目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
この映画をガイドにしながら記事を書いていくようだよ
今どこで観れるのか?
公式HPの劇場情報をご覧ください
この記事で伝えたいこと
冒頭からフルスロットルでヤバさ全開のイカれた映画だった
なにせ、最初に映るのが「サニタリーボックスを開ける男子中学生」なのである
この記事の3つの要点
- 正直他人には勧めにくいが、同時に、「本作を面白いと感じた人とは喋りたい」と思わせる作品でもある
- 何からツッコんだらいいのか分からなくなるぐらい「訳の分からなさ」が積み重なった物語
- 主人公の1人である天野モモを演じた綴由良の雰囲気が絶妙で、とても良かった
いくつかのきっかけが重なって観に行くことにした映画で、「観れて良かったな」と思う
自己紹介記事
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なかなかに凄まじい映画でした。正直なところ、「つまらなかった」という感想になっても全然不思議ではない作品でしたが、結果として「面白かった」という感想に落ち着いています。しかし、確かに面白かったんですが、誰かに本作の話をしようとしても、「さてどこから始めればいいのやら」という感じで、そういう意味では実に「勧めにくい作品」だとも思いました。
どこから何を考えたらこんな物語が生まれるんだろうなって思う
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まあこの時点で、相当ヤバい映画だということは理解できるでしょう。
こんなシーン、どんな意味においても映像で観たことないから、ちょっと衝撃だったわ
リアルではもちろんのこと、フィクションだってこんなシーンまず描かないだろうからね
さて、ナプキンをこっそり盗み出しているのは天野という男です。では彼は何故そんなことをしているのでしょうか? 天野はクラスメートの早坂さん(女子)のことが好きなのですが、「早坂さんは血のついたナプキンを愛でている」という事実を知り、同じことをしてみたかったそうなのです。もはや何を言っているのか分かりませんが、本人がそう言っているんだからそう受け取るしかないでしょう。
さて、一緒にいるのは吉行という男子生徒です。彼は天野に言われて見張り役をやらされているだけで、天野みたいな変態ではありません。というか、吉行は天野のことをちゃんと「気持ち悪い」と思ってもいるのですが、彼は実は不登校の生徒なのです。そのため、「天野は女子トレイで血のついたナプキンを漁っている」なんてことを知らない同級生からすれば、天野よりも不登校の吉行の方が「ヤバい奴」ということになります。
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さて、これだけでもイカれた感じが相当伝わるでしょう。しかし、おかしな点はまだまだあります。実は、天野と吉行を演じているのは女性なのです。女優が学ランを着てて中学2年生の男子を演じています。そして、そのことに特段なんのエクスキューズも無いまま物語が進んでいくのです。本作にはあと1人、島倉という男子生徒が登場するのですが、彼を演じているのも女優です。女子生徒を演じているのも女優なので、本作では「生徒役は全員女性が演じている」ことになります。
ただ少しの間、「男装している」のか「そうでないのか」が判断できなかったよね
吉行が「ここは女子便で、俺たち男子だぞ」ってわざわざ口にすることで、「男装じゃないんだ」って確定するんだけど
さて、これで終わりではありません。その後島倉と一緒に帰ることになった彼らは、何故かペットショップに行くという話になります。特段、脈絡はありません。実は吉行も天野も島倉とはほとんど関わったことがないようで、どうしてなのか「ペットショップに行くぞ」と息巻いている彼の勢いに押される形で向かうことになりました。
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ペットショップに着いた天野と吉行は、狭いケージに入れられた子犬を見ています。そして、「これって軽く虐待だよね」「自分の人生がこんなだったら絶望だよなぁ」などとどうでもいい会話をしていたのですが、そこに島倉が割り込んできて「子犬を救い出そう!」と言い出すのです。そして実際に子犬を盗み出し、店外へと連れ出してしまいました。
という展開そのものも謎なのですが、もっと謎だったのが、このシーンで登場する子犬がぬいぐるみだったことです。いや、物語上はちゃんと「生きた子犬」として扱われています。ただ、撮影上は「子犬のぬいぐるみ」を使っているというわけです。
