目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
「国葬の日」公式HP
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
今どこで観れるのか?
公式HPの劇場情報をご覧ください
この記事の3つの要点
- 私は「安倍元首相の国葬」には反対だったし、安倍元首相のことも好きではない
- あらゆる「モヤモヤ」を投げかける、「国葬」に対する様々な反応
- 「『適切な批判』が成り立たない」という、民主主義国家の土台を揺るがす日本の現状が浮き彫りにされる
実に興味深い作品で、自戒を込めつつ「これでいいのだろうか?」と問い続ける必要があると感じさせられた
自己紹介記事
あわせて読みたい
ルシルナの入り口的記事をまとめました(プロフィールやオススメの記事)
当ブログ「ルシルナ」では、本と映画の感想を書いています。そしてこの記事では、「管理者・犀川後藤のプロフィール」や「オススメの本・映画のまとめ記事」、あるいは「オススメ記事の紹介」などについてまとめました。ブログ内を周遊する参考にして下さい。
あわせて読みたい
【全作品読了・視聴済】私が「読んできた本」「観てきた映画」を色んな切り口で分類しました
この記事では、「今まで私が『読んできた本』『観てきた映画』を様々に分類した記事」を一覧にしてまとめました。私が面白いと感じた作品だけをリストアップしていますので、是非本・映画選びの参考にして下さい。
どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください
安倍元首相の国葬の1日を追ったドキュメンタリー映画『国葬の日』は、政治や国家に対する国民の「気分」が如実に反映された、実に興味深い作品だった
本作『国葬の日』は、2022年9月27日に行われた安倍元首相の国葬の1日を、日本各地に派遣したカメラで捉えたドキュメンタリー映画である。実に思考を刺激する、非常にざわざわさせる作品だった。
あわせて読みたい
【誠実】映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』で長期密着した政治家・小川淳也の情熱と信念が凄まじい
政治家・小川淳也に17年間も長期密着した映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』は、誠実であるが故に大成できない1人の悩める政治家のありのままが描かれる。サラリーマン家庭から政治家を目指し、未来の日本を健全にするために奮闘する男の信念と情熱が詰まった1本
私は基本的に「安倍元首相の国葬には反対」という立場を取っている
さて、作品の内容について色々と書く前に、まずはこの件に関する私自身のスタンスについて述べておくことにしよう。
まず私は、「安倍元首相の国葬開催」には反対の立場を取っていた。これは、安倍元首相の政治家としての評価とは関係ない。私自身の安倍元首相に対する評価については後で触れるが、「評価の良し悪しに拘らず、国葬には反対」という点をまずは強調しておきたい。
あわせて読みたい
【衝撃】匿名監督によるドキュメンタリー映画『理大囲城』は、香港デモ最大の衝撃である籠城戦の内部を映す
香港民主化デモにおける最大の衝撃を内側から描く映画『理大囲城』は、とんでもないドキュメンタリー映画だった。香港理工大学での13日間に渡る籠城戦のリアルを、デモ隊と共に残って撮影し続けた匿名監督たちによる映像は、ギリギリの判断を迫られる若者たちの壮絶な現実を映し出す
その理由は、「どう考えても『分断』が広がるだけだろう」としか思えなかったからだ。
本作上映後には、大島新監督による舞台挨拶が行われ、その中で彼は中曽根元首相の「政治家は常に歴史法廷に立つ被告人だ」という言葉を引用した。私もその通りだと感じる。もちろん、即効性のある政策などにより早く評価が可能な状況もあるかもしれないが、決してそういうものばかりではないはずだ。政治家の功罪の判断は結局、未来に生きる人に託すしかないのである。
そしてそもそもだが、政治家であるかどうかに拘らず、「ある個人を客観的に評価すること」は容易ではないはずだ。どんな悪人だって多少は良い部分を持っているだろうし、どんな善人だって生まれてから死ぬまで一切悪いことをしないなんてあり得ないだろう。そして大体の人間は、良い面も悪い面もほどよく持ち合わせているものだ。結局、「良い面を強調すれば善人に」「悪い面を強調すれば悪人に」見えるというだけの話であり、「客観的に個人を評価する」ことなどまず不可能だと私は考えているのである。
あわせて読みたい
【実話】「家族とうまくいかない現実」に正解はあるか?選択肢が無いと感じる時、何を”選ぶ”べきか?:…
「自分の子どもなんだから、どんな風に育てたって勝手でしょ」という親の意見が正しいはずはないが、この言葉に反論することは難しい。虐待しようが生活能力が無かろうが、親は親だからだ。映画『MOTHER マザー』から、不正解しかない人生を考える
さて、ここで安倍元首相の話に戻すが、生前の彼は明らかに「様々な毀誉褒貶にさらされ続けた人」だったと思う。私には「悪い面」が強調されて見えていたが、彼の「良い面」を積極的に評価する人がいたことも知っている。政治家として優れていたのかは分からないが、常に「0か100か」みたいな受け取られ方がされる生き方だったように私には見えていたというわけだ。「0と受け取る人は100を見ないし、100と受け取る人は0を見ない」という状況が平行線のようにずっと交わらなかったように思う。
そしてそのような人物の「国葬」を行うとなれば、そりゃあ世論が真っ二つに割れるなんて火を見るより明らかと言えるだろう。「国葬を行うか否か」という判断の際に、このような想像が出来なかったのかと、私にはとても不思議に感じられてしまう。作中ではインタビューアーも務める大島新が、「今日この日が、まさに『分断の日』に感じられます」みたいな感覚を人々に投げかけつつ話を聞いていたのだが、まさにその通りだと私も感じた。「偉大な人物なのだから、国葬は当然だ」みたいな判断をする人がいてもいいのだが、そういうこととはまた違ったレイヤーで私は、「このような分断を加速させる国葬は行うべきではなかった」と考えているというわけだ。
ただ私は、「理屈が通ってさえいれば、自分と異なる価値観にも理解を示す」という意識を常に持っているつもりなので、次のような意図で国葬が行われたのであればまだマシだと思える。それは、作中で誰かが話していたことでもあるのだが、「反対が多くても強行することによって、『どれだけ反対の声を挙げても無駄だ』と思わせようとしている」というものだ。私はもちろん、そのようなやり方を許容しきない。しかし、「意図があってやっている」ことは理解できるし、理屈も通っていると言えるだろう。国がもし、「分断上等!」みたいなスタンスで国葬を強行したというのであれば、理解出来なくはない。
あわせて読みたい
【弾圧】香港デモの象徴的存在デニス・ホーの奮闘の歴史。注目の女性活動家は周庭だけじゃない:映画『…
日本で香港民主化運動が報じられる際は周庭さんが取り上げられることが多いが、香港には彼女よりも前に民主化運動の象徴的存在として認められた人物がいる。映画『デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング』の主人公であるスター歌手の激動の人生を知る
しかし私の感触では、まずそんなことはないだろうと思う。安倍元首相の銃撃事件から国葬決定に至るまでの流れは当時の報道でなんとなく追っていたが、政府は恐らく、「凶弾に倒れた安倍元首相の死には日本中が悲しんでいる。となれば、彼の国葬を行えば国民から広く賛同を得られるだろうし、支持率も上がるはずだ」みたいな皮算用で国葬を決めたはずだ。そしてそしていざ蓋を開けてみたら、その思惑が崩れ去ってしまったということなのだと思う。このような想像力や信念を欠いた決断を、私は許容できない。
