目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:Harvey Keitel, 出演:Tim Roth, 出演:Michael Madsen, 出演:Chris Penn, 出演:Steve Buscemi, 出演:Lawrence Tierney, 出演:Quentin Tarantino, 出演:Eddie Bunker, 出演:Kirk Baltz, 出演:Randy Brooks, 監督:Quentin Tarantino, プロデュース:Lawrence Bender, Writer:クエンティン・タランティーノ
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この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 冒頭の会話シーン以外は、最後まであっという間に感じさせられた、えげつなく面白い映画
- 「何が起こっているのかさっぱり分からないような状況」を会話だけで理解させ、べらぼうに面白く展開させてしまう天才的手腕
- 「マドンナからダメ出しを受けた」というエピソードから推察する、タランティーノの「想定外」
映画『パルプ・フィクション』はあまりしっくり来なかったけど、本作は超絶面白くてビックリした
自己紹介記事
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さて本作は、私が観たことのあるクエンティン・タランティーノ映画2作目である。初めて観た映画『パルプ・フィクション』は、正直なところイマイチ面白さが分からなかったのだが、本作『レザボア・ドッグス』はのけぞるほど面白かった。設定はこれでもかというくらいシンプルなのに、物語の展開がとにかく絶妙で、上映時間が100分もあったとは信じられないぐらいである。もっとあっという間に感じられたからだ。
そりゃあ世の中の人からすれば、「タランティーノ作品が面白い」なんて当たり前のことかもしれない。しかし、「映画館でしか映画を観ない」というルール縛りで映画を観ている私には、過去の名作を観る機会はなかなか無いのである。いやホントに、観られて良かったなと思う。
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ただ正直なところ、冒頭の会話のシーンだけはちょっと退屈だった。私には、何を喋っているのかほとんど掴みきれなかったからだ。「本作における役割」としては恐らく、「『彼らは普段からこんな会話をしている』という雰囲気を見せること」だと思うので、そう考えれば、「普段の仲間内の会話なのだから、分かりにくくてむしろ正解」という感じもする。ただ、私にはちょっと合わないシーンだったなぁ。
しかしその冒頭のシーン以降はとにかく、展開も構成もひたすら天才的な、見事すぎる作品だった。
映画『レザボア・ドッグス』の内容紹介
会話のシーンが終わるといきなり、「後部座席に『血まみれの男』を乗せた車が爆走している」という場面に切り替わる。彼らはそのまま、ある倉庫へとたどり着いた。どうやらそこは、「計画遂行後の集合予定場所」であるようだ。しかし、一体何の「計画」なのか。実は彼らは強盗で、ジョーという犯罪社会の大物の仕切りで練られた計画の決行日が、まさに今日だったのだ。そして、どうやら見事に失敗したようである。
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車を運転していたのが「ホワイト」、そして後部座席で血まみれになっていたのが「オレンジ」。そう、彼らはお互いを本名では呼び合わず、それぞれがコードネームとして色の名前を付けられているのである。
しばらくして、倉庫に「ピンク」がやってきた。映画冒頭の会話で、「ウエイトレスにチップを払うのは不合理だ」とボヤキ倒していた男である。彼は実に饒舌で、さらに頭も回るようだ。「ホワイト」と「オレンジ」の会話を聞き、すぐに「裏切り者がいる」と理解した。
というのも、彼らが宝石店を襲った直後すぐに警察がやってきたからだ。通常であれば、警報装置を作動させてから警察が到着するまでどんなに早くても4分は掛かる。しかし今回は、襲撃とほぼ同時に警察のお目見えだ。となれば、あらかじめ情報が漏れていたとしか考えられない。「ピンク」は瞬時に、そのような状況を理解したのである。ちなみに「ピンク」は、警察に追われたもののどうにか宝石を持ち帰り、安全な場所に隠したと証言している。