子犬が手配出来なかったのか、あるいは何か意図があるのか
とまあそんな感じで、本作ではこういう「訳の分からなさ」が随所に出てきます。今触れた話は冒頭も冒頭、始まって15分ぐらいの展開で、その後も「???」となるような状況が色々と出てくるのです。ホント、その”異常さ”がとにかくぶっ飛んでいる作品でした。
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本作に対して感じる”異常さ”は結局、「他者を巻き込んでこの作品を作ろうと考えた監督」に対して抱かされているのだと思う
さて私は普段、「許容できない映画」を観るとすぐに眠くなってしまいます。睡魔に勝てず、うつらうつらしながら鑑賞しているというわけです。さらにこの日は、映画を観る前の時点で1万5000歩ほど歩いており(普段の1.5倍近く)、かなり疲れ切ったまま劇場にたどり着きました。なので、そういう身体的な状況も相まって、「許容できない映画」だったらまず寝ていただろうと思います。
どうにか起きてようって思うんだけど、映画鑑賞中の睡魔にはホントに抗えない
適度な室温で暗くて座ってるから、睡魔に襲われたら寝るしかないんだよね
ただ本作ではまったく眠くならなかったし、最後の最後まで惹きつけられました。本作の「訳の分からなさ」からすれば、私にとってはかなり不思議なことだったりします。
まあそんなわけで、私は本作を観て「面白い」と感じたのですが、じゃあその「面白さ」は一体何なのか。鑑賞後にあれこれ考えてみたのですが、結局、「世に出す前提で多くの人と協力して本作を制作し、そして実際に世に出してしまったこと」に対する感覚なのではないかと思いました。もっと端的に言えば、「うわっ、やべぇクリエイターがいるな」みたいな表現になるでしょうか。
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もちろん、「それを『映画の面白さ』と言っちゃっていいのか?」と感じる人もいるでしょう。確かにその通りかもしれません。ただ私としては、メタ的な面白さだろうが何だろうが、面白ければ別にいいんじゃないかと思っています。たぶん私は観ながらずっと、「こんな映画を作ろうと考えて、人を集めて実際に作って、しかもホントに公開しちゃった奴がいるんだ、やば」みたいに感じていたのでしょう。
基本的に「イカれた人」が好きだから、こういう狂気的な人や作品に出会えるとテンションが上がるよね
まあ、たぶんそこには、「自分もそっち側にいけたらいいのに」みたいな憧れもあるんだと思うけど
私が何よりも凄いと思うのは、本作が「映画」だということです。例えばですが、この物語が「小説」として生み出されたのならまだ理解できたと思います。小説は基本的に個人の創作物なので、どれだけ狂気的な作品でも、「編集者がよくGOサインを出したな」みたいな感覚が強くなるだけだからです。もちろん、作家が孕む狂気にも興味は向くはずですが、1人で創作できるからこそ、「個人の狂気が滲み出ていて当然」みたいに考えてしまうんじゃないかと思います。
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しかし映画は普通1人では作れません。色んな人に協力してもらいながら生み出さなければならないわけです。にも拘らず、作品全体からこれほどの狂気が滲み出ていることに驚かされてしまいました。映画制作に関わった人たちがどんなことを考えながら本作の撮影に参加していたのかとても気になるところだし、恐らくですが、「監督の人間的魅力」が無ければ生まれなかっただろうなとも思います。
本作ではも脚本も監督が書いているから、「脚本家がこんな話を書いてきちゃって」みたいな言い訳も出来ないしね
自分だったら、この物語の映画制作に色んな人の協力を募るのは勇気要るなって感じちゃうだろうなぁ
あと、映画を観ながらとにかく感じていたのは、「『地獄のSE』を面白いって思う人と喋りてぇ」ということでした。本作は、色んな意味でなかなか人に勧めにくい作品で、万人受けはまずしないでしょう。そしてそれどころか、「マイナーなものを好む人」の中でも賛否が分かれるんじゃないかとさえ思います。
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ただ、私のように「面白い」と感じた人もいるはずです。もちろん、「どこを面白いと感じたのか」みたいなポイントまで一致する可能性は低いはずで、だから、仮に「本作を『面白い』と感じた人」と話す機会があっても、話は噛み合わないかもしれません。ただ、映画の感想そのものが一致しなくても、「『地獄のSE』を面白いと感じた人」とは仲良くなれるんじゃないかとも思っています。
