目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:ルブナ・アザバル, 出演:メリッサ・デゾルモー=プーラン, 出演:マキシム・ゴーデット, 出演:レミー・ジラール, 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 映画『灼熱の魂』をもし観ようと考えているなら、私の文章など一切読まずに映画館へ足を運んでほしい
- 「ラストの衝撃」だけが凄いわけじゃない。最初から最後まで圧倒されっ放しだった
- 奇妙な遺言状を遺した母親の「動機」を想像する
一度観た映画を再び観ることはほぼないが、映画『灼熱の魂』はもう一度観てもいいと思える超絶傑作だった
自己紹介記事
あわせて読みたい
ルシルナの入り口的記事をまとめました(プロフィールやオススメの記事)
当ブログ「ルシルナ」では、本と映画の感想を書いています。そしてこの記事では、「管理者・犀川後藤のプロフィール」や「オススメの本・映画のまとめ記事」、あるいは「オススメ記事の紹介」などについてまとめました。ブログ内を周遊する参考にして下さい。
あわせて読みたい
【全作品読了・視聴済】私が「読んできた本」「観てきた映画」を色んな切り口で分類しました
この記事では、「今まで私が『読んできた本』『観てきた映画』を様々に分類した記事」を一覧にしてまとめました。私が面白いと感じた作品だけをリストアップしていますので、是非本・映画選びの参考にして下さい。
どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
フィクションの映画にこれほど圧倒されるのは久しぶり。「とんでもない映画を観てしまった」という感覚が凄まじい映画『灼熱の魂』
あわせて読みたい
【生きる】しんどい人生を宿命付けられた子どもはどう生きるべき?格差社会・いじめ・恋愛を詰め込んだ…
厳しい受験戦争、壮絶な格差社会、残忍ないじめ……中国の社会問題をこれでもかと詰め込み、重苦しさもありながら「ボーイ・ミーツ・ガール」の爽やかさも融合されている映画『少年の君』。辛い境遇の中で、「すべてが最悪な選択肢」と向き合う少年少女の姿に心打たれる
久々に、ぶっ飛ぶような映画鑑賞体験だった。凄すぎる。とんでもなかった。
もしこの映画をまだ観ておらず、観ようかどうしようか迷っているとすれば、私の文章など読まず、今すぐ映画館に向かってほしい。なんの前情報も入れずに観るのがオススメだ。この記事では、ネタバレをせずにあれこれ書くつもりなので、私の文章を読んでも内容や展開など分からないと思う。しかし、どうせなら、何も知らずに観てほしい。
ただ、もしかしたら鑑賞前に知っておく方がいいかもしれないと思う情報だけ書いておこう。それは、映画の舞台設定だ。
あわせて読みたい
【あらすじ】映画『レザボア・ドッグス』(タランティーノ監督)はとにかく驚異的に脚本が面白い!
クエンティン・タランティーノ初の長編監督作『レザボア・ドッグス』は、のけぞるほど面白い映画だった。低予算という制約を逆手に取った「会話劇」の構成・展開があまりにも絶妙で、舞台がほぼ固定されているにも拘らずストーリーが面白すぎる。天才はやはり、デビュー作から天才だったのだなと実感させられた
物語は、カナダから始まり、「母親の故郷」である中東のどこかの国に舞台が移る。映画を観ながら、「これは中東のどの国なのだろう?」と思っていたのだが、公式HPを見ると、舞台となる国を明確に定めているわけではないそうだ。「中東のどこか」という設定なのである。映画では、宗教的な対立や国内の紛争などが描かれるのだが、それらは「架空の国」の出来事なので、歴史の知識を持っていなくても問題ない。この点だけは、あらかじめ諒解しておいてもいいかもしれない。
それでは、観るかどうか悩んでいる人は、ここで文章を読むのを止めることをオススメする。
私はいつも、映画館で映画を観ており、しかも、観る映画について事前にほとんど何も調べない。チラシや予告程度の情報で観るかどうかを決め、なるべく具体的な情報を知らないまま観るのが好きだ。
あわせて読みたい
【解説】テネットの回転ドアの正体を分かりやすく考察。「時間逆行」ではなく「物質・反物質反転」装置…
クリストファー・ノーラン監督の映画『TENET/テネット』は、「陽電子」「反物質」など量子力学の知見が満載です。この記事では、映画の内容そのものではなく、時間反転装置として登場する「回転ドア」をメインにしつつ、時間逆行の仕組みなど映画全体の設定について科学的にわかりやすく解説していきます
だから、映画を観終えてから、『灼熱の魂』が、有名映画監督の出世作であることを知って驚いた。『DUNE/デューン 砂の惑星』『メッセージ』『ブレードランナー 2049』『ボーダーライン』などを監督しているドゥニ・ヴィルヌーヴなのだ。
出演:ティモシー・シャラメ, 出演:レベッカ・ファーガソン, 出演:オスカー・アイザック, 出演:ジョシュ・ブローリン, 出演:ステラン・スカルスガルド, 出演:ゼンデイヤ, 出演:ジェイソン・モモア, 出演:ハビエル・バルデム, Writer:ドゥニ・ヴィルヌーヴ, Writer:ジョン・スペイツ, Writer:エリック・ロス, 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ, プロデュース:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
¥399 (2022/08/20 19:07時点 | Amazon調べ)
ポチップ
出演:エイミー・アダムス, 出演:ジェレミー・レナー, 出演:フォレスト・ウィテカー, 出演:マイケル・スタールバーグ, 出演:ツィ・マー, 監督:Denis Villeneuve, プロデュース:Shawn Levy, プロデュース:Dan Levine, プロデュース:Aaron Ryder, プロデュース:David Linde
¥299 (2022/08/20 19:07時点 | Amazon調べ)
ポチップ
出演:ハリソン・フォード, 出演:ライアン・ゴズリング, 出演:アナ・デ・アルマス, 出演:シルヴィア・フークス, 出演:ロビン・ライト, 出演:マッケンジー・デイヴィス, 出演:デイヴ・バウティスタ, 出演:ジャレッド・レト, 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ, プロデュース:Andrew Kosove, プロデュース:Broderick Johnson, プロデュース:Bud Yorkin, プロデュース:Cynthia Yorkin
¥1,500 (2022/08/20 19:08時点 | Amazon調べ)
ポチップ
出演:エミリー・ブラント, 出演:ベニチオ・デル・トロ, 出演:ジョシュ・ブローリン, Writer:テイラー・シェリダン, 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
