牙』の設定と重ねているのである。本書の著者は、「今までの哲学入門書には『バキ分』が足りなかった」という表現をしているほどだ。
だから、物凄く分かりやすい。
本書は、西洋哲学を「真理」「国家」「神」「存在」の4つのテーマに分け、それぞれについて「誰がどのようにして『既存の考え』を倒してきたのか」という展開で哲学的な思想が語られていく。単体ではあまりに唐突に感じられる主張も、「このような『既存の考え』を倒すためにこの新たな考えが生まれたのだ」と説明してくれるので、「なるほど、そういうことなら理解できる」と素直に感じることができる。
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本書で取り上げられる哲学は恐らく、どれ1つとっても、原著を読んだところでまったく歯が立たない、超絶難解な思想のはずだ。しかしそれらを、難しい言葉を一切使わず、現代的な喩えもふんだんに盛り込みながら、私のような「哲学なんて全然理解できません」という超ド素人にも分かりやすく説明してくれる。
この記事を書いている日にamazonのレビューを見たところ、ちょうど「1400個の評価」だった。その内の67%が星5つ、21%が星4つなので、星4つ以上が88%という超高評価だ。評価の絶対数も、高評価の割合も、なかなかの異常値と言っていいだろう。
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本書『史上最強の哲学入門』の第1章の内容をざっくりと紹介する
さてそれでは、本書がどんな風に哲学思想を紹介するのかを体感してもらうために、第1章「真理」の内容についてざっと流れを書いてみようと思う。「新しく生まれた考え方」が「既存の考え方」にどのように反応して登場したのかが非常に分かりやすいと伝わるだろう。
神話の時代
古代の人々は、人類の来歴や自然現象など様々な出来事を「神話」によって理解していた。つまり、「何がどうなっているのかはよく分からないが、とにかく『神様』がそのようにしているのだ」という捉え方である。
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さて一方、農耕が発達することによって次第に「都市」という概念が生まれるようになり、必然的に都市間交流が始まっていく。そして人々は驚いた。何故なら、それぞれの「都市」で信じられている「神話」が違うからだ。「『神様』がそのようにしている」という解釈が「神話」なのに、それが都市ごとに違うってことは、「神話」なんてすべて嘘なのではないか……。
相対主義・プロタゴラス
このように、「信じている『神話』が違う」と判明したことで、「真理というものは人や時代によって変わる相対的なものでしかない」という「相対主義」という考えが生まれることになる。
そんな相対主義の代表格として知られるのがプロタゴラスだ。彼は「人間は万物の尺度である」と唱え、「あらゆるものは人間が各自の尺度で判断すべきであり、絶対的なものなどない」という主張を展開していく。
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プロタゴラスに代表される相対主義は、当時の政治家が学ぶべき必須項目だった。何故ならそれは「最強の議論テクニック」として使えるからだ。相対的な価値観を持ち出すことによって、相手のどんな主張に対しても、黒を白に、白を黒に変えることが可能なのである。
しかし、相対主義が「最強の議論テクニック」であるが故に、政治家は真面目に仕事をしなくなってしまう。相対主義を学べば、どんな議論にも打ち勝つことが出来るのだから、相対主義を学んだ政治家は、民衆に聞こえの良いことばかり言う衆愚政治に陥ってしまうのだ。真面目に政治を語っても人気は得られないし、美辞麗句を並べるだけで選挙に勝てるなら、誰も真面目に政治をやろうなんて思わなくなるのも当然だろう。
無知の知・ソクラテス
そんな時代に現れたのが、「最強の論客」として知られるソクラテスである。彼は誰に対しても、「◯◯って何ですか?」という質問をし続け、相手がボロを出したところで反論しまくるという手法で、ありとあらゆる政治家をバタバタと打ち倒していったのだ。
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ソクラテスは相対主義的な考えを嫌い、「絶対的な真理」を追求すべきだと考えていた。彼の言葉として有名な「無知の知」は、「無知な人間こそ賢い」という意味ではなく、「無知であることを自覚することこそ、真理を知る情熱を呼び起こす原動力だ」と信じていたことを示すものでる。
さて、堕落した政治家を打ちのめすソクラテスは当然、民衆から圧倒的な支持を得るが、一方で政治家からは恨みを買ってしまう。そのため、「若者を堕落させた罪」で死刑に処されてしまうのだ。
しかしソクラテスは、まさに自らの死を以って、「この世界には、命を賭けるに値する『真理』が存在する。そして人間はその『真理』の追究のために人生を抛つ強さを持つことができる」ことを示した。この行動は、ソクラテスの弟子たちを奮起させることになる。
その弟子の中にあのプラトンもいた。そして彼は、現在の大学の前身となる教育機関を作り、「学ぶ」ということを人生の大きな目標に据える生き方を提示することになるのである。
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キリスト教の支配と、科学の発展
