【葛藤】映画『きみの色』(山田尚子)は、感受性が強すぎる若者のリアルをバンドを通じて描き出す(主演:鈴川紗由、髙石あかり、木戸大聖)

目次

はじめに

この記事で取り上げる映画

監督:山田尚子, Writer:吉田玲子, 出演:鈴川紗由, 出演:髙石あかり, 出演:木戸大聖, 出演:戸田恵子, 出演:新垣結衣, 出演:やす子, 出演:悠木碧, 出演:寿美菜子
いか

この映画をガイドにしながら記事を書いていくようだよ

この記事で伝えたいこと

若い世代のコミュニケーションは、恐ろしいほど複雑に繊細化しているのだと思う

犀川後藤

我々上の世代とは、もはや「ルールが異なるスポーツをしている」ぐらいの違いがあるのだろうと認識している

この記事の3つの要点

  • 公式HPに掲載されていた、「山田尚子が企画書に書いた文章」がとても素晴らしかった
  • 「何かすること」ではなく「何もしないこと」によってストーリーが駆動していく印象が強い物語
  • 本作を観た時点ではその存在さえ知らなかった、作永きみを演じた女優・髙石あかりに惹きつけられた
犀川後藤

山田尚子が映画『けいおん!』の監督だということさえ知らずに観ましたが、とても素敵な作品でした

自己紹介記事

いか

どんな人間がこの記事を書いているのかは、上の自己紹介記事をご覧ください

天才・山田尚子監督作の映画『きみの色』は、バンド活動を通じて垣間見える「若者の豊か過ぎる感受性」がとてもリアルで、かつ素敵に描かれる作品だった

私はそもそも、「本作の監督が映画『けいおん!』を作った人」だということさえ知らずに映画館へと足を運びました。いつものことですが、可能な限り何も知らない状態で映画に触れたいと思っているのでこういうことになります。そんなわけで、もちろん映画『けいおん!』も観ていません

そんな事前情報一切なしの状態で観た本作『きみの色』は、とても素晴らしかったです。「事前情報一切なし」と言えば、後で触れるつもりですが、声を担当した中に女優・髙石あかりがいて、そのことにも驚かされました。いや、本作を観た時点では彼女のことはまったく知らなかったのですが。

いか

この後、映画『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』を観る機会があって、そこで初めて彼女の存在を知ったよね

犀川後藤

なんて思ってたら、いつの間にかNHKの大河女優になっててびっくりだわ

現代の若者が抱える「繊細さ」を、監督・山田尚子はどのように捉えているのか

本作は「面白さ」を説明するのが少し難しく、観ている時には正直、「凄く良かったけど、何が良かったのか説明できないなぁ」という感じでした。ただ、感想を書く参考にと公式HPを覗いた際、トップページに「山田尚子監督の企画書より」と題された文章を見つけ、それを読んで何となく「本作の良さ」が捉えられるようになった気がします。

そんなわけで、まずはその文章を引用してみたいと思います。

思春期の鋭すぎる感受性というのはいつの時代も変わらずですが、
すこしずつ変化していると感じるのは「社会性」の捉え方かと思います。
すこし前は「空気を読む」「読まない」「読めない」みたいなことでしたが、
今はもっと細分化してレイヤーが増えていて、若い人ほどよく考えているな、と思うことが多いです。
「自分と他人(社会)」の距離のとり方が清潔であるためのマニュアルがたくさんあるような。
表層の「失礼のない態度」と内側の「個」とのバランスを無意識にコントロールして、
目配せしないといけない項目をものすごい集中力でやりくりしているのだと思います。
ふとその糸が切れたときどうなるのか。コップの水があふれるというやつです。
彼女たちの溢れる感情が、前向きなものとして昇華されてほしい。
「好きなものを好き」といえるつよさを描いていけたらと思っております。

いか

一読して、「メチャクチャ解像度の高い文章だなぁ」って感じたよね

犀川後藤

そんな風に”上から目線”で言えるほど若者に詳しいわけじゃないんだけど、でも「分かってる感」の強い文章で凄く良かった

さて、「若い世代の物事の捉え方」について考える時、私はよく「マルハラ」のことが頭に浮かびます「文章の最後に『。』がついていると、相手が怒っているように感じられる」みたいな感覚から「ハラスメント」呼ばわりされるようになりました。私は正直、「マルハラ」の是非についてはどうでもいいのですが、とにかく感じるのは、「若い世代の人たちは、『文末に置かれた「。」1つ』からも積極的に何かを感じ取ろうとしている」ということです。