ごく一般的な感覚を持っていたら、「安倍元首相の国葬を行えば、『分断』が加速する」ぐらいのことは想像出来たはずだし、何よりもまず、その意味で私は国葬に反対だった。さらに、そんな想像力さえ持ち得ない人たちが国葬を決断し実行しているわけで、なおのこと許容できるはずがないのだ。これが私の基本的なスタンスである。
「ソフトな独裁」を強いていたように思う安倍元首相のことは好きになれない
あわせて読みたい
【爆笑】ダースレイダー✕プチ鹿島が大暴れ!映画『センキョナンデス』流、選挙の楽しみ方と選び方
東大中退ラッパー・ダースレイダーと新聞14紙購読の時事芸人・プチ鹿島が、選挙戦を縦横無尽に駆け回る様を映し出す映画『劇場版 センキョナンデス』は、なかなか関わろうとは思えない「選挙」の捉え方が変わる作品だ。「フェスのように選挙を楽しめばいい」というスタンスが明快な爆笑作
さてその上で私は、安倍元首相のことが明確に嫌いだったので、そういう意味でも国葬には反対だった。
安倍元首相のことが嫌いだった理由を説明する前にまず、「ソフトな独裁」について触れることにしよう。私はよく、今の日本の政治を「ソフトな独裁」と捉えている。「独裁」とは一般的に、「国民の意思に反して、国家があらゆる手を尽くして暴力的に舵取りを行う」みたいな印象ではないかと思うが、私が言う「ソフトな独裁」とは、そこから「暴力的」という要素を取り除いたものと考えてもらえばいいだろう。単純に文章にすれば、「国民の意思に反して、国家があらゆる手を尽くして舵取りを行う」という感じである。
もちろん、それ自体は決して悪いことではない。もし国が、「私が良いと感じる方向」に導いてくれているのであれば、「ソフトな独裁」の方が決断も実行も早いだろうし、政策が迅速に実現されるはずだからだ。しかし残念ながら今は、「私が良いと感じる方向」に進んではいない。そのため、現状の「ソフトな独裁」も許容できないというわけだ。
あわせて読みたい
【デモ】クーデター後の軍事政権下のミャンマー。ドキュメンタリーさえ撮れない治安の中での映画制作:…
ベルリン国際映画祭でドキュメンタリー賞を受賞したミャンマー映画『ミャンマー・ダイアリーズ』はしかし、後半になればなるほどフィクショナルな映像が多くなる。クーデター後、映画制作が禁じられたミャンマーで、10人の”匿名”監督が死を賭して撮影した映像に込められた凄まじいリアルとは?
さて、この「ソフトな独裁」は間違いなく、「我々国民の”協力”」無しには実現し得ない。「独裁」については、「暴力的に」行われるからこそ「国民の意思を無視する」ことが可能だと言える。しかし私たちは、そのような状況にいるわけではないのだ。だから、様々なやり方で声を上げれば、「ソフトな独裁」状態は今すぐにでも終わるはずだ。
しかしそうなっていないのは、我々が「政治には関心を持たない」という形で間接的に”協力”しているからだと言っていいと思う。だから私は、もちろん自戒を込めてではあるが、そのような「人々の政治への無関心さ」にも違和感を覚えてしまうことが多い。監督も似たような思いから本作を撮ったそうだ。舞台挨拶で、「政治に対する日本国民のスタンスにこそ関心があった」みたいな発言をしていたのである。
さて、確かに「我々国民の”協力”」あっての現状ではあるのだが、とはいえやはり、意識的かどうかはともかくとして、政治がそのような方向に誘導していることもまた間違いないだろう。私は日本の政治に対して、「『なんとなく自民党』という人からの支持」と「政治に期待するのを諦めさせる戦略」みたいなものを感じてしまう。そして、それらを上手く駆使していたのが安倍元首相であるように私には見えていたのだ。まさに「政治への無関心さ」を加速させた元凶と言えるだろうし、そういう意味で私は彼のことが好きになれないのである。
あわせて読みたい
【考察】アニメ映画『虐殺器官』は、「便利さが無関心を生む現実」をリアルに描く”無関心ではいられない…
便利すぎる世の中に生きていると、「この便利さはどのように生み出されているのか」を想像しなくなる。そしてその「無関心」は、世界を確実に悪化させてしまう。伊藤計劃の小説を原作とするアニメ映画『虐殺器官』から、「無関心という残虐さ」と「想像することの大事さ」を知る
そういうわけで国葬にも反対だったわけだが、あともう1つ、私個人のある感覚にも触れておこうと思う。まず共感してもらえないと分かっているのだが、私は「人が死んで悲しいと思ったことがない」ので、「弔意を表すために参列する」みたいな行為の意味が全然理解できない。まあこの辺りのことは私個人の問題なのでどうでもいいのだが、そういう観点からも私は、「国葬に何の意味があるんだ?」と感じてしまうのである。
「何も考えていないんだろうな」と感じさせる発言の数々
本作の構成について少し触れておこう。安倍元首相の国葬は武道館で行われたので、もちろんその周辺でも撮影を行っているのだが、それだけではない。国葬が行われたその日の渋谷・上野・浅草、あるいは京都、広島、長崎、札幌、山口県下関市、福島県大熊町、沖縄県辺野古市など様々な場所でも話を聞いているのだ。国葬が行われる直前、静岡県で台風による甚大な豪雨被害がもたらされたのだが、中でも特に被害の大きかった清水市にもカメラが向かっていた。
あわせて読みたい
【現実】映画『私のはなし 部落のはなし』で初めて同和・部落問題を考えた。差別はいかに生まれ、続くのか
私はずっと、「部落差別なんてものが存在する意味が分からない」と感じてきたが、映画『私のはなし 部落のはなし』を観てようやく、「どうしてそんな差別が存在し得るのか」という歴史が何となく理解できた。非常に複雑で解決の難しい問題だが、まずは多くの人が正しく理解することが必要だと言えるだろう
そして、「あらゆる場所で『国葬』についての意見を人々に聞く」というのが本作のコンセプトである。とにかく、ひたすらにシンプルな作品と言っていいと思う。安倍元首相の地元である下関や、基地移設で揺れる辺野古など、安倍元首相に対する関心が良い意味でも悪い意味でも高い地域の人々の反応ももちろん興味深い。しかしその一方で、札幌など、安倍元首相との直接的な繋がりがほぼない地域でのインタビューもまた、とても惹かれるものがあった。
舞台挨拶の中で監督が話していた通り、本作『国葬の日』は「観るとモヤモヤする作品」だ。本作は音楽もナレーションも一切なく、ひたすらにインタビューの素材をそのまま繋げていく構成になっている。だからこそ一層、受け取り方は観客に委ねられていると言えるだろう。そして私も、様々な人の話を聞きながら、とてもモヤモヤした気分にさせられたのである。
そのモヤモヤが一番伝わりやすいのは、「国葬に賛同している人」や「献花を行っていた人」の反応ではないかと私は思う。
あわせて読みたい
【感想】関東大震災前後を描く映画『福田村事件』(森達也)は、社会が孕む「思考停止」と「差別問題」…
森達也監督初の劇映画である『福田村事件』は、100年前の関東大震災直後に起こった「デマを起点とする悲劇」が扱われる作品だ。しかし、そんな作品全体が伝えるメッセージは、「100年前よりも現代の方がよりヤバい」だと私は感じた。SNS時代だからこそ意識すべき問題の詰まった、挑発的な作品である