しかし学問を続けても、なかなか「真理」には到達できなかった。やがて西洋はそのまま、キリスト教による支配に飲み込まれていくことになる。そして中世時代になると、「人間は理性だけで『真理』に到達することはできないのだから、神への信仰が必要だ」という考えが色濃くなってしまっていた。
しかしキリスト教による長い支配の時代は、ルネサンスや宗教改革によって終わりを告げる。そして科学や数学が徐々に発展し、再び学問によって「真理」を目指そうとする近代が始まっていくことになるのである。
我思う故に我あり・デカルト
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そんな時代に現れたのがデカルトだ。デカルトは、「哲学」という学問を統一し、再構築しようと考えていた。それまでの「哲学」というのは、様々な人間が「私はこう思う」「自分はこう考える」と主張しているに過ぎず、学問としてのまとまりはなかったのである。
そこでデカルトは、数学的な考えを採用することにした。
数学というのは、公理と呼ばれる「絶対的に正しい基本的な命題」からスタートし、それらを論理的な手続きで結びつけることで「定理」を見つけ出す、という形で展開される学問だ。
同じように、「絶対に正しいと言える前提」から始め、その上に新たな知見を積み上げていくようにして「哲学」という学問を統一できないだろうか、と彼は考えた。そのためにデカルトはまず、「絶対に正しいと言える前提」を探し出さなければならない。
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それを見つける指針としてデカルトは、「あらゆるものを疑って疑って疑った上で、それでもなお疑いきれずに残るものが存在するのなら、それこそ『真に正しいもの』と言えるだろう」と発想した。そしてデカルトは考えに考えた末、「このようにありとあらゆる物事を疑っている自分自身の存在だけはどうやっても疑うことはできない」と気づくのである。
これこそ「我思う故に我あり」が意味するところであり、デカルトはこれを「絶対に正しいと言える前提」(=第一原理)に据えることにした。
さて、「第一原理を導き出すまで」のデカルトの思索は物凄く高く評価されている。しかし何故か、その後の論理展開は非常に雑だった。当時の他の哲学者からもその点を指摘され、「デカルトの考えを批判する」という形で様々な「哲学」が生まれることになってしまう。「哲学」の統一を狙っていたデカルトとしては皮肉な結果と言えるだろう。
イギリス経験論・ヒューム
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デカルトへの批判の1つに、「イギリス経験論」と呼ばれるものがある。これは端的に言えば、「人間が頭で思い浮かべる知識や観念はすべて、経験から来たものにすぎない」という考え方だ。そしてこの「イギリス経験論」を完成させたと言われているのがヒュームである。
ヒュームは、デカルトが「疑い得ない」と考えた「私という存在」についても「経験」にすぎない、と反論した。つまり「私という存在」は単に、「『私』という継続した感覚を作り出している、痛みなどの知覚体験」でしかない、というわけだ。
ヒュームは、デカルト以上にありとあらゆるものを疑った。「神の存在」や「科学」さえも疑い、最終的には、「世の中のありとあらゆるものは『人間の経験』に過ぎず、それが『世界の本当の姿』と関係があるかは分からない」と主張するに至る。
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確かにヒュームの考え方には一定の説得力があった。しかし一方で彼は、デカルトの「第一原理」のような、「あらゆるものを疑った先の『どうしても疑いきれない何か』」を見つけることは出来ないままだった。ヒュームはあらゆるものを疑い続けたままのところで終わってしまったのである。
人間にとっての真理・カント
そんなヒュームが成し得なかったことに正面から向き合ったのがカントだ。
カントはヒュームが主張したように、「人間が経験から知識を得ていること」を認めていた。しかし一方で、その「知識の受け取り方」は人間の経験に依らない先天的なものだ、とも主張したのだ。
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さらにカントは、「『人間の知識の受け取り方』によって辿り着くべき『真理』は、人間固有のものだ」と考えた。ヒュームは、あらゆるものを疑った末に疑い得ないものにたどり着けなかったが、カントは、「人間にとっての『真理』が存在する」ということは疑えないという考えに行き着いたのだ。
その「真理」はイソギンチャクの「真理」とは違うかもしれないし、だからこそ、人間が目指すべき「真理」は絶対的なものとは言えないかもしれない。しかしカントは、とりあえず「『人間にとっての真理』を追い求めることはできる」と示唆したのである。
弁証法・ヘーゲル
このようにしてカントは、「哲学」が目指すべき行き先を照らした。しかし一方でカントは、どうすれば「人間にとっての真理」にたどり着けるのかは示せなかったのだ。
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その方法を示したのがヘーゲルである。