¥400 (2022/08/20 19:09時点 | Amazon調べ)
ポチップ
2010年に製作され、2011年に日本で公開された『灼熱の魂』が、どうして2022年にデジタル・リマスター版が制作されたのかは分からない。しかしそのお陰で私はこの映画に触れることができたので、とても喜ばしい。これまで、一度観た映画を再び観たケースは数えるほどしかないが、『灼熱の魂』はもう一度観てもいいかもしれないと思うほど、久々にガツンとやられた映画だった。
あわせて読みたい
【あらすじ】映画『流浪の月』を観て感じた、「『見て分かること』にしか反応できない世界」への気持ち悪さ
私は「見て分かること」に”しか”反応できない世界に日々苛立ちを覚えている。そういう社会だからこそ、映画『流浪の月』で描かれる文と更紗の関係も「気持ち悪い」と断罪されるのだ。私はむしろ、どうしようもなく文と更紗の関係を「羨ましい」と感じてしまう。
ネタバレなしで映画『灼熱の魂』の内容紹介
ジャンヌとシモンは、カナダに住む双子の姉弟。彼らは、公証人・ジャンに呼び出された。母・ナワルはジャンの秘書を長年務めたのだが、その母の遺言状を預かっているのだという。
母が遺した遺言状は、実に奇妙な内容だった。
あわせて読みたい
【嫌悪】映画『ドライビング・バニー』が描く、人生やり直したい主人公(母親)のウザさと絶望
映画『ドライビング・バニー』は、主人公であるバニーのことが最後まで嫌いだったにも拘わらず、全体的にはとても素敵に感じられた珍しいタイプの作品だ。私は、「バニーのような人間が世の中に存在する」という事実に嫌悪感を抱いてしまうのだが、それでも、狂気的でぶっ飛んだラストシーンによって、作品全体の印象が大きく変わったと言える
冒頭こそ、財産分与や葬儀・墓についてなど事務的な内容が続くが、最後に2つの”指示”が与えられる。姉ジャンヌには「父親を探すこと」、そして弟シモンには「兄を探すこと」と書かれていたのだ。母は父・兄(ナワルにとっては夫・息子)に対してそれぞれ手紙を書いており、「2人を探し出し、無事手紙が渡ったことをジャンが確認し次第、ジャンヌとシモンにさらなる手紙を渡す」のだという。
この内容に姉弟は困惑した。父親は内戦で死んだと聞かされていたし、兄の話などこれまで一度も聞いたことがないからだ。弟のシモンは、母の遺言を無視するように提案する。実は母ナワルは、姉弟にとってかなり奇妙な存在であり、気持ちが通じ合ったと感じる経験をほとんどしたことがない。だからシモンは、「母親がまた頭のおかしなことを言っているだけだ」と相手にせず、普通に埋葬しようと考えたのだ。しかし、生真面目な姉ジャンヌは、母の遺言に従って、父親探しを始める。
ナワルは中東で生まれた。軍が絶えず視界に入り、内戦がいつまでも続く国の南部に位置する村の出身だ。
その日ナワルは、婚約者と共に実家に向かっていた。しかし、険しい山を登る途中で2人の兄に見つかり、銃を向けられる。ナワルの婚約者の存在が許しがたいようだ。そしてなんと、婚約者はそのまま射殺されてしまう。泣き崩れるナワル。祖母はそんな彼女を、「お前は一族の名誉を傷つけた」と大声でなじる。ナワルは泣き続けるしかない。祖母は、ナワルが妊娠していると知ると、こんな提案をする。出産までここで過ごし、子どもを産んだら街にいる叔父の元へ行き、大学に通いなさい、と。生まれた子どもはそのまま孤児院に預けられた。ナワルは祖母に言われた通り叔父を頼り、大学生になる。
あわせて読みたい
【驚愕】本屋大賞受賞作『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬)は凄まじい。戦場は人間を”怪物”にする
デビュー作で本屋大賞を受賞した『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬)は、デビュー作であることを抜きにしても凄まじすぎる、規格外の小説だった。ソ連に実在した「女性狙撃兵」の視点から「独ソ戦」を描く物語は、生死の境でギリギリの葛藤や決断に直面する女性たちのとんでもない生き様を活写する
情勢が不安定な中、ある日社会民族党が大学を閉鎖した。叔父一家は、「状況が落ち着くまで山に避難する」と言って準備を始める。しかしナワルは、この機にある決断をした。叔父に嘘をついて家を出たナワルは、そのまま紛争が続く南部へと向かったのだ。かつて手放した息子を探し出すためである。
大学の数学講師であるジャンヌは、母の祖国に足を踏み入れた。教授から、母が通っていた大学で数学を教えていた人物を紹介してもらったので尋ねてみたのだが、まったく当てが外れてしまう。母の古い写真を手にそのまま大学で話を聞いていると、「その写真は南部で撮られたものだ」と断言する人物に出会った。どうしてそんなことが分かったのか。それは、写真の中でナワルが背にしている壁が、よく知られた監獄のものだったからだ。南部クファリアットに作られた、悪名高き監獄である。
そう、ナワルは15年という長い年月をその監獄で過ごした。「歌う女」という呼び名で知られた人物だったのだ。
あわせて読みたい
【矛盾】死刑囚を「教誨師」視点で描く映画。理解が及ばない”死刑という現実”が突きつけられる
先進国では数少なくなった「死刑存置国」である日本。社会が人間の命を奪うことを許容する制度は、果たして矛盾なく存在し得るのだろうか?死刑確定囚と対話する教誨師を主人公に、死刑制度の実状をあぶり出す映画『教誨師』から、死刑という現実を理解する
「ラストに明かされる真実の衝撃」だけの物語では決してない
上述の内容紹介では、映画のかなり冒頭の部分までしか触れていない。ほとんど何も書いていないに等しいだろう。そして、物語の展開上これはネタバレに当たらないと思うが、姉弟は無事に父と兄を見つけ出す。しかし、「父と兄が見つかる」という事実が、この映画における最大の衝撃をもたらすことになるのであり、まずはその「ラストに明かされる真実」がもたらす驚きが凄まじい。
しかしこの映画の驚くべきは、「『ラストの衝撃』だけの作品ではない」という点にある。「ラストの衝撃」だけに頼る作品は、物語中盤の展開がダルくなってしまうことも多いだろう。しかし『灼熱の魂』は、ラストに至る過程もずっと驚きの連続なのだ。
物語は主に、「姉弟が父・兄を探すパート」と「ナワルの人生が描かれるパート」の2つに大別できるが、「ラストの衝撃」に関係するのは前者の「姉弟が父・兄を探すパート」の方である。そして、後者の「ナワルの人生が描かれるパート」の方は、とにかくずっと衝撃の連続なのだ。
あわせて読みたい
【衝撃】壮絶な戦争映画。最愛の娘を「産んで後悔している」と呟く母らは、正義のために戦場に留まる:…
こんな映画、二度と存在し得ないのではないかと感じるほど衝撃を受けた『娘は戦場で生まれた』。母であり革命家でもあるジャーナリストは、爆撃の続くシリアの街を記録し続け、同じ街で娘を産み育てた。「知らなかった」で済ませていい現実じゃない。