ある人物は、「テレビで見知っていた人だから、亡くなってしまったのは本当に悲しい」と言っていた。しかしその後、「安倍元首相のどのような点を評価しているのか」と問われ、「政治のことはよく分からない」という反応になってしまう。また別の人物は、「安倍元首相には非常に大きな功績があるのだから、国葬は当然だ」と主張していた。しかし、「どのような功績を評価しているのか」と聞いても、あまり中身のある答えは返ってこない。「外交」については少し話をしていたものの、それ以外については「色々ある」と具体的なことは言わなかったのである。もちろん「語っていたが編集で切った」という可能性もゼロではないが、さすがにこのような作品を作る上で、そんな恣意的な編集はしないだろう。
また、安倍元首相に対する評価として多かったのが「在任期間の長さ」である。「在任期間が長かったから評価できる」みたいなことを言う人がとても多かったのだ。しかし普通に考えて、「在任期間の長さ」と「政治家としての優劣」に相関関係はないだろう。政治というのは様々な力学によって決まるので、「『最も優秀な人物』が常にトップにいる」わけではない。だから、「有能だったが在任期間が短かった人」も「無能だったが在任期間が長かった人」も当然いるはずである。
あわせて読みたい
【悲劇】アメリカの暗黒の歴史である奴隷制度の現実を、元奴隷の黒人女性自ら赤裸々に語る衝撃:『ある…
生まれながらに「奴隷」だった黒人女性が、多くの人の協力を得て自由を手にし、後に「奴隷制度」について書いたのが『ある奴隷少女に起こった出来事』。長らく「白人が書いた小説」と思われていたが、事実だと証明され、欧米で大ベストセラーとなった古典作品が示す「奴隷制度の残酷さ」
「在任期間の長さ」を評価した人たちの口ぶりから、「上手く言語化出来なかったのだろうか、そこにはもう少しちゃんとした理屈があるのだろう」みたいな雰囲気が感じられたなら、私の捉え方ももう少し変わっただろう。しかし残念ながら、そんな印象にはならなかった。本当に、ただシンプルに「在任期間が長い=評価されて然るべき」と判断しているようなのだ。そのような思考は、私には少し恐ろしいものに感じられてしまった。
私は安倍元首相のことが嫌いだが、しかしだからといって、「安倍元首相を支持している人」を排除したり嫌いになったりするつもりはない。しかし私はやはり、彼らに「政治家として評価している」みたいなスタンスを持っていてほしいと考えてしまう。本作で映し出されていた「安倍元首相の支持者」にはどことなく、「アイドルを推している」みたいな雰囲気しか感じられなかったのだ。もちろんそのような理由であっても、「弔意を表したい」という気持ちを持つことは真っ当だし悪いことではないと思っている。しかし、やはり私には、彼らが「ソフトな独裁」を助長した”共犯者”のようにも見えてしまい、どうしても受け入れがたい気持ちにもなってしまったというわけだ。
あわせて読みたい
【衝撃】ミキ・デザキが映画『主戦場』で示す「慰安婦問題」の実相。歴史修正主義者の発言がヤバすぎ
「慰安婦問題」に真正面から取り組んだ映画『主戦場』は、「『慰安婦問題』の根幹はどこにあるのか?」というその複雑さに焦点を当てていく。この記事では、本作で映し出された様々な情報を元に「慰安婦問題」について整理したものの、結局のところ「解決不可能な問題である」という結論に行き着いてしまった
「適切な批判」が成り立ちにくい日本の現状
あるいは、また少し違った形のモヤモヤも映し出されている。監督も舞台挨拶の中で言及していたが、国葬について「どちらかと言えば賛成」と口にした人物が、「国が決めたことなんだから、反対したって意味ないでしょ」みたいに言う場面があるのだ。これだけで、「日本は健全な民主主義国家ではない」と伝わってくるような発言だろう。
このように日本には、「『適切な批判』が成立しないような状況」が存在するように私には感じられるのだ。
私は以前、『パンケーキを毒見する』という映画を観たことがある。菅義偉を扱ったドキュメンタリー映画だ。そしてその中には、「『若者に政治参加を促すことを目的としたNPO』のメンバーである大学生が話をする場面」も収められている。そして彼らが、「若者には『批判ばかりしている野党は嫌い』という感覚があり、だから自民党支持になる」と語っていたのがとても印象的だった。若い世代は特に、それがどんなものであれ「批判」を酷く嫌うそうだ。「『健全な民主主義国家』は『公を批判的に監視する』ことで成り立つ」というのが一般的な理解のはずだが、若者はそのような「意味のある必要な批判」さえも嫌悪して遠ざけてしまうというのである(野党が「意味のある必要な批判」をしているのかについては別途議論が必要ではあるが)。
あわせて読みたい
【評価】元総理大臣・菅義偉の来歴・政治手腕・疑惑を炙り出す映画。権力を得た「令和おじさん」の素顔…
「地盤・看板・カバン」を持たずに、総理大臣にまで上り詰めた菅義偉を追うドキュメンタリー映画『パンケーキを毒見する』では、その来歴や政治手腕、疑惑などが描かれる。学生団体「ivote」に所属する現役大学生による「若者から政治はどう見えるか」も興味深い
それではなかなか「民主主義」は成立しないだろう。
本作『国葬の日』では、若者の意見も映し出される。例えばある人物は、「仲間内では政治の話はしない」みたいなことを言っていた。安倍元首相の国葬についても、その是非について話をしたことはないそうだ。もちろん、若者にはもっと楽しいことがたくさんあるだろうから、「政治の話なんかしてる暇はない」みたいなことなのかと初めは思った。しかしそういうことではないようなのだ。
その人物は、「友人と政治の話をして、仮に相手と意見が違うことが分かり、それで仲が悪くなってしまったら怖いから政治の話をしない」と言っていた。確かに、私の中にもこのような感覚はなくはないが、恐らく若い世代はさらに極端になっているのではないかと思う。政治の話に限らず、「対立を避けるために、そもそも議論をしない」というスタンスが当たり前になっているのだろう。私は個人的に、「意見が違っていても分かり合えるからこそより深い関係になれる」と考えているのだが、色々あって「意見の違い」に踏み込むことが難しい世代なのだとも思う。このようなマインドもまた、「適切な批判」を拒む要因になっていると言えるだろう。
あわせて読みたい
【日本】原発再稼働が進むが、その安全性は?樋口英明の画期的判決とソーラーシェアリングを知る:映画…
映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』では、大飯原発の運転差し止め判決を下した裁判長による画期的な「樋口理論」の説明に重点が置かれる。「原発の耐震性」に関して知らないことが満載で、実に興味深かった。また、農家が発案した「ソーラーシェアリング」という新たな発電方法も注目である
このように本作では、様々な「違和感」を炙り出していくのだ。
以前私は、『日の丸~それは今なのかもしれない~』というドキュメンタリー映画を観たことがある。「TBS史上最大の問題作」とも評されるテレビドキュメンタリーを令和に復活させた作品だ。こちらも構成はシンプルで、「インタビューアーが街頭で、一切の前置き無しに『日の丸』に関する質問を浴びせ、その反応をそのまま映像に記録する」というスタイルである。「日の丸」という、誰にでも馴染がありながら、特段深く考える機会もない対象についての質問を矢継ぎ早に投げかけることで、「回答者自身の価値観」や「日本という国家の問題」が浮き彫りにされていく、実に興味深い作品だった。
あわせて読みたい
【挑発】「TBS史上最大の問題作」と評されるドキュメンタリー『日の丸』(構成:寺山修司)のリメイク映画
1967年に放送された、寺山修司が構成に関わったドキュメンタリー『日の丸』は、「TBS史上最大の問題作」と評されている。そのスタイルを踏襲して作られた映画『日の丸~それは今なのかもしれない~』は、予想以上に面白い作品だった。常軌を逸した街頭インタビューを起点に様々な思考に触れられる作品
