目次
はじめに
この記事で取り上げる映画
監督:A.T.ホワイト, Writer:A.T.ホワイト, 出演:ヴァージニア・ガードナー, 出演:クリスティーナ・マスターソン, 出演:エリック・ビークロフト, 出演:ナタリー・ミッチェル, 出演:タンロー・イシダ
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ポチップ
この映画をガイドにしながら記事を書いていきます
この記事の3つの要点
- 本作中の様々な断片的な描写から、本作の「根本的な設定」を私はどのように捉えたのか?
- 物語の展開において重要な要素となる「通信」は、一体どのような意味があるのか?
- 主人公のオーブリーが抱いているだろう「罪悪感」は、一体どこから生まれているのか?
私が達した解釈に自信を持っているわけではないので、他にも受け取り方があるなら是非教えてほしいと思う
自己紹介記事
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私は普段、「自分なりのネタバレ基準に沿って、内容にあまり触れすぎない」というルールで本・映画の感想を書いている。人によって何を「ネタバレ」と感じるかの感覚は異なると思うので、私が書いていることに対して「ネタバレ」と受け取る人もいるとは思うが、あくまでも「私の中の独自の基準」に沿って判断しているというわけだ。
ただし、本作『スターフィッシュ』に関してはそのような制約を取り払おうと思う。つまり、「ネタバレを気にせずに内容について言及していく」というわけだ。なので、「本作をまだ観ておらず、かつ、内容について詳しく知りたくない」という方は、私の記事を読まないでほしい。
しかし本当に、鑑賞中は最初から最後まで全然意味が分からなかった。この記事で書く内容は、映画館を出た直後から感想を書き始めるまでの間に必死で考えたことである。まったく的外れの可能性もあるが、私と同じように「観たけど全然意味が分からなかった」という方は参考にしてほしいと思う。
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映画『スターフィッシュ』の内容紹介
主人公のオーブリーは、親友グレイスの葬儀に参列した。そしてそこで彼女のいとこから、グレイスについて様々な話を聞く。「いつもオーブリーの話をしていた」「同じ曲ばかり聞いていたし、『曲に救われた』と言っていた」「『オーブリーなら分かってくれる』とも」などである。その後オーブリーは、グレイスの家に侵入する。カメに話しかけ、クラゲに餌をやり、隣家の夫婦の営みが見れるように設置された窓際の望遠鏡を眺め、オナニーをし、シャワーを浴びた。そうして彼女は眠りにつく。
翌朝。彼女は寒さで目を覚ました。そして世界が一変していることを知る。窓の外は雪で覆われ、テレビも電話も使えない。とりあえず発電機を回してから近場を歩いてみることにしたのだが、おかしなことだらけだった。遠くの方で上がる黒煙、砲撃されたのだろう破壊された車、雪上に散らばる血痕。
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そして何よりも、目覚めた世界には誰もいなかった。人の気配が、まったく無かったのだ。
そんな外出の最中、不気味な音が聞こえてきたかと思うと、彼女は謎の怪物に襲われてしまう。慌ててグレイスの家まで戻り、ドアを閉めうずくまって震えていると、昨夜なんとなく手に取ったトランシーバーから声が聞こえてきた。昨日使ってみた時には誰にも繋がらなかったのに。そして、トランシーバーから聞こえてくる男性の声に従うようにして何とか怪物を撃退した彼女は、その後男性から「グレイスが遺したテープ」の存在を聞かされることになる。
彼女はそのテープを探し出した。そしてそこには、「このテープが世界を救う」と書かれていたのである。
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残された情報によると、グレイスはどうやら「謎の信号」に囚われていたらしく、さらに、その秘密をオーブリーと共有しようともしていたようなのだ。グレイスはテープに遺した音声で、オーブリーに情報を伝えようとしていた。「謎の信号」は過去から現在に至るまでの様々な通信に紛れる形で私たちの元へと届いている。そしてその信号が、世界で起こる災害・事件・惨劇と相関関係があることは確かなのだ。だから、それらの信号がひと繋がりにループを形成していると安心できるのだが、どうしても1つ足りない。7番目の信号が。既に6つは集めて「私たちの場所」に隠してあるから、あと1つ見つけてほしい。
壁にはこの街の地図が貼られている。恐らくグレイスが貼ったのだろう。「映画館」「スーパーマーケット」「図書館」などに印がついており、きっとそこにテープが隠されているに違いない。しかしオーブリーは、部屋を出てテープを探しに行こうとはしなかった……。
私が考えた仮説とその理屈
