目次
はじめに
この記事で取り上げる本
著:瀧本哲史
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ポチップ
この記事で伝えたいこと
瀧本哲史の言葉に触れると、「自分にも何かできそうな気がする」とワクワクしてくる
「本物の知性」であり「優秀な扇動者」でもある著者の思考が詰まった1冊
この記事の3つの要点
- 2020年6月30日にまた会う日を前に、47歳の若さで著者は急逝してしまい、本書タイトルの約束は果たされず終いとなってしまう
- なんでもいいから自分にできる小さなことをやれ」と若者を積極的に鼓舞するスタンスが素敵
- 「言葉」と「交渉力」を磨くことこと、世の中を変える最大の力になる
「本物のインフルエンサー」だと思っていた人物で、本当に「惜しい人を亡くした」と感じる
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『武器としての交渉思考』の記事でも書きましたが、私は以前、瀧本哲史の講演を聞いたことがあります。東大の講義室を借りて行われたその講演は満員で、当時20代だった私と同じ若い世代の人がたくさんいました。瀧本哲史の、もの凄い早口で明晰な論理と思考を展開する弁舌に圧倒されたし、驚かされたことを覚えています。
瀧本哲史は、2019年8月10日に47歳の若さで亡くなりました。世の中に数多存在する「自称インフルエンサー」などとはまったく違う、本当の意味でのインフルエンサーだと私は思っていたので、その素晴らしい頭脳とアジテーション力を活かして色んな可能性を押し広げてほしかったと今でも思ってしまいます。
「本物の知性」ってのはこういう人のことを言うんだよなぁって感じるよね
「異常な頭の良さ」「お金を稼ぐ能力」「言葉で人を先導する力」が備わった、メチャクチャ稀有な人だったと思う
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そして、2019年に著者が亡くなったことで、本書のタイトルでもある「2020年6月30日にまたここで会おう」は、永遠に実現されないことが決まってしまいました。
本書『2020年6月30日にまたここで会おう』は、2012年6月30日に東大の伊藤謝恩ホールで行われた講演を書籍化したものです。そしてその中で瀧本哲史は、「またここで会おう」と呼びかけました。
ということで、さきほど僕は、日本から抜けるという可能性を検討したことがあるって話をしたと思うんですけど、たぶん2020年までには、この国の将来ってある程度見えてると思うんですね。
基本的にそんなに僕は日本に対して悲観していないんです。
アメリカもイギリスも落ちた帝国でしたが、今しっかり復活していますよね。だから日本も、たぶん容易に復活し得ると思っています。
ただしガバナンスはいろいろ問題があるので、そこは変わらないといけない。それを変えていくのが、みなさんです。
だから僕はとりあえず2020年までは日本にチップを張ってみますが、もしダメなら脱出ボタンを押して「みなさん、さようなら~。これだけ頑張ったのにダメなら、もうしょうがないよね~」と判断して、ニュージーランドの山奥かなんかに引っ越しているかもしれないです(会場爆笑)。
でも、そうせずに済むように、8年後の今日、2020年の6月30日の火曜日にまたここに再び集まって、みんなで「宿題(ホームワーク)」の答え合わせをしたいんですよ。
(会場どよめき)
……どうでしょうか?