ヘーゲルは、「対立する考え方をぶつけて闘争させることによって、思想を発展させていくやり方」を提唱した。これには「弁証法」という名前がつけられている。
様々な考え方を闘わせ、勝ち抜いたもの同士をさらにぶつけるということを繰り返していけば、いつか「人間にとっての真理」にたどり着けるはずだ、という考え方は、フランス革命直後の民衆にすぐに受け入れられることになった。
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”今日”の真理・キルケゴール
さて、そんなヘーゲルの哲学に異を唱えたのがキルケゴールだ。彼はヘーゲルの考えを、「『今ここに生きている私』という個人を無視した、人間味のない哲学だ」とぶった切る。
確かにヘーゲルの弁証法を続ければ、”いつか”真理に到達できるだろう。しかし、そんな「”いつか”手に入るかもしれない真理」など、今を生きる自分たちには何の関係もない。
キルケゴールは、「今日真理を得ることができるのであれば、明日などいらない」という、ヘーゲルとは真逆のタイプの人間だったのだ。
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若者を熱狂させたサルトル
そんなヘーゲルとキルケゴールの対立を解消させるような考え方を提示したのがサルトルである。彼は、「じゃあその”いつか”を早めるために人生を賭けてみようじゃないか」と若者たちに呼びかけたのだ。
この言葉に彼らは熱狂した。何故なら退屈だったからだ。
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そして彼らは、より良い社会システムの実現のために身を投じることになる。資本主義が永遠に続くとは限らないという考えを背景に、当時「マルクスの共産主義」こそがより良いシステムだと考えられており、その実現のために反社会的な活動に飛び込んでいくことになるのだ。
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しかし、若者を煽るサルトルの考えに疑問を突きつける人物が現れる。それが、サルトルとは旧知の仲であるレヴィ=ストロースだ。彼は哲学者ではなく、世界中を渡り歩き、現地の人と生活しながら文化を研究する人類学者である。
さてここで、当時の西洋人の一般的な認識について触れておこう。彼らは、「人類の歴史には、たった1つのゴールがある」と考えていた。西洋人はその先頭を走っており、一方でジャングルの奥地にいるような民族は野蛮人でしかなく、その文明は劣っている。しかし彼らにしても、時間を重ねて努力すれば、いつかは自分たちみたいに機械を作り出す文明に追いつくだろう。
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レヴィ=ストロースはサルトルの考えを否定することで、西洋人の発想にも疑問を投げかけたのである。
理性を諦め、実用性を重視する
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何故なら、人類はなんとも愚かな歴史を積み重ねてきたからだ。
我々の世界では、醜い戦争や核兵器の保有など、まともな理性を持っていれば起こり得ないような出来事が幾度も起こってきた。人間にはまともな理性など期待できないのではないか? そのような考えが生まれるのも当然という感じだろう。
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プラグマティズムのデューイ
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その先頭に立ったのがデューイである。彼は自らの思想を「道具主義」と呼んだ。このようにして哲学者は、「実用的であれば『真理』と考えていい」という発想に立つことになる。それは、「絶対的な真理」を追い求めてきたはずの哲学の歴史においては奇妙な展開と言えるだろう。
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ポスト構造主義・デリダ
そして、「『真理』の探求」においてさらに奇妙な主張をしたのがデリダなのだ。彼の哲学は「ポスト構造主義」と呼ばれている。
これは、「答えの出ない問いについてどれだけ考えたところで正解は存在しない。だから、受け取る側が自由に解釈すればいいし、それを『真理』ということにすればいい」という、「実用主義」以上に身も蓋もない主張だ。そんな考えでいいなら、そもそも「哲学」なんていう枠組みは不要ではないか、と私は感じてしまう。
このようにして、古代から現代に至るまでの「真理」の探求の歴史が語られるのである。
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哲学についてなんとなく知りたいとか、知識はないけれど知的な興奮を味わいたいということであれば、迷わずオススメできる1冊だ。
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私の知識欲は多方面に渡りますが、その中でも哲学や思想は知的好奇心を強く刺激してくれます。ニーチェやカントなどの西洋哲学も、禅や仏教などの東洋哲学もとても奥深いも…
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