そのまま3人でしばらく議論を続けるが、しかしまったく埒が明かない。ジョーと連絡を取る手段は無いし、”仕事”が終わったら全員ここに来るはずなのに、誰も来やしないのだ。撃たれた「オレンジ」が意識を失ったこともあり、しばらくの間、「ホワイト」と「ピンク」の2人がお互いの見解を披瀝しつつ状況を整理し、どうにか現状を打開する方策を見つけ出そうとしていた。
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そんな状況下で「ブロンド」が戻ってくる。「ホワイト」と「ピンク」は、彼に怒り狂っていた。というのも、「ブロンド」がいきなり銃をぶっ放したせいで、状況がより混沌としたからである。2人は「ブロンド」を問い詰めるが、彼は「警報装置を鳴らされたんだから仕方ない」と意に介す様子もない。
そんな「ブロンド」が2人に、「俺の車まで来い。面白いものを見せてやる」と口にし……。
映画『レザボア・ドッグス』の感想
冒頭のシーンが終わった後、観客はいきなり、「何がどうなっているのかさっぱり理解できない状況」に放り込まれることになる。私は内容についてまったく何も知らずに観に行ったので、「彼らが強盗である」ということさえ把握していなかった。余計、何が起こっているのか捉えにくかったと言えるだろう。そしてそのような状態で、ほぼ「ホワイト」「オレンジ」「ピンク」の会話だけから一通りの状況を把握させるという構成なのである。まず、この見せ方がとても上手かったなと思う。
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先述した通り、本作はクエンティン・タランティーノの長編デビュー作であり、となれば予算に制約があったと考えるのが自然だろう。そして恐らくそのためだろう、タランティーノ自身による脚本は9割がた「倉庫とその周辺」で展開するという、お金をあまり掛けずに作れる内容になっている。とはいえ、ウィキペディアによると90万ドル(あるいは120万ドル)も必要だったそうで、映画制作にはやはり金が掛かるものだなと感じるが、それはともかく、予算的な制約がかなりタイトであるが故に、物語の舞台がほぼ1箇所に固定されるような形になったのだと思う。
ただ、舞台を固定したからこそ「会話劇」として面白い作品に仕上がったとも考えられるだろう。本作はとにかく「会話の処理」が凄まじく上手いので、会話だけで物語が理解できるのは当然のこと、それが作品の面白さとしても機能しているのだ。さすがだなと感じた。
途中からは「回想シーン」のような形で、「警察から逃げる際の様子」や「計画実行前のやり取り」などが挟み込まれ、会話以外の形でも情報が補填される。しかし、物語のメインはあくまでも「倉庫内で展開される人間模様」であり、舞台をほぼ固定しながら、これほどの緊迫感やストーリー性を生み出せることに驚かされてしまった。
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そんなわけで、とにかく「メチャクチャ面白い映画を観た!」以上の感想は特には無い。ただ、映画『パルプ・フィクション』がちょっとしっくり来なかった私にとっては、初めてクエンティン・タランティーノの天才性を知れる機会だったと言える。
さて、最後にどうでもいい話をしよう。映画冒頭のシーンで、マドンナの『ライク・ア・ヴァージン』という曲の解釈についての話が展開されていた。口火を切ったのは「ブラウン」で、彼を演じているのはなんとクエンティン・タランティーノ本人である。彼はどうも、自作に端役でちょいちょい出演しているようなのだ。
『ライク・ア・ヴァージン』は直訳すると「処女のように」となるのだが、「ブラウン」はこの曲について、「めちゃくちゃヤリマンの女が、めちゃくちゃデカチンの男とセックスをして、処女のように痛みを感じた」みたいな解釈を披瀝するのである。そしてウィキペディアによると、この解釈についてタランティーノは、後にマドンナからダメ出しを受けたそうだ。まあ、そりゃそうなるだろうなぁ。
しかしこのシーン、私にはこんな風に映った。本作は、クエンティン・タランティーノのデビュー作だ。監督自身ももちろん、現在のような評価を受ける前の、まだ世間的にはほぼ知られていない無名と言っていい存在である。であればタランティーノは当然、「後にマドンナと直接会う機会がある」などとは想像していなかっただろう。だからこそこんな珍説を躊躇なく作品に取り込めたのかもしれないと感じたのである。
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まあ、これはあくまでも私の勝手な想像に過ぎない。しかしこのように考えることで、「このデビュー作で世界的評価を受けるなどとはまるで予想もしていなかったクエンティン・タランティーノ」の姿が浮かび上がるし、それはそれでとても興味深い想像だとも思う。