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瀧本哲史が生きていたら、彼はきっとニュージーランドの山奥に引っ越していたでしょう。今の日本が、2012年に彼が感じていた「可能性」を実現した国になっているとは思えないからです。
まあ、瀧本哲史独自の視点で、「案外悪くない」みたいな捉え方をしていたかもだけどね
「この人はどう考えるんだろう」って意見を聞いてみたくなる人だったなぁ
それでは、2012年の著者がどんなことを考えていたのか、その一端に触れていきたいと思います。
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彼の関心は次第に、「どうやって『小さなリーダー』をたくさん作るか」に収束していきます。しかし、初めからそんな風に考えていたわけではありません。
具体的な名前を挙げていないので誰のことかは分からないのですが、瀧本哲史は以前、「『カリスマ』のでっち上げ」に携わったことがあるそうです。瀧本哲史が表に出るようになるずっと前の話でしょう。あまり具体的に触れられていないので想像にすぎませんが、恐らく「瀧本哲史の目から見て有望だと感じるが、世間的にイマイチ知名度がない人を有名にする」みたいなことだろうと思います。しかし、そんな経験を経たことで彼は、「多少カリスマが生まれたところで、世の中はあまり変わらない」という感覚を抱くようになりました。特定のリーダーをぶち上げて社会を変えようとする「カリスマモデル」は、上手く行かないのかもしれないと考えるようになったというわけです。
今だと、「『表に出るYouTuber』の裏で戦略を練る参謀」みたいな感じなのかもね
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他方、瀧本哲史は、ジョージ・ソロスという投資家のエピソードに触れています。彼は元々哲学者を志向していたのですが、実際には金融業界で大成功し大金を手にしました。そして、「今こそ自身の哲学的思想の正しさを証明する機会ではないか」と考えます。彼は、「意見の多様性に欠ける東欧の共産主義を倒そう」という無謀な計画を立て、その実現のために私財を注ぎ込んでありとあらゆることをやりました。しかし、そのほとんどが失敗に終わります。しかし、唯一大成功したことがありました。それが、「東欧各国にコピー機を配る」というものです。コピー機を手にした活動家が、自身の意見をビラにして配りまくったことで、様々な国で民主化が起こりました。そして結果として、ジョージ・ソロスの理想が実現することになったのです。
この事実を知った瀧本哲史は、「『意見をばらまくこと』にこそ、世の中を変える価値があるのかもしれない」と考えるようになります。彼の本職は「エンジェル投資家」であり、表に出ることがマイナスに働いてしまうような職業です。しかし「意見をばらまく」ために彼は、大学の准教授になったり本を執筆するなど表に出る活動を始めるようになりました。
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そしてその背景にある考え方こそが、「どうやって『小さなリーダー』をたくさん作るか」だというわけです。ごく少数のカリスマに社会の変革を期待するのはダメ、多くの人が身近な範囲で少しずつ何かを変えることの集積によってしか日本は変わらないのではないか、と考えるのです。
だから著者の文章や講演に触れるとワクワクするんだよね
「お前もなんか出来るぞ」ってずーっと言われ続けてる感じあるからなぁ
講演の最後に瀧本哲史が口にしたこんな言葉も、「みんなで少しずつ何かを変える」というスタンスを表わすものでしょう。
若いみなさんは、べつに何をしようと思ってもいいし、べつに政治じゃなくてもビジネスじゃなくてもいいし、無茶じゃなくてもいいし、本当になんでもいいんですけど、何か自分で、これはちょっと自分ができそうだなっていうことを見つけるとか、あるいはできそうなやつにやらせてみるとか、そういうことを地道にやっていくという方法でしか、たぶん今の世の中を大きく変えるということはできないのかなというふうに僕は思っております。
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私には、「大勢の人間を競わせて優秀な人間だけがピックアップされる」とか、「何が基準で選ばれるのか分からない就職活動で努力する」みたいな環境は、本当に優秀だったり、強いメンタルを持っていたりする人間でないとなかなか闘えない世界に思えます。「その他大勢」は最初から存在しないかのように扱われていると感じられてしまうのです。世の中の大多数の人が「その他大勢」のはずなのだから、そういう世界は多くの人にとって優しいとは言えないでしょう。しかし瀧本哲史の主張からは、「どんな人間にだって、やれることあるぜ」というメッセージが伝わってきます。そして、そう言ってもらえると、「何かを始めてみよう」という一歩が踏み出しやすくなるはずです。