そして本作『国葬の日』には、映画『日の丸』と似ているところがあるように思う。「安倍元首相の国葬」に関する質問を人々に投げかけることで、様々な事柄があぶり出されていくからだ。本作はそのタイトルに反し、結局のところ、本質的に映し出されているのは我々「国民」の方なのだと思う。実に興味深い作品だった。
その他、気になった様々な発言について
本作に登場した人の中で、最もまともな発言をしていると感じたのが、「プラカードの反対はみっともない」と言っていたおじさんだ。国葬当日も様々な場所で、「国葬に反対する人々」がプラカードを持って抗議活動を行っていたのだが、彼はそのことに対して反対していたのである。
ただ、彼は決して「国葬に反対すること」自体に文句を言っていたのではない。彼は、「反対するにしても、開催の前日まででしょう」と主張していたのである。「当日はもう、開催が覆ることはないのだから、反対したところで意味はないし、海外の要人が集まるのだから、その中でプラカードを持って反対している姿が世界に喧伝されるのはみっともないじゃないか」というわけだ。彼の主張すべてに賛同できたわけでは決してないのだが、「なるほど、確かにその通りだ」と感じさせる意見であったことは間違いない。
あわせて読みたい
【挑戦】映画『燃えあがる女性記者たち』が描く、インドカースト最下位・ダリットの女性による報道
映画『燃えあがる女性記者たち』は、インドで「カースト外の不可触民」として扱われるダリットの女性たちが立ち上げた新聞社「カバル・ラハリヤ」を取り上げる。自身の境遇に抗って、辛い状況にいる人の声を届けたり権力者を糾弾したりする彼女たちの奮闘ぶりが、インドの民主主義を変革させるかもしれない
また、一切の議論の余地なく全員が賛同するだろう意見を口にしていたのが、豪雨被害を受けた清水市の人たちだ。彼らは一様に、「国葬をやる金があるなら、瓦礫の除去とかにお金を出してよ」と言っていた。ホント、それはその通りだと思う。
一方で、「どのような感情を抱くのが正解なのか分からない意見」を口にする者もいた。どんな発言だったのかについてここでは触れないが、舞台挨拶の中で監督が、「あの人に掛ける言葉を自分は持っているだろうか」と自問していた人物である。その場面を観ながら、私も概ね同じようなことを考えていた。
あわせて読みたい
【悲哀】2度の東京オリンピックに翻弄された都営アパートから「公共の利益」と「個人の権利」を考える:…
1964年の東京オリンピックを機に建設された「都営霞ケ丘アパート」は、東京オリンピック2020を理由に解体が決まり、長年住み続けた高齢の住民に退去が告げられた。「公共の利益」と「個人の権利」の狭間で翻弄される人々の姿を淡々と映し出し、静かに「社会の在り方」を問う映画
その人物は、全体的にはとても素敵に映ったし、自分の意見をちゃんと持っている優秀な人なのだと思う。しかし、そのような人物の口から語られる「国葬」や「安倍元首相」に対する意見が、どうしても受け入れがたいというか、何故そのような感覚になってしまうのか分からないというか、とにかく許容できなかったのである。
彼の存在はある意味で、「このような素晴らしい人物でさえも、安倍元首相に対してはそのような感覚になってしまうのか」という、ある種の「怖さ」を体現するものとしてとても印象に残った。具体的なことに触れずに書いているのでイメージ出来ないとは思うが、彼の話を聞けば「なるほど、そういう理由でそのような考えを持っているのか」と感じると思う。そしてさらに、「同じような感覚を持つ人はきっと世の中にたくさんいるのだろう」とも思わされるし、だからこそ余計に「怖さ」として認識されてしまうのである。
もちろん、観る人によって気になるポイントは変わるだろう。色んな人に色んな形で、モヤモヤを抱かせたり、思考を刺激したりする作品なのではないかと思う。
あわせて読みたい
【実話】ポートアーサー銃乱射事件を扱う映画『ニトラム』が示す、犯罪への傾倒に抗えない人生の不条理
オーストラリアで実際に起こった銃乱射事件の犯人の生い立ちを描く映画『ニトラム/NITRAM』は、「頼むから何も起こらないでくれ」と願ってしまうほどの異様な不穏さに満ちている。「社会に順応できない人間」を社会がどう受け入れるべきかについて改めて考えさせる作品だ
あわせて読みたい
【全作品視聴済】私が観てきたドキュメンタリー映画を色んな切り口で分類しました
この記事では、「今まで私が観てきたドキュメンタリー映画を様々に分類した記事」を一覧にしてまとめました。私が面白いと感じた作品だけをリストアップしていますので、是非映画選びの参考にして下さい。
最後に
観ながらずっと、「これでいいんだろうか?」という疑問が離れなかった。もちろん、その問いは私自身にも向けられている。私もずっと、「これでいいんだろうか?」と問い続けなければならないだろう。そして、本作を観て多くの人が同じような感覚を抱いてくれたら、少しは「ソフトな独裁」を脱するきっかけになるのではないかとも感じた。
あわせて読みたい
Kindle本出版しました!『天才・アインシュタインの生涯・功績をベースに、簡単過ぎない面白科学雑学を…
Kindleで本を出版しました。タイトルは、『天才・アインシュタインの生涯・功績をベースに、簡単過ぎない面白科学雑学を分かりやすく書いた本:相対性理論も宇宙論も量子論も』です。科学や科学者に関する、文系の人でも読んでもらえる作品に仕上げました。そんな自著について紹介をしています。
次にオススメの記事
あわせて読みたい
【SDGs】パリコレデザイナー中里唯馬がファッション界の大量生産・大量消費マインド脱却に挑む映画:『…
映画『燃えるドレスを紡いで』は、世界的ファッションデザイナーである中里唯馬が、「服の墓場」と言うべきナイロビの現状を踏まえ、「もう服を作るのは止めましょう」というメッセージをパリコレの場から発信するまでを映し出すドキュメンタリー映画である。個人レベルで社会を変革しようとする凄まじい行動力と才能に圧倒させられた
あわせて読みたい
【悲劇】映画『プリンセス・ダイアナ』『スペンサー』で知る、その凄まじい存在感と王室の窮屈さ
ドキュメンタリー映画『プリンセス・ダイアナ』と映画『スペンサー』は、衝撃的な死を遂げたダイアナ妃の生涯を対照的な形で描き出す作品だ。「過去映像のみ」で構成される非常に挑戦的な『プリンセス・ダイアナ』と、「王室との不和」を正面から描き出す『スペンサー』の2作によって、彼女が歩んだ壮絶な人生が浮き彫りにされる
あわせて読みたい
【正義】ナン・ゴールディンの”覚悟”を映し出す映画『美と殺戮のすべて』が描く衝撃の薬害事件
映画『美と殺戮のすべて』は、写真家ナン・ゴールディンの凄まじい闘いが映し出されるドキュメンタリー映画である。ターゲットとなるのは、美術界にその名を轟かすサックラー家。なんと、彼らが創業した製薬会社で製造された処方薬によって、アメリカでは既に50万人が死亡しているのだ。そんな異次元の薬害事件が扱われる驚くべき作品
あわせて読みたい
【衝撃】EUの難民問題の狂気的縮図!ポーランド・ベラルーシ国境での、国による非人道的対応:映画『人…
上映に際し政府から妨害を受けたという映画『人間の境界』は、ポーランド・ベラルーシ国境で起こっていた凄まじい現実が描かれている。「両国間で中東からの難民を押し付け合う」という醜悪さは見るに絶えないが、そのような状況下でも「可能な範囲でどうにか人助けをしたい」と考える者たちの奮闘には救われる思いがした
あわせて読みたい
【現在】猟師になった東出昌大を追う映画『WILL』は予想外に良かった。山小屋での生活は衝撃だ(監督:…