出演:Harvey Keitel, 出演:Tim Roth, 出演:Michael Madsen, 出演:Chris Penn, 出演:Steve Buscemi, 出演:Lawrence Tierney, 出演:Quentin Tarantino, 出演:Eddie Bunker, 出演:Kirk Baltz, 出演:Randy Brooks, 監督:Quentin Tarantino, プロデュース:Lawrence Bender, Writer:クエンティン・タランティーノ
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ベトナム戦争に反対する若者たちによるデモと、その後開かれた裁判の実話を描く『シカゴ7裁判』はメチャクチャ面白い映画だった。無理筋の起訴を押し付けられる主席検事、常軌を逸した言動を繰り返す不適格な判事、そして一枚岩にはなれない被告人たち。魅力満載の1本だ
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【感想】映画『窓辺にて』(今泉力哉監督)の稲垣吾郎の役に超共感。「好きとは何か」が分からない人へ
映画『窓辺にて』(今泉力哉監督)は、稲垣吾郎演じる主人公・市川茂巳が素晴らしかった。一般的には、彼の葛藤はまったく共感されないし、私もそのことは理解している。ただ私は、とにかく市川茂巳にもの凄く共感してしまった。「誰かを好きになること」に迷うすべての人に観てほしい
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【魅惑】バーバラ・ローデン監督・脚本・主演の映画『WANDA』の、70年代の作品とは思えない今感
映画館で観た予告が気になって、それ以外の情報を知らずに観に行った映画『WANDA』なんと70年代の映画だと知って驚かされた。まったく「古さ」を感じなかったからだ。主演だけでなく、監督・脚本も務めたバーバラ・ローデンが遺した、死後評価が高まった歴史的一作
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【感想】是枝裕和映画『ベイビー・ブローカー』は、「赤ちゃんポスト」を起点に「正義とは何か」を描く
韓国に多数存在するという「赤ちゃんポスト」を題材にした是枝裕和監督映画『ベイビー・ブローカー』は、「正義とは何か」を問いかける。「中絶はOKで、捨てるのはNG」という判断は不合理だし、「最も弱い関係者が救われる」ことが「正義」だと私は思う
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【欠落】映画『オードリー・ヘプバーン』が映し出す大スターの生き方。晩年に至るまで生涯抱いた悲しみ…
映画『オードリー・ヘプバーン』は、世界的大スターの知られざる素顔を切り取るドキュメンタリーだ。戦争による壮絶な飢え、父親の失踪、消えぬ孤独感、偶然がもたらした映画『ローマの休日』のオーディション、ユニセフでの活動など、様々な証言を元に稀代の天才を描き出す
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【感想】湯浅政明監督アニメ映画『犬王』は、実在した能楽師を”異形”として描くスペクタクル平家物語
観るつもりなし、期待値ゼロ、事前情報ほぼ皆無の状態で観た映画『犬王』(湯浅政明監督)はあまりにも凄まじく、私はこんなとんでもない傑作を見逃すところだったのかと驚愕させられた。原作の古川日出男が紡ぐ狂気の世界観に、リアルな「ライブ感」が加わった、素晴らしすぎる「音楽映画」
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【感想】殺人事件が決定打となった「GUCCI家の崩壊」の実話を描く映画『ハウス・オブ・グッチ』の衝撃
GUCCI創業家一族の1人が射殺された衝撃の実話を基にした映画『ハウス・オブ・グッチ』。既に創業家一族は誰一人関わっていないという世界的ブランドGUCCIに一体何が起こったのか? アダム・ドライバー、レディー・ガガの演技も見事なリドリー・スコット監督作
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【衝撃】映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』凄い。ラストの衝撃、ビョークの演技、”愛”とは呼びたくな…
