目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
出演:原菜乃華, 出演:松村北斗, 出演:深津絵里, 出演:染谷将太, 出演:伊藤沙莉, 出演:花瀬琴音, 出演:花澤香菜, 出演:神木隆之介, 出演:松本白鸚, Writer:新海誠, 監督:新海誠
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ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていくようだよ
この記事で伝えたいこと
「人智を超えた何か」を受け入れられない時、この物語が少し、世界の余白を広げてくれるかもしれません
しんどい世の中を生き延びるためなら、現実の解釈を都合よく歪曲するぐらい全然良いと思っています
この記事の3つの要点
- 「非科学的だが、否定しきれない存在」をリアルに描き出すことで、現実の捉え方の可能性が広がる
- 辛い現実をそのまま受け止めるのではなく、自分が生き延びるために都合よく歪曲すればいい
- ロードムービー的な展開の中で出会う人々と、その関わりの中で生まれる鈴芽の変化がとても良い
宗像草太を演じた松村北斗が凄く上手くて、個人的にはとても驚きました
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とても上手いなぁと感じたのは、神話的と言っていい設定を、現代を舞台にしたラブコメ作品に組み込んでいることです。
映画には、「ミミズ」と呼ばれる存在が出てきます。これは、「地下世界で蠢いている、普通の人間には見ることが出来ない存在」です。「うしろ戸」と呼ばれる扉を通って時々地表に現れ、そのまま空高くまで細長く伸び、伸び切った身体が地面に落下することで大地震が引き起こされます。私たちは地震を「大陸プレートの重なりがなんちゃら」みたいなことで理解していますが、『すずめの戸締まり』の世界ではそうではなく、「地震が起こるのは、ミミズの身体が地面に落下するから」なのです。
さて、「うしろ戸」は、「人の生活が消えた廃墟」に現れるとされています。人々のかつての生活や記憶が失われてしまったことで淀んでいるような場所に出来るというわけです。
このように『すずめの戸締まり』においては、「大地震は単なる自然災害ではなく、『社会の荒廃』と密接に関係した現象である」と示唆されています。
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こういう捉え方は容易に、「『社会の荒廃』を止めれば大地震も無くせる」みたいな発想に行き着いちゃうから、それはそれで危険なんだけど
「自然災害は受け入れざるを得ないもの」と捉えておく方が、現実の生活においてはいいだろうね
外国ではどうなのか分かりませんが、少なくとも日本では、このような考え方は割と自然だと言えるでしょう。地震を例に取っても、「ナマズが怒ると地震が発生する」みたいな話を聞いたことがある人は多いと思います。「妖怪」も同じような存在であり、「科学技術が発達していなかった時代に、人智を超えていると感じられる現象を、何らかの形で説明しようとする発想」は、古くからある様々なものに散見されるでしょう。
そしてこのような考え方は、私たちも持っているはずです。今は科学がかなり浸透している時代なので、科学的ではないものは概ねオカルティックなものとして扱われますが、それでも、占いや超能力を信じたいと思っている人はまだまだたくさんいるでしょう。また。大谷翔平がゴミ拾いをする様子から改めて話題になりましたが、いわゆる「陰徳を積む」みたいな行為も、「巡り巡って、人智を超えた何かが起こるかもしれない」という期待の現れだと言っていいと思います。
ただやはり、現代は科学がかなり席巻している時代なので、古代神話的な物事の捉え方が入り込む隙間は大分狭くなってしまっていると言えるでしょう。しかし『すずめの戸締まり』は、現代を舞台にしながら、古代神話的な発想を上手く組み込んだ物語を構築しており、その点がまず非常に上手いと感じました。
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『エヴァンゲリオン』辺りから、アニメにも哲学・思想的な背景がガッツリ組み込まれるようになった印象がある
鈴木敏夫も『もののけ姫』を作る時に、「アニメにも哲学が必要だ」って考えたらしいしね