猟師・東出昌大に密着した映画『WILL』は、思いがけず面白い作品だった。正直、東出昌大にはまったく興味がなく、本作も期待せず観たのだが、異常なほどフラットなスタンス故に周囲にいる人間を否応なく惹きつける「人間力」や、狩猟の世界が突きつける「生と死」というテーマなど実に興味深い。本当に観て良かったなと思う
あわせて読みたい
【真相】飯塚事件は冤罪で死刑執行されたのか?西日本新聞・警察・弁護士が語る葛藤と贖罪:映画『正義…
映画『正義の行方』では、冤罪のまま死刑が執行されたかもしれない「飯塚事件」が扱われる。「久間三千年が犯行を行ったのか」という議論とは別に、「当時の捜査・司法手続きは正しかったのか?」という観点からも捉え直されるべきだし、それを自発的に行った西日本新聞の「再検証連載」はとても素晴らしかったと思う
あわせて読みたい
【実話】映画『キリング・オブ・ケネス・チェンバレン』が描く、白人警官による黒人射殺事件
映画『キリング・オブ・ケネス・チェンバレン』は、2011年に起こった実際の事件を元にした作品である。何の罪もない黒人男性が、白人警官に射殺されてしまったのだ。5時22分から始まる状況をほぼリアルタイムで描き切る83分間の物語には、役者の凄まじい演技も含め、圧倒されてしまった
あわせて読みたい
【挑戦】映画『燃えあがる女性記者たち』が描く、インドカースト最下位・ダリットの女性による報道
映画『燃えあがる女性記者たち』は、インドで「カースト外の不可触民」として扱われるダリットの女性たちが立ち上げた新聞社「カバル・ラハリヤ」を取り上げる。自身の境遇に抗って、辛い状況にいる人の声を届けたり権力者を糾弾したりする彼女たちの奮闘ぶりが、インドの民主主義を変革させるかもしれない
あわせて読みたい
【日本】原発再稼働が進むが、その安全性は?樋口英明の画期的判決とソーラーシェアリングを知る:映画…
映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』では、大飯原発の運転差し止め判決を下した裁判長による画期的な「樋口理論」の説明に重点が置かれる。「原発の耐震性」に関して知らないことが満載で、実に興味深かった。また、農家が発案した「ソーラーシェアリング」という新たな発電方法も注目である
あわせて読みたい
【衝撃】ミキ・デザキが映画『主戦場』で示す「慰安婦問題」の実相。歴史修正主義者の発言がヤバすぎ
「慰安婦問題」に真正面から取り組んだ映画『主戦場』は、「『慰安婦問題』の根幹はどこにあるのか?」というその複雑さに焦点を当てていく。この記事では、本作で映し出された様々な情報を元に「慰安婦問題」について整理したものの、結局のところ「解決不可能な問題である」という結論に行き着いてしまった
あわせて読みたい
【歴史】映画『シン・ちむどんどん』は、普天間基地移設問題に絡む辺野古埋め立てを”陽気に”追及する(…
映画『シン・ちむどんどん』は、映画『センキョナンデス』に続く「ダースレイダー・プチ鹿島による選挙戦リポート」第2弾である。今回のターゲットは沖縄知事選。そして本作においては、選挙戦の模様以上に、後半で取り上げられる「普天間基地の辺野古移設問題の掘り下げ」の方がより興味深かった
あわせて読みたい
【壮絶】アウシュヴィッツで”人体実験の神メンゲレ”から生き残り、ホロコーストから生還した男の人生:…
映画『メンゲレと私』は、タイトルと内容がそぐわないものの、とても興味深い作品だった。44ヶ月間の収容所生活を生き延び、ホロコーストから生還したダニエル・ハノッホが、少年とは思えない「思考力」を武器に、最低最悪な状況を生き延びた経験をカメラの前で語る。あまりにも壮絶な、信じがたい現実である
あわせて読みたい
【驚愕】映画『リアリティ』の衝撃。FBIによる、機密情報をリークした女性の尋問音源を完全再現(リアリ…
映画『リアリティ』は、恐らく過去類を見ないだろう構成の作品だ。なんと、「FBI捜査官が録音していた実際の音声データのやり取りを一言一句完全に再現した映画」なのである。「第2のスノーデン」とも評される”普通の女性”は、一体何故、国家に反旗を翻す”反逆者”になったのだろうか?
あわせて読みたい
【無謀】映画『ビヨンド・ユートピア 脱北』は、脱北ルートに撮影隊が同行する衝撃のドキュメンタリー
北朝鮮からの脱北者に同行し撮影を行う衝撃のドキュメンタリー映画『ビヨンド・ユートピア 脱北』は、再現映像を一切使用していない衝撃的な作品だ。危険と隣り合わせの脱北の道程にカメラもついて回り、北朝鮮の厳しい現状と共に、脱北者が置かれた凄まじい状況を映し出す内容に驚かされてしまった
あわせて読みたい
【衝撃】映画『JFK/新証言』(オリヴァー・ストーン)が描く、ケネディ暗殺の”知られざる陰謀”
映画『JFK/新証言』は、「非公開とされてきた『ケネディ暗殺に関する資料』が公開されたことで明らかになった様々な事実を基に、ケネディ暗殺事件の違和感を積み上げていく作品だ。「明確な証拠によって仮説を検証していく」というスタイルが明快であり、信頼度の高い調査と言えるのではないかと思う
あわせて読みたい
【挑戦】杉並区長・岸本聡子を誕生させた市民運動・選挙戦と、ミュニシパリズムの可能性を描く:『映画…
映画『映画 ◯月◯日、区長になる女。』は、杉並区初の女性区長・岸本聡子を誕生させた選挙戦の裏側を中心に、日本の民主主義を問う作品だ。劇場公開されるや、チケットを取るのが困難なほど観客が殺到した作品であり、観れば日本の政治の「変化」を感じられるのではないかと思う
あわせて読みたい
【感想】関東大震災前後を描く映画『福田村事件』(森達也)は、社会が孕む「思考停止」と「差別問題」…
森達也監督初の劇映画である『福田村事件』は、100年前の関東大震災直後に起こった「デマを起点とする悲劇」が扱われる作品だ。しかし、そんな作品全体が伝えるメッセージは、「100年前よりも現代の方がよりヤバい」だと私は感じた。SNS時代だからこそ意識すべき問題の詰まった、挑発的な作品である
あわせて読みたい
【脅迫】原発という巨大権力と闘ったモーリーン・カーニーをイザベル・ユペールが熱演する映画『私はモ…
実話を基にした映画『私はモーリーン・カーニー』は、前半の流れからはちょっと想像もつかないような展開を見せる物語だ。原発企業で従業員の雇用を守る労働組合の代表を務める主人公が、巨大権力に立ち向かった挙げ句に自宅で襲撃されてしまうという物語から、「良き被害者」という捉え方の”狂気”が浮かび上がる
あわせて読みたい
【絶望】安倍首相へのヤジが”排除”された衝撃の事件から、日本の民主主義の危機を考える:映画『ヤジと…
映画『ヤジと民主主義 劇場拡大版』が映し出すのは、「政治家にヤジを飛ばしただけで国家権力に制止させられた個人」を巡る凄まじい現実だ。「表現の自由」を威圧的に抑えつけようとする国家の横暴は、まさに「民主主義」の危機を象徴していると言えるだろう。全国民が知るべき、とんでもない事件である
あわせて読みたい
【現実】我々が食べてる魚は奴隷船が獲ったもの?映画『ゴースト・フリート』が描く驚くべき漁業の問題
私たちは、「奴隷」が獲った魚を食べているのかもしれない。映画『ゴースト・フリート』が描くのは、「拉致され、数十年も遠洋船上に隔離されながら漁をさせられている奴隷」の存在だ。本作は、その信じがたい現実に挑む女性活動家を追うドキュメンタリー映画であり、まさに世界が関心を持つべき問題だと思う
あわせて読みたい
【衝撃】映画『誰がハマーショルドを殺したか』は、予想外すぎる着地を見せる普通じゃないドキュメンタリー
国連事務総長だったハマーショルドが乗ったチャーター機が不審な墜落を遂げた事件を、ドキュメンタリー映画監督マッツ・ブリュガーが追う映画『誰がハマーショルドを殺したか』は、予想もつかない衝撃の展開を見せる作品だ。全世界を揺るがしかねない驚きの”真実”とは?