普段は「映画の感想を誰かと話したい」みたいにはあまり思わないんだけど
そういう意味でも本作はちょっと特殊な感じがするよね
映画『地獄のSE』を観にいこうと考えた理由、そして本作の役者や演技について
さて本作『地獄のSE』は、ポレポレ東中野で2~3ヶ月ぐらいの割と長期間の上映をしていたのですが、そんな作品をギリギリのタイミングで観ようと考えた理由について書いておきたいと思います。
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まず私は、本作の上映期間中に観たい映画があって、たまたま普段よりも多くポレポレ東中野に足を運んでいました。映画『狂熱のふたり』『シアトリカル』という2作を観に行ったのですが、その度に、劇場の表に貼られていた本作『地獄のSE』のポスターを目にしていたことが最初のきっかけです。
何がどうとは説明できないけど、かなりインパクトのあるポスターだったよね
目にする度に「なんか気になるなー」みたいには思ってた
とはいえ、それだけではまだ「観よう」という感じにはなりませんでした。しかしその後、齋藤飛鳥のインタビュー目当てで買った雑誌『Quick Japan』の中で、100字程度とかなり短い文章でしたが、本作『地獄のSE』の監督・川上さわを誰かが大絶賛していたのです。執筆者は知らない人でしたが、「そうか、こんなに激推ししている人がいるのか」という感覚になりました。
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ポチップ
さらにその後、12月の中旬くらいに、何かのSNSだったかで「映画『地獄のSE』の上映は12/27がラスト」という情報を目にする機会があり、「そうか、であれば観ておこうか」みたいな感じになったというわけです。
普段は「この映画を観よう」って決めるまでにこんなに長く逡巡したりはしないから、珍しいパターンだったよね
年末年始に差し掛かるタイミングだったのも、個人的にはちょうど良かったんだよなぁ
ちなみに、まったく知らないまま劇場に足を運んだのですが、私が本作を観た日は上映後に、監督の「川上さわ」と、吉行を演じた「わたしのような天気」(実に変わった芸名ですね)が登場しました。監督から「メイキング映像を編集した映像を流すので、良かったら観て下さい」と案内があり、再度暗転、そして監督と出演女優の「副音声」付きで撮影当時を振り返るという感じのイベントです。2人のやり取りにも面白い話は色々あったのですが、その中でも、天野を演じた「綴由良」に関する言及が興味深かったなと思います。「カメラが回っていない時でも天野だった」「綴ちゃんは入り込み型なんだよなぁ」みたいな話をしていたのです。
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そう、本作は全体的に、「天野モモ」というキャラクターの存在感によって成立している感じがしました。実に絶妙な雰囲気を醸し出していたのです。吉行と島倉は正直なところ、私には「男口調で喋る女の子」みたいな印象だったのですが、天野はむしろ「男でも女でもない」みたいな謎の雰囲気があって、それが良かったなと思います。天野のそんな印象が、作品全体から「訳の分からなさ」が滲み出る本作をギリギリ自立させているとさえ感じました。綴由良がキャスティングされた経緯は知りませんが、本作『地獄のSE』においては、「綴由良という女優を見つけ出し、彼女に天野モモを演じさせたこと」が作品の大きな成立条件な気がします。
まだ若いだろうし、もしかしたらこれから注目される存在になっていくかもね
ただ、「セリフの面白さ」で言うなら、早坂さんの方に軍配が上がるでしょう。彼女はとにかく、登場人物の誰よりも狂気的で、例えば「誰もいない教室でひたすら地球儀を回し続ける」みたいな映像がしばらく(私の体感では1分半から2分ほど)続くなど、ヤバさ全開なのです。で、この地球儀のシーンに続く展開の中で彼女が、友人(なのかはよく分からない)の育美と面白いやり取りをしていました。
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早坂さんは歌を歌いながら地球儀を回していたのですが、それに対して育美が、「や(嫌)になったりせんの? みんなに聞かれるとか?」と聞きます。そして早坂さんは、少し間を開けてから「今ん所は」と口にし、それに対して育美が「じゃあギリだね」と返すのです。正直なところ、何が「ギリ」なのかさっぱり分かりませんが、「この2人の間では意思の疎通が出来ている」ということが伝わるシーンで面白いなと感じました。
しかしホント、地球儀を回してたのは何だったんだろうね?