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上述の内容紹介は正直意味不明だろうが、その意味不明さは結局最後まで続く。全然説明されないし、何のこっちゃ分からない。ただ「作中で提示された情報を元に、何か合理的な説明をつけられないか?」と考えて、自分なりの結論には達した。それを簡単に要約すると以下のようになる。
オーブリーはグレイスの家に無断侵入した後、そこで自殺を図った。幸運にも一命は取り留めたものの、現在は植物状態のまま病院のベッドで横になっているところ。そして、作中で描かれるほとんどすべての状況は、「植物状態にあるオーブリーの脳内で展開されていること」である。
では、私がどのような理由からこんな結論に至ったのかについて触れていこうと思う。
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まず本作中には、「オーブリーがグレイス宅で自殺未遂を起こしたこと」「植物状態のまま病院のベッドで寝ていること」を直接的に示唆するような情報は一切ない。なのでこの2点に関しては完全に私の想像だ。しかし前者に関しては、ほんの少しだけ根拠がある。
本作は基本的にグレイスの家で展開されていく。そしてそんな室内のシーンの中に、「どこかから吊り下げられたロープ」が一瞬だけ映ったのだ。まさに、首吊り自殺で使うようなロープである。前後に説明らしきものがあったわけではなく、ただワンカット映っただけなのだが、「誰かが自殺した(あるいはその準備をしている)」とでも考えなければあまりにも唐突すぎるように思う。そのため私は、「オーブリーがグレイス宅で自殺を図ったのではないか」と考えたのである。
また後者に関しても、具体的にどんな状況なのかはともかく、「オーブリーが死に瀕している」と考えると理解しやすくなるだろう描写がいくつかあった。
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最も分かりやすいのは、トランシーバーの男性と会話している最中に出てきた言葉だろう。オーブリーが男性に問いかける形で、「私死んだの?」と聞くのである。このシーンは、観れば納得してもらえるだろうが非常に唐突だ。内容紹介で書いた通り、この場面は「怪物に襲われたオーブリーが戻ってきた直後」のものである。そしてそこに至るまでの過程で、オーブリーに「私死んだの?」と言わせるような状況は出てこない。
なのでこのセリフを踏まえれば、「オーブリーが今まさに死の淵にいること」、さらに「『死んでいるかもしれない』とオーブリー自身が認識出来る何かが起こったこと」が想定できるだろうと思う。「死んでいるかもしれない」という認識が可能なのは、自殺を図ったか事故に遭ったかぐらいではないだろうか。そう考えると、状況的には自殺未遂の方が妥当であるように思う。
また、怪物を退治する場面でも似たような話が出てきた。オーブリーはトランシーバーの男性と協力する形で怪物を撃退するわけだが、その後男性がオーブリーに、「良かった。生きたいんだね」と口にするのである。これも前後に話の流れなどなく、普通には理解しにくい発言だが、「オーブリーが自殺を図った」と考えれば受け取りやすくなるだろう。そうなると、「この男性は一体誰なんだ?」という話になるかもしれないが、私は「特定の人物ではない」と考えている。オーブリーが過去に出会ってきた様々な男性のイメージが入り混じり、「オーブリーに『生きたい』と思わせる役割を担う人物」として具現化しているというのが私の仮説だ。まあ、特に根拠はないのだが。
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さて、後で詳しく触れるつもりだが、オーブリーが自殺を図った理由について私は、「過去に犯した罪に耐えかねたのではないか」と考えている。そして、その「罪」にグレイスが関係しているというわけだ。一方、これも私の想像だが、「オーブリーはグレイスに『赦されたい』と思っているはず」である。つまりこういうことだ。オーブリーは今、「罪の重さに耐えかねてこの世から消えたい」という気持ちと、「『グレイスに赦された自分』として生き直したい」という気持ちの間で揺れており、そんな葛藤が、「怪物が跋扈する世界に放り込まれる」という状況とリンクしているのではないかと私は捉えているのである。
つまりオーブリーの脳内では、「死にたい」と「生きたい」の勢力が拮抗しており、「良かった。生きたいんだね」は「『生きたい』側の勢力のもの」と考えられるというわけだ。
さて、この点に関連するかもしれないこんなセリフがある。
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グレイスが、私に選択を任せてくれた。
この言葉は、「かつては『人間が消えること』を願っていた」とオーブリーが述懐した直後に出てくる。だから、本作『スターフィッシュ』の物語を素直に捉えるのであれば、この言葉は、「『信号』の謎を解いて世界を元に戻す」か「『信号』の謎なんか無視して世界をこのまま終わらせる」かという選択の話として受け取るのが自然だろう。私も元々はそのように解釈していた。