もちろん、そういう「繊細さ」を兼ね備えた人はどの時代にもいる(いた)と思いますが、今の若い人たちの特徴は、「そんな『繊細さ』が標準搭載されている」ということでしょう。山田尚子の先の文章の中で、私は「清潔」という単語が絶妙だなと感じるのですが、若い世代の人たちは恐らく、「自分はちゃんと『清潔』だろうか?」と常に自問自答しているのだと思います。「『清潔』でないのなら、コミュニケーションの場に立つべきではない」みたいな感覚が同世代の中で共通理解になっているような印象があるのです。

犀川後藤

個人的には、そういうスタンスはとても良いなと思うし、共感も出来る

いか

行き過ぎるとしんどくなっちゃうけど、「がさつな感じ」よりは全然良いよね

私はこの記事を書いている時点で41歳ですが、我々の世代で言えば、「空気を読む」的なことが「他者への気遣い」とされているんじゃないかと思います。しかし若い世代のコミュニケーションは、もはや「空気を読む」みたいなレベル感のものではなく、「言語化して把握することさえ難しい」と言ってもいいくらい非常に細やかな「配慮」によって成り立っているのではないかというわけです。

しかし当たり前ですが、そんな振る舞いはとても大変でしょう。若者は普段から、コミュニケーションにもの凄く多大なコストを払っているのだと思います。我々が知っている「コミュニケーション」とは、たぶん「野球とサッカーぐらいルールが違う」んじゃないかと思うし、だからこそ、「『何でも話せる人』がいなくて辛い」「恋愛はコスパが悪い」みたいに感じたりもしてしまうのでしょう。

いか

「おじさん構文」がバカにされるのも、そりゃあ当然だわって感じだよね

犀川後藤

まあ、「おじさん構文」は、おじさんの私が見ても「キモっ」って思うけど

そして本作がとても良かったのは、「そういう『若い世代がナチュラルに抱えているだろう大変さ』が『大前提』として描かれていること」だと思います。いや、「描かれている」というのは正しい表現ではないかもしれません。より正確に言えば、「『大前提』であるが故に描かれていない」となるでしょうか。

メインの3人の登場人物は、それぞれ何かしらの悩みや葛藤を抱えています。普通なら、物語の中でそれらに焦点が当てられていくでしょう。いや、確かにそれはその通りで、各々が抱える様々な事情が物語の中核を為すことは確かです。ただ、登場人物たちにとってそれらの悩み・葛藤は「特別なもの」ではなく、「単なる日常」でしかありません。というか、「悩み・葛藤に囚われている状態こそが日常である」と表現すべきでしょうか。「彼女たちがその時に抱えていた悩み・葛藤が単にそれだった」というだけの話で、それが解消されたところで、別の悩み・葛藤が浮き彫りになるだけです。「いくつもの重低音が常に鳴り響いていて、普段はその中のどれかの音に意識が向いているのだが、その音が消えたとしても、別の重低音が聴こえるようになるだけ」みたいなイメージでしょうか。

そして本作のそんな雰囲気、つまり、「『悩み・葛藤に囚われている状態こそが日常である』みたいなスタンスが貫かれている感じ」がとても良かったし、本作の「土台」と言える部分ではないかと感じました。

いか

ただそれ故に、物語としてはスカッとしないというか、分かりやすくない感じがするけどね

犀川後藤

それでも本作は、色んな要素で観客を惹きつけることで「魅せる映画」に仕上がってるのが凄いなって思う

「『自分のことを分かってくれる人』がどこかにはいるはず」という気分にさせてくれる作品

本作では、登場人物たちの「問題」が「音楽」を通じて解決した”みたいな感じ”になります。もちろん、「物語」として提示する以上、ある程度そういう展開は必要とされるでしょう。しかし一方で、「問題が解決した」にしては、彼女たちは結局同じような場所に留まったままです。「進展した」みたいな感じが全然ありません。いや、まったく無いわけではありませんが、一般的にアニメ作品で想定されるような「これぐらい進展するだろう」というレベルには全然達していない感じがします。