私は基本的に「科学」を信じているので、そのスタンスに沿うなら、「ミミズの身体が地面に落ちたら地震が起きる」なんて話は当然「あり得ない」と感じます。しかし同時に、科学的なスタンスに立つのであれば、「ミミズの存在を決して否定は出来ない」とも考えるのです。科学的に正しいスタンスというのは、確実に判明した事実以外は否定しないことを意味します。地下に「ミミズ」はいるかもしれないし、どこかの廃墟には「うしろ戸」があるかもしれません。「感覚的には『あり得ない』が、しかし『完全には否定しきれない』」という絶妙な設定がなされているというわけです。だからこそ、「現代」を舞台にしながら、古代神話的な設定が上手く機能しているのだと思います。
東日本大震災後を生きる私たちに、ちょっとした「逃げ道」を与えてくれる作品
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作中ではっきりと明示されるわけではありませんが、本作では間違いなく「東日本大震災」が描かれています。主人公・鈴芽の故郷の設定や日記に書かれた「3月11日」という日付、そして叔母の環が鈴芽を引き取ってから12年の歳月が流れたことなど、様々な要素が、この物語の起点が「東日本大震災」にあることを示唆していると言えるでしょう。
やはり、創作を生業とする人にとって、東日本大震災は良くも悪くも避けては通れないものなんだろうなって思う
特に、コロナ禍でもそうだったけど、「エンタメは不要不急」って言われることが多いから、余計に「エンタメに何が出来るのか」を考えるんだろうね
私は幸運にも、東日本大震災によるあらゆる意味での被害を回避できたと言っていいと思います。もちろん、多少の不便さを感じることはありましたが、それは「被害」と呼べるほど大したものではありませんでした。しかしやはり、多くの人があの震災で様々な被害に遭い、多くのものを失ってしまったでしょう。そしてそういう人たちは、頭のどこかで「何かのせいにしたい」みたいに考えてしまうのではないかと思います。「地震だったから仕方ない」ではなく、「◯◯だったから地震が起こったんだ」と、「より上位の原因を突き止めて責め立てたい」みたいな気分になってしまった人もいるはずです。
そして『すずめの戸締まり』は、そういう人たちに対して、微かな「逃げ道」みたいなものを与えてくれる作品と言えるのではないかと感じました。
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もちろん、『すずめの戸締まり』というアニメ作品がその役割をすべて担えるなんて思ってはいないんだけど
でも、「エンタメに何が出来るか」っていう問いに対するある種の答えとは言えるかもしれないね
もちろん、『すずめの戸締まり』を観たところで、「地震はミミズが起こしていたんだ」などと考えを改める人はいないでしょう。しかし、そんな設定の物語に触れることで、頭のどこか片隅に、「もしかしたら……」という思考が残るかもしれません。それは、辛い経験をした人にとっては、ある種の「逃げ道」のようなものになるでしょう。地震が原因の「辛さ」をすべて引き受ける代わりに、「ミミズのせいなんだ」という思考に「逃げる」ことで、少しだけ心が軽くなるかもしれません。
そしてそれは決して地震に限る話ではないはずです。世の中には様々な理由から「しんどさ」を抱えて生きざるを得ない人がたくさんいます。「しんどさ」の原因がちゃんとは理解できていない状態も当然辛いわけですが、「原因ははっきりと分かっているが、それを原因だと思いたくない」みたいなこともあるでしょう。例えば、「母親から虐待を受けているが、母親のことを嫌いになりたくない」みたいな状況です。
そういう場合に、「ミミズのような、今の自分には見えていない『何か』がすべて悪いんだ」みたいに考える余白が存在することは、あまりに辛すぎる現実を生きていく上で助けになるかもしれません。現実を正しく認識することよりも、どうにか生き延びることの方が大事だと私は考えています。なので、「他人に大きな迷惑を掛けない範囲で現実を歪曲する」ことで生きやすくなるのであれば、その方が絶対にいいはずです。
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まあ、辛すぎるなら、必ずしも生きてなきゃいけないなんて思ってはいないんだけど
死んじゃう方が楽な状況ってあるしね。まあでも、どうにかなるなら、現実ぐらい捻じ曲げればいいと思う
私自身は今そのような辛い状況に置かれているわけではありませんが、20代の頃は自殺を考えたこともあります。また、人生の様々なタイミングで、色んな「しんどさ」を抱える人に出会ってもきました。そういう人に対して直接的にしてあげられることは決して多くないのですが、常に「どうにか辛さから逃れて穏やかに生きてほしい」と願っています。