しかし、作中で描かれる世界がすべてオーブリーの脳内で展開されていると考えると、また別の可能性も出てくるだろう。つまり、「『生きたい』という強い気持ちを持って植物状態を脱する」か「『生きたい』という気持ちを諦めてこのまま死ぬか」の選択というわけだ。あるいは、「自殺を図ったが一命を取り留めた」という状況そのものを「私に選択を任せてくれた」と捉えることも可能だろう。いずれにせよ、このような解釈を採用すれば、「オーブリーが死に瀕している」という状況の傍証になると言えるのではないかとも思う。
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また、「オーブリーが病室にいる」と示唆する描写もいくつか拾うことが出来る。例えば本作では、ある場面で唐突に「起きて!」という声がどこからともなく聞こえるのだが、これは「病室で誰かに声を掛けられた」と考えれば理解しやすいだろう。また、目を覚ましたオーブリーが外に出ようとした時に現れた正体不明の男性については、「病室で寝ているオーブリーを起こそうとして叩くアクションから来ている」なんて風にも考えられる。
あるいは、先程は「オーブリーの葛藤が怪物の形になっている」と書いたが、別の解釈も可能だ。シンプルに、「リアルの世界でオーブリーの容態が悪化している様子を表現している」のかもしれない。作中でオーブリーは、何度か怪物に襲われ危険な状況に置かれるのだが、それはそのまま、「病室のオーブリーが危篤状態に陥っている」とも受け取れるというわけだ。
まあこれらは、「仮説に合う描写を都合よく抜き出しただけ」ではあるのだが、とはいえ、そう大きくは外していないのではないかとも思っている。
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果たしてグレイスは、「信号」に関するメッセージを遺していたのだろうか?
さて、「オーブリーの脳内で展開されている物語」という私の仮説を受け入れる場合、「何が実際に起こったことで、何がオーブリーの脳内物語なのか」という区別をしておかないとこれ以上の議論が難しくなるだろう。というわけで、先にその辺りの情報を整理していきたいと思う。
まず、オーブリーが奇妙な世界で目覚める前の出来事、つまり「グレイスの葬儀への参列」「いとことの会話」「グレイス宅への侵入」は実際に起こったことと考えていいだろう。加えて「オーブリーの自殺未遂」も、あくまでも私の仮説ではあるのだが、とりあえず事実と考えることにする。
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これらを踏まえた上で、もう少し具体的に「実際に起こったこと」についてまとめると以下のようになるだろう。
- 親友のグレイスが亡くなったこと
- グレイスのいとこから話を聞いたこととその内容(「同じ音楽を繰り返し聞いていた」「オーブリーなら理解してくれると思っていた」など)
- グレイス宅に侵入し、色々と物色したこと
- グレイスの部屋から母親に電話をし、「エドワードには会えていない」と伝えたこと
これらはすべて、オーブリーが奇妙な世界で目覚める前の出来事なので、実際に起こったことだとみなす。そしてその上で、さらにもう少し情報を整理してみたいと思う。
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まず検討したいのは、「グレイスは『信号』に関するテープを遺していたのか」である。本作ではストーリー展開の核となる要素なのだが、この点に関しては「NO」だと思う。つまり、「『信号』に関する話はすべて『オーブリーの脳内物語』であり、グレイスとは関係ない」というのが私の理解である。
正直なところ、「グレイスが『信号』に関するテープを残さなかった」と考える根拠はほとんどない。というか、「作中にはグレイスに関する描写はほぼ無いので判断しようがない」というのが正直なところだ。ただ後で触れるが、「『信号』に関する話はオーブリーの脳内物語だ」と考えるとしっくり来るので、そのように理解しているのである。
というわけでまずは、「オーブリーが何故『信号』のような発想に至ったのか」に触れておくことにしよう。容易に想像出来るだろうが、いとこから聞いた話が関係しているのだと思う。もちろん、「同じ曲を何度も聞いていた」「オーブリーなら分かってくれるはず」という発言が「信号」に言及したものだった可能性も無くはない。ただそんな風に受け取る必要もないだろう。単に「音楽の趣味がオーブリーとは合う」みたいな話と捉えるのが自然だと思う。ただ、葬儀の時に聞いたこの話がオーブリーの頭の中に残っていて、それで「信号」なんていう奇妙な話に繋がったのではないか。少なくとも私の中では、そのように考えるとしっくり来る感じがある。
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なので、「本作で描かれる『信号』が一体何を意味しているのか?」について考えても、恐らく何の意味もないだろうと思う。