そして私には、そういう雰囲気がとても素敵に思えました。

映画でも漫画でも小説でも何でもいいですが、「物語に触れる動機」として「現実を忘れさせてくれること」を挙げる人は多いような気がします。もちろん、そういう物語も素晴らしいでしょう。たとえ束の間だったとしても、「現実の辛さ」から目を背けていられたり、あるいは吹き飛ばしてくれたりするような物語に救われる人も多いはずです。

いか

友人がそういうタイプだよね

犀川後藤

「大作映画しか観ない」って言い切ってるからなぁ

しかし一方で、「現実ってしんどいよね」みたいな物語に希望を感じる人だっているはずです。特に「『私の辛さ』を分かってくれている」みたいに感じられる物語であればなおさらだし、さらに言えば、「そういう物語が大金を掛けてアニメ化され、多くの人から評価されている」という事実によって、「私だけじゃないんだ」という感覚にもなれるんじゃないかと思います。

そして本作は、観ている人をそんな気分にさせてくれる作品な気がしました。

「物語」ではありませんが、私もつい最近そういう気分になれた経験があります。少し脱線しますが、しばらくその話をすることにしましょう。

いか

大体の人には「意味わかんない話」だと思うけどね

犀川後藤

これはホントに、全然通じない感覚だからなぁ

さて、私は「映像が頭の中にまったく浮かばない」というタイプの人間です。恐らく多くの人が「ん?」という感じだと思います。これは「アファンタジア」という名前がついた状態であり、調べてみると、世の中のおよそ4%ほどの人がこの「アファンタジア」に当てはまるのだそうです。

「頭の中に映像が浮かばない」という状態を想像するのは難しいかもしれませんが、例えば私は、「頭の中にリンゴを思い浮かべて下さい」と言われても出来ません。色んな人に聞いてみると、「目の前にリンゴが浮かんでいる」みたいな映像になるようですが、私にはその感覚がまったく理解できないというわけです。とにかく、「映像が脳内に出てこない」ので、人の顔も覚えられないし、道もすぐ忘れてしまいます

私がこのことに気づいたのは、「小説を読んでいる時に、風景や登場人物の姿は一切頭に浮かんでいない」みたいな話をしたことがきっかけでした。普通は、「登場人物が着ている服」や「街の様子」なんかが脳内に浮かぶみたいですね。私はこれまで、小説が映像化される際に、「このキャストはイメージと違う」みたいに文句を言っている人の気持ちが全然理解できなかったのですが、「みんなの頭には具体的な映像が浮かんでいる」と知ってようやく意味が分かりました

いか

なのに、生活には特段の支障はないから不思議だよね

犀川後藤

「人の顔や道を覚えられない」程度の不具合で済んでいるからなぁ

「『頭に映像が浮かばない』のは少数派である」と気付いたのが30歳頃のことです。そして、それ以降、機会がある度にこの話をしてみたのですが、「分かる!」と共感してくれる人には出会えませんでした。4%ということは25人に1人なのでそれなりにいそうなものですが、私の周りには全然いなかったのです。

しかし最近、人生で初めて「私も同じです」という人に出会いました。その人は私がこの話をするまで、「『頭に映像が浮かばない』のは普通じゃない」という事実に気づいていなかったようです。やはり生活に特段の支障は無いので、自覚する機会がないんですよね。そんなわけで、私はここ10年ぐらい「分かってくれる人がいないなぁ」と思い続けてきたわけですが、「同じ感覚を持つ人と出会うとやはり、何となく救われた気分になるな」と感じたというわけです。

本作も、誰かにとってそんな存在になるような気がするし、少なくとも監督はそういう希望を込めて作ったんじゃないかと思っています。

映画『きみの色』の内容紹介

物語の舞台となるのはキリスト教系の全寮制の高校で、ここに通う日暮トツ子は、学内でもかなり目立たない地味な存在である。大体いつも、4人部屋の他の3人と一緒につるんでいるか、あるいは聖堂でひとりお祈りをしているかだ。聖堂では時々、シスターの日吉子さんが話しかけてくれる。校則に「男女交際禁止」など厳しいルールを設ける学校ではあるが、そんな中で日吉子さんは、「皆にとって良い方向」を生徒と共に探ろうと懸命になってくれる人だ。