この作品に意味を求めちゃいけないとは思うんだけど、気になるよなぁ
さらに早坂さんのセリフの話をすると、吉行が彼女に「早坂さんは何でこんなことしてるん?」と聞く場面があり、それに対して「今はそれが自然だから」と返していたのが凄く良かったなと思います。このシーン、ラスト付近の話なので詳細は伏せますが、実に「異様な状況」で、「自然」とはかけ離れていると言っていいでしょう。しかし早坂さんの場合は、「そうか、これが自然な行動なのかー」と何となく納得してしまうような雰囲気を醸し出していて、「この場面における説得力のために早坂さんは狂気的に描かれてきたのだろうか」と感じさせるほどでした。
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にしても、「今はそれが自然だから」って返答、メチャクチャ良いなと思います。何かのタイミングが上手く合えば、ネットなどでバズってもおかしくない言葉な気もしました。
その他の感想
さて結局のところ、「SE」が何を表しているのか、最後まで観てもよく分かりませんでした。「SE」は「システムエンジニア」や「サウンドエフェクト」の略で使われるでしょうが、それは関係なさそうだし、「S・E」というイニシャルになりそうな登場人物もいません。もしかして「えすいー」ではなく「せ」と読ませるのかもしれないとも思いましたが、そうだとしても結局よく分からないままです。まあ、理解できなくても全然いいんですけどね。
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そんなわけで、隅から隅まで「訳の分からなさ」が詰まった作品で、実際に観たことはないけど、「アングラ演劇」でも観ているような気分になりました。「思いがけないところで、思いがけないものを見つけてしまった!」みたいに感じたというわけです。だから、普段なら「ストーリー」にしか興味がないにも拘らず、ストーリーなど欠片も無いような本作に惹かれたのではないかと思います。普段の私なら絶対に琴線に触れない作品ですが、何でしょうね、「監督と波長が合った」みたいな感じでしょうか。いや、それもまた勘違いなのかもしれませんが。
究極的に言えば、「『訳の分からないもの』に出会いたい」と思って色んな作品に触れてるみたいなところはあるかな
「予想をぶち抜いていく衝撃」みたいなものを常に求めてるよね
ただ、1つだけ文句を言いたいことがあります。映画の冒頭は、白い文字で書かれた長文がダーッとスクロールしていく感じで始まるのですが、その背景の映像に白い部分が多くて、私には白い文字を認識するのがとにかく難しく感じられました。「読みづらいことに意味がある」みたいな意図があったりするのかもしれないけど、そうではないならもう少し視認性を上げてほしかったです。
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その長文は、物語の前提となる設定(ストーリー)を描いている感じで、正直なところ、その設定(ストーリー)を読んだところで作品に対する解像度が上がったりはしないと思います。ただ、「電車でおじさんが狂っていたから、代わりに自分が狂わなければいけないかもと思った」みたいな感じで始まる物語はなかなか面白そうだったので、シンプルにその内容を知りたかったなという感じです。
あと、読ませる気がないのかって思うくらいスクロールも早かったよね
文字を追うのは早い方だと思ってるんだけど、背景と速度のせいで全然読めなかったわ
さて、メイキングの上映後に監督が、「パンフレット的なものを売っているので良かったら」みたいな案内をしていて、ただ、普段パンフレットとか買わない私はいつもの感じでそのまま劇場を後にしてしまったのですが、「本作に限ってはパンフレットを買っておいても良かったかもしれない」と帰りながら考えていました。鑑賞直後にはそこまで言語化出来ていませんでしたが、私は結局のところ「監督の頭の中」に興味を抱かされたわけで、パンフレットを読めばその辺りのことがもう少し深まったかもしれません。ただ何となくだけど、「パンフレットを読んだ上で感想を書くと、『ズルをしている』みたいな気分になる」って感覚があるんだよなぁ。別に全然ズルじゃないと思うんだけど、なんかそんな気がしちゃうのです。
いやしかしホント、パンフレット、買うべきだったなぁ。
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最後に
そんなわけで、ホントになかなかのゲロヤバ映画でした。正直他人に勧めるには抵抗さえ感じてしまうような作品なのですが、観れる機会があれば是非観てほしいなと思います。