あわせて読みたい
【狂気】映画『ニューオーダー』の衝撃。法という秩序を混沌で駆逐する”悪”に圧倒されっ放しの86分
映画『ニューオーダー』は、理解不能でノンストップな展開に誘われる問題作だ。「貧富の差」や「法の支配」など「現実に存在する秩序」がひっくり返され、対極に振り切った「新秩序」に乗っ取られた世界をリアルに描き出すことで、私たちが今進んでいる道筋に警鐘を鳴らす作品になっている
あわせて読みたい
【狂気】入管の収容所を隠し撮りした映画『牛久』は、日本の難民受け入れ問題を抉るドキュメンタリー
映画『牛久』は、記録装置の持ち込みが一切禁じられている入管の収容施設に無許可でカメラを持ち込み、そこに収容されている難民申請者の声を隠し撮りした映像で構成された作品だ。日本という国家が、国際標準と照らしていかに酷い振る舞いをしているのかが理解できる衝撃作である
あわせて読みたい
【狂気】ホロコーストはなぜ起きた?映画『ヒトラーのための虐殺会議』が描くヴァンゼー会議の真実
映画『ヒトラーのための虐殺会議』は、ホロコーストの計画について話し合われた「ヴァンゼー会議」を描き出す作品だ。唯一1部だけ残った議事録を基に作られた本作は、「ユダヤ人虐殺」をイベントの準備でもしているかのように「理性的」に計画する様を映し出す。その「狂気」に驚かされてしまった。
あわせて読みたい
【絶望】映画『少年たちの時代革命』が描く、香港デモの最中に自殺者を救おうとした若者たちの奮闘
香港の民主化運動の陰で、自殺者を救出しようと立ち上がったボランティア捜索隊が人知れず存在していた。映画『少年たちの時代革命』はそんな実話を基にしており、若者の自殺が急増した香港に様々な葛藤を抱えながら暮らし続ける若者たちのリアルが切り取られる作品だ
あわせて読みたい
【驚愕】ベリングキャットの調査報道がプーチンを追い詰める。映画『ナワリヌイ』が示す暗殺未遂の真実
弁護士であり、登録者数640万人を超えるYouTuberでもあるアレクセイ・ナワリヌイは、プーチンに対抗して大統領選挙に出馬しようとしたせいで暗殺されかかった。その実行犯を特定する調査をベリングキャットと共に行った記録映画『ナワリヌイ』は、現実とは思えないあまりの衝撃に満ちている
あわせて読みたい
【抵抗】若者よ、映画『これは君の闘争だ』を見ろ!学校閉鎖に反対する学生運動がブラジルの闇を照らす
映画『これは君の闘争だ』で描かれるのは、厳しい状況に置かれた貧困層の学生たちによる公権力との闘いだ。「貧困層ばかりが通う」とされる公立校が大幅に再編されることを知った学生が高校を占拠して立て籠もる決断に至った背景を、ドキュメンタリー映画とは思えないナレーションで描く異色作
あわせて読みたい
【驚愕】本屋大賞受賞作『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬)は凄まじい。戦場は人間を”怪物”にする
デビュー作で本屋大賞を受賞した『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬)は、デビュー作であることを抜きにしても凄まじすぎる、規格外の小説だった。ソ連に実在した「女性狙撃兵」の視点から「独ソ戦」を描く物語は、生死の境でギリギリの葛藤や決断に直面する女性たちのとんでもない生き様を活写する
あわせて読みたい
【倫理】報道の自由度に関わる「放送法の解釈変更」問題をわかりやすく説明(撤回の真相についても):…
安倍政権下で突然発表された「放送法の解釈変更」が、2023年3月17日に正式に”撤回された”という事実をご存知だろうか?映画『テレビ、沈黙。 放送不可能。Ⅱ』は、その「撤回」に尽力した小西洋之議員に田原総一朗がインタビューする作品だ。多くの人が知るべき事実である
あわせて読みたい
【デモ】クーデター後の軍事政権下のミャンマー。ドキュメンタリーさえ撮れない治安の中での映画制作:…
ベルリン国際映画祭でドキュメンタリー賞を受賞したミャンマー映画『ミャンマー・ダイアリーズ』はしかし、後半になればなるほどフィクショナルな映像が多くなる。クーデター後、映画制作が禁じられたミャンマーで、10人の”匿名”監督が死を賭して撮影した映像に込められた凄まじいリアルとは?