さて、トツ子には少し変わった特質がある。目で見る「色」とは別に、感じる「色」があるというのだ。「オーラ」みたいなものらしい。そんなわけで、彼女には「人を『色』で捉える癖」があり、しかし普段はそのことを隠しているそういう話をすると、大抵気味悪がられるからだ。

トツ子が通う学校に、作永きみという生徒がいる。トツ子とは違い誰からも慕われる存在で、聖歌隊のリーダーも務めているくらいだ。トツ子も、作永さんから感じられる「色」に惹かれ、見惚れている内にドッジボールの球を顔面に食らってしまったことがある。

しかし、ある時から急に作永さんを校内で見かけなくなってしまった。勇気を振り絞って色んな人に聞いてみたところ、どうやら退学してしまったようなのだ。理由は、誰も知らないという。突然すぎて驚くトツ子だったが、しかし、彼女にどうこう出来るような話ではない

ただその後、色々と縁があって、作永さんがアルバイトをしている古本屋で再会を果たすことが出来た。作永さんは、営業中の店内でギターの練習をしている。トツ子は、「作永さんを探していた」なんてことが悟られないようにと、さも探していたとでもいうように、弾けもしないピアノの教本を買おうとしたのだが、まさにその瞬間、店内にいた男子高校生が作永さんに話しかけた彼もまた、作永さんがギターの練習をしているのが気になっていたのだという。

その瞬間、トツ子は何を思ったか、「私たちのバンドに入りませんか?」とその男子高校生・影平ルイに声を掛けていた。もちろん、トツ子はバンドなんか組んでいないし、楽器だって弾けもしない。ただただ、作永さんとの関わりを繋ぎ止めたかっただけだ。そんな奇妙なきっかけから3人はバンドを組み、集まって練習をすることになったのである。

高校を辞めたことを同居している祖母に未だ言えずにいるきみ家業の病院を継がなければならないと頭では理解しつつも音楽活動にのめり込んでしまうルイ。そして、他の人の「色」は見えるのに自分の「色」だけは見ることが出来ないトツ子。「音楽」をきっかけに偶然繋がったそんな3人が、それぞれの悩み・葛藤と向き合いながら「好きなこと」に熱中していく

映画『きみの色』の感想

本作では、「音楽」が非常に重要な要素であるにも拘らず、「『音楽』はあくまでも『触媒』でしかない」という構成・展開なのが良かったなと思います。「バンドの練習のために集まる」というのは、もちろん「好きなことをやるため」なのですが、同時に、ある種の「逃避」でもあるわけです。つまり、「音楽じゃなきゃダメなんだ!」みたいな感じでは全然なく、そういうところが個人的には好みでした。

そして、そんな「触媒」でしかなかったはずの「音楽」が、物語のラストで全体を一気にまとめ上げていくみたいな雰囲気も素敵だったなと思います。彼女たちは「しろねこ堂」というバンド名で学園祭のライブに出演していました。そんなわけで本作は最後、ガッツリと「音楽映画」という感じの展開になるし、そのことによって、彼女たちのそれまでの努力が昇華されたみたいな印象にもなります。また、それまでさほど「音楽」に焦点が当たらなかったにも拘らず、最後一気に「音楽映画」になっていく構成に無理がなく、その点も含めてとても素晴らしいと感じました。

いか

しかも、トツ子作曲の『水金地火木土天アーメン』が、ライブではめちゃくちゃカッコイイ曲になってて驚いたよね

犀川後藤

最初は「おちゃらけた曲」ぐらいにしか聴こえないんだけど、編曲(?)であんなに変わるとは

ストーリー的には本当に、これといった起伏はありません。彼女たちが抱える悩み・葛藤がはっきり浮き彫りにされるようなシーンもないし、状況が一変するような出来事が起こったりもしないのです。「そこはかとない気怠さ」みたいなものがずっと続いていくみたいな構成で、本作においてはそういう雰囲気がとても良かったなと思います。

というのも本作には、「何かすること」によってではなく、「何もしないこと」によって話が進んでいくような雰囲気があるからです。

犀川後藤

これもまた、あまり上手くは説明できない感覚なんだけど

いか

やっぱり、良さを伝えるのが難しい作品だよね

私が伝えたい趣旨とは少しズレるのですが、本作中に「言いたくないことは聞かないよ」というセリフが出てくるシーンがあります。これなどは分かりやすく「『何もしないこと』が状況を作り出している」と言えるでしょう。そして本作には、そんな風に感じられるシーンが随所にあるのです。