「目指すべき目標」とか「最初の一歩」が大きすぎると、なかなか踏み出せないよね
「とりあえず何でもいいからやってみたら、何か変わるかもよ」っていうのは、シンプルだけど一番動きやすい気がする
「あなたがそれをやる理由」と「古い世代を支持しないこと」の重要さ
本書には、講演で行われた質疑応答も収録されているのですが、その中に、「アイデアをプレゼンしてパクられるのが怖い」というものがあります。多くの人を巻き込んで何かする場合、アイデアやビジョンなども周囲にプレゼンしなければなりませんが、プレゼンしたらアイデアを盗まれてしまう可能性も出てくるでしょう。とはいえ、アイデアを盗まれないように抑えたプレゼンをしたところで人を惹きつけられはしません。だからどうしたらいいのか分からない、という内容です。
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瀧本哲史は、シンプルにこう答えます。
アイデアがどうかなんてことより、「あなただからその事業をやる意味がある」ということが、やはりきわめて重要です。
もう少し具体的にはこんな風にも言っています。
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「アイデアを話したらパクられてしまう」って心配してしまうのは、たぶん、あなたがその事業をやる理由がまだ圧倒的に弱いんです。アイデアを聞いたひとに「パクってもこの人には絶対に勝てないな」と思わせられれば、しゃべったっていいじゃないですか。
確かにその通りだと思います。
「新たに生まれたテクノロジーを使用する」みたいなことならまだしも、そうでないなら、「自分が発想する程度のアイデア」は、他の誰かも思いついていると考えるべきでしょう。であれば、まだ誰もやってない理由は何か。「需要がない」という可能性もありますが、もしかしたら「思いついた人に『やる理由』がなかった」のかもしれません。以前読んだ、坂口恭平『独立国家のつくりかた』の中にも、「やりたいことほど無視して、自分がやらないと誰がやる、ということをやらなければいけない」みたいなことが書かれていたことを思い出します。
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最近、登録者数の多い人気YouTuberについての記事を読んだのですが、その内容もとても面白かったです。彼女は、「自分は一切YouTubeを見ない」「YouTubeが面白いとは思えないので、プライベートの時間は本を読んだり映画を観たりしている」「好きではないが、自分が得意だと感じるからYouTubeの制作を仕事にしている」と語っていました。「得意かどうか」は、「自分がやるべきか否か」の分かりやすい指標の1つだろうし、得意なことが世間の需要に合っていたというわけです。
YouTuberって、「やりたくてやってる」みたいな人ばっかだと勝手に思ってたから意外だよね
たぶん、「1人で黙々と何かに向き合う」みたいなのが得意な人に向いてる世界なんだろうなぁ
正直なところ、「自分がやらないと誰がやる」みたいなことを見つけるのは難しいだろうと思います。しかし逆に言えば、そういう何かが見つかるなら、それが周囲にどんな影響を与えるのかなど考えずに突っ走ればいいのでしょう。私は、「自分の思考を言語化すること」や「文章を書くこと」が得意で、さらに、「みんなが読んでいなさそうな本、観ていなさそうな映画」に触れるのが好きです。だから、そういう本・映画を通じて、私が考えている「意見」をばらまくために「ルシルナ」というブログを続けています。これが社会の何を変えるのか、あるいは変えないのかは、今のところさっぱり分かりませんが、少なくとも「自分がやらないと誰がやる」と感じられることではあるし、気力の続く限り頑張っていきたいと思っているところです。
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また著者は、「『古い世代を支持しない』というスタンスを明確に示すことが重要だ」と主張し、その例として、トーマス・クーンが提唱した「パラダイムシフト」の考え方を紹介しています。これは、「天動説」が廃れ「地動説」が主流となった理由の説明としてよく使われるものです。
でも、初めてこの考え方を知った時は、「嘘でしょ!?」って驚いたなぁ
