【忌避】小児性愛者から子どもを救え!映画『サウンド・オブ・フリーダム』が描く衝撃の実話(主演:ジム・カヴィーゼル)

目次

はじめに

この記事で取り上げる映画

監督:アレハンドロ・モンテベルデ, 出演:ジム・カヴィーゼル, 出演:ビル・キャンプ, 出演:エドゥアルド・ベラステーギ, 出演:ミラ・ソルヴィノ

この映画をガイドにしながら記事を書いていきます

この記事の3つの要点

  • 信じがたいほど大胆かつ雑なやり方で子どもたちが攫われている
  • アメリカの悪名高き奴隷制度時代よりも、現代の方が「奴隷的に扱われている人」の数が多いという衝撃のデータ
  • 「どこまで実話なんだ?」と感じてしまうぐらい信じがたい主人公の行動

眉に唾をつけて受け取らなければならない部分も含まれているようだが、何にせよ「人身売買」は事実だし、これは私たちの問題だと認識すべきだと思う

自己紹介記事

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記事中の引用は、映画館で取ったメモを参考にしているので、正確なものではありません

実話を基にしているなんて信じられない映画『サウンド・オブ・フリーダム』は、小児性愛者の魔の手から子どもを守る者たちの奮闘が描き出される

ちょっと信じがたい映画だった。本作は冒頭で「実話を基にしている」と表記されるし、また、本作のラストでは、「フィクションとしか思えない『とある計画』の実際の映像」が流れもする。もちろん、本作の主人公は実在の人物であり、彼の奮闘のお陰で、アメリカ議会では新たな法案が可決されたそうだ。そんな凄まじい人物の奮闘を描き出す物語である。「これが実話なのか」と驚かされるだろう。

さて、内容に触れる前に先にこの話をしておこう。本作では映画が始まる前に、今まで見たことがない非常に珍しい字幕が表示された。「エンドロール中にQRコードが表示されるので、それはスマホで読み取ってもらって構わない」という内容のものだ。エンドロールでは、本作の主演俳優が制作の背景や作品に込めた想いなどを語るスペシャルメッセージが流れ、その中でQRコードが表示された。なかなか面白い仕掛けだなと思う。ただ、どうやらアメリカで公開された時のままのQRコードだったみたいで、英語のサイトに飛ばされたのは少し残念だった。どうせやるなら、日本語のサイトは作っておいてほしかったなと思う。

映画『サウンド・オブ・フリーダム』で扱われる、あまりにも酷すぎる現実

私が本作を観る前の時点で知っていたのは、「実話を基にした人身売買の話」ぐらいのことだ。で、本作では始まってすぐに、次のようなシーンが描かれる。

歌うのが大好きな少女ロシオ。彼女はいつも、家の中でサンダルをバシバシ叩いて音を出しながら、その音をメロディに歌っている。そこに、1人の女性がやってきたオーディションの案内だという。父親に「この子の歌は素晴らしい」と絶賛し、さらに、ちょうど家に帰ってきた弟のミゲルにも声を掛け、2人はオーディションに参加することが決まった

しかしオーディションの日、子どもたちを車で送り届けた父親は会場への入室を禁じられた。「迎えは夜の7時に」と女性から言われ帰されてしまったのだ。部屋にはたくさんの子どもたちがいて、カメラに向かって思い思いにポーズを決めていた。

さて、続く展開はきっと誰もが予想出来るだろう。あまりに簡単過ぎる問題だ。しかし私は同時に、「まさかな」とも思った。そんな大胆なやり方で子どもを連れ去ったりするものだろうか? しかし、嫌な予感は当たってしまった。19時に迎えにやってきた父親は、オーディションが行われていた部屋がもぬけの殻であることを確認し、絶望するのである。

こんなことが、南米ホンジュラスの首都テグシガルパで起こっているというのだ。いや恐らく、ホンジュラス周辺の南米各国で同じようなことが頻発していると考える方が自然だろう。

本作では最後に、様々なデータが表示される。それによると、人身売買は今「年間1500億ドル以上の巨大ビジネス」になっているのだそうだ。1年間に2200万件のポルノ画像がネットにアップされ、過去5年間の人身売買件数は5000%という驚異的な拡大を見せているという。さらに、非常に印象的だったのが次のような表現だ。

奴隷としての生活を余儀なくされている人の数は、奴隷制度が合法だった時代と比べても、過去最大だ。

誰だって、「かつてアメリカが黒人を奴隷として使役していた」という歴史を知っているはずだが、そんな悪名高い奴隷制度時代よりも今の方が、「自ら意思に反した生活を強いられている人」の数は多いのである。そして、その内の100万人が子どもなのだそうだ。とてもじゃないが、信じられるような話ではないだろう。

エンドロールで流れたスペシャルメッセージの中で、主演俳優が「5年前に制作されたものの、様々な障害にぶつかり上映出来なかった」みたいなことを言っていた。いつの時点の5年前なのかは分からないものの、「映画が完成したのに5年間も上映が許されなかった」というのは驚きだし、「この現実を知られたくない」と考える人なり組織なりがいるということなのだと思う。攫われた子どもたちが最も多く送り込まれる国がアメリカのようで、「自国のそんな恥を喧伝するんじゃない」みたいな理由から圧力を受けていたということなのかもしれない。まあそれは私の勝手な想像に過ぎないが、いずれにせよ、本作で描かれているの多くの人が知るべき現実だと私は思う。

本作の主人公である米国土安全保障省の捜査官のティム・バラードは、そんなアメリカで「ペド(ペドフィリア。小児性愛者のこと)」を逮捕する仕事をしている。しかし、この仕事はかなりキツい

そもそもだが、彼らは子どもたちを救うことが出来ない。攫われた子どもたちは、売買が成立するまでアメリカ国外にいるからだ。そのため捜査官は、アメリカ国内の小児性愛者が違法サイトにログインして子どもを注文したり、子どもたちのリストとなる顔写真をアップロードしたりした瞬間を狙って逮捕しなければならない。”変態”を捕まえることは出来ても、アメリカ国外にいる子どもたちを助けることは出来ないのである。

また捜査官たちは、報告書を作成するために、押収した「変態ビデオ」をすべて観なければならない。これが彼らにさらなるダメージを与える。子どもたちを救えているならまだしも、救えていないのにえげつない映像だけ延々と見続けなければならないのだ。登場人物の1人が、「殺人現場はいくらでも見てきたが、これは違う」と言っていた。つまり、「殺人現場を見るよりもキツい」というわけだ。あまりに想像を絶する世界である。私には、ちょっと想像が及ばない。

ティムはそんな仕事をもう12年間も続けている。しかし当然だが、辞めていく者も多い。映画の冒頭では、若い同僚が「この仕事から降ります」とティムに伝える場面が映し出されていた。よほどの信念を持っていない限り、まず保たないだろう。

そんな凄まじい現実が描かれる作品なのだ。

実話ベースだとはちょっと信じがたい主人公の行動

本作は実話を基にしているそうだが、正直なところ、どこまで実話なのかはよく分からない。本作はざっくり、「発端・調査」「計画1」「計画2」の3パートに分けられると思うが、「発端・調査」と「計画1」は事実をそのまま描いていると考えてもそう違和感はないかなと思う。ただ、「計画2」はどうなのだろう。正直、このパートを「実話」を受け取るのは難しい。そう感じられるぐらい、ちょっと「あり得ない」展開だからだ。具体的には書かないが、私はとりあえず「救出したこと」と「その救出にティムが関わっていること」は事実だろうと思っている。つまり、「映画で描かれているほどリスキーでスリリングな状況ではなかったんじゃないか」と考えているというわけだ。

しかし本作の凄いところは、「もしかしたら『計画2』さえ概ね事実なのかもしれない」と思わせるところにある。なにせそもそも、「計画1」があまりにも非現実的過ぎるのだ。ただ先述した通り、映画の最後で「計画1」の実際の映像が流れるので、事実であることは間違いないと思う。「計画1」については公式HPでも触れられているので書いてもいいと思うが、ティムはなんと「壮大過ぎるおとり捜査」を仕掛けたのである。それがちょっとあまりにもフィクション的過ぎるというか、「思いついたとしてもまずこんなこと実行に移さないだろう」と感じさせるもので、そのため「ホントにこんなこと実際にやったんだ」と驚かされてしまったのだ。

だから、「『計画1』が本当にあったことなら、『計画2』だって事実でもおかしくない」と思えてくるのである。

さて、日本に住んでいると、本作で描かれるような「人身売買」をリアルにイメージすることは難しいのではないかと思う。アメリカでは州によって「◯歳以下(州によって違う)の子どもを1人で放置してはいけない」という法律があるぐらいだが、日本は「子どもが1人で電車に乗れる国」であり、安全性が異常に高い。もちろんそれは「島国だから」という特異性も関係しているだろう。「日本以外の国に子どもを連れ去る」というハードルの高さが障壁になっているという地の利は間違いなくあるはずだ。ただ、北朝鮮による拉致問題は今も解決していないし、また、「闇バイトに応募した日本の若者が外国で監禁されていた」なんてニュースもよく耳にする。本作で描かれているような「小児性愛者による事案」とはまたちょっと違う状況ではあるが、いずれにせよ、「子どもが危険な状況に置かれ得る」という意味では決して「対岸の火事」ではないと思う。

ただ、「そういう危険性を認識する」という目的だとしても、子どもを持つ親にとって本作は観るのにかなりキツい映画であることは間違いないだろう。特に、まさに今幼い子どもを育てている人であればなおさらだし、日本ではなく海外で子育てしている人には恐怖でしかないだろう。

ただ、そういう「恐怖」が植え付けられる可能性を考慮した上で本作を観て、「万が一の可能性」を頭の中にねじ込んでおく方がいいように私は思う。ある人物が作中で「娘のベッドが空なのに眠れるか?」と悲痛な叫びを口にする場面があるのだが、そんな絶望を抱かずに済むように、「こういう現実が存在しているのだ」と知っておくことは大事だろう。

正直なところ、本作の主人公であるティムはちょっと凄まじすぎて、「彼のように行動しよう」なんて間違っても言えない。それぐらい凄いことをしていると思う。ただ、ティムほどの行動力を発揮するのは無理だとしても、誰にだって出来ることがあるだ。そういう主旨の発言を、主演俳優もスペシャルメッセージの中で口にしていた。

まずは「このような現実が存在する」という事実を知ることが何よりも大事である。そして本作は、その入口として最適と言っていいだろう。主演俳優の言葉はとても切実なものとして届いたし、こんなクソみたいな現実はやはり変えなければならないと思う。

ただ、鑑賞後に書いた感想(この記事の元になっている文章)に、「本作をそのまま受け取るのはちょっと危ないかもしれない」という主旨のコメントがついた。色々調べてみると、本作のモデルになった人物にも、映画制作そのものにも、疑義が向けられているようだ。私には正直、その真偽の判断はできないので、ネットで見つけたサイト2つを紹介するに留めておこうと思う。各自で情報を収集し、おのおので判断してほしい。

監督:アレハンドロ・モンテベルデ, 出演:ジム・カヴィーゼル, 出演:ビル・キャンプ, 出演:エドゥアルド・ベラステーギ, 出演:ミラ・ソルヴィノ

最後に

いずれにせよ、「子どもの人身売買が世界レベルでヤバいことになっている」というのは間違いない事実だろうし、同時代を生きる私たちが対処すべき問題であることも疑いようがない。あまりにも悲惨すぎて目を背けたくなる現実だが、見ないフリをして何もしないというわけにもいかないだろう。

せめて、「この問題に関心を持っている」と皆が発信し、そんな小さな声が集まって大きな訴えに変わることが期待できる社会だといいなと思う。

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