言わずとしれた名作映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を、ほぼ予備知識ゼロのまま劇場で観た。とんでもない映画だった。苦手なミュージカルシーンが効果的だと感じられたこと、「最低最悪のラストは回避できたはずだ」という想い、そして「セルマのような人こそ報われてほしい」という祈り
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【愛】ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の“衝撃の出世作”である映画『灼熱の魂』の凄さ。何も語りたくない
映画館で流れた予告映像だけで観ることを決め、他になんの情報も知らないまま鑑賞した映画『灼熱の魂』は、とんでもない映画だった。『DUNE/デューン 砂の惑星』『ブレードランナー 2049』など有名作を監督してきたドゥニ・ヴィルヌーヴの衝撃の出世作については、何も語りたくない
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【あらすじ】映画『流浪の月』を観て感じた、「『見て分かること』にしか反応できない世界」への気持ち悪さ
私は「見て分かること」に”しか”反応できない世界に日々苛立ちを覚えている。そういう社会だからこそ、映画『流浪の月』で描かれる文と更紗の関係も「気持ち悪い」と断罪されるのだ。私はむしろ、どうしようもなく文と更紗の関係を「羨ましい」と感じてしまう。
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【感想】映画『竜とそばかすの姫』が描く「あまりに批判が容易な世界」と「誰かを助けることの難しさ」
SNSの登場によって「批判が容易な社会」になったことで、批判を恐れてポジティブな言葉を口にしにくくなってしまった。そんな世の中で私は、「理想論だ」と言われても「誰かを助けたい」と発信する側の人間でいたいと、『竜とそばかすの姫』を観て改めて感じさせられた
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【考察】『うみべの女の子』が伝えたいことを全力で解説。「関係性の名前」を手放し、”裸”で対峙する勇敢さ
ともすれば「エロ本」としか思えない浅野いにおの原作マンガを、その空気感も含めて忠実に映像化した映画『うみべの女の子』。本作が一体何を伝えたかったのかを、必死に考察し全力で解説する。中学生がセックスから関係性をスタートさせることで、友達でも恋人でもない「名前の付かない関係性」となり、行き止まってしまう感じがリアル
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【評価】映画『シン・ゴジラ』は、「もしゴジラが実際に現れたら」という”現実”を徹底的にリアルに描く
ゴジラ作品にも特撮映画にもほとんど触れてこなかったが、庵野秀明作品というだけで観に行った『シン・ゴジラ』はとんでもなく面白かった。「ゴジラ」の存在以外のありとあらゆるものを圧倒的なリアリティで描き出す。「本当にゴジラがいたらどうなるのか?」という”現実”の描写がとにかく素晴らしかった
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【世界観】映画『夜は短し歩けよ乙女』の”黒髪の乙女”は素敵だなぁ。ニヤニヤが止まらない素晴らしいアニメ
森見登美彦の原作も大好きな映画『夜は短し歩けよ乙女』は、「リアル」と「ファンタジー」の境界を絶妙に漂う世界観がとても好き。「黒髪の乙女」は、こんな人がいたら好きになっちゃうよなぁ、と感じる存在です。ずっとニヤニヤしながら観ていた、とても大好きな映画
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「無声映画」から始まった映画業界で、音楽の重要性はいかに認識されたのか?『JAWS』の印象的な音楽を生み出した天才は、映画音楽に何をもたらしたのか?様々な映画の実際の映像を組み込みながら、「映画音楽」の世界を深堀りする映画『すばらしき映画音楽たち』で、異才たちの「創作」に触れる
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【家族】映画『そして父になる』が問う「子どもの親である」、そして「親の子どもである」の意味とは?