だからこそ、「クソみたいな現実は1ミリも変わらないかもしれないけれど、その日その日をなんとか生き延びるための『逃げ道』は、必要な人のところに用意されていてほしい」と考えているのです。『すずめの戸締まり』にも、そんな祈りが込められているような気がして、「エンタメで救いを」という本気度みたいなものを感じさせられました。
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映画『すずめの戸締まり』の内容紹介
主人公は、叔母の環と九州で2人暮らしをしている高校生の鈴芽。母親は4歳の時に亡くなった。鈴芽は今も、どこにあるのか分からないだだっ広い平原の中、死んだはずの母親と向き合って話している夢を時々見る。そして彼女にはそれが、かつて自分の身に実際に起こった出来事であるかのように感じられてしまうのだ。
いつものように自転車で登校中、鈴芽は向かい側から歩いてくる壮麗な男性に目を留めた。すれ違いざま、「この辺りに廃墟はない?」と聞かれたので、山奥にある廃墟となった町のことを教える。そのまま学校へと向かったのだが、先程の男性のことがどうにも気になって、鈴芽も後を追うように廃墟へと向かった。
先に向かったはずの男性とは会えなかったが、そこで彼女は廃墟の中に不自然に鎮座する扉に目を留める。その扉を開けてみるとなんと、時々夢で見る世界が広がっていたのだ。しかし、何度扉を潜ろうとしても、扉が置かれている廃墟に出るだけで、目の前に見えている不思議な世界には行くことが出来ない。
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その後普通に登校した鈴芽は、突然鳴り響いた緊急地震速報にクラスメイトたちと共に驚いた後、窓から信じがたい光景を目にすることになる。初めは、山火事のように見えた。しかしそれは次第に大きくなり、正体不明の何かが天高くその姿を伸ばしていく。その異形に恐れおののく鈴芽だったが、さらなる衝撃が待っていた。なんと、自分以外のクラスメイトは、あの異形が見えていないようなのだ。そのことを理解した鈴芽は、すぐさま学校を飛び出し、異形の震源地だろう廃墟へと向かう。
すると、先ほど潜ろうとした扉から異形が飛び出しており、さらにその扉を朝すれ違った青年が必死に閉めようとしていた。鈴芽もすぐに加勢し、どうにか扉を閉じることに成功する。しかしその頃には、異形は既に地表へと落下しており、一帯に大地震を引き起こしていた。
怪我の応急処置をしようと、青年を家まで案内する。宗像草太と名乗った青年の手当てをしていると、そこに一匹の猫がやってきた。あまりにも痩せ細っているので餌をやると、その猫は突然喋り始める。そして次の瞬間、草太は猫の呪いによって、鈴芽の部屋にあった小さな椅子に閉じ込められてしまった。その椅子は脚が1本欠けているが、母が作ってくれた大事な形見である。
猫は逃げる。それを3本脚の椅子になってしまった草太が追う。そしてそんな2人をさらに鈴芽が追いかける。状況がさっぱり飲み込めないまま、鈴芽は日本全国を巡る旅に連れ出されることになり……。
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映画『すずめの戸締まり』の感想
物語の設定や展開はかなりシリアスと言えるでしょうが、一方でコミカルなシーンもかなり多く、全体としては重くなりすぎていないところが良かったです。映画館で観た際、近くに小学生ぐらいの男の子が座っていましたが、映画を観終えた後で父親らしき人物に「面白かった」と言っていました。子供でもちゃんと楽しめる、全体のバランスがとても良い作品だと思います。
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テーマを全力で押し出そうとして、逆に子どもが近寄りがたい作品になっちゃうのは、ちょっともったいないしね
『すずめの戸締まり』は特に、若い世代に届いてほしいメッセージが満載な気がするから、絶妙なバランスだったって感じかな
物語の核となるのは、「閉じ師」を名乗る宗像草太の「戸締まり」と「呪いからの解放」であり、さらにそこに民俗学的な発想が加わって、シンプルながら奥行きのある展開になっていると感じました。さらに、鈴芽と草太のラブコメ的な要素も組み込まれており、それが最終的に「鈴芽が母を喪った時の記憶」に繋がっていくという構成もとても良いと思います。『天気の子』のようなシンプルさに加えて、『君の名は。』のような「時間の使い方の上手さ」もあるという印象です。