では、この「信号」の話は、オーブリーにとって一体どんな意味があったのだろうか? そこで関係してくるのが、「『信号』は災害・事件・惨劇と相関関係がある」という設定だろう。これが「オーブリーの脳内物語」であるなら、「オーブリーは内心で、『悪いことが起こったら、それはすべて信号のせい』だと考えたがっている」と解釈することも可能だろう。私はこの設定に、そんなオーブリーの心の内が投影されているように感じられたのである。
すぐ後で詳しく触れるが、「オーブリーは過去の過ちに耐えかねて自殺を図った」というのが私の仮説であり、そういう状況だったからこそ余計に、「『自分が悪いわけじゃない』と感じられるような何か」が必要だったのではないかと思う。そしてその「何か」こそが「信号」であり、「『信号』さえ正しい状態にすれば悪いことは起こらない」という、ある種の願掛けみたいな意味合いが含まれた設定なのではないかと感じたのである。
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あるいはこうも考えられるだろう。オーブリーにとって「信号」の話は「グレイスからの頼み」である。そして「グレイスに赦されたい」と思っているオーブリーは、「グレイスの願いを叶えれば赦してもらえるかもしれない」と考えているのかもしれない。つまり、「グレイスから赦された」という状態を実現するために「グレイスの願い」をでっちあげ、「それを実現することによって目的を達成する」という無意識の思考が「信号」なんていう話を生み出したのかもしれないというわけだ。
そんなわけで、本作『スターフィッシュ』に関しては、「『信号』に関する謎を解き明かそうとしてもあまり意味はない」と考えているのである。
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それでは最後に、「オーブリーは何故自殺を図ったのか?」というその理由について考えていくことにしよう。
本作では、「オーブリーと、死んだはずのグレイスがベッドで横になり、向かい合わせになって会話をする場面」が描かれる。そしてその会話の中で、鍵となる言葉が出てきた。それが「浮気」である。しかしこの段階ではまだ、あまり具体的なことは理解できない。
会話の中でオーブリーはグレイスに、「償わなくちゃ」「自分を許せない」「幸せになれない」と言っていた。それに対してグレイスは、「償うなんて出来ないでしょ」「罪と向き合うの」「幸せにならなくちゃ」と返していく。まあ、このシーンも当然「オーブリーの脳内物語」なので、グレイスの返答は「オーブリーの願望」でしかないのだが、そのことはさほど重要ではない。
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さて、このやり取りから大体の状況は理解できるんじゃないかと思うが、もう少し続けることにしよう。作中には何度か、「座り込んで泣いているように見える男性」の姿が映し出される。そしてはっきりした記憶はないのだが、確かオーブリーは彼に「エドワード」と声を掛けていたように思う。ただし、呼び声に応じて振り向いた男性の顔は崩壊して空洞のようになっていた。
では、そもそも「エドワード」とは一体誰なのだろうか? 先ほど「事実」として列記した情報の中にも「エドワード」の名前を出している。グレイス宅に忍び込んだ夜、オーブリーは母親との電話の中で、「エドワードとは会えたの?」「ううん」「あら、残念ねぇ」という会話を交わしていたのだ。
さて、ここまでの情報を踏まえれば、概ね次のような状況が想定できるのではないだろうか。
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エドワードはグレイスの彼氏あるいは夫であり、オーブリーはそんなエドワードと浮気をした。
そして、「オーブリーはこの点について、グレイスに罪悪感を抱いている」と受け取るのが妥当であるように思う。
さらに私は、「グレイスはその事実を知らなかった」と考えている。もしもグレイスがその事実を知っており、そのことでオーブリーを責めていたのであれば、グレイスが死んだ後になって「自殺を図るほどの罪悪感」を抱くのは不自然ではないだろうか。そのような理由から私は、「グレイスは浮気の事実を知らなかった」と考えているのである。
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そしてその理由は恐らく、「グレイスが病気だったから」だと思う。グレイスの死因も、患っていた病気に関するものなのだろう。これに関してもいくつか根拠がある。まず、オーブリーの脳内物語では「グレイスが遺した」という設定になってるテープの中に、「これから検査のために病院に行かなくちゃ」という声が録音されていた。これは恐らく、「グレイスが病気で亡くなったこと」を事実として知っているからこその連想なのだと思う。
さらに、ベッドの上でグレイスと交わしたこんなやり取りからもそう推測出来るだろう。