「血の繋がり」だけが家族なのか?「将来の幸せ」を与えることが子育てなのか?実際に起こった「赤ちゃんの取り違え事件」に着想を得て、苦悩する家族を是枝裕和が描く映画『そして父になる』から、「家族とは何か?」「子育てや幸せとどう向き合うべきか?」を考える
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【実話】映画『イミテーションゲーム』が描くエニグマ解読のドラマと悲劇、天才チューリングの不遇の死
映画『イミテーションゲーム』が描く衝撃の実話。「解読不可能」とまで言われた最強の暗号機エニグマを打ち破ったのはなんと、コンピューターの基本原理を生み出した天才数学者アラン・チューリングだった。暗号解読を実現させた驚きのプロセスと、1400万人以上を救ったとされながら偏見により自殺した不遇の人生を知る
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【正義】「正しさとは何か」を考えさせる映画『スリー・ビルボード』は、正しさの対立を絶妙に描く
「正しい」と主張するためには「正しさの基準」が必要だが、それでも「規制されていないことなら何でもしていいのか」は問題になる。3枚の立て看板というアナログなツールを使って現代のネット社会の現実をあぶり出す映画『スリー・ビルボード』から、「『正しさ』の難しさ」を考える
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専門学校の卒業制作として濱口竜介が撮った映画『親密さ』は、2時間10分の劇中劇を組み込んだ意欲作。「映像」でありながら「言葉の力」が前面に押し出される作品で、映画や劇中劇の随所で放たれる「言葉」に圧倒される。4時間と非常に長いが、観て良かった
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「映画」というメディアを構成する要素は多々あるはずだが、濱口竜介監督作『偶然と想像』は、「脚本」と「役者」だけで狂気・感動・爆笑を生み出してしまう驚異の作品だ。まったく異なる3話オムニバス作品で、どの話も「ずっと観ていられる」と感じるほど素敵だった
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【傑作】濱口竜介監督の映画『ドライブ・マイ・カー』(原作:村上春樹)は「自然な不自然さ」が見事な作品
村上春樹の短編小説を原作にした映画『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)は、村上春樹の小説の雰囲気に似た「自然な不自然さ」を醸し出す。「不自然」でしかない世界をいかにして「自然」に見せているのか、そして「自然な不自然さ」は作品全体にどんな影響を与えているのか
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【矛盾】その”誹謗中傷”は真っ当か?映画『万引き家族』から、日本社会の「善悪の判断基準」を考える
どんな理由があれ、法を犯した者は罰せられるべきだと思っている。しかしそれは、善悪の判断とは関係ない。映画『万引き家族』(是枝裕和監督)から、「国民の気分」によって「善悪」が決まる社会の是非と、「善悪の判断を保留する勇気」を持つ生き方について考える
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「バットマン」シリーズを観たことがない人間が、予備知識ゼロで映画『ジョーカー』を鑑賞。「悪」は「環境」に偏在し、誰もが「悪」に足を踏み入れ得ると改めて実感させられた。「個人」を断罪するだけでは社会から「悪」を減らせない現実について改めて考える
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【告発】アメリカに”監視”される社会を暴露したスノーデンの苦悩と決断を映し出す映画:『スノーデン』…
NSA(アメリカ国家安全保障局)の最高機密にまでアクセスできたエドワード・スノーデンは、その機密情報を持ち出し内部告発を行った。「アメリカは世界中の通信を傍受している」と。『シチズンフォー』と『スノーデン』の2作品から、彼の告発内容とその葛藤を知る
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【あらすじ】天才とは「分かりやすい才能」ではない。前進するのに躊躇する暗闇で直進できる勇気のこと…
ピアノのコンクールを舞台に描く『蜜蜂と遠雷』は、「天才とは何か?」と問いかける。既存の「枠組み」をいとも簡単に越えていく者こそが「天才」だと私は思うが、「枠組み」を安易に設定することの是非についても刃を突きつける作品だ。小説と映画の感想を一緒に書く
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「自分の子どもなんだから、どんな風に育てたって勝手でしょ」という親の意見が正しいはずはないが、この言葉に反論することは難しい。虐待しようが生活能力が無かろうが、親は親だからだ。映画『MOTHER マザー』から、不正解しかない人生を考える
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【絶望】安倍首相へのヤジが”排除”された衝撃の事件から、日本の民主主義の危機を考える:映画『ヤジと…
映画『ヤジと民主主義 劇場拡大版』が映し出すのは、「政治家にヤジを飛ばしただけで国家権力に制止させられた個人」を巡る凄まじい現実だ。「表現の自由」を威圧的に抑えつけようとする国家の横暴は、まさに「民主主義」の危機を象徴していると言えるだろう。全国民が知るべき、とんでもない事件である
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TVアニメは観ていない、というかその存在さえ知らず、物語や登場人物の設定も何も知らないまま観に行った映画『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 劇場版』に、私は大号泣した。「悪意のない物語」は基本的に好きではないが、この作品は驚くほど私に突き刺さった
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誰かとの関係性には大抵、「友達」「恋人」「家族」のような名前がついてしまうし、そうなればその名前に縛られてしまいます。「名前がつかない関係性の奇跡」と「誰かを想う強い気持ちの表し方」について、『君の膵臓をたべたい』をベースに書いていきます
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