「戸締まり」の話であり「ラブコメ」でもあるのですが、この作品はそれ以上に「ロードムービー」的な要素が物語を強く駆動していると感じました。草太に呪いをかけた猫は、後に「ダイジン」と呼ばれるようになるのですが、2人はその「ダイジン」を追いかける形で九州から愛媛、神戸、東京と行き当たりばったりの旅をすることになります。そしてその過程で出会う人々がとても魅力的で、それもまた物語の良さに繋がっていると感じました。
愛媛で出会った女子高生や、神戸で知り合ったシングルマザー、そして東京から長く関わることになる大学生など、「鈴芽の道中を手助けする」という役回りを担う人物たちは、同時に、「『あなたには価値がある』と鈴芽に気づかせる」みたいな役割も果たしています。そしてだからこそ、鈴芽は、環からの矢のような連絡を無視してでも、草太との旅に突き進んでいこうとするのだと感じました。
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ホントに、道中で出会う人たちがなんか良い感じだよね
「単なる善人」ってわけではない、独特の魅力を放つ人物像が、凄くよかった
また、鈴芽を心配する叔母・環との関係もとても素敵だと言えるでしょう。2人の関係性は、ある場面において凄まじく緊張感を帯びたものになります。それはまさに、震災という人智を超えたものによる不可抗力そのものであり、その際のやり取りから、お互いに「どうにもならなかった」と感じていることが理解できるわけです。そして、そんな緊張感に満ちた瞬間を越えた後の、ある種の「解放感」に包まれたような雰囲気がとても印象的でした。あくまでも結果オーライだとはいえ、鈴芽の逃避行が、長年モヤモヤしたものを抱え続けた叔母と姪の関係に新たな風を吹き込んだような感じがします。この道中における2人の関係性の変化もとても素敵だというわけです。
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また、鈴芽と草太の物語は、もちろん「ラブコメ」と括られるものなのですが、片方の見た目が「椅子」であるという点がかなり良かったと感じました。40歳のおじさんとしては、「ザ・ラブコメ」みたいな作品を観るのがなかなかしんどくなりつつありますが、ラブコメの一方が「椅子」という設定は、その特有の「気恥ずかしさ」みたいなものをかなり薄れさせてくれる感じがして、おじさんとしてもかなり観やすかったです。それに、一方が「椅子」だからこそ、2人の関係性をシンプルに「会話」から判断できる雰囲気もあって、そのような設定であることで、どの年代の人も観やすい作品に仕上がっているのではないかと思います。
まあでもやっぱり、「作品の質を落とさずに、どうやって全年齢的に作品を届けるか」は、あらゆるクリエイターが目指してるんじゃないかって気はする
さて、作中のセリフで印象に残っているのは、草太がある場面で口にした、
大事な仕事は人から見えない方がいいんだ。
です。このセリフについては、入場特典でもらった「新海誠本」の中で、草太役を演じた松村北斗も言及していました。どうしても「目立つ仕事」ばかりに注目が集まりがちな時代ですが、その陰で無数の人々が「見えない仕事」をしているわけで、そういうことに改めて目を向けさせてくれるセリフだったと思います。
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また、草太の友人である芹澤が、
あいつは、自分の扱いが雑なんだよ。腹が立つ。
という形で草太を表現していたのも印象的でした。このセリフ1つで、草太と芹澤それぞれのキャラクターとその関係性が一発で理解できる感じがあって、この辺りの人物描写もさすがだなと思います。
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出演:原菜乃華, 出演:松村北斗, 出演:深津絵里, 出演:染谷将太, 出演:伊藤沙莉, 出演:花瀬琴音, 出演:花澤香菜, 出演:神木隆之介, 出演:松本白鸚, Writer:新海誠, 監督:新海誠
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ストーリーも演技もとても素敵で、微かだけれど確かな希望を与えてくれるような作品だと思います。
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