あわせて読みたい
【信念】映画『ハマのドン』の主人公、横浜港の顔役・藤木幸夫は、91歳ながら「伝わる言葉」を操る
横浜港を取り仕切る藤木幸夫を追うドキュメンタリー映画『ハマのドン』は、盟友・菅義偉と対立してでもIR進出を防ごうとする91歳の決意が映し出される作品だ。高齢かつほとんど政治家のような立ち位置でありながら、「伝わる言葉」を発する非常に稀有な人物であり、とても興味深かった
あわせて読みたい
【悲劇】大川小学校はなぜ津波被害に遭ったのか?映画『生きる』が抉る現実と国家賠償請求の虚しさ
東日本大震災において、児童74人、教職員10人死亡という甚大な津波被害を生んだ大川小学校。その被害者遺族が真相究明のために奮闘する姿を追うドキュメンタリー映画『生きる』では、学校の酷い対応、出来れば避けたかった訴訟、下された画期的判決などが描かれ、様々な問題が提起される
あわせて読みたい
【天才】映画『Winny』(松本優作監督)で知った、金子勇の凄さと著作権法侵害事件の真相(ビットコイン…
稀代の天才プログラマー・金子勇が著作権法違反で逮捕・起訴された実話を描き出す映画『Winny』は、「警察の凄まじい横暴」「不用意な天才と、テック系知識に明るい弁護士のタッグ」「Winnyが明らかにしたとんでもない真実」など、見どころは多い。「金子勇=サトシ・ナカモト」説についても触れる
あわせて読みたい
【爆笑】ダースレイダー✕プチ鹿島が大暴れ!映画『センキョナンデス』流、選挙の楽しみ方と選び方
東大中退ラッパー・ダースレイダーと新聞14紙購読の時事芸人・プチ鹿島が、選挙戦を縦横無尽に駆け回る様を映し出す映画『劇場版 センキョナンデス』は、なかなか関わろうとは思えない「選挙」の捉え方が変わる作品だ。「フェスのように選挙を楽しめばいい」というスタンスが明快な爆笑作
あわせて読みたい
【衝撃】これが実話とは。映画『ウーマン・トーキング』が描く、性被害を受けた女性たちの凄まじい決断
映画『ウーマン・トーキング』の驚くべき点は、実話を基にしているという点だ。しかもその事件が起こったのは2000年代に入ってから。とある宗教コミュニティ内で起こった連続レイプ事件を機に村の女性たちがある決断を下す物語であり、そこに至るまでの「ある種異様な話し合い」が丁寧に描かれていく
あわせて読みたい
【純真】ゲイが犯罪だった時代が舞台の映画『大いなる自由』は、刑務所内での極深な人間ドラマを描く
男性同士の恋愛が犯罪であり、ゲイの男性が刑法175条を理由に逮捕されてしまう時代のドイツを描いた映画『大いなる自由』は、確かに同性愛の物語なのだが、実はそこに本質はない。物語の本質は、まさにタイトルにある通り「自由」であり、ラストシーンで突きつけられるその深い問いかけには衝撃を受けるだろう
あわせて読みたい
【傑物】フランスに最も愛された政治家シモーヌ・ヴェイユの、強制収容所から国連までの凄絶な歩み:映…
「フランスに最も愛された政治家」と評されるシモーヌ・ヴェイユ。映画『シモーヌ』は、そんな彼女が強制収容所を生き延び、後に旧弊な社会を変革したその凄まじい功績を描き出す作品だ。「強制収容所からの生還が失敗に思える」とさえ感じたという戦後のフランスの中で、彼女はいかに革新的な歩みを続けたのか
あわせて読みたい
【誠実】映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』で長期密着した政治家・小川淳也の情熱と信念が凄まじい
政治家・小川淳也に17年間も長期密着した映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』は、誠実であるが故に大成できない1人の悩める政治家のありのままが描かれる。サラリーマン家庭から政治家を目指し、未来の日本を健全にするために奮闘する男の信念と情熱が詰まった1本
あわせて読みたい
【挑発】「TBS史上最大の問題作」と評されるドキュメンタリー『日の丸』(構成:寺山修司)のリメイク映画
1967年に放送された、寺山修司が構成に関わったドキュメンタリー『日の丸』は、「TBS史上最大の問題作」と評されている。そのスタイルを踏襲して作られた映画『日の丸~それは今なのかもしれない~』は、予想以上に面白い作品だった。常軌を逸した街頭インタビューを起点に様々な思考に触れられる作品
あわせて読みたい
【実話】ソ連の衝撃の事実を隠蔽する記者と暴く記者。映画『赤い闇』が描くジャーナリズムの役割と実態
ソ連の「闇」を暴いた名もなき記者の実話を描いた映画『赤い闇』は、「メディアの存在意義」と「メディアとの接し方」を問いかける作品だ。「真実」を届ける「社会の公器」であるべきメディアは、容易に腐敗し得る。情報の受け手である私たちの意識も改めなければならない
あわせて読みたい
【衝撃】匿名監督によるドキュメンタリー映画『理大囲城』は、香港デモ最大の衝撃である籠城戦の内部を映す
香港民主化デモにおける最大の衝撃を内側から描く映画『理大囲城』は、とんでもないドキュメンタリー映画だった。香港理工大学での13日間に渡る籠城戦のリアルを、デモ隊と共に残って撮影し続けた匿名監督たちによる映像は、ギリギリの判断を迫られる若者たちの壮絶な現実を映し出す
あわせて読みたい
【解説】実話を基にした映画『シカゴ7裁判』で知る、「権力の暴走」と、それに正面から立ち向かう爽快さ
ベトナム戦争に反対する若者たちによるデモと、その後開かれた裁判の実話を描く『シカゴ7裁判』はメチャクチャ面白い映画だった。無理筋の起訴を押し付けられる主席検事、常軌を逸した言動を繰り返す不適格な判事、そして一枚岩にはなれない被告人たち。魅力満載の1本だ
あわせて読みたい
【あらすじ】映画『モーリタニアン 黒塗りの記録』で描かれる、グアンタナモ”刑務所”の衝撃の実話は必見
ベネディクト・カンバーバッチが制作を熱望した衝撃の映画『モーリタニアン 黒塗りの記録』は、アメリカの信じがたい実話を基にしている。「9.11の首謀者」として不当に拘束され続けた男を「救おうとする者」と「追い詰めようとする者」の奮闘が、「アメリカの闇」を暴き出す
あわせて読みたい
【あらすじ】嵐莉菜主演映画『マイスモールランド』は、日本の難民問題とクルド人の現状、入管の酷さを描く
映画『マイスモールランド』はフィクションではあるが、「日本に住む難民の厳しい現実」をリアルに描き出す作品だ。『東京クルド』『牛久』などのドキュメンタリー映画を観て「知識」としては知っていた「現実」が、当事者にどれほどの苦しみを与えるのか想像させられた
あわせて読みたい
【差別】映画『チェチェンへようこそ ゲイの粛清』の衝撃。プーチンが支持する国の蛮行・LGBT狩り
プーチン大統領の後ろ盾を得て独裁を維持しているチェチェン共和国。その国で「ゲイ狩り」と呼ぶしかない異常事態が継続している。映画『チェチェンへようこそ ゲイの粛清』は、そんな現実を命がけで映し出し、「現代版ホロコースト」に立ち向かう支援団体の奮闘も描く作品
あわせて読みたい
【あらすじ】死刑囚を救い出す実話を基にした映画『黒い司法』が指摘する、死刑制度の問題と黒人差別の現実
アメリカで死刑囚の支援を行う団体を立ち上げた若者の実話を基にした映画『黒い司法 0%からの奇跡』は、「死刑制度」の存在価値について考えさせる。上映後のトークイベントで、アメリカにおける「死刑制度」と「黒人差別」の結びつきを知り、一層驚かされた
あわせて読みたい
【悲劇】アメリカの暗黒の歴史である奴隷制度の現実を、元奴隷の黒人女性自ら赤裸々に語る衝撃:『ある…
生まれながらに「奴隷」だった黒人女性が、多くの人の協力を得て自由を手にし、後に「奴隷制度」について書いたのが『ある奴隷少女に起こった出来事』。長らく「白人が書いた小説」と思われていたが、事実だと証明され、欧米で大ベストセラーとなった古典作品が示す「奴隷制度の残酷さ」
あわせて読みたい
【絶望】映画『少年たちの時代革命』が描く、香港デモの最中に自殺者を救おうとした若者たちの奮闘
香港の民主化運動の陰で、自殺者を救出しようと立ち上がったボランティア捜索隊が人知れず存在していた。映画『少年たちの時代革命』はそんな実話を基にしており、若者の自殺が急増した香港に様々な葛藤を抱えながら暮らし続ける若者たちのリアルが切り取られる作品だ