これもまた、「若い世代のリアル」という感じがしました。この記事の冒頭で「若者のコミュニケーション感度の高さ」について触れましたが、そうであれば当然、「何かがある」ことに対してだけではなく「何もなかった」という事実にも何らかの意味を見出すはずでしょう。そして本作には、そんな高度なコミュニケーションをナチュラルに描きつつ、じんわりと物語を進めているような印象があったというわけです。

いか

サラッとやってる印象だったけど、やっぱり「何もしないこと」によって物語を動かすのは難しいだろうね

犀川後藤

でもそのお陰で、物語がよりリアルになってた気がする

さて、「『何もしないこと』が状況を生み出す」というのはやはり、「深い繋がりがあるからこその関係性」みたいな印象を与えるのではないかと思います。「何かがある場合」ももちろんその意図を察するのは難しいわけですが、「何もない場合」はそれ以前に、「何もなかったという事実」に気づく必要があるためで、コミュニケーションの難易度が余計上がるのです。だから、そんなコミュニケーションが成立している姿を見て、より強く「親密な雰囲気」を感じられるんじゃないかと思います。だからこそ、ストーリー自体に起伏がなくても、惹きつける物語として成立しているのだろうと感じました。

この辺りのことに関しては恐らく、脚本の吉田玲子の手腕もあるんだろうと思っています。私が彼女のことをちゃんと認識したのは、映画『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』なのですが、その後もあらゆる作品で彼女の名前を目にするし、やはり実力のある人なのでしょう。凄いものだなと思います。

いか

映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』もメチャクチャ良かったしね

犀川後藤

「原作の良さをどう引き出すか」みたいな手腕にも長けてるんだろうなぁ

さて、キャラクター的には、とにかく作永きみがメチャクチャ素敵でした。キャラクターの造形だけじゃなく声にも惹きつけられたし、素晴らしかったなと思います。公式HPによると、メインの3人のトツ子、きみ、ルイ役は1600人もの中からオーディションで選ばれたようで、3人とも職業声優ではなく役者です。そして、作永きみを演じていたのが髙石あかりで、ホント、そのことにも驚かされました。

といっても、本作『きみの色』を観た時点ではまだ彼女のことを知らなかったのですが、その後観た、髙石あかり主演の映画『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』がぶっ飛ぶほど面白く、そこで初めて髙石あかりという女優の存在をちゃんと認識したというわけです。

いか

映画『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』はシリーズ第3弾で、1・2を観ずに3だけ観たんだよね

犀川後藤

それでも十分面白かったし、主演の2人には本当にビックリした

そして改めて、本作『きみの色』に声優として出演しているという事実に気づき、さらに驚かされたというわけです。声だけでも惹きつける何かがあるわけだし、さらに、自分の感覚が一貫していることに思いがけず気づけたのも良かったなと思います。

また、音楽的な話で言えば、影平ルイが演奏する楽器がテルミンなのもびっくりでした。「楽器の演奏シーンをアニメ化する」のはそもそもかなり難しいような気がしていますが、テルミンの演奏シーンはより一層難しかったんじゃないかと思います。まあ、奏者が多くはない楽器のはずなので、間違った描写をしていても気づかれにくいだろうけど、でもきっと、リアルに描いているに違いありません『情熱大陸』で山田尚子が特集されていた回を観たのですが、その時の振る舞いなどからもそういう印象があります。テルミンという楽器を登場させることに必然性があったのかは分かりませんが、「難しいことに挑戦する」みたいな側面もあるような気がするし、そうだとしたら、そういう気概も素晴らしいと感じました。

監督:山田尚子, Writer:吉田玲子, 出演:鈴川紗由, 出演:髙石あかり, 出演:木戸大聖, 出演:戸田恵子, 出演:新垣結衣, 出演:やす子, 出演:悠木碧, 出演:寿美菜子

最後に

派手さこそありませんが、とても丁寧に作られた作品だったと思います。素敵な物語でした。

次にオススメの記事

いか

この記事を読んでくれた方にオススメのタグページ

犀川後藤

タグ一覧ページへのリンクも貼っておきます

シェアに値する記事でしょうか?
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次