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映画『ニューオーダー』は、理解不能でノンストップな展開に誘われる問題作だ。「貧富の差」や「法の支配」など「現実に存在する秩序」がひっくり返され、対極に振り切った「新秩序」に乗っ取られた世界をリアルに描き出すことで、私たちが今進んでいる道筋に警鐘を鳴らす作品になっている
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【狂気】入管の収容所を隠し撮りした映画『牛久』は、日本の難民受け入れ問題を抉るドキュメンタリー
映画『牛久』は、記録装置の持ち込みが一切禁じられている入管の収容施設に無許可でカメラを持ち込み、そこに収容されている難民申請者の声を隠し撮りした映像で構成された作品だ。日本という国家が、国際標準と照らしていかに酷い振る舞いをしているのかが理解できる衝撃作である
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【狂気】ホロコーストはなぜ起きた?映画『ヒトラーのための虐殺会議』が描くヴァンゼー会議の真実
映画『ヒトラーのための虐殺会議』は、ホロコーストの計画について話し合われた「ヴァンゼー会議」を描き出す作品だ。唯一1部だけ残った議事録を基に作られた本作は、「ユダヤ人虐殺」をイベントの準備でもしているかのように「理性的」に計画する様を映し出す。その「狂気」に驚かされてしまった。
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【映画】『別れる決心』(パク・チャヌク)は、「倫理的な葛藤」が描かれない、不穏で魅惑的な物語
巨匠パク・チャヌク監督が狂気的な関係性を描き出す映画『別れる決心』には、「倫理的な葛藤が描かれない」という特異さがあると感じた。「様々な要素が描かれるものの、それらが『主人公2人の関係性』に影響しないこと」や、「『理解は出来ないが、成立はしている』という不思議な感覚」について触れる
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【不穏】大友克洋の漫画『童夢』をモデルにした映画『イノセンツ』は、「無邪気な残酷さ」が恐ろしい
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【あらすじ】アリ・アスター監督映画『ミッドサマー』は、気持ち悪さと怖さが詰まった超狂ホラーだった
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【実話】ポートアーサー銃乱射事件を扱う映画『ニトラム』が示す、犯罪への傾倒に抗えない人生の不条理
オーストラリアで実際に起こった銃乱射事件の犯人の生い立ちを描く映画『ニトラム/NITRAM』は、「頼むから何も起こらないでくれ」と願ってしまうほどの異様な不穏さに満ちている。「社会に順応できない人間」を社会がどう受け入れるべきかについて改めて考えさせる作品だ
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【驚愕】一般人スパイが北朝鮮に潜入する映画『THE MOLE』はとてつもないドキュメンタリー映画
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映画『アウシュヴィッツ・レポート』は、アウシュビッツ強制収容所から抜け出し、詳細な記録と共にホロコーストの実態を世界に明らかにした実話を基にした作品。2人が持ち出した「アウシュビッツ・レポート」こそが、ホロコーストについて世界が知るきっかけだったのであり、そんな史実をまったく知らなかったことにも驚かされた
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実際に起こった衝撃的な事件に着想を得て作られた映画『ルーム』は、フィクションだが、観客に「あなたも同じ状況にいるのではないか?」と突きつける力強さを持っている。「普通」「当たり前」という感覚に囚われて苦しむすべての人に、「何に気づけばいいか」を気づかせてくれる作品
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獄中の死刑囚が警察に明かしていない事件を雑誌記者に告発し、「先生」と呼ばれる人物を追い詰めた実際の出来事を描くノンフィクションを原作にして、「ジャーナリズムとは?」「家族とは?」を問う映画『凶悪』は、原作とセットでとにかく凄まじい作品だ
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