オーブリー「ごめんね、一緒にいなかった。私を必要としてたのに」
グレイス「一緒にいてくれたじゃない」
オーブリー「知らなかった」
グレイス「嘘ばっかり」
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このやり取りだけだとかなり意味不明だが、「『エドワードと浮気していたオーブリー』が『幻想のグレイス』と会話している」ことを踏まえると、次のように補足することが可能ではないかと思う。
オーブリー「ごめんね、一緒にいなかった。【病気で大変で、】私を必要としてたのに」
グレイス「【エドワードに会いにきた時には】一緒にいてくれたじゃない」
オーブリー「【そんなに状態が悪いなんて】知らなかった」
グレイス「嘘ばっかり。【エドワードから聞いて知ってたくせに】」
まあちょっと我田引水的な部分もあるが、一応の筋は通るだろう。そしてこれらの状況を踏まえた上で、私は全体的に次のように理解している。
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グレイスは何らかの病気を患い、昏睡状態のまま自宅療養中だったのだが、オーブリーはその間に、グレイスの恋人(夫)であるエドワードと深い仲になった。そのためグレイスはオーブリーによる裏切りを知らなかったし、また、親友が辛い状況にある中で浮気をしたことに対して、オーブリーは深い自責の念を抱いている。
このように考えると全体として辻褄が合うように思うのだが、いかがだろうか?
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最後に
本作のラストの展開にも言及しておこう。
オーブリーは最終的に7本すべてのテープを集め、それによって「扉を閉める」ことに成功する。その後トランシーバーを使って、誰にというわけでもなく言葉を投げかけていると、突然誰かと通信が繋がった。オーブリーはその相手に、「『信号』をすべて揃え、扉を閉めた」と伝えたのだが、なんと「それは最悪だ。お前がした行為は扉を『閉めた』のではなく『開けた』のだ」と言われてしまったのである。
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これはどのように解釈したらいいだろうか?
まず先述した通り、この「通信」に関する話は「オーブリーが勝手にでっち上げたもの」でしかなく、私は本作全体を「自殺を図ったオーブリーが、『生きる(病室で目を覚ます)』か『死ぬ』かの選択で迷っている」と捉えているのだった。さらに、オーブリーは「『生きる』のであれば、グレイスから赦された状態で生き直したい」のであり、「それ故オーブリーは、『グレイスの願いを叶えれば赦してもらえるのではないか』と考えている」というのが私の仮説である。だから、「『グレイスの願い』通りにテープを集めて扉を閉めた」というわけだ。しかし実際には、「扉を開けたにすぎない」と指摘されてしまったのである。
さて、ここで問題になるのは、「オーブリーの生死に関する『グレイスの願い』」についてである。もう少し正確に書くなら、「『グレイスはオーブリーの生死に対して何を望んでいたのか』について、オーブリーはどのように考えているか」となるだろう。つまり、「『グレイスはオーブリーの生を望んでいる』とオーブリーが考えている」のか、「『グレイスはオーブリーの死を望んでいる』とオーブリーが考えている」のかという話である。
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例えば前者だとしよう。その場合、「『グレイスの願い』通りにテープを集めて扉を閉めた」というのは、「オーブリーが『生きる(病室で目を覚ます)』方向の行動」だと考えられるだろう。しかし実際には逆、つまり「オーブリーが『死ぬ』方向の行動」だったとトランシーバーの声に指摘されたというわけだ。もちろん、後者だとすればその逆である。
では、一体どちらなのだろうか。やはり普通に考えれば前者、つまり「『グレイスはオーブリーの生を望んでいる』とオーブリーが考えている」という可能性の方が高いだろう。ただその場合、結果的にオーブリーは「死ぬ」ことになる。それは物語の展開としてどうなのか。それよりは「オーブリーが『生きる(病室で目を覚ます)』」ことになる後者の方が希望を感じられて良いかもしれない。
みたいなことをあれこれと考えさせられた。実に見応えのある作品である。観終わった皆さんは、どんな感想・解釈に至っただろうか?
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ルシルナ
孤独・寂しい・友達【本・映画の感想】 | ルシルナ
孤独と向き合うのは難しいものです。友達がいないから学校に行きたくない、社会人になって出会いがない、世の中的に他人と会いにくい。そんな風に居場所がないと思わされて…
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