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よく知られているように、大昔は「すべての天体が地球の周りを回っている」という「天動説」の考え方が主流でした。その世界観は、キリスト教的な考え方とも一致していたので、「この考え方に異を唱えるのは異端」と受け取られるほどだったのです。しかし、史実かどうかは不明ですが、「それでも地球は回っている」と言ったとされるガリレオが「天動説」に反対し、「すべての天体は太陽の周りを回っている」という「地動説」を主張します。彼の主張は当時受け入れられず、ガリレオは異端審問で有罪を宣告されてしまいました。しかしその後、「地動説」の考えが優勢となり、今に至っています。
では、教会も認めるほど強く信じられていた「天動説」は、何故廃れたのでしょうか? 多くの人は、「地動説派が天動説派を説得した」と考えるかもしれませんが、そうではありません。実際には、「天動説」を主張する者がどんどん亡くなり、一方で若い世代が「地動説」を受け入れていったことによって、そのまま「地動説」が優勢となったというわけです。
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つまり、「古い世代の考えを受け入れなかったこと」で、強く信じられていた学説が入れ替わったということになります。そして、このような形で世代交代が起こることを「パラダイムシフト」と呼んでいるのです。
今の日本でも、特に年配の世代の人たちが「古い感覚」を保持し続けているせいで、社会が硬直してしまっている状況が多々存在すると思います。パワハラ・セクハラなどはまさにその最たるものでしょうし、夫婦別姓が進まないのも同じ理由のはずです。ただ、時間は掛かるかもしれませんが、若い世代は、「古い考えを支持しない」という選択によって「パラダイムシフト」を起こすことができます。思考が硬直している人の考えを変えようとしてもなかなか難しいでしょう。だから、若い世代がきちんと「古い考えを拒絶する」というスタンスを打ち出すことで、せめてその硬直化を長続きさせないようにしようと著者は主張するのです。
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瀧本哲史はこのように、「小さなことでいいから自分の周りの何かを変えよ」と若い世代を焚き付けるのですが、そのための最大の武器が「言葉」であると主張します。「ロジック(論理)」と「レトリック(修辞)」を徹底的に磨くことこそが、結果として、世の中を変える最大の力になると力説するのです。
若い世代に限らないけど、「語彙力が貧弱だ」と感じる人は多いし、そういう人は本当に残念だなって思っちゃう
言葉数を知っているかどうかじゃなくて、持ってる言葉の組み合わせでどうにか正確に伝えようとしてるかどうかだよね
そのことがシンプルに伝わる例として、瀧本哲史は「明治維新」を引き合いに出しています。
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じつは明治維新って、あれだけ大きな社会変革だったのに、フランス革命とかアメリカの独立戦争と比べて、驚くくらい死者が少ない革命だったんです。フランスは100万人、アメリカは50万人だったのに対して、たしか3万人くらいだったかな。
それは、薩長ら倒幕派の人びとが、武力よりも言語を使って意見を統一していき、仲間を増やしていくという活動を積極的に行ったからです。
明治維新というのは近代革命の中でも、際立って言葉を武器にして行われた革命だったと言えるんですよ。
確かに、歴史にまったく詳しくない私でも、「坂本龍馬が薩摩藩と長州藩を説得して融和させた」とか、「江戸城が『無血開城』された」みたいなことをなんとなく知っています。物事を「力」で解決すると、結局「禍根」が残り、ただ単に問題を先送りしただけになってしまうでしょう。一方、「言葉」での解決は、本当の意味での解決であるように感じられます。そして、多くの人が同じように「言葉」を武器に闘う状況が広まれば、社会はより良くなっていくはずだ、と感じるのです。
だからこそ著者は、まずは「言葉」を磨き、さらに「交渉力」を身に着けることで、「感情的・非合理な相手」であっても「言葉」で説得できるだけの実力を手に入れるべきだと語ります。冒頭で紹介した『武器としての交渉思考』はまさに、そのような「交渉力」を身につけるのに最適な作品だと思うので、本書と合わせて是非読んでほしい作品です。
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この講義を行った時点で、著者は40歳。まだまだ十分若いと言える年齢だと思いますが、それでも、20代・30代の若い世代に日本を変えてほしいと託しました。本や講演を通じて瀧本哲史に扇動された若者たちが、社会のあちこちで蠢きながら何かやっていることを私は期待しているし、そうやって草の根みたいな活動から社会が根幹から変わっていくことを楽しみにしています。
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