あわせて読みたい
【抽象】「思考力がない」と嘆く人に。研究者で小説家の森博嗣が語る「客観的に考える」ために大事なこ…
世の中にはあまりに「具体的な情報」が溢れているために、「客観的、抽象的な思考」をする機会が少ない。そんな時代に、いかに思考力を育てていくべきか。森博嗣が『人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか』を通じて伝える「情報との接し方」「頭の使い方」
あわせて読みたい
【衝撃】『ゆきゆきて、神軍』はとんでもないドキュメンタリー映画だ。虚実が果てしなく入り混じる傑作
奥崎謙三という元兵士のアナーキストに密着する『ゆきゆきて、神軍』。ドキュメンタリー映画の名作として名前だけは知っていたが、まさかこんなとんでもない映画だったとはと驚かされた。トークショーで監督が「自分の意向を無視した編集だった」と語っていたのも印象的
あわせて読みたい
【悲哀】2度の東京オリンピックに翻弄された都営アパートから「公共の利益」と「個人の権利」を考える:…
1964年の東京オリンピックを機に建設された「都営霞ケ丘アパート」は、東京オリンピック2020を理由に解体が決まり、長年住み続けた高齢の住民に退去が告げられた。「公共の利益」と「個人の権利」の狭間で翻弄される人々の姿を淡々と映し出し、静かに「社会の在り方」を問う映画
あわせて読みたい
【民主主義】占領下の沖縄での衝撃の実話「サンマ裁判」で、魚売りのおばぁの訴えがアメリカをひっかき…
戦後の沖縄で、魚売りのおばぁが起こした「サンマ裁判」は、様々な人が絡む大きな流れを生み出し、最終的に沖縄返還のきっかけともなった。そんな「サンマ裁判」を描く映画『サンマデモクラシー』から、民主主義のあり方と、今も沖縄に残り続ける問題について考える
あわせて読みたい
【残念】日本の「難民受け入れ」の現実に衝撃。こんな「恥ずべき国」に生きているのだと絶望させられる…
日本の「難民認定率」が他の先進国と比べて異常に低いことは知っていた。しかし、日本の「難民」を取り巻く実状がこれほど酷いものだとはまったく知らなかった。日本で育った2人のクルド人難民に焦点を当てる映画『東京クルド』から、日本に住む「難民」の現実を知る
あわせて読みたい
【実話】権力の濫用を監視するマスコミが「教会の暗部」を暴く映画『スポットライト』が現代社会を斬る
地方紙である「ボストン・グローブ紙」は、数多くの神父が長年に渡り子どもに対して性的虐待を行い、その事実を教会全体で隠蔽していたという衝撃の事実を明らかにした。彼らの奮闘の実話を映画化した『スポットライト』から、「権力の監視」の重要性を改めて理解する
あわせて読みたい
【想像力】「知らなかったから仕方ない」で済ませていいのか?第二の「光州事件」は今もどこかで起きて…
「心地いい情報」だけに浸り、「知るべきことを知らなくても恥ずかしくない世の中」を生きてしまっている私たちは、世界で何が起こっているのかあまりに知らない。「光州事件」を描く映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』から、世界の見方を考える
あわせて読みたい
【驚愕】正義は、人間の尊厳を奪わずに貫かれるべきだ。独裁政権を打倒した韓国の民衆の奮闘を描く映画…
たった30年前の韓国で、これほど恐ろしい出来事が起こっていたとは。「正義の実現」のために苛烈な「スパイ狩り」を行う秘密警察の横暴をきっかけに民主化運動が激化し、独裁政権が打倒された史実を描く『1987、ある闘いの真実』から、「正義」について考える
あわせて読みたい
【感涙】衆議院議員・小川淳也の選挙戦に密着する映画から、「誠実さ」と「民主主義のあり方」を考える…
『衆議院議員・小川淳也が小選挙区で平井卓也と争う選挙戦を捉えた映画『香川1区』は、政治家とは思えない「誠実さ」を放つ”異端の議員”が、理想とする民主主義の実現のために徒手空拳で闘う様を描く。選挙のドキュメンタリー映画でこれほど号泣するとは自分でも信じられない
あわせて読みたい
【権利】衝撃のドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』は、「異質さを排除する社会」と「生きる権利」を問う
「ヤクザ」が排除された現在でも、「ヤクザが担ってきた機能」が不要になるわけじゃない。ではそれを、公権力が代替するのだろうか?実際の組事務所(東組清勇会)にカメラを持ち込むドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』が映し出す川口和秀・松山尚人・河野裕之の姿から、「基本的人権」のあり方について考えさせられた
あわせて読みたい
【告発】アメリカに”監視”される社会を暴露したスノーデンの苦悩と決断を映し出す映画:『スノーデン』…
NSA(アメリカ国家安全保障局)の最高機密にまでアクセスできたエドワード・スノーデンは、その機密情報を持ち出し内部告発を行った。「アメリカは世界中の通信を傍受している」と。『シチズンフォー』と『スノーデン』の2作品から、彼の告発内容とその葛藤を知る
あわせて読みたい
【天才】『三島由紀夫vs東大全共闘』後に「伝説の討論」と呼ばれる天才のバトルを記録した驚異の映像
1969年5月13日、三島由紀夫と1000人の東大全共闘の討論が行われた。TBSだけが撮影していたフィルムを元に構成された映画「三島由紀夫vs東大全共闘」は、知的興奮に満ち溢れている。切腹の一年半前の討論から、三島由紀夫が考えていたことと、そのスタンスを学ぶ
あわせて読みたい
【衝撃】森達也『A3』が指摘。地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教は社会を激変させた
「オウム真理教は特別だ、という理由で作られた”例外”が、いつの間にか社会の”前提”になっている」これが、森達也『A3』の主張の要点だ。異常な状態で続けられた麻原彰晃の裁判を傍聴したことをきっかけに、社会の”異様な”変質の正体を理解する。
あわせて読みたい
【加虐】メディアの役割とは?森達也『A』が提示した「事実を報じる限界」と「思考停止社会」
オウム真理教の内部に潜入した、森達也のドキュメンタリー映画『A』は衝撃を与えた。しかしそれは、宗教団体ではなく、社会の方を切り取った作品だった。思考することを止めた社会の加虐性と、客観的な事実など切り取れないという現実について書く
あわせて読みたい
【不満】この閉塞感は打破すべきか?自由意志が駆逐された社会と、不幸になる自由について:『巡査長 真…
自由に選択し、自由に行動し、自由に生きているつもりでも、現代社会においては既に「自由意志」は失われてしまっている。しかし、そんな世の中を生きることは果たして不幸だろうか?異色警察小説『巡査長 真行寺弘道』をベースに「不幸になる自由」について語る
あわせて読みたい
【驚愕】日本の司法は終わってる。「中世レベル」で「無罪判決が多いと出世に不利」な腐った現実:『裁…
三権分立の一翼を担う裁判所のことを、私たちはよく知らない。元エリート裁判官・瀬木比呂志と事件記者・清水潔の対談本『裁判所の正体』をベースに、「裁判所による統制」と「権力との癒着」について書く。「中世レベル」とさえ言われる日本の司法制度の現実は、「裁判になんか関わることない」という人も無視できないはずだ
この記事を読んでくれた方にオススメのタグページ
ルシルナ
国家・政治・制度・地方【本・映画の感想】 | ルシルナ
私たちがどのような社会で生きているのか理解することは重要でしょう。ニュースやネット記事などを総合して現実を理解することはなかなか難しいですが、政治や社会制度など…
タグ一覧ページへのリンクも貼っておきます
ルシルナ
記事検索(カテゴリー・タグ一覧) | ルシルナ
ルシルナは、4000冊以上の本と500本以上の映画をベースに、生き方や教養について書いていきます。ルシルナでは36個のタグを用意しており、興味・関心から記事を選びやすく…
コメント