具体的には触れないが、ナワルは婚約者を殺されて以降、その生涯のほとんどを「壮絶」という言葉では言い表せない状況に置かれている。姉弟が知る母ナワルは、ナワルにとって「外形的には最も穏やか」と言っていい時期のものだ。しかし、ナワルの心は長い年月を掛けて蝕まれてしまった。だから姉弟には、母の存在が奇妙に思える。母の過去を知らないのだから当然だ。ナワルの過去を知れば、彼女が「真っ当さ」を携えて日常を送ることがどれだけ困難だったか、想像できるだろうと思う。
まったく何も知らずにいた姉弟と同時進行で、観客はナワルのその生涯を追いかけていくことになる。その重苦しさに打ち震えながら、最終的に「ラストの衝撃」を迎えるのだ。「子どもたちが、母親の奇妙な遺言を聞く」という割と平凡なスタート地点から、これほどの物語が展開されるとはまったく想像出来なかった。
「観ずに分かった気になる」のは不可能
あわせて読みたい
【あらすじ】映画『非常宣言』(ソン・ガンホ主演)は、冒頭から絶望的な「不可能状況」が現出する凄ま…
「飛行中の機内で、致死性の高い自作のウイルスを蔓延させる」という、冒頭から絶体絶命としか言いようがない状況に突き落とされる映画『非常宣言』は、「どうにかなるはずがない」と感じさせる状況から物語を前進させていくえげつなさと、様々に描かれる人間ドラマが見事な作品だ
現代においては、必要以上の情報が氾濫しているため、映画に限らず「作品そのものに触れなくても、『なんとなく分かった気になれる』情報」が溢れていると言っていいだろう。予告やレビュー、あるいは「ファスト動画」のような違法なものまで、探せば様々な情報を手に入れられるし、それらを組み合わせることで、観ていない映画でも、読んでいない小説でも、「分かった気になれる」こともある。もちろんそれは錯覚に過ぎない。ただ、作品そのものに触れた場合を「10」とすると、「4~6」ぐらいのレベルで「分かった気になる」ことは、現代ではそう難しいことではないと思う。すべての創作物に触れる時間はないのだから、「分かった気になれる」という「体験」に需要があることは理解できるし、そういう消費の仕方が間違っているとも思わない。
しかし、『灼熱の魂』の場合はそうもいかない。映画本編を観なければ何も受け取れない、つまり「0」というわけだ。とにかく、「どんな物語であるのか」ということ以上に、「この物語を『体感した』という感覚」こそが、作品の評価の主軸になるように思う。例えば、大迫力の戦闘シーンや、街中を疾走するカーチェイスシーンなどは、まさに「この物語を『体感した』という感覚」をもたらすだろう。『灼熱の魂』には、そのような視覚的に分かりやすいシーンが多いわけではないのだが、全編を通じて「この物語を『体感した』という感覚」がとても強い作品だと感じた。
だからこそ、「観ずに分かった気になる」ことなど不可能なのだ。
さらにその上で、物語そのものもとにかく素晴らしい。本当によく出来ていると思う。
あわせて読みたい
【天才】タランティーノ作品ほぼ未見で観た面白ドキュメンタリー。映画に愛された映画オタクのリアル
『パルプ・フィクション』しか監督作品を観たことがないまま、本作『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』を観たが、とても面白いドキュメンタリー映画だった。とにかく「撮影現場に笑いが絶えない」ようで、そんな魅力的なモノづくりに関わる者たちの証言から、天才の姿が浮かび上がる
映画を観終えた後で物語全体を振り返ってみた時に、情報の出し方が絶妙であることに驚かされた。「ラストの衝撃」に至るまでには、描かなければならない要素が様々に存在する。それらを出すべきタイミングを誤らずに適切な場面で描写しながら、「姉弟の調査」「ナワルの人生」それぞれの物語も不自然にならないように展開していくのだ。
また、先程から「ラストの衝撃」と表記しているこの映画の真相は、その真相だけ取り出して聞かせたら、誰もが「そんなことあり得ないだろう」と感じてしまうような信じがたいものである。普通の状況であれば、理解も許容も不可能としか思えないような、異次元の結末なのだ。しかし『灼熱の魂』では、そんなあり得ない真相を、「なるほど、そういうことなのか……」と納得せざるを得ない説得力で描き出す。「あり得ない真相」なのだから、心情的には納得などまったくしたくない。しかし、この作品では、納得せざるを得ない強度で物語を展開する。だから観客は、諦めてその「真相」を受け入れるしかないのだ。
では、その「強度」は一体何が生み出しているのか。やはりそれは、ナワルの人生の悲惨さだろう。ナワルがあまりにも異次元の人生を歩んでいるが故に、ラストで提示される「あり得ない真相」は否応なしに相応の強度を有してしまうのだ。そして観客には、ナワルが経験した人生の重さ分の強度がのしかかってくることになる。その重量に、とてつもない息苦しさを感じてしまう。
あわせて読みたい
【驚異】映画『RRR』『バーフバリ』は「観るエナジードリンク」だ!これ程の作品にはなかなか出会えないぞ
2022年に劇場公開されるや、そのあまりの面白さから爆発的人気を博し、現在に至るまでロングラン上映が続いている『RRR』と、同監督作の『バーフバリ』は、大げさではなく「全人類にオススメ」と言える超絶的な傑作だ。まだ観ていない人がいるなら、是非観てほしい!
「ラストの衝撃」はもちろん、第一義的には姉弟にのしかかる。母の人生を追いかけたことで、いつの間にか自分たちの人生がめくれ上がってしまう体験など、想像に余りあるだろう。しかし冷静に考えてみると、姉弟は母の人生の足跡を追いかけているに過ぎない。観客はというと、ナワルが体験した人生を映像で観ているのだ。「あり得ない真相」がもたらす衝撃は当然、姉弟の方に強く向くだろうが、「ナワルの人生」がもたらす衝撃の方は、視覚的に体感しているという意味でより観客の方に向いていると感じる。
もちろん、登場人物と観客を同列に並べて比較するような思考には何の意味もないのだが、自分が感じた衝撃をどうにか説明したくて、こんなことを考えてみた。ホントに、とにかく凄まじいのだ。
母ナワルの動機を想像する
さて最後に、「母ナワルの動機」について想像してみたいと思う。
あわせて読みたい
【衝撃】これが実話とは。映画『ウーマン・トーキング』が描く、性被害を受けた女性たちの凄まじい決断
映画『ウーマン・トーキング』の驚くべき点は、実話を基にしているという点だ。しかもその事件が起こったのは2000年代に入ってから。とある宗教コミュニティ内で起こった連続レイプ事件を機に村の女性たちがある決断を下す物語であり、そこに至るまでの「ある種異様な話し合い」が丁寧に描かれていく
映画の中である人物が、「時として、知らない方が良いこともある」と口にする。もちろんこれは、ナワルの人生のことを指した言葉だ。ナワルの人生の一部しか知らないこの人物でさえも、「知らない方がいい」と忠告したくなるような凄まじさなのである。
そんな自身の過去を、ナワルはなぜ子どもたちに調べさせようとしたのだろうか?
ジャンヌもシモンも、元々母の過去についてまったく知らずにいた。父や兄の存在についてすら、青天の霹靂だったのだ。だからナワルにとって、「真実を墓まで持っていく」ことなど容易だったと言っていい。しかし彼女は、遺言という強制力のある形で、自身の過去を調べるように子どもたちに命じた。
その理由は様々に想像し得るし、観た人がそれぞれ考えればいいが、私なりの解釈を書いてみたい。
あわせて読みたい
【正義】復讐なんかに意味はない。それでも「この復讐は正しいかもしれない」と思わされる映画:『プロ…
私は基本的に「復讐」を許容できないが、『プロミシング・ヤング・ウーマン』の主人公キャシーの行動は正当化したい。法を犯す明らかにイカれた言動なのだが、その動機は一考の余地がある。何も考えずキャシーを非難していると、矢が自分の方に飛んでくる、恐ろしい作品
私が思う「ナワルの動機」は、「子どもたちに愛を伝えること」である。
ナワル自身も恐らく、「母親として上手く子どもたちと接することができない」という葛藤を抱いていたのだと思う。しかしそれでもなお、ナワルは母親として真っ当にはなれなかった。それは、彼女の壮絶すぎる過去ゆえに仕方ないことであり、ナワルは忸怩たる思いを抱えつつ、母親としてきちんとした振る舞いをすることを諦めていたのだろう。
ただ、子どもたちに対して「愛情」を抱いていたことは間違いない。そして、「あなたたちのことを愛していた」ということをどうしても伝えたいと思っていた。そのためには、自身の過去について話すしかないが、しかし客観的に判断してそれはとても難しい。というのも、ナワルの過去を姉弟の立場からシンプルに捉えた場合、「母が自分たちのことを愛しているはずがない」と受け取る方が自然だからだ。どうしてそう考えるのかは説明しないので、是非映画を観てほしい。映画を観た方であれば、私が言いたいことを理解してくれるのではないかと思う。
ナワルは、「壮絶な過去のせいで、まともな母親ではいられなくなってしまった」と理解してもらい、そのことを通じて、「子どもたちのことを愛している」と伝えたいと思っていた。しかしナワルは一方で、自身の過去を伝えることで、「子どもたちのことを愛しているはずがない」と受け取られてしまい得るという大きなジレンマの中にいたのである。これは非常に難しい問題だ。近づきたいが、近づくとお互いの針で相手を傷つけてしまうハリネズミのジレンマのようなものと言えばいいだろうか。
あわせて読みたい
【考察】『うみべの女の子』が伝えたいことを全力で解説。「関係性の名前」を手放し、”裸”で対峙する勇敢さ
ともすれば「エロ本」としか思えない浅野いにおの原作マンガを、その空気感も含めて忠実に映像化した映画『うみべの女の子』。本作が一体何を伝えたかったのかを、必死に考察し全力で解説する。中学生がセックスから関係性をスタートさせることで、友達でも恋人でもない「名前の付かない関係性」となり、行き止まってしまう感じがリアル
そこでナワルは、この状況をどうにか乗り越える方法を考え、思いついた。それが「遺言で父・兄探しを命じる」というものだったのだ。心理学的には、「簡単に手に入ったモノ」と「苦労して手に入れたモノ」とでは、思い入れに差が出ることがわかっている。姉弟にとって、母の足跡を辿る旅路は相当な苦労を強いるものだった。そして、そうやって苦労して手に入れた事実だからこそ、受け取り方が変わり得る。母親から直接聞いていれば「嫌悪感」が先に立ってしまったかもしれない話を、自分たちで苦労してかき集めたことで「嫌悪するもの」とは違う形で受け取ることができるのではないか。
ナワルはそんな期待をしていたのではないかと思う。彼女が遺した奇妙な遺言状は、盛大な遠回りを経た「アイラブユー」だったのだ。
今ここで書いたことは、私の勝手な妄想にすぎない。違う解釈をする方もいるだろう。しかしいずれにせよ、物語の中で明確に描かれていない、観客の想像に任されている部分も含め、すべての挙動が「完璧」だったと言うしかない。凄まじい映画だった。
あわせて読みたい
【矛盾】その”誹謗中傷”は真っ当か?映画『万引き家族』から、日本社会の「善悪の判断基準」を考える
どんな理由があれ、法を犯した者は罰せられるべきだと思っている。しかしそれは、善悪の判断とは関係ない。映画『万引き家族』(是枝裕和監督)から、「国民の気分」によって「善悪」が決まる社会の是非と、「善悪の判断を保留する勇気」を持つ生き方について考える
出演:ルブナ・アザバル, 出演:メリッサ・デゾルモー=プーラン, 出演:マキシム・ゴーデット, 出演:レミー・ジラール, Writer:ドゥニ・ヴィルヌーヴ, 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
ポチップ
あわせて読みたい
【全作品視聴済】私が観てきた映画(フィクション)を色んな切り口で分類しました
この記事では、「今まで私が観てきた映画(フィクション)を様々に分類した記事」を一覧にしてまとめました。私が面白いと感じた作品だけをリストアップしていますので、是非映画選びの参考にして下さい。
最後に
あわせて読みたい
【魅惑】バーバラ・ローデン監督・脚本・主演の映画『WANDA』の、70年代の作品とは思えない今感
映画館で観た予告が気になって、それ以外の情報を知らずに観に行った映画『WANDA』なんと70年代の映画だと知って驚かされた。まったく「古さ」を感じなかったからだ。主演だけでなく、監督・脚本も務めたバーバラ・ローデンが遺した、死後評価が高まった歴史的一作
こんな出会い方ができるから、事前情報をなるべく知らずに映画を観るというスタイルが止められない。遺言状に込められた「アイラブユー」のメッセージと、ナワルが経験せざるを得なかった人生の壮絶さの落差に打ちのめされてしまう、とんでもない作品だ。
ドキュメンタリー映画では、映し出される現実の壮絶さに驚かされる経験は何度もしてきたが、フィクションの映画でここまで抉られたのは久しぶりだと思う。予告の映像だけで「この映画を観よう」と決断した自分を褒めてあげたい。
あわせて読みたい
【感想】映画『ローマの休日』はアン王女を演じるオードリー・ヘプバーンの美しさが際立つ名作
オードリー・ヘプバーン主演映画『ローマの休日』には驚かされた。現代の視点で観ても十分に通用する作品だからだ。まさに「不朽の名作」と言っていいだろう。シンプルな設定と王道の展開、そしてオードリー・ヘプバーンの時代を超える美しさが相まって、普通ならまずあり得ない見事なコラボレーションが見事に実現している
次にオススメの記事
あわせて読みたい
【狂気】押見修造デザインの「ちーちゃん」(映画『毒娘』)は「『正しさ』によって歪む何か」の象徴だ…
映画『毒娘』は、押見修造デザインの「ちーちゃん」の存在感が圧倒的であることは確かなのだが、しかし観ていくと、「決して『ちーちゃん』がメインなわけではない」ということに気づくだろう。本作は、全体として「『正しさ』によって歪む何か」を描き出そうとする物語であり、私たちが生きる社会のリアルを抉り出す作品である
あわせて読みたい
【狂気】群青いろ制作『雨降って、ジ・エンド。』は、主演の古川琴音が成立させている映画だ
映画『雨降って、ジ・エンド。』は、冒頭からしばらくの間「若い女性とオジサンのちょっと変わった関係」を描く物語なのですが、後半のある時点から「共感を一切排除する」かのごとき展開になる物語です。色んな意味で「普通なら成立し得ない物語」だと思うのですが、古川琴音の演技などのお陰で、絶妙な形で素敵な作品に仕上がっています
あわせて読みたい
【正義】ナン・ゴールディンの”覚悟”を映し出す映画『美と殺戮のすべて』が描く衝撃の薬害事件
映画『美と殺戮のすべて』は、写真家ナン・ゴールディンの凄まじい闘いが映し出されるドキュメンタリー映画である。ターゲットとなるのは、美術界にその名を轟かすサックラー家。なんと、彼らが創業した製薬会社で製造された処方薬によって、アメリカでは既に50万人が死亡しているのだ。そんな異次元の薬害事件が扱われる驚くべき作品
あわせて読みたい
【幻惑】映画『フォロウィング』の衝撃。初監督作から天才だよ、クリストファー・ノーラン
クリストファー・ノーランのデビュー作であり、多数の賞を受賞し世界に衝撃を与えた映画『フォロウィング』には、私も驚かされてしまった。冒頭からしばらくの間「何が描かれているのかさっぱり理解できない」という状態だったのに、ある瞬間一気に視界が晴れたように状況が理解できたのだ。脚本の力がとにかく圧倒的だった
あわせて読みたい
【天才】映画『ツィゴイネルワイゼン』(鈴木清順)は意味不明だが、大楠道代のトークが面白かった
鈴木清順監督作『ツィゴイネルワイゼン』は、最初から最後まで何を描いているのかさっぱり分からない映画だった。しかし、出演者の1人で、上映後のトークイベントにも登壇した大楠道代でさえ「よく分からない」と言っていたのだから、それでいいのだろう。意味不明なのに、どこか惹きつけられてしまう、実に変な映画だった
あわせて読みたい
【感想】映画『レオン』は、殺し屋マチルダを演じたナタリー・ポートマンがとにかく素晴らしい(監督:…
映画『レオン』は、その性質ゆえに物議を醸す作品であることも理解できるが、私はやはりナタリー・ポートマンに圧倒されてしまった。絶望的な事態に巻き込まれたマチルダの葛藤と、そんな少女と共に生きることになった中年男性レオンとの関係性がとても見事に映し出されている。実に素敵な作品だった
あわせて読みたい
【評価】映画『ゴジラ-1.0』(山崎貴監督)は面白い!迫力満点の映像と絶妙な人間ドラマ(米アカデミー…
米アカデミー賞で視覚効果賞を受賞した映画『ゴジラ-1.0』(山崎貴監督)は、もちろんそのVFXに圧倒される物語なのだが、「人間ドラマ」をきちんと描いていることも印象的だった。「終戦直後を舞台にする」という、ゴジラを描くには様々な意味でハードルのある設定を見事に活かした、とても見事な作品だ
あわせて読みたい
【あらすじ】原爆を作った人の後悔・葛藤を描く映画『オッペンハイマー』のための予習と評価(クリスト…
クリストファー・ノーラン監督作品『オッペンハイマー』は、原爆開発を主導した人物の葛藤・苦悩を複雑に描き出す作品だ。人間が持つ「多面性」を様々な方向から捉えようとする作品であり、受け取り方は人それぞれ異なるだろう。鑑賞前に知っておいた方がいい知識についてまとめたので、参考にしてほしい
あわせて読みたい
【あらすじ】映画『レザボア・ドッグス』(タランティーノ監督)はとにかく驚異的に脚本が面白い!
クエンティン・タランティーノ初の長編監督作『レザボア・ドッグス』は、のけぞるほど面白い映画だった。低予算という制約を逆手に取った「会話劇」の構成・展開があまりにも絶妙で、舞台がほぼ固定されているにも拘らずストーリーが面白すぎる。天才はやはり、デビュー作から天才だったのだなと実感させられた
あわせて読みたい
【感想】映画『ローマの休日』はアン王女を演じるオードリー・ヘプバーンの美しさが際立つ名作
オードリー・ヘプバーン主演映画『ローマの休日』には驚かされた。現代の視点で観ても十分に通用する作品だからだ。まさに「不朽の名作」と言っていいだろう。シンプルな設定と王道の展開、そしてオードリー・ヘプバーンの時代を超える美しさが相まって、普通ならまずあり得ない見事なコラボレーションが見事に実現している
あわせて読みたい
【狂気】異質なホラー映画『みなに幸あれ』(古川琴音主演)は古い因習に似せた「社会の異様さ」を描く
古川琴音主演映画『みなに幸あれ』は、”シュールさ”さえ感じさせる「異質なホラー映画」だ。「村の因習」というよくあるパターンをベースに据えつつ、そこで展開される異様な状況が、実は「私たちが生きる世界」に対応しているという構成になっている。「お前の物語だからな」と終始突きつけられ続ける作品だ
あわせて読みたい
【あらすじ】映画『千年女優』(今敏)はシンプルな物語を驚愕の演出で味付けした天才的アニメ作品
今敏監督の映画『千年女優』は、ちょっとびっくりするほど凄まじく面白い作品だった。観ればスッと理解できるのに言葉で説明すると難解になってしまう「テクニカルな構成」に感心させられつつ、そんな構成に下支えされた「物語の感性的な部分」がストレートに胸を打つ、シンプルながら力強い作品だ
あわせて読みたい
【痛快】精神病院の隔離室から脱した、善悪の判断基準を持たない狂気の超能力者が大暴れする映画:『モ…
モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』は、「10年以上拘束され続けた精神病院から脱走したアジア系女性が、特殊能力を使って大暴れする」というムチャクチャな設定の物語なのだが、全編に通底する「『善悪の判断基準』が歪んでいる」という要素がとても見事で、意味不明なのに最後まで惹きつけられてしまった
あわせて読みたい
【嫌悪】映画『ドライビング・バニー』が描く、人生やり直したい主人公(母親)のウザさと絶望
映画『ドライビング・バニー』は、主人公であるバニーのことが最後まで嫌いだったにも拘わらず、全体的にはとても素敵に感じられた珍しいタイプの作品だ。私は、「バニーのような人間が世の中に存在する」という事実に嫌悪感を抱いてしまうのだが、それでも、狂気的でぶっ飛んだラストシーンによって、作品全体の印象が大きく変わったと言える
あわせて読みたい
【驚愕】本屋大賞受賞作『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬)は凄まじい。戦場は人間を”怪物”にする
デビュー作で本屋大賞を受賞した『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬)は、デビュー作であることを抜きにしても凄まじすぎる、規格外の小説だった。ソ連に実在した「女性狙撃兵」の視点から「独ソ戦」を描く物語は、生死の境でギリギリの葛藤や決断に直面する女性たちのとんでもない生き様を活写する
あわせて読みたい
【天才】映画音楽の発明家『モリコーネ』の生涯。「映画が恋した音楽家」はいかに名曲を生んだか
「映画音楽のフォーマットを生み出した」とも評される天才作曲家エンリオ・モリコーネを扱った映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』では、生涯で500曲以上も生み出し、「映画音楽」というジャンルを比べ物にならないほどの高みにまで押し上げた人物の知られざる生涯が描かれる
あわせて読みたい
【倫理】アート体験の行き着く未来は?映画『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』が描く狂気の世界(…
「『痛み』を失った世界」で「自然発生的に生まれる新たな『臓器』を除去するライブパフォーマンス」を行うソール・テンサーを主人公にした映画『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』は、すぐには答えの見出しにくい「境界線上にある事柄」を挑発的に描き出す、実に興味深い物語だ
あわせて読みたい
【天才】タランティーノ作品ほぼ未見で観た面白ドキュメンタリー。映画に愛された映画オタクのリアル
『パルプ・フィクション』しか監督作品を観たことがないまま、本作『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』を観たが、とても面白いドキュメンタリー映画だった。とにかく「撮影現場に笑いが絶えない」ようで、そんな魅力的なモノづくりに関わる者たちの証言から、天才の姿が浮かび上がる
あわせて読みたい
【歴史】NIKEのエアジョーダン誕生秘話!映画『AIR/エア』が描くソニー・ヴァッカロの凄さ
ナイキがマイケル・ジョーダンと契約した時、ナイキは「バッシュ業界3位」であり、マイケル・ジョーダンも「ドラフト3位選手」だった。今からは信じられないだろう。映画『AIR/エア』は、「劣勢だったナイキが、いかにエアジョーダンを生み出したか」を描く、実話を基にした凄まじい物語だ
あわせて読みたい
【驚嘆】映画『TAR/ター』のリディア・ターと、彼女を演じたケイト・ブランシェットの凄まじさ
天才女性指揮者リディア・ターを強烈に描き出す映画『TAR/ター』は、とんでもない作品だ。「縦軸」としてのターの存在感があまりにも強すぎるため「横軸」を上手く捉えきれず、結果「よく分からなかった」という感想で終わったが、それでも「観て良かった」と感じるほど、揺さぶられる作品だった
あわせて読みたい
【衝撃】これが実話とは。映画『ウーマン・トーキング』が描く、性被害を受けた女性たちの凄まじい決断
映画『ウーマン・トーキング』の驚くべき点は、実話を基にしているという点だ。しかもその事件が起こったのは2000年代に入ってから。とある宗教コミュニティ内で起こった連続レイプ事件を機に村の女性たちがある決断を下す物語であり、そこに至るまでの「ある種異様な話し合い」が丁寧に描かれていく
あわせて読みたい
【性加害】映画『SHE SAID その名を暴け』を観てくれ。#MeToo運動を生んだ報道の舞台裏(出演:キャリ…
「#MeToo」運動のきっかけとなった、ハリウッドの絶対権力者ハーヴェイ・ワインスタインを告発するニューヨーク・タイムズの記事。その取材を担った2人の女性記者の奮闘を描く映画『SHE SAID その名を暴け』は、ジャニー喜多川の性加害問題で揺れる今、絶対に観るべき映画だと思う
あわせて読みたい
【感想】どんな話かわからない?難しい?ジブリ映画『君たちはどう生きるか』の考察・解説は必要?(監…
宮崎駿最新作であるジブリ映画『君たちはどう生きるか』は、宮崎アニメらしいファンタジックな要素を全開に詰め込みつつ、「生と死」「創造」についても考えさせる作品だ。さらに、「自分の頭の中から生み出されたものこそ『正解』」という、創造物と向き合う際の姿勢についても問うているように思う
あわせて読みたい
【あらすじ】映画『非常宣言』(ソン・ガンホ主演)は、冒頭から絶望的な「不可能状況」が現出する凄ま…
「飛行中の機内で、致死性の高い自作のウイルスを蔓延させる」という、冒頭から絶体絶命としか言いようがない状況に突き落とされる映画『非常宣言』は、「どうにかなるはずがない」と感じさせる状況から物語を前進させていくえげつなさと、様々に描かれる人間ドラマが見事な作品だ
あわせて読みたい
【あらすじ】アリ・アスター監督映画『ミッドサマー』は、気持ち悪さと怖さが詰まった超狂ホラーだった
「夏至の日に映画館で上映する」という企画でようやく観ることが叶った映画『ミッドサマー』は、「私がなんとなく想像していたのとはまるで異なる『ヤバさ』」に溢れる作品だった。いい知れぬ「狂気」が随所で描かれるが、同時に、「ある意味で合理的と言えなくもない」と感じさせられる怖さもある
あわせて読みたい
【あらすじ】大泉洋主演映画『月の満ち欠け』は「生まれ変わり」の可能性をリアルに描く超面白い作品
あなたは「生まれ変わり」を信じるだろうか? 私はまったく信じないが、その可能性を魅力的な要素を様々に散りばめて仄めかす映画『月の満ち欠け』を観れば、「生まれ変わり」の存在を信じていようがいまいが、「相手を想う気持ち」を強く抱く者たちの人間模様が素敵だと感じるだろう
あわせて読みたい
【驚異】映画『RRR』『バーフバリ』は「観るエナジードリンク」だ!これ程の作品にはなかなか出会えないぞ
2022年に劇場公開されるや、そのあまりの面白さから爆発的人気を博し、現在に至るまでロングラン上映が続いている『RRR』と、同監督作の『バーフバリ』は、大げさではなく「全人類にオススメ」と言える超絶的な傑作だ。まだ観ていない人がいるなら、是非観てほしい!
あわせて読みたい
【実話】ポートアーサー銃乱射事件を扱う映画『ニトラム』が示す、犯罪への傾倒に抗えない人生の不条理
オーストラリアで実際に起こった銃乱射事件の犯人の生い立ちを描く映画『ニトラム/NITRAM』は、「頼むから何も起こらないでくれ」と願ってしまうほどの異様な不穏さに満ちている。「社会に順応できない人間」を社会がどう受け入れるべきかについて改めて考えさせる作品だ
あわせて読みたい
【感想】映画『朝が来る』が描く、「我が子を返して欲しい気持ち」を消せない特別養子縁組のリアル
「特別養子縁組」を軸に人々の葛藤を描く映画『朝が来る』は、決して「特別養子縁組」の話ではない。「『起こるだろうが、起こるはずがない』と思っていた状況」に直面せざるを得ない人々が、「すべての選択肢が不正解」という中でどんな決断を下すのかが問われる、非常に示唆に富む作品だ
あわせて読みたい
【あらすじ】映画『1917』は、ワンカット風の凄まじい撮影手法が「戦場の壮絶な重圧」を見事に体感させる
映画『1917 命をかけた伝令』は、「全編ワンカット風」という凄まじい撮影手法で注目されたが、私は、その撮影手法が「戦場における緊迫感」を見事に増幅させているという点に驚かされた。「物語の中身」と「撮影手法」が素晴らしく合致したとんでもない作品だ
あわせて読みたい
【魅惑】バーバラ・ローデン監督・脚本・主演の映画『WANDA』の、70年代の作品とは思えない今感
映画館で観た予告が気になって、それ以外の情報を知らずに観に行った映画『WANDA』なんと70年代の映画だと知って驚かされた。まったく「古さ」を感じなかったからだ。主演だけでなく、監督・脚本も務めたバーバラ・ローデンが遺した、死後評価が高まった歴史的一作
あわせて読みたい
【不謹慎】コンプライアンス無視の『テレビで会えない芸人』松元ヒロを追う映画から芸と憲法を考える
かつてテレビの世界で大ブレイクを果たしながら、現在はテレビから完全に離れ、年間120もの公演を行う芸人・松元ヒロ。そんな知る人ぞ知る芸人を追った映画『テレビで会えない芸人』は、コンプライアンスに厳しく、少数派が蔑ろにされる社会へ一石を投じる、爆笑社会風刺である
あわせて読みたい
【狂気】”友好”のために北朝鮮入りした監督が撮った映画『ザ・レッド・チャペル』が映す平壌の衝撃
倫理的な葛藤を物ともせず、好奇心だけで突き進んでいくドキュメンタリー監督マッツ・ブリュガーが北朝鮮から「出禁」を食らう結果となった『ザ・レッド・チャペル』は、「友好」を表看板に北朝鮮に潜入し、その「日常」と「非日常」を映し出した衝撃作
あわせて読みたい
【感想】綿矢りさ原作の映画『ひらいて』は、溢れる”狂気”を山田杏奈の”見た目”が絶妙に中和する
「片想いの相手には近づけないから、その恋人を”奪おう”」と考える主人公・木村愛の「狂気」を描く、綿矢りさ原作の映画『ひらいて』。木村愛を演じる山田杏奈の「顔」が、木村愛の狂気を絶妙に中和する見事な配役により、「狂気の境界線」をあっさり飛び越える木村愛がリアルに立ち上がる
あわせて読みたい
【おすすめ】「天才」を描くのは難しい。そんな無謀な挑戦を成し遂げた天才・野崎まどの『know』はヤバい
「物語で『天才』を描くこと」は非常に難しい。「理解できない」と「理解できる」を絶妙なバランスで成り立たせる必要があるからだ。そんな難題を高いレベルでクリアしている野崎まど『know』は、異次元の小説である。世界を一変させた天才を描き、「天才が見ている世界」を垣間見せてくれる
あわせて読みたい
【葛藤】正論を振りかざしても、「正しさとは何か」に辿り着けない。「絶対的な正しさ」など存在しない…
「『正しさ』は人によって違う」というのは、私には「当たり前の考え」に感じられるが、この前提さえ共有できない社会に私たちは生きている。映画『由宇子の天秤』は、「誤りが含まれるならすべて間違い」という判断が当たり前になされる社会の「不寛容さ」を切り取っていく
あわせて読みたい
【あらすじ】映画『流浪の月』を観て感じた、「『見て分かること』にしか反応できない世界」への気持ち悪さ
私は「見て分かること」に”しか”反応できない世界に日々苛立ちを覚えている。そういう社会だからこそ、映画『流浪の月』で描かれる文と更紗の関係も「気持ち悪い」と断罪されるのだ。私はむしろ、どうしようもなく文と更紗の関係を「羨ましい」と感じてしまう。
あわせて読みたい
【矛盾】法律の”抜け穴”を衝く驚愕の小説。「ルールを通り抜けたものは善」という発想に潜む罠:『法廷…
完璧なルールは存在し得ない。だからこそ私たちは、矛盾を内包していると理解しながらルールを遵守する必要がある。「ルールを通り抜けたものは善」という”とりあえずの最善解”で社会を回している私たちに、『法廷遊戯』は「世界を支える土台の脆さ」を突きつける
あわせて読みたい
【正義】復讐なんかに意味はない。それでも「この復讐は正しいかもしれない」と思わされる映画:『プロ…
私は基本的に「復讐」を許容できないが、『プロミシング・ヤング・ウーマン』の主人公キャシーの行動は正当化したい。法を犯す明らかにイカれた言動なのだが、その動機は一考の余地がある。何も考えずキャシーを非難していると、矢が自分の方に飛んでくる、恐ろしい作品
あわせて読みたい
【考察】『うみべの女の子』が伝えたいことを全力で解説。「関係性の名前」を手放し、”裸”で対峙する勇敢さ
ともすれば「エロ本」としか思えない浅野いにおの原作マンガを、その空気感も含めて忠実に映像化した映画『うみべの女の子』。本作が一体何を伝えたかったのかを、必死に考察し全力で解説する。中学生がセックスから関係性をスタートさせることで、友達でも恋人でもない「名前の付かない関係性」となり、行き止まってしまう感じがリアル
あわせて読みたい
【日常】「何もかも虚しい」という心のスキマを「異性」や「お金」で安易に埋めてしまうのは危険だ:映…
「どこにでもいる普通の女性」が「横領」に手を染める映画『紙の月』は、「日常の積み重ねが非日常に接続している」ことを否応なしに実感させる。「主人公の女性は自分とは違う」と考えたい観客の「祈り」は通じない。「梅澤梨花の物語」は「私たちの物語」でもあるのだ
あわせて読みたい
【生きる】しんどい人生を宿命付けられた子どもはどう生きるべき?格差社会・いじめ・恋愛を詰め込んだ…
厳しい受験戦争、壮絶な格差社会、残忍ないじめ……中国の社会問題をこれでもかと詰め込み、重苦しさもありながら「ボーイ・ミーツ・ガール」の爽やかさも融合されている映画『少年の君』。辛い境遇の中で、「すべてが最悪な選択肢」と向き合う少年少女の姿に心打たれる
あわせて読みたい
【認識】「固定観念」「思い込み」の外側に出るのは難しい。自分はどんな「へや」に囚われているのか:…
実際に起こった衝撃的な事件に着想を得て作られた映画『ルーム』は、フィクションだが、観客に「あなたも同じ状況にいるのではないか?」と突きつける力強さを持っている。「普通」「当たり前」という感覚に囚われて苦しむすべての人に、「何に気づけばいいか」を気づかせてくれる作品
あわせて読みたい
【感想】映画『野火』は、戦争の”虚しさ”をリアルに映し出す、後世に受け継がれるべき作品だ
「戦争の悲惨さ」は様々な形で描かれ、受け継がれてきたが、「戦争の虚しさ」を知る機会はなかなかない。映画『野火』は、第二次世界大戦中のフィリピンを舞台に、「敵が存在しない戦場で”人間の形”を保つ困難さ」を描き出す、「虚しさ」だけで構成された作品だ
あわせて読みたい
【葛藤】正義とは何かを突きつける戦争映画。80人を救うために1人の少女を殺すボタンを押せるか?:『ア…
「80人の命を救うために、1人の少女の命を奪わなければならない」としたら、あなたはその決断を下せるだろうか?会議室で展開される現代の戦争を描く映画『アイ・イン・ザ・スカイ』から、「誤った問い」に答えを出さなければならない極限状況での葛藤を理解する
あわせて読みたい
【正義】「正しさとは何か」を考えさせる映画『スリー・ビルボード』は、正しさの対立を絶妙に描く
「正しい」と主張するためには「正しさの基準」が必要だが、それでも「規制されていないことなら何でもしていいのか」は問題になる。3枚の立て看板というアナログなツールを使って現代のネット社会の現実をあぶり出す映画『スリー・ビルボード』から、「『正しさ』の難しさ」を考える
あわせて読みたい
【あらすじ】濱口竜介監督『偶然と想像』は、「脚本」と「役者」のみで成り立つ凄まじい映画。天才だと思う
「映画」というメディアを構成する要素は多々あるはずだが、濱口竜介監督作『偶然と想像』は、「脚本」と「役者」だけで狂気・感動・爆笑を生み出してしまう驚異の作品だ。まったく異なる3話オムニバス作品で、どの話も「ずっと観ていられる」と感じるほど素敵だった
あわせて読みたい
【傑作】濱口竜介監督の映画『ドライブ・マイ・カー』(原作:村上春樹)は「自然な不自然さ」が見事な作品
村上春樹の短編小説を原作にした映画『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)は、村上春樹の小説の雰囲気に似た「自然な不自然さ」を醸し出す。「不自然」でしかない世界をいかにして「自然」に見せているのか、そして「自然な不自然さ」は作品全体にどんな影響を与えているのか
あわせて読みたい
【矛盾】その”誹謗中傷”は真っ当か?映画『万引き家族』から、日本社会の「善悪の判断基準」を考える
どんな理由があれ、法を犯した者は罰せられるべきだと思っている。しかしそれは、善悪の判断とは関係ない。映画『万引き家族』(是枝裕和監督)から、「国民の気分」によって「善悪」が決まる社会の是非と、「善悪の判断を保留する勇気」を持つ生き方について考える
あわせて読みたい
【考察】映画『ジョーカー』で知る。孤立無援の環境にこそ”悪”は偏在すると。個人の問題ではない
「バットマン」シリーズを観たことがない人間が、予備知識ゼロで映画『ジョーカー』を鑑賞。「悪」は「環境」に偏在し、誰もが「悪」に足を踏み入れ得ると改めて実感させられた。「個人」を断罪するだけでは社会から「悪」を減らせない現実について改めて考える
あわせて読みたい
【壮絶】本当に「美人は得」か?「美しさ」という土俵を意識せざるを得ない少女・女性たちの現実:『自…
美醜で判断されがちな”ルッキズム”の世の中に刃を突きつける小説『自画像』。私自身は、「キレイな人もキレイな人なりの大変さを抱えている」と感じながら生きているつもりだが、やはりその辛さは理解されにくい。私も男性であり、ルッキズムに加担してないとはとても言えない
あわせて読みたい
【あらすじ】子どもは大人よりずっと大人だ。「子ども扱い」するから、「子どもの枠」から抜け出せない…
宮部みゆき『ソロモンの偽証』は、その分厚さ故になかなか手が伸びない作品だろうが、「長い」というだけの理由で手を出さないのはあまりにももったいない傑作だ。「中学生が自前で裁判を行う」という非現実的設定をリアルに描き出すものすごい作品
あわせて読みたい
【逃避】つまらない世の中で生きる毎日を押し流す”何か”を求める気持ちに強烈に共感する:映画『サクリ…
子どもの頃「台風」にワクワクしたように、未だに、「自分のつまらない日常を押し流してくれる『何か』」の存在を待ちわびてしまう。立教大学の学生が撮った映画『サクリファイス』は、そんな「何か」として「東日本大震災」を描き出す、チャレンジングな作品だ
あわせて読みたい
【映画】『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 劇場版』で号泣し続けた私はTVアニメを観ていない
TVアニメは観ていない、というかその存在さえ知らず、物語や登場人物の設定も何も知らないまま観に行った映画『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 劇場版』に、私は大号泣した。「悪意のない物語」は基本的に好きではないが、この作品は驚くほど私に突き刺さった
あわせて読みたい
【難しい】映画『鳩の撃退法』をネタバレ全開で考察。よくわからない物語を超詳細に徹底解説していく
とても難しくわかりにくい映画『鳩の撃退法』についての考察をまとめていたら、1万7000字を超えてしまった。「東京編で起こったことはすべて事実」「富山編はすべてフィクションかもしれない」という前提に立ち、「津田伸一がこの小説を書いた動機」まで掘り下げて、実際に何が起こっていたのかを解説する(ちなみに、「実話」ではないよ)
あわせて読みたい
【感想】映画『窮鼠はチーズの夢を見る』を異性愛者の男性(私)はこう観た。原作も読んだ上での考察
私は「腐男子」というわけでは決してないのですが、周りにいる腐女子の方に教えを請いながら、多少BL作品に触れたことがあります。その中でもダントツに素晴らしかったのが、水城せとな『窮鼠はチーズの夢を見る』です。その映画と原作の感想、そして私なりの考察について書いていきます
あわせて読みたい
【解説】テネットの回転ドアの正体を分かりやすく考察。「時間逆行」ではなく「物質・反物質反転」装置…
クリストファー・ノーラン監督の映画『TENET/テネット』は、「陽電子」「反物質」など量子力学の知見が満載です。この記事では、映画の内容そのものではなく、時間反転装置として登場する「回転ドア」をメインにしつつ、時間逆行の仕組みなど映画全体の設定について科学的にわかりやすく解説していきます
あわせて読みたい
【驚嘆】人類はいかにして言語を獲得したか?この未解明の謎に真正面から挑む異色小説:『Ank: a mirror…
小説家の想像力は無限だ。まさか、「人類はいかに言語を獲得したか?」という仮説を小説で読めるとは。『Ank: a mirroring ape』をベースに、コミュニケーションに拠らない言語獲得の過程と、「ヒト」が「ホモ・サピエンス」しか存在しない理由を知る
あわせて読みたい
【諦め】「人間が創作すること」に意味はあるか?AI社会で問われる、「創作の悩み」以前の問題:『電気…
AIが個人の好みに合わせて作曲してくれる世界に、「作曲家」の存在価値はあるだろうか?我々がもうすぐ経験するだろう近未来を描く『電気じかけのクジラは歌う』をベースに、「創作の世界に足を踏み入れるべきか」という問いに直面せざるを得ない現実を考える
この記事を読んでくれた方にオススメのタグページ
ルシルナ
理不尽・ストレス・イライラする【本・映画の感想】 | ルシルナ
「理不尽だなー」と感じてしまうことはよくあります。クレームや怒りなど、悪意や無理解から責められることもあるでしょうし、多数派や常識的な考え方に合わせられないとい…
タグ一覧ページへのリンクも貼っておきます
ルシルナ
記事検索(カテゴリー・タグ一覧) | ルシルナ
ルシルナは、4000冊以上の本と500本以上の映画をベースに、生き方や教養について書いていきます。ルシルナでは36個のタグを用意しており、興味・関心から記事を選